説明

携帯型電子機器

【課題】開位置まで開かれた開閉蓋に加わる曲げモーメントを低減する。
【解決手段】機器外観面より機器内部側に位置する回転中心の周りに回転することにより、機器外観面に設けられた開口を開閉可能な開閉蓋と、前記開閉蓋を、前記回転中心を機器外観面より機器内部側に位置させた状態で前記回転中心の周りに回転可能に、且つ、前記回転中心の回転半径方向外方への変位を許容しつつ、機器内部側から支持する支持部と、を備える携帯型電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の携帯型電子機器の筐体には、バッテリー、メモリーカード等が装填される装填部を開閉する開閉蓋が配されている(例えば、特許文献1及び2参照)。当該開閉蓋は、ヒンジ部を介して回転自在に上記装填部における開口縁部に支持されている。
【特許文献1】特開2003−215680号公報
【特許文献2】特開2008−66098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記文献に記載の携帯型電子機器では、ヒンジ部における回転軸が、機器の外観面より機器内部側に配されており、開閉蓋は、開かれた状態で、装填部における開口縁部に干渉する。これにより、開閉蓋の開位置が決まる。ここで、開閉蓋の支持部近傍に当該開口縁部が当接していることから、開位置まで開かれた状態の開閉蓋に対して開く方向への荷重が加えられた場合には、開閉蓋に曲げモーメントが生じる。従って、開閉蓋が変形したり、破損したりする可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、機器外観面(106)より機器内部側に位置する回転中心(138)の周りに回転することにより、機器外観面に設けられた開口(112)を開閉可能な開閉蓋(110)と、前記開閉蓋を、前記回転中心を機器外観面より機器内部側に位置させた状態で前記回転中心の周りに回転可能に、且つ、前記回転中心の回転半径方向外方への変位を許容しつつ、機器内部側から支持する支持部(150)と、を備える携帯型電子機器(100)が提供される。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0007】
図1は、撮像装置としてのデジタルカメラ100を、底側を上側に向けた状態で示した斜視図である。この図に示すように、デジタルカメラ100は、矩形箱状の筐体102を備えている。この筐体102は、沈胴式のレンズ鏡筒104、CCD等の撮像素子、シャッタ等を有する撮像部、バッテリーBT及びメモリーカードMC等を収容している。また、筐体102は、レンズ鏡筒104の光軸方向にかけて薄型に形成されている。
【0008】
なお、以下の説明では、レンズ鏡筒104の光軸方向をカメラ前後方向、筐体の底側を下側に向けた状態における筐体102の上下方向をカメラ上下方向と称する。また、カメラ前後方向及びカメラ上下方向の双方と直交する水平方向をカメラ左右方向と称する。さらに、図面には、バッテリーBT及びメモリーカードMCの挿入方向を図中矢印Xで示す。
【0009】
カメラ前後方向にかけて薄型の筐体102における底部外観面106は、カメラ左右方向を長手方向とする矩形状に形成されており、底部外観面106におけるカメラ左右方向の一端側には、開閉蓋110が配されている。開閉蓋110は、カメラ左右方向を長手方向とする矩形板状に形成されており、バッテリーBT及びメモリーカードMCが挿抜される矩形状の装填口112に嵌め込まれている。ここで、開閉蓋110の外観面114と底部外観面106とは面一に配されている。
【0010】
また、開閉蓋110には、ロックレバー120が配されており、閉じた状態の開閉蓋110をロックレバー120により筐体102にロックすることができる。なお、ロックレバー120におけるユーザが操作する操作部122が開閉蓋110の外側に露出している。
【0011】
図2は、開閉蓋110を開いた状態のデジタルカメラ100を、底側を上側に向けた状態で示した斜視図である。この図に示すように、開閉蓋110の裏面には、ロックレバー120におけるレバー部124を開閉蓋110の長手方向にスライド可能に保持するスライドレール116が配されている。スライドレール116には、ロックレバー120のレバー部124と係合する係合部としての板バネ118が備えられている。
【0012】
開閉蓋110は、ヒンジ部130を介して筐体102の内部側から回転可能に支持されている。ヒンジ部130は、開閉蓋110及び装填口112における一対の短辺のうちカメラ左右方向中央側に位置する短辺の近傍に配されている。また、ヒンジ部130には、開閉蓋110を開く方向へ付勢する捩りコイルバネ132が配されている。
