説明

搭載カメラのチェック方法、搭載カメラのチェックプログラム、および、搭載カメラのチェック機能を有する電子部品装着装置

【課題】電子部品装着装置に搭載するカメラでチェックをおこないドライバソフトウェアのミスマッチなどをチェックして、設定ファイルを記述するなどのソフト的なスイッチ手段の設定ミスを防止する。
【解決手段】画像認識処理装置のCPUは、チェックプログラムを実行して、メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定する。そして、画像に異常があると判定したときには、モニタに、その画像を撮像したカメラに異常がある旨の画面を表示する。チェックする際には、撮像した画像の画像端におけるピクセルの階調を調べて、画像端におけるピクセルの階調で黒に近いものが連続するパターンがあるか否かを調べることにより、垂直同期・水平同期に異常があるか否かをチェックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品装着装置に搭載するカメラの設定をチェックする方法に係り、特に、電子部品装着装置に搭載する部品認識カメラ、基板認識カメラを動作させるためのソフトウェア設定の誤りをチェックするのに好適な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に電子部品を搭載する電子部品装着装置においては、搭載部品を部品供給ユニットから、装着ヘッドに搭載された吸着ノズルにより吸い出し、装着ヘッドをプリント基板上に移動させ、その後、装着ヘッドをプリント基板に下降させて、電子部品を搭載する手法が知られている。
【0003】
この際に、装着ヘッドは部品認識カメラの上を通過して撮像されることによって、吸着ノズルにおける部品の位置や吸い出された部品の種類を認識する認識処理がなされる。また、装着ヘッドにも基板認識カメラが設置されており、プリント基板に施された位置決めマークを撮像して、それからの位置決めマークの位置を認識処理をする。このように、部品認識カメラによる撮像結果の認識処理と基板認識カメラによる認識処理の結果によって、プリント基板に搭載する部品の種類を誤ることなく、その部品の搭載するプリント基板の位置の正当性も確保している。
【0004】
特許文献1には、このような部品認識カメラを用いた電子部品装着装置において、部品認識カメラから撮像した画像により部品の吸着状態をモニタに表示させる技術が開示されている。また、特許文献2には、部品認識カメラの撮像結果による認識処理により、異常な部品を自動的に廃棄する技術が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、モニタの一画面に収まらないときに、基板認識カメラによりプリント基板のパターンを分割して撮像する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−239010号公報
【特許文献2】特開2006−210722号公報
【特許文献3】特開2007−12651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、電子部品装着装置には、部品認識カメラや基板認識カメラのように複数のカメラが搭載され、画像認識技術を用いることにより、部品の搭載の位置の正確性や部品の種類の正当性を担保している。
【0008】
しかしながら、電子部品装着装置に搭載する部品認識カメラや基板認識カメラでは、二社購買や生産終了などの理由で、同じ電子部品装着装置に複数の種類のカメラを使用するケースがある。そのときに、搭載するカメラが完全互換であれば問題ないが、完全互換でないケースがほとんどである。その場合に、カメラの取り付け時に、設定ファイルを記述するなどのソフト的なスイッチ手段により、搭載されるカメラのドライバーソフトウェアを切り替えていた。製品出荷時には、設定ミスなどは、比較的少ないと考えられるが、故障による交換などのフィールドワークにより、カメラの交換をおこなうときには、設定ファイルを記述ミスや記述忘れなどの原因により、部品認識カメラや基板認識カメラなどの電子部品装着装置に搭載するカメラが正常に画像を取り込めないケースがあった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、電子部品装着装置に搭載するカメラでチェックをおこないドライバソフトウェアのミスマッチなどをチェックして、設定ファイルを記述するなどのソフト的なスイッチ手段の設定ミスを防止できるようなカメラのチェック方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
