説明

搬送装置

【課題】 構成の簡素化を図り、搬送能力の向上を図ることができる搬送装置の提供。
【解決手段】 複数の物品移載箇所にわたる軌道上を走行する複数台の物品搬送台車3が設けられ、物品搬送台車3を走行駆動させる走行駆動手段7と、その走行駆動手段7の作動を制御して、複数台の物品搬送台車3の運転を管理する地上側コントローラ14とが設けられ、地上側コントローラ14が、物品搬送台車3についての走行指令情報および停止指令情報を走行駆動手段7に送信自在に構成され、走行駆動手段7が、地上側コントローラ14からの走行指令情報および停止指令情報に基づいて、物品搬送台車3を走行駆動および走行停止させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所にわたる軌道上を走行する複数台の物品搬送台車が設けられている搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような搬送装置は、自動倉庫などに適用されるものであり、例えば、有端式の直線状の軌道上を複数台の物品搬送台車を往復走行させて、複数の物品移載箇所に対する物品の搬送を複数台の物品搬送台車にて行うことにより、搬送能力の向上を図るようにしているものである。
【0003】
このような搬送装置として、従来、物品搬送台車が、二台設けられ、二台の物品搬送台車の夫々には、物品搬送台車を走行駆動させる走行駆動手段と、その走行駆動手段の作動を制御して、物品搬送台車の走行駆動および走行停止を制御する車体側コントローラとが設けられ、二台の車体側コントローラが、その間で相手の物品搬送台車の走行状況などの情報を通信しながら、走行駆動手段を作動させるようにしているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−175117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の搬送装置では、車体側コントローラどうしで、相手の物品搬送台車の走行状況などの情報を通信しながら、走行駆動手段を作動させているので、車体側コントローラどうしで通信を行うことを考慮に入れて、走行駆動手段を作動させる必要がある。
すなわち、車体側コントローラどうしでの通信を行ったのち、走行駆動手段を作動させることになるので、走行駆動手段を作動させるまでに、車体側コントローラどうしでの通信にかかる時間だけ時間遅れが生じ、この時間遅れを考慮して複数台の物品搬送台車の運転を管理することが必要となる。
【0006】
例えば、物品搬送台車どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、複数台の物品搬送台車の運転を管理する場合に、車体側コントローラどうしでの通信にかかる時間遅れ分だけ大きな設定車間距離を設定しなければならないので、物品搬送台車どうしが接近するような二つの物品移載箇所に対する物品の移載を同時に行うことができなくなるなどして、搬送能力の低下を招く虞があった。
【0007】
また、上記従来の搬送装置では、車体側コントローラどうしで、相手の物品搬送台車の走行状況などの情報を通信した上で、走行駆動手段の作動を制御しているので、走行駆動手段の作動を制御するために、車体側コントローラどうしでの通信を行うことが必要となり、それだけ構成の複雑化を招くものとなっている。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、構成の簡素化を図りながら、搬送能力の向上を図ることができる搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明にかかる搬送装置の第1特徴構成は、複数の物品移載箇所にわたる同一軌道上を走行する複数台の物品搬送台車が設けられている搬送装置において、
前記物品搬送台車を走行駆動させる走行駆動手段と、その走行駆動手段の作動を制御して、前記複数台の物品搬送台車の運転を管理する地上側コントローラとが設けられ、
前記地上側コントローラが、前記物品搬送台車についての走行指令情報および停止指令情報を前記走行駆動手段に送信自在に構成され、
前記走行駆動手段が、前記地上側コントローラからの走行指令情報および停止指令情報に基づいて、前記物品搬送台車を走行駆動および走行停止させるように構成されている点にある。
【0010】
すなわち、地上側コントローラが、複数台の物品搬送台車の夫々に設けられる走行駆動手段に対して、走行指令情報および停止指令情報を送信することにより、走行駆動手段が、地上側コントローラからの走行指令情報および停止指令情報に基づいて、物品搬送台車を走行駆動および走行停止させることができることになる。
したがって、地上側コントローラが、物品搬送台車を走行駆動および走行停止させるための情報を走行駆動手段に直接送信して、走行駆動手段の作動を直接的に制御しながら、複数台の物品搬送台車の運転を管理することができることになる。
【0011】
そして、地上側コントローラが走行駆動手段の作動を直接的に制御することにより、例えば、物品搬送台車どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、複数台の物品搬送台車の運転を管理する場合には、極力小さな設定車間距離を設定することができ、搬送能力の向上を図ることができることになる。
また、地上側コントローラが、物品搬送台車を走行駆動および走行停止させるための情報を直接走行駆動手段に送信するので、走行駆動手段を制御するための構成も簡素なものとなり、それだけ構成の簡素化を図ることができることになる。
しかも、複数台の物品搬送台車の運転を管理するためのコントローラを物品搬送台車に設けるのではなく、地上側コントローラに一体化することにより、複数台の物品搬送台車の運転を管理するためのプログラムなどの生産性を向上することができることになる。
【0012】
以上のことから、複数台の物品搬送台車の運転を管理するためのコントローラを一体化した地上側コントローラが、物品搬送台車を走行駆動および走行停止させるための情報を直接走行駆動手段に送信して、走行駆動手段の作動を直接的に制御することにより、構成の簡素化を図りながら、搬送能力の向上を図り、しかも、複数台の物品搬送台車の運転を管理するためのプログラムなどの生産性を向上することができる搬送装置を提供できるに至った。
【0013】
