説明

搬送載積機構

【課題】プリント物が離散せず保持され、またユーザが取り出しやすい、搬送載積機構等を提供する。
【解決手段】搬送載積機構1は、プリント物15の搬送を行う搬送部21及びプリント物15の載積を行う載積部23を有する。搬送部21は、後向に開口する複数の搬入口25、下向に開口する複数の搬出口33、搬入口25と搬出口33とを導通する複数の搬送路29等を備える。載積部23は、前方下方に傾斜する底板7、底板7の前部に前方上方に傾斜して立設しプリント物15を載積する載積台43、底板7の上方に平行に設けられプリント物15を載積台43に誘導する傾斜板39、後上方からプリント物15を載積台43に押さえ載積枚数に応じて底板7及び傾斜板39間を摺動する押えブロック41を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタから排出される写真プリント等のプリント物を搬送し載積する搬送載積機構等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗内や街頭に設置することが可能であり、デジタルカメラ等で撮像して記録メディアに記録した画像データ等をCD−R等の記録メディアに書き込んだり、プリンタでプリントできる画像出力装置がある(例えば、[特許文献1]参照。)。
【0003】
このような画像出力装置において、大量の枚数を高速にプリントするため、または異なるサイズやシール紙等にプリントするため、複数台のプリンタを搭載するものがある。
そして、通常設置面積を小さくするためプリンタは縦方向(鉛直方向)に積み上げて配置される。
【0004】
図16及び図17は、従来のプリント手段の概略構成を示す図である。
図16及び図17に示すプリント手段は、複数台のプリンタを備え、複数のプリンタから排出されるプリント物をストッカに保持するものである。
【0005】
図16に示す装置では、プリンタ501−1、501−2、501−3、501−4が縦方向に並べて設置され、各プリンタ501−1、501−2、501−3、501−4の排出口503からプリント物が排出され、通路505を介してストッカ507に保持される。
【0006】
また、図17に示す装置では、プリンタ501−1、501−2、501−3、501−4が縦方向に並べて設置され、各プリンタ501−1、501−2、501−3、501−4の排出口503からプリント物が排出され、排出されたプリント物はそれぞれストッカ509−1、509−2、509−3、509−4に保持される。
【0007】
【特許文献1】特開2003−109109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図16に示す装置では、各プリンタ501−1、501−2、501−3、501−4から排出されるプリント物がストッカ507に保持されるので、ストッカ507内でプリント物が揃っていない場合があり、また通路505の途中で静電気等のためにプリント物が引っかかる等の問題点がある。
また、図17に示す装置では、ユーザの使い勝手が悪いという問題点がある。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、プリント物が離散せず保持され、またユーザが取り出しやすい、搬送載積機構等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、プリント物の搬送を行う搬送部及びプリント物の載積を行う載積部を有する搬送載積機構であって、前記搬送部は、後向に開口し前記プリント物を搬入する複数の搬入口と、下向に開口し前記プリント物を搬出する複数の搬出口と、対応する前記搬入口と前記搬出口とをそれぞれ導通する複数の搬送路と、を具備し、前記載積部は、前方下方に傾斜する底板と、前記底板の前部に前方上方に傾斜して立設し、前記プリント物を載積する載積台と、前記複数の搬出口の下方であって前記底板の上方に平行に設けられ、前記プリント物を前記載積台に誘導する傾斜板と、を具備することを特徴とする搬送載積機構である。
【0011】
プリント物は、枚葉の各種用紙であり、大きさ、材質等は特に限定されない。プリント物は、例えば、写真プリント(L型、2L型等)等である。
搬入口は、例えば、上下方向に所定の間隔に設け、搬出口は、例えば、前後方向に隣接して設けることができる。
