携帯情報端末装置
【課題】 重畳させた表示画像情報を、使用者が認識できる携帯情報端末装置を提供する。
【解決手段】 情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、表示面1aに表示された情報と実視野の像とを使用者の眼Eに導くビームコンバイナ2と、ビームコンバイナ開閉部材6と、表示部開閉部材5と、実視野方向の入射光を受光するように配置された撮像ユニット7と、画像処理ユニット13とを備え、撮像ユニット7は、実視野を撮像し、画像処理ユニット13は、撮像ユニット7によって撮像された画像の領域について、所定の閾値よりも暗い領域を検出する領域検出工程と、表示面1aの表示領域のうち、前記領域検出工程で検出した暗い領域に対応する表示面1aの表示領域に、撮像ユニット7により撮像された画像の領域内にある所定の対象物に関連する情報を表示する表示工程とを有するようにした。
【解決手段】 情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、表示面1aに表示された情報と実視野の像とを使用者の眼Eに導くビームコンバイナ2と、ビームコンバイナ開閉部材6と、表示部開閉部材5と、実視野方向の入射光を受光するように配置された撮像ユニット7と、画像処理ユニット13とを備え、撮像ユニット7は、実視野を撮像し、画像処理ユニット13は、撮像ユニット7によって撮像された画像の領域について、所定の閾値よりも暗い領域を検出する領域検出工程と、表示面1aの表示領域のうち、前記領域検出工程で検出した暗い領域に対応する表示面1aの表示領域に、撮像ユニット7により撮像された画像の領域内にある所定の対象物に関連する情報を表示する表示工程とを有するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルなどの表示素子を有する携帯情報端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一人の人間が複数のコンピュータを使用するネットワーク社会、いわゆるユビキタス・ネットワーク社会が提唱されている。ユビキタス・ネットワーク社会では、インターネット等の情報ネットワークに、いつでも、どこからでもアクセスできる環境が実現できる。このようなアクセスに使う携帯情報端末装置は、パソコンに限られず、例えば携帯電話等も用いることができる。
【0003】
そして、携帯電話においては、通話とディスプレイ認識とを同時に行なえる表示機能付き携帯情報端末装置が、例えば、特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2001−308997号公報
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、小型のディスプレイをホログラム素子により遠方に拡大投影する。これにより、例えば、通話をしながら表示画像情報を見ることができる。さらに、ホログラム素子を介して遠方の物体の透過像を同時に観察できる。この表示機能付き携帯情報端末装置は、実視野の像にデジタル情報を重畳させて表示する、いわゆるシースルービュアー(see−through viewer)として用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、実視野内に存在する物体の反射率は、それぞれの物体によって異なる。そのため、シースルービュアーの使用時には、実視野内の場所によって、実視野内での明るさが異なる。従来技術の表示機能付き携帯情報端末装置では、実視野内の位置によっては、実視野内の物体の明るさが、表示素子で表示される画像情報の明るさに対して明るすぎることがある。その結果、使用者が、重畳させた表示画像情報を認識できなくなることが生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、重畳させた表示画像情報を、使用者が認識できる携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による携帯情報端末装置は、情報入力部を有する把持部と、前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示部と、前記表示面に表示された情報を反射して使用者の眼に導くと共に、使用者の前方の実視野の対象物の像を透過して使用者の眼に導くビームコンバイナと、前記ビームコンバイナを、前記表示部に対して開閉可能に支持するビームコンバイナ開閉部材と、前記表示部を、前記把持部に対して開閉可能に支持する表示部開閉部材と、前記実視野側から入射する光を受光するように配置された複数の受光面を備えた撮像ユニットと、画像処理ユニットとを備え、前記撮像ユニットは、前記実視野を撮像し、前記画像処理ユニットは、領域検出工程と表示工程とを有し、前記領域検出工程は、前記撮像ユニットによって撮像された実視野の画像について、所定の閾値との比較を行い、所定の閾値よりも低い値を有する領域である暗い領域を検出し、前記表示工程は、前記表示面の表示領域のうち、前記暗い領域に対応する前記表示面の表示領域に、前記実視野の画像の領域内にある所定の対象物に関連する関連情報を表示するようにしたことを特徴とする。
