説明

携帯型プロジェクタ

【課題】コストを削減できる携帯型プロジェクタを提供する。
【解決手段】映像信号に基づく映像を投影する投影部13を有した本体部10と、投影部13の出射方向を設置面W1に対して所定の傾斜角度θに維持して本体部10を着脱自在に保持するスタンド30とを備え、本体部10をスタンド30に装着して投影部13から投影を行う際に、傾斜角度θに応じたキーストン補正を施した映像を投影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を投影面に投影する携帯型プロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯型プロジェクタは特許文献1に開示されている。この携帯型プロジェクタはヒンジ部で回動自在に連結される第1、第2筐体を有した折り畳み式の携帯電話機から成っている。第1筐体には映像を投影する投影部が設けられる。第2筐体には第1筐体に向けて光を出射し、反射光を受光して第1、第2筐体の角度を検知する光センサが設けられる。
【0003】
第2筐体は机上等に設置され、携帯電話機に保存される写真等の映像が投影部から壁面等に投影される。この時、第2筐体に対する第1筐体の角度が光センサにより検知され、検知した角度に応じて映像がキーストン補正される。これにより、投影部の出射光の出射方向に対して映像の投影面が垂直に配置されていなくても矩形の映像画面を表示して良好に映像を見ることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−236746号公報(第4頁−第10頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の携帯型プロジェクタによると、第1、第2筐体の角度を検知する光センサを必要とするため携帯型プロジェクタが高価になる問題があった。
【0006】
本発明は、コストを削減できる携帯型プロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、映像信号に基づく映像を投影する投影部を有した本体部と、前記投影部の出射方向を設置面に対して所定の傾斜角度に維持して前記本体部を着脱自在に保持するスタンドとを備え、前記本体部を前記スタンドに装着して前記投影部から投影を行う際に、前記傾斜角度に応じたキーストン補正を施した映像を投影することを特徴としている。
【0008】
この構成によると、本体部は机上等に設置されるスタンドに保持され、投影部の出射方向がスタンドの設置面に対して一定の傾斜角度に維持される。投影部は該傾斜角度に応じたキーストン補正を施した映像を投射し、投影面上に矩形の映像が表示される。
【0009】
また本発明は、上記構成の携帯型プロジェクタにおいて、前記本体部は前記スタンドを介して外部電源から電力供給される電力供給部を有し、前記電力供給部の印加電圧によって前記本体部の装着状態を検知することを特徴としている。この構成によると、スタンドには商用電源等の外部電源が接続され、スタンドに設けられる端子の接触により電力供給部に電圧が印加されて本体部に電力が供給される。また、電力供給部に電圧が印加された状態で投影部から映像を投影するとキーストン補正が行われる。
【0010】
また本発明は、上記構成の携帯型プロジェクタにおいて、前記本体部は充電池を有し、前記スタンドを介して外部電源から前記充電池に充電することを特徴としている。この構成によると、商用電源等の外部電源が接続されたスタンドに本体部を装着すると充電池に充電される。本体部は外部電源の電力によって映像を投影してもよく、充電池の電力によって映像を投影してもよい。本体部をスタンドから外すと充電池の電力によって映像を投影することができる。
【0011】
また本発明は、上記構成の携帯型プロジェクタにおいて、前記本体部が携帯電話機から成ることを特徴としている。この構成によると、本体部はスタンドから脱着されると充電池の電力によって携帯電話機として使用される。
【0012】
また本発明は、上記構成の携帯型プロジェクタにおいて、前記本体部は投影される映像のデータを保存するデータ保存部を有することを特徴としている。この構成によると、データ保存部に保存された映像のデータを取り出して投影部により映像が投影される。データ保存部は本体部に内蔵してもよく、本体部に着脱できるようにしてもよい。
【0013】
また本発明は、上記構成の携帯型プロジェクタにおいて、前記スタンドは映像信号が入力される外部入力部を有し、前記外部入力部から前記本体部に送られた映像信号により映像が投影されることを特徴としている。この構成によると、スタンドに設けた外部入力部から入力された映像信号が投影部に送られて映像が投影される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、本体部をスタンドに装着した際にスタンドの設置面に対して投影部の出射方向が所定の傾斜角度に維持され、該傾斜角度に応じたキーストン補正を施した映像を投影部から投影するので、傾斜角度を検知する光センサ等の検知手段を設ける必要がない。従って、携帯型プロジェクタのコストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の携帯型プロジェクタを示す側面図である。携帯型プロジェクタ1は本体部10及びスタンド30を備えている。詳細を後述するように、本体部10は携帯電話機になっており、スタンド30は充電器になっている。
【0016】
スタンド30は机上等の設置面W1に設置され、スタンド30の側壁には電源端子31及び外部入力部32が設けられる。電源端子31は商用電源40(図3参照)に接続される。電源端子31に商用電源40以外の外部電源を接続してもよい。外部入力部32はHDMI端子、D端子、S端子、USB端子等の端子から成り、映像信号が入力される。映像信号はアナログ信号であってもデジタル信号であってもよく、映像のデータであってもよい。
