説明

携帯型無線機

【課題】送信周波数表示と送信周波数の使用状況の有無とを同時に確認でき、またメモリチャネルの周波数を受信しながらの変更を容易とする機能をそなえた携帯型無線機を提供する。
【解決手段】携帯型無線機100の送信および受信の周波数を予め定めた操作により可変させるロータリエンコーダ102と、携帯型無線機100にて受信し復調した信号の出力をミュートするミュート部203と、ミュートを解除するモニタスイッチ106と、周波数のデータと任意の文字列のデータとを組みにしたメモリチャネルを一つ以上記憶し読み出し可能な記憶部210と、を備え、前記メモリチャネルが文字列で表示されている場合に、モニタスイッチ106が操作されることにより文字列と組となる周波数を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型無線機のメモリチャネルの周波数の信号を受信しながらメモリチャネルの周波数を変更可することができる携帯型無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型無線機は、あらかじめ定められた周波数範囲を送受信することが可能に設計されている。しかし通常は周波数範囲の全てを使うわけではなく、特定の周波数を用いることが多く、その特定の周波数をメモリチャネルに記憶し、必要に応じて記憶した特定の周波数をメモリチャネルから呼び出し使用する。
しかし、周波数の表示では用途が判りにくいため、用途が判りやすい文字列(以後メモリーネームと記載する)を周波数データと共にメモリチャネルに記憶させ、メモリチャネルを呼出す際にメモリネームを見てそのメモリチャネルの用途の判断を容易にすることが従来から行われている。
【0003】
また、アマチュア無線では、送信する周波数であらかじめ受信し、他局への妨害をあたえないことを確認してから送信を行うことが慣例化している。
携帯型無線機であって、特にFM変調方式を使用する場合は、受信信号が無い場合には、受信信号出力は大きな雑音となる。そのため携帯型無線機は、復調後の音声帯域外の雑音成分を検出して整流し、受信信号がなく雑音が多い場合には受信出力をミュートするスケルチ回路を備えている。一般的に受信信号が無くミュートされた状態をスケルチが閉じる、受信信号によってミュートが解除された状態をスケルチが開くという。ミュートを行う閾値は使用者が可変できるようになっている場合が多い。
そのため、閾値に達しない信号を受信していてもスケルチが開かない場合もあることから、スケルチが閉じた状態であっても、信号確認ができるようにワンタッチでスケルチを開くモニタスイッチを備える携帯型無線機もある。
通常筐体の側面にPTT(Push To Talk)スイッチを備えており、片手での操作のし易さから、PTTスイッチの近傍にモニタスイッチを備えることが多い。
特許文献1には、受信機の外側に配置され、操作者による任意の選択操作を可能とした操作手段と、操作手段における操作者の選択に基づいて、識別手段の出力と出力手段の関係を解除し、デジタルコードが不一致の場合でも出力手段における受信信号の再生使用を許可する制御手段とを設けた構成の受信機が記載されている。
スケルチによってミュートされている場合以外であっても、特許文献1の技術により、モニタスイッチ(操作手段)を操作することで、自局宛に設定されたデジタルコードが含まれる信号を受信していなくてもミュートを解除することにより、受信状態として、使用する受信周波数で送信している局の有無を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−276110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、特に携帯型無線機では表示器の面積を大きくすることが困難なため、メモリチャネルを呼出して運用する場合は、表示を周波数表示とするかメモリネーム表示とするかのどちらかを選択して表示していた。
また携帯型無線機は、スペースの関係で限られた操作スイッチ数しか備えていない場合が多く、メモリの書き込みや編集といった機能は複雑な操作を必要とした。
さらに、記憶された周波数を運用中に変更しなければならない場合には、煩雑なメモリ書き込み操作を再度行う必要があった。
【0006】