また、本発明による携帯情報端末装置は、前記暗い領域の面積に応じて、前記関連情報の量を異ならせるようにするのが好ましい。
また、本発明による携帯情報端末装置は、前記暗い領域の色に応じて、前記関連情報の表示色を異ならせるようにするのが好ましい。
また、本発明による携帯情報端末装置は、前記対象物と前記暗い領域との間を結びつけるための画像を表示するようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実視野内の明るさが変化しても、重畳させた表示画像情報を使用者が良好に認識できる携帯情報端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
図1は、一実施形態にかかる携帯情報端末装置における説明図を示している。図1では、携帯情報端末装置の表示部とビームコンバイナとの位置、及びこれらと使用者の眼Eとの関係を示している。
【0010】
携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、ビームコンバイナ2を有している。表示面1aは、画像(情報)を表示する。ビームコンバイナ2は、表示面1aに表示された画像(情報)を拡大するような光学的パワーを持つ。このビームコンバイナ2は、ハーフミラーで構成されている。また、把持部3と表示部1の接続部には、表示部開閉部材5が設けられている。また、表示部1とビームコンバイナ2の接続部には、ビームコンバイナ開閉部材6が設けられている。そして、表示部1には、受光素子7aを備えた受光ユニット7が設けられている。
【0011】
表示部1の表示面1aに表示された画像(情報)は、ビームコンバイナ2で反射されて使用者の眼Eに導かれる。また、使用者の眼Eから、ビームコンバイナ2を隔てた所定の位置に、表示面1aに表示された画像(情報)の虚像が、拡大形成される。よって、使用者は、この虚像を拡大観察できる。このように、使用者の眼Eには、ビームコンバイナ2を通過してくる光が入射すると共に、ビームコンバイナ2で反射された光が入射する。
【0012】
ここで、ビームコンバイナ2を通過して見える領域を、実視野とする。この実視野内の明るさは、場所によって異なる。例えば、実視野内に、高い建物と低い建物があったとした場合に、太陽の位置によっては、低い建物は、高い建物の影の中に入り、低い建物の明るさは、高い建物の明るさより暗くなる。
【0013】
表示部1の一面1cは、使用者がビームコンバイナ2を通して見ている領域、すなわち実視野と略対向する面である。そして、撮像ユニット7は受光素子7aを有する。受光素子7aは、複数の受光面で構成されていて、使用者の前方からの入射する光を受光する位置に配置されている。また、図1に示す携帯情報端末装置の構成は、使用者が把持部3を右手で掴んで携帯情報端末装置を保持するようにしている。
【0014】
そこで、本実施形態の携帯情報端末装置では、撮像ユニット7を実視野と略対向する面である表示部1の面1cに配置して、実視野からの光を受光するようにしている。
【0015】
このような状態において、撮像ユニット7は、使用者の前方にある実視野を撮像する。そして、撮像ユニット7は、各画素に入射した光量に応じた信号を出力する。続いて、前記出力された信号は、画像処理ユニット13に入力される。画像処理ユニット13では、入力された信号と所定の閾値との比較が行われる。このような工程を経ることで、撮像した画像のうち、明るさが所定の閾値よりも低い領域である、暗い領域が検出される。
【0016】
ここで、撮像ユニット7で撮像した画像は、ビームコンバイナ2を介して透過観察した実視野と同じ領域の画像である。そのため、上記工程により検出された暗い領域は、実視野における暗い領域に相当する。また、使用者はビームコンバイナ2を介して実視野を見ている。よって、実視野における暗い領域に相当する領域が、ビームコンバイナ2の光学面にも、同様に存在していることになる。
【0017】
一方、ビームコンバイナ2の光学面は、表示面1aに表示された情報を反射している。そのため、ビームコンバイナ2の光学面内における所定の位置は、表示面1a内における所定の位置と対応していることになる。
【0018】
そして、使用者は、表示面1aに表示された情報を、ビームコンバイナ2を介して見ている。よって、ビームコンバイナ2における暗い領域は、表示面1a内にも対応した暗い領域が存在していることになる。
【0019】
そこで、画像処理ユニット13は、実視野の暗い領域に対応する表示面1aの表示領域を特定する。そして、画像処理ユニット13は、特定した表示面1aの表示領域に、撮像ユニット7によって撮像された画像の領域内にある所定の対象物に関連する情報を表示する。以下、「撮像ユニット7によって・・・対象物」を、単に「所定の対象物」と称する。その結果、前記特定した表示面1aの表示領域に、所定の対象物に関連する情報が、表示される。この関連情報は、実視野の像と重畳される。
【0020】
このような構成とすることで、使用者は、特定した表示面1aの表示領域に、対象物に関連する情報を、良好に認識することができる。
【0021】
