説明

携帯型通信端末

【課題】 安価かつ簡便に既存の携帯型通信端末に新たな便利機能を付与することで、携帯型通信端末の販売に係る企業の利益を増大させ、或いは利用客の利便性を向上させることが可能な携帯通信端末を提供する。
【解決手段】 マイクロホン2を備えた携帯通信端末1において、マイクロホン2の出力から特定の周波数帯域における特定信号を検出する信号検知手段42、43と、信号検知手段42、43から特定信号が検出された場合に、特定事象の発生を通知する処理を含む特定処理を実行する特定処理手段44とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンを備えた携帯型通信端末に関し、より詳細には、安価及び簡便に、既存の携帯型通信端末に新たな便利機能を付与し、携帯型通信端末の販売に係る企業の利益を増大させ、及び/又は、利用客の利便性を向上させることが可能な携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脈波や呼吸、イビキ等の就寝者の各種体動に伴う圧力変動を圧力センサ(コンデンサマイクロホン)により生体信号として検出して所定の信号解析処理を行うことにより、就寝者の就寝状態を監視する技術(例えば、「特許文献1」参照)が知られている。
【0003】
具体的には、この特許文献1のものは、敷布団やベッドのクッション等の寝具の下に敷かれた(或いは、寝具内部に内蔵された)エアマットレスと、そのエアマットレスと内部空間を連通するように一端が接続されるエアチューブと、そのエアチューブの他端と接続される圧力センサ(コンデンサマイクロホン)とを備え、就寝者の各種体動に伴うエアマットレス内部の圧力変動を圧力センサで生体信号として検出し、フィルタ回路で生体信号から所定の信号を分離して信号処理装置(プロセッサ)で解析処理することにより、就寝者の状態を監視するものである。
【0004】
しかし、特許文献1の技術は、上記監視機能に特化した専用装置であるが故に、装置を筐体から全て製造しなければならず、製造コストや販売価格の低廉化が製品化を図る上での課題となり、また、専用装置であるが故にその特化した機能以外には利用できない問題がある。
【0005】
また、特許文献1に示す圧力センサとして利用されるコンデンサマイクロホンとしては、携帯電話機などの小型機器に内蔵される双指向性のエレクトレットコンデンサマイクロホン(例えば、「特許技術2」参照)が知られている。
【0006】
このマイクロホンは、エレクトレットフィルム及び対向電極から構成されるコンデンサと、そのコンデンサからの出力信号を増幅する電界効果トランジスタとを収容する円筒状の筐体の両端を開放する形態を採っている。具体的には、エレクトレットフィルムが配置される筐体の前面側には、中心に大口のオリフィス(孔)が形成された円盤状の部材が装着されており、他方、電界トランジスタが配置される筐体の後面側には、円周に沿って小口のオリフィス(孔)が形成された円盤状の部材が装着されている。
【0007】
特許文献2のマイクロホンは、上記のような構成を備えることにより、筐体の前後方向からの音信号(空気振動)に感度が高く、筐体の側面方向からの音信号には低感度となる指向性を有することになる一方で、50Hz以下の低周波数域におけるゲインが低下する結果を生じていた。ただし、携帯電話機などの携帯型通信端末における通話音声のピックアップに使用する限りは50Hz以下の低周波数域におけるゲインは要求されないため、上記マイクロホンの特性は問題とはされてこなかった。
【0008】
【特許文献1】特開2003−79587号公報
【特許文献2】特開2004−354199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、下記のいずれか一以上の目的を達成するものである。
【0010】
即ち、本発明の目的は、安価かつ簡便に、既存の携帯型通信端末に新たな便利機能を付与することで、携帯型通信端末の販売に係る企業の利益を増大させ、及び/又は、利用客の利便性を向上させることが可能な携帯通信端末を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、専用の装置を製造すること無く、既存且つ普及率の高い携帯型通信端末を利用し、それに実装されるマイクロホンを用いて人々の生活環境における様々な特定事象の発生により生じる種々の空気振動等を検知することにより、人々の生活における安心、安全を向上させるための各種サービスを提供することが可能な携帯型通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決したものであり、マイクロホンを備えた携帯型通信端末であって、前記マイクロホンの出力から特定の周波数帯域における特定信号を検出する信号検出手段と、前記信号検出手段により前記特定信号が検出された場合に特定の処理を実行する特定処理手段とを更に備えることを特徴とする携帯型通信端末(請求項1)である。
【0013】
本発明によれば、安価かつ簡便に、既存の携帯型通信端末に新たな便利機能を付与することができ、それにより、携帯型通信端末の販売に係る企業の利益を増大させ、及び/又は、利用客の利便性を大幅に向上させることが可能となる。また、携帯型通信端末における新たな通信サービスを提供することにより、キャリアの利用客の獲得枠を増加させることができ、これによっても、携帯型通信端末の販売に係る企業の利益を向上させることができる。