アマチュア局では、無線局運用規則 第8章第258条の規定により「アマチユア局は、自局の発射する電波が他の無線局の運用又は放送の受信に支障を与え、若しくは与える虞があるときは、すみやかに当該周波数による電波の発射を中止しなければならない。」とされてことから、予め送信を行う周波数で受信を行い他局に妨害を与えないことを確認してから送信を行うといった運用を行っている。
スケルチが閉じ受信出力がミュートされている場合であってもスケルチが開かない信号強度の信号を受信している場合もあるため、一般的にはスケルチを開く操作を行い、ミュートを解除し信号の有無を確認する。そのためスケルチを1タッチで開くことができるモニタスイッチを備えている。
また、アマチュア局は、無線局運用規則第8章第257条の規定により、「アマチユア局においては、その発射の占有する周波数帯幅に含まれているいかなるエネルギーの発射も、その局が動作することを許された周波数帯から逸脱してはならない。」とされており、
メモリネームで表示している場合は、スケルチを開いて受信を行っても、周波数が表示されていないため周波数を確認することができない。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、通常はどのような用途のメモリチャネルなのかが認識しやすく、また送信前に周波数表示と使用する周波数の使用状況の有無とを同時に確認でき、またメモリチャネルの周波数を受信しながらメモリチャネルの周波数を変更可能とする携帯型無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、
送信すべき信号を変調し送信する送信部と受信信号を受信し復調する受信部とを備える無線部と、
前記無線部の少なくとも送信または受信する周波数を予め定めた操作により可変させる周波数操作部と、
前記無線部にて受信し復調した信号の出力をミュートするミュート部と、
ミュートを特定の操作によって解除するミュート解除操作部と、
前記周波数のデータと任意の文字列のデータとを組みにしたメモリチャネルを記憶する記憶部と、
前記周波数または前記文字列を表示する表示部と、
前記メモリチャネルが前記文字列で前記表示部に表示され、前記ミュート解除操作部が操作された場合に前記文字列と組となる周波数を表示させる表示制御部と、
を備える携帯型無線機を提供する。
【0008】
さらに本発明は、
前記携帯型無線機の予め定めた各種設定を行う操作部を有し、前記ミュート解除操作部は片手にて操作可能な配置とし、前記ミュート解除操作部を一方の手にて操作する場合に、前記操作部は前記ミュート解除操作部を操作する手に干渉しない位置でかつ他方の手にて操作可能な位置に配置してもよい。
【0009】
また本発明は、
受信信号の有無を判断するミュート制御部を備え
前記ミュート制御部は、信号が無の場合は受信出力をミュートしてもよい。
【0010】
あるいは、
受信信号に含まれる自局宛の特定の信号の有無を判断するミュート制御部を備え、
前記ミュート制御部は、前記特定の信号が無の場合は、受信出力をミュートしてもよい。
【0011】
さらに本発明は、
前記ミュート解除操作部が操作され、前記表示部を周波数表示とした場合に、前記周波数操作部の操作によって周波数を変更可能な状態としてもよい。
【0012】
また本発明は、
前記ミュート解除操作部が操作され周波数表示となり、前記周波数操作部の操作によって周波数が変更され、前記ミュート解除操作を終了した時点で、変更された周波数を最後に読み出したメモリチャネルの新たな周波数として上書きしてもよい。
【0013】
あるいは、前記ミュート解除操作部が操作され周波数表示となり、前記周波数操作部の操作によって周波数を変更され、前記ミュート解除操作を終了した時点で、変更された周波数を破棄してもよい。
【0014】
さらにまた、前記ミュート解除操作部が操作され周波数表示となり、前記周波数操作部の操作によって周波数を変更され、ミュート解除操作を終了した時点で、変更された周波数を最後に読み出されたメモリチャネルの新たな周波数として上書きする設定と、
前記ミュート解除操作部が操作され周波数表示となり、前記周波数操作部の操作によって周波数を変更され、前記ミュート解除操作を終了した時点で、変更された周波数を破棄する設定と、のどちらか一方の設定をメモリチャネル毎に記憶してもよい。
【0015】
さらに送信周波数と受信周波数とを切り換えて受信を行う受信周波数切替手段を備え、
