搬送装置及び表面洗浄装置
【課題】 板状の対象物の搬送方向とは直交する方向における対象物の両端部を載せる２つの端部搬送部の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送装置６０は、プリント基板９０の矢印６０ａで示す搬送方向とは直交する方向である矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の端部９０ｃを載せるベルト６１を支持した支持部６２と、矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の端部９０ｄを載せるベルト７１を支持し支持部６２に対して矢印６０ｂで示す幅方向に移動可能な移動支持部７２と、移動支持部７２に取り付けられたワイヤ８０と、ワイヤ８０を駆動することによって支持部６２に対して移動支持部７２を矢印６０ｂで示す幅方向に移動させるワイヤ駆動部８１とを備えることを特徴とする。
【解決手段】 搬送装置６０は、プリント基板９０の矢印６０ａで示す搬送方向とは直交する方向である矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の端部９０ｃを載せるベルト６１を支持した支持部６２と、矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の端部９０ｄを載せるベルト７１を支持し支持部６２に対して矢印６０ｂで示す幅方向に移動可能な移動支持部７２と、移動支持部７２に取り付けられたワイヤ８０と、ワイヤ８０を駆動することによって支持部６２に対して移動支持部７２を矢印６０ｂで示す幅方向に移動させるワイヤ駆動部８１とを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電子部品を組み込むプリント基板、液晶パネル等の樹脂薄板製品及びそれらの原材料となるフィルム材料製品などの板状の対象物を搬送する搬送装置と、板状の対象物の表面を洗浄する表面洗浄装置とに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、板状の対象物の表面に付着しているゴミを吸着する粘着ラバーロールと、粘着ラバーロールに付着したゴミを転写する粘着テープロールと、対象物を粘着ラバーロールに対して移動させる搬送機構を有し、搬送機構が、対象物の搬送方向とは直交する方向（以下「幅方向」という。）における対象物の一方の端部を載せるベルトと、幅方向における対象物の他方の端部を載せるベルトとを有する表面洗浄装置が知られている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
従来の搬送機構においては、幅方向に延在して設置されたボールネジと、ボールネジに螺合させられたボールネジナットとを有し、２つのベルトの１つがボールネジナットに対して固定されているものがある。この搬送機構は、ボールネジが回転させられることによってボールネジナットとともに２つのベルトの１つが幅方向に移動して２つのベルトの間隔が変更されるので、幅方向における対象物の幅に合わせて２つのベルトの間隔を調整することができる。
【特許文献１】特開２００４−３２９７１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来の搬送機構においては、塵埃の浮遊する環境において使用される場合に、ボールネジのネジ溝に塵埃が付着して幅方向へのボールネジナットの移動が妨げられ、結果として幅方向における２つのベルトの間隔の調整が妨げられるという問題がある。
【０００５】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、板状の対象物の搬送方向とは直交する方向における対象物の両端部を載せる２つの端部搬送部の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の搬送装置は、板状の対象物の搬送方向とは直交する方向である幅方向における前記対象物の一方の端部を載せる端部搬送部を支持した支持部と、前記幅方向における前記対象物の他方の端部を載せる端部搬送部を支持し前記支持部に対して前記幅方向に移動可能な移動支持部と、前記移動支持部に取り付けられたワイヤと、前記ワイヤを駆動することによって前記支持部に対して前記移動支持部を前記幅方向に移動させるワイヤ駆動部とを備えることを特徴とする。
【０００７】
この構成により、本発明の搬送装置は、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整に従来のようにボールネジ及びボールネジナットを使用していないので、塵埃の浮遊する環境において使用されたとしても、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整が塵埃の付着によって妨げられることがない。したがって、本発明の搬送装置は、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる。
【０００８】