搬送路は、例えば、接地した金属製のガイドにより構成し、傾斜、突起等を設けることができる。
搬送路の幅は、プリント物の対角長より小さく、搬送路の断面は、矩形とすることが望ましい。
【0012】
搬入口の近傍には、プリント物との接触面積を軽減する接触面積軽減部、プリント物の除電を行う除電部等を設け、搬出口近傍に突出片等を設けることが望ましい。接触面積軽減部としては、箱状の部材等を用いることができる。また、除電部としては、除電ブラシ等を用いることができる。
【0013】
傾斜板は、例えば、金属板、表面に凹凸を有する非金属板等から構成することができる。
また、傾斜板の上方であって搬出口近傍に、柔軟性を有しプリント物の移動速度を緩衝する1枚あるいは複数枚の緩衝幕を設けることが望ましい。複数枚の緩衝幕を設ける場合、それぞれの緩衝幕の上端辺を束ねて最前の搬出口近傍に固定して設け、前方の幕の長さは後方の幕の長さより長くするようにしてもよい。
【0014】
また、後上方からプリント物を載積台に押さえ、プリント物の載積枚数に応じて後上方に移動する押えブロックを設けることが望ましい。押えブロックは、底板及び傾斜板間を摺動可能に設けられる。
押えブロックの上面の前方斜面は、一様に下方に傾斜させてもよいし、凸部と凸部の間に凹部を有するようにしてもよい。
【0015】
搬送載積機構は、搬送部、載積部等から構成され、プリント物の落下速度を抑制し、プリント物の向きを整え、載積部は、押えブロックによりプリント物を載積台に案内誘導すると共に、押えブロックの重みにより載積済のプリント物を載積台に押圧する。
従って、搬送載積機構は、整った状態でプリント物を所定の場所に載積するので、プリント物が離散せず保持され、ユーザの取扱負担を軽減することができる。
また、プリント物と搬送路の路面、傾斜板との接触面積を低減し、除電、接地(アース)等を行うことにより、プリント物の貼り付き、引っ掛かり、滞留、紙詰まりを防止することができる。
【0016】
搬送載積機構は、自身全体を前後方向にスライド可能なスライド部材、自身全体を水平方向に回転可能な回転部材等を具備することが望ましい。この場合、搬送載積機構を収納先の筐体から取り外すことなく、搬送載積機構の背面へのアクセスが可能となるので、維持、管理等に係る負担を軽減することができる。
また、搬送載積機構の底面にヒンジ結合等により支脚、自立脚を設けることが望ましい。この場合、人手により搬送載積機構を支持する必要がなく単体での取扱負担を軽減することができる。
【0017】
また、搬送載積機構の側面の少なくとも一方に透明性の部材を用いることにより、分解することなく内部が視認可能となるので、プリント物の張り付き、引っ掛かり、滞留、紙詰まり等の問題箇所の把握等を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プリント物が離散せず保持され、またユーザが取り出しやすい搬送載積機構等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る搬送載積機構等の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0020】
最初に、図1及び図2を参照しながら、本発明の実施の形態に係る搬送載積機構1の概略構成について説明する。
図1及び図2は、搬送載積機構1の概略斜視図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、搬送載積機構1は、正面板3、対向する一組の側面板5、底面板7、背面板9等から構成される。
背面板9には、搬入口25が上下方向に設けられる。正面板3の下方には、取出口13が設けられる。
【0022】
搬入口25は、プリンタ(図示しない)の数、プリンタの排紙口の位置等に応じて設けられる。
プリンタの排紙口から排出されるプリント物15は、搬入口25に搬入され、搬送載積機構1内を搬送され、取出口13付近に載積される。
プリント物15は、枚葉の各種用紙であり、大きさ、材質等は特に限定されない。プリント物15は、例えば、写真プリント(L判、2L判等)等である。
【0023】
次に、図3を参照しながら、搬送載積機構1の構成を詳細に説明する。
図3は、搬送載積機構1の側断面図である。
【0024】