前記ミュート解除操作部が操作中に前記受信周波数切替手段が操作される毎に前記送信周波数と前記受信周波数とを交互に表示してもよい。
【0016】
また前記ミュート解除操作部が操作され、前記表示部が受信周波数表示とされた場合に、前記周波数操作部の操作によって受信周波数が変更可能な状態としてもよい。
【0017】
さらに、前記ミュート解除操作部が操作され、前記表示部が受信周波数表示とされ、さらに前記受信周波数切替手段が操作され前記送信周波数が表示された場合に、前記周波数操作部の操作によって前記送信周波数が変更可能な状態としてもよい。
【0018】
また、前記ミュート解除操作部が操作され、前記表示部が受信周波数表示とされた場合に、前記周波数操作部の操作によって前記送信周波数と前記受信周波数との差を保ったまま前記送信周波数と前記受信周波数が同時に変更可能な状態としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
モニタスイッチを操作することによって周波数の確認ができ、モニタスイッチを操作中は、同時にミュートも解除されるため受信信号の確認ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例の外嵌図である。
【図2】モニタスイッチの配置の一実施例の図である。
【図3】本発明の一実施例のブロック図である。
【図4】本発明の一実施例のフローチャート図である。
【図5】本発明の一実施例の記憶部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の携帯型無線機の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、一実施例である携帯型無線機100の外観斜視図である。
天面にアンテナ101と、周波数操作用のロータリエンコーダ102とを備える。
前面には、スピーカグリル103と、マイク孔104と、表示部107と、電源スイッチ108と、VFO/メモリ切替スイッチ109と、メモリ書き込みスイッチ110と、十字キー111と、を備える。
VFOの本来の意味は、Variable Frequency Oscillatorの略で可変周波数発振器のことである。しかし特定の周波数をメモリチャネルに記憶して運用するメモリチャネルモードに対し、周波数を予め定められた周波数間隔で可変可能な運用をVFOモードと呼ぶことは当業者では慣例となっている。
【0022】
側面には、PTTスイッチ105およびモニタスイッチ106を備える。
スピーカグリル103の内部にはスピーカが配置され、マイク孔104の内部にはマイクが配置される。
電源スイッチ108は、携帯型無線機100の電源をオンまたはオフする。
VFO/メモリ切替スイッチ109は、ロータリエンコーダ102の操作によって予め定められた周波数間隔で周波数が可変なVFOモードと、ロータリエンコーダ102の操作によってメモリチャネルを切り換えるメモリチャネルモードと、を切り換えるスイッチである。
メモリ書き込みスイッチ110は、VFOモードにて設定した周波数をメモリチャネルに記憶させるスイッチである。
十字キー111は、上下左右にスイッチを備え、各種機能の設定等を行うスイッチであり、メモリチャネルの周波数表示の代わりに表示する任意の文字列(メモリネーム)を入力するために、文字の選択や決定を行う用途にも使用する。
表示部107は、一般的にLCD(液晶表示器)が用いられ、すくなくともVFOモード時には送信または受信の周波数を表示し、メモリチャネルモード時には、メモリチャネルと周波数、またはメモリネームが表示される。
【0023】
PTTスイッチ105およびモニタスイッチ106は、図1のように、どちらのスイッチも片手で操作できる配置となっている。
そのため、携帯型無線機100の前面に設けたスイッチ(各種設定を行う十字キー111等)は、PTTスイッチ105またはモニタスイッチ106を操作中であっても、もう一方の手で操作可能な干渉しない位置となっている。よってPTTスイッチ105もしくはモニタスイッチ106を操作しながら、上面のロータリエンコーダ102や前面に設けたスイッチを操作することができる。
PTTスイッチ105は、押す(オンにする)ことにより携帯型無線機100が送信状態となり、離す(オフにする)と受信状態になる。
