搬送装置、画像形成装置及び搬送方法
【課題】ターゲットの表裏両面に対して正確な位置に所定の処理を施すことができる搬送装置、画像形成装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】長尺状のシートに対してシートの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた貫通孔67aの位置を検出する読取センサー37a,37bと、読取センサー37a,37bの検出結果に基づいて、シートの搬送方向における貫通孔67aの離間距離が予め設定した設定距離となるように、シートに対して搬送方向に張力を付与する第1駆動ローラー22aとを備えた。
【解決手段】長尺状のシートに対してシートの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた貫通孔67aの位置を検出する読取センサー37a,37bと、読取センサー37a,37bの検出結果に基づいて、シートの搬送方向における貫通孔67aの離間距離が予め設定した設定距離となるように、シートに対して搬送方向に張力を付与する第1駆動ローラー22aとを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状のターゲットを搬送する搬送装置、該搬送装置を備える画像形成装置、及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ターゲットに対して画像を形成する画像形成装置の一例として、ターゲットに対して基準位置マークを印刷すると共に、この基準位置マークの位置情報に基づいてターゲットに対する画像の印刷位置の位置合わせを行うようにしたプリンターが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載のプリンターは、ウェブ(ターゲット)の表面に対して画像と共にトナーマーク(基準位置マーク)を印刷する第1の印刷装置と、ウェブの裏面に対して画像を印刷する第2の印刷装置とを備えている。これらの印刷装置においては、印刷処理時には、光源から出力される光によって感光体ドラムに対して静電潜像が形成された後に、静電潜像に現像剤を供給することにより、感光体ドラム上にトナー像が形成される。そして、感光体ドラム上に形成されたトナー像をウェブに対して転写した後に、加熱されたローラー対によってウェブをニップすることで、ウェブに対してトナー像が定着されるようになっている。
【0004】
また、特許文献1に記載のプリンターにおいては、第2の印刷装置のマークセンサーがトナーマークを検出する検出タイミングに応じてウェブの搬送速度を制御することにより、第1の印刷装置においてウェブの表面に形成される画像の印刷位置と、第2の印刷装置においてウェブの裏面に形成される画像の印刷位置とを位置合わせするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−205759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のプリンターにおいては、ウェブの表面に形成されたトナー像をウェブに定着させる際にウェブに対して熱を加えるため、ウェブが熱収縮することがあり得る。この場合、上記のプリンターでは、ウェブの収縮に起因して、トナーマークの検出タイミングが変化して、第1の印刷装置においてウェブの表面に形成される画像の印刷位置と、第2の印刷装置においてウェブの裏面に形成される画像の印刷位置とが位置合わせできなくなる。そのため、第1の印刷装置においてウェブの表面に形成される画像の印刷位置と、第2の印刷装置においてウェブの裏面に形成される画像の印刷位置とが位置合わせされるように第2の印刷装置におけるウェブの搬送速度が変更されるまでの間は、ウェブの表裏両面に印刷される画像の印刷位置を位置合わせすることができなくなる虞があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ターゲットの表裏両面に対して正確な位置に所定の処理を施すことができる搬送装置、画像形成装置及び搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の搬送装置は、長尺状のターゲットに対して当該ターゲットの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた第1の基準位置マーク及び第2の基準位置マークの位置を検出する位置センサーと、前記位置センサーの検出結果に基づいて、前記ターゲットの搬送方向における前記第1の基準位置マークと前記第2の基準位置マークとの離間距離が予め設定した設定距離となるように、前記ターゲットに対して搬送方向に張力を付与する張力付与手段とを備えた。
【0009】
上記構成によれば、ターゲットが搬送方向に収縮している場合であっても、張力付与手段が位置センサーの検出結果に基づいて各基準位置マーク同士の離間距離が予め設定した設定距離となるようにターゲットに対して張力を作用させることにより、ターゲットにおける搬送方向の収縮状態を抑制することができる。そのため、ターゲットの表裏両面に対して正確な位置に所定の処理を施すことができる。
【0010】
また、本発明の搬送装置において、前記張力付与手段は、前記ターゲットにおける前記張力付与に基づく搬送方向の伸長量が予め設定した閾値を上回らない範囲内で前記ターゲットに対して張力を付与する。
【0011】
上記構成によれば、ターゲットの搬送方向の伸長量が閾値を上回らない範囲内に制限される。そのため、ターゲットに対して過大な張力が作用することが回避されるため、ターゲットが破断することを抑制できる。
【0012】
また、本発明の搬送装置は、前記ターゲットが破断したか否かを検出する検出手段と、前記検出手段が前記ターゲットの破断を検出した場合にエラー報知を行う報知手段とを更に備えた。
【0013】
上記構成によれば、ユーザーは、ターゲットが破断したことをエラー報知により迅速且つ確実に把握することができる。
また、上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、上記構成の搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されるターゲットに対して画像形成処理を施す画像形成制御手段と、前記画像形成制御手段によって前記ターゲットに対して形成された画像を熱定着させる定着手段とを備えた。
【0014】
上記構成によれば、上記搬送装置の発明と同様の効果が得られる。
また、本発明の画像形成装置において、前記張力付与手段は、前記画像形成制御手段による前記画像形成処理が施された前記ターゲットに対し、前記定着手段による前記ターゲットに対する画像の熱定着処理が施される前に、前記定着手段による前記熱定着処理に伴う前記ターゲットの熱収縮量の推定値に対応する距離分だけ前記ターゲットの搬送方向に更に張力を付与する。
【0015】
上記構成によれば、ターゲットに対して画像を熱定着させる際のターゲットの熱収縮量を相殺するようにターゲットに対して張力が付与されるため、熱定着処理が施されたターゲットからの画像の型抜き処理を更に正確に行うことができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置において、前記画像形成制御手段は、前記ターゲットの表面及び裏面に対して画像形成処理を順次実行可能に構成されており、前記張力付与手段は、前記ターゲットの表面及び裏面に対する画像形成処理のうち、少なくとも裏面に対する画像形成処理が行われる前に、前記ターゲットに対して更に張力を付与する。
【0017】
上記構成によれば、ターゲットの表面に対して形成された画像を熱定着させる際にターゲットが熱収縮した場合であっても、この熱収縮したターゲットの裏面には、ターゲットが張力付与によって伸長した状態で画像形成処理が施される。そのため、熱収縮性を有するターゲットに対して画像を熱定着させる場合であっても、ターゲットの表裏両面に対して正確に画像形成処理を施すことができる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置において、前記画像形成制御手段は、前記ターゲットの搬送方向と交差する方向に往復移動しつつ前記ターゲットに対して液体を噴射して画像を形成する液体噴射ヘッドの往動時の画像形成位置と復動時の画像形成位置とのズレ量に対応して液体の噴射タイミングを調整可能に構成されると共に、張力付与による前記ターゲットの伸長量に基づいて、液体の噴射タイミングの調整量を変更する。
【0019】
一般に、ターゲットに対して画像を熱定着させると、ターゲットは張力付与により厚みが変化する。すると、液体噴射ヘッドの往動時と復動時における液体の着弾位置のズレ量が変化する。この点、上記構成によれば、張力付与によるターゲットの伸長量に応じて、液体噴射ヘッドからの液体の噴射タイミングの調整量を変更することにより、液体噴射ヘッドの往動時と復動時における液体の着弾位置のずれ量を低減することができ、ターゲットの表裏両面に対する画像の形成位置を確実に位置合わせすることができる。
【0020】
また、上記目的を達成するために、本発明の搬送方法は、長尺状のターゲットに対して当該ターゲットの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた複数の基準位置マークのうち、前記ターゲットの搬送方向の下流側に位置する第1の基準位置マークの位置を検出する第1の検出ステップと、前記複数の基準位置マークのうち、前記第1の検出ステップにおいて検出された前記第1の基準位置マークよりも前記ターゲットの搬送方向の上流側に位置する第2の基準位置マークの位置を検出する第2の検出ステップと、前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップにおいて検出された前記ターゲットの搬送方向における前記第1の基準位置マークと前記第2の基準位置マークとの離間距離が予め設定した設定距離となるように、前記ターゲットに対して搬送方向に張力を付与する張力付与ステップとを備えた。
【0021】
上記構成によれば、上記搬送装置の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る実施形態の印刷システムを模式的に示す側面図。
【図2】プリンターの模式平面図。
【図3】印刷システムの制御構成を示すブロック図。
【図4】画像が形成されたシートの表面を示す平面図。
【図5】印刷位置に搬送されたシートの裏面を示す平面図。
【図6】図5に示す状態から延伸されたシートの裏面を示す平面図。
【図7】画像が形成されたシートの裏面を示す平面図。
【図8】図7に示す状態から延伸されたシートの裏面を示す平面図。
【図9】(a)は往動時と復動時における記録ヘッドからのシートに対するインクの着弾位置が一致した状態を示す模式図、(b)は図9(a)に示す状態からシートの厚みが変化した状態を示す模式図、(c)は図9(b)に示す状態において往動時と復動時における記録ヘッドからのシートに対するインクの着弾位置が一致するようにインクの噴射タイミングが調整された状態を示す模式図。
【図10】シートに作用する張力の大きさとシートの厚みの減少量の相関関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、印刷システム100は、画像データを生成する画像生成装置110と、画像生成装置110から受信した画像データを基に印刷データを生成するホスト装置120と、ホスト装置120から受信した印刷データに基づく画像を印刷する画像形成装置の一例としてのラテラルスキャン方式のインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター11」と称す)とを備えている。
【0024】
画像生成装置110は、例えばパーソナルコンピューターにより構成され、その本体111内のCPUが画像生成用プログラムを実行することで構築される画像生成部112を備える。ユーザーは、画像生成部112を起動して入力装置113の操作で、モニター114上で製品となる印刷物の画像を作成する。例えば製品がラベルの場合、複数個のラベルの画像を縦横に配列した複数のコマ画像が作成される。そして、入力装置113を用いて所定の操作をすると、その画像に係る画像データが通信インターフェイスを介してホスト装置120へ送信される。もちろん、ホスト装置120を操作して画像生成装置110から画像データをホスト装置120内に読み込むことも可能である。
【0025】
ホスト装置120は、例えばパーソナルコンピューターにより構成され、その本体121内のCPUがプリンタードライバー用プログラムを実行することで構築されるプリンタードライバー122を備える。プリンタードライバー122は、画像データを基に印刷データを生成し、その印刷データをプリンター11に設けられた制御装置Cへ送信する。制御装置Cは、プリンタードライバー122から受信した印刷データに基づいてプリンター11を制御し、印刷データに基づく画像をプリンター11に印刷させる。モニター123には、メニュー画面や印刷対象の画像等が表示される。メニュー画面での選択操作で表示されるその下位の印刷設定画面では、印刷対象の製品(例えばラベル等)に関する管理情報、及び各種の印刷条件などを入力設定することが可能である。
【0026】
ここで、管理情報には、製品の品番やロット番号、両面印刷の場合に表面印刷か裏面印刷かを指定するための印刷面情報などがある。また、印刷条件としては、印刷媒体の種類、サイズ、印刷品質及び版数などがある。印刷媒体の種類には、大きくは紙系とフィルム系がある。例えば紙系には、上質紙、キャスト紙、アート紙、コート紙などがあり、フィルム系には合成紙、PET、PPなどがある。また、印刷媒体のサイズには、長尺状の印刷媒体が巻回されたロールの使用を前提とする本プリンター11では、ロール幅などが設定される。印刷品質には、印刷解像度や記録方式を決める複数種の記録モードが用意されており、その中から一つ記録モードを選択する。もちろん、記録モードに替え、印刷解像度を設定してもよい。また、版数には、印刷媒体の同一エリアに複数回(複数版)印刷する重ね印刷を行う場合に重ね印刷する画像(版)の数が設定される。版数が複数である場合、モニター123に画像を表示させて版毎の画像を指定することが可能である。
【0027】
次に、図1に示すプリンター11の構成について説明する。なお、以下の明細書中の説明において、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、図1において手前側を前側、奥側を後側とする。
【0028】
図1に示すように、プリンター11の直方体状の本体ケース12内には、長尺状のターゲットの一例としてのシート13をロールR1から繰り出す繰出し部14と、そのシート13にインクの噴射により印刷を施す印刷室15と、その印刷によりインクが付着したシート13に乾燥処理を施す定着手段の一例としての乾燥装置(乾燥炉)16と、乾燥処理が施されたシート13をロールR2として巻き取る巻取り部17とが設けられている。
【0029】
本体ケース12内を上下に区画する平板状の基台18よりも上側の領域が印刷室15になっており、この印刷室15内の底部中央位置には、シート13の印刷領域を支持するための矩形板状の支持台19が基台18上に支持された状態で配置されている。そして、本体ケース12内の基台18より下側の領域には、シート13の搬送方向で上流側となる左側寄りの位置に繰出し部14が配設されると共に、下流側となる右側寄りの位置に巻取り部17が配設されている。そして、繰出し部14と巻取り部17の間のやや上方位置に乾燥装置16が配設されている。そして、支持台19上で印刷処理が施されたシート13は乾燥装置16内で乾燥されるようになっている。
【0030】
図1に示すように、繰出し部14には、前後方向に延びる巻き軸20が回転自在に設けられ、シート13が予めロール状に巻かれたロールR1がその巻き軸20に対して一体回転可能に支持されている。そして、シート13は、巻き軸20が回転することによりロールR1から繰り出されるようになっている。ロールR1から繰り出されたシート13は、巻き軸20の右側に位置する第1ローラー21に巻き掛けられて上方へ案内される。
【0031】
図1及び図2に示すように、第1ローラー21によって搬送方向が鉛直上方向に変換されたシート13は、支持台19の左側であって第1ローラー21と上下方向で対応する位置に配置された第1搬送ローラー対22に挟持されて搬送力が付与される。第1搬送ローラー対22は、搬送モーター61(図3参照)に対して動力伝達可能に連結された張力付与手段の一例としての第1駆動ローラー22aと、該第1駆動ローラー22aに対してシート13を挟んで対向するように配置された第1従動ローラー22bとによって構成されている。第1従動ローラー22bは、シート13の幅方向に間隔を隔てて対をなすように設けられており、シート13において画像の印刷が施されない幅方向の端縁部を挟持するようになっている。そして、第1駆動ローラー22aに左側下方から巻き掛けられて搬送方向が水平右方向に変換されたシート13は、第1駆動ローラー22aの回転駆動に伴って、支持台19の上面に摺接するようになっている。