また、本発明の搬送装置は、前記移動支持部に対して前記幅方向の両側に設けられてそれぞれ前記ワイヤが巻き付けられた２つの巻付部を有し、前記ワイヤは、前記２つの巻付部の間に架けられて前記２つの巻付部でそれぞれ折り返されて前記移動支持部に取り付けられていることが好ましい。
【０００９】
この構成により、本発明の搬送装置は、幅方向における２つの端部搬送部の間隔を１本のワイヤで調整することができる。
【００１０】
また、本発明の表面洗浄装置は、搬送装置と、前記対象物の表面に付着しているゴミを洗浄する洗浄装置とを備えることを特徴とする。
【００１１】
この構成により、本発明の表面洗浄装置は、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整に搬送装置がワイヤを使用しているので、対象物の表面に付着しているゴミが搬送装置に付着したとしても、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整がゴミの付着によって妨げられることがない。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、板状の対象物の搬送方向とは直交する方向における対象物の両端部を載せる２つの端部搬送部の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【００１４】
まず、本実施の形態に係る表面洗浄装置の構成について説明する。
【００１５】
図１に示すように、本実施の形態に係る表面洗浄装置１０は、地面に設置されるベース１１と、ベース１１上に立てられた側板１２、１３と、板状の対象物としてのプリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１（図２及び図３参照。）を洗浄する洗浄装置２０と、洗浄装置２０を駆動する駆動装置５０と、プリント基板９０を搬送する搬送装置６０とを有している。
【００１６】
なお、搬送装置６０は、プリント基板９０の表面９０ａに対向する表面９０ｂへの接触を避けるために、プリント基板９０の側板１２側の端部９０ｃと、プリント基板９０の側板１３側の端部９０ｄとにのみ接触するようになっている。
【００１７】
洗浄装置２０は、プリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１を吸着する粘着ラバーロール２１と、粘着ラバーロール２１を回転可能に支持するとともに側板１２、１３に上下方向に移動可能に支持されたロールスライダ２２、２３と、プリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１を吸着する粘着ラバーロール２６（図２及び図３参照。）と、粘着ラバーロール２６を回転可能に支持するとともに側板１２、１３に上下方向に移動可能に支持された図示していないロールスライダと、粘着ラバーロール２１、２６に付着したゴミ９１を吸着して粘着ラバーロール２１、２６の表面を常に清潔な状態に保つ粘着テープロール３１と、粘着テープロール３１を回転可能に支持するとともに側板１２、１３に上下方向に移動可能に支持されたテープスライダ３２、３３と、側板１２、１３に固定されてテープスライダ３２、３３を下方向に加圧する圧縮空気用エアーシリンダ４１、４２とを有している。
【００１８】
駆動装置５０は、粘着ラバーロール２１、２６を回転させる駆動力を発生させるモータ５１と、モータ５１の出力軸に固定された歯車５２と、粘着ラバーロール２１に固定されて歯車５２に噛み合う歯車５３と、粘着ラバーロール２６に固定されて歯車５２に噛み合う図示していない歯車とを有している。
【００１９】
図４に示すように、搬送装置６０は、プリント基板９０の矢印６０ａで示す搬送方向とは直交する方向である矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の端部９０ｃを載せる端部搬送部としてのベルト６１と、ベルト６１を支持した支持部６２と、矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の端部９０ｄを載せる端部搬送部としてのベルト７１と、ベルト７１を支持し支持部６２に対して矢印６０ｂで示す幅方向に移動可能な移動支持部７２と、移動支持部７２に取り付けられたワイヤ８０と、ワイヤ８０を駆動することによって支持部６２に対して移動支持部７２を矢印６０ｂで示す幅方向に移動させるワイヤ駆動部８１とを備えている。
【００２０】
図２に示すように、支持部６２は、搬送側板６３と、搬送側板６３に回転可能に支持されてベルト６１が架けられた複数のプーリ６４と、搬送側板６３に固定されてベルト６１の垂れを防止する３つのベルト支えベース６５と、搬送側板６３に固定されて矢印６０ｂ（図１参照。）で示す幅方向におけるプリント基板９０の側面と接触することによってプリント基板９０を矢印６０ａで示す搬送方向にガイドする２つのガイド板６６と、搬送側板６３を側板１２に固定する複数の固定部材６７（図１参照。）とを有している。
【００２１】
