説明

携帯情報端末及びその情報入力方法

【課題】タッチパネルを備えた携帯情報端末において、ディスプレイを視認しなくても情報を入力できる携帯情報端末及びその文字入力方法を提供する。
【解決手段】携帯情報端末は、ユーザーによる接触の有無及びその接触点の位置を検出する入力装置を備える。処理装置は、入力装置で検出された第1の接触点の位置を基準位置として、入力装置上に情報を入力するための仮想入力キーを配置し、入力装置上の該仮想入力キーへの接触による第2の接触点を検出すると、第1の接触点と第2の接触点の相対位置関係から第2の接触点に対応する情報を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネルを備えた携帯情報端末及びその情報入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の携帯電話機、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)等の携帯情報端末では、その端末の前面に広範囲な面積を占めるディスプレイが配置され、ディスプレイ上面に透明なタッチパネルが配置された構成が知られている。そのような携帯情報端末では、ソフトウェアによる処理でディスプレイにキーボード(ソフトウェアキーボード)が表示され、ユーザーは該ソフトウェアキーボードの仮想入力キーにタッチすることで文字や記号等の情報を入力することができる。
【0003】
ところで、一般に、携帯情報端末やコンピュータ等が備えるメカニカルキーボードには、操作時のホームポジションが確認できるように、特定のキーに指先で知覚できるマーカーが設けられている。
【0004】
しかしながら、タッチパネルを備える携帯情報端末では、ディスプレイの表示性能を低下させるため、ソフトウェアキーボードの表示位置に合わせてタッチパネル上に凹凸を設けることはできない。そのため、タッチパネルの表面は、透明であり、平坦であるのが一般的である。
【0005】
したがって、ディスプレイを視認しながら情報を入力することができない、例えば視覚障害者は、タッチパネル上に指先で知覚できる凹凸が無いため、仮想入力キーの位置を確認することができず、キー操作が非常に困難である。
【0006】
なお、メカニカルキーボードを備えた携帯情報端末に対する情報入力方法については、例えば特許文献1や特許文献2で提案されている。特許文献1には、複数の補助操作キーを備え、数字入力用キーと補助操作用キーの組み合わせにより文字を選択することで、文字の入力操作を簡易にした携帯電話機が記載されている。また、特許文献2には、切り替えキーと複数の入力キーとを備え、切り替えキーの操作により各入力キーへ割り当てる文字を変更することで、文字の入力操作を簡易にしたPDAが記載されている。
【0007】
また、タッチパネルを備えた情報処理装置に対する情報入力方法は、例えば特許文献3〜5で提案されている。特許文献3には、ディスプレイ上に配置するソフトウェアキーボードのホームポジション(基準位置)のみを表示することで、画面表示を妨げることなく情報の入力を可能にした情報処理装置が提案されている。また、特許文献4には、ディスプレイの側辺近傍に仮想入力キーを配置することで、画面表示を妨げることなく情報の入力を可能にした携帯情報端末が提案されている。特許文献5には、手のひらの形状に対応してタッチパネル上に仮想入力キーを配置することで、片手による情報入力を可能にした入力装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−236169号公報
【特許文献2】特開2003−186613号公報
【特許文献3】特開2004−54589号公報
【特許文献4】特開2006−148536号公報
【特許文献5】特開2005−025489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、携帯情報端末で一般的に用いるタッチパネルは、その表面が平坦であり、指先で知覚できるような凹凸が無いため、視覚障害者は、文字入力等を行うための仮想入力キーの位置を確認することができず、仮想入力キーを用いた情報の入力操作が困難であるという問題がある。
【0010】
本発明は上述したような背景技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、タッチパネルを備えた携帯情報端末において、ユーザーがディスプレイを視認しなくても情報を入力できる携帯情報端末及びその文字入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目定を達成するため本発明の携帯情報端末は、ユーザーによる接触の有無及びその接触点の位置を検出する入力装置と、
前記入力装置で検出された第1の接触点の位置を基準位置として、前記入力装置上に情報を入力するための仮想入力キーを配置し、前記入力装置上の該仮想入力キーへの接触による第2の接触点を検出すると、前記第1の接触点と前記第2の接触点の相対位置関係から前記第2の接触点に対応する情報を判別する処理装置と、