なお、本実施形態の携帯情報端末では、特定した表示面1aの表示領域に、所定の対象物に関連する情報をビームコンバイナ2で反射して、使用者の眼Eに導くように構成している。
【0022】
なお、このような構成の携帯情報端末装置においては、ビームコンバイナ2が、表示面1aに対して偏心配置されている。このため、ビームコンバイナ2を介して観察される像に偏心収差が生じやすい。
【0023】
しかるに、本実施形態のように、ビームコンバイナ2に非対称なパワーを持たせる。例えば、仮想線Lに沿う方向において、徐々にパワーが変化するように、ビームコンバイナ2の光学面を形成する。このような構成とすれば、表示面1aに対しビームコンバイナ2が偏心していることにより偏心収差が発生しても、この偏心収差を補正することができる。
【0024】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0025】
図2は、実施例1の携帯情報端末装置を、側方からみた概略構成図である。ここで、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。図3は、携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼Eの位置との関係を示す説明図である。図4は、表示部開閉部材5と、ビームコンバイナ開閉部材6の構造を示す説明図である。
【0026】
実施例1の携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉部材5を有している。ここで、表示面1aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉部材5は、表示部1を把持部3に対して開閉可能に支持している。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0027】
そして、更に、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6を介して、表示部1に接続されている。この接続位置は、表示部1の一端側であって、表示部開閉部材5と対向する位置である。このビームコンバイナ開閉部材6によって、表示部1に対して、所定の角度でビームコンバイナ2を固定することができる。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、図3に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0028】
表示部開閉部材5は、図4に示すように、円筒部5aと、円筒部5bと、バネ5cと、球状部材5dと、ピン5eと、止め具5fとを有している。ここで、円筒部5bは、表示部1の一端に一体形成されている。また、円筒部5aは、把持部3の一端に一体形成されている。
【0029】
円筒部5aには、長手方向に沿って、中央に貫通孔5a1が形成されている。そして、円筒部5aの一端には、ピン5eの頭部を収納するための凹部5a2が、他端には、バネ5cを取り付けるための取付部(図示省略)が、それぞれ形成されている。
【0030】
円筒部5bの中央には、長手方向に沿って、中央に貫通孔5b1が形成されている。そして、円筒部5bの一端には、止め具5fを収納するための凹部(図示省略)が、他端には、球状部材5dの一部を嵌合可能な係止溝5b2と,5b3とが、それぞれ形成されている。
【0031】
そして、表示部開閉部材5では、バネ5cを円筒部5aの取付部に取り付けると共に、バネ5cの先端に球状部材5dを取り付けている。そして、この状態で、ピン5eを円筒部5aの凹部5a2側から、円筒部5a及び5bの貫通孔5a1と5b1に通し、その先端を止め具5fで止めている。このような構成により、表示部開閉部材5は、表示部1を把持部3に対し開閉可能に支持している。
【0032】
また、表示部開閉部材5では、表示部1を展開したときに、球状部材5dが係止溝5b2,5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される。このような構成とすることで、表示部1と把持部3を、任意の角度で固定することができるようになっている。
【0033】
なお、表示部開閉部材5の具体的な構成は、上記構成に限定されるものではない。例えば、円筒部5a及び5bのそれぞれに磁石を備えた係止部を設け、互いの係止部が当接したときに、表示部1と把持部3が固定されるように構成してもよい。
【0034】
ビームコンバイナ開閉部材6は、円筒部6aと、係止部6bと、円筒部6cと、係止爪6c2と、図示省略したピン及び止め具を有している。ここで、円筒部6aと係止部6bは、表示部1の他端に一体形成されている。一方、円筒部6cは、ビームコンバイナ2の一端に一体形成されている。また、係止爪6c2は、円筒部6cに一体形成されている。円筒部6a及び6cには、中央に貫通孔6a1及び6c1がそれぞれ形成されている。係止部6b及び係止爪6c2にはそれぞれ磁石が設けられている。
【0035】