モニタスイッチ106は、スケルチを開くためには十分な信号強度の信号を受信していない場合に押す(オンにする)とスケルチが開きミュートが解除されて受信音声が出力され、離す(オフにする)とスケルチが閉じ受信音声出力がミュートされる。
【0024】
図2は、携帯型無線機100の内部構成図を示す図である。
アンテナ101は、図1の外観上のアンテナ101であり、電波を受信して受信信号に変換し、また携帯型無線機100の送信信号を電波に変換し送信する。
無線部201は、アンテナ101より受信した受信信号を復調する。
復調された復調信号は、後述するミュート部202を通り、スピーカ203で音声信号として出力される。
また無線部201は、マイク205より検出した音声信号を変調して送信信号に変換し、アンテナ101より送信する。
無線部201は、図示しないバッテリ等の電源部により電力を供給され動作する。
【0025】
ミュート部202は、制御部205内のミュート制御部205aからのミュート制御信号によって無線部201からの復調信号を断続する。
ミュート制御部205aは、無線部201内の記述しないノイズスケルチ回路からのノイズ検波信号のレベルに対してあらかじめ設定した閾値以上ならばミュートし、閾値を下回った場合にミュートを解除するようにミュート部202を制御する。
モニタスイッチ106は、操作される(押される)ことによりミュート制御部205aにミュート解除指示の信号を出力するミュート解除操作部である。
ミュート制御部205aは、ミュート解除指示の信号を受けることにより、ノイズ検波信号が閾値以上であってもミュート部202にミュート解除の指示を出す。
ミュート部202は、ミュート制御部205aからミュート解除信号を受けることによりミュートを解除する。
【0026】
ロータリエンコーダ102は、無線部201が送信する周波数および受信する周波数を可変するための周波数操作部であり、回転させることにより発生する2相のパルス数と位相とから周波数のアップまたはダウンといった周波数変更指示に変換し、制御部205内の周波数制御部205cに出力する。
周波数制御部205cは、周波数変更指示を受け、無線部201の送信周波数もしくは受信周波数を設定する周波数設定信号を出力する。
さらに周波数制御部205cは、周波数変更指示に対応した周波数を表示部107に表示するよう表示制御部205bに対し周波数表示変更信号を出力する。
周波数設定信号を受けた無線部201は、変更された送信周波数または受信周波数を設定し、送信もしくは受信を行う。
周波数表示変更信号を受けた表示制御部205bは、変更された周波数を表示するよう表示部107に対し表示指示信号を出力する。
表示部107は、表示指示信号を受けたことにより周波数を表示する。
【0027】
ロータリエンコーダ102は、メモリチャネルモード時は複数のメモリチャネルを切り換える動作となる。
ロータリエンコーダ102は、回転させることにより発生する2相のパルス数と位相とからメモリチャネルをアップまたはダウンといったメモリチャネル変更指示に変換し、制御部205内のメモリチャネル制御部205dに出力する。
メモリチャネル制御部205dは、使用するメモリチャネルのデータを記憶部210より読み出す。記憶部210の詳細およびメモリチャネルのデータに関しては後に示す。
【0028】
メモリチャネル制御部205dは、メモリチャネルデータ内の周波数データを周波数制御部205cに出力する。
周波数制御部205cは、周波数データを受け、無線部201の送信周波数もしくは受信周波数を設定する周波数設定信号を出力する。
周波数設定信号を受けた無線部201は、変更された送信周波数または受信周波数を設定し、送信もしくは受信を行う。
メモリチャネル制御部205cは、メモリチャネルの周波数データに対応した周波数を表示部107に表示するよう表示制御部205bに対し周波数表示変更信号を出力する。
周波数表示変更信号を受けた表示制御部205bは、変更された周波数を表示するよう表示部107に対し表示指示信号を出力する。
表示部107は、表示指示信号を受けたことにより周波数を表示する。
【0029】
またメモリチャネル制御部205dは、メモリチャネルモード時に表示部107にメモリネームを表示する設定とした場合は、メモリチャネルデータ内の文字データを表示制御部205bに出力する。
文字データを受けた表示制御部205bは、メモリネームを表す文字列を表示するよう表示部107に対し表示指示信号を出力する。
