説明

搬送装置

【課題】 搬送コイルのコストを低減することができるとともに、それを用いた現像装置等、プロセスカートリッジ、画像形成装置の全体のコストの低減も図ることができる搬送装置、及びそれ用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 支軸20の表面に凹溝をその長手方向に形成するとともに、該凹溝を挟む支軸の表面に係合突起21を設け、前記凹溝に係止突起31を有する固定部材30を摺動可能に嵌合固定し、この固定部材は前記両係合突起間に係合する前記搬送コイルに係止突起を係合側から押圧して摩擦係止することにより支軸と搬送コイルを固定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、螺旋状の搬送コイルを搭載した搬送装置、及びそれ用いた現像装置、転写装置、クリーニング装置、並びにプロセスカートリッジや画像形成装置に関し、特に螺旋状搬送コイルとそれを回転する支軸の固定構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としての複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等では、粉体であるトナーの搬送装置として、パイプ部材と、該パイプ部材内に螺旋状に配設された搬送コイルと、該搬送コイルの一端に固定されてパイプ部材外から搬送コイルを回転させる支軸とを具えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1ではパイプ部材は受け入れ口と反対側の端部近くに排出口を下向きに形成し、廃トナータンクの口部内に挿入するとともに、同端部に軸受を介して支軸を回転自在に取り付け、その端部開口を塞いでいる。支軸は内端側を半田付けや掛け止めなどにより搬送コイルと連結して一体に回転するようにし、外端側にギヤを固定している。そして、装置の駆動時に駆動原の回転をギヤに伝達して支軸を回転し、搬送コイルを回転することにより、クリーニング装置の回収トナー排出口から排出するトナーを受け入れ口で受けてパイプ部材内に入れ、搬送コイルの回転で搬送して排出口かに廃トナータンク内に入れるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−356658号公報
【0004】
ところで、特許文献1においては螺旋状の搬送コイルと支軸を半田付けや掛け止めなどにより固定しているが、半田付けなどの工程により、搬送コイルの部品コストが高くなってしまうという問題点があった。そこで、図10,11に示すように、支軸302にスリット303と突起304を設けるとともに、搬送コイル305に曲げ部306を設け、該曲げ部を支軸302のスリット303に挿入し、コイルを突起304を乗り越えて組立てることにより固定する手段が提案されている。これによれば、半田付けなどを行わないことにより、部品コストを低減することが可能である。
【0005】
しかしながら、前記提案の場合においても搬送コイルを作製する際に、螺旋形状を作成後、回転方向での固定を行うために、端部に曲げを入れており、コイル作製の工程が1段階増加してしまうため部品コストは高くなってしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、前記従来のものの問題点を解決し、搬送コイルのコストを低減することができるとともに、それを用いた現像装置等、プロセスカートリッジ、画像形成装置の全体のコストの低減も図ることができる搬送装置、及びそれ用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、パイプ部材と、該パイプ部材内に螺旋状に配設された搬送コイルと、該搬送コイルの一端に固定されてパイプ部材外から搬送コイルを回転させる支軸とを具えた搬送装置であって、前記支軸の表面に凹溝をその長手方向に形成するとともに、該凹溝を挟む支軸の表面に係合突起を設け、前記凹溝に係止突起を有する固定部材を摺動可能に嵌合固定し、この固定部材は前記両係合突起間に係合する前記搬送コイルに係止突起を係合側から押圧して摩擦係止することにより支軸と搬送コイルを固定することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、パイプ部材と、該パイプ部材内に螺旋状に配設された搬送コイルと、該搬送コイルの一端に固定されてパイプ部材外から搬送コイルを回転させる支軸とを具えた搬送装置であって、前記支軸に長手方向に弾性変位する部分を設け、この部分を挟む支軸の表面に係合突起を設けるとともに、該部分の表面に係止突起を設け、前記支軸に前記部分を弾性変位させる固定部材を設け、この固定部材は前記部分を弾性変位させ、前記両係合突起間に係合する前記搬送コイルに係止突起を係合する側から押圧して摩擦係止することにより支軸と搬送コイルを固定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の搬送装置を搭載した現像装置であることを特徴とする。請求項4に記載の発明は、請求項1又は2の搬送装置を搭載した転写装置であることを特徴とする。請求項5に記載の発明は、請求項1又は2の搬送装置を搭載したクリーニング装置であることを特徴とする。請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5の装置の内、少なくとも1つの装置と、像担持体との組み合わせからなり、画像形成装置に着脱自在に取り付けられるプロセスカートリッジであることを特徴とする。