【0013】
図3は、開閉蓋110を閉じた状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。この図に示すように、装填口112より奥側(即ち、カメラ上方側)には、バッテリーBT及びメモリーカードMCが装填されるボックス140が配されている。このボックス140の奥部には、バッテリーBTの端子と接触する端子、及びメモリーカードMCの端子と接触する端子が配されている。また、ボックス140よりカメラ左右方向中央側には、ヒンジ部130を機器内部側から支持するヒンジ支持部150が配されている。
【0014】
ヒンジ部130は、開閉蓋110の裏面におけるカメラ左右方向中央側の端部にカメラ前後方向に並べて配された一対の軸受部134と、一対の軸受部134を挟んでカメラ前後方向に並べて配された一対の軸支部136と、一対の軸受部134と一対の軸支部136に挿通された回転軸138とを備えている。即ち、一対の軸受部134は、一対の軸支部136に回転軸138を介して回転軸138の周りに回転可能に支持されている。
【0015】
また、上述の捩りコイルバネ132は、一対の軸受部134の間に配されており、当該捩りコイルバネ132には回転軸138が挿通されている。捩りコイルバネ132の一端部及び他端部はそれぞれ、開閉蓋110の裏面と、ボックス140の開口縁部からカメラ左右方向中央側へ水平に延びる水平壁部142とに圧接している。即ち、捩りコイルバネ132は、一端側と他端側とが互いに接近する方向に弾性的に収縮しており、開閉蓋110を開放する方向(即ち、図中反時計回り方向)へ付勢している。
【0016】
図4は、開閉蓋110を閉じた状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。この図に示すように、開閉蓋110には、上述の操作部122が配される矩形状の開口部113が形成されている。この開口部113のカメラ左右方向の長さは、操作部122のカメラ左右方向の長さよりも長くなっており、操作部122は、開口部113の中でカメラ左右方向にスライド移動できる。
【0017】
ここで、操作部122が、開口部113内においてカメラ左右方向外側端部(即ち、図中右端部)まで移動した場合に、レバー部124の先端部が、開閉蓋110から図中右側へ突出して筐体102における装填口112の縁部と係合する。これにより、開閉蓋110がロックレバー120により筐体102にロックされる。一方、操作部122が、開口部113内においてカメラ左右方向中央側端部(即ち、図中左端部)まで移動した場合に、レバー部124の先端部が、開閉蓋110と上下に重なる位置に格納され、筐体102における装填口112の縁部との係合を解除する。これにより、ロックレバー120による開閉蓋110の筐体102へのロックが解除され、開閉蓋110が、捩りコイルバネ132の付勢力により図中反時計回り方向へ回転され、開放される。
【0018】
また、レバー部124には、カメラ左右方向に並列された一対の係合凹部126、128が形成されている。また、板バネ118には、係合凹部126、128に係合する係合凸部119が形成されている。図示するように、レバー部124が筐体102における装填口112の開口縁部に係合している場合に、係合凸部119が、係合凹部126、128のうちカメラ左右方向中央側に位置する係合凹部126に係合する。一方、レバー部124が装填口112の開口縁部との係合を解除している場合に、係合凸部119が、係合凹部126、128のうちカメラ左右方向外側に位置する係合凹部128に係合する。
【0019】
また、ヒンジ支持部150は、一対の軸支部136と一体で形成されたガイド部152と、ガイド部152をカメラ上下方向へ直動可能に支持するガイド支持部154と、ガイド部152とガイド支持部154とに両端を支持された引張コイルバネ156とを備えている。
【0020】
ガイド部152は、L字アングルであって、水平壁部142より機器外部側(即ち、カメラ下側)に配され、上記一対の軸支部136と一体化された水平部151と、水平部151におけるカメラ左右方向中央側から機器内部側(即ち、カメラ上側)へ延びる鉛直部153とを備えている。水平部151には、引張コイルバネ156の一端のフック部が引掛けられている。
【0021】