【0032】
また、図1に示すように、第1ローラー21と第1搬送ローラー対22との間におけるシートの経路の途中には、後述する基準位置マークや二次元コード(識別情報)をシート13に対して貫通形成する孔形成機構23が設けられている。孔形成機構23は、ドットインパクト方式のプリントヘッド(図示略)を有しており、このプリントヘッドに設けられた複数のドットワイヤをシート13に向けて飛び出させることにより、シート13に対して孔を貫通形成するようになっている。
【0033】
また、図1及び図2に示すように、支持台19の右側には、左側の第1搬送ローラー対22と支持台19を挟んで対向する位置に第2搬送ローラー対24が設けられている。第2搬送ローラー対24は、搬送モーター61(図3参照)に対して動力伝達可能に連結された第2駆動ローラー24aと、該第2駆動ローラー24aに対してシート13を挟んで対向するように配置された第2従動ローラー24bとによって構成されている。第2従動ローラー24bは、シート13の幅方向に間隔を隔てて対をなすように設けられており、シート13において画像の印刷が施されない幅方向の端縁部を挟持するようになっている。なお、第1駆動ローラー22a及び第2駆動ローラー24aは各々の周面の頂部が支持台19の上面と同一高さとなるように位置調整されている。
【0034】
支持台19の上面から下流側(右側)に搬送されたシート13は、第2駆動ローラー24aに右側上方から巻き掛けられて搬送方向が鉛直下方向に変換される。そして、図1に示すように、シート13は、支持台19の下側に配置された第4ローラー25及び第5ローラー26間を水平方向に案内され、これらローラー25,26間の搬送経路の途中で乾燥装置16内を通過するようになっている。また、乾燥装置16内で乾燥処理が施されたシート13は、第5ローラー26、第6ローラー27及び第7ローラー28に案内されて巻取り部17の近くまで搬送され、搬送モーター61(図3参照)の駆動力に基づいて巻取り軸29が回転することによりロールR2として巻き取られる。
【0035】
例えば両面印刷が行われる場合は、まずシート13の表面となる一方の面に対して表面印刷が行われる。そして、一方の面に対して表面印刷が施されたシート13が、その一方の面を内側にしつつ、全てロールR2として巻き取られると、巻取り部17のロールR2を取り外し、そのロールR2は裏面印刷時の供給用のロールR1として再び繰出し部14にセットされる。このとき、ロールR1からのシート13は、外側となっている他方の面が裏面となって表面印刷時の印刷面になるように図1に二点鎖線で示す繰り出し形態で第1ローラー21に巻き掛けられる。なお、乾燥装置16と巻取り部17との間におけるシート13の経路の途中には、シート13に印刷された製品部分(例えばラベル)を型抜きするための型抜き用の加工機30が設けられており、プリンター11内で製品部分の型抜き工程まで終えられるようになっている。
【0036】
図1及び図2に示すように、印刷室15内における支持台19の前後方向両側には、左右方向に延びるガイドレール31(図1では2点鎖線で示す)が一対設けられている。一対のガイドレール31には、記録ユニット32が主走査方向X(図1では左右方向)に往復移動可能に案内される。記録ユニット32は矩形状のキャリッジ33と、キャリッジ33の下面側に支持板34を介して支持された複数の記録ヘッド35とを備えている。キャリッジ33は、第1キャリッジモーター(以下、「第1CRモーター62」(図3参照)ともいう。)の駆動に基づき両ガイドレール31に沿って主走査方向Xへの往復移動が可能な状態で支持されている。また、キャリッジ33は第2キャリッジモーター(以下、「第2CRモーター63」(図3参照)ともいう。)の駆動に基づき副走査方向Y(図1では紙面と直交する前後方向)への移動も可能となっている。これにより、記録ユニット32は主走査方向Xと副走査方向Yとの2方向への移動が可能となっている。
【0037】
シート13において支持台19の上面のほぼ全域に亘る一定範囲が印刷領域R1となっており、この印刷領域R1に相当する搬送量単位でシート13は間欠的に搬送されるようになっている。また、支持台19の下側には吸引装置36が設けられている。吸引装置36は、支持台19の上面に開口する多数の吸引孔(図示せず)に負圧を及ぼすように駆動され、その負圧による吸引力によりシート13は支持台19の上面に吸着される。そして、シート13のうち支持台19上に位置する被印刷領域に、記録ユニット32の主走査方向Xへの移動(主走査)に伴いその移動途中に記録ヘッド35からインクが噴射される主走査により一部の印刷が施され、主走査後に次回の主走査位置まで記録ユニット32を副走査方向Yへ移動させる副走査が行われる。そして、主走査をM回繰り返すことで、1回(1フレーム)の印刷が施される。そして、シート13への1回の印刷が終わると、吸引装置36の負圧が解除されることでシート13の支持台19上への吸着が解除され、その解除後にシート13は間欠搬送が再開されるようになっている。
【0038】
なお、第1搬送ローラー対22と支持台19との間におけるシート13の経路の途中には、シート13に形成された基準位置マークや二次元コードを光学的に読み取る位置センサーの一例としての第1読取センサー37aが設けられている。また、支持台19と第2搬送ローラー対24との間におけるシート13の経路の途中には、シート13に形成された基準位置マークや二次元コードを光学的に読み取る位置センサーの一例としての第2読取センサー37bが設けられている。各読取センサー37a,37bは、シート13の上面に向けて鉛直下方に光を出力する発光部38a,38bと、該発光部38a,38bから出力される光のうち、シート13上の基準位置マークや二次元コードを通過してシート13の下面から鉛直下方に射出される光を受光する受光部39a,39bとをそれぞれ備えている。発光部38a,38b及び受光部39a,39bは、シート13において基準位置マークや二次元コードが形成されたシート13の幅方向(前後方向)の端縁部を上下方向に挟んで対向するように配設されている。そして、読取センサー37a,37bは、受光部39a,39bにおいて検出される光の検出信号に基づいて、シート13に形成された基準位置マークの位置や二次元コードのコード配列を読み取るようになっている。
【0039】
また、印刷室15内の右端側となる非印刷領域には、非印刷時に記録ヘッド35のメンテナンスを行うためのメンテナンス装置40が設けられている。メンテナンス装置40は、キャップ41と昇降装置42とを備える。非印刷時にホーム位置で待機する記録ユニット32の記録ヘッド35は、昇降装置42の駆動により上昇したキャップ41でキャッピングされ、ノズル内のインクの増粘等が回避されるようになっている。また、所定のメンテナンス時期になると、キャッピング状態の下でメンテナンス装置40の吸引ポンプ(図示せず)が駆動されてキャップ41内を負圧にすることによりノズルからインクを強制的に排出して、ノズル内の増粘インクやインク中の気泡等を除去するクリーニングが行われる。
【0040】
また、図1に示すように、本体ケース12内には、異なる色のインクをそれぞれ収容した複数(例えば8個)のインクカートリッジIC1〜IC8が着脱可能に装着されている。8個のインクカートリッジIC1〜IC8は、例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、白(W)、クリア(オーバーコート用の透明色)等の各インクを収容する。各インクカートリッジIC1〜IC8はインク供給路等(図示省略)を通じて記録ヘッド35に接続されている。各記録ヘッド35は各インクカートリッジIC1〜IC8から供給されたインクを噴射してシート13に印刷を施す。
【0041】
次に印刷システム100の電気的構成を図3に基づいて説明する。図3に示すホスト装置120内のプリンタードライバー122は、報知手段の一例としてのモニター123に表示させるべきメニュー画面及び印刷設定画面などの各種画面の表示制御を行うと共に、各画面の表示状態において操作部124から入力した操作信号に応じた所定処理を行う。
【0042】
ホスト装置120はデータの転送制御を行う転送制御部129を備える。転送制御部129は、プリンタードライバー122が生成した印刷データPDを、シリアル通信ポートU1を介して所定容量のパケットデータずつプリンター11へ順次シリアル転送する。また、プリンタードライバー122は、プリンター11の制御装置Cと双方向の通信が可能になっており、転送制御部129を介してプリンター11へコマンドや制御信号を送信し、その応答をプリンター11から受信する。
【0043】
図3に示すプリンター11側の制御装置Cは、ホスト装置120からの印刷データPDをシリアル通信ポートU2で受信して印刷制御をはじめとする各種制御を行うための画像形成制御手段の一例としてのコントローラー50を備えている。図3に示すように、コントローラー50には、ヘッド制御ユニット51(以下、単に「HCU51」という)を介して記録ヘッド35が接続されている。
【0044】
図3に示すように、コントローラー50には、キャリッジ33(つまり記録ユニット32)の移動経路に沿って設けられているリニアエンコーダー52が接続されている。コントローラー50は、リニアエンコーダー52からキャリッジ33の移動距離に比例する数のパルスをもつ検出信号(エンコーダーパルス信号)を入力する。コントローラー50は、エンコーダーパルス信号のパルスエッジ数の計数によりキャリッジ33の主走査方向Xにおける位置(キャリッジ位置)を取得すると共に、A相・B相の各エンコーダーパルス信号の信号レベルの比較結果に基づきキャリッジ移動方向を取得する。また、コントローラー50は、リニアエンコーダー52からのエンコーダーパルス信号を基に、記録ヘッド35の噴射タイミングを決める噴射タイミング信号を生成する。コントローラー50は、印刷データPD中の画像データから記録ヘッド35が使用可能なヘッド制御データを生成し、そのうちキャリッジ33の1回の主走査分(1パス分)のデータずつHCU51を介して各記録ヘッド35に送信する。記録ヘッド35はヘッド制御データに基づき噴射すべきノズルから噴射タイミング信号に同期して、主走査における記録ヘッド35の噴射制御を行う。
【0045】
図3に示すように、コントローラー50は、CPU(中央処理装置)53、ASIC(Application Specific IC(特定用途向け集積回路))54、ROM55、RAM56及び不揮発性メモリー57を備えている。CPU53は、ROM55に記憶されたプログラムを実行することにより、印刷制御に必要な各種タスクを実行する。また、ASIC54は、印刷データPDの画像処理を含む記録系のデータ処理などを行う。もちろん、各タスクを含むプログラムは不揮発性メモリー57に記憶されてもよい。
【0046】
また、図3に示すように、制御装置Cは、コントローラー50の出力側(制御下流側)に通信線SL1を通じて接続されたメカコントローラー58を備えている。コントローラー50は、印刷データPDに含まれる印刷コマンドを所定のタイミングで送信することにより、メカコントローラー58にメカニカル機構59の駆動を指示する。メカコントローラー58は、コントローラー50から受信した印刷コマンドに基づき所定のシーケンスに従って、主に搬送系及びキャリッジ駆動系を含むメカニカル機構59を駆動制御する。
【0047】
コントローラー50は、メカコントローラー58へコマンドを送信し、そのコマンドに従ったメカニカル機構59のシーケンス動作を終えた旨の応答をメカコントローラー58から受信すると、次のコマンドを送信する手順をとることにより、メカコントローラー58によるメカニカル機構59の駆動タイミングを制御する。
【0048】
図3に示すように、メカニカル機構59は、搬送系を構成する搬送モーター61と、キャリッジ駆動系を構成する第1CRモーター62及び第2CRモーター63とを備えている。メカコントローラー58には、モーター駆動回路60を介して搬送モーター61、第1CRモーター62及び第2CRモーター63がそれぞれ接続されている。搬送モーター61は各ローラー21,22a,22b,24a,24b,25〜28と軸20,29等により構成される搬送機構を駆動するためのものである。
【0049】
また、第1CRモーター62は、キャリッジ33を主走査方向Xに駆動させるための動力源であり、第2CRモーター63はキャリッジ33を副走査方向Yに駆動させるための動力源である。ラテラルスキャン方式では、キャリッジ33を主走査方向Xに駆動させてその駆動途中に記録ヘッド35からインクを噴射することにより1パス分の印刷を施す主走査と、キャリッジ33を副走査方向Yに所定ピッチだけ駆動させて次パスの印刷位置まで記録ヘッド35をずらす副走査とを繰り返す。そして、所定回数の主走査(パス)を行って複数パスの印刷を施すことにより印刷処理が施される。
【0050】
さらに、図3に示すように、メカニカル機構59は、乾燥装置16と、吸引装置36と、メンテナンス装置40とを備え、これらはメカコントローラー58と電気的に接続されている。また、このメカコントローラー58には、入力系として、第1読取センサー37a、第2読取センサー37b、電源スイッチ65、及びエンコーダー66がそれぞれ接続されている。電源スイッチ65がオン操作されたときのオン信号及びオフ操作されたときのオフ信号はメカコントローラー58を介してコントローラー50へ送信される。
【0051】
また、メカコントローラー58は、コントローラー50から通信線SL1を通じて受信した各種コマンドに従って、各モーター61〜63、吸引装置36及びメンテナンス装置40を駆動制御する。エンコーダー66は、搬送モーター61を動力源とする搬送駆動系の回転軸の回転を検出するものであり、メカコントローラー58は、エンコーダー66の検出信号(エンコーダーパルス信号)を用いてシート13の搬送量及び搬送位置を検出する。
【0052】
制御装置Cは、印刷時に、搬送モーター61を駆動してシート13の次の被印刷領域(フレーム)を支持台19上に配置すべくシート13を搬送する搬送動作と、シート搬送後に次の被印刷領域を支持台19に吸着させる吸着動作と、記録ヘッド35によるシート13への印刷動作と、1回分(1フレーム分)の印刷終了後にシート13の吸着を解除する吸着解除動作とを行う。このとき、印刷動作は、記録ユニット32の主走査方向Xへの移動中に記録ヘッド35からインク滴を噴射することにより行われる。この印刷動作は、第1CRモーター62の駆動によるキャリッジ33の主走査方向Xへの移動(1パス動作)と、1パス終了毎に行われるキャリッジ33の副走査方向Yへの移動とを、Nパス分(4パス分又は8パス分)繰り返すことにより行われる。
【0053】
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、シート13の表面及び裏面に対して画像の印刷処理を順次実行する際の作用に着目して以下説明する。
さて、シート13の表面に対して画像の印刷処理を実行する際、まず、コントローラー50は、搬送モーター61を駆動して、支持台19上ではシート13の表面が上方に向く状態でシート13を搬送する。ここで、図4に示すように、シート13における幅方向の一方側の端縁部となる位置には、孔形成領域S1がシート13の搬送方向に間隔を隔てて設けられている。そして、これらの孔形成領域S1には、複数の貫通孔67がシート13を厚み方向に貫通するように形成されている。
【0054】
そして、シート13が搬送方向の下流側に向けて搬送されると、これらの貫通孔67が第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bにおいて発光部38a,38bと受光部39a,39bとが上下に対向している空間域をシート13の搬送方向に横切る。そのため、各読取センサー37a,37bは、発光部38a,38bから射出された光のうち、これらの貫通孔67を通過して受光部39a,39bにおいて検出される光の検出信号に基づいて、シート13上におけるこれらの貫通孔67の搬送位置を読み取る。なお、各読取センサー37a,37bによる貫通孔67の検出領域は、シート13の搬送方向に長く延びる矩形状をなしており、シート13の搬送方向における検出領域の寸法は、同方向における孔形成領域S1の寸法よりも大きく設定されている。
【0055】
そして、シート13に設けられた孔形成領域S1が、支持台19を挟んでシート13の搬送方向の両側に設けられた双方の読取センサー37a,37bにおける貫通孔67の検出領域に対して配置されると、双方の読取センサー37a,37bは、各受光部39a,39bにおける光の検出信号に基づき、これらの孔形成領域S1がシート13の搬送方向において離間した距離L1を計測する。