請求項7に記載の発明は、請求項1又は2の搬送装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、前記のようであって、請求項1に記載の発明によれば、支軸に設けた係合突起と、支軸とは別体構成の固定部材に設けた係止突起により摩擦係止することにより、螺旋状の搬送コイルと支軸とを簡単に固定することができ、従来課題であった搬送コイルのコスト低減化を図ることができる。また、請求項2に記載の発明によれば、支軸に設けた係合突起と、支軸と一体構成の弾性変位部分に設けた係止突起により摩擦係止することにより、前記と同様に螺旋状の搬送コイルと支軸とを簡単に固定することができ、搬送コイルのコスト低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1〜3は実施の形態1を示し、この実施の形態では支軸と別体の固定部材を用いて搬送コイルと支軸を固定するものである。すなわち、10は螺旋状の搬送コイル、20は支軸であり、該支軸の表面にはキー溝22がその長手方向に沿って形成されている。キー溝22を挟む支軸20の表面には係合突起21が複数個、搬送コイルと同じように螺旋状に所定間隔で設けられている。25はフランジ部で、支軸20と一体に形成されている。このフランジ部25の外周面には支軸20を回転するためのギヤを形成してもよい。また、30はキー溝22に摺動可能に嵌合固定される固定部材で、その表面には係止突起31が設けられている。
【0013】
前記の構成において搬送コイル10と支軸20を固定するには、図2に矢印で示すように固定部材30をキー溝22に摺動可能に嵌合する。その後、コイル10を支軸20上にフランジ部25のある位置まで回転挿入して、図1のように係合突起21と係止突起31に係合するようにする。しかる後、固定部材30をキー溝22に沿って図1の矢印方向に摺動させ、図3に示すように係合突起21と係合突起21に係合したコイル10に対して係止突起31を係合側から押圧して弾性変形させ、突起面との摩擦により係止する(鎖線→実線状態)。これによりコイル10は係合突起21と係合突起21、及び係止突起31によって3点で挟み込まれる状態となる。この状態で固定部材30をキー溝22に接着するか、あるいは別途図示しない止め輪等により止めると、コイル10と支軸20は固定される。
【0014】
この状態で図示しない駆動伝達部材であるギヤなどにより、支軸20に回転駆動が伝達されても、コイル10は支軸20から離脱することがない。
【0015】
(実施の形態2)
図4〜7は実施の形態2を示し、この実施の形態では前記実施の形態1での支軸と固定部材を一体として、搬送コイルと支軸を固定するものである。すなわち、40はポリアセタール、ポリカーボネートなどの樹脂、もしくは同等の弾性部材により形成された支軸であり、該支軸の外周面の一部は平坦面41に切欠形成されている。支軸40には長手方向に弾性変位する部分としての可動部43が繋ぎ部42で接続されて長溝45に摺動可能に嵌合した状態で設けられている。繋ぎ部42の、可動部43と反対側は長溝46に形成されている。支軸40にはフランジ部48が一体に形成され、このフランジ部には径方向溝49が長溝45と連通して切欠形成され、径方向溝49には可動部43の端部に設けられた接合片51が嵌入可能になっている。フランジ部48より長溝46側の支軸40の表面には係合突起53が複数個、コイル10と同じように螺旋状に所定間隔で設けられている。54は可動部43の表面に設けられた係止突起である。
【0016】
また、支軸40の基端部表面には図6,7に示すようなギヤ部材56が嵌合可能に設けられる。ギヤ部材56の内孔には係止突部57が内向きに設けられ、この係止突部が係止する係止凹部58が支軸40の周方向に切欠形成されている。そして、ギヤ部材56が支軸40に嵌合し、図7に示すように係止突部57が係止凹部58に係止すると、可動部43の接合片51がギヤ部材56に押されてフランジ部48より手前の位置からフランジ部48と面一の位置にもたらされるようになっている。そのため、図6に示すようにギヤ部材56の一端面から係止突部57までの距離(L)と支軸40のフランジ部48の一端面から係止凹部58までの距離(L)は等しくなるように設定されている。
【0017】
前記の構成において搬送コイル10と支軸40を固定するには、図4に示すようにコイル10を支軸40上にフランジ部48のある位置まで回転挿入して、係合突起53と係止突起54に係合するようにした後、ギヤ部材56を支軸40に嵌合して可動部43をフランジ部48側に弾性変位させると、可動部43上の係止突起54が係合突起53と係合突起53に係合したコイル10に対して係合側から押圧し、ギヤ部材56の係止突部57が係止凹部58に係止するようになると、図7のように可動部43の接合片51がフランジ部48と面一となり、コイル10は突起面との摩擦により係止する。これによりコイル10は係合突起53と係合突起53、及び係止突起54によって3点で挟み込まれる状態となる。これによりコイル10は支軸40に固定された状態となり、支軸40から離脱することがない。
【0018】
前記実施の形態1又は2で示した搬送装置は、従来の技術のところでも説明したように粉体であるトナーの搬送装置として、画像形成装置用の現像装置やクリーニング装置、転写装置などに搭載されて使用される。また、これら感光体など像担持体と前記各装置を少なくとも1つ搭載したプロセスカートリッジ化し、画像形成装置に着脱自在に取り付けたものや、このプロセスカートリッジ化した状態で、又はプロセスカートリッジ化しない状態で複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置に搭載して使用される。プロセスカートリッジ化したものと、画像形成装置に搭載した例を以下に説明する。
【0019】