表示部107は、表示指示信号を受けたことによりメモリネームを表す文字列を表示する。
【0030】
メモリチャネルモードでかつメモリネーム表示の場合であって、モニタスイッチ106が押されている間はミュートを解除すると共に、表示制御部205bは、メモリネームと組となる周波数を表示するように表示部107に指示を行い、表示部107はメモリネームと組となる周波数を表示する。
【0031】
記憶部210は、メモリチャネルデータを1つ以上記憶する。
図3に図2の記憶部210の詳細を示す。
図3(a)の記憶部210Aは、メモリチャネルに記憶された周波数が受信と送信とで同じ場合で例である。
メモリチャネルデータ(211,212・・・)は、すくなくとも周波数データ(211A,212A・・・)とメモリネームの文字データ(211B,212B・・・)とを一組のメモリチャネルデータとして記憶する。メモリチャネルの数は問わない。メモリチャネルの入力方法に関しては後に記載する。
【0032】
VFO/メモリ切替スイッチ109が操作されると、VFOモードの場合はメモリチャネルモードに、メモリチャネルモードの場合はVFOモードに切り替える。
VFOモードからメモリチャネルモードに切り替えた場合、切り替える直前の周波数を記憶し(図示しない一次記憶部に記憶する)、最後に使用したメモリチャネルに切り替える。
またメモリチャネルモードからVFOモードに切り替えた場合、切り替える直前のメモリチャネルを記憶し(図示しない一次記憶部に記憶する)、最後に使用したVFOモードの周波数に切り替える。
【0033】
まず、第1の実施例の動作について述べる。
携帯型無線機100は、VFOモードもしくはメモリチャネルモード(たとえばメモリチャネルデータ211を呼び出しているとする)であっても周波数(メモリチャネルデータ211に記憶された周波数データ211Aの周波数f1)を表示している場合、モニタスイッチ106が押されている間はミュートが解除されるが、表示は周波数f1を表示しているため変化しない。
携帯型無線機100は、メモリチャネルモード(たとえばメモリチャネルデータ211を呼び出しているとする)であって、表示をメモリネーム(文字データ211Bに記憶された文字列「ABC」とする)としている場合に、モニタスイッチ106が押されると、押されている間はミュートが解除され、さらにメモリネームと組として記憶されている周波数「f1」を表示する。
使用者は、ミュートが解除されたことにより受信した周波数「f1」での信号の有無と、表示が周波数表示となったことでメモリチャネルに記憶された周波数「f1」を確認することができる。
携帯型無線機100は、モニタスイッチ106が離されると再びミュートされ、表示部107にはメモリネーム「ABC」が表示される。
【0034】
第1の実施例の動作では、メモリネーム「ABC」でメモリチャネルを表示している場合でかつモニタスイッチ106が押されている間は周波数表示「f1」となり、ロータリエンコーダ102が操作されることにより周波数が変更可能となる。
さらに携帯型無線機100は、モニタスイッチ106が押され、ミュートが解除かつ周波数表示「f1」となった状態でロータリエンコーダ102が操作されると予め定められた周波数間隔で周波数が変更される。
携帯型無線機100は、ロータリエンコーダ102が操作されることによって周波数「f1」が「f1´」となったとする。
その後携帯型無線機100は、モニタスイッチ106が離されると、ミュートし、表示をメモリネーム表示「ABC」とし、呼出されていたメモリチャネルデータ211の周波数データ211Aに変更した周波数「f1´」の周波数データを上書きして記憶する。
【0035】
第1の実施例の動作では、変更した周波数が呼出されたメモリチャネルに上書きされ記憶されることになる。この動作は受信信号の有無に係わらず可能である。よって、メモリチャネルの周波数の確認およびメモリチャネルの周波数にて送信を行っている局の有無の確認ができるだけでなく、すでに入力されているメモリチャネルの周波数を容易に編集することが可能となる。
これを第1の実施例で記載したメモリチャネル211を例として図4のフローチャートにより説明する。
【0036】
携帯型無線機100は、モニタスイッチ106が押されていない状態ではロータリエンコーダ102はメモリチャネルを切り換える動作となっているため、メモリチャネルを選択可能な状態であり、編集を行いたいメモリチャンネルn(メモリチャネル211の内容が記憶されたチャネルとする)が選択される(ステップS401)。