【0056】
具体的には、第1の検出ステップ及び第2の検出ステップとして、コントローラー50は、各々の読取センサー37a,37bの検出領域に配置された孔形成領域S1において図4に示す左上隅部(シート13の搬送方向の上流側であってシート13の幅方向の縁側に位置する隅部)の区画領域S1aに形成された貫通孔67aの搬送位置を読み取った読取センサー37a,37bからの出力信号に基づいて、これらの貫通孔67aがシート13の搬送方向において離間した距離L1を計測する。
【0057】
そして、コントローラー50は、上記の貫通孔67aの離間距離の計測を終了すると、シート13の搬送を停止させる。そして、コントローラー50は、第1読取センサー37aがシート13の搬送過程において既に読み取りを完了している二次元コード、即ち、支持台19上の孔形成領域S1において、上記の区画領域S1a以外の他の区画領域S1bに形成された貫通孔67bのコード配列を二次元コードとして第1読取センサー37aが読み取った検出信号に基づき、シート13に対して形成される画像の関連情報を読み取る。この関連情報には、シート13に対して形成される画像の印刷ジョブID情報、該印刷ジョブID情報に含まれる印刷対象の全てのコマ画像のうち特定の基準位置マークによって印刷位置が位置合わせされるコマ画像の印刷頁数、及び特定の基準位置マークによって印刷位置が位置合わせされるコマ画像の画像数などが含まれている。
【0058】
なお、本実施形態では、図4において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1に形成された二次元コードには、画像の関連情報として同一の印刷ジョブID情報が含まれている。また、これらの二次元コードに含まれる画像の関連情報においては、各二次元コードに隣接して設けられた基準位置マークによって印刷位置が位置合わせされるコマ画像群の画像数がそれぞれ10個となっている。そして、シート13の印刷領域R1において各基準位置マークに個別に対応するコマ画像形成領域68には、縦横に2列×5列の格子状をなすように配列されたコマ画像69がそれぞれ印刷される。なお、本実施形態では、シート13の印刷領域R1に対して3つのコマ画像形成領域68が含まれている。
【0059】
また、コントローラー50は、二次元コードに含まれる画像の関連情報のうち、基準位置マークとなる貫通孔67aの位置を基準として印刷位置が位置合わせされるコマ画像の画像数に応じてコマ画像形成領域68における各コマ画像69の印刷位置を算出する。そして、コントローラー50は、算出した各コマ画像69の印刷位置に基づき、ノズルから噴射させるべきインクの噴射タイミングのタイミング信号を生成すると共に、生成されたタイミング信号に同期して主走査における記録ヘッド35の噴射制御を行うことにより、シート13のコマ画像形成領域68における所望の位置に対して各コマ画像69が正確に印刷されるようになっている。
【0060】
また、本実施形態では、コントローラー50は、シート13のコマ画像形成領域68に対してコマ画像69を印刷する際には、ホスト装置120に対して印刷ジョブとして入力される印刷データにおける画像データのうちシート13に対して印刷される画像データの印刷頁数と、シート13に形成された二次元コードを通じて読み取ったコマ画像形成領域68の頁数とを照合し、シート13に対して適切な画像が正確な位置に印刷されるようになっている。
【0061】
具体的には、図4において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、シート13の搬送方向の上流側(図4では左側)に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コードには、この二次元コードに対応するシート13の表面に対する3頁目のコマ画像形成領域68におけるコマ画像群の画像内容として「建物」の画像内容が設定されている。また、図4において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、シート13の搬送方向の下流側(図4では右側)に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コードには、この二次元コードに対応するシート13の表面に対する1頁目のコマ画像形成領域68におけるコマ画像群の画像内容として「リンゴ」の画像内容が設定されている。さらに、図4において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、上記の2つの孔形成領域S1によって挟まれるシート13の搬送方向の中央に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コードには、この二次元コードに対応したシート13の表面に対する2頁目のコマ画像形成領域68におけるコマ画像群の画像内容として「星」の画像内容が設定されている。
【0062】
そして、シート13の表面に対する画像の印刷処理が完了すると、次に、シート13の裏面に対する画像の印刷処理が開始される。ここで、図5に示すように、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と、シート13の裏面に対して画像を印刷する場合とでは、シート13の搬送方向における貫通孔67の位置関係が鏡像関係となるように反転する。そのため、第1の検出ステップ及び第2の検出ステップとして、コントローラー50は、シート13の孔形成領域S1において図5に示す右上隅部(シート13の搬送方向の下流側であってシート13の幅方向の縁側に位置する隅部)の区画領域S1aに形成された貫通孔67aの搬送位置を読み取った第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bからの出力信号に基づいて、これらの貫通孔67aがシート13の搬送方向において離間した距離L2を計測する。
【0063】
ここで、本実施形態のプリンター11においては、乾燥装置16がシート13の表面に印刷された画像をシート13に対して定着させる際にシート13に対して熱が加わるため、シート13が熱収縮してしまう。そのため、熱定着処理が施されたシート13の裏面に対して画像を印刷する際には、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と比較して、上記の貫通孔67aは、シート13の搬送方向における離間距離が減少する。
【0064】
そこで、本実施形態のプリンター11では、シート13の裏面に対して画像の印刷処理を施す際、張力付与ステップとして、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動制御を通じて、支持台19よりもシート13の搬送方向の下流側に位置する駆動ローラー24aの回転駆動を停止させると共に、支持台19よりもシート13の搬送方向の上流側に位置する第1駆動ローラー22aを逆転駆動させる。すると、シート13における支持台19上に位置する部分には、第1駆動ローラー22aからシート13の搬送方向の上流側に向かう搬送力が付与され、シート13には搬送方向の上流側に向けて延伸するように張力が作用する。そして、上記の貫通孔67aは、シート13の搬送方向における離間距離が次第に増大する。
【0065】
そして、コントローラー50は、第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bから出力された貫通孔67の検出信号に基づき、これらの読取センサー37a,37bによって検出される貫通孔67の移動量を監視しつつ搬送モーター61の駆動量を制御する。そして、本実施形態では、図6に示すように、コントローラー50は、支持台19を挟んでシート13の搬送方向の両側に設けられた貫通孔67aの離間距離が上記の距離L1(=L2+d1)に到達した旨を判別すると、搬送モーター61の駆動を停止させることにより、第1駆動ローラー22aによるシート13の延伸を停止させる。すなわち、コントローラー50は、シート13における張力付与に基づく搬送方向の延伸量が予め設定した閾値を上回らない範囲内でシート13に対して張力を付与する。この際、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と、シート13の裏面に対して画像を印刷する場合との間で、シート13の搬送方向の寸法の大きさが略同一となる。すなわち、シート13は、その表面に印刷された画像の熱定着に起因した熱収縮が相殺されるように、第1駆動ローラー22aによって搬送方向に延伸される。
【0066】
なお、コントローラー50は、第1駆動ローラー22aがシート13を延伸している間は、継続して搬送モーター61の駆動負荷を監視している。そして、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動負荷が急激に低下した場合には、搬送モーター61の駆動対象である第1駆動ローラー22aが空回りしている旨を判別し、第1駆動ローラー22aの搬送対象であるシート13が破断したことを検出する。この点で、本実施形態では、コントローラー50は、シート13が破断したか否かを検出する検出手段の一例を構成している。また同時に、コントローラー50は、転送制御部129を介してホスト装置120へコマンドや制御信号を送信し、モニター123に対してエラー報知の表示を行わせるようになっている。
【0067】
そして、コントローラー50は、第1読取センサー37aがシート13の搬送過程において既に読み取りを完了している二次元コード、即ち、図6において支持台19上の孔形成領域S1において上記の区画領域S1a以外の他の区画領域S1bに形成された貫通孔67bのコード配列を二次元コードとして第1読取センサー37aが読み取った検出信号に基づき、シート13に対して形成される画像の関連情報を読み取る。
【0068】
ここで、上記のように、これらの貫通孔67のコード配列はシート13の搬送方向における位置関係が鏡像関係となるように反転している。そこで、コントローラー50は、第1読取センサー37aにおいて検出された貫通孔67のコード配列を左右に反転させる画像処理を施す。そして、かかる貫通孔67を通じてシート13の表裏両側から同一のコード配列を二次元コードとして読み取り、シート13に対して形成される画像の関連情報を読み取る。
【0069】
なお、本実施形態では、図6において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1に形成された二次元コードには、画像の関連情報として同一の印刷ジョブID情報が含まれている。また、これらの二次元コードに含まれる画像の関連情報においては、各二次元コードに隣接して設けられた基準位置マークによって印刷位置が位置合わせされるコマ画像群の画像数がそれぞれ10個となっている。
【0070】
そして、図7に示すように、シート13の印刷領域R1において各基準位置マークに個別に対応するコマ画像形成領域70には、縦横に2列×5列の格子状をなすように配列されたコマ画像71がそれぞれ印刷される。なお、本実施形態では、シート13の印刷領域R1に対して3つのコマ画像形成領域70が含まれている。
【0071】
また、コントローラー50は、二次元コードに含まれる画像の関連情報のうち、基準位置マークとなる貫通孔67aの位置を基準として印刷位置が位置合わせされるコマ画像の画像数に応じてコマ画像形成領域70における各コマ画像の印刷位置を算出する。そして、コントローラー50は、算出した各コマ画像71の印刷位置に基づき、ノズルから噴射させるべきインクの噴射タイミングのタイミング信号を生成すると共に、生成されたタイミング信号に同期して主走査における記録ヘッド35の噴射制御を行うことにより、シート13のコマ画像形成領域70における所望の位置に対して各コマ画像71が正確に印刷されるようになっている。
【0072】
なお、シート13には、基準位置マークとして機能する貫通孔67がシート13の厚み方向に貫通形成されており、第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bは、シート13の表裏両側からこの貫通孔67の位置を検出する。そのため、共通の基準位置マークや二次元コードを用いてシート13の表裏両面に対して画像の印刷処理が施されるため、シート13の表裏両面には、正確に位置合わせされた画像が印刷されるようになっている。
【0073】
また、上記のように、シート13の裏面に対して画像を印刷する際には、シート13は、その表面に印刷された画像の熱定着に起因した熱収縮が相殺されるように、第1駆動ローラー22aによって搬送方向に延伸される。具体的には、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と、シート13の裏面に対して画像を印刷する場合とで、シート13の搬送方向における孔形成領域S1の間隔がほぼ等しくなるようにシート13が延伸される。
【0074】
そのため、画像の熱定着に際したシート13の熱収縮量の大きさに依存することなく、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と、シート13の裏面に対して画像を印刷する場合との間で、支持台19を挟んで配置された貫通孔67aの離間距離が常にほぼ等しくなる。したがって、シート13の裏面に対して所望の位置に各コマ画像71が確実に印刷されるようになっている。
【0075】
また、本実施形態では、コントローラー50は、シート13の裏面に対してコマ画像71を印刷する際には、ホスト装置120から印刷ジョブとして入力される印刷データにおける画像データのうちシート13に対して印刷される画像データの印刷頁数と、シート13に形成された二次元コードを通じて読み取ったコマ画像形成領域70の頁数とを照合しており、シート13に対して適切な画像が正確な位置に印刷されるようになっている。
【0076】
具体的には、図7において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、シート13の搬送方向の上流側(図7では左側)に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コード(即ち、図4に示すシート13の搬送方向の上流側に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コード)には、この二次元コードに対応するシート13の裏面に対する1頁目のコマ画像形成領域70におけるコマ画像群の画像内容として、『建物』という文字列と共にこの文字列と共にこのコマ画像群において上記の基準位置マークを基準とした各コマ画像71の縦横の配列位置を示す『M−N』(M:縦方向の列番号、N:横方向の列番号)という文字列が設定されている。
【0077】
また、図7において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、シート13の搬送方向の下流側(図7では右側)に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コード(即ち、図4に示すシート13の搬送方向の上流側に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コード)には、この二次元コードに対応するシート13の表面に対する3頁目のコマ画像形成領域70におけるコマ画像群の画像内容として、『リンゴ』という文字列と共にこの文字列と共にこのコマ画像群において上記の基準位置マークを基準とした各コマ画像71の縦横の配列位置を示す『M−N』(M:縦方向の列番号、N:横方向の列番号)という文字列が設定されている。
【0078】
さらに、図7において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、上記の2つの孔形成領域S1によって挟まれるシート13の搬送方向の中央に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コードには、この二次元コードに対応したシート13の表面に対する2頁目のコマ画像形成領域70におけるコマ画像群の画像内容として、『星』という文字列と共にこの文字列と共にこのコマ画像群において上記の基準位置マークを基準とした各コマ画像71の縦横の配列位置を示す『M−N』(M:縦方向の列番号、N:横方向の列番号)という文字列が設定されている。
【0079】