図３に示すように、移動支持部７２は、搬送側板７３と、搬送側板７３に回転可能に支持されてベルト７１が架けられた複数のプーリ７４と、搬送側板７３に固定されてベルト７１の垂れを防止する３つのベルト支えベース７５と、搬送側板７３に固定されて矢印６０ｂ（図１参照。）で示す幅方向におけるプリント基板９０の側面と接触することによってプリント基板９０を矢印６０ａで示す搬送方向にガイドする２つのガイド板７６と、粘着ラバーロール２１、２６と同一方向に延在して側板１２（図１参照。）及び側板１３に固定された２つのスライドシャフト７７と、スライドシャフト７７に摺動可能に支持された２つのスライドユニット７８と、スライドユニット７８に支持されて搬送側板７３を支持する移動ベース板７９とを有している。
【００２２】
図４及び図５に示すように、ワイヤ駆動部８１は、側板１２の側板１３側とは反対側に設けられた突出部１２ａに回転可能に支持されてワイヤ８０が半周巻き付けられた巻付部としてのプーリ８２と、側板１３の側板１２側とは反対側に設けられた突出部１３ａに回転可能に支持されてワイヤ８０が１周以上巻き付けられた巻付部としてのプーリ８３と、プーリ８３を駆動するための回転力を発生させるモータ８４と、モータ８４によって発生させられた回転力をプーリ８３に伝達する継手８５とを有している。
【００２３】
ワイヤ８０は、プーリ８２から側板１２の穴１２ｂ、側板１３の穴１３ｂを介してプーリ８３まで架けられ、プーリ８２で折り返されて側板１２の穴１２ｂを介して移動支持部７２の移動ベース板７９に取り付けられ、プーリ８３で折り返されて移動支持部７２の移動ベース板７９に取り付けられている。
【００２４】
次に、表面洗浄装置１０の動作について説明する。
【００２５】
まず、プリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１を洗浄する場合の表面洗浄装置１０の動作について説明する。
【００２６】
図１に示すように、モータ５１の出力軸が図２における反時計回りに回転させられると、粘着ラバーロール２１は、歯車５２、歯車５３を介してモータ５１の駆動力が伝達されて図２における時計周りに回転する。同様に、粘着ラバーロール２６は、歯車５２、図示していない歯車を介してモータ５１の駆動力が伝達されて図２における時計周りに回転する。
【００２７】
また、図２に示すように、プーリ６４が図示していない駆動手段によって回転させられることによって、プーリ６４に架けられたベルト６１は、プーリ６４の回転に伴って矢印６１ａで示す方向に移動させられる。同様に、図３に示すように、プーリ７４が図示していない駆動手段によって回転させられることによって、プーリ７４に架けられたベルト７１は、プーリ７４の回転に伴って矢印７１ａで示す方向に移動させられる。
【００２８】
ベルト６１が図２に示す矢印６１ａで示す方向に移動させられ、ベルト７１が図３に示す矢印７１ａで示す方向に移動させられると、プリント基板９０は、端部９０ｃがベルト６１に載せられており、端部９０ｄがベルト７１に載せられているので、ベルト６１、７１の回転に伴って矢印６０ａで示す搬送方向に移動する。
【００２９】
プリント基板９０は、矢印６０ａで示す搬送方向に移動するとき、搬送方向からずれて移動すると、支持部６２のガイド板６６又は移動支持部７２のガイド板７６に接触して矢印６０ａで示す搬送方向に移動させられる。
【００３０】
そして、プリント基板９０は、図２における時計回りに回転する粘着ラバーロール２１、２６によって表面９０ａ上のゴミ９１が吸着される。
【００３１】
粘着テープロール３１は、粘着ラバーロール２１、２６に接触しているので、粘着ラバーロール２１、２６が図２における時計回りに回転すると、粘着ラバーロール２１、２６の回転に伴って図２における反時計回りに回転する。したがって、粘着テープロール３１は、粘着ラバーロール２１、２６に付着したゴミ９１を吸着して粘着ラバーロール２１、２６の表面を常に清潔な状態に保つ。
【００３２】
なお、ベルト６１は、プリント基板９０、粘着ラバーロール２１、２６及び粘着テープロール３１を介して圧縮空気用エアーシリンダ４１、４２によって図２における下方向に加圧されるが、支持部６２の３つのベルト支えベース６５によって支持されているので垂れない。同様に、ベルト７１は、プリント基板９０、粘着ラバーロール２１、２６及び粘着テープロール３１を介して圧縮空気用エアーシリンダ４１、４２によって図２における下方向に加圧されるが、移動支持部７２の３つのベルト支えベース７５によって支持されているので垂れない。
【００３３】
次に、矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の幅が変更された場合の表面洗浄装置１０の動作について説明する。
【００３４】
モータ８４の出力軸が図１における時計回りに回転させられると、プーリ８３は、継手８５を介してモータ８４の駆動力が伝達されて図１における時計周りに回転する。プーリ８３が図１における時計周りに回転すると、プーリ８２及びプーリ８３に架けられたワイヤ８０は、プーリ８３の回転に伴って矢印８０ａで示す方向に移動させられる。
【００３５】
ワイヤ８０が矢印８０ａで示す方向に移動させられると、ワイヤ８０が取り付けられた移動支持部７２の移動ベース板７９は、スライドシャフト７７に摺動可能に支持されたスライドユニット７８に支持されているので、図６及び図７に示すように、スライドシャフト７７に沿って矢印６０ｂで示す幅方向に移動する。移動ベース板７９が矢印６０ｂで示す幅方向に移動すると、移動ベース板７９に搬送側板７３を介して支持されたガイド板７６や、移動ベース板７９に搬送側板７３及びプーリ７４を介して支持されたベルト７１も、矢印６０ｂで示す幅方向に移動する。