CPUと、メモリと、画像取込みインターフェースとを備える画像認識処理装置を有する電子部品装着装置に搭載する搭載カメラ(部品認識カメラ、基板認識カメラ)のチェック方法において、画像取込みインターフェースを介して、搭載するカメラから画像を取込みメモリに格納して、CPUが、カメラチェックプログラムを実行して、メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定する。そして、画像に異常があると判定したときには、モニタに、その画像を撮像したカメラに異常がある旨の画面を表示する。チェックする際には、撮像した画像の画像端におけるピクセルの階調を調べて、画像端におけるピクセルの階調で黒に近いものが連続するパターンがあるか否かを調べることにより、垂直同期・水平同期に異常があるか否かをチェックする。これにより、カメラが動作するためのドライバソフトウェアの設定が誤っていないかをチェックすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子部品装着装置に搭載するカメラでチェックをおこないドライバソフトウェアのミスマッチなどをチェックして、設定ファイルを記述するなどのソフト的なスイッチ手段の設定ミスを防止できるようなカメラのチェック方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置の上面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置の画像認識処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置の画像認識処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図5】搭載カメラの設定ファイルの一例を示す図である。
【図6A】本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置に搭載するカメラのパラメタ教示の手順を示すフローチャートである(その一)。
【図6B】本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置に搭載するカメラのパラメタ教示の手順を示すフローチャートである(その二)
【図7】カメラが撮像した画像の正常時の様子と異常時の様子を対比して示した図である。
【図8】メインテナンス画面を示す図である。
【図9】パラメタ教示画面を示す図である。
【図10】カメラの設定に異常があることを表示する画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1ないし図10を用いて本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置の搭載カメラのチェック方法について説明する。
先ず、図1および図2を用いて電子部品装着装置の構造について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置の上面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置のブロック図である。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態に係る電子部品装着装置は、基台2上に、種々の電子部品をそれぞれその部品取出し部(部品吸着位置)に1個ずつ供給する部品供給ユニット3が複数並設されている。対向する部品供給ユニット3群の間には、供給コンベア4、位置決め部5および排出コンベア6が設けられている。供給コンベア4は、上流側装置より受けたプリント基板Pを位置決め部5に搬送し、位置決め部5で位置決め機構(図示せず)により位置決め固定されたプリント基板P上に電子部品が装着された後、排出コンベア6に搬送される。
【0015】
一対のビーム8A、8Bは、X方向に長く伸ばされており、それぞれY軸モータ9の駆動によりネジ軸10を回転させ、左右一対のガイド11に沿ってプリント基板Pや部品供給ユニット3の部品取出し位置(部品吸着位置)上方を個別にY方向に移動する。
【0016】
各ビーム8A、8Bにはその長手方向、すなわちX方向にX軸モータ12によりガイド(図示せず)に沿って移動する取付体7Aに装着ヘッド7Bがそれぞれθ軸モータ14により回動可能に設けられている。各装着ヘッド7Bには、6本の吸着ノズルの任意のものを上下動させるための上下軸モータ13が搭載され、また、θ軸モータ14が搭載されている。したがって、装着ヘッド7Bの各吸着ノズルは、X方向およびY方向(平面方向)に移動可能であり、垂直線回りに回転可能で、かつ上下動可能となっている。
【0017】