さらに、シート13の裏面において1頁目から3頁目までのコマ画像形成領域70を含む印刷領域R1に対して画像の印刷処理が施されると、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動制御を通じて、支持台19よりもシート13の搬送方向の上流側に位置する第1駆動ローラー22aを逆転駆動させる。すると、シート13における支持台19上に位置する部分には、第1駆動ローラー22aからシート13の搬送方向の上流側に向かう搬送力が付与され、シート13には搬送方向の上流側に向けて延伸するように張力が作用する。そして、上記の貫通孔67aは、シート13の搬送方向における離間距離が次第に増大する。
【0080】
そして、コントローラー50は、第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bから出力された貫通孔67の検出信号に基づき、これらの読取センサー37a,37bによって検出される貫通孔67の移動量を監視しつつ搬送モーター61の駆動量を制御する。そして、図8に示すように、コントローラー50は、支持台19を挟んでシート13の搬送方向の両側に設けられた読取センサー37a,37bの検出結果に基づき、シート13の延伸量が所定の長さd2に到達した旨を判別すると、搬送モーター61の駆動を停止させることにより、第1駆動ローラー22aによるシート13の延伸を停止させる。
【0081】
なお、所定の長さd2は、シート13の裏面に印刷された画像を熱定着させる際に、シート13が搬送方向に熱収縮すると予想される寸法と同程度に設定されている。すなわち、シート13は、裏面に対して印刷された画像を熱定着させる場合であっても、その画像の熱定着に起因した熱収縮が相殺されるように、第1駆動ローラー22aによって予め搬送方向に延伸される。そのため、シート13の裏面に対して画像を印刷した後の状態と、シート13の裏面に印刷された画像を熱定着させた後の状態との間では、搬送方向におけるシート13の延伸量がほぼ等しくなっており、シート13の搬送方向における孔形成領域S1の間隔もほぼ等しくなる。したがって、本実施形態のプリンター11によれば、シート13の搬送方向の最下流位置に設けられた加工機30を用い、上記のように孔形成領域S1の間隔(即ち、シート13の裏面に印刷された画像の間隔)が設定されたシート13から画像が正確に型抜きされるようになっている。
【0082】
ところで、本実施形態のプリンター11では、記録ヘッド35を主走査方向に走査しつつ、記録ヘッド35のノズルから所定の噴射タイミングでシート13に向けてインクを噴射することにより、シート13に対して画像を印刷するようになっている。
【0083】
ここで、図9(a)に示すように、主走査方向Xの一方側(図9(a)では右側)に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置と、主走査方向の他方側(図9(a)では左側)に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置とを一致させるように、記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングが設定されているとする。
【0084】
この場合、図9(b)に示すように、シート13の熱収縮に応じてシート13が搬送方向に延伸されたとすると、シート13の厚みが減少することに伴って、主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置と、主走査方向の他方側に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置とが一致しなくなる。
【0085】
しかしながら、本実施形態のプリンター11では、このような場合には、シート13の厚みの減少分に応じて主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングを遅延させる。その結果、主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置と、主走査方向の他方側に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置とが一致するようになり、シート13に対して高品位の画像を印刷することが可能となる。
【0086】
具体的には、図10に示すように、操作者は、シート13に対して付与される張力の大きさTと、張力付与に伴ったシート13の厚みの減少量Δxとの相関関係を示すグラフを予め実験等によって決定すると共に、決定したグラフのデータをROM55に記憶させる。そして、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動負荷の大きさを計測することにより、搬送モーター61の回転駆動を通じて第1駆動ローラー22aからシート13に作用している張力の大きさT1を推定する。
【0087】
そして次に、コントローラー50は、上記したグラフをROM55から読み出し、読み出したグラフに対して、シート13に作用している張力の大きさの推定値T1を算入することにより、張力付与に伴うシート13の厚みの減少量Δx1を推定する。そして、コントローラー50は、図9(c)に示すように、推定したシート13の厚みの減少量に基づいて、主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングの遅延量を調整する。その結果、コントローラー50は、張力付与に伴ってシート13の厚みが変化した場合であっても、主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35からのインクの着弾位置と、主走査方向の他方側に移動する記録ヘッド35からのインクの着弾位置とが一致するようになり、シート13に対して高品位の画像を印刷することが可能となる。
【0088】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)シート13に対して各基準位置マークに応じた位置に所定の処理が施されることによってシート13が搬送方向に収縮する場合であっても、第1駆動ローラー22aは、読取センサー37a,37bの検出結果に基づいて各基準位置マーク同士の離間距離が予め設定した設定距離となるようにシート13に対して張力を作用させる。そのため、シート13の表裏両面に対して正確な位置に所定の処理を施すことができる。
【0089】
(2)第1駆動ローラー22aは、シート13における張力付与に基づく搬送方向の伸長量が予め設定した閾値を上回らない範囲内でシート13に対して張力を付与する。そのため、シート13の搬送方向の伸長量が制限され、シート13に対して過大な張力が作用することが回避されるため、シート13が破断することを抑制できる。
【0090】
(3)コントローラー50は、シート13が破断したか否かを検出すると共に、シート13の破断を検出した場合にエラー報知を行う。そのため、操作者は、シート13が破断したことを迅速且つ確実に把握することができる。
【0091】
(4)シート13に対して画像を熱定着させる際のシート13の熱収縮量を相殺するようにシート13に対して張力が付与されるため、熱定着処理が施されたシート13からの画像の型抜き処理を更に正確に行うことができる。
【0092】
(5)シート13の表面に対して形成された画像を熱定着させる際にシート13が熱収縮した場合であっても、この熱収縮したシート13の裏面には、シート13が張力付与によって伸長した状態で画像形成処理が施される。そのため、熱収縮性を有するシート13に対して画像を熱定着させる場合であっても、シート13の表裏両面に対して正確に画像形成処理を施すことができる。
【0093】
(6)一般に、シート13に対して画像を熱定着させると、シート13は張力付与により厚みが変化する。すると、記録ヘッド35の往動時と復動時におけるインクの着弾位置のズレ量が変化する。この点、上記実施形態によれば、張力付与によるシート13の伸長量に応じて、記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングの調整量を変更することにより、記録ヘッド35の往動時と復動時におけるインクの着弾位置のずれ量を低減することができ、シート13の表裏両面に対する画像の形成位置を確実に位置合わせすることができる。
【0094】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、シート13の厚みの減少量に応じて、主走査方向の他方側に移動する記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングを早めるようにしてもよい。
【0095】
・上記実施形態において、シート13の裏面に印刷された画像をシート13に対して熱定着させる前段階で、シート13を予め延伸しない構成としてもよい。かかる構成においても、シート13の裏面に印刷された画像をシート13に対して熱定着させる段階におけるシート13の熱収縮量を見込んだ上で、加工機30によるシート13からの画像の型抜き位置を設定することにより、シート13から正確に画像を型抜きすることができる。
【0096】
・上記実施形態において、シート13の表面に印刷された画像をシート13に対して熱定着させる前段階で、シート13を予め延伸する構成としてもよい。かかる構成においては、シート13の表面に印刷された画像をシート13に対して熱定着させる段階におけるシート13の熱収縮量に相当する寸法をシート13の延伸量として設定することにより、シート13の裏面に対して画像を印刷する前段階でシート13を予め延伸することのない構成を採用することもできる。
【0097】
・上記実施形態において、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動負荷の大きさに基づき、シート13が破断した旨を検出した場合には、ホスト装置120のモニター123に対してエラー報知を行わせることなく、搬送モーター61の回転駆動を強制的に停止させるようにしてもよい。
【0098】
・上記実施形態において、シート13の裏面に対して画像の印刷処理を施す際において、支持台19を挟んでシート13の搬送方向の両側に設けられた貫通孔67aの離間距離が,シート13の表面に対して画像の印刷処理を施す際の上記の貫通孔67aの離間距離よりも小さくなるように設定してもよい。すなわち、シート13は、裏面に対して印刷された画像を熱定着させる場合に、必ずしも、その画像の熱定着に起因した熱収縮が相殺される程度までシート13を延伸する必要はない。
【0099】
・上記実施形態において、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動負荷を常に監視しつつ、第1駆動ローラー22aからシート13に対して作用する張力の大きさが所定の閾値を上回らない範囲内でシート13に対して張力を作用させるようにしてもよい。かかる構成においても、シート13の延伸量が過大となることを抑制できるため、シート13が搬送方向に破断することを回避できる。
【0100】
・上記実施形態において、表裏両面に基準位置マーク及び二次元コードが印刷されたシート13を印刷処理の対象としてもよい。また、シート13の表裏両面に対して基準位置マーク及び二次元コードを印刷するための機構をシート13の搬送経路上に設けてもよい。
【0101】
・上記実施形態において、基準位置マーク及び二次元コードを読み取るための読取手段として、基準位置マーク及び二次元コードを示す貫通孔67のコード配列をシート13の幅方向に並ぶコード列毎に一列ずつ読み取るようにしてもよい。この場合、読み取りが完了したコード列の列数をカウントすることにより基準位置マーク及び二次元コードの読取終了のタイミングを判別するのであれば、全てのコード列に少なくとも一つの貫通孔67を形成することが望ましい。また、基準位置マーク及び二次元コードを読み取る読取手段は光学式センサーに限定されるものではなく、接触式センサーなどの他の検出方式のセンサーを採用してもよい。
【0102】
・上記実施形態において、画像形成装置は、ラテラルスキャン方式のプリンター11に限定されず、シリアルプリンター、ラインプリンター、ページプリンターでもよい。さらにインクジェット式に限定されず、ドットインパクト式の印刷装置にも適用できる。
【0103】
・前記実施形態では、画像形成装置として、インクジェット式のプリンター11が採用されているが、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置を採用してもよい。また、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。この場合、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置が挙げられる。さらに、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。また、流体は、トナーなどの粉粒体でもよい。なお、本明細書でいう流体には、気体のみからなるものは含まないものとする。
【符号の説明】
【0104】
11…搬送装置の一例としてのプリンター、13…ターゲットの一例としてのシート、16…定着手段の一例としての乾燥装置、22a…張力付与手段の一例としての第1駆動ローラー、37a…位置センサーの一例としての第1読取センサー、37b…位置センサーの一例としての第2読取センサー、50…画像形成制御手段及び検出手段の一例としてのコントローラー、67a…第1基準位置マーク及び第2基準位置マークの一例としての貫通孔、123…報知手段の一例としてのモニター。
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状のターゲットを搬送する搬送装置、該搬送装置を備える画像形成装置、及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ターゲットに対して画像を形成する画像形成装置の一例として、ターゲットに対して基準位置マークを印刷すると共に、この基準位置マークの位置情報に基づいてターゲットに対する画像の印刷位置の位置合わせを行うようにしたプリンターが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載のプリンターは、ウェブ(ターゲット)の表面に対して画像と共にトナーマーク(基準位置マーク)を印刷する第1の印刷装置と、ウェブの裏面に対して画像を印刷する第2の印刷装置とを備えている。これらの印刷装置においては、印刷処理時には、光源から出力される光によって感光体ドラムに対して静電潜像が形成された後に、静電潜像に現像剤を供給することにより、感光体ドラム上にトナー像が形成される。そして、感光体ドラム上に形成されたトナー像をウェブに対して転写した後に、加熱されたローラー対によってウェブをニップすることで、ウェブに対してトナー像が定着されるようになっている。
【0004】
また、特許文献1に記載のプリンターにおいては、第2の印刷装置のマークセンサーがトナーマークを検出する検出タイミングに応じてウェブの搬送速度を制御することにより、第1の印刷装置においてウェブの表面に形成される画像の印刷位置と、第2の印刷装置においてウェブの裏面に形成される画像の印刷位置とを位置合わせするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−205759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のプリンターにおいては、ウェブの表面に形成されたトナー像をウェブに定着させる際にウェブに対して熱を加えるため、ウェブが熱収縮することがあり得る。この場合、上記のプリンターでは、ウェブの収縮に起因して、トナーマークの検出タイミングが変化して、第1の印刷装置においてウェブの表面に形成される画像の印刷位置と、第2の印刷装置においてウェブの裏面に形成される画像の印刷位置とが位置合わせできなくなる。そのため、第1の印刷装置においてウェブの表面に形成される画像の印刷位置と、第2の印刷装置においてウェブの裏面に形成される画像の印刷位置とが位置合わせされるように第2の印刷装置におけるウェブの搬送速度が変更されるまでの間は、ウェブの表裏両面に印刷される画像の印刷位置を位置合わせすることができなくなる虞があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ターゲットの表裏両面に対して正確な位置に所定の処理を施すことができる搬送装置、画像形成装置及び搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の搬送装置は、長尺状のターゲットに対して当該ターゲットの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた第1の基準位置マーク及び第2の基準位置マークの位置を検出する位置センサーと、前記位置センサーの検出結果に基づいて、前記ターゲットの搬送方向における前記第1の基準位置マークと前記第2の基準位置マークとの離間距離が予め設定した設定距離となるように、前記ターゲットに対して搬送方向に張力を付与する張力付与手段とを備えた。