【0014】
また、本発明によれば、専用の装置を製造すること無く、既存且つ普及率の高い携帯型通信端末を利用し、それに実装されるマイクロホンを用いて人々の生活環境における様々な特定事象の発生により生じる種々の空気振動を検知することにより、人々の生活における安心、安全を向上させるための各種サービスを提供することが可能になる。
【0015】
なお、特定事象の発生を定常的にモニタリングする場合を考慮すると、本発明のマイクロホンの動作電力を20μA以下に小電力化することが好ましい。20μA以下に小電力化されたマイクロホンであって、本発明に好ましく使用できるマイクロホンの構成は、例えば、特開2006−03391に開示されている。
【0016】
本発明では、前記マイクロホンの1KHzにおけるゲインに対する10Hzにおけるゲインの低下が3dB未満であること(請求項2)が好ましい。
【0017】
かかる発明では、ドアの開閉、ピッキングなどの事象や就寝中の脈、呼吸、イビキに伴う体動等により生じる50Hz以下の低周波帯域での空気振動、或いは地震による50Hz以下の加速度等を好感度で検出することが可能となる。
【0018】
本発明のマイクロホンは、エレクトレットフィルムを収容する筐体の前面及び後面のいずれか一方が開放され、他方が密閉されたエレクトレットコンデンサマイクロホンであること(請求項3)が好ましく、或いは、本発明のマイクロホンは、エレクトレットフィルムを収容する筐体の前面及び後面のそれぞれに開口部が形成されたエレクトレットコンデンサマイクロホンであり、前記開口部のいずれか一方に、外部から筐体内部に空気振動が伝達されるのを阻止する蓋部材が装着されたものとすること(請求項4)が好ましい。
【0019】
かかる発明では、極めて簡単な構成をもって相対感度、即ち、1KHzにおけるゲインに対する10Hzにおけるゲインの低下が3dB未満であるマイクロホンを実現することが可能となる。なお、上記相対感度における0dBは1V/Paである。
【0020】
本発明における特定処理手段は、表示器、スピーカ、サウンダ、バイブレータ、LEDのいずれか少なくとも一つを備えており、前記特定処理は、当該表示器、スピーカ、サウンダ、バイブレータ、LEDのいずれか少なくとも一つを用いて、前記特定信号に対応する特定事象が発生したことを通知する処理であること(請求項5)が好ましい。
【0021】
かかる発明では、表示器、スピーカ、サウンダ、バイブレータ、LED等の手段を用いて特定事象が発生したことを携帯者或いは周囲の人に通知することが可能となる。
【0022】
本発明の特定処理手段は、前記特定信号を示す情報を記録手段に記録し、該記録した情報に基づき所定の情報を通知すること(請求項6)が好ましい。
【0023】
かかる発明では、例えば、就寝者の睡眠データを計測し、該就寝者の健康状態や診断結果を通知することが可能となる。
【0024】
本発明の信号検出手段は、前記マイクロホンの出力から、それぞれ帯域の異なる複数の周波数帯域における特定信号を出力する複数のフィルタ手段と、前記複数のフィルタ手段から出力される特定信号をそれぞれ入力し、該入力した特定信号に基づいて、発生した前記特定事象の種類を判別する判別手段とから構成されており、前記特定処理手段は、前記判別手段により判別された前記特定事象の種類に応じて前記特定処理を実行すること(請求項7)が好ましい。
【0025】
かかる発明では、複数種類の特定事象の中からいずれの特定事象が発生したかを判別することが可能となるとともに、複数種類の特定事象を同時に検知するこも可能となる。
【0026】
本発明のマイクロホンは、エレクトレットフィルムを収容する筒状の筐体の前面及び後面のそれぞれに開口部が形成されたエレクトレットコンデンサマイクロホンであり、前記開口部のいずれか一方に、光及び/又は熱を圧力に変換する変換手段を保持する空間が形成されたチャンバ部が装着されたものとすること(請求項8)ことが好ましい。
【0027】
かかる発明では、光や熱の揺らぎを空気振動に変換して検出することが可能となり、本発明の携帯型通信端末を火災などの発生を検知する検知器としても使用することが可能となる。
【0028】
本発明は、通話用のスピーカを更に備えて音声通信を行う携帯型通信端末であって、相手先の通信装置との間で通話処理を行う場合に、前記特定処理手段における特定処理を実行せずに通話処理を行わせる為の特定処理禁止手段を更に備えること(請求項9)が好ましい。
【0029】
かかる発明では、特定事象の検知動作が通話を阻害することを未然に防止することが可能となる。
【0030】
また、本発明は、マイクロホン及びスピーカを備え、相手先の通信装置との間で音声通信を行う携帯型通信端末であって、
前記マイクロホンとして、電話通信の通話専用に使用される第1のマイクロホンと、特定信号の検出専用に使用される第2のマイクロホンとを備えるとともに、
通話時に、前記第1のマイクロホンから検出された検出信号を有効とし、前記通話時以外に前記第2のマイクロホンから検出された検出信号を有効とする切替手段と、
前記切替手段で有効にされ、前記第2のマイクロホンから検出された検出信号から特定の周波数帯域における特定信号を検出する信号検出手段と、
前記信号検出手段により前記特定信号が検出された場合に、特定事象の発生を通知する特定処理を実行する特定処理手段とを更に備えることを特徴とする携帯型通信端末(請求項10)とすることもできる。