部品認識カメラ16は、吸着ノズルに吸着保持された電子部品を下方向から撮像するカメラである。
【0018】
基板認識カメラ18は、装着ヘッド7Bに取り付けられており、プリント基板Pに付された位置決めマークを撮像するカメラである
また、本実施形態の電子部品装着装置の機能ブロックを示すと、図2に示さるようになる。電子部品装着装置1の各部は、CPU(Central Processing Unit)30の指示を受け、制御される。そして、この制御に係るプログラムを格納するROM(Read Only Memory)31および各種データを格納するRAM(Random Access Memory)32がバスライン33を介して接続されている。また、CPU30には操作画面等を表示するモニタ34およびそのモニタ34の表示画面に形成された入力手段としてのタッチパネルスイッチ35がインターフェース36を介して接続されている。また、Y軸モータ9、X軸モータ12、上下軸モータ13、θ軸モータ14が駆動回路38、インターフェース36を介してCPU30に接続されている。
【0019】
RAM32には、部品装着に係るプリント基板Pの種類毎に装着データが記憶されており、その装着順序毎(ステップ番号毎)に、プリント基板P内での各電子部品の装着座標のX方向、Y方向および角度情報や、各部品供給ユニット3の配置番号情報等が格納されている。また、RAM32には、各部品供給ユニット3の部品供給ユニット配置番号に対応した各電子部品の種類の情報、部品配置データが格納されており、さらには、形状データ・認識データ・制御データ・部品供給データから成る部品ライブラリデータが格納されている。すなわち、この部品ライブラリデータとして、この部品ID毎に電子部品の特徴を表す電子部品のX方向、Y方向の長さ、厚さ情報等のデータや使用吸着ノズルのノズルIDに関するデータ等が格納されている。また、RAM32には、電子部品装着装置の管理データなども格納されている。
【0020】
画像認識処理装置37は、インターフェース36を介して、CPU30に接続されるており、部品認識カメラ16により撮像して取込まれた画像の認識処理がこの画像認識処理装置37にておこなわれ、CPU30に処理結果が送出される。すなわち、CPU30は、部品認識カメラ16により撮像された画像を認識処理(位置ずれ量の算出など)するように指示を画像認識処理装置37に出力すると共に、認識処理結果を画像認識処理装置37から受取るものである。
【0021】
次に、本実施形態に係る電子部品装着装置の部品の装着動作の概要について説明する。
【0022】
先ず、プリント基板Pの生産運転が開始され、プリント基板Pが上流側装置(図示せず)より受継がれて供給コンベア4上に存在すると、供給コンベア4上のプリント基板Pを位置決め部5へ移動させ、位置決め固定する。そして、RAM32に格納された装着データ、すなわちプリント基板P上の装着すべきXY座標位置、鉛直軸線回りへの回転角度位置およびFDR番号(各部品供給ユニット3の配置番号)等が指定された装着データに従い、Y方向は、Y軸モータ9を駆動させて一対のガイド11に沿って、ビーム8Aまたは8Bを移動させ、X方向は、X軸モータ12を駆動させて対応する装着ヘッド7Bの吸着ノズルのいずれかを装着すべき電子部品を所定の部品供給ユニット3上方に移動させ、上下軸モータ13を駆動させて吸着ノズルを下降させて電子部品を吸着して取出すことになる。
【0023】
さらに、部品認識カメラ16上方に吸着ノズルを移動させながら吸着保持された電子部品を撮像(フライ撮像)して画像認識処理装置37で認識処理し、また、ビーム8Aまたは8Bをプリント基板P上方へ移動させてプリント基板Pに付された位置決めマークを基板認識カメラ18で撮像して画像認識処理装置37で位置ずれ量を認識処理し、それらの結果に基づき、再び基板Pの装着位置上方へ移動させて吸着ノズルが装着データの装着座標に両認識結果を加味して位置ずれを補正しつつ、それぞれ当該装着ヘッド7Bの吸着ノズルに吸着保持された全電子部品をプリント基板P上に装着する。
【0024】
このようにして、1枚のプリント基板P上へ装着すべき電子部品を全て終了するまで、電子部品の取出し、認識、装着が繰り返され、全て終了すると、位置決め部5から排出コンベア6にプリント基板Pが搬送され、1枚目のプリント基板Pの電子部品装着に係る生産が終了し、2枚目のプリント基板Pに対する生産がおこなわれることになる。
【0025】