【0009】
上記構成によれば、ターゲットが搬送方向に収縮している場合であっても、張力付与手段が位置センサーの検出結果に基づいて各基準位置マーク同士の離間距離が予め設定した設定距離となるようにターゲットに対して張力を作用させることにより、ターゲットにおける搬送方向の収縮状態を抑制することができる。そのため、ターゲットの表裏両面に対して正確な位置に所定の処理を施すことができる。
【0010】
また、本発明の搬送装置において、前記張力付与手段は、前記ターゲットにおける前記張力付与に基づく搬送方向の伸長量が予め設定した閾値を上回らない範囲内で前記ターゲットに対して張力を付与する。
【0011】
上記構成によれば、ターゲットの搬送方向の伸長量が閾値を上回らない範囲内に制限される。そのため、ターゲットに対して過大な張力が作用することが回避されるため、ターゲットが破断することを抑制できる。
【0012】
また、本発明の搬送装置は、前記ターゲットが破断したか否かを検出する検出手段と、前記検出手段が前記ターゲットの破断を検出した場合にエラー報知を行う報知手段とを更に備えた。
【0013】
上記構成によれば、ユーザーは、ターゲットが破断したことをエラー報知により迅速且つ確実に把握することができる。
また、上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、上記構成の搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されるターゲットに対して画像形成処理を施す画像形成制御手段と、前記画像形成制御手段によって前記ターゲットに対して形成された画像を熱定着させる定着手段とを備えた。
【0014】
上記構成によれば、上記搬送装置の発明と同様の効果が得られる。
また、本発明の画像形成装置において、前記張力付与手段は、前記画像形成制御手段による前記画像形成処理が施された前記ターゲットに対し、前記定着手段による前記ターゲットに対する画像の熱定着処理が施される前に、前記定着手段による前記熱定着処理に伴う前記ターゲットの熱収縮量の推定値に対応する距離分だけ前記ターゲットの搬送方向に更に張力を付与する。
【0015】
上記構成によれば、ターゲットに対して画像を熱定着させる際のターゲットの熱収縮量を相殺するようにターゲットに対して張力が付与されるため、熱定着処理が施されたターゲットからの画像の型抜き処理を更に正確に行うことができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置において、前記画像形成制御手段は、前記ターゲットの表面及び裏面に対して画像形成処理を順次実行可能に構成されており、前記張力付与手段は、前記ターゲットの表面及び裏面に対する画像形成処理のうち、少なくとも裏面に対する画像形成処理が行われる前に、前記ターゲットに対して更に張力を付与する。
【0017】
上記構成によれば、ターゲットの表面に対して形成された画像を熱定着させる際にターゲットが熱収縮した場合であっても、この熱収縮したターゲットの裏面には、ターゲットが張力付与によって伸長した状態で画像形成処理が施される。そのため、熱収縮性を有するターゲットに対して画像を熱定着させる場合であっても、ターゲットの表裏両面に対して正確に画像形成処理を施すことができる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置において、前記画像形成制御手段は、前記ターゲットの搬送方向と交差する方向に往復移動しつつ前記ターゲットに対して液体を噴射して画像を形成する液体噴射ヘッドの往動時の画像形成位置と復動時の画像形成位置とのズレ量に対応して液体の噴射タイミングを調整可能に構成されると共に、張力付与による前記ターゲットの伸長量に基づいて、液体の噴射タイミングの調整量を変更する。
【0019】
一般に、ターゲットに対して画像を熱定着させると、ターゲットは張力付与により厚みが変化する。すると、液体噴射ヘッドの往動時と復動時における液体の着弾位置のズレ量が変化する。この点、上記構成によれば、張力付与によるターゲットの伸長量に応じて、液体噴射ヘッドからの液体の噴射タイミングの調整量を変更することにより、液体噴射ヘッドの往動時と復動時における液体の着弾位置のずれ量を低減することができ、ターゲットの表裏両面に対する画像の形成位置を確実に位置合わせすることができる。
【0020】
また、上記目的を達成するために、本発明の搬送方法は、長尺状のターゲットに対して当該ターゲットの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた複数の基準位置マークのうち、前記ターゲットの搬送方向の下流側に位置する第1の基準位置マークの位置を検出する第1の検出ステップと、前記複数の基準位置マークのうち、前記第1の検出ステップにおいて検出された前記第1の基準位置マークよりも前記ターゲットの搬送方向の上流側に位置する第2の基準位置マークの位置を検出する第2の検出ステップと、前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップにおいて検出された前記ターゲットの搬送方向における前記第1の基準位置マークと前記第2の基準位置マークとの離間距離が予め設定した設定距離となるように、前記ターゲットに対して搬送方向に張力を付与する張力付与ステップとを備えた。
【0021】
上記構成によれば、上記搬送装置の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る実施形態の印刷システムを模式的に示す側面図。
【図2】プリンターの模式平面図。
【図3】印刷システムの制御構成を示すブロック図。
【図4】画像が形成されたシートの表面を示す平面図。
【図5】印刷位置に搬送されたシートの裏面を示す平面図。
【図6】図5に示す状態から延伸されたシートの裏面を示す平面図。
【図7】画像が形成されたシートの裏面を示す平面図。
【図8】図7に示す状態から延伸されたシートの裏面を示す平面図。
【図9】(a)は往動時と復動時における記録ヘッドからのシートに対するインクの着弾位置が一致した状態を示す模式図、(b)は図9(a)に示す状態からシートの厚みが変化した状態を示す模式図、(c)は図9(b)に示す状態において往動時と復動時における記録ヘッドからのシートに対するインクの着弾位置が一致するようにインクの噴射タイミングが調整された状態を示す模式図。
【図10】シートに作用する張力の大きさとシートの厚みの減少量の相関関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、印刷システム100は、画像データを生成する画像生成装置110と、画像生成装置110から受信した画像データを基に印刷データを生成するホスト装置120と、ホスト装置120から受信した印刷データに基づく画像を印刷する画像形成装置の一例としてのラテラルスキャン方式のインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター11」と称す)とを備えている。
【0024】
画像生成装置110は、例えばパーソナルコンピューターにより構成され、その本体111内のCPUが画像生成用プログラムを実行することで構築される画像生成部112を備える。ユーザーは、画像生成部112を起動して入力装置113の操作で、モニター114上で製品となる印刷物の画像を作成する。例えば製品がラベルの場合、複数個のラベルの画像を縦横に配列した複数のコマ画像が作成される。そして、入力装置113を用いて所定の操作をすると、その画像に係る画像データが通信インターフェイスを介してホスト装置120へ送信される。もちろん、ホスト装置120を操作して画像生成装置110から画像データをホスト装置120内に読み込むことも可能である。
【0025】
ホスト装置120は、例えばパーソナルコンピューターにより構成され、その本体121内のCPUがプリンタードライバー用プログラムを実行することで構築されるプリンタードライバー122を備える。プリンタードライバー122は、画像データを基に印刷データを生成し、その印刷データをプリンター11に設けられた制御装置Cへ送信する。制御装置Cは、プリンタードライバー122から受信した印刷データに基づいてプリンター11を制御し、印刷データに基づく画像をプリンター11に印刷させる。モニター123には、メニュー画面や印刷対象の画像等が表示される。メニュー画面での選択操作で表示されるその下位の印刷設定画面では、印刷対象の製品(例えばラベル等)に関する管理情報、及び各種の印刷条件などを入力設定することが可能である。
【0026】
ここで、管理情報には、製品の品番やロット番号、両面印刷の場合に表面印刷か裏面印刷かを指定するための印刷面情報などがある。また、印刷条件としては、印刷媒体の種類、サイズ、印刷品質及び版数などがある。印刷媒体の種類には、大きくは紙系とフィルム系がある。例えば紙系には、上質紙、キャスト紙、アート紙、コート紙などがあり、フィルム系には合成紙、PET、PPなどがある。また、印刷媒体のサイズには、長尺状の印刷媒体が巻回されたロールの使用を前提とする本プリンター11では、ロール幅などが設定される。印刷品質には、印刷解像度や記録方式を決める複数種の記録モードが用意されており、その中から一つ記録モードを選択する。もちろん、記録モードに替え、印刷解像度を設定してもよい。また、版数には、印刷媒体の同一エリアに複数回(複数版)印刷する重ね印刷を行う場合に重ね印刷する画像(版)の数が設定される。版数が複数である場合、モニター123に画像を表示させて版毎の画像を指定することが可能である。
【0027】
次に、図1に示すプリンター11の構成について説明する。なお、以下の明細書中の説明において、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、図1において手前側を前側、奥側を後側とする。
【0028】
図1に示すように、プリンター11の直方体状の本体ケース12内には、長尺状のターゲットの一例としてのシート13をロールR1から繰り出す繰出し部14と、そのシート13にインクの噴射により印刷を施す印刷室15と、その印刷によりインクが付着したシート13に乾燥処理を施す定着手段の一例としての乾燥装置(乾燥炉)16と、乾燥処理が施されたシート13をロールR2として巻き取る巻取り部17とが設けられている。
【0029】
本体ケース12内を上下に区画する平板状の基台18よりも上側の領域が印刷室15になっており、この印刷室15内の底部中央位置には、シート13の印刷領域を支持するための矩形板状の支持台19が基台18上に支持された状態で配置されている。そして、本体ケース12内の基台18より下側の領域には、シート13の搬送方向で上流側となる左側寄りの位置に繰出し部14が配設されると共に、下流側となる右側寄りの位置に巻取り部17が配設されている。そして、繰出し部14と巻取り部17の間のやや上方位置に乾燥装置16が配設されている。そして、支持台19上で印刷処理が施されたシート13は乾燥装置16内で乾燥されるようになっている。
【0030】
図1に示すように、繰出し部14には、前後方向に延びる巻き軸20が回転自在に設けられ、シート13が予めロール状に巻かれたロールR1がその巻き軸20に対して一体回転可能に支持されている。そして、シート13は、巻き軸20が回転することによりロールR1から繰り出されるようになっている。ロールR1から繰り出されたシート13は、巻き軸20の右側に位置する第1ローラー21に巻き掛けられて上方へ案内される。
【0031】
図1及び図2に示すように、第1ローラー21によって搬送方向が鉛直上方向に変換されたシート13は、支持台19の左側であって第1ローラー21と上下方向で対応する位置に配置された第1搬送ローラー対22に挟持されて搬送力が付与される。第1搬送ローラー対22は、搬送モーター61(図3参照)に対して動力伝達可能に連結された張力付与手段の一例としての第1駆動ローラー22aと、該第1駆動ローラー22aに対してシート13を挟んで対向するように配置された第1従動ローラー22bとによって構成されている。第1従動ローラー22bは、シート13の幅方向に間隔を隔てて対をなすように設けられており、シート13において画像の印刷が施されない幅方向の端縁部を挟持するようになっている。そして、第1駆動ローラー22aに左側下方から巻き掛けられて搬送方向が水平右方向に変換されたシート13は、第1駆動ローラー22aの回転駆動に伴って、支持台19の上面に摺接するようになっている。
【0032】
また、図1に示すように、第1ローラー21と第1搬送ローラー対22との間におけるシートの経路の途中には、後述する基準位置マークや二次元コード(識別情報)をシート13に対して貫通形成する孔形成機構23が設けられている。孔形成機構23は、ドットインパクト方式のプリントヘッド(図示略)を有しており、このプリントヘッドに設けられた複数のドットワイヤをシート13に向けて飛び出させることにより、シート13に対して孔を貫通形成するようになっている。
【0033】
また、図1及び図2に示すように、支持台19の右側には、左側の第1搬送ローラー対22と支持台19を挟んで対向する位置に第2搬送ローラー対24が設けられている。第2搬送ローラー対24は、搬送モーター61(図3参照)に対して動力伝達可能に連結された第2駆動ローラー24aと、該第2駆動ローラー24aに対してシート13を挟んで対向するように配置された第2従動ローラー24bとによって構成されている。第2従動ローラー24bは、シート13の幅方向に間隔を隔てて対をなすように設けられており、シート13において画像の印刷が施されない幅方向の端縁部を挟持するようになっている。なお、第1駆動ローラー22a及び第2駆動ローラー24aは各々の周面の頂部が支持台19の上面と同一高さとなるように位置調整されている。
【0034】
支持台19の上面から下流側(右側)に搬送されたシート13は、第2駆動ローラー24aに右側上方から巻き掛けられて搬送方向が鉛直下方向に変換される。そして、図1に示すように、シート13は、支持台19の下側に配置された第4ローラー25及び第5ローラー26間を水平方向に案内され、これらローラー25,26間の搬送経路の途中で乾燥装置16内を通過するようになっている。また、乾燥装置16内で乾燥処理が施されたシート13は、第5ローラー26、第6ローラー27及び第7ローラー28に案内されて巻取り部17の近くまで搬送され、搬送モーター61(図3参照)の駆動力に基づいて巻取り軸29が回転することによりロールR2として巻き取られる。
【0035】
例えば両面印刷が行われる場合は、まずシート13の表面となる一方の面に対して表面印刷が行われる。そして、一方の面に対して表面印刷が施されたシート13が、その一方の面を内側にしつつ、全てロールR2として巻き取られると、巻取り部17のロールR2を取り外し、そのロールR2は裏面印刷時の供給用のロールR1として再び繰出し部14にセットされる。このとき、ロールR1からのシート13は、外側となっている他方の面が裏面となって表面印刷時の印刷面になるように図1に二点鎖線で示す繰り出し形態で第1ローラー21に巻き掛けられる。なお、乾燥装置16と巻取り部17との間におけるシート13の経路の途中には、シート13に印刷された製品部分(例えばラベル)を型抜きするための型抜き用の加工機30が設けられており、プリンター11内で製品部分の型抜き工程まで終えられるようになっている。
【0036】
図1及び図2に示すように、印刷室15内における支持台19の前後方向両側には、左右方向に延びるガイドレール31(図1では2点鎖線で示す)が一対設けられている。一対のガイドレール31には、記録ユニット32が主走査方向X(図1では左右方向)に往復移動可能に案内される。記録ユニット32は矩形状のキャリッジ33と、キャリッジ33の下面側に支持板34を介して支持された複数の記録ヘッド35とを備えている。キャリッジ33は、第1キャリッジモーター(以下、「第1CRモーター62」(図3参照)ともいう。)の駆動に基づき両ガイドレール31に沿って主走査方向Xへの往復移動が可能な状態で支持されている。また、キャリッジ33は第2キャリッジモーター(以下、「第2CRモーター63」(図3参照)ともいう。)の駆動に基づき副走査方向Y(図1では紙面と直交する前後方向)への移動も可能となっている。これにより、記録ユニット32は主走査方向Xと副走査方向Yとの2方向への移動が可能となっている。
【0037】