【0017】
スタンド30の上面には本体部10が装着される受け部30aが凹設されている。図2は本体部10の底面図を示している。本体部10は受け部30aに嵌合し、傾斜した状態で着脱自在に保持される。また、本体部10の底面には受け部30aに設けたコネクタ33(図3参照)に接続されるコネクタ23が設けられる。
【0018】
図1において、本体部10の上部には投影部13が設けられる。投影部13は光学系を有し、光線束Eを出射して投影面W2に映像を投影する。本体部10を受け部30aに装着した状態で光線束Eの中心光線Cと設置面W1とは一定の傾斜角度θになっている。中心光線Cの方向が投影部13の出射方向になる。
【0019】
図3は携帯型プロジェクタ1の構成を示すブロック図である。本体部10には各部を制御する制御部11が設けられる。制御部11には通信部12、投影部13、カメラ部14、スピーカ15、マイク16、電力供給部17、入力端子18、データ保存部19、操作部20、表示部21、充電池22が接続される。
【0020】
通信部12は携帯電話機の基地局と通信して電話による通話を行う。また、通信部12はインターネット接続機能を有しており、通信部12によりインターネット接続して電子メールの送受信やWEBサイトの閲覧等を行う。投影部13は前述したように光学系を有して映像を投影する。カメラ部14は投影部13とは独立した光学系を有し、カメラ撮影を行う。
【0021】
スピーカ15及びマイク16は電話の音声出力部及び音声入力部となる。電力供給部17及び入力端子18はコネクタ23により一体化され、スタンド30に設けたコネクタ33を介してそれぞれ電源端子31及び外部入力部32に接続される。電力供給部17によって本体部10の各部に電力が供給される。入力端子18を介して外部入力部32から入力された映像信号が投影部13に送られる。
【0022】
データ保存部19は不揮発性のメモリやHDD等から成り、アドレス帳のデータ、カメラ部で撮影した映像のデータ、インターネットを通じて取得した映像のデータ等を保存する。データ保存部19を本体部10に対して着脱自在のメモリカードにより構成してもよい。操作部20は複数の操作キーから成り、電話番号や電子メールの入力操作、投影部13やカメラ部14の操作等を行う。
【0023】
表示部21は液晶パネル等から成り、操作部20の操作によって電話番号や電子メールを表示するとともにデータ保存部19に保存したデータを表示する。充電池22は電力供給部17から供給された電力を充電し、スタンド30から脱着した本体部10の各部に電力を供給する。
【0024】
上記構成の携帯型プロジェクタ1において、本体部10をスタンド30に装着すると商用電源40等の外部電源から電源端子31及び電力供給部17を介して本体部10に電力が供給される。電力供給部17に電圧が印加されることにより、制御部11は本体部10がスタンド30に装着されたことを検知することができる。
【0025】
前述の図1に一点鎖線で示すように、スタンド30の受け部30aの内壁に対向する光センサ24を本体部10の下部に設けて本体部10の装着状態を検知してもよい。光センサ24は充電池22の電力により光を出射し、受け部30aで反射した光を受光することによって本体部10がスタンド30に装着されたことを検知する。この時、電力供給部17に接続される外部電源の電力によって映像を投影してもよく、充電池22の電力によって映像を投影してもよい。
【0026】
また、本体部10のコネクタ23にセンサを設け、コネクタ23、33が接続された際にセンサによって本体部10がスタンド30に装着されたことを検知してもよい。本体部10に設けたスイッチをスタンド30に設けた係合爪が押圧することにより、本体部10がスタンド30に装着されたことを検知してもよい。
【0027】
データ保存部19にはカメラ部14で撮影した映像のデータや、インターネットを通じて取得した映像のデータが保存される。映像のデータには静止画データ及び動画データが含まれる。また、データ保存部19がメモリカードから成る場合は、パーソナルコンピュータ等から送られた映像のデータが保存される。
【0028】
データ保存部19に保存された映像のデータを操作部20により選択して所定の操作を行うと、選択した映像のデータによる映像信号が投影部13に供給される。そして、該映像信号に基づいた映像が投影部13から投影面W2に投影される。これにより、データ保存部19に保存されたデータによる映像を見ることができる。
【0029】
この時、投影部13の出射方向は設置面W1に対して傾斜角度θで傾斜する。このため、光線束Eの下端は投影面W2までの距離L1が短く、上端は投影面W2までの距離L2が長くなる。その結果、図4に示すように、映像画面Dは下端の水平幅H1よりも上端の水平幅H2が長い台形に形成される。
【0030】
光線束Eの垂直方向の画角を2α(図1参照)とすると、下端の水平幅H1と上端の水平幅H2との比H2/H1は式(1)に示すようになる。
【0031】
H2/H1=cos(θ−α)/cos(θ+α) ・・・(1)
【0032】
このため、制御部11によって式(1)と逆の比率でキーストン補正(台形補正)が映像に施される。即ち、下端の横幅が広く、上方に行くに従って横幅が狭くなる映像が制御部11により形成され、投影部13から出射される。これにより、投影面W2上に矩形の映像画面Dを表示して良好に映像を見ることができる。キーストン補正は映像信号を可変して行ってもよく、投影部13の光学系を可変して行ってもよい。
【0033】
また、スタンド30の外部入力部32に外部機器が接続されると、入力端子18を介して制御部11に映像信号が送られる。制御部11によってキーストン補正を施した映像が投影部13から投影面W2に投影される。これにより、外部入力部32から入力されたTVやDVD等の映像を簡単に見ることができる。