【００３６】
したがって、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔や、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのガイド板６６、７６の間隔が変わる。
【００３７】
なお、モータ８４は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのガイド板６６、７６の間隔が矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の幅に合うように、回転が制御される。
【００３８】
以上に説明したように、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整に従来のようにボールネジ及びボールネジナットを使用していないので、塵埃の浮遊する環境において使用されたとしても、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整が塵埃の付着によって妨げられることがない。したがって、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる。
【００３９】
また、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整に搬送装置６０がワイヤ８０を使用しているので、プリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１が搬送装置６０に付着したとしても、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整がゴミ９１の付着によって妨げられることがない。
【００４０】
また、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整に搬送装置６０がワイヤ８０を使用しているので、従来のように矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整にボールネジ及びボールネジナットを使用している構成と比較して、搬送装置６０の高さを低くすることができる。したがって、表面洗浄装置１０は、側板１２、１３の高さを低くすることができ、側板１２、１３の製造コストを低減することができる。
【００４１】
また、表面洗浄装置１０は、ワイヤ８０がプーリ８２、８３の間に架けられてプーリ８２、８３でそれぞれ折り返されて移動支持部７２の移動ベース板７９に取り付けられているので、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔を１本のワイヤ８０で調整することができる。したがって、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における移動支持部７２の移動を１つのモータ８４によって実現することができる。
【００４２】
また、表面洗浄装置１０は、ワイヤ８０をモータ８４で駆動しているので、ワイヤ８０を手動で駆動する構成と比較して、矢印６０ｂで示す幅方向における移動支持部７２の移動の精度を向上させることができる。なお、表面洗浄装置１０は、ワイヤ８０をモータ８４ではなく手動で駆動する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【００４３】
【図１】本発明の一実施の形態に係る表面洗浄装置の正面図
【図２】図１のＩ−Ｉ矢視断面図
【図３】図１のＩＩ−ＩＩ矢視断面図
【図４】図１に示す表面洗浄装置の搬送装置の一部の上面図であって、図１に示す状態での図
【図５】図１に示す表面洗浄装置の側面図
【図６】図１に示す表面洗浄装置の正面図であって、図１に示す状態とは異なる状態での図
【図７】図１に示す表面洗浄装置の搬送装置の一部の上面図であって、図６に示す状態での図
【符号の説明】
【００４４】
１０ 表面洗浄装置
２０ 洗浄装置
６０ 搬送装置
６１ ベルト（端部搬送部）
６２ 支持部
７１ ベルト（端部搬送部）
７２ 移動支持部
８０ ワイヤ
８１ ワイヤ駆動部
８２、８３ プーリ（巻付部）
９０ プリント基板（板状の対象物）
９０ａ 表面
９０ｃ 端部（一方の端部）
９０ｄ 端部（他方の端部）
９１ ゴミ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電子部品を組み込むプリント基板、液晶パネル等の樹脂薄板製品及びそれらの原材料となるフィルム材料製品などの板状の対象物を搬送する搬送装置と、板状の対象物の表面を洗浄する表面洗浄装置とに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、板状の対象物の表面に付着しているゴミを吸着する粘着ラバーロールと、粘着ラバーロールに付着したゴミを転写する粘着テープロールと、対象物を粘着ラバーロールに対して移動させる搬送機構を有し、搬送機構が、対象物の搬送方向とは直交する方向（以下「幅方向」という。）における対象物の一方の端部を載せるベルトと、幅方向における対象物の他方の端部を載せるベルトとを有する表面洗浄装置が知られている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