【0031】
本発明によれば、前述の請求項1の効果に加えて、通話用と特定事象検知用とで個別にマイクを用意することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
なお、本発明の携帯型通信端末は、携帯電話機、PHS等の通信機能を備える任意の携帯型端末に適用可能であるが、以下の実施形態では、マイクロホン及びスピーカを備え、相手先の通信装置との間で音声通信を行うことが可能な携帯電話機に適用した場合について説明する。
【0034】
図1は、本発明を適用した携帯電話機1のシステム構成を示す機能ブロック図である。この携帯電話機1は、マイク部2、スピーカ部3、音声処理部(DSP)4、無線通信処理部5、モデム部6、RF部7、アンテナ部8、CPU9、ROM10、RAM11、キー入力部12、表示器(LCD)13、LED14、サウンダ15、メール処理部16、バイブレータ17、カメラ18、電源部19を備えている。
【0035】
ここで、マイク部2は、送話器であり、送話音声(空気振動)を電気信号に変換するものである。
【0036】
スピーカ部3は、受話器であり、電気信号を受話音声(空気振動)に変換するものである。
【0037】
音声処理部4は、音声処理を行う機能ブロックであり、具体的には、音声コーデックを有して、マイクロホン2から入力された送話音声信号を圧縮符号化して後段の無線通信処理部5に出力したり、無線通信処理部5から入力した圧縮符号化された受話音声信号を復号してスピーカ3に出力するものである。
【0038】
無線通信処理部5は、所定の無線通信方式(TDMA/TDDやCDMA等)に従った送信及び受信信号に対する処理を実行する機能ブロックであり、具体的には、音声処理部4から入力された圧縮符号化された送話音声信号を所定の無線通信方式に従った送信信号に変更して後段のモデム部6(変調部)に出力したり、モデム部6(復調部)から入力した受信信号に所定の処理を施して圧縮符号化された受話音声信号を取り出して音声処理部4に出力するものである。
【0039】
モデム部6は、所定の変復調処理{振幅変調(AM)や周波数変調(FM)や位相変調(PM)等}を実行する機能ブロックであり、具体的には、変調部6aにおいて搬送波信号を無線通信処理部5から入力した送信信号に応じて変化させてRF部7に出力したり、復調部6bにおいてRF部7から入力した搬送波信号から受信信号を取り出して無線通信処理部5に出力するものである。
【0040】
RF部7は、モデム6からの搬送波信号を無線基地局の特定の無線チャネルの無線送信信号にアップコンバートし、これを増幅してアンテナ部8に供給したり、アンテナ部8で受信した無線搬送波信号をダウンコンバートしてモデム部6に出力するものである。
【0041】
アンテナ部8は、送信電波の送出や受信電波の受信を行うものである。
【0042】
CPU(マイクロプロセッサ)9は、携帯電話機1の制御動作の中枢となり、システムバス20を介して他の構成要素と制御信号やデータ信号等の受渡しを行って携帯電話機全体を統括的に制御する。
【0043】
ROM10は、携帯電話機1の起動時に使用する起動用プログラムや装置を動かす為の基本的なシステムプログラム等を格納する不揮発性メモリである。
【0044】
RAM11は、作業(計算)中のデータを一時記録する揮発性メモリである。
【0045】
キー入力部12は、ダイアルキー或いは電源ON/OFFや通話等の各種機能キーを備え、利用者の入力操作を受け付けるものである。
【0046】
表示器(LCD)13は、日時や電話番号等の文字情報や写真などの画像を表示するものである。
【0047】
LED14は、発光体ダイオードであり、各種動作状態を点灯又は点滅により通知するものである。
【0048】
サウンダ15は、着信報知音などを報知して各種動作状態を通知するものである。
【0049】
メール処理部16は、メール通信機能を有し、メール通信を行うものである。
【0050】
バイブレータ17は、着信などを振動により報知するものである。
【0051】
カメラ部18は、CCDやCMOS等の撮影素子を有するディジタルカメラであり、利用者の所定の操作に基づき表示器13に表示させたり、送信する為の各種映像を撮影するものである。
【0052】
電源部19は、リチウムイオン電池などの充電可能な電池19aと、A/D変換器19bと、電源回路19cから構成され、電池19aの出力をA/D変換器19bでディジタル変換してCPU9に供給するとともに、電源回路19cから携帯電話機1の各部に供給するものである。
【0053】
なお、図示していないが、携帯電話機1がテレビ映像信号を受信して再生表示するテレビ機能や、ラジオ信号を受信して再生出力するラジオ機能や、GPS機能等の他の機能を有する携帯電話機であっても構わない。
【0054】
図2は、図1に示したマイク部2の詳細な構成を説明する為の説明図であり、図2(a)が、マイク部2の外観構成を示す拡大斜視図であり、図2(b)が、図2(a)に示すエレクトレットコンデンサマイクロホン21の外観斜視図であり、図2(c)が、エレクトレットコンデンサマイクロホン21の断面図である。
【0055】
図示のように、本実施形態のマイク部2は、エレクトレットコンデンサマイクロホン21と、チャンバ部22とを主体に構成される。
【0056】