本発明にかかる搬送装置の第2特徴構成は、前記軌道上における前記物品搬送台車の位置を検出する位置検出手段が設けられ、前記地上側コントローラが、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記軌道上における前記複数台の物品搬送台車の位置を管理するように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、地上側コントローラが、位置検出手段の検出情報に基づいて、軌道上における複数台の物品搬送台車の位置を管理することができるので、例えば、地上側コントローラが、管理している複数台の物品搬送台車の位置に基づいて、複数台の物品搬送台車のうち、どの物品搬送台車を走行させるかの選択などを行うことができることになる。
したがって、地上側コントローラは、複数台の物品搬送台車のうち、どの物品搬送台車を走行させるかの選択などを的確に行うことができるので、搬送能力の向上を図ることができることになる。
【0015】
本発明にかかる搬送装置の第3特徴構成は、前記地上側コントローラが、前記物品搬送台車の複数台を前記軌道上の同じ方向に走行させる場合には、前記物品搬送台車どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、前記走行指令情報を前記走行駆動手段に送信するように構成されている点にある。
【0016】
すなわち、地上側コントローラが、物品搬送台車の複数台を軌道上の同じ方向に走行させる場合には、物品搬送台車どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、走行速度情報などの走行指令情報を走行駆動手段に送信することにより、物品搬送台車どうしの車間距離を設定車間距離以上に維持しながら、複数台の物品搬送台車を同時に走行させることができることになる。
したがって、物品搬送台車どうしの衝突を防止しながら、複数台の物品搬送台車を同時に走行させて、物品の搬送を行うことができることとなって、それだけ搬送能力の向上を図ることができることになる。
【0017】
本発明にかかる搬送装置の第4特徴構成は、前記物品搬送台車が、二台設けられ、それら二台の物品搬送台車の運転を管理する前記地上側コントローラが一つ設けられている点にある。
【0018】
すなわち、一つの地上側コントローラにて、二台の物品搬送台車の運転を管理することができることになり、二台の物品搬送台車の運転を管理するために、一つの地上側コントローラを設けるだけでよく、構成の簡素化およびコストの低減を図ることができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明にかかる搬送装置の実施形態について、図面に基づいて説明を加える。
この搬送装置は、物品収納棚を設けた自動倉庫などに適応され、図1に示すように、物品移載箇所としてのステーション1の複数にわたる軌道2上を走行する物品搬送台車としての荷捌き台車3を複数台設け、それら複数台の荷捌き台車3が、軌道2上を往復走行して、複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0020】
前記軌道2は、両端部が定められた有端式の直線状に構成され、この軌道2の左右両側に軌道2の長手方向に間隔を隔てて複数のステーション1が配設されている。
そして、複数のステーション1としては、物品収納棚から出庫する物品を搬送する出庫コンベヤを設けた出庫用のステーション1、物品収納棚へ入庫する物品を搬送する入庫コンベヤを設けた入庫用のステーション1、外部から搬入する物品を搬送する搬入コンベヤを設けた搬入用のステーション1、および、外部へ搬出する物品を搬送する搬出コンベヤを設けた搬出用のステーション1などを組み合わせて構成されている。
【0021】
前記荷捌き台車3は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの二台設けられており、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、自己とステーション1との間で物品Bを移載するローラコンベヤなどの電動式の移載装置4、軌道2に沿って配設された走行レールを走行する複数の走行車輪5などが設けられている。
前記走行車輪5は、インバータ式の走行モータ6にて回転駆動する駆動用の走行車輪5と、従動回転自在な従動用の走行車輪5とから構成されている。
【0022】
また、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、図2に示すように、走行モータ6を作動させて荷捌き台車3を走行駆動させる走行駆動手段としての走行用インバータ7、相手の荷捌き台車3との車間距離を検出する車間距離センサ8、相手の荷捌き台車3との間で情報を通信するための台車間光伝送装置9、車間距離センサ8や光伝送装置9などの作動を制御するスレーブコントローラ10、移載装置4を作動させる移載用インバータ11、移載装置4における物品Bの状態などを検出するセンサ類12、そのセンサ類12の検出情報を出力するための入出力装置13などが設けられている。
【0023】
そして、床面などの地上側には、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの運転を管理する地上側コントローラ14が一つ設けられ、その地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bにおける走行用インバータ7や移載用インバータ11などの作動を制御するように構成されている。
また、軌道2の両端部の夫々には、その端部から荷捌き台車3までの距離を検出することにより、軌道2上における荷捌き台車3の位置を検出する位置検出手段としての位置検出センサ15が設けられている。
【0024】
地上側に設けられた地上側コントローラ14、荷捌き台車3側に設けられた走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13の夫々には、図示はしないが、通信コントローラが備えられており、地上側コントローラ14と第1荷捌き台車3aとの間で情報の授受を行うための第1光伝送装置16と、地上側コントローラ14と第2荷捌き台車3bとの間で情報の授受を行うための第2光伝送装置17とが設けられている。
そして、地上側コントローラ14側に備えられた通信コントローラ、荷捌き台車3側に備えられた通信コントローラ、第1光伝送装置16、第2光伝送装置17により、通信ネットワークいわゆるデバイスネットが構成されており、地上側コントローラ14がマスタに構成され、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13がスレーブに構成されている。