モニタスイッチ106が押される(ステップS402)ことにより、スケルチが開きミュートを解除し(ステップS403)、メモリチャネルnのメモリネーム表示「ABC」を周波数表示「f1」に切り替える(ステップS404)。
ステップ403とステップ404とは順番は問わず、同時でもよい。
このとき操作者は、メモリチャネルnの周波数「f1」の確認と、ミュートが解除されたことにより周波数「f1」を受信でき、周波数f1にて送信している局の有無を確認することができる。
【0037】
操作者は、モニタスイッチ106を押している間は(ステップS405でNo)、ロータリエンコーダ102を操作することにより周波数を可変することができる。
携帯型無線機100は、エンコーダ102が操作されると(ステップS406でYes)、周波数「f1」からあらかじめ設定された周波数間隔で周波数が変更され、周波数「f1´」が表示され、周波数「f1´」の受信を行う(ステップS407)。
エンコーダ102が操作されない場合(ステップS406でNo)の場合は、周波数「f1」の受信が継続される。
【0038】
その後、モニタスイッチ106が離されると(ステップS405でYes)、スケルチが閉じミュートされる。
【0039】
モニタスイッチ106が押されている間に、周波数が「f1´」に変更された場合は(ステップS409でYes)、メモリチャネルnに記憶されていた周波数「f1」を「f1´」に変更し記憶し、表示をメモリチャネルnのメモリネーム表示「ABC」に切り替える(ステップS411)。
ステップS409にて、周波数の変更が行われていない場合は(ステップS409でNo)、新たに周波数を記憶することなく、メモリチャネルnのメモリネーム「ABC」を表示する。
また、ステップS409の判断を無くし、エンコーダの操作の有無に係わらずモニタスイッチを離す直前に表示されていた周波数を新たなメモリチャネルnの周波数として保存してもよい。
これらの操作により編集したいメモリチャネルの周波数を目的とした周波数に書き換えることが容易にできる。
【0040】
次に、第2の実施例の動作について述べる。
第2の実施例の構成は第1の実施例と同じであるが以下の点で動作が異なる。
携帯型無線機100は、モニタスイッチ106が押され、ミュートが解除かつ周波数表示「f1」となった状態でロータリエンコーダ102が操作されると予め定められた周波数間隔で周波数が変更される。
携帯型無線機100は、ロータリエンコーダ102の操作によって周波数「f1」が「f1´」となったとする。
その後携帯型無線機100は、モニタスイッチ106が離されると、ミュートし、表示をメモリネーム表示「ABC」とし、変更された周波数「f1´」のデータを破棄し、呼出されていたメモリチャネルデータ211の周波数データ211Aは周波数「f1」に維持される。
よって使用しているメモリチャネルの内容は変更されない。
第2の実施例では、メモリチャネルに記憶した内容は、安易に変更できないように保護される。
【0041】
第1の実施例の動作と第2の実施例の動作とでは、用途に応じてそれぞれが有益となるため、機能によりどちらかに設定してもよい。
また、メモリチャネル毎に第1の実施例の動作の設定とするか第2の実施例の設定とするかを選択できてもよい。
【0042】
さらに、第3の実施例の動作の一例について以下に述べる。
通信の運用上、送信周波数と受信周波数とが異なる場合もある。
たとえば、中継局を中継して交信を行う場合、中継局は同時に送信と受信とを行う必要があるため送信周波数と受信周波数とは同じ周波数を使用しない。
そのため携帯型無線機100が中継局を中継して交信を行う場合は、中継局の送信周波数を携帯型無線機100の受信周波数として、中継局の受信周波数を携帯型無線機100の送信周波数として、受信周波数と送信周波数とが異なる(以降はスプリット運用と記載する)設定とする必要がある。
また、無線機2局間で、一方の送信周波数を他方の受信周波数とし、一方の受信周波数を他方の送信周波数として全二重通信とした場合も送信周波数と受信周波数が異なる設定となる。
【0043】
スプリット運用の設定では、携帯型無線機内部では送信周波数データと受信周波数データとの2つが設定される。