また、ガイド支持部154は、上述の水平壁部142と、水平壁部142におけるカメラ左右方向中央側端部から機器内部側(即ち、カメラ上側)へ延びる鉛直部155と、鉛直部155に取付けられるL字アングル158とを備えている。L字アングル158は、鉛直部155とカメラ左右方向に対向して配された鉛直部157と、鉛直部157におけるカメラ上側端部からカメラ左右方向外側へ延出する水平部159とを備えている。
【0022】
ガイド部152における鉛直部153には、カメラ上下方向に延びる長孔161が形成され、L字アングル158における鉛直部155には、長孔161と嵌り合う凸部163が形成されている。L字アングル158を機器外部側(即ち、カメラ下側)へ移動させた場合、長孔161におけるカメラ上側端部が凸部163に当接することにより、L字アングル158の機器外部側への移動が制限される。一方で、L字アングル158を機器内部側へ移動させた場合、ガイド部152の水平部151が水平壁部142に当接することにより、L字アングル158の機器内部側への移動が制限される。
【0023】
また、水平部159には、引張コイルバネ156の他端のフック部が引掛けられている。即ち、ガイド部152は、引張コイルバネ156により機器内部側(即ち、カメラ上側)に付勢されており、ガイド部152における水平部151が、水平壁部142に圧接されている。なお、水平壁部142には、引張コイルバネ156が挿通される開口部143が形成されている。ここで、ガイド部152における水平部151が水平壁部142に圧接された状態では、ガイド部152に支持されたヒンジ部130は、底部外観面106より機器内部側に位置する。
【0024】
図5は、開閉蓋110、ヒンジ部130、及びヒンジ支持部150を示す分解斜視図である。この図に示すように、捩りコイルバネ132を一対の軸受部134の間に配すると共に、一対の軸受部134を一対の軸支部136の間に配した状態で、回転軸138を一対の軸支部136、一対の軸受部134及び捩りコイルバネ132に挿通する。この状態で、一対の軸支部136の両側において、回転軸138の軸方向両端部にEリング133を装着する。これにより、回転軸138が、一対の軸受部134及び一対の軸支部136から抜けることを防止する。
【0025】
また、L字アングル158の鉛直部157の幅方向一端部及び他端部にはそれぞれ、フランジ部165が形成されている。一対のフランジ部165と鉛直部157とにより断面ハット形状が形成されており、対のフランジ部165が鉛直部155にネジ止めされ、一対のフランジ部165、鉛直部155、及び鉛直部157の間に鉛直部153が挿入される。
【0026】
また、ガイド部152の水平部151とL字アングル158の水平部159にはそれぞれ、フック引掛け部としての一対の長孔169が形成されている。この一対の長孔169には、引張コイルバネ156の両端部に形成されたフック部167が引掛けられる。
【0027】
図6は、開閉蓋110を開放した状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。この図に示すように、ロックレバー120による開閉蓋110の筐体102へのロックが解除された状態では、開閉蓋110が捩りコイルバネ132の付勢力により開放される。この状態では、ヒンジ部130が引張コイルバネ156により機器内部側に付勢されていることから、回転軸138は、底部外観面106より機器内部側に位置する。また、この状態では、開閉蓋110の外観面114におけるカメラ左右方向中央側の端部が、底部外観面106に当接することにより、開放した開閉蓋110の停止位置(以下、開位置という)が決められる。本実施形態では、開閉蓋110の開位置は、閉じた位置(以下、閉位置という)から約130°回転した位置に設定されている。
【0028】
図7は、開閉蓋110を開位置からさらに開放方向へ回転させた状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。この図に示すように、ヒンジ部130を機器外部側へ移動させた場合、長孔161におけるカメラ上側端部(即ち、図中下端部)が凸部163に当接することにより、ヒンジ部130の機器外部側への可動範囲が制限される。本実施形態では、図示するように回転軸138が底部外観面106より機器外部側に位置して、開閉蓋110の外観面114と底部外観面106とが面接触できるように、上記可動範囲が設定されている。即ち、本実施形態では、長孔161における図中下端部と凸部163とは当接する前に、開閉蓋110の外観面114と底部外観面106とが当接する。なお、開閉蓋110の外観面114と底部外観面106とが当接する前に、長孔161における図中下端部と凸部163とが当接するように構成してもよい。