シート13において支持台19の上面のほぼ全域に亘る一定範囲が印刷領域R1となっており、この印刷領域R1に相当する搬送量単位でシート13は間欠的に搬送されるようになっている。また、支持台19の下側には吸引装置36が設けられている。吸引装置36は、支持台19の上面に開口する多数の吸引孔(図示せず)に負圧を及ぼすように駆動され、その負圧による吸引力によりシート13は支持台19の上面に吸着される。そして、シート13のうち支持台19上に位置する被印刷領域に、記録ユニット32の主走査方向Xへの移動(主走査)に伴いその移動途中に記録ヘッド35からインクが噴射される主走査により一部の印刷が施され、主走査後に次回の主走査位置まで記録ユニット32を副走査方向Yへ移動させる副走査が行われる。そして、主走査をM回繰り返すことで、1回(1フレーム)の印刷が施される。そして、シート13への1回の印刷が終わると、吸引装置36の負圧が解除されることでシート13の支持台19上への吸着が解除され、その解除後にシート13は間欠搬送が再開されるようになっている。
【0038】
なお、第1搬送ローラー対22と支持台19との間におけるシート13の経路の途中には、シート13に形成された基準位置マークや二次元コードを光学的に読み取る位置センサーの一例としての第1読取センサー37aが設けられている。また、支持台19と第2搬送ローラー対24との間におけるシート13の経路の途中には、シート13に形成された基準位置マークや二次元コードを光学的に読み取る位置センサーの一例としての第2読取センサー37bが設けられている。各読取センサー37a,37bは、シート13の上面に向けて鉛直下方に光を出力する発光部38a,38bと、該発光部38a,38bから出力される光のうち、シート13上の基準位置マークや二次元コードを通過してシート13の下面から鉛直下方に射出される光を受光する受光部39a,39bとをそれぞれ備えている。発光部38a,38b及び受光部39a,39bは、シート13において基準位置マークや二次元コードが形成されたシート13の幅方向(前後方向)の端縁部を上下方向に挟んで対向するように配設されている。そして、読取センサー37a,37bは、受光部39a,39bにおいて検出される光の検出信号に基づいて、シート13に形成された基準位置マークの位置や二次元コードのコード配列を読み取るようになっている。
【0039】
また、印刷室15内の右端側となる非印刷領域には、非印刷時に記録ヘッド35のメンテナンスを行うためのメンテナンス装置40が設けられている。メンテナンス装置40は、キャップ41と昇降装置42とを備える。非印刷時にホーム位置で待機する記録ユニット32の記録ヘッド35は、昇降装置42の駆動により上昇したキャップ41でキャッピングされ、ノズル内のインクの増粘等が回避されるようになっている。また、所定のメンテナンス時期になると、キャッピング状態の下でメンテナンス装置40の吸引ポンプ(図示せず)が駆動されてキャップ41内を負圧にすることによりノズルからインクを強制的に排出して、ノズル内の増粘インクやインク中の気泡等を除去するクリーニングが行われる。
【0040】
また、図1に示すように、本体ケース12内には、異なる色のインクをそれぞれ収容した複数(例えば8個)のインクカートリッジIC1〜IC8が着脱可能に装着されている。8個のインクカートリッジIC1〜IC8は、例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、白(W)、クリア(オーバーコート用の透明色)等の各インクを収容する。各インクカートリッジIC1〜IC8はインク供給路等(図示省略)を通じて記録ヘッド35に接続されている。各記録ヘッド35は各インクカートリッジIC1〜IC8から供給されたインクを噴射してシート13に印刷を施す。
【0041】
次に印刷システム100の電気的構成を図3に基づいて説明する。図3に示すホスト装置120内のプリンタードライバー122は、報知手段の一例としてのモニター123に表示させるべきメニュー画面及び印刷設定画面などの各種画面の表示制御を行うと共に、各画面の表示状態において操作部124から入力した操作信号に応じた所定処理を行う。
【0042】
ホスト装置120はデータの転送制御を行う転送制御部129を備える。転送制御部129は、プリンタードライバー122が生成した印刷データPDを、シリアル通信ポートU1を介して所定容量のパケットデータずつプリンター11へ順次シリアル転送する。また、プリンタードライバー122は、プリンター11の制御装置Cと双方向の通信が可能になっており、転送制御部129を介してプリンター11へコマンドや制御信号を送信し、その応答をプリンター11から受信する。
【0043】
図3に示すプリンター11側の制御装置Cは、ホスト装置120からの印刷データPDをシリアル通信ポートU2で受信して印刷制御をはじめとする各種制御を行うための画像形成制御手段の一例としてのコントローラー50を備えている。図3に示すように、コントローラー50には、ヘッド制御ユニット51(以下、単に「HCU51」という)を介して記録ヘッド35が接続されている。
【0044】
図3に示すように、コントローラー50には、キャリッジ33(つまり記録ユニット32)の移動経路に沿って設けられているリニアエンコーダー52が接続されている。コントローラー50は、リニアエンコーダー52からキャリッジ33の移動距離に比例する数のパルスをもつ検出信号(エンコーダーパルス信号)を入力する。コントローラー50は、エンコーダーパルス信号のパルスエッジ数の計数によりキャリッジ33の主走査方向Xにおける位置(キャリッジ位置)を取得すると共に、A相・B相の各エンコーダーパルス信号の信号レベルの比較結果に基づきキャリッジ移動方向を取得する。また、コントローラー50は、リニアエンコーダー52からのエンコーダーパルス信号を基に、記録ヘッド35の噴射タイミングを決める噴射タイミング信号を生成する。コントローラー50は、印刷データPD中の画像データから記録ヘッド35が使用可能なヘッド制御データを生成し、そのうちキャリッジ33の1回の主走査分(1パス分)のデータずつHCU51を介して各記録ヘッド35に送信する。記録ヘッド35はヘッド制御データに基づき噴射すべきノズルから噴射タイミング信号に同期して、主走査における記録ヘッド35の噴射制御を行う。
【0045】
図3に示すように、コントローラー50は、CPU(中央処理装置)53、ASIC(Application Specific IC(特定用途向け集積回路))54、ROM55、RAM56及び不揮発性メモリー57を備えている。CPU53は、ROM55に記憶されたプログラムを実行することにより、印刷制御に必要な各種タスクを実行する。また、ASIC54は、印刷データPDの画像処理を含む記録系のデータ処理などを行う。もちろん、各タスクを含むプログラムは不揮発性メモリー57に記憶されてもよい。
【0046】
また、図3に示すように、制御装置Cは、コントローラー50の出力側(制御下流側)に通信線SL1を通じて接続されたメカコントローラー58を備えている。コントローラー50は、印刷データPDに含まれる印刷コマンドを所定のタイミングで送信することにより、メカコントローラー58にメカニカル機構59の駆動を指示する。メカコントローラー58は、コントローラー50から受信した印刷コマンドに基づき所定のシーケンスに従って、主に搬送系及びキャリッジ駆動系を含むメカニカル機構59を駆動制御する。
【0047】
コントローラー50は、メカコントローラー58へコマンドを送信し、そのコマンドに従ったメカニカル機構59のシーケンス動作を終えた旨の応答をメカコントローラー58から受信すると、次のコマンドを送信する手順をとることにより、メカコントローラー58によるメカニカル機構59の駆動タイミングを制御する。
【0048】
図3に示すように、メカニカル機構59は、搬送系を構成する搬送モーター61と、キャリッジ駆動系を構成する第1CRモーター62及び第2CRモーター63とを備えている。メカコントローラー58には、モーター駆動回路60を介して搬送モーター61、第1CRモーター62及び第2CRモーター63がそれぞれ接続されている。搬送モーター61は各ローラー21,22a,22b,24a,24b,25〜28と軸20,29等により構成される搬送機構を駆動するためのものである。
【0049】
また、第1CRモーター62は、キャリッジ33を主走査方向Xに駆動させるための動力源であり、第2CRモーター63はキャリッジ33を副走査方向Yに駆動させるための動力源である。ラテラルスキャン方式では、キャリッジ33を主走査方向Xに駆動させてその駆動途中に記録ヘッド35からインクを噴射することにより1パス分の印刷を施す主走査と、キャリッジ33を副走査方向Yに所定ピッチだけ駆動させて次パスの印刷位置まで記録ヘッド35をずらす副走査とを繰り返す。そして、所定回数の主走査(パス)を行って複数パスの印刷を施すことにより印刷処理が施される。
【0050】
さらに、図3に示すように、メカニカル機構59は、乾燥装置16と、吸引装置36と、メンテナンス装置40とを備え、これらはメカコントローラー58と電気的に接続されている。また、このメカコントローラー58には、入力系として、第1読取センサー37a、第2読取センサー37b、電源スイッチ65、及びエンコーダー66がそれぞれ接続されている。電源スイッチ65がオン操作されたときのオン信号及びオフ操作されたときのオフ信号はメカコントローラー58を介してコントローラー50へ送信される。
【0051】
また、メカコントローラー58は、コントローラー50から通信線SL1を通じて受信した各種コマンドに従って、各モーター61〜63、吸引装置36及びメンテナンス装置40を駆動制御する。エンコーダー66は、搬送モーター61を動力源とする搬送駆動系の回転軸の回転を検出するものであり、メカコントローラー58は、エンコーダー66の検出信号(エンコーダーパルス信号)を用いてシート13の搬送量及び搬送位置を検出する。
【0052】
制御装置Cは、印刷時に、搬送モーター61を駆動してシート13の次の被印刷領域(フレーム)を支持台19上に配置すべくシート13を搬送する搬送動作と、シート搬送後に次の被印刷領域を支持台19に吸着させる吸着動作と、記録ヘッド35によるシート13への印刷動作と、1回分(1フレーム分)の印刷終了後にシート13の吸着を解除する吸着解除動作とを行う。このとき、印刷動作は、記録ユニット32の主走査方向Xへの移動中に記録ヘッド35からインク滴を噴射することにより行われる。この印刷動作は、第1CRモーター62の駆動によるキャリッジ33の主走査方向Xへの移動(1パス動作)と、1パス終了毎に行われるキャリッジ33の副走査方向Yへの移動とを、Nパス分(4パス分又は8パス分)繰り返すことにより行われる。
【0053】
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、シート13の表面及び裏面に対して画像の印刷処理を順次実行する際の作用に着目して以下説明する。
さて、シート13の表面に対して画像の印刷処理を実行する際、まず、コントローラー50は、搬送モーター61を駆動して、支持台19上ではシート13の表面が上方に向く状態でシート13を搬送する。ここで、図4に示すように、シート13における幅方向の一方側の端縁部となる位置には、孔形成領域S1がシート13の搬送方向に間隔を隔てて設けられている。そして、これらの孔形成領域S1には、複数の貫通孔67がシート13を厚み方向に貫通するように形成されている。
【0054】
そして、シート13が搬送方向の下流側に向けて搬送されると、これらの貫通孔67が第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bにおいて発光部38a,38bと受光部39a,39bとが上下に対向している空間域をシート13の搬送方向に横切る。そのため、各読取センサー37a,37bは、発光部38a,38bから射出された光のうち、これらの貫通孔67を通過して受光部39a,39bにおいて検出される光の検出信号に基づいて、シート13上におけるこれらの貫通孔67の搬送位置を読み取る。なお、各読取センサー37a,37bによる貫通孔67の検出領域は、シート13の搬送方向に長く延びる矩形状をなしており、シート13の搬送方向における検出領域の寸法は、同方向における孔形成領域S1の寸法よりも大きく設定されている。
【0055】
そして、シート13に設けられた孔形成領域S1が、支持台19を挟んでシート13の搬送方向の両側に設けられた双方の読取センサー37a,37bにおける貫通孔67の検出領域に対して配置されると、双方の読取センサー37a,37bは、各受光部39a,39bにおける光の検出信号に基づき、これらの孔形成領域S1がシート13の搬送方向において離間した距離L1を計測する。
【0056】
具体的には、第1の検出ステップ及び第2の検出ステップとして、コントローラー50は、各々の読取センサー37a,37bの検出領域に配置された孔形成領域S1において図4に示す左上隅部(シート13の搬送方向の上流側であってシート13の幅方向の縁側に位置する隅部)の区画領域S1aに形成された貫通孔67aの搬送位置を読み取った読取センサー37a,37bからの出力信号に基づいて、これらの貫通孔67aがシート13の搬送方向において離間した距離L1を計測する。
【0057】
そして、コントローラー50は、上記の貫通孔67aの離間距離の計測を終了すると、シート13の搬送を停止させる。そして、コントローラー50は、第1読取センサー37aがシート13の搬送過程において既に読み取りを完了している二次元コード、即ち、支持台19上の孔形成領域S1において、上記の区画領域S1a以外の他の区画領域S1bに形成された貫通孔67bのコード配列を二次元コードとして第1読取センサー37aが読み取った検出信号に基づき、シート13に対して形成される画像の関連情報を読み取る。この関連情報には、シート13に対して形成される画像の印刷ジョブID情報、該印刷ジョブID情報に含まれる印刷対象の全てのコマ画像のうち特定の基準位置マークによって印刷位置が位置合わせされるコマ画像の印刷頁数、及び特定の基準位置マークによって印刷位置が位置合わせされるコマ画像の画像数などが含まれている。
【0058】
なお、本実施形態では、図4において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1に形成された二次元コードには、画像の関連情報として同一の印刷ジョブID情報が含まれている。また、これらの二次元コードに含まれる画像の関連情報においては、各二次元コードに隣接して設けられた基準位置マークによって印刷位置が位置合わせされるコマ画像群の画像数がそれぞれ10個となっている。そして、シート13の印刷領域R1において各基準位置マークに個別に対応するコマ画像形成領域68には、縦横に2列×5列の格子状をなすように配列されたコマ画像69がそれぞれ印刷される。なお、本実施形態では、シート13の印刷領域R1に対して3つのコマ画像形成領域68が含まれている。
【0059】
また、コントローラー50は、二次元コードに含まれる画像の関連情報のうち、基準位置マークとなる貫通孔67aの位置を基準として印刷位置が位置合わせされるコマ画像の画像数に応じてコマ画像形成領域68における各コマ画像69の印刷位置を算出する。そして、コントローラー50は、算出した各コマ画像69の印刷位置に基づき、ノズルから噴射させるべきインクの噴射タイミングのタイミング信号を生成すると共に、生成されたタイミング信号に同期して主走査における記録ヘッド35の噴射制御を行うことにより、シート13のコマ画像形成領域68における所望の位置に対して各コマ画像69が正確に印刷されるようになっている。
【0060】
また、本実施形態では、コントローラー50は、シート13のコマ画像形成領域68に対してコマ画像69を印刷する際には、ホスト装置120に対して印刷ジョブとして入力される印刷データにおける画像データのうちシート13に対して印刷される画像データの印刷頁数と、シート13に形成された二次元コードを通じて読み取ったコマ画像形成領域68の頁数とを照合し、シート13に対して適切な画像が正確な位置に印刷されるようになっている。
【0061】
具体的には、図4において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、シート13の搬送方向の上流側(図4では左側)に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コードには、この二次元コードに対応するシート13の表面に対する3頁目のコマ画像形成領域68におけるコマ画像群の画像内容として「建物」の画像内容が設定されている。また、図4において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、シート13の搬送方向の下流側(図4では右側)に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コードには、この二次元コードに対応するシート13の表面に対する1頁目のコマ画像形成領域68におけるコマ画像群の画像内容として「リンゴ」の画像内容が設定されている。さらに、図4において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、上記の2つの孔形成領域S1によって挟まれるシート13の搬送方向の中央に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コードには、この二次元コードに対応したシート13の表面に対する2頁目のコマ画像形成領域68におけるコマ画像群の画像内容として「星」の画像内容が設定されている。