ここで、エレクトレットコンデンサマイクロホン21は、アルミニウムなどの材質で形成される円筒状の筐体21aの内部に、電荷が閉じ込められた(帯電状態の)ポリカーボネートなどの高分子化合物で形成されるエレクトレットフィルム(振動板)21bと、金属材質で形成される対向電極21cと、電界効果トランジスタ(FET)などで構成されるトランジスタ21dとが配置されるとともに、筐体21aの前方及び後方端には、例えば、開放用のOリング板部材21e及び密閉用の蓋部材21fがそれぞれ装着されている。
【0057】
即ち、このエレクトレットコンデンサマイクロホン21は、エレクトレットフィルム21bと対向電極21cによりコンデンサを形成し、空気振動によるエレクトレットフィルム21bの変位に応じたコンデンサの静電容量の変化を電気信号としてトランジスタ21dに出力する。そして、トランジスタ21dは、コンデンサの静電容量の値を、2つのリード線の間の電圧信号として出力する。
【0058】
また、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクロホン21では、前述のように、エレクトレットフィルム21bを収容する筒状の筐体21aの一端を開放し、他端を密閉することにより、エレクトレットフィルム21bの前後への変位量が双指向性マイクロホンのものに比べて増大し、これにより、電話通信で使用される音声周波数領域(例えば、50〜5000Hz)以外の低周波数領域(例えば、0.1〜50Hz)における空気振動にも感度良く反応して変位するようになっている。
【0059】
本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクロホン21における周波数特性を図3に示す。図示のように、筐体の両端が開放されている従来のエレクトレットコンデンサマイクロホンでは、符号Aで示すように、50Hz以上のゲインと比べ、50Hz以下における周波数特性は、例えば、周波数が50Hzから周波数が5HzまででゲインGが20dB下がるような直線的な急勾配を有する特性となっている。これに対し、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクロホン21では、符号Bで示すように、50Hz以下における周波数特性は、例えば、50Hzから略5HzまでではゲインGが下がらず、5Hzから1Hzまで滑らかな曲線の勾配を有する特性となっている。符号Cで示す特性は、本発明におけるマイクロホンの好ましい周波数特性の下限を示している。
【0060】
即ち、本発明のマイクロホンには、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクロホン21の特性(符号Aで示される特性)までは必ずしも有する必要はないが、符号Cで示される以上の特性を有すること、即ち、50Hz(又は1KHz)におけるゲインに対する10Hzにおけるゲインの低下が3dB未満であることが好ましく、そのようなマイクロホンを使用することにより、後述の人々の生活環境における様々な特定事象の発生(不法侵入P1、火災P2、地震P3、就寝者の体動P4、緊急警報器の警報P5、携帯者への危険に伴う衝撃P6)(図5参照)により生じる種々の空気振動の検知感度を良好なものとすることができる。
【0061】
なお、本実施形態においては、エレクトレットフィルム21bを強力な接着剤で筐体21a内部に接着固定するようにしている。これにより、筐体21aの一端が密閉されることで、エレクトレットフィルム21bの前後への変位量が双指向性マイクロホンのものに比べて増大するような形態においても、エレクトレットフィルム21bが筐体21aからハズレ落ちるなどの破損を未然に防止することができる。
【0062】
また、エレクトレットフィルム21bには、細かい隙間が形成されており、これにより、エレクトレットフィルム21bを挟んで外部と筐体21aの内部空間との間にはある程度の空気の漏れが存在し、定常状態において筐体21aの内圧と外部の気圧が等しくなるようになっている。
【0063】
本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクロホン21は、例えば、株式会社プリモの小型エレクトレットコンデンサマイクロホンEM146を元にして容易/安価に製造することが可能である。
【0064】
チャンバ部22は、透明なアクリル樹脂などの透光性を有する材質で形成された円筒状の筐体22aの内部に、スポンジや綿等の空気変動を伝達可能であるとともに弾性を有する伸縮材質で形成され、光及び熱を圧力に変換する円筒状の変換手段22bが収容されている。本実施例では、変換手段22bをスポンジで形成するとともに、その容積が、チャンバ部22の内部空間の容積と同程度になるようにし、また、光及び熱を効率良く吸収して圧力に変換させる目的で、スポンジの色を、黒色またはそれに近い色にしている。
【0065】
そして、本実施形態のマイク部2は、前述のチャンバ部22の一端をエレクトレットコンデンサマイクロホン21の外周に嵌合させて、変換手段22bの一端がOリング板部材21eの一面に密着されるように配置されている。これにより、例えば、筐体22aを透過した光や周囲の熱等により変換手段22bが伸縮動作を行うとチャンバ部22の内部の空気圧力が変化してエレクトレットフィルム21bが変位するので、火災P2などの特定事象の発生を検知することができる。
【0066】