【0034】
本体部10をスタンド30から外した際には、充電池22の電力によってデータ保存部19に保存された映像データを投影部13から投影することができる。この時、キーストン補正は行われないが、スタンド30を所持していない場合であっても映像を見ることができる。
【0035】
本実施形態によると、本体部10を装着した際にスタンド30の設置面W1に対して投影部13の出射方向(中心光線C)が所定の傾斜角度θに維持され、傾斜角度θに応じたキーストン補正を施した映像を投影部13から投影するので、従来のように傾斜角度θを検知する光センサ等の検知手段を設ける必要がない。従って、携帯型プロジェクタ1のコストを削減することができる。また、スタンド30によって設置面積が広くなるため机上等でのがたつきを防止し、映像表示を安定化することができる。
【0036】
また、本体部10がスタンド30を介して電力供給される電力供給部17を有するため、スタンド30に商用電源40等の外部電源を接続して本体部10に容易に電力供給することができる。加えて、電力供給部17の印加電圧によって本体部10の装着状態を容易に検知することができる。
【0037】
また、本体部10に設けた充電池22にスタンド30を介して充電するので、本体部10をスタンド30から外した際に映像を投影することができる。これにより、キーストン補正は行われないがスタンド30がない状況でも映像を見ることができ、携帯型プロジェクタ1の利便性を向上することができる。
【0038】
また、本体部10が携帯電話機から成るので、カメラ部14で撮影した映像や、インターネットを介して取得した映像等を見ることができる。従って、携帯型プロジェクタ1の利便性を向上することができる。
【0039】
また、本体部10がデータ保存部19を有するので、データ保存部19に映像を保存して携帯することができる。従って、容易に映像を見ることができ、携帯型プロジェクタ1の利便性を向上することができる。
【0040】
また、スタンド30に映像信号が入力される外部入力部32を設けたので、スタンド30の外部入力部32に外部機器を接続して簡単に映像を見ることができる。
【0041】
本実施形態において、本体部10から携帯電話機の機能を省いてもよい。この時、本体部10をスタンド30に装着し、外部入力部32から入力される映像信号をキーストン補正して投影部13から映像を投影することができる。本体部10をスタンド30から外した場合は、パーソナルコンピュータ等からデータ保存部19に保存された映像のデータによって投影部13から映像を投影することができる。
【0042】
また、本体部10に商用電源40等の外部電源の入力部を設けてもよく、データ保存部19にデータを取り込むUSB端子等のデータ入力部を設けてもよい。更に、本体部10は折り畳み式の携帯電話機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によると、映像を投影面に投影する携帯型プロジェクタに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態の携帯型プロジェクタを示す側面図
【図2】本発明の実施形態の携帯型プロジェクタの本体部を示す底面図
【図3】本発明の実施形態の携帯型プロジェクタの構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施形態の携帯型プロジェクタの補正前の映像画面を示す図
【符号の説明】
【0045】
1 携帯型プロジェクタ
10 本体部
11 制御部
12 通信部
13 投影部
14 カメラ部
15 スピーカ
16 マイク
17 電力供給部
18 入力端子
19 データ保存部
20 操作部
21 表示部
22 充電池
23、33 コネクタ
24 光センサ
30 スタンド
31 電源端子
32 外部入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に基づく映像を投影する投影部を有した本体部と、前記投影部の出射方向を設置面に対して所定の傾斜角度に維持して前記本体部を着脱自在に保持するスタンドとを備え、前記本体部を前記スタンドに装着して前記投影部から投影を行う際に、前記傾斜角度に応じたキーストン補正を施した映像を投影することを特徴とする携帯型プロジェクタ。
【請求項2】
前記本体部は前記スタンドを介して外部電源から電力供給される電力供給部を有し、前記電力供給部の印加電圧によって前記本体部の装着状態を検知することを特徴とする請求項1に記載の携帯型プロジェクタ。
【請求項3】
前記本体部は充電池を有し、前記スタンドを介して外部電源から前記充電池に充電することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯型プロジェクタ。
【請求項4】
前記本体部が携帯電話機から成ることを特徴とする請求項3に記載の携帯型プロジェクタ。
【請求項5】
前記本体部は投影される映像のデータを保存するデータ保存部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯型プロジェクタ。
【請求項6】
前記スタンドは外部入力部を有し、前記外部入力部から前記本体部に送られる映像信号により映像が投影されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の携帯型プロジェクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−171203(P2009−171203A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6815(P2008−6815)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】