【0062】
そして、シート13の表面に対する画像の印刷処理が完了すると、次に、シート13の裏面に対する画像の印刷処理が開始される。ここで、図5に示すように、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と、シート13の裏面に対して画像を印刷する場合とでは、シート13の搬送方向における貫通孔67の位置関係が鏡像関係となるように反転する。そのため、第1の検出ステップ及び第2の検出ステップとして、コントローラー50は、シート13の孔形成領域S1において図5に示す右上隅部(シート13の搬送方向の下流側であってシート13の幅方向の縁側に位置する隅部)の区画領域S1aに形成された貫通孔67aの搬送位置を読み取った第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bからの出力信号に基づいて、これらの貫通孔67aがシート13の搬送方向において離間した距離L2を計測する。
【0063】
ここで、本実施形態のプリンター11においては、乾燥装置16がシート13の表面に印刷された画像をシート13に対して定着させる際にシート13に対して熱が加わるため、シート13が熱収縮してしまう。そのため、熱定着処理が施されたシート13の裏面に対して画像を印刷する際には、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と比較して、上記の貫通孔67aは、シート13の搬送方向における離間距離が減少する。
【0064】
そこで、本実施形態のプリンター11では、シート13の裏面に対して画像の印刷処理を施す際、張力付与ステップとして、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動制御を通じて、支持台19よりもシート13の搬送方向の下流側に位置する駆動ローラー24aの回転駆動を停止させると共に、支持台19よりもシート13の搬送方向の上流側に位置する第1駆動ローラー22aを逆転駆動させる。すると、シート13における支持台19上に位置する部分には、第1駆動ローラー22aからシート13の搬送方向の上流側に向かう搬送力が付与され、シート13には搬送方向の上流側に向けて延伸するように張力が作用する。そして、上記の貫通孔67aは、シート13の搬送方向における離間距離が次第に増大する。
【0065】
そして、コントローラー50は、第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bから出力された貫通孔67の検出信号に基づき、これらの読取センサー37a,37bによって検出される貫通孔67の移動量を監視しつつ搬送モーター61の駆動量を制御する。そして、本実施形態では、図6に示すように、コントローラー50は、支持台19を挟んでシート13の搬送方向の両側に設けられた貫通孔67aの離間距離が上記の距離L1(=L2+d1)に到達した旨を判別すると、搬送モーター61の駆動を停止させることにより、第1駆動ローラー22aによるシート13の延伸を停止させる。すなわち、コントローラー50は、シート13における張力付与に基づく搬送方向の延伸量が予め設定した閾値を上回らない範囲内でシート13に対して張力を付与する。この際、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と、シート13の裏面に対して画像を印刷する場合との間で、シート13の搬送方向の寸法の大きさが略同一となる。すなわち、シート13は、その表面に印刷された画像の熱定着に起因した熱収縮が相殺されるように、第1駆動ローラー22aによって搬送方向に延伸される。
【0066】
なお、コントローラー50は、第1駆動ローラー22aがシート13を延伸している間は、継続して搬送モーター61の駆動負荷を監視している。そして、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動負荷が急激に低下した場合には、搬送モーター61の駆動対象である第1駆動ローラー22aが空回りしている旨を判別し、第1駆動ローラー22aの搬送対象であるシート13が破断したことを検出する。この点で、本実施形態では、コントローラー50は、シート13が破断したか否かを検出する検出手段の一例を構成している。また同時に、コントローラー50は、転送制御部129を介してホスト装置120へコマンドや制御信号を送信し、モニター123に対してエラー報知の表示を行わせるようになっている。
【0067】
そして、コントローラー50は、第1読取センサー37aがシート13の搬送過程において既に読み取りを完了している二次元コード、即ち、図6において支持台19上の孔形成領域S1において上記の区画領域S1a以外の他の区画領域S1bに形成された貫通孔67bのコード配列を二次元コードとして第1読取センサー37aが読み取った検出信号に基づき、シート13に対して形成される画像の関連情報を読み取る。
【0068】
ここで、上記のように、これらの貫通孔67のコード配列はシート13の搬送方向における位置関係が鏡像関係となるように反転している。そこで、コントローラー50は、第1読取センサー37aにおいて検出された貫通孔67のコード配列を左右に反転させる画像処理を施す。そして、かかる貫通孔67を通じてシート13の表裏両側から同一のコード配列を二次元コードとして読み取り、シート13に対して形成される画像の関連情報を読み取る。
【0069】
なお、本実施形態では、図6において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1に形成された二次元コードには、画像の関連情報として同一の印刷ジョブID情報が含まれている。また、これらの二次元コードに含まれる画像の関連情報においては、各二次元コードに隣接して設けられた基準位置マークによって印刷位置が位置合わせされるコマ画像群の画像数がそれぞれ10個となっている。
【0070】
そして、図7に示すように、シート13の印刷領域R1において各基準位置マークに個別に対応するコマ画像形成領域70には、縦横に2列×5列の格子状をなすように配列されたコマ画像71がそれぞれ印刷される。なお、本実施形態では、シート13の印刷領域R1に対して3つのコマ画像形成領域70が含まれている。
【0071】
また、コントローラー50は、二次元コードに含まれる画像の関連情報のうち、基準位置マークとなる貫通孔67aの位置を基準として印刷位置が位置合わせされるコマ画像の画像数に応じてコマ画像形成領域70における各コマ画像の印刷位置を算出する。そして、コントローラー50は、算出した各コマ画像71の印刷位置に基づき、ノズルから噴射させるべきインクの噴射タイミングのタイミング信号を生成すると共に、生成されたタイミング信号に同期して主走査における記録ヘッド35の噴射制御を行うことにより、シート13のコマ画像形成領域70における所望の位置に対して各コマ画像71が正確に印刷されるようになっている。
【0072】
なお、シート13には、基準位置マークとして機能する貫通孔67がシート13の厚み方向に貫通形成されており、第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bは、シート13の表裏両側からこの貫通孔67の位置を検出する。そのため、共通の基準位置マークや二次元コードを用いてシート13の表裏両面に対して画像の印刷処理が施されるため、シート13の表裏両面には、正確に位置合わせされた画像が印刷されるようになっている。
【0073】
また、上記のように、シート13の裏面に対して画像を印刷する際には、シート13は、その表面に印刷された画像の熱定着に起因した熱収縮が相殺されるように、第1駆動ローラー22aによって搬送方向に延伸される。具体的には、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と、シート13の裏面に対して画像を印刷する場合とで、シート13の搬送方向における孔形成領域S1の間隔がほぼ等しくなるようにシート13が延伸される。
【0074】
そのため、画像の熱定着に際したシート13の熱収縮量の大きさに依存することなく、シート13の表面に対して画像を印刷する場合と、シート13の裏面に対して画像を印刷する場合との間で、支持台19を挟んで配置された貫通孔67aの離間距離が常にほぼ等しくなる。したがって、シート13の裏面に対して所望の位置に各コマ画像71が確実に印刷されるようになっている。
【0075】
また、本実施形態では、コントローラー50は、シート13の裏面に対してコマ画像71を印刷する際には、ホスト装置120から印刷ジョブとして入力される印刷データにおける画像データのうちシート13に対して印刷される画像データの印刷頁数と、シート13に形成された二次元コードを通じて読み取ったコマ画像形成領域70の頁数とを照合しており、シート13に対して適切な画像が正確な位置に印刷されるようになっている。
【0076】
具体的には、図7において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、シート13の搬送方向の上流側(図7では左側)に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コード(即ち、図4に示すシート13の搬送方向の上流側に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コード)には、この二次元コードに対応するシート13の裏面に対する1頁目のコマ画像形成領域70におけるコマ画像群の画像内容として、『建物』という文字列と共にこの文字列と共にこのコマ画像群において上記の基準位置マークを基準とした各コマ画像71の縦横の配列位置を示す『M−N』(M:縦方向の列番号、N:横方向の列番号)という文字列が設定されている。
【0077】
また、図7において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、シート13の搬送方向の下流側(図7では右側)に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コード(即ち、図4に示すシート13の搬送方向の上流側に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コード)には、この二次元コードに対応するシート13の表面に対する3頁目のコマ画像形成領域70におけるコマ画像群の画像内容として、『リンゴ』という文字列と共にこの文字列と共にこのコマ画像群において上記の基準位置マークを基準とした各コマ画像71の縦横の配列位置を示す『M−N』(M:縦方向の列番号、N:横方向の列番号)という文字列が設定されている。
【0078】
さらに、図7において支持台19上に位置する3つの孔形成領域S1のうち、上記の2つの孔形成領域S1によって挟まれるシート13の搬送方向の中央に位置する孔形成領域S1に形成された二次元コードには、この二次元コードに対応したシート13の表面に対する2頁目のコマ画像形成領域70におけるコマ画像群の画像内容として、『星』という文字列と共にこの文字列と共にこのコマ画像群において上記の基準位置マークを基準とした各コマ画像71の縦横の配列位置を示す『M−N』(M:縦方向の列番号、N:横方向の列番号)という文字列が設定されている。
【0079】
さらに、シート13の裏面において1頁目から3頁目までのコマ画像形成領域70を含む印刷領域R1に対して画像の印刷処理が施されると、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動制御を通じて、支持台19よりもシート13の搬送方向の上流側に位置する第1駆動ローラー22aを逆転駆動させる。すると、シート13における支持台19上に位置する部分には、第1駆動ローラー22aからシート13の搬送方向の上流側に向かう搬送力が付与され、シート13には搬送方向の上流側に向けて延伸するように張力が作用する。そして、上記の貫通孔67aは、シート13の搬送方向における離間距離が次第に増大する。
【0080】
そして、コントローラー50は、第1読取センサー37a及び第2読取センサー37bから出力された貫通孔67の検出信号に基づき、これらの読取センサー37a,37bによって検出される貫通孔67の移動量を監視しつつ搬送モーター61の駆動量を制御する。そして、図8に示すように、コントローラー50は、支持台19を挟んでシート13の搬送方向の両側に設けられた読取センサー37a,37bの検出結果に基づき、シート13の延伸量が所定の長さd2に到達した旨を判別すると、搬送モーター61の駆動を停止させることにより、第1駆動ローラー22aによるシート13の延伸を停止させる。
【0081】
なお、所定の長さd2は、シート13の裏面に印刷された画像を熱定着させる際に、シート13が搬送方向に熱収縮すると予想される寸法と同程度に設定されている。すなわち、シート13は、裏面に対して印刷された画像を熱定着させる場合であっても、その画像の熱定着に起因した熱収縮が相殺されるように、第1駆動ローラー22aによって予め搬送方向に延伸される。そのため、シート13の裏面に対して画像を印刷した後の状態と、シート13の裏面に印刷された画像を熱定着させた後の状態との間では、搬送方向におけるシート13の延伸量がほぼ等しくなっており、シート13の搬送方向における孔形成領域S1の間隔もほぼ等しくなる。したがって、本実施形態のプリンター11によれば、シート13の搬送方向の最下流位置に設けられた加工機30を用い、上記のように孔形成領域S1の間隔(即ち、シート13の裏面に印刷された画像の間隔)が設定されたシート13から画像が正確に型抜きされるようになっている。
【0082】
ところで、本実施形態のプリンター11では、記録ヘッド35を主走査方向に走査しつつ、記録ヘッド35のノズルから所定の噴射タイミングでシート13に向けてインクを噴射することにより、シート13に対して画像を印刷するようになっている。
【0083】
ここで、図9(a)に示すように、主走査方向Xの一方側(図9(a)では右側)に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置と、主走査方向の他方側(図9(a)では左側)に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置とを一致させるように、記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングが設定されているとする。
【0084】
この場合、図9(b)に示すように、シート13の熱収縮に応じてシート13が搬送方向に延伸されたとすると、シート13の厚みが減少することに伴って、主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置と、主走査方向の他方側に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置とが一致しなくなる。
【0085】
しかしながら、本実施形態のプリンター11では、このような場合には、シート13の厚みの減少分に応じて主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングを遅延させる。その結果、主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置と、主走査方向の他方側に移動する記録ヘッド35から噴射されるインクの着弾位置とが一致するようになり、シート13に対して高品位の画像を印刷することが可能となる。
【0086】
具体的には、図10に示すように、操作者は、シート13に対して付与される張力の大きさTと、張力付与に伴ったシート13の厚みの減少量Δxとの相関関係を示すグラフを予め実験等によって決定すると共に、決定したグラフのデータをROM55に記憶させる。そして、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動負荷の大きさを計測することにより、搬送モーター61の回転駆動を通じて第1駆動ローラー22aからシート13に作用している張力の大きさT1を推定する。
【0087】