図4は、図1に示した音声処理部(DSP)4の詳細な回路構成を説明する為の回路図である。
【0067】
図示のように、音声処理部4は、減算回路41と、音声選別回路42と、判定回路43と、特定処理実行回路44とを主体に構成されており、音声選別回路42及び判定回路43が本発明における信号検出手段に相当する。
【0068】
ここで、減算回路41は、トランジスタ21dからの2つのリード線が接続され、トランジスタ21dから入力された出力電圧信号からエレクトレットフィルム21bの永久電荷の存在に伴う直流成分を差し引いた残りの電圧信号を後段の音声選別回路42に出力するものである。
【0069】
音声選別回路42は、入力された電圧信号を、音声周波数領域(50〜5000Hz)及びそれ以外の低周波数領域(0.1〜50HZ)の2つの周波数帯域ごとに信号成分を分離する為の回路であり、第1のフィルタ42a及び第2のフィルタ42bを備えている。
【0070】
第1のフィルタ42aは、入力された電圧信号から0.1〜50Hzの周波数帯域における信号成分{種々の特定事象(不法侵入P1、火災P2、地震P3、就寝者の体動P4、緊急警報器の警報P5)の発生に伴い生じる空気振動に係る信号成分}のみを後段の判定回路43に出力するものであり、第2のフィルタ42bは、入力された電圧信号から50〜5000Hzの周波数帯域における信号成分{音声信号成分(通話時の送話に係る音声信号或いは携帯者への危険に伴う衝撃P6時の音声信号)}のみを後段の判定回路43に出力するものである。
【0071】
判定回路43は、音声選別回路42からの信号に基づいて、発生した特定事象の種類を判別する為の回路であり、本実施例では、第1の判定部43a及び第2の判定部43bを備えている。
【0072】
第1の判定部43aは、第1のフィルタ42aからの信号をそれぞれ入力し、それぞれ帯域の異なる特定の周波数帯域における特定信号を出力する複数のフィルタ(1)〜(M)(M:任意の整数)a1〜aMと、それら複数のフィルタ(1)〜(M)a1〜aMから出力される特定信号をそれぞれ入力し、入力した特定信号に基づき発生した特定事象の種類(P1〜P4)を判別し、判別結果を示す判別信号を出力する判別部aM+1とを有している。
【0073】
より詳細には、フィルタ(1)〜(M)a1〜aMは、0.1〜50Hzの周波数帯域における信号成分から、更に、種々の特定事象の発生(不法侵入P1、火災P2、地震P3、就寝者の体動P4、携帯者への危険に伴う衝撃P6)に伴い生じる空気振動に係る特定信号成分をそれぞれ個別に抽出する為のフィルタである。即ち、各特定事象ごとに生じる空気振動の周波数帯域値を実験測定により求め、その求められた周波数帯域値を参照して各特定事象ごとの特定信号を強調して出力する為のフィルタ(1)〜(M)a1〜aMを用意する。
【0074】
例えば、不法侵入P1を検知するフィルタとしては、ドアの開閉を検知するフィルタやピッキングを検知するフィルタを用意することができる。そして、実験測定により、ドアの開閉で生じる空気振動は、約0.5〜2Hzの周波数帯域に集中することが確認されているため、当該ドアの開閉を検知するフィルタとしては、その0.5〜2Hzの周波数帯域の信号成分を検出するフィルタを用意する。また、実験測定により、ピッキングにより生じる空気振動は、約10Hzの周波数帯域に集中することが確認されているため、ピッキングを検知するフィルタとしては、その10Hzの周波数帯域の信号成分を検出するフィルタを用意する。
【0075】
また、実験測定により、火災(熱)の発生による温度変化により変換手段22aが伸縮動作した場合のエレクトレットフィルム21bの変位により出力される信号成分、或いは、火災で生じる空気振動が、約3〜5Hzの周波数帯域に集中することが確認されているため、火災P2を検知するフィルタとしては、その3〜5Hzの周波数帯域の信号成分を検出するフィルタを用意する。
【0076】
また、実験測定により、地震の揺れにより生じるエレクトレットフィルム21bの変位に伴い発生する信号は、約4、5Hz及び約12〜15Hzの周波数帯域に集中することが確認されているため、地震P3を検知するフィルタとしては、その4、5Hz及び12〜15Hzの周波数帯域の信号成分を検出するフィルタを用意する。
【0077】
また、実験測定により、就寝者の脈、呼吸、イビキに伴う体動で生じる空気振動(後述する半密閉容器内の空気振動)は、約0.1〜20Hzの周波数帯域に集中することが確認されているため、体動P4を検知するフィルタとしては、その0.1〜20Hzの周波数帯域の信号成分を検出するフィルタを用意する。
【0078】
同様に、携帯者への危険に伴う衝撃P6を検知するフィルタとしては、実験測定により、暴行、誘拐、交通事故に伴う体動により生じるエレクトレットフィルム21bの変位に伴い発生する信号や、その体動により生じる空気振動の周波数帯域を求め、その求められた周波数帯域の信号成分を検出するフィルタを用意する。
【0079】
判別部aM+1は、フィルタ(1)〜(M)a1〜aMのいずれから信号が出力されたかに基づいて、発生した特定事象を判別するものである。判別部aM+1は、これに加えて、所定の判別情報を用いて特定事象をより正確に判別するものとすることも可能である。上記のような判別情報としては、特定信号の発生時刻、発生時間間隔、検知した特定信号の組み合わせ(複数の周波数帯域の空気振動を同時に発生させる特定事象の場合など)を例示することができる。判別部aM+1は、発生した特定事象を判別し、判別結果を示す判別信号(例えば、特定信号及びP1〜P5のいずれであるかを示す信号を含む)を出力する。