【0029】
即ち、本実施形態では、開位置で停止している開閉蓋110に対して、さらに開放する方向(即ち、図中反時計周り方向であり、以下、開方向という)への荷重が加わった場合には、開閉蓋110が、外観面114と底部外観面106との当接部を支点として開方向へ回転する。これにより、回転軸138が、引張コイルバネ156の付勢力に抗して、機器外部側へ変位する。即ち、開閉蓋110の回転半径方向の外方への変位が、ヒンジ支持部150により許容されている。従って、当該状況下において、開閉蓋110に生じる曲げモーメントを低減でき、開閉蓋110に生じる曲げ変形を抑制できる。
【0030】
また、本実施形態では、開閉蓋110における回転半径方向外側端部が底部外観面106に当接するまで、回転軸138の機器外部側への変位が許容されている。従って、当該状況下において、開閉蓋110に上記曲げモーメントが生じることを防止でき、開閉蓋110に曲げ変形が生じ、又は、開閉蓋110が破損することを防止できる。
【0031】
また、本実施形態では、回転軸138を引張コイルバネ156により機器内部側に付勢したことから、開閉蓋110を開位置からさらに開方向へ回転させた後に、当該開閉蓋110を閉じる方向へ回転させた場合、回転軸138が機器内部側に引張コイルバネ156の付勢力により復帰する。従って、ユーザは、開閉蓋110を閉じるに際して、ヒンジ部130を機器内部側に押し込む作業を要しない。
【0032】
また、ユーザが、開閉蓋110を閉位置から開位置まで開放させる場合には、回転軸138の位置が、引張コイルバネ156の付勢力により機器内部側に維持される。従って、開閉蓋110を閉位置から開位置まで回転させる操作の操作性を犠牲にすることなく、開閉蓋110の信頼性、安全性を向上できる。
【0033】
図8は、ヒンジ支持部150の他の実施形態に係るヒンジ支持部250を備えるデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。この図に示すように、ヒンジ支持部250は、一対の軸受部134を回転軸138を介して支持する一対のリンクアーム252と、一対のリンクアームを連結する回転軸254と、一対のリンクアーム252を回転軸254の周りに機器内部側に付勢する捩りコイルバネ256とを備えている。一対のリンクアーム252は、互いに平行に配されており、長手方向一端部を回転軸138により連結され、長手方向他端部を回転軸254により連結されている。
【0034】
回転軸254は、回転軸138より機器内部側に回転軸138と平行に配されており、水平壁部142から垂下された側壁部145に回転自在に支持されている。また、捩りコイルバネ256の一端にはコ字状のフック部255が形成されており、一方のリンクアーム252に引掛けられている。一方、捩りコイルバネ256の他端には、機器内部側に延びる直線部257が形成されている。また、側壁部145における回転軸254より機器内部側には、凸部147が突設されており、直線部257が凸部147に係止されている。ここで、捩りコイルバネ256は、一端と他端とが接近する方向に弾性的に収縮されている。これによって、一対のリンクアーム252が、機器内部側(即ち、図中反時計周り方向)へ捩りコイルバネ256により付勢されている。
【0035】
図9は、ヒンジ支持部250を備えるデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。この図に示すように、側壁部145には回転止め用の凸部149が突設されている。この凸部149は、リンクアーム252の回転中心よりカメラ左右方向中央側、且つ機器外部側に配されており、カメラ左右方向中央側に傾斜したリンクアーム252が、凸部149に当接する。これにより、リンクアーム252の機器内部側への移動が制限される。ここで、リンクアーム252が凸部149に当接した状態では、ヒンジ部130が、底部外観面106より機器内部側に位置する。
【0036】
図10は、開閉蓋110、ヒンジ部130、及びヒンジ支持部250を示す分解斜視図である。この図に示すように、捩りコイルバネ132を一対の軸受部134の間に配すると共に、一対の軸受部134を一対のリンクアーム252の間に配した状態で、回転軸138を一対のリンクアーム252、一対の軸受部134及び捩りコイルバネ132に挿通する。この状態で、一対のリンクアーム252の両側において、回転軸138の軸方向両端部にEリング133を装着することにより、回転軸138が一対の軸受部134及び一対のリンクアーム252から抜けることを防止する。