【0025】
また、軌道2の両端部に配設された位置検出センサ15の検出情報は、地上側コントローラ14に入力されるように構成されており、地上側コントローラ14は、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、軌道2上における第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの位置を管理するように構成されている。
【0026】
このようにして、地上側コントローラ14は、軌道2上における第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの位置を管理しながら、通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bとに各種指令情報を与えることにより、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの運転を管理するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、複数のステーション1のうちから移載対象のステーション1を指示する搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとのいずれかにて移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行うべく、二台の荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。
【0027】
前記二台の荷捌き台車3の運転について説明を加えると、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理用の荷捌き台車3を選択する引当処理を行い、その引当処理にて引き当てた搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させたのち、移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行う搬送処理を行うように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、搬送要求情報が発生するたびに、引当処理、搬送処理を順次行うことを繰り返して、二台の荷捌き台車3にて複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0028】
また、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づく搬送処理としての、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1に引き当てた荷捌き台車3を走行させる掬い用の搬送処理と、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を物品Bを卸すための移載対象のステーション1に走行させる卸し用の搬送処理とを、別の搬送処理として、荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。
説明を加えると、地上側コントローラ14は、まず、引当処理、掬い用の搬送処理を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを掬い取り、その掬い用の搬送処理を行った後、引当処理、卸し用の搬送処理を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを卸すように構成されている。
【0029】
ちなみに、搬送要求情報については、キーボードなどの人為操作式の入力装置や上位コンピュータなどにより、地上側コントローラ14に対して搬送要求情報を入力可能であり、例えば、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1と物品Bを卸すための移載対象のステーション1とを指示している情報としている。
【0030】
前記引当処理について説明を加えると、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行うときかあるいは卸し用の搬送処理を行うときか、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが現在搬送処理中であるか否か、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが軌道2上のどこに位置するかなどの各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理を実行する荷捌き台車3を選択するように構成されている。
【0031】
すなわち、掬い用の搬送処理を行うときには、地上側コントローラ14は、二台の荷捌き台車3ともが現在搬送処理中ではない待機中である場合には、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bのうち、移載対象のステーション1に近くに位置する荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、一台が現在搬送処理中でありもう一台が待機中である場合には、その待機中の荷捌き台車3が搬送処理を行っても現在搬送処理中の荷捌き台車3の邪魔にならないときには、その待機中の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0032】
そして、卸し用の搬送処理を行うときには、地上側コントローラ14は、もう一台の荷捌き台車3が待機中であれば、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、もう一台の荷捌き台車3が現在搬送処理中である場合には、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3が搬送処理を行っても現在搬送処理中のもう一台の荷捌き台車3の邪魔にならないときには、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0033】