従来の搬送機構においては、幅方向に延在して設置されたボールネジと、ボールネジに螺合させられたボールネジナットとを有し、２つのベルトの１つがボールネジナットに対して固定されているものがある。この搬送機構は、ボールネジが回転させられることによってボールネジナットとともに２つのベルトの１つが幅方向に移動して２つのベルトの間隔が変更されるので、幅方向における対象物の幅に合わせて２つのベルトの間隔を調整することができる。
【特許文献１】特開２００４−３２９７１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来の搬送機構においては、塵埃の浮遊する環境において使用される場合に、ボールネジのネジ溝に塵埃が付着して幅方向へのボールネジナットの移動が妨げられ、結果として幅方向における２つのベルトの間隔の調整が妨げられるという問題がある。
【０００５】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、板状の対象物の搬送方向とは直交する方向における対象物の両端部を載せる２つの端部搬送部の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の搬送装置は、板状の対象物の搬送方向とは直交する方向である幅方向における前記対象物の一方の端部を載せる端部搬送部を支持した支持部と、前記幅方向における前記対象物の他方の端部を載せる端部搬送部を支持し前記支持部に対して前記幅方向に移動可能な移動支持部と、前記移動支持部に取り付けられたワイヤと、前記ワイヤを駆動することによって前記支持部に対して前記移動支持部を前記幅方向に移動させるワイヤ駆動部とを備えることを特徴とする。
【０００７】
この構成により、本発明の搬送装置は、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整に従来のようにボールネジ及びボールネジナットを使用していないので、塵埃の浮遊する環境において使用されたとしても、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整が塵埃の付着によって妨げられることがない。したがって、本発明の搬送装置は、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる。
【０００８】
また、本発明の搬送装置は、前記移動支持部に対して前記幅方向の両側に設けられてそれぞれ前記ワイヤが巻き付けられた２つの巻付部を有し、前記ワイヤは、前記２つの巻付部の間に架けられて前記２つの巻付部でそれぞれ折り返されて前記移動支持部に取り付けられていることが好ましい。
【０００９】
この構成により、本発明の搬送装置は、幅方向における２つの端部搬送部の間隔を１本のワイヤで調整することができる。
【００１０】
また、本発明の表面洗浄装置は、搬送装置と、前記対象物の表面に付着しているゴミを洗浄する洗浄装置とを備えることを特徴とする。
【００１１】
この構成により、本発明の表面洗浄装置は、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整に搬送装置がワイヤを使用しているので、対象物の表面に付着しているゴミが搬送装置に付着したとしても、幅方向における２つの端部搬送部の間隔の調整がゴミの付着によって妨げられることがない。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、板状の対象物の搬送方向とは直交する方向における対象物の両端部を載せる２つの端部搬送部の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【００１４】
まず、本実施の形態に係る表面洗浄装置の構成について説明する。
【００１５】
図１に示すように、本実施の形態に係る表面洗浄装置１０は、地面に設置されるベース１１と、ベース１１上に立てられた側板１２、１３と、板状の対象物としてのプリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１（図２及び図３参照。）を洗浄する洗浄装置２０と、洗浄装置２０を駆動する駆動装置５０と、プリント基板９０を搬送する搬送装置６０とを有している。
【００１６】
なお、搬送装置６０は、プリント基板９０の表面９０ａに対向する表面９０ｂへの接触を避けるために、プリント基板９０の側板１２側の端部９０ｃと、プリント基板９０の側板１３側の端部９０ｄとにのみ接触するようになっている。
【００１７】