【0080】
また、第2の判定部43bは、第2のフィルタ42aからの信号を分岐して入力し、特定の周波数帯域における特定信号を出力するフィルタb1と、第2のフィルタ42bからの信号とファイルタb1から出力される特定信号をそれぞれ入力し、入力した信号及び所定の判別情報に基づき特定事象(P5)を判別し、判別結果を示す判別信号を出力するとともに、第2のフィルタ42aからの信号を出力する判別部aM+1とを有している。
【0081】
より詳細には、フィルタb1は、50〜5000Hzの音声周波数帯域における信号成分から、特定事象の発生(緊急警報器の警報P5)に伴い生じる空気振動に係る特定信号成分を抽出する為のフィルタである。
【0082】
緊急事態P5を検知するフィルタとしては、実験測定により、笛などの緊急警報器の警報で生じる空気振動は、約400kHz前後の周波数帯域に集中することが確認されていることから、その400kHz前後の周波数帯域の信号成分を検出するフィルタを用意する。
【0083】
特定処理部44は、入力した判別結果に基づき発生した特定事象ごとの特定処理を実行する為の回路であり、本実施形態では、種々の特定事象ごとにそれぞれ特定処理を実行する為の複数の特定処理実行部(1)〜(N)(N:任意の整数)c1〜cNを備えている。
【0084】
即ち、特定処理実行部(1)〜(N)c1〜cNは、特定事象の種類別に対応しており、判定回路43からの判定信号に基づき、不法侵入P1や、火災P2、地震P3、体動P4、緊急事態P5、携帯者への危険に伴う衝撃P6が発生したことを表示器13、スピーカ3、サウンダ15、バイブレータ17、LED14のいずれか少なくとも一つを用いて報知する為の処理を含む特定処理を実行する。
【0085】
より詳細には、ドア開閉やピッキング等の不法侵入P1,屋内物の火災P2,地震P3,高齢者や病人等の生体異常P4等の特定事象P1〜P4が発生したことを示すテキストや画像を表示器13に表示させたり、特定事象P1〜P4が発生した旨を伝える音声をスピーカ3から発声させたり、警報音としての音をサウンダ15から報知させたり、特定事象P1〜P4が発生した旨を伝えるためにバイブレータ17を振動させたり、特定事象P1〜P4が発生した旨を伝えるためにLED14を点滅或いは点灯させたりする。
【0086】
その他、地震P3の震度を表示器13やスピーカ3を用いて通知する。
【0087】
また、体動P4の検出時においては、生体信号を分離して、就寝者の基本生体情報や各種睡眠状態の情報を計測記録しておき、後程、利用者の所定の操作が行われた場合に、表示器13などを用いて記録してある計測情報を表示させたり、所定の計算式に基づいて健康状態を表示する。
【0088】
また、緊急事態P5及び携帯者への危険に伴う衝撃P6の検出時においては、所定のダイヤル番号(例えば、身内の人の携帯や家の電話番号)に自動的に連絡する。特に、携帯者への危険に伴う衝撃P6の検出時においては、検出後の周囲の音声をRAM11などに記録し、その音声データを所定の相手先に通知する。
【0089】
前述の実施形態の携帯電話機1によれば、複数の特定事象が同時に発生した場合でも、各特定事象ごとにフィルタで分離するようにしているため、同時に複数の特定事象の発生を判別することが可能となる。
【0090】
本実施形態においては、例えば通常の電話通信時に、前述の判定及び特定処理を実行しないように設定することを可能にするために、第2のフィルタ42bと第2の判定部43bとの間に、切替スイッチ45を設けている。即ち、通常の電話通信時(例えば、通話による発呼又は着呼発生時)においては、第2のフィルタ42bの出力が第2の判定部43bに入力されず、通常の電話通信処理を行うべく音声コーデックに出力されるようになっている。
【0091】
これにより、特定処理を禁止することができるので、通常の電話通信における通話処理が特定処理により阻害されることを防止することが可能となる。
【0092】
前述までの実施形態においては、携帯電話機1単体で種々の特定事象の発生を検知して通知する処理を含む特定処理を実行する形態について説明したが、これ以外にも、図6に示すように、携帯電話機1をネットワーク(通信網)50を介して所定のサービスを提供する各種サービス機関60の通信端末と接続して所定の処理を実行する形態としても良い。
【0093】
この通信システムでは、携帯電話機1で特定事象P1〜P6の発生を検知した場合には、前述の特定処理以外にも、特定のサービス機関60に通知するようにしている。
【0094】
具体的には、不法侵入P1や火災P2や携帯者への危険に伴う衝撃P6を検知した場合には、例えば、自動的に所定のセキュリティサービスセンターに通知することにより、予め登録されている場所(自宅)或いは携帯電話機1に実装されたGPS機能により特定される場所まで警備員がかけつけるような所定のセキュリティーサービスを受けることが可能となる。また、火災P2の場合には、サービスセンターから消防署に連絡が行くようにもできるし、携帯者への危険に伴う衝撃P6の場合には、警察に連絡が行くようにもできる。
【0095】
また、地震P3を検知した場合には、例えば、自動的に所定の地震センターに通知することにより、そのセンターから詳細な情報を受け取ることが可能となる。