を有する。
【0012】
一方、本発明の携帯情報端末の情報入力方法は、ユーザーによる接触の有無及びその接触点の位置を検出する入力装置を備えた携帯情報端末に情報を入力するための情報入力方法であって、
処理装置が、
前記入力装置で検出された第1の接触点の位置を基準位置として、前記入力装置上に情報を入力するための仮想入力キーを配置し、
前記入力装置上の該仮想入力キーへの接触による第2の接触点を検出すると、前記第1の接触点と前記第2の接触点の相対位置関係から前記第2の接触点に対応する情報を判別する方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザーはディスプレイを視認しなくてもタッチパネルを用いて情報を入力できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の携帯情報端末による情報入力操作の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の携帯情報端末の一構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態の携帯情報端末の一構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態の携帯情報端末の外観を示す平面図である。
【図5】第1の実施の形態の携帯情報端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態の携帯情報端末の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の携帯情報端末による情報入力操作の一例を示す模式図である。
【0017】
本発明の携帯情報端末は、ユーザーによりタッチパネル上に入力基準点が設定されると、該入力基準点の位置を基準に情報を入力するための仮想入力キーを配置する。図1に示すように、ユーザーは、最初に親指でタッチパネル上の任意の位置をタッチすることで入力基準点を設定し、その後、入力基準点の位置を基準に配置された仮想入力キーを人差指等でタッチすることで文字や記号等を入力できる(図1)。
【0018】
図2は、本発明の携帯情報端末の一構成例を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、本発明の携帯情報端末は、ユーザーによる接触の有無及びその接触点の位置を検出する入力装置10と、入力装置10で検出された第1の接触点の位置を基準位置として、入力装置上に情報を入力するための仮想入力キーを配置し、入力装置上の該仮想入力キーへの接触による第2の接触点を検出すると、第1の接触点と第2の接触点の相対位置関係から第2の接触点に対応する情報を判別する処理装置20とを有する構成である。
(第1の実施の形態)
図3は第1の実施の形態の携帯情報端末の一構成例を示すブロック図であり、図4は第1の実施の形態の携帯情報端末の外観を示す平面図である。
【0020】
図3に示すように、第1の実施の形態の携帯情報端末1は、CPU(中央処理装置)2、メモリ3、タッチパネル4、ディスプレイ5及び通信回路6を備えた構成である。携帯情報端末1には、音声通信を可能にするためのマイクやスピーカを備えていてもよい。スピーカは、情報入力時にユーザーに対して確認や注意を促す場合にも用いることができる。また、携帯情報端末1には、例えば電源のオン・オフ、通信の開始・終了、その他の機能を選択するためのファンクションキーを備えていてもよい。
【0021】
CPU2は、メモリ3、タッチパネル4、ディスプレイ5及び通信回路6とバスを介して接続され、各種の制御用プログラムにしたがって処理を実行することで、携帯情報端末1全体の動作を制御すると共に、後述する本発明の情報入力方法を実現する。また、携帯情報端末1に、マイク、スピーカ、ファンクションキー等を備えている場合、CPU2は、それらの装置との周知のインタフェース回路(音声処理回路、増幅回路、スイッチ等)を介して接続される。
【0022】
メモリ3は、ROM(リード・オンリ・メモリ)及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を備えている。ROMには、例えばCPU2で実行する各種の制御用プログラム(ソフトウェア)やCPU2の処理で用いる各種のデータが保存されている。RAMには、例えば制御用プログラムにしたがってCPU2が処理を実行する際に必要なデータが一時的に格納される。図2に示した本発明の処理装置20は、例えば図3に示すCPU2及びメモリ3で実現される。
【0023】
タッチパネル4は、タッチ面として有効な範囲にユーザーの指等が触れると、接触反応がある座標(接触点)のデータをCPU2へ送信する。CPU2は、タッチパネル4から受け取ったデータに基づき、該接触点の有無とその座標を検出する。図2に示した本発明の入力装置10は、例えば図3に示すタッチパネル4で実現される。