洗浄装置２０は、プリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１を吸着する粘着ラバーロール２１と、粘着ラバーロール２１を回転可能に支持するとともに側板１２、１３に上下方向に移動可能に支持されたロールスライダ２２、２３と、プリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１を吸着する粘着ラバーロール２６（図２及び図３参照。）と、粘着ラバーロール２６を回転可能に支持するとともに側板１２、１３に上下方向に移動可能に支持された図示していないロールスライダと、粘着ラバーロール２１、２６に付着したゴミ９１を吸着して粘着ラバーロール２１、２６の表面を常に清潔な状態に保つ粘着テープロール３１と、粘着テープロール３１を回転可能に支持するとともに側板１２、１３に上下方向に移動可能に支持されたテープスライダ３２、３３と、側板１２、１３に固定されてテープスライダ３２、３３を下方向に加圧する圧縮空気用エアーシリンダ４１、４２とを有している。
【００１８】
駆動装置５０は、粘着ラバーロール２１、２６を回転させる駆動力を発生させるモータ５１と、モータ５１の出力軸に固定された歯車５２と、粘着ラバーロール２１に固定されて歯車５２に噛み合う歯車５３と、粘着ラバーロール２６に固定されて歯車５２に噛み合う図示していない歯車とを有している。
【００１９】
図４に示すように、搬送装置６０は、プリント基板９０の矢印６０ａで示す搬送方向とは直交する方向である矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の端部９０ｃを載せる端部搬送部としてのベルト６１と、ベルト６１を支持した支持部６２と、矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の端部９０ｄを載せる端部搬送部としてのベルト７１と、ベルト７１を支持し支持部６２に対して矢印６０ｂで示す幅方向に移動可能な移動支持部７２と、移動支持部７２に取り付けられたワイヤ８０と、ワイヤ８０を駆動することによって支持部６２に対して移動支持部７２を矢印６０ｂで示す幅方向に移動させるワイヤ駆動部８１とを備えている。
【００２０】
図２に示すように、支持部６２は、搬送側板６３と、搬送側板６３に回転可能に支持されてベルト６１が架けられた複数のプーリ６４と、搬送側板６３に固定されてベルト６１の垂れを防止する３つのベルト支えベース６５と、搬送側板６３に固定されて矢印６０ｂ（図１参照。）で示す幅方向におけるプリント基板９０の側面と接触することによってプリント基板９０を矢印６０ａで示す搬送方向にガイドする２つのガイド板６６と、搬送側板６３を側板１２に固定する複数の固定部材６７（図１参照。）とを有している。
【００２１】
図３に示すように、移動支持部７２は、搬送側板７３と、搬送側板７３に回転可能に支持されてベルト７１が架けられた複数のプーリ７４と、搬送側板７３に固定されてベルト７１の垂れを防止する３つのベルト支えベース７５と、搬送側板７３に固定されて矢印６０ｂ（図１参照。）で示す幅方向におけるプリント基板９０の側面と接触することによってプリント基板９０を矢印６０ａで示す搬送方向にガイドする２つのガイド板７６と、粘着ラバーロール２１、２６と同一方向に延在して側板１２（図１参照。）及び側板１３に固定された２つのスライドシャフト７７と、スライドシャフト７７に摺動可能に支持された２つのスライドユニット７８と、スライドユニット７８に支持されて搬送側板７３を支持する移動ベース板７９とを有している。
【００２２】
図４及び図５に示すように、ワイヤ駆動部８１は、側板１２の側板１３側とは反対側に設けられた突出部１２ａに回転可能に支持されてワイヤ８０が半周巻き付けられた巻付部としてのプーリ８２と、側板１３の側板１２側とは反対側に設けられた突出部１３ａに回転可能に支持されてワイヤ８０が１周以上巻き付けられた巻付部としてのプーリ８３と、プーリ８３を駆動するための回転力を発生させるモータ８４と、モータ８４によって発生させられた回転力をプーリ８３に伝達する継手８５とを有している。
【００２３】
ワイヤ８０は、プーリ８２から側板１２の穴１２ｂ、側板１３の穴１３ｂを介してプーリ８３まで架けられ、プーリ８２で折り返されて側板１２の穴１２ｂを介して移動支持部７２の移動ベース板７９に取り付けられ、プーリ８３で折り返されて移動支持部７２の移動ベース板７９に取り付けられている。
【００２４】
次に、表面洗浄装置１０の動作について説明する。
【００２５】
まず、プリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１を洗浄する場合の表面洗浄装置１０の動作について説明する。
【００２６】
図１に示すように、モータ５１の出力軸が図２における反時計回りに回転させられると、粘着ラバーロール２１は、歯車５２、歯車５３を介してモータ５１の駆動力が伝達されて図２における時計周りに回転する。同様に、粘着ラバーロール２６は、歯車５２、図示していない歯車を介してモータ５１の駆動力が伝達されて図２における時計周りに回転する。
【００２７】
また、図２に示すように、プーリ６４が図示していない駆動手段によって回転させられることによって、プーリ６４に架けられたベルト６１は、プーリ６４の回転に伴って矢印６１ａで示す方向に移動させられる。同様に、図３に示すように、プーリ７４が図示していない駆動手段によって回転させられることによって、プーリ７４に架けられたベルト７１は、プーリ７４の回転に伴って矢印７１ａで示す方向に移動させられる。