メモリチャネルに記憶される場合、図5に示す記憶部210Bのように、少なくとも送信周波数データ(221T,222T・・・)と受信周波数データ(221R,222R・・・)とメモリネームデータ(221C,222C・・・)とを1組として記憶する。
【0044】
スプリット運用方式でモニタスイッチを押されて受信するのは受信周波数である。中継機を介した通信を行うのであれば、中継局からの送信周波数を受信することで使用状況の判断は可能であるが、前記した全二重通信の場合は送信する周波数を受信することは実施例1および実施例2の方法ではできない。
【0045】
そのため、第3の実施例の構成は、携帯型無線機100に送信周波数と受信周波数とを切り換える機能(以下リバース機能と記載する)をさらに備える。別途専用のスイッチを、モニタスイッチ106を操作する手と干渉しない前面に備えてもよいが、モニタスイッチ106を押している間のみ、前面側のいずれかのスイッチが送信周波数と受信周波数とを切り換えるスイッチとして機能してもよい。
【0046】
第1および第2の実施例と同様に、モニタスイッチを押している間はロータリエンコーダ102を操作することにより周波数の変更が可能となる。
第3の実施例では、受信周波数を見ながら、かつ受信周波数を受信しながら受信周波数を変更することができるのはもちろん、リバース機能を用いることにより、送信周波数に変更し、送信周波数を見ながら、かつ送信周波数を受信しながら送信周波数を変更することが可能となる。
【0047】
また第1および第2の実施例同様、変更した周波数をメモリチャネルに上書きする方法としてもよいし、変更した周波数は破棄してもよい。
【0048】
さらにまた、モニタスイッチ106を押している間に、ロータリエンコーダを操作した時、送信周波数と受信周波数の差であるオフセット周波数を保ったまま送信周波数と受信周波数とが同時に変更されてもよい。
【0049】
スケルチ回路の動作によって受信出力がミュートされる例以外にも、特許文献1のように受信したデジタルコードが一致した場合等、自局宛の特定信号が受信された場合にミュートが解除される方式に対しても応用できる。
【0050】
また、メモリチャネルをメモリネーム表示ではなく周波数表示となっている場合であっても、以上に示したようなモニタスイッチ106を押している間に可能なメモリ編集機能を備えてもよい。
【0051】
メモリチャネルの書き込みの操作方法に関しては、メモリ書き込みスイッチ110を1回押すとメモリ書き込み待機状態となり、表示部107はメモリチャネル表示となる。エンコーダ12を操作することにより書き込みたいメモリチャネルを選んで、もう一度メモリ書き込みスイッチ110を押すことにより書き込みが行われる。
またメモリ書き込み方法は上記した方法以外にも、メモリ書き込みスイッチ110を押した状態を保持することで、メモリ書き込み待機状態となり、エンコーダ102にて書き込みたいチャネルを選択し、メモリ書き込みスイッチを離すと書き込みが行われるといった方法でもよい。
メモリネームの設定は、周波数を書き込んだ後に十字キー111にて各種設定機能よりメモリネームを編集する機能を選択し、必要なメモリチャネルに必要な文字を選択して設定する等入力手段は問わない。
また、携帯型無線機100にコンピュータに接続できる端子を備えることで、コンピュータ上にてメモリチャネルの周波数やメモリネームを設定して書き込めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
100:携帯型無線機、 101:アンテナ、 102:エンコーダ、
103:スピーカグリル、 104:マイク孔、 105:PTTスイッチ
106:モニタスイッチ、 107:表示部、 108:電源スイッチ、
109:VFO/メモリ切替スイッチ、 110:メモリ書き込みスイッチ、
111:十字キー
201:無線部、 202:ミュート部、 203:スピーカ、
204:マイク、
205:制御部、
205a:ミュート制御部205a:周波数操作部、205b:表示制御部、
205c:周波数制御部、 205d:メモリチャネル制御部、
210:記憶部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信すべき信号を変調し送信する送信部と受信信号を受信し復調する受信部とを備える無線部と、
前記無線部の少なくとも送信または受信する周波数を予め定めた操作により可変させる周波数操作部と、