このようにして、地上側コントローラ14は、引当処理を行うことにより、搬送要求情報が発生した順序にしたがって、現在搬送処理中である荷捌き台車3を邪魔しない範囲で、発生した搬送要求情報を満たすべく、搬送処理用の荷捌き台車3を選択するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、引当処理において、現在搬送処理中の荷捌き台車3を邪魔する場合には、搬送処理用の荷捌き台車3としての選択を行わず、現在位置に待機させる待機状態とするか、または、現在搬送処理中の荷捌き台車3を邪魔しない位置に移動させる追い出し作動を実行させるように構成されている。
【0034】
以下、引当処理において、例えば、第1荷捌き台車3aを搬送処理用の荷捌き台車3として選択し、その第1荷捌き台車3aにて搬送処理を行う場合について説明を加える。
前記地上側コントローラ14が、設定時間が経過するごとに、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に走行開始指令や速度指令情報などの走行指令情報を送信するように構成されている。
そして、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7は、地上側コントローラ14からの走行指令情報に基づいて、走行モータ6に対する電流値を調整することにより、第1荷捌き台車3aの走行速度を調整しながら走行駆動させるように構成されている。
また、地上側コントローラ14に対して位置検出センサ15の検出情報が入力されているので、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aの走行位置を管理しながら、第1荷捌き台車3aを走行駆動させるように構成されている。
【0035】
このようにして、地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3aの走行位置を管理しながら走行駆動させている状態において、第1荷捌き台車3aの走行位置が移載対象のステーション1に対応する目標停止位置に達すると、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に停止指令情報を送信するように構成されている。
そして、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7は、地上側コントローラ14からの停止指令情報に基づいて、ブレーキをかけて第1荷捌き台車3aを制動させるように走行モータ6を作動させて、第1荷捌き台車3aを目標停止位置に停止させるように構成されている。
【0036】
また、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとを軌道2上の同じ方向に走行させる場合には、荷捌き台車3どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、走行指令情報を第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に送信するように構成されている。
【0037】
説明を加えると、例えば、第1荷捌き台車3aを走行させる際に、既に第2荷捌き台車3bを走行させていると、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとの走行方向が同じであるか否かを判別するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとの走行方向が同じである場合には、荷捌き台車3どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように第1荷捌き台車3aの走行速度を調整すべく、速度指令情報を第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に送信するように構成されている。
ちなみに、設定車間距離については、第1荷捌き台車3aを通常減速させて停止させる際に必要となる停止距離から第2荷捌き台車3aをブレーキをかけて停止させる際に必要となる停止距離を引いた距離と定めている。
【0038】
前記地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aを目標停止位置に停止させた状態において、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの移載用インバータ11に移載指令情報を送信するように構成されている。
そして、第1荷捌き台車3aの移載用インバータ11は、地上側コントローラ14からの移載指令情報に基づいて、移載装置4を作動させて、移載対象のステーション1に存在する物品Bを掬い取るあるいは移載対象のステーション1に物品Bを卸すように構成されている。
【0039】
また、入出力装置13は、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、センサ類12の検出情報を地上側コントローラ14に送信するように構成されており、地上側コントローラ14は、入出力装置13からの情報に基づいて、移載対象のステーション1との間で物品Bの移載が完了したことを認識するように構成されている。
【0040】
このようにして、地上側コントローラ14が、荷捌き台車3を走行駆動および走行停止させるための情報を直接走行用インバータ7に送信して、走行用インバータ7の作動を直接的に制御し、二台の荷捌き台車3どうしの車間距離を極力小さくして、搬送能力の向上を図ることができるように構成されている。
そして、地上側コントローラ14が、単に、走行用インバータ7に対して走行指令情報および停止指令情報を送信するだけで、二台の荷捌き台車3の運転を管理することができ、構成の簡素化を図ることができるように構成されている。
しかも、二台の荷捌き台車3の運転を管理するためのコントローラを一つの地上側コントローラ14に集中することができ、地上側コントローラ14にて一元管理して、二台の荷捌き台車3の運転を管理するためのプログラムなどの生産性の向上にも寄与することができるように構成されている。
【0041】
前記第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bには、地上側コントローラ14とは独立した車間距離センサ8およびスレーブコントローラ10を設けることにより、地上側コントローラ14の暴走などにより誤って荷捌き台車3どうしが衝突する虞がある場合でも、その衝突を防止するように構成されている。