【００２８】
ベルト６１が図２に示す矢印６１ａで示す方向に移動させられ、ベルト７１が図３に示す矢印７１ａで示す方向に移動させられると、プリント基板９０は、端部９０ｃがベルト６１に載せられており、端部９０ｄがベルト７１に載せられているので、ベルト６１、７１の回転に伴って矢印６０ａで示す搬送方向に移動する。
【００２９】
プリント基板９０は、矢印６０ａで示す搬送方向に移動するとき、搬送方向からずれて移動すると、支持部６２のガイド板６６又は移動支持部７２のガイド板７６に接触して矢印６０ａで示す搬送方向に移動させられる。
【００３０】
そして、プリント基板９０は、図２における時計回りに回転する粘着ラバーロール２１、２６によって表面９０ａ上のゴミ９１が吸着される。
【００３１】
粘着テープロール３１は、粘着ラバーロール２１、２６に接触しているので、粘着ラバーロール２１、２６が図２における時計回りに回転すると、粘着ラバーロール２１、２６の回転に伴って図２における反時計回りに回転する。したがって、粘着テープロール３１は、粘着ラバーロール２１、２６に付着したゴミ９１を吸着して粘着ラバーロール２１、２６の表面を常に清潔な状態に保つ。
【００３２】
なお、ベルト６１は、プリント基板９０、粘着ラバーロール２１、２６及び粘着テープロール３１を介して圧縮空気用エアーシリンダ４１、４２によって図２における下方向に加圧されるが、支持部６２の３つのベルト支えベース６５によって支持されているので垂れない。同様に、ベルト７１は、プリント基板９０、粘着ラバーロール２１、２６及び粘着テープロール３１を介して圧縮空気用エアーシリンダ４１、４２によって図２における下方向に加圧されるが、移動支持部７２の３つのベルト支えベース７５によって支持されているので垂れない。
【００３３】
次に、矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の幅が変更された場合の表面洗浄装置１０の動作について説明する。
【００３４】
モータ８４の出力軸が図１における時計回りに回転させられると、プーリ８３は、継手８５を介してモータ８４の駆動力が伝達されて図１における時計周りに回転する。プーリ８３が図１における時計周りに回転すると、プーリ８２及びプーリ８３に架けられたワイヤ８０は、プーリ８３の回転に伴って矢印８０ａで示す方向に移動させられる。
【００３５】
ワイヤ８０が矢印８０ａで示す方向に移動させられると、ワイヤ８０が取り付けられた移動支持部７２の移動ベース板７９は、スライドシャフト７７に摺動可能に支持されたスライドユニット７８に支持されているので、図６及び図７に示すように、スライドシャフト７７に沿って矢印６０ｂで示す幅方向に移動する。移動ベース板７９が矢印６０ｂで示す幅方向に移動すると、移動ベース板７９に搬送側板７３を介して支持されたガイド板７６や、移動ベース板７９に搬送側板７３及びプーリ７４を介して支持されたベルト７１も、矢印６０ｂで示す幅方向に移動する。
【００３６】
したがって、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔や、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのガイド板６６、７６の間隔が変わる。
【００３７】
なお、モータ８４は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのガイド板６６、７６の間隔が矢印６０ｂで示す幅方向におけるプリント基板９０の幅に合うように、回転が制御される。
【００３８】
以上に説明したように、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整に従来のようにボールネジ及びボールネジナットを使用していないので、塵埃の浮遊する環境において使用されたとしても、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整が塵埃の付着によって妨げられることがない。したがって、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整可能な期間を従来より延長することができる。
【００３９】
また、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整に搬送装置６０がワイヤ８０を使用しているので、プリント基板９０の表面９０ａに付着しているゴミ９１が搬送装置６０に付着したとしても、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整がゴミ９１の付着によって妨げられることがない。
【００４０】
また、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整に搬送装置６０がワイヤ８０を使用しているので、従来のように矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔の調整にボールネジ及びボールネジナットを使用している構成と比較して、搬送装置６０の高さを低くすることができる。したがって、表面洗浄装置１０は、側板１２、１３の高さを低くすることができ、側板１２、１３の製造コストを低減することができる。