図3に示す搬送載積機構1は、鉛直方向に設けられる4つのプリンタ51−1、51−2、51−3、51−4の前側に設けられる。各プリンタ51−1、51−2、51−3、51−4は、それぞれ、排紙口53−1、53−2、53−3、53−4を有する。排紙口53−1、53−2、53−3、53−4の高さ、位置に合わせて、搬送載積機構1の搬入口25−1、25−2、25−3、25−4が設けられる。
【0025】
すなわち、プリンタ51−1の排紙口53−1から排紙されたプリント物15は、搬送載積機構1の搬入口25−1に搬入され、搬送路29−1を経て、搬出口33−1に搬出され、傾斜板39に落下する。
同様に、各プリンタ51−2、51−3、51−4の排紙口53−2、53−3、53−4から排紙されたプリント物15は、それぞれ、搬送載積機構1の搬入口25−2、25−3、25−4に搬入され、搬送路29−2、29−3、29−4を経て、搬出口33−2、33−3、33−4に搬出され、傾斜板39に落下する。
【0026】
搬入口25−1、25−2、25−3、25−4は、それぞれ、上下方向に所定の間隔に設けられて後向に開口する。
搬送路29−1、29−2、29−3、29−4は、それぞれ、筒状のガイド55により構成され、搬入口25付近では上下方向に積層され、搬出口33付近では前後方向に積層される。
搬出口33−1、33−2、33−3、33−4は、それぞれ、前後方向に隣接して設けられて下向に開口する。
【0027】
搬送載積機構1は、大別して、搬送部21、載積部23から構成される。
搬送部21は、プリンタ51の排紙口53から排紙されたプリント物15を搬入口25に搬入し、搬送路29中を搬送し、搬出口33から載積部23に搬出する。
載積部23は、搬送部21から搬出されたプリント物15を載積する。
尚、搬送部21と載積部23とを一体として構成してもよいし、別体として分割するようにしてもよい。
【0028】
搬送部21は、搬入口25、搬入調整部27、搬送路29、搬送調整部31、搬出口33、搬出調整部35等から構成される。
【0029】
搬入口25は、プリント物15を搬送路29に搬入する入口である。
搬入調整部27は、搬入口25付近に設けられ、プリント物15と搬送路29との接触面積を軽減する部材である。尚、搬入調整部27に関しては、後述する。
【0030】
搬送路29は、搬入口25と搬出口33とを導通する経路である。搬送路29は、ガイド55により筒状に構成され、断面形状に関しては特に限定されないが、例えば、断面形状を矩形とすることにより複数の搬送路を積層して設置スペースを有効活用することができる。
【0031】
また、搬送路29の幅は、搬送中におけるプリント物15の回転等を防止するため、プリント物15の対角長より小さくすることが望ましい。
また、ガイド55として接地した金属板を用いることにより、プリント物15と搬送路29間に静電気等による電気的作用力等の発生を防止して、プリント物15の引っ掛かり、貼り付き、滞留等を防止することができる。
【0032】
搬送調整部31は、搬送路29に設けられ、プリント物15の搬送状態(落下速度、移動速度、向き等)を調整する部材である。搬送調整部31は、例えば、突起、斜面等である。
【0033】
搬出口33は、プリント物15を搬送路29から搬出する出口である。
搬出調整部35は、搬出口33付近に設けられ、プリント物15の搬出状態(落下速度、移動速度、向き等)を調整する部材である。搬出調整部35は、例えば、突出片等である。
【0034】
尚、搬入口25、搬送路29、搬出口33、搬入調整部27、搬送調整部31、搬出調整部35等の数、位置等に関しては、図3に示すものに限られず、プリンタ51の排紙口53の数、位置、搬送載積機構1の設置スペース等を適宜勘案して決定することができる。
【0035】
載積部23は、緩衝幕37、傾斜板39、押えブロック41、載積台43、取出口13等から構成される。
【0036】
緩衝幕37は、複数の搬出口33から搬出されるプリント物15の落下速度を緩衝する幕状の部材である。尚、緩衝幕37に関しては、後述する。
【0037】
傾斜板39は、複数の搬出口33から搬出されるプリント物15を一旦受け止め、押えブロック41、載積台43へと案内誘導する部材である。尚、傾斜板39に関しては、後述する。
【0038】
押えブロック41は、傾斜板39上を流れ落ちるプリント物15を載積台43の所定の位置に案内誘導すると共に、載積台43に載積されたプリント物15を押さえるブロックである。尚、押えブロック41に関しては、後述する。
【0039】