次に、図3および図4を用いて本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置の画像認識処理装置のハードウェア構成とソフトウェア構成の詳細について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置の画像認識処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置の画像認識処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図5は、搭載カメラの設定ファイルの一例を示す図である。
【0026】
画像認識処理装置37は、図3に示されるように、CPU301、メインメモリ302、補助記憶インターフェース303、画像取込みインターフェース304がバス300を介して接続された構成である。
【0027】
CPU301は、各部に指示を与え、メインメモリ302上にロードされたプログラムを実行する。メインメモリは、補助記憶装置310からロードされたプログラムと、ワークデータを保持する。
【0028】
補助記憶装置インターフェース303には、補助記憶装置310が接続される。補助記憶装置310は、大容量のHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置であり、カメラより取り込んだ画像やCPU301で実行されるプログラムが格納される。
【0029】
画像取込みインターフェース304には、部品認識カメラ16a,16bと基板認識カメラ18a,18bが接続され、CPU301からの指示を伝えて、各々のカメラで撮像された画像を取り込むためのインターフェースである。
【0030】
CPU301で実行されるプログラムは、図4に示されるようなソフトウェア構成をとる。図4において、上位レイヤのソフトウェアが下位レイヤのソフトウェアの機能を使う構成になっている。
【0031】
OS(Operating System)400は、例えば、Windows(登録商標) XPであり、ハードウェアとプログラムを仲立ちとなり、メモリ管理やタスク制御などをおこなう。画像処理ライブラリ410は、画像処理をおこなうモジュール群である。カメラドライバソフトウェア420は、部品認識カメラ16と基板認識カメラ18を動作させるためのソフトウェアである。
【0032】
アプリケーションソフトウェア430は、一般の応用プログラムであるが、本実施形態では、特に、アプリケーションソフトウェア430には、カメラ制御プログラム431、カメラチェックプログラム432、画像認識プログラム433が含まれる。
【0033】
カメラ制御プログラム431は、各々のカメラに指示を与え、撮像した画像の取り込みをおこなうプログラムである。
【0034】
電子部品装着装置1の装置起動時に、カメラ制御プログラム431等と共にカメラドライバソフトウェア420はロードされる。このとき、図5に示された設定ファイル500を参照して、補助記憶装置310に保持されているカメラドライバソフトウェア420がロードされる。
【0035】
設定ファイル500には、行ごとに、電子部品装着装置1での基板認識カメラ18a,18bと部品認識カメラ16a,16bの位置を表す位置ID501と、カメラの機種を示す機種ID502が対になって記述されている。このように、カメラドライバソフトウェア420をカメラに応じてロードすることにより、カメラの機種を変更した場合でもカメラ制御プログラム431を変更することなくカメラの撮像画像の取込等を実行することができる。
【0036】
カメラチェックプログラム432は、本実施形態のカメラのチェックをおこないプログラムである。すなわち、ロードされているカメラドライバソフトウェア420がカメラ機種と一致(対応)しているかを確認する。
【0037】
画像認識プログラム433は、取込んだ画像の認識をおこなうプログラムである。
【0038】
次に、図6Aないし図10を用いて本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置に搭載するカメラのチェック動作について説明する。
図6Aおよび図6Bは、本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置に搭載するカメラのパラメタ教示の動作の手順を示すフローチャートである。
図7は、カメラが撮像した画像の正常時の様子と異常時の様子を対比して示した図である。
図8は、メインテナンス画面を示す図である。
図9は、パラメタ教示画面を示す図である。
図10は、カメラの設定に異常があることを表示する画面を示す図である。
【0039】
電子部品装着装置に搭載するカメラのチェック動作は、CPU301が、図4に示したカメラチェックプログラムを実行することにより実現される。カメラのチェック動作がおこなわれのは、部品認識カメラ16または基板認識カメラ18のメインテナンスでそれらのカメラのパラメタを作業者に教示するときである。