図8は前記搬送装置を搭載したプロセスカートリッジを示す。プロセスカートリッジ100には像担持体であるドラム状の感光体101、帯電ローラ102、現像装置103、クリーニングブレード104が配置され、クリーニングブレード104の下方には前記搬送装置の搬送コイル10が配置されている。これにより搬送コイル10の部品コストの低減化を図るとともに、さらにプロセスカートリッジ100自体のコストを低減することができる。
【0020】
図9はさらに前記搬送装置を搭載した画像形成装置を示す。画像形成装置200はプロセスカートリッジ100、給紙装置201、定着装置202を配置するとともに、プロセスカートリッジ100より排出された廃トナーを廃トナー収容部203へと搬送する廃トナー搬送部204が配置されている。廃トナー搬送部204内の搬送コイル10は前記搬送装置で示す方法で支軸と固定されており、前記と同様に搬送コイル10の部品コストの低減化を図るとともに、さらに画像形成装置200自体のコストを低減することができる。尚、この例では図8で示したプロセスカートリッジ100を搭載しているので、搬送コイル10と支軸20又は40の固定構造をもった搬送装置が、2つ搭載されている。
【0021】
尚、前記実施の形態1,2において、図面で示した部材の形状や構造等は、あくまでも好ましい一例を示すものであり、その実施に際しては特許請求の範囲に記載した範囲内で、任意に設計変更・修正ができるものである。
【0022】
請求項3ないし5に記載の発明では、請求項1又は2の搬送装置を搭載した現像装置、転写装置、又はクリーニング装置を提供することができる。請求項6に記載の発明では、これら現像装置、転写装置、又はクリーニング装置の内、少なくとも1つの装置と、像担持体との組み合わせからなるプロセスカートリッジを提供することができる。請求項7に記載の発明では、請求項1又は2の搬送装置を搭載した画像形成装置を提供することができる。そして、いずれの装置においても各装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置のコストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施の形態1に係る搬送装置の要部を示す概略図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上の作用説明図である。
【図4】実施の形態2に係る搬送装置の要部を示す概略図である。
【図5】同上の要部斜視図である。
【図6】固定部材としてのギヤと支軸及び可動部の関係を示す図面である。
【図7】同上の作用説明図である。
【図8】搬送装置を搭載したプロセスカートリッジを示す概略図である。
【図9】搬送装置を搭載した画像形成装置を示す概略図である。
【図10】従来例の搬送装置の要部を示す概略図である。
【図11】従来例の搬送装置の要部分解斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
10 搬送コイル 20 支軸
21 係合突起 22 キー溝(凹溝)
25 フランジ部 30 固定部材
31 係止突起 40 支軸
41 平坦面 42 繋ぎ部
43 可動部(弾性変位する部分) 45,46 長溝
48 フランジ部 51 接合片
53 係合突起 54 係止突起
56 ギヤ部材 57 係止突部
58 係止凹部 100 プロセスカートリッジ
200 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ部材と、該パイプ部材内に螺旋状に配設された搬送コイルと、該搬送コイルの一端に固定されてパイプ部材外から搬送コイルを回転させる支軸とを具えた搬送装置であって、前記支軸の表面に凹溝をその長手方向に形成するとともに、該凹溝を挟む支軸の表面に係合突起を設け、前記凹溝に係止突起を有する固定部材を摺動可能に嵌合固定し、この固定部材は前記両係合突起間に係合する前記搬送コイルに係止突起を係合側から押圧して摩擦係止することにより支軸と搬送コイルを固定することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
パイプ部材と、該パイプ部材内に螺旋状に配設された搬送コイルと、該搬送コイルの一端に固定されてパイプ部材外から搬送コイルを回転させる支軸とを具えた搬送装置であって、前記支軸に長手方向に弾性変位する部分を設け、この部分を挟む支軸の表面に係合突起を設けるとともに、該部分の表面に係止突起を設け、前記支軸に前記部分を弾性変位させる固定部材を設け、この固定部材は前記部分を弾性変位させ、前記両係合突起間に係合する前記搬送コイルに係止突起を係合する側から押圧して摩擦係止することにより支軸と搬送コイルを固定することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2の搬送装置を搭載したことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1又は2の搬送装置を搭載したことを特徴とする転写装置。
【請求項5】
請求項1又は2の搬送装置を搭載したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項3ないし5の装置の内、少なくとも1つの装置と、像担持体との組み合わせからなり、画像形成装置に着脱自在に取り付けられることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1又は2の搬送装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−30334(P2006−30334A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205482(P2004−205482)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】