【0037】
また、回転軸254の軸方向両端部を、側壁部145に軸受258を介して取り付け、一対の軸受258の両側において、回転軸254の軸方向両端部にEリング259を装着する。これにより、軸受258が回転軸254及び側壁部145から抜けることを防止する。
【0038】
図11は、開閉蓋110を開放した状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。この図に示すように、ロックレバー120による開閉蓋110の筐体102へのロックが解除され、開閉蓋110が捩りコイルバネ132の付勢力により開放された状態では、リンクアーム252が捩りコイルバネ256により回転軸254の周りに機器内部側に付勢されている。よって、この状態では、回転軸138が、底部外観面106より機器内部側に位置する。また、この状態では、開閉蓋110の外観面114におけるカメラ左右方向中央側の端部が、底部外観面106に当接することにより、開放した開閉蓋110の開位置が決められる。本実施形態では、開閉蓋110の開位置は、閉位置から約130°回転した位置に設定されている。
【0039】
図12は、開閉蓋110を開位置からさらに開放方向へ回転させた状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。この図に示すように、ヒンジ部130を回転軸254の周りに機器外部側(即ち、図中時計周り方向)へ移動させた場合、回転軸138が底部外観面106より機器外部側に位置して、開閉蓋110の外観面114と底部外観面106とが面接触する。
【0040】
即ち、本実施形態では、開位置で停止している開閉蓋110に対して、さらに開放する方向(即ち、図中反時計周り方向であり、以下、開方向という)への荷重が加わった場合には、開閉蓋110が、外観面114と底部外観面106との当接部を支点として開方向へ回転する。これにより、リンクアーム252が、捩りコイルバネ256の付勢力に抗して、機器外部側(即ち、図中時計周り方向)へ回転する。即ち、開閉蓋110の回転半径方向の外方への変位が、ヒンジ支持部250により許容される。従って、当該状況下において、開閉蓋110に生じる曲げモーメントを低減でき、開閉蓋110に生じる曲げ変形を抑制できる。
【0041】
また、本実施形態では、回転軸138を捩りコイルバネ256により機器内部側に付勢したことから、開閉蓋110を開位置からさらに開方向へ回転させた後に、当該開閉蓋110を閉じる方向へ回転させた場合、回転軸138が機器内部側に捩りコイルバネ256の付勢力により復帰する。従って、ユーザは、開閉蓋110を閉じるに際して、ヒンジ部130を機器内部側に押し込む作業を要しない。
【0042】
また、ユーザが、開閉蓋110を閉位置から開位置まで開放させる場合には、回転軸138の位置が、捩りコイルバネ256の付勢力により機器内部側に維持される。従って、開閉蓋110を閉位置から開位置まで回転させる操作の操作性を犠牲にすることなく、開閉蓋110の信頼性、安全性を向上できる。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0044】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】デジタルカメラ100を、底側を上側に向けた状態で示した斜視図である。
【図2】開閉蓋110を開いた状態のデジタルカメラ100を、底側を上側に向けた状態で示した斜視図である。
【図3】開閉蓋110を閉じた状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。
【図4】開閉蓋110を閉じた状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。
【図5】開閉蓋110、ヒンジ部130、及びヒンジ支持部150を示す分解斜視図である。
【図6】開閉蓋110を開放した状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。
【図7】開閉蓋110を開位置からさらに開放方向へ回転させた状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。
【図8】ヒンジ支持部150の他の実施形態に係るヒンジ支持部250を備えるデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。