【0024】
ディスプレイ5は、CPU2の指示にしたがって、文字や画像、あるいは後述する入力基準点41及び仮想入力キー42を表示する、液晶パネルや有機ELパネル等の表示装置である。ディスプレイ5は、例えば視覚障害者等が使用することを前提とする場合、無くてもよい。入力基準点41及び仮想入力キー42は、ディスプレイ5に表示してもよく、表示しなくてもよい。
【0025】
通信回路6は、通信ネットワークを介して情報を送受信するための周知の無線回路であり、マイク及びスピーカを用いた音声通信や電子メール等のデータ通信を可能にする。
【0026】
図4に示すように、携帯情報端末1は、その前面にディスプレイ5を備え、ディスプレイ5の上面を覆うように透明なタッチパネル4が配置された構成である。携帯情報端末1前面の一方の端部にはファンクションキー7やマイク61が配置され、携帯情報端末1前面の他方の端部にはスピーカ62が配置されている。
【0027】
情報の入力操作時、タッチパネル4上には、一つの入力基準点41の位置を基準に、複数の仮想入力キー42が制御用プログラムによる処理で定義されて配置される。仮想入力キー42としては、例えば、図4に示すように4行3列に配列された、「0」〜「9」、「*」、「#」の12種類がある。これら各仮想入力キー42の配列を示す情報はメモリ3に予めに格納され、CPU2は該情報にしたがって各仮想入力キー42を配置する。
【0028】
入力基準点41は、ユーザーが左手で携帯情報端末1を持ち、右手で入力操作を行う場合、操作性を考慮して、例えば仮想入力キー42の左斜め下に設ければよい。ユーザーが右手で携帯情報端末1を持ち、左手で入力操作を行う場合、入力基準点41は、例えば仮想入力キー42の右斜め下に設ければよい。これらの入力操作の切り替えは、例えば図4に示したファンクションキー7等を用いて設定してもよい。
【0029】
なお、図4では、携帯情報端末1が縦であるとき(長手方向が図の上下方向)の入力基準点41及び仮想入力キー42の配置例を示しているが、携帯情報端末1が横であるとき(長手方向が図の左右方向)は、例えば仮想入力キー42を3行4列に配置すればよい。携帯情報端末1が縦であるか横であるかは、例えば加速度センサを用いて検出できる。また、携帯情報端末1が加速度センサを備えている場合、仮想入力キー42は、携帯情報端末1の姿勢(角度)に応じて、入力基準点41を基準に回動可能に配置してもよい。
【0030】
次に、図3及び図4に示した携帯情報端末1に対する情報の入力方法について図5を用いて説明する。
【0031】
図5は、第1の実施の形態の携帯情報端末の処理手順を示すフローチャートである。図5は、第1の実施の形態の携帯情報端末1に対する情報の入力操作時における、CPU2の処理手順を示している。
【0032】
なお、以下に示す携帯情報端末1の処理は、CPU2がメモリ3に格納された制御用プログラムにしたがって処理を実行することで実現されるものとする。
【0033】
入力基準点41及び仮想入力キー42を用いた情報の入力操作は、例えば図4に示したファンクションキー7等の操作により開始される。
【0034】
ユーザーは、ファンクションキー7等を用いて携帯情報端末1を情報の入力操作モードに設定し、タッチパネル4のおよそ左下隅を親指でタッチする。
【0035】
CPU2は、タッチパネル4における第1の接触点の有無を監視し(ステップS41)、第1の接触点を検出すると、その座標を入力基準点41に設定し、該入力基準点41の位置を基準に各仮想入力キー42をタッチパネル4上に配置する(ステップS42)。ステップS41にて、第1の接触点が検出できない場合、あるいは複数の接触点を検出した場合、CPU2は、スピーカ62を用いて音声等によりアラームを発し(ステップS44)、ユーザーに入力基準点41の設定操作をやり直すように促すと共に、ステップS41からの処理を繰り返す。なお、CPU2は、第1の接触点を検出した場合も、スピーカ62を用いて音声等により第1の接触点の検出をユーザーへ通知してもよい。
【0036】
次に、CPU2は、全ての仮想入力キー42がタッチパネル4の有効範囲内に配置できるか否かを判定する(ステップS43)。いずれかの仮想入力キー42がタッチパネル4の有効範囲から逸脱する場合、CPU2は、スピーカ62を用いて音声等によりアラームを発し(ステップS44)、ユーザーに入力基準点41の設定操作をやり直すように促すと共に、ステップS41へ戻ってステップS41〜S44の処理を繰り返す。なお、CPU2は、全ての仮想入力キー42がタッチパネル4の有効範囲内に配置できる場合もスピーカ62を用いて音声等によりその旨をユーザーへ通知してもよい。
【0037】
全ての仮想入力キー42がタッチパネル4の有効範囲内に配置できる場合、CPU2は、タッチパネル4上の第2の接触点の有無を監視する(ステップS45)。
【0038】