前記無線部にて受信し復調した信号の出力をミュートするミュート部と、
ミュートを特定の操作によって解除するミュート解除操作部と、
前記周波数のデータと任意の文字列のデータとを組みにしたメモリチャネルを記憶する記憶部と、
前記周波数または前記文字列を表示する表示部と、
前記メモリチャネルが前記文字列で前記表示部に表示され、前記ミュート解除操作部が操作された場合に前記文字列と組となる周波数を表示させる表示制御部と、
を備える携帯型無線機。
【請求項2】
前記携帯型無線機の予め定めた各種設定を行う操作部を有し、前記ミュート解除操作部は片手にて操作可能な配置とし、前記ミュート解除操作部を一方の手にて操作する場合に、前記操作部は前記ミュート解除操作部を操作する手に干渉しない位置でかつ他方の手にて操作可能な位置に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の携帯型無線機。
【請求項3】
受信信号の有無を判断するミュート制御部を備え
前記ミュート制御部は、信号が無の場合は受信出力をミュートすることを特徴とする請求項2に記載の携帯型無線機。
【請求項4】
受信信号に含まれる自局宛の特定の信号の有無を判断するミュート制御部を備え、
前記ミュート制御部は、前記特定の信号が無の場合は、受信出力をミュートすることを特徴とする請求項2に記載の携帯型無線機。
【請求項5】
前記ミュート解除操作部が操作され、前記表示部を周波数表示とした場合に、前記周波数操作部の操作によって周波数を変更可能な状態とすること特徴とする請求項3または請求項4に記載の携帯型無線機。
【請求項6】
前記ミュート解除操作部が操作され周波数表示となり、前記周波数操作部の操作によって周波数が変更され、前記ミュート解除操作を終了した時点で、変更された周波数を最後に読み出したメモリチャネルの新たな周波数として上書きすることを特徴とする請求項5に記載の携帯型無線機。
【請求項7】
前記ミュート解除操作部が操作され周波数表示となり、前記周波数操作部の操作によって周波数を変更され、前記ミュート解除操作を終了した時点で、変更された周波数を破棄すること特徴とする請求項5に記載の携帯型無線機。
【請求項8】
前記ミュート解除操作部が操作され周波数表示となり、前記周波数操作部の操作によって周波数を変更され、ミュート解除操作を終了した時点で、変更された周波数を最後に読み出されたメモリチャネルの新たな周波数として上書きする設定と、
前記ミュート解除操作部が操作され周波数表示となり、前記周波数操作部の操作によって周波数を変更され、前記ミュート解除操作を終了した時点で、変更された周波数を破棄する設定と、
のいずれか一方の設定をメモリチャネル毎に記憶すること特徴とする請求項5に記載の携帯型無線機。
【請求項9】
さらに送信周波数と受信周波数とを切り換えて受信を行う受信周波数切替手段を備え、
前記ミュート解除操作部が操作中に前記受信周波数切替手段が操作される毎に前記送信周波数と前記受信周波数とを交互に表示すること、
を特徴とする請求項5に記載の携帯型無線機。
【請求項10】
前記ミュート解除操作部が操作され、前記表示部が受信周波数表示とされた場合に、前記周波数操作部の操作によって受信周波数が変更可能な状態とすること特徴とする請求項9に記載の携帯型無線機。
【請求項11】
前記ミュート解除操作部が操作され、前記表示部が受信周波数表示とされ、さらに前記受信周波数切替手段が操作され前記送信周波数が表示された場合に、前記周波数操作部の操作によって前記送信周波数が変更可能な状態とすること特徴とする請求項9に記載の携帯型無線機。
【請求項12】
前記ミュート解除操作部が操作され、前記表示部が受信周波数表示とされた場合に、前記周波数操作部の操作によって前記送信周波数と前記受信周波数との差を保ったまま前記送信周波数と前記受信周波数が同時に変更可能な状態とすること特徴とする請求項9に記載の携帯型無線機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−259139(P2011−259139A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131033(P2010−131033)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】