【図9】ヒンジ支持部250を備えるデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。
【図10】開閉蓋110、ヒンジ部130、及びヒンジ支持部250を示す分解斜視図である。
【図11】開閉蓋110を開放した状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。
【図12】開閉蓋110を開位置からさらに開放方向へ回転させた状態のデジタルカメラ100の底側を拡大して示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0046】
100 デジタルカメラ、102 筐体、104 レンズ鏡筒、106 底部外観面、110 開閉蓋、112 装填口、113 開口部、114 外観面、116 スライドレール、118 板バネ、119 係合凸部、120 ロックレバー、122 操作部、124 レバー部、126、128 係合凹部、130 ヒンジ部、132 捩りコイルバネ、133 Eリング、134 軸受部、136 軸支部、138 回転軸、140 ボックス、142 水平壁部、143 開口部、145 側壁部、147、149 凸部、150 ヒンジ支持部、151 水平部、152 ガイド部、153 鉛直部、154 ガイド支持部、155 鉛直部、156 引張コイルバネ、157 鉛直部、158 L字アングル、159 水平部、161 長孔、163 凸部、165 フランジ部、167 フック部、169 長孔、250 ヒンジ支持部、252 リンクアーム、254 回転軸、255 フック部、256 捩りコイルバネ、257 直線部、258 軸受、259 Eリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器外観面より機器内部側に位置する回転中心の周りに回転することにより、機器外観面に設けられた開口を開閉可能な開閉蓋と、
前記開閉蓋を、前記回転中心を機器外観面より機器内部側に位置させた状態で前記回転中心の周りに回転可能に、且つ、前記回転中心の回転半径方向外方への変位を許容しつつ、機器内部側から支持する支持部と、
を備える携帯型電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型電子機器であって、
前記開閉蓋の外観面が、機器外観面と面一に配されている携帯型電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯型電子機器であって、
前記支持部は、
前記開閉蓋を回転可能に支持するヒンジ部と、
機器内部に、前記開口が設けられた機器外観面と交差する方向へ直動可能に配され、前記ヒンジ部を支持するヒンジ支持部と、
前記ヒンジ支持部を、機器内部側へ付勢する付勢部と、
を備える携帯型電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯型電子機器であって、
前記支持部は、
前記開閉蓋を回転可能に支持するヒンジ部と、
機器内部に、前記開閉蓋の前記回転中心と並行する回転軸の周りに回転可能に配され、前記ヒンジ部を支持するヒンジ支持部と、
前記ヒンジ支持部を、機器内部側へ付勢する付勢部と、
を備える携帯型電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の携帯型電子機器であって、
前記開閉蓋が、前記回転中心が機器外観面より機器内部側に位置する状態で、前記回転中心の周りに回転して前記開口を開放する場合に、当該開閉蓋が当接する蓋当接部を備える携帯型電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯型電子機器であって、
前記支持部は、前記機器外観面より機器外部側までの前記回転中心の変位を許容する携帯型電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯型電子機器であって、
前記支持部は、前記蓋当接部に当接した前記開閉蓋が、さらに開く方向へ回転する場合に、前記開閉蓋の外観面の一部が機器外観面に当接する位置まで、前記回転中心の機器外部側への変位を許容する携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−113222(P2010−113222A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286716(P2008−286716)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】