ユーザーは、予め学習した、親指と、例えば人差指(別の指でもよい)の角度及び間隔に基づいて、タッチパネル4上の意図する仮想入力キー42の位置を推定し、人差指等でその位置をタッチする。
【0039】
CPU2は、第2の接触点を検出すると、入力基準点41と第2の接触点の相対位置関係から、ユーザーがタッチした仮想入力キー42を特定する(ステップS46)。また、CPU2は、スピーカ62を用いて音声等により操作結果(ユーザーがタッチした仮想入力キー)をユーザーに通知する(エコーバック:ステップS47)。その後、メモリ3内に予め設けたバッファにユーザーの操作結果を格納し(ステップS48)、1文字の入力処理を終了する。
【0040】
ステップS45にて、第2の接触点を検出できない場合、CPU2はステップS41へ戻ってステップS41〜S45の処理を繰り返す。
【0041】
次に、CPU2は、第2の接触点の反応が消失したか否かを判定する(ステップS49)。これは、ユーザーによる1文字の入力の終了を検出するための処理である。ユーザーは、文字を続けて入力する場合、人差指等をタッチパネル4から一旦離し、その後、次の文字の仮想入力キー42に人差指等でタッチすることで該文字の入力が可能になる。このように文字や記号等を続けて入力する場合に、人差指等をタッチパネル4から離し、その後、次の文字の仮想入力キー42にタッチすれば、CPU2による、ユーザーがタッチした仮想入力キー42の誤判定を抑制できる。
【0042】
ステップS49にて、第2の接触点の反応が消失していない場合、CPU2は、ステップS49の処理を繰り返す。
【0043】
第2の接触点の反応が消失している場合、CPU2は、入力基準点41の反応が消失したか否かを判定する(ステップS50)。入力基準点41の反応が消失していない場合、CPU2は、ステップS41へ戻ってステップS41〜S50の処理を繰り返す。このとき、ユーザーは、親指をタッチパネル4にタッチさせたまま、人差指等で仮想入力キー42に対するタッチを繰り返すことで、複数の文字の入力が可能になる。また、ステップS41からの処理を繰り返すことで、1文字(1つの情報)入力される度に入力基準点41が再設定されるため、入力基準点41(親指)の位置が多少変動しても、仮想入力キー42の位置も入力基準点41に合わせて移動する。したがって、入力基準点41と各仮想入力キー42の相対的な位置関係は変わらないため、ユーザーが仮想入力キー42へタッチする際の位置精度を向上させることができる。
【0044】
なお、入力基準点41の変動に伴う仮想入力キー42の位置修正は、例えばタッチパネル4の縦方向や横方向のみに限定してもよい。その場合、CPU2による処理負荷を軽減できる。また、CPU2は、各仮想入力キー42に対してユーザーが実際にタッチした位置を統計処理することで、ユーザーがタッチする際の誤差を推定し、入力基準点41を中心とする回転方向についても仮想入力キー42の位置を修正してもよい。しかしながら、入力基準点41に対する実際の仮想入力キー42の回転方向のズレは僅かであり、また仮想入力キー42の検出範囲も指先の大きさを考慮してある程度の面積を有しているため、入力基準点41に対する仮想入力キー42の回転方向のズレは誤差として許容できる範囲内にあると考えられる。
【0045】
ステップS50にて、入力基準点41の反応が消失している場合、CPU2は、仮想入力キー42を用いた情報の入力処理を終了する。
【0046】
なお、上記説明では、入力基準点41を基準に仮想入力キー42を固定の位置で配置する例を示したが、入力基準点41に対する仮想入力キー42の相対位置関係は、例えばユーザーの手の大きさに合わせて選択できるように、複数種類の配列から選択できるようにしてもよい。また、ユーザー自身がユーザーの手の大きさに合わせて入力基準点41と仮想入力キー42の位置関係や仮想入力キー42どうしの間隔を自由に設定できるようにしてもよい。
【0047】
本実施形態によれば、ユーザーが親指等を用いて入力基準点41を設定すると、該入力基準点41の位置を基準に各仮想入力キーが配列されるため、ユーザーは、予め学習した、親指と、例えば人差指(別の指でもよい)の角度及び間隔に基づいて、タッチパネル4上の意図する仮想入力キー42の位置を推定し、その位置へタッチできる。そのため、ユーザーは、ディスプレイ5を視認しなくても、タッチパネル4を用いて携帯情報端末1に文字や記号等の所望の情報を入力できる。
【0048】
また、ユーザーが連続して文字や記号を入力する場合、1つの情報が入力される度に入力基準点41が再設定されるため、入力基準点41(親指)の位置が多少変動しても、仮想入力キー42の位置も入力基準点41に合わせて移動する。したがって、入力基準点41と各仮想入力キー42の相対的な位置関係は変わらないため、ユーザーが仮想入力キー42へタッチする際の位置精度を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態の携帯情報端末1では、仮想入力キー42として「0」〜「9」、「*」、「#」の12種類の文字を有する例を示した。この場合、携帯情報端末1には、これらの文字しか入力することができない。