【００４１】
また、表面洗浄装置１０は、ワイヤ８０がプーリ８２、８３の間に架けられてプーリ８２、８３でそれぞれ折り返されて移動支持部７２の移動ベース板７９に取り付けられているので、矢印６０ｂで示す幅方向における２つのベルト６１、７１の間隔を１本のワイヤ８０で調整することができる。したがって、表面洗浄装置１０は、矢印６０ｂで示す幅方向における移動支持部７２の移動を１つのモータ８４によって実現することができる。
【００４２】
また、表面洗浄装置１０は、ワイヤ８０をモータ８４で駆動しているので、ワイヤ８０を手動で駆動する構成と比較して、矢印６０ｂで示す幅方向における移動支持部７２の移動の精度を向上させることができる。なお、表面洗浄装置１０は、ワイヤ８０をモータ８４ではなく手動で駆動する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【００４３】
【図１】本発明の一実施の形態に係る表面洗浄装置の正面図
【図２】図１のＩ−Ｉ矢視断面図
【図３】図１のＩＩ−ＩＩ矢視断面図
【図４】図１に示す表面洗浄装置の搬送装置の一部の上面図であって、図１に示す状態での図
【図５】図１に示す表面洗浄装置の側面図
【図６】図１に示す表面洗浄装置の正面図であって、図１に示す状態とは異なる状態での図
【図７】図１に示す表面洗浄装置の搬送装置の一部の上面図であって、図６に示す状態での図
【符号の説明】
【００４４】
１０ 表面洗浄装置
２０ 洗浄装置
６０ 搬送装置
６１ ベルト（端部搬送部）
６２ 支持部
７１ ベルト（端部搬送部）
７２ 移動支持部
８０ ワイヤ
８１ ワイヤ駆動部
８２、８３ プーリ（巻付部）
９０ プリント基板（板状の対象物）
９０ａ 表面
９０ｃ 端部（一方の端部）
９０ｄ 端部（他方の端部）
９１ ゴミ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
板状の対象物の搬送方向とは直交する方向である幅方向における前記対象物の一方の端部を載せる端部搬送部を支持した支持部と、前記幅方向における前記対象物の他方の端部を載せる端部搬送部を支持し前記支持部に対して前記幅方向に移動可能な移動支持部と、前記移動支持部に取り付けられたワイヤと、前記ワイヤを駆動することによって前記支持部に対して前記移動支持部を前記幅方向に移動させるワイヤ駆動部とを備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項２】
前記移動支持部に対して前記幅方向の両側に設けられてそれぞれ前記ワイヤが巻き付けられた２つの巻付部を有し、
前記ワイヤは、前記２つの巻付部の間に架けられて前記２つの巻付部でそれぞれ折り返されて前記移動支持部に取り付けられていることを特徴とする請求項１に記載の搬送装置。
【請求項３】
請求項１又は請求項２に記載の搬送装置と、前記対象物の表面に付着しているゴミを洗浄する洗浄装置とを備えることを特徴とする表面洗浄装置。
【請求項１】
板状の対象物の搬送方向とは直交する方向である幅方向における前記対象物の一方の端部を載せる端部搬送部を支持した支持部と、前記幅方向における前記対象物の他方の端部を載せる端部搬送部を支持し前記支持部に対して前記幅方向に移動可能な移動支持部と、前記移動支持部に取り付けられたワイヤと、前記ワイヤを駆動することによって前記支持部に対して前記移動支持部を前記幅方向に移動させるワイヤ駆動部とを備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項２】
前記移動支持部に対して前記幅方向の両側に設けられてそれぞれ前記ワイヤが巻き付けられた２つの巻付部を有し、
前記ワイヤは、前記２つの巻付部の間に架けられて前記２つの巻付部でそれぞれ折り返されて前記移動支持部に取り付けられていることを特徴とする請求項１に記載の搬送装置。
【請求項３】
請求項１又は請求項２に記載の搬送装置と、前記対象物の表面に付着しているゴミを洗浄する洗浄装置とを備えることを特徴とする表面洗浄装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００８−８７９３６（Ｐ２００８−８７９３６Ａ）
【公開日】平成２０年４月１７日（２００８．４．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２７２３１２（Ｐ２００６−２７２３１２）
【出願日】平成１８年１０月３日（２００６．１０．３）
【出願人】（３９２００９３４２）株式会社レヨーン工業 (24)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年４月１７日（２００８．４．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１０月３日（２００６．１０．３）
【出願人】（３９２００９３４２）株式会社レヨーン工業 (24)
【Ｆターム（参考）】
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