【0096】
また、体動P4或いは緊急事態P5を検知した場合には、例えば、自動的に所定の医療センターに通知することにより、予め登録されている場所(自宅)或いは携帯電話機1に実装されたGPS機能により特定される場所まで医者がかけつけるような所定の医療サービスを受けることが可能となる。
【0097】
なお、この通信システムに携帯電話機1を適用する場合に、前述の実施形態で述べた携帯電話機1単体での特定処理を実行する機能は実装せずに、通信用の処理を行う機能のみを実装するようにしても良い。
【0098】
前述の携帯電話機1の変形例について図7及び図8を参照して説明する。
【0099】
図示のように、この携帯電話機1'は、図1に示す携帯電話機1とマイク部と音声処理部の構成が相違する。即ち、携帯電話機1'は、携帯電話機1のマイク部2及び切替スイッチ45に替えて、電話通信の通話専用に使用される第1のマイク部2aと、特定信号の検出専用に使用される第2のマイク部2bとを備えるとともに、通話時に前述の判別及び特定処理を実行させないように、第1のマイク部2aからの信号を音声コーデックに出力し、一方、通話時以外の場合に、第2のマイク部2bからの信号を減算回路41に出力する為の切替回路46を備えている。
【0100】
また、第2のマイク部2bは、前述のマイク部2と同様の構成を有しているが、通話専用の第1のマイク部2としては、前述のようなチャンバ部22は備えずに、通常、携帯電話機に実装される両端が開放状態となる一般的なエレクトレットコンデンサマイクロホンを使用する。
【0101】
これにより、通話用と特定事象検知用とで個別にマイクを用意することができ、種々の利便性が向上する。例えば、従来と同様の通話用の双指向性マイクロホンを使用することが可能であり、これにより、通話時に、周囲のノイズを集音してしまう虞を未然に防止することができる。また、筐体に設けるマイク口を柔軟に変更可能であり、例えば、通話用のマイク口は従来通りの位置に設け、特定事象検知用のマイク口を他の任意の場所に設けるようなレイアウトも可能である。
【0102】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0103】
上記実施形態の携帯電話機1では、複数種類の特定事象の発生を検知するように構成しているが、これに限らず、いずれか一つの特定事象の発生のみを検知するように構成しても良いし、或いは、上記示した複数種類の特定事象のうちのいずれか複数個の特定事象の発生を検知するように構成しても良い。
【0104】
なお、その場合に関連して、光や熱を検知しない構成にする場合には、マイク部2のチャンバ部22は設けない。これにより、省スペース構造を採ることができる。また、チャンバ部22を設けない場合には、エレクトレットマイクロホン21において、筐体21aの前方端を密閉して、後方端を開放するようにしても良い。
【0105】
また、上記実施形態の携帯電話機1におけるエレクトレットマイクロホン21は、音声周波数領域(50〜5000Hz)以外の低周波数領域(0.1〜50Hz)の空気振動も感度良く検知させる為に、筐体21aの一方の端を密閉させるようにしているが、これ以外にも、図2(e)に示すように構成しても良い。即ち、蓋部材21fに替えて、筐体21aの後方端に、開放されている前方端を介して外部から筐体21a内部に伝達された空気振動を後方側で反射及び共振させて再度エレクトレットフィルム21aに伝達させる所定の空間が形成されたチャンバ部21gを設ける。これによって、低周波数領域(0.1〜50Hz)の空気振動も感度良く検知させることができる。
【0106】
また、上記実施形態の携帯電話機1では、ネットワークを介した通信処理しかできない形態について説明したが、これ以外にも、例えば、ネットワークを介さず直接他の通信機器と通信を行う為の手段(赤外線通信など)を設け、特定事象の発生を検知した場合に、その手段を用いて他の通信機器に信号を飛ばすようにしても良い。具体的には、不法侵入P1を検知した場合に、屋内に設置される通信機器に信号を飛ばすことで、蛍光器具を点灯させたり、大型の警報器を動作させて大音量の警報を鳴らせるようにしても良い。
【0107】
例えば、上記実施形態では、携帯電話機に本発明を適用した例を説明したが、PHSなどの携帯電話機以外の他の携帯型通信端末にも本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明を適用した携帯電話機のシステム構成を説明する機能ブロック図。
【図2】本実施形態のマイクロホンの構成を説明する説明図。
【図3】本実施形態のマイクロホンの周波数特性を示すグラフ。
【図4】本実施形態の音声処理部(DSP)の回路構成を説明する機能ブロック図。
【図5】本実施形態の携帯電話機が検知する種々の特定事象を説明する説明図。
【図6】本実施形態の携帯電話機をネットワークを介して各種サービス機関に接続する形態を説明する説明図。
【図7】図1に示す携帯電話機の変形例を示す機能ブロック図。
【図8】図4に示す音声処理部(DSP)の変形例を示す機能ブロック図。
【符号の説明】
【0109】