載積台43は、底面板7の前部に立設する面状部材である。載積台43は、最終的にプリント物15を載積して保持する。
【0040】
次に、図4を参照しながら、搬入調整部27について説明する。
図4は、搬入調整部27の一態様を示す図である。
【0041】
図4に示す搬入調整部27は、搬入口25の近傍に設けられ搬送路29の路面57上に設けられる箱状部材である。プリント物15は、搬入口25への搬入時、路面57に面接触することなく、箱状部材の稜線59に点接触あるいは線接触する。
搬入時におけるプリント物15の搬入速度は、比較的遅く、プリント物15と路面57との接触面積が大きければ、その分、貼り付き等が発生する可能性が大きくなるが、搬入調整部27を設けることにより接触面積が軽減されるので、貼り付きを防止してプリント物15の引っ掛かり、滞留等を防止することができる。
【0042】
さらに、搬入調整部27の稜線59付近に除電ブラシ28を設けるようにしてもよい。この場合、搬入口25への搬入時、除電ブラシ28によりプリント物15に帯電した電荷を取り除いて電気的作用力の発生を抑制し、プリント物15の路面57への貼り付き、引っ掛かり等を防止することができる。
【0043】
次に、図5を参照しながら、搬送調整部31について説明する。
図5は、搬送載積機構1の搬送部21の断面図(図3のAA’線断面図)である。
【0044】
図5に示す搬送調整部31−1は、搬送路29−1の路面上に設けられる突起状の部材である。
搬送調整部31−1は、搬送路29−1においてプリント物15の搬送状態の調整を行い、プリント物15の落下速度を抑制したり、プリント物15の向き、角度等を整える。
【0045】
このように、搬送調整部31−1は、プリント物15の落下速度を抑制し、向き、角度等を整えることにより、プリント物15同士の接触、搬送路29−1における引っ掛かり等を防止することができる。
【0046】
尚、他の搬送路29−2、29−3、29−4についても、同様に突起状の部材を設けるようにしてもよい。
また、突起状の部材だけでなく、図3等に示すように搬送路29自体に傾斜30等を設け、プリント物15の移動速度の抑制、調整等を図るようにしてもよい。
【0047】
次に、図6を参照しながら、緩衝幕37について説明する。
図6は、緩衝幕37の一態様を示す図である。
【0048】
図6に示す緩衝幕37は、搬出口33付近に設けられ、複数の緩衝幕37−1、37−2、37−3、37−4の各上端辺を束ねて構成される。
緩衝幕37−1、37−2、37−3、37−4は、柔軟性、滑り性を有する矩形状の平面上の部材であり、例えば、プラスチックフィルム等を用いることができる。
【0049】
緩衝幕37は、プリント物15が搬出口33から搬出されると、プリント物15と接触し、プリント物15の落下速度、移動速度が緩衝され、プリント物15は、矢印100方向に傾斜板39から載積台43へ誘導される。
【0050】
このように、緩衝幕37は、搬出口33から傾斜板39に落下するプリント物15の落下速度、移動速度を抑制するので、速度過大による引っ掛かり、滞留等を防止し、プリント物15を載積台43に適正に載積することができる。
【0051】
緩衝幕37の枚数、長さ、大きさ等に特に制限はなく、搬出口33と傾斜板39との距離、傾斜板39の角度等に応じて枚数を増減してもよい。図6に示すように、例えば、緩衝幕37−1、37−2、37−3、37−4の順に、前方の緩衝幕の長さを後方の緩衝幕の長さより大きくするようにしてもよい。
【0052】
この場合、搬出口33−1から搬出されるプリント物15は、4枚の緩衝幕37−1、37−2、37−3、37−4に接触し、搬出口33−2から搬出されるプリント物15は、3枚の緩衝幕37−2、37−3、37−4に接触し、搬出口33−3から搬出されるプリント物15は、2枚の緩衝幕37−3、37−4に接触し、搬出口33−4から搬出されるプリント物15は、1枚の緩衝幕37−4に接触する。
プリント物15は、搬入口25が高位置にあるほど、落下速度が増大するが、当該プリント物15にはより多くの枚数の緩衝幕37に接触させて落下速度、移動速度を軽減することができる。すなわち、搬入口25の高低差を考慮した上でプリント物15の落下速度を緩衝することができる。
【0053】
次に、図7及び図8を参照しながら、傾斜板39について説明する。
図7は、傾斜板39の上面図である。