説明を加えると、スレーブコントローラ10は、車間距離センサ8の検出情報に基づいて、荷捌き台車3どうしの相対車間距離および相対速度を監視し、荷捌き台車3どうしが衝突する虞のある場合には、荷捌き台車3を強制的に走行停止させるように構成されている。
【0042】
すなわち、スレーブコントローラ10は、相対車間距離が許容車間距離以上となるかあるいは相対速度が許容相対速度以上となると、走行モータ6への電力供給を停止する電力停止手段18を作動させて、走行モータ6への電力供給を停止することにより、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
また、スレーブコントローラ10は、台車間光伝送装置9にて相手の荷捌き台車3におけるスレーブコントローラ10に対して荷捌き台車3を走行停止させるように停止指令情報を送信するように構成されており、その停止指令情報を受信したスレーブコントローラ10は、電力停止手段18を作動させて、走行モータ6への電力供給を停止することにより、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
【0043】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、複数台の荷捌き台車3の軌道2上での位置を管理するように構成されているが、例えば、荷捌き台車3の夫々にエンコーダを設けて、そのエンコーダの検出情報を入出力装置13にて地上側コントローラ14に通信することにより、地上側コントローラ14が、複数台の荷捌き台車3の軌道2上での位置を管理するようにして実施することも可能である。
【0044】
(2)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、荷捌き台車3の複数台を軌道2上の同じ方向に走行させる場合に、荷捌き台車3どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、走行指令情報を走行用インバータ7に送信するようにしているが、例えば、地上側コントローラ14が、荷捌き台車3の複数台を軌道2上の同じ方向に走行される場合に、荷捌き台車3の走行速度が同じになるように、速度指令情報を走行用インバータ7に送信するなど、地上側コントローラ14が、荷捌き台車3の複数台を軌道2上の同じ方向に走行される場合に、どのような走行指令情報を走行用インバータ7に送信するかは適宜変更が可能である。
【0045】
(3)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理を実行する荷捌き台車3を選択する引当処理を行うように構成されているが、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理を実行する荷捌き台車3を選択するための条件については、適宜変更が可能である。
【0046】
(4)上記実施形態では、図1に示すように、複数のステーション1を軌道2の左右に均等に配置した例を示しているが、ステーション1の数やどの位置にステーション1を配置するかについては適宜変更可能である。
【0047】
(5)上記実施形態では、二台の荷捌き台車3の夫々に、車間距離センサ8およびスレーブコントローラ10を設けた例を示したが、二台の荷捌き台車3の一方のみに、車間距離センサ8およびスレーブコントローラ10を設け、相対車間距離が許容車間距離以上となるかあるいは相対速度が許容相対速度以上となり衝突の可能性がある場合には、台車間光伝送装置9にて相手の荷捌き台車3に対して衝突の可能性があることを通信し、その通信により相手の荷捌き台車3を停止させるように構成して実施することも可能である。
【0048】
(6)上記実施形態では、荷捌き台車3を二台設けた例を示したが、荷捌き台車3の台数については適宜変更可能である。
【0049】
(7)上記実施形態では、物品搬送台車として荷捌き台車3を例示したが、物品搬送台車としては、例えば、一対の物品収納棚の間口に沿う軌道上を往復走行するスタッカークレーンを適応することも可能であり、荷捌き台車3以外の物品搬送台車も適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】搬送装置の平面図
【図2】搬送装置のブロック図
【符号の説明】
【0051】
1 物品移載箇所
2 軌道
3 物品搬送台車
7 走行駆動手段
14 地上側コントローラ
15 位置検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品移載箇所にわたる軌道上を走行する複数台の物品搬送台車が設けられている搬送装置であって、
前記物品搬送台車を走行駆動させる走行駆動手段と、その走行駆動手段の作動を制御して、前記複数台の物品搬送台車の運転を管理する地上側コントローラとが設けられ、
前記地上側コントローラが、前記物品搬送台車についての走行指令情報および停止指令情報を前記走行駆動手段に送信自在に構成され、
前記走行駆動手段が、前記地上側コントローラからの走行指令情報および停止指令情報に基づいて、前記物品搬送台車を走行駆動および走行停止させるように構成されている搬送装置。
【請求項2】
前記軌道上における前記物品搬送台車の位置を検出する位置検出手段が設けられ、
前記地上側コントローラが、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記軌道上における前記複数台の物品搬送台車の位置を管理するように構成されている請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記地上側コントローラが、前記物品搬送台車の複数台を前記軌道上の同じ方向に走行させる場合には、前記物品搬送台車どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、前記走行指令情報を前記走行駆動手段に送信するように構成されている請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記物品搬送台車が、二台設けられ、それら二台の物品搬送台車の運転を管理する前記地上側コントローラが一つ設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−44935(P2006−44935A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232270(P2004−232270)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】