【0040】
カメラのパラメタを教示するときには、先ず、モニタ34に表示される図8のメインテナンス画面600の「部品認識カメラパラメタ」ボタン601、または、「基板認識カメラパラメタ」ボタン602をタッチパネル35により、タッチして、図9に示されるパラメタ教示画面700を呼び出す。
【0041】
そして、作業者は、カメラ選択メニュー701より、対象となるカメラを選択して、「教示実行」ボタン702をタッチする。なお、カメラ選択メニュー701を設けずに、「教示実行」ボタン702をタッチしたとき、全てのカメラを対象にするようなユーザインターフェースにしてもよい。
【0042】
テストを実行するカメラが、部品認識カメラ16のときには、テスト用の治具をつけた装着ヘッド7Bが部品認識カメラ16に移動し、テストを実行するカメラが、基板認識カメラ18のときには、装着ヘッド7Bがテスト用のプリント基板上に移動する(図6AのS01)。図9には、「部品認識カメラパラメタ」601が選択されたときのパラメタ教示画面が示されている。
【0043】
次に、部品認識カメラ16または基板認識カメラ18がそれぞれのターゲットを撮像して、画像取込みインターフェース304を介して、メモリメモリ302に画像を取込む(S02)。
【0044】
ここで、階調値は、例えば、グレースケールで、0〜255の一バイトの数値で表されており、0〜50のときには、黒と判断する。
【0045】
CPU301は、取込んだ画像端の所定のライン分(例えば、1ライン分)をチェックして(S03)、所定の階調値(50)以下であり、黒と判断されたピクセルが、所定の回数以上(例えば、15回)連続して現れるパターンがあるか否かを判断し(S04)、そのようなパータンが現れているときには、カメラの設定に異常があるものとして、図10に示される異常表示画面800をモニタ34上に表示する(S05)。
【0046】
そのようなパータンが現れていないときには、カメラ設定が正常であるものとして、図9に示されるように、取得したカメラのパラメタを表示する(S06)。
【0047】
取込んだ画像をチェックして、所定の階調値以下のピクセルが、所定の回数連続して現れるパターンがあるというのは、その取込んだ画像端の画像に垂直同期または水平同期にずれが生じていて、カメラになにも写っていない可能性が高いからである。かつ、画像が黒っぽいときであっても、カメラの設定が正常で、撮像がおこなわれているときには、どこかに白っぽい点が生じて、黒いピクセルが連続して生じることは少ないと考えられるからである。このような場合は、連続するピクセルが黒一色であり、これらのピクセルは全て検出し得る最小の階調値となっており、前述するS04の所定値は検出しうる最小の階調値としてもよい。また、白(階調値大)のピクセルが連続しているパターンがあったときに、一致しないことが分かっている場合は、このパターンであることを判断して不一致を判断してもよい。さらに、ある特定の階調値のピクセルのパターンにより、カメラとカメラドライバソフトウェアの不一致を判断してもよい。
【0048】
図7には、垂直同期のずれか生じて画面の上端が、黒くなったラインが現れた異常画面と、正常画面が対比して示されている。垂直同期のずれが生じるときには、画面の上端または下端に黒くなったラインが現れる可能性があり、水平同期のずれが生じるときには、画面の右端または左端に黒くなったラインが現れる可能性があるので、この四種類の画面端を調べるようにしてもよいし、カメラの特性で、使用するカメラが限定されているときに、設定ファイル500を参照して、特定の画面端(例えば、上端と下端)のみ、ずれが生じやすいことがわかっているときには、その画面端の画像のみ取込んでチェックするようにしてもよい。
【0049】
また、図6Aに示される処理では、カメラの設定に異常が判明したときには、図10に示される異常表示画面をモニタ34上に表示するのみであったが、図6Bに示されるように、異常表示画面をモニタ34上に表示するのに加えて、プログラムが設定ファイルを自動的に書き直すなどの手段により、カメラドライバソフトウェアを適切なものに切替えるようにしてもよい(S07)。
【0050】
カメラドライバソフトウェアを切替えた後は、S02の処理に戻り、再度、チェックをおこなう。
【符号の説明】
【0051】
1…電子部品装着装置、3…部品供給ユニット、7B…装着ヘッド、16…部品認識カメラ、18…部品認識カメラ、30…CPU、32…RAM、37…画像認識処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品装着装置に搭載する搭載カメラのチェック方法において、
CPUと、メモリと、画像取込みインターフェースとを備える画像認識処理装置を有し、