【0049】
第2の実施の形態の携帯情報端末では、人差指、中指、薬指で仮想入力キー42に同時にタッチすることで、上記数字や記号だけでなくアルファベットやその他の記号等の入力も可能にする例である。以下では、人差指、中指及び薬指のうち、いずれか2本の指を用いて文字や記号を選択する例で説明するが、人差指、中指及び薬指の全てを用いて文字や記号等を選択することも可能であり、小指も含む4本の指を全て用いて文字や記号等を選択することも可能である。携帯情報端末1の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0050】
第2の実施の形態の携帯情報端末1では、ユーザーが同時にタッチする仮想入力キー42の組み合わせに対してアルファベットや記号等を割り当てる。仮想入力キー42の組み合わせと対応するアルファベットや記号等は、予めメモリ3に、例えばテーブル形式で格納され、CPU2により読み出し可能であるものとする。
【0051】
仮想入力キー42は、どのように組み合わせてもよいが、ユーザーの操作性が向上するように、各指で操作する仮想入力キー42を制限することが好ましい。例えばユーザーが左手で携帯情報端末1を持ち、右手で入力操作を行う場合、図4に示したように各仮想入力キー42が配列されていると仮定すると、仮想入力キー42の列毎に操作する指を割り当てることが好ましい。
【0052】
具体的には、人差指による操作は仮想入力キー42の第1列目(「1」、「4」、「7」)に制限し、中指による操作は仮想入力キー42の第2列目(「2」、「5」、「8」、「0」)に制限し、薬指による操作は仮想入力キー42の第3列目(「3」、「6」、「9」)に制限すればよい。ユーザーが右手で携帯情報端末1を持ち、左手で入力操作を行う場合は、人差指と薬指で操作する列を入れ替えればよい。
【0053】
このような制限下で、仮想入力キー42の各組み合わせに対してアルファベット及び記号を割り当てた例を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1に基づき、仮想入力キー42の組み合わせに対して割り当てられる文字(アルファベット)及び記号を示すと、表2のようになる。
【0056】
【表2】

【0057】
次に、第2の実施の形態の携帯情報端末に対する情報の入力操作について図6を用いて説明する。
【0058】
図6は、第2の実施の形態の携帯情報端末の処理手順を示すフローチャートである。図6は、第2の実施の形態の携帯情報端末1に対する情報の入力操作時における、CPU2の処理手順を示している。
【0059】
なお、以下に示す携帯情報端末1の処理は、CPU2がメモリ3に格納された制御用プログラムにしたがって処理を実行することで実現されるものとする。
【0060】
ユーザーが親指を用いて入力基準点41を設定するまでの処理(ステップS41〜S44)は第1の実施の形態と同様である。
【0061】
図6に示すように、CPU2は、入力基準点41の設定が完了すると、タッチパネル4上の第2の接触点の有無を監視する。このとき、本実施形態では、タッチパネル4上の第2の接触点が2点であるか否かも併せて判定する(ステップS55)。
【0062】
ユーザーは、予め学習した、親指と、人差指、中指及び薬指の角度及び間隔に基づいて、タッチパネル4上の意図する仮想入力キー42の位置を推定し、表1や表2に示した仮想入力キー42の組み合わせに基づいて、2つの仮想入力キー42をタッチすることで入力する文字や記号を選択する。例えば、「g」を入力する場合、ユーザーは、人差指で仮想入力キー42の「4」にタッチし、中指で仮想入力キー42の「2」にタッチすればよい。
【0063】
CPU2は、第2の接触点を検出すると、入力基準点41と第2の接触点の相対位置関係から、ユーザーがタッチした2つの仮想入力キー42を特定し(ステップS56)、仮想入力キー42の組み合わせに対応する文字や記号をメモリ3から読み出す。その後、CPU2は、第1の実施の形態と同様に、スピーカ62を用いて音声等により操作結果(ユーザーが選択した文字、あるいはユーザーがタッチした仮想入力キー)をユーザーに通知し(エコーバック:ステップS47)、メモリ3内に予め設けたバッファにユーザーの操作結果を格納して(ステップS48)、1文字の入力処理を終了する。
【0064】
ステップS55にて、第2の接触点を検出できない場合、CPU2は、ステップS41へ戻ってステップS41〜S43及びS55の処理を繰り返す。
【0065】
次に、CPU2は、第2の接触点の反応が消失したか否かを判定する(ステップS59)。これは、ユーザーによる1文字の入力の終了を検出するための処理である。ユーザーは、文字を続けて入力する場合に、2つの指をタッチパネル4から一旦離し、その後、次の文字に対応する組み合わせの仮想入力キー42へタッチすることで該文字の入力が可能になる。
【0066】