図8は、傾斜板39の断面図(図7のCC’線断面図)である。
【0054】
図7及び図8に示す傾斜板39は、ジュラコン板61、金属板67等から構成される。プリント物移動方向65について、金属板67は、中央前後方向に配置され、ジュラコン板61は、金属板67の両側に前後方向に配置される。
【0055】
ジュラコン板61は、ジュラコン(ポリオキシメチレン、ポリアセタール)製の板状部材である。ジュラコン板61の表面は、溝63等の凹凸を有し、プリント物15との接触面積を軽減することにより滑り性を向上させ、プリント物15の張り付き、引っ掛かり、滞留、紙詰まり等を防止することができる。
また、金属板67は、金属製の板状部材である。金属板67は、接地(アース)され、静電気等による電気的作用力の発生を抑制し、プリント物15の張り付き、引っ掛かり、滞留、紙詰まり等を防止することができる。
【0056】
尚、ジュラコン板61に関しては、必ずしもジュラコン製の板状部材とする必要はなく、非導電性の他の材料を用いることもできる。例えば、ジュラコン板61に代えて、アクリル製、その他の材料による板状部材を用いてもよい。
また、1枚のジュラコン板61の両側前後方向に溝63を設けさらに中央前後方向に窪みを設け、当該窪み部分に金属板67を嵌め込むことにより、金属板67の両側にジュラコン板61の溝63を設けるようにしてもよい。
【0057】
次に、図9〜図11を参照しながら、押えブロック41について説明する。
図9は、押えブロック41の概略斜視図である。
図10は、押えブロック41の動作を示す図である。
図11は、押えブロック41の断面図(図3、図10のBB’線断面図)である。
【0058】
押えブロック41は、傾斜板39上を滑り落ちるプリント物15を載積台43の所定の位置に案内誘導すると共に、載積台43に載積されたプリント物15を押さえるブロックである。
図9及び図10に示すように、押えブロック41の上面は、傾斜板39付近から底面板7付近まで前方下方に傾斜する斜面42を有する。尚、押えブロック41の上面の傾斜の形状は、傾斜板39から滑り落ちるプリント物15を載積台43に案内誘導するものであれば、特に限定されない。
【0059】
傾斜板39上を滑り落ちるプリント物15は、押えブロック41の斜面42を経て載積台43に載積される。押えブロック41の斜面42は、前方下方に傾斜しているので、傾斜板39におけるプリント物15の前端44は、底面板7に当たり、プリント物15は、載積台43に載積される。押えブロック41は、後上方から載積台43のプリント物15を自重により押圧する。
【0060】
図11に示すように、押えブロック41は、傾斜板39、底面板7、側面板5に囲まれた前方下方から後方上方へ通ずる筒状の空間内に摺動可能に設けられる。
載積台43に載積されたプリント物15の枚数が増加するに従い、押えブロック41は、後上方(矢印200方向)に後退する。
【0061】
尚、押えブロック41の材質、重量等に関しては、後上方から載積台43のプリント物15を自重により押圧してプリント物15の離散を防止すると共に載積台43のプリント物15の枚数の増加に伴い後上方に後退可能なものとすることが望ましい。
【0062】
このように、傾斜板39上を滑り落ちるプリント物15は、押えブロック41の斜面42を経て載積台43に載積され、押えブロック41は、載積台43のプリント物15の枚数の増加に伴い後上方に後退しつつ、後上方から載積済のプリント物15を自重により押圧するので、プリント物15の離散を防止することができる。
【0063】
次に、図12を参照しながら、押えブロック41の他の実施の形態について説明する。
図12は、押えブロック41の一態様を示す図である。
【0064】
図12に示す押えブロック41の斜面70は、図9及び図10に示すように一様に傾斜する斜面ではなく、凸部71、凸部75の間に凹部73を有する。
万一、プリント物15が載積台43に載積されずプリント物15−2の位置に留まった場合、斜面70は、凸部71、凸部75の間に凹部73を有するので、プリント物15と斜面70との接触面積が軽減され、また、凸部71とプリント物15−2との間に空間76が生じる。従って、後から送られるプリント物15−3は、空間76に滑り込み、プリント物15−2は、容易に斜面70から離れて載積台43に載積される。
【0065】