前記画像取込みインターフェースを介して、前記カメラから画像を取込み前記メモリに格納するステップと、
前記CPUが、前記メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定するステップと、
前記画像に異常があると判定したときには、モニタに、その画像を撮像したカメラに異常がある旨の画面を表示するステップとを有することを特徴とする搭載カメラのチェック方法。
【請求項2】
前記CPUが、前記メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定するステップにおいて、撮像した画像の画像端におけるピクセルの階調を調べることを特徴とする請求項1記載の搭載カメラのチェック方法。
【請求項3】
前記撮像した画像の画像端におけるピクセルの階調で黒と判断されたものが連続するパターンがあるか否かを調べることを特徴とする請求項2記載の搭載カメラのチェック方法。
【請求項4】
電子部品装着装置に搭載する搭載カメラのチェックプログラムにおいて、
CPUと、メモリと、画像取込みインターフェースとを備える画像認識処理装置を有し、
前記搭載カメラのチェックプログラムは、前記画像認識処理装置の前記CPUにより実行され、
前記搭載カメラのチェックプログラムは、前記画像取込みインターフェースを介して、前記カメラから画像を取込み前記メモリに格納する機能と、
前記CPUが、前記メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定する機能と、
前記画像に異常があると判定したときには、モニタに、その画像を撮像したカメラに異常がある旨の画面を表示する機能を有することを特徴とする搭載カメラのチェックプログラム。
【請求項5】
前記CPUが、前記メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定する機能を実行するときに、撮像した画像の画像端におけるピクセルの階調を調べることを特徴とする請求項4記載の搭載カメラのチェックプログラム。
【請求項6】
前記撮像した画像の画像端におけるピクセルの階調が、黒と判断されたものが連続するパターンがあるか否かを調べることを特徴とする請求項5記載の搭載カメラのチェックプログラム。
【請求項7】
CPUと、メモリと、画像取込みインターフェースとを備える画像認識処理装置を有し、前記画像取込みインターフェースより、部品を認識する部品認識カメラと
基板を認識する基板認識カメラより、前記メモリに画像を取込む電子部品装着装置において、
前記CPUが、前記メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定し、
前記画像に異常があると判定したときには、モニタに、その画像を撮像した部品認識カメラまたは基板認識カメラに異常がある旨の画面を表示することを特徴とする搭載カメラのチェック機能を有する電子部品装着装置。
【請求項8】
前記CPUが、前記メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定するときに、撮像した画像の画像端におけるピクセルの階調を調べることを特徴とする請求項7記載の搭載カメラのチェック機能を有する電子部品装着装置。
【請求項9】
前記撮像した画像の画像端におけるピクセルの階調が、黒と判断されたものが連続するパターンがあるか否かを調べることを特徴とする請求項7記載の搭載カメラのチェック機能を有する電子部品装着装置。
【請求項10】
前記画像認識装置は、前記メモリに前記部品認識カメラと前記基板認識カメラのカメラIDを記述した設定ファイルを保持し、
前記カメラIDに従って、前記ピクセルの階調を調べる画像端の位置を変えることをことを特徴とする請求項8記載の搭載カメラのチェック機能を有する電子部品装着装置。
【請求項11】
前記画像認識装置は、前記メモリに前記部品認識カメラと前記基板認識カメラのカメラIDを記述した設定ファイルを保持し、
前記CPUが、前記メモリに取込んだ画像をチェックし、画像に異常があるか否かを判定し、前記画像に異常があると判定したときには、前記設定ファイルの前記カメラIDを書き変えることを特徴とする請求項7記載の搭載カメラのチェック機能を有する電子部品装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−146619(P2011−146619A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7847(P2010−7847)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】