1・・・携帯電話機、10・・・携帯電話機(携帯型通信端末)、2・・・マイク部、3・・・スピーカ部、4・・・音声処理部(DSP)、5・・・無線通信処理部、6・・・モデム部、7・・・RF部、8・・・アンテナ部、9・・・CPU、10・・・ROM、11・・・RAM、12・・・キー入力部、13・・・表示器(LCD)、14・・・LED、15・・・サウンダ、16・・・メール処理部、17・・・バイブレータ、18・・・カメラ、19・・・電源部、21・・・エレクトレットコンデンサマイクロホン、22・・・チャンバ部、21a・・・筐体、21b・・・エレクトレットフィルム(振動板)、21c・・・対向電極、21d・・・電界効果トランジスタ(FET)、21e・・・Oリング板部材、21f・・・蓋部材、41・・・減算回路、42・・・音声処理部、43・・・判定回路、44・・・特定処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホンを備えた携帯型通信端末であって、
前記マイクロホンの出力から特定の周波数帯域における特定信号を検出する信号検出手段と、
前記信号検出手段により前記特定信号が検出された場合に特定の処理を実行する特定処理手段とを更に備えることを特徴とする携帯型通信端末。
【請求項2】
前記マイクロホンの1KHzにおけるゲインに対する10Hzにおけるゲインの低下が3dB未満であることを特徴とする請求項1に記載の携帯型通信端末
【請求項3】
前記マイクロホンは、エレクトレットフィルムを収容する筐体の前面及び後面のいずれか一方が開放され、他方が密閉されたエレクトレットコンデンサマイクロホンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型通信端末。
【請求項4】
前記マイクロホンは、エレクトレットフィルムを収容する筐体の前面及び後面のそれぞれに開口部が形成されたエレクトレットコンデンサマイクロホンであり、前記開口部のいずれか一方に、外部から筐体内部に空気振動が伝達されるのを阻止する蓋部材が装着されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯型通信端末。
【請求項5】
前記特定処理手段は、表示器、スピーカ、サウンダ、バイブレータ、LEDのいずれか少なくとも一つを備えており、前記特定処理は、当該表示器、スピーカ、サウンダ、バイブレータ、LEDのいずれか少なくとも一つを用いて、前記特定信号に対応する特定事象が発生したことを通知する処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯型通信端末。
【請求項6】
前記特定処理手段は、前記特定信号を示す情報を記録手段に記録し、該記録した情報に基づき所定の情報を通知することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯型通信端末。
【請求項7】
前記信号検出手段は、前記マイクロホンの出力から、それぞれ帯域の異なる複数の周波数帯域における特定信号を出力する複数のフィルタ手段と、
前記複数のフィルタ手段から出力される特定信号をそれぞれ入力し、該入力した特定信号に基づいて、発生した前記特定事象の種類を判別する判別手段とから構成されており、
前記特定処理手段は、前記判別手段により判別された前記特定事象の種類に応じて前記特定処理を実行することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯型通信端末。
【請求項8】
前記マイクロホンは、エレクトレットフィルムを収容する筒状の筐体の前面及び後面のそれぞれに開口部が形成されたエレクトレットコンデンサマイクロホンであり、前記開口部のいずれか一方に、光及び/又は熱を圧力に変換する変換手段を保持する空間が形成されたチャンバ部が装着されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の携帯型通信端末。
【請求項9】
通話用のスピーカを更に備えて音声通信を行う携帯型通信端末であって、
相手先の通信装置との間で通話処理を行う場合に、前記特定処理手段における特定処理を実行せずに通話処理を行わせる為の特定処理禁止手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜8に記載の携帯型通信端末。
【請求項10】
マイクロホン及びスピーカを備え、相手先の通信装置との間で音声通信を行う携帯型通信端末であって、
前記マイクロホンとして、電話通信の通話専用に使用される第1のマイクロホンと、特定信号の検出専用に使用される第2のマイクロホンとを備えるとともに、
通話時に、前記第1のマイクロホンから検出された検出信号を有効とし、前記通話時以外に前記第2のマイクロホンから検出された検出信号を有効とする切替手段と、
前記切替手段で有効にされ、前記第2のマイクロホンから検出された検出信号から特定の周波数帯域における特定信号を検出する信号検出手段と、
前記信号検出手段により前記特定信号が検出された場合に、特定事象の発生を通知する特定処理を実行する特定処理手段とを更に備えることを特徴とする携帯型通信端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−193497(P2008−193497A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26985(P2007−26985)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【Fターム(参考)】