ステップS59にて、第2の接触点の反応が消失していない場合、CPU2は、ステップS59の処理を繰り返す。
【0067】
第2の接触点の反応が消失している場合、CPU2は、第1の実施の形態と同様に、入力基準点41の反応が消失したか否かを判定する(ステップS50)。入力基準点41の反応が消失していない場合、CPU2は、ステップS41へ戻って、ステップS41〜S44、S55〜S56、S47〜S48、S59及びS50の処理を繰り返す。このとき、ユーザーは親指をタッチパネル4にタッチさせたまま、2本の指または1本の指で仮想入力キー42に対するタッチを繰り返すことで、複数の文字の入力が可能になる。また、ステップS41からの処理を繰り返すことで、第1の接触点が再び検出されて入力基準点41が再設定されるため、入力基準点41(親指)の位置が多少変動しても、仮想入力キー42の位置も入力基準点41の位置に合わせて移動する。したがって、入力基準点41と各仮想入力キー42の相対的な位置関係が変化しないため、ユーザーによる仮想入力キー42へタッチする際の位置精度を向上させることができる。
【0068】
なお、第2の実施の形態では、「0」〜「9」のうちの2つの仮想入力キー42の組み合わせにより33種類の文字や記号を選択する例を示したが、さらに、入力できる文字や記号の種類を増やしたい場合は、「*」や「#」の仮想入力キー42も併用すればよい。
【0069】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、より多くの種類の文字を携帯情報端末1に容易に入力することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 携帯情報端末
2 CPU
3 メモリ
4 タッチパネル
5 ディスプレイ
6 通信回路
7 ファンクションキー
10 入力装置
20 処理装置
41 入力基準点
42 仮想入力キー
61 マイク
62 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーによる接触の有無及びその接触点の位置を検出する入力装置と、
前記入力装置で検出された第1の接触点の位置を基準位置として、前記入力装置上に情報を入力するための仮想入力キーを配置し、前記入力装置上の該仮想入力キーへの接触による第2の接触点を検出すると、前記第1の接触点と前記第2の接触点の相対位置関係から前記第2の接触点に対応する情報を判別する処理装置と、
を有する携帯情報端末。
【請求項2】
前記処理装置は、
1つの情報が入力される度に前記基準位置を再設定する請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記処理装置は、
前記第2の接触点として複数の接触点を検出すると、予め設定された、該複数の第2の接触点の組み合わせに対応する情報を判別する請求項1または2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記第2の接触点が2点である請求項3記載の携帯情報端末。
【請求項5】
ユーザーによる接触の有無及びその接触点の位置を検出する入力装置を備えた携帯情報端末に情報を入力するための情報入力方法であって、
処理装置が、
前記入力装置で検出された第1の接触点の位置を基準位置として、前記入力装置上に情報を入力するための仮想入力キーを配置し、
前記入力装置上の該仮想入力キーへの接触による第2の接触点を検出すると、前記第1の接触点と前記第2の接触点の相対位置関係から前記第2の接触点に対応する情報を判別する情報入力方法。
【請求項6】
前記処理装置が、
1つの情報が入力される度に前記基準位置を再設定する請求項5記載の情報入力方法。
【請求項7】
前記処理装置が、
前記第2の接触点として複数の接触点を検出すると、予め設定された該複数の第2の接触点の組み合わせに対応する情報を判別する請求項5または6記載の情報入力方法。
【請求項8】
前記第2の接触点が2点である請求項7記載の情報入力方法。
【請求項9】
ユーザーによる接触の有無及びその接触点の位置を検出する入力装置を備えた携帯情報端末に情報を入力する処理を実行するためのプログラムであって、
処理装置に、
前記入力装置で検出された第1の接触点の位置を基準位置として、前記入力装置上に情報を入力するための仮想入力キーを配置させ、
前記入力装置上の該仮想入力キーへの接触による第2の接触点を検出すると、前記第1の接触点と前記第2の接触点の相対位置関係から前記第2の接触点に対応する情報を判別させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185565(P2012−185565A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46763(P2011−46763)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】