そして次に、コントローラー50は、上記したグラフをROM55から読み出し、読み出したグラフに対して、シート13に作用している張力の大きさの推定値T1を算入することにより、張力付与に伴うシート13の厚みの減少量Δx1を推定する。そして、コントローラー50は、図9(c)に示すように、推定したシート13の厚みの減少量に基づいて、主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングの遅延量を調整する。その結果、コントローラー50は、張力付与に伴ってシート13の厚みが変化した場合であっても、主走査方向の一方側に移動する記録ヘッド35からのインクの着弾位置と、主走査方向の他方側に移動する記録ヘッド35からのインクの着弾位置とが一致するようになり、シート13に対して高品位の画像を印刷することが可能となる。
【0088】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)シート13に対して各基準位置マークに応じた位置に所定の処理が施されることによってシート13が搬送方向に収縮する場合であっても、第1駆動ローラー22aは、読取センサー37a,37bの検出結果に基づいて各基準位置マーク同士の離間距離が予め設定した設定距離となるようにシート13に対して張力を作用させる。そのため、シート13の表裏両面に対して正確な位置に所定の処理を施すことができる。
【0089】
(2)第1駆動ローラー22aは、シート13における張力付与に基づく搬送方向の伸長量が予め設定した閾値を上回らない範囲内でシート13に対して張力を付与する。そのため、シート13の搬送方向の伸長量が制限され、シート13に対して過大な張力が作用することが回避されるため、シート13が破断することを抑制できる。
【0090】
(3)コントローラー50は、シート13が破断したか否かを検出すると共に、シート13の破断を検出した場合にエラー報知を行う。そのため、操作者は、シート13が破断したことを迅速且つ確実に把握することができる。
【0091】
(4)シート13に対して画像を熱定着させる際のシート13の熱収縮量を相殺するようにシート13に対して張力が付与されるため、熱定着処理が施されたシート13からの画像の型抜き処理を更に正確に行うことができる。
【0092】
(5)シート13の表面に対して形成された画像を熱定着させる際にシート13が熱収縮した場合であっても、この熱収縮したシート13の裏面には、シート13が張力付与によって伸長した状態で画像形成処理が施される。そのため、熱収縮性を有するシート13に対して画像を熱定着させる場合であっても、シート13の表裏両面に対して正確に画像形成処理を施すことができる。
【0093】
(6)一般に、シート13に対して画像を熱定着させると、シート13は張力付与により厚みが変化する。すると、記録ヘッド35の往動時と復動時におけるインクの着弾位置のズレ量が変化する。この点、上記実施形態によれば、張力付与によるシート13の伸長量に応じて、記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングの調整量を変更することにより、記録ヘッド35の往動時と復動時におけるインクの着弾位置のずれ量を低減することができ、シート13の表裏両面に対する画像の形成位置を確実に位置合わせすることができる。
【0094】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、シート13の厚みの減少量に応じて、主走査方向の他方側に移動する記録ヘッド35からのインクの噴射タイミングを早めるようにしてもよい。
【0095】
・上記実施形態において、シート13の裏面に印刷された画像をシート13に対して熱定着させる前段階で、シート13を予め延伸しない構成としてもよい。かかる構成においても、シート13の裏面に印刷された画像をシート13に対して熱定着させる段階におけるシート13の熱収縮量を見込んだ上で、加工機30によるシート13からの画像の型抜き位置を設定することにより、シート13から正確に画像を型抜きすることができる。
【0096】
・上記実施形態において、シート13の表面に印刷された画像をシート13に対して熱定着させる前段階で、シート13を予め延伸する構成としてもよい。かかる構成においては、シート13の表面に印刷された画像をシート13に対して熱定着させる段階におけるシート13の熱収縮量に相当する寸法をシート13の延伸量として設定することにより、シート13の裏面に対して画像を印刷する前段階でシート13を予め延伸することのない構成を採用することもできる。
【0097】
・上記実施形態において、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動負荷の大きさに基づき、シート13が破断した旨を検出した場合には、ホスト装置120のモニター123に対してエラー報知を行わせることなく、搬送モーター61の回転駆動を強制的に停止させるようにしてもよい。
【0098】
・上記実施形態において、シート13の裏面に対して画像の印刷処理を施す際において、支持台19を挟んでシート13の搬送方向の両側に設けられた貫通孔67aの離間距離が,シート13の表面に対して画像の印刷処理を施す際の上記の貫通孔67aの離間距離よりも小さくなるように設定してもよい。すなわち、シート13は、裏面に対して印刷された画像を熱定着させる場合に、必ずしも、その画像の熱定着に起因した熱収縮が相殺される程度までシート13を延伸する必要はない。
【0099】
・上記実施形態において、コントローラー50は、搬送モーター61の駆動負荷を常に監視しつつ、第1駆動ローラー22aからシート13に対して作用する張力の大きさが所定の閾値を上回らない範囲内でシート13に対して張力を作用させるようにしてもよい。かかる構成においても、シート13の延伸量が過大となることを抑制できるため、シート13が搬送方向に破断することを回避できる。
【0100】
・上記実施形態において、表裏両面に基準位置マーク及び二次元コードが印刷されたシート13を印刷処理の対象としてもよい。また、シート13の表裏両面に対して基準位置マーク及び二次元コードを印刷するための機構をシート13の搬送経路上に設けてもよい。
【0101】
・上記実施形態において、基準位置マーク及び二次元コードを読み取るための読取手段として、基準位置マーク及び二次元コードを示す貫通孔67のコード配列をシート13の幅方向に並ぶコード列毎に一列ずつ読み取るようにしてもよい。この場合、読み取りが完了したコード列の列数をカウントすることにより基準位置マーク及び二次元コードの読取終了のタイミングを判別するのであれば、全てのコード列に少なくとも一つの貫通孔67を形成することが望ましい。また、基準位置マーク及び二次元コードを読み取る読取手段は光学式センサーに限定されるものではなく、接触式センサーなどの他の検出方式のセンサーを採用してもよい。
【0102】
・上記実施形態において、画像形成装置は、ラテラルスキャン方式のプリンター11に限定されず、シリアルプリンター、ラインプリンター、ページプリンターでもよい。さらにインクジェット式に限定されず、ドットインパクト式の印刷装置にも適用できる。
【0103】
・前記実施形態では、画像形成装置として、インクジェット式のプリンター11が採用されているが、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置を採用してもよい。また、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。この場合、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置が挙げられる。さらに、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。また、流体は、トナーなどの粉粒体でもよい。なお、本明細書でいう流体には、気体のみからなるものは含まないものとする。
【符号の説明】
【0104】
11…搬送装置の一例としてのプリンター、13…ターゲットの一例としてのシート、16…定着手段の一例としての乾燥装置、22a…張力付与手段の一例としての第1駆動ローラー、37a…位置センサーの一例としての第1読取センサー、37b…位置センサーの一例としての第2読取センサー、50…画像形成制御手段及び検出手段の一例としてのコントローラー、67a…第1基準位置マーク及び第2基準位置マークの一例としての貫通孔、123…報知手段の一例としてのモニター。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のターゲットに対して当該ターゲットの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた第1の基準位置マーク及び第2の基準位置マークの位置を検出する位置センサーと、
前記位置センサーの検出結果に基づいて、前記ターゲットの搬送方向における前記第1の基準位置マークと前記第2の基準位置マークとの離間距離が予め設定した設定距離となるように、前記ターゲットに対して搬送方向に張力を付与する張力付与手段と
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記張力付与手段は、前記ターゲットにおける前記張力付与に基づく搬送方向の伸長量が予め設定した閾値を上回らない範囲内で前記ターゲットに対して張力を付与することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の搬送装置において、
前記ターゲットが破断したか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段が前記ターゲットの破断を検出した場合にエラー報知を行う報知手段と
を更に備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されるターゲットに対して画像形成処理を施す画像形成制御手段と、
前記画像形成制御手段によって前記ターゲットに対して形成された画像を熱定着させる定着手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記張力付与手段は、前記画像形成制御手段による前記画像形成処理が施された前記ターゲットに対し、前記定着手段による前記ターゲットに対する画像の熱定着処理が施される前に、前記定着手段による前記熱定着処理に伴う前記ターゲットの熱収縮量の推定値に対応する距離分だけ前記ターゲットの搬送方向に更に張力を付与することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置において、
前記画像形成制御手段は、前記ターゲットの表面及び裏面に対して画像形成処理を順次実行可能に構成されており、
前記張力付与手段は、前記ターゲットの表面及び裏面に対する画像形成処理のうち、少なくとも裏面に対する画像形成処理が行われる前に、前記ターゲットに対して更に張力を付与することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のうち何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成制御手段は、前記ターゲットの搬送方向と交差する方向に往復移動しつつ前記ターゲットに対して液体を噴射して画像を形成する液体噴射ヘッドの往動時の画像形成位置と復動時の画像形成位置とのズレ量に対応して液体の噴射タイミングを調整可能に構成されると共に、張力付与による前記ターゲットの伸長量に基づいて、液体の噴射タイミングの調整量を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
長尺状のターゲットに対して当該ターゲットの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた複数の基準位置マークのうち、前記ターゲットの搬送方向の下流側に位置する第1の基準位置マークの位置を検出する第1の検出ステップと、
前記複数の基準位置マークのうち、前記第1の検出ステップにおいて検出された前記第1の基準位置マークよりも前記ターゲットの搬送方向の上流側に位置する第2の基準位置マークの位置を検出する第2の検出ステップと、
前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップにおいて検出された前記ターゲットの搬送方向における前記第1の基準位置マークと前記第2の基準位置マークとの離間距離が予め設定した設定距離となるように、前記ターゲットに対して搬送方向に張力を付与する張力付与ステップと
を備えたことを特徴とする搬送方法。
【請求項1】
長尺状のターゲットに対して当該ターゲットの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた第1の基準位置マーク及び第2の基準位置マークの位置を検出する位置センサーと、
前記位置センサーの検出結果に基づいて、前記ターゲットの搬送方向における前記第1の基準位置マークと前記第2の基準位置マークとの離間距離が予め設定した設定距離となるように、前記ターゲットに対して搬送方向に張力を付与する張力付与手段と
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記張力付与手段は、前記ターゲットにおける前記張力付与に基づく搬送方向の伸長量が予め設定した閾値を上回らない範囲内で前記ターゲットに対して張力を付与することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の搬送装置において、
前記ターゲットが破断したか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段が前記ターゲットの破断を検出した場合にエラー報知を行う報知手段と
を更に備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されるターゲットに対して画像形成処理を施す画像形成制御手段と、
前記画像形成制御手段によって前記ターゲットに対して形成された画像を熱定着させる定着手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記張力付与手段は、前記画像形成制御手段による前記画像形成処理が施された前記ターゲットに対し、前記定着手段による前記ターゲットに対する画像の熱定着処理が施される前に、前記定着手段による前記熱定着処理に伴う前記ターゲットの熱収縮量の推定値に対応する距離分だけ前記ターゲットの搬送方向に更に張力を付与することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置において、
前記画像形成制御手段は、前記ターゲットの表面及び裏面に対して画像形成処理を順次実行可能に構成されており、
前記張力付与手段は、前記ターゲットの表面及び裏面に対する画像形成処理のうち、少なくとも裏面に対する画像形成処理が行われる前に、前記ターゲットに対して更に張力を付与することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のうち何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成制御手段は、前記ターゲットの搬送方向と交差する方向に往復移動しつつ前記ターゲットに対して液体を噴射して画像を形成する液体噴射ヘッドの往動時の画像形成位置と復動時の画像形成位置とのズレ量に対応して液体の噴射タイミングを調整可能に構成されると共に、張力付与による前記ターゲットの伸長量に基づいて、液体の噴射タイミングの調整量を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
長尺状のターゲットに対して当該ターゲットの長さ方向に沿った搬送方向に間隔を隔てて設けられた複数の基準位置マークのうち、前記ターゲットの搬送方向の下流側に位置する第1の基準位置マークの位置を検出する第1の検出ステップと、
前記複数の基準位置マークのうち、前記第1の検出ステップにおいて検出された前記第1の基準位置マークよりも前記ターゲットの搬送方向の上流側に位置する第2の基準位置マークの位置を検出する第2の検出ステップと、
前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップにおいて検出された前記ターゲットの搬送方向における前記第1の基準位置マークと前記第2の基準位置マークとの離間距離が予め設定した設定距離となるように、前記ターゲットに対して搬送方向に張力を付与する張力付与ステップと
を備えたことを特徴とする搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−155170(P2012−155170A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14858(P2011−14858)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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