このように、押えブロック41の斜面70に凹部73を設けることにより、プリント物15が載積台43付近で滞留することを防止することができる。
尚、押えブロック41の斜面70の断面形状は、図12に示すものに限定されるものではなく、プリント物15の大きさ、形状等に応じて様々に変形することができる。
【0066】
次に、図13〜図15を参照しながら、搬送載積機構1の設置、収納等に関して説明する。
図13及び図14は、搬送載積機構1の画像出力装置300への収納、取出を示す図である。
図15は、搬送載積機構1の自立状態を示す図である。
【0067】
搬送載積機構1を複数のプリンタを備える画像出力装置300に用いる場合、使用中は、搬送載積機構1を画像出力装置300の筐体内に収納し、維持管理時は、搬送載積機構1を画像出力装置300の筐体内から取り出す必要がある。
【0068】
図13に示す搬送載積機構1は、側面にスライド部材81を備える。搬送載積機構1は、スライド部材81を介して、自身全体を前後方向に摺動可能である。また、スライド部材81も伸縮可能としてもよい。
搬送載積機構1の維持管理時は、画像出力装置300の扉301を開き、スライド部材81を介して搬送載積機構1を筐体内から引き出す。
搬送載積機構1の使用時は、スライド部材81を介して搬送載積機構1を筐体内に収納し、画像出力装置300の扉301を閉める。
【0069】
このように、搬送載積機構1にスライド部材81を設けることにより、設置スペースを節約すると共に、維持管理負担を軽減することができる。
【0070】
図14に示す搬送載積機構1は、側面と背面の交線付近にヒンジ等の回転部材83を備える。搬送載積機構1は、回転部材83を介して、自身全体を水平面方向に回転可能である。
搬送載積機構1の維持、管理時は、画像出力装置300の扉301を開き、回転部材83を介して搬送載積機構1全体を回転させる。
【0071】
このように、搬送載積機構1を画像出力装置300の筐体から取り外すことなく、搬送載積機構1の背面へのアクセスが可能となるので、維持、管理等に係る負担を軽減することができる。
【0072】
さらに、スライド部材81、回転部材83のみならず、搬送載積機構1を画像出力装置300から着脱可能なように、引っ掛かり部材(図示しない)等を設けるようにしてもよい。
また、側面板5の少なくとも一方に、アクリル等の透明性を有する部材を用いるようにしてもよい。この場合、搬送載積機構1を分解することなく、内部が視認可能となるので、プリント物15の張り付き、引っ掛かり、滞留、紙詰まり等の問題箇所の把握等を迅速に行うことができる。
【0073】
図15に示す搬送載積機構1は、背面と底面の交線付近に支脚85を備える。支脚85は、ヒンジ87等により回転可能に設けられる。
搬送載積機構1を画像出力装置等の機器の筐体に収納する場合は、支脚85を矢印89方向に畳み込み、搬送載積機構1を単独で取り出した場合は、支脚85を矢印90方向に開く。
【0074】
このように、搬送載積機構1に自立脚を設けることにより、人手により支持する必要がなく単体での取扱負担を軽減することができると共に、自立脚を畳み込むことにより、収納スペースを節約することができる。
【0075】
次に、図18を参照しながら、搬送載積機構1の一形態について説明する。
図18は、搬送載積機構1の一形態を示す図である。
尚、図18は、搬送載積機構1の好適な形態の一つを示すものであり、これに限定されるものではない。
【0076】
図18の搬送載積機構1に示すように、搬入口25付近の傾斜30の傾斜角は、60°程度とすることが望ましい。
また、傾斜板39及び底面板7の傾斜角は、37.5°程度とすることが望ましい。
【0077】
次に、図19〜図21を参照しながら、傾斜板39の一形態について説明する。
図19は、傾斜板39の一形態を示す平面図である。
図20は、傾斜板39の一形態を示す正面図である。
図21は、傾斜板39の一形態を示す側面図である。
尚、図19〜図21は、傾斜板39の好適な形態の一つを示すものであり、これに限定されるものではない。
【0078】
図19〜図21に示す傾斜板39は、全長701が192mmであり、幅702が169mmであり、高さ703が3mmである。金属板67は、幅50mmであり、ジュラコン板61の中央前後方向に凹んだ箇所に嵌められる。
溝63の幅704は、1.5mm程度とすることが望ましい。また、溝63の高さ705は、0.15mm程度とすることが望ましい。
【0079】
次に、図22及び図23を参照しながら、押えブロック41の一形態について説明する。
図22は、押えブロック41の一形態を示す図である。
図23は、図22のP−P’線断面図である。
尚、図22及び図23は、押えブロック41の好適な形態の一つを示すものであり、これに限定されるものではない。
【0080】
図22及び図23に示す押えブロック41は、全長801が165mmであり、幅802が155mmであり、高さ803が70mmである。
押えブロック41の前方上面の斜面に関しては、斜面811を傾斜角12°程度、傾斜長23.5×(1/cos(12°))mm程度に設け、続いて、斜面812を傾斜角30°程度、傾斜長22.5×(1/cos(30°))mm程度に設け、続いて、垂直面813を長さ12mm程度に設け、続いて、斜面814を傾斜角45°程度、傾斜長28×(1/cos(45°))mm程度に設けることが望ましい。
尚、押えブロック41の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート等のプラスチックを用いることができる。また、重量20g以下とすることが望ましい。
【0081】
以上、説明したように、本発明の搬送載積機構は、搬送部、載積部等から構成され、搬送部は、プリント物の落下速度を抑制し、プリント物の向きを整え、載積部は、押えブロックによりプリント物を載積台に案内誘導すると共に、押えブロックの重みにより載積済のプリント物を載積台に押圧する。
また、プリント物と搬送路の路面、傾斜板との接触面積を低減し、除電、接地(アース)等を行うことにより、プリント物の貼り付き、引っ掛かり、滞留、紙詰まりを防止することができる。
従って、搬送載積機構は、整った状態でプリント物を所定の場所に載積するので、プリント物が離散せず保持され、ユーザの取扱負担を軽減することができる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかる搬送載積機構等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】搬送載積機構1の概略斜視図
【図2】搬送載積機構1の概略斜視図
【図3】搬送載積機構1の側断面図
【図4】搬入調整部27の一態様を示す図
【図5】搬送載積機構1の搬送部21の断面図(図3のAA’線断面図)
【図6】緩衝幕37の一態様を示す図
【図7】傾斜板39の上面図
【図8】傾斜板39の断面図(図7のCC’線断面図)
【図9】押えブロック41の概略斜視図
【図10】押えブロック41の動作を示す図
【図11】押えブロック41の断面図(図3、図10のBB’線断面図)
【図12】押えブロック41の一態様を示す図
【図13】搬送載積機構1の画像出力装置300への収納、取出を示す図
【図14】搬送載積機構1の画像出力装置300への収納、取出を示す図
【図15】搬送載積機構1の自立状態を示す図
【図16】従来のプリント手段の概略構成を示す図
【図17】従来のプリント手段の概略構成を示す図
【図18】搬送載積機構1の一形態を示す図
【図19】傾斜板39の一形態を示す平面図
【図20】傾斜板39の一形態を示す正面図
【図21】傾斜板39の一形態を示す側面図
【図22】押えブロック41の一形態を示す図
【図23】図22のP−P’線断面図
【符号の説明】
【0084】
1………搬送載積機構
3………正面板
5………側面板
7………底面板
9………背面板
13………取出口
15………プリント物
25………搬入口
27………搬入調整部
29………搬送路
31………搬送調整部
33………搬出口
35………搬出調整部
37………緩衝幕
39………傾斜板
41………押えブロック
42………斜面
43………載積台
51………プリンタ
53………排紙口
55………ガイド
57………路面
59………稜線
61………ジュラコン板
63………溝
67………金属板
70………斜面
71、75………凸部
73………凹部
76………空間
81………スライド部材
83………回転部材
85………支脚
87………ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント物の搬送を行う搬送部及びプリント物の載積を行う載積部を有する搬送載積機構であって、
前記搬送部は、
後向に開口し前記プリント物を搬入する複数の搬入口と、
下向に開口し前記プリント物を搬出する複数の搬出口と、
対応する前記搬入口と前記搬出口とをそれぞれ導通する複数の搬送路と、
を具備し、
前記載積部は、
前方下方に傾斜する底板と、
前記底板の前部に前方上方に傾斜して立設し、前記プリント物を載積する載積台と、
前記複数の搬出口の下方であって前記底板の上方に平行に設けられ、前記プリント物を前記載積台に誘導する傾斜板と、
を具備することを特徴とする搬送載積機構。
【請求項2】
前記搬入口は、上下方向に所定の間隔に設けられ、前記搬出口は、前後方向に隣接して設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項3】
前記搬入口の近傍には、前記プリント物との接触面積を軽減する接触面積軽減部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項4】
前記搬入口の近傍には、前記プリント物の除電を行う除電部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項5】
前記搬送路は、接地した金属製のガイドにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項6】
前記搬送路は、傾斜または突起の少なくともいずれかを有することを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項7】
前記搬送路の幅は、前記プリント物の対角長より小さいことを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項8】
前記搬送路の断面は、矩形であることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項9】
前記搬送路の側面は、透明性を有することを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項10】
前記搬出口近傍に、突出片が設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項11】
前記傾斜板は、金属板と表面に凹凸を有する非金属板とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項12】
前記搬出口近傍に、柔軟性を有し前記プリント物の移動速度を緩衝する少なくとも1枚の緩衝幕が設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項13】
前記傾斜板の上方であって最前の前記搬出口近傍に、柔軟性を有し前記プリント物の移動速度を緩衝する複数枚の緩衝幕が、それぞれの上端辺を束ねて固定して設けられ、前方の幕の長さは後方の幕の長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項14】
前記載積部は、さらに、前記底板及び前記傾斜板間を摺動可能に設けられ、後上方から前記プリント物を前記載積台に押さえる押えブロックを具備することを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項15】
前記押えブロックは、前記プリント物の載積枚数に応じて後上方に移動することを特徴とする請求項14に記載の搬送載積機構。
【請求項16】
前記押えブロックの上面の前方は、凸部と凸部の間に凹部を有することを特徴とする請求項14に記載の搬送載積機構。
【請求項17】
前後方向にスライド可能なスライド部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項18】
水平方向に回転可能な回転部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。
【請求項19】
前記底面にヒンジ結合される支脚を具備することを特徴とする請求項1に記載の搬送載積機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2006−1694(P2006−1694A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179297(P2004−179297)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】