そして、ビームコンバイナ開閉部材6は、図示省略したピンを円筒部6a及び6cの貫通孔6a1及び6c1に通し、その先端を図示省略した止め具で止めて構成されている。このような構成により、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を、表示部1に対し開閉可能に支持している。
【0036】
また、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を展開したときに、係止爪6c2が係止部6bに当接し、且つ、互いの磁力でその状態を保持することで、ビームコンバイナ2を表示部1に対して固定することができるようになっている。
【0037】
なお、ビームコンバイナ開閉部材6は、上記構成に限定されるものではない。例えば、表示部開閉部材5における球状部材5dが係止溝5b2及び5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される構成と同様に構成してもよい。
【0038】
このような構成によって、図3に示すように、表示面1aに表示された情報が、使用者の眼E方向に反射されるようになっている。このように、実施例1の携帯情報端末装置は、携帯電話としての使用と、シースルービュアーとしての使用とを可能にすることができる。
【0039】
そして、本実施例1の携帯情報端末装置では、撮像ユニット8が、図1の受光ユニット7に相当する構成として、表示部1内に設けられている。この撮像ユニット8は、面1cを介して、外部を撮像する。この面1cは、実視野と略対向している面である。
【0040】
図5は、実施例1の情報表示装置に備えられた撮像ユニットの構造を示す説明図であって、(a)は撮像ユニットの概略構成図、(b)はビームコンバイナを通して使用者が実視野を見る方向と、撮像レンズの光軸方向との関係を示す。撮像ユニット8は、図5(a)に示すように、撮像レンズ8aと、撮像素子8b及びカバーガラス8cを有する。撮像レンズ8aは、プリズムと、負レンズと、正レンズとからなる。なお、カバーガラス8cは、撮像用の窓部となる。また、撮像素子8bは受光素子である。本実施例1では、撮像素子8bはCCDであって、複数の受光部で構成されている。
【0041】
なお、本実施例1では、表示部1を展開した時に、表示部1が把持部3に対して、180°以上の角度で折り曲がった状態になっている。そのため、図5(b)に示すように、矢印X1の方向と矢印X2の方向が異なる。ここで、矢印X1の方向は、ビームコンバイナ2を通して、使用者が実視野を見る方向である。一方、矢印X2の方向は、面1cにおける法線の方向である。
【0042】
そのため、撮像レンズ8aの光軸が矢印X2の方向と平行になるように、撮像レンズ8aを配置すると、使用者が見ている実視野を撮像できない。そこで、撮像レンズ8aの光軸が矢印X3の方向と平行になるように、撮像レンズ8aを配置するようにすることで、撮像素子8bは実視野内(所定の撮像領域)を撮像する。
【0043】
また、携帯情報端末装置は、メモリ12を内蔵している。よって、撮像ユニット8に備えられている撮像素子8bによって撮像された画像は、一旦、メモリ12に保存される。また、携帯情報端末装置は、画像処理ユニット13を内蔵している。そして、この画像処理ユニット13において、所定の処理が行われる。
【0044】
図6は、撮像ユニット8で撮像した画像を画像処理ユニット13において処理する工程を示すフローチャートである。まず、画像処理ユニット13は、撮像ユニット8で撮像した画像をメモリ12から読み出す(ステップS1)。ここで、画像は、複数の画素から構成されている。そこで、画像処理ユニット13は、各画素の有する明るさと閾値との比較を行う(ステップS2)。
【0045】
ここで、画素の有する明るさが閾値よりも小さい場合、画像処理ユニット13は、この画素の座標を記憶する(ステップS3)。一方、画素の明るさが閾値以上である場合、画像処理ユニット13は何も行わない。画像処理ユニット13は、上記処理を、全ての画素について行う(ステップS4)。
【0046】
上記比較が全ての画素について終了したら、画像処理ユニット13は、記憶した座標から、座標が連続する画像の集まり、すなわち暗い領域、を特定する(ステップS5)。ここで、暗い領域の数は、撮像領域の様子によって異なる。そこで、暗い領域の数に応じて、処理を異ならせる(ステップS6)。
【0047】
暗い領域が複数存在する場合、最も面積の大きな暗い領域が、所定の対象物に関連する情報を表示するための表示用の暗い領域に該当する(ステップS7)。以下、「所定の対象物・・・暗い領域」を、単に、「表示用の暗い領域」と称する。
【0048】
一方、暗い領域が1つしか存在しない場合、この暗い領域が、表示用の暗い領域に該当する。
【0049】
表示用の暗い領域が特定されると、画像処理ユニット13は、実視野における表示用の暗い領域を特定する。更に、この特定に基いて、表示用の暗い領域に対応する表示面1aの表示領域を特定する。(ステップS8)。
【0050】
そして、表示面1aの表示領域が特定されると、画像処理ユニット13は、特定した表示面1aの表示領域に情報を表示する(ステップS9)。
【0051】
ここで、表示される情報は、所定の対象物に関連する情報である。なお、所定の対象物に関する関連情報は、携帯情報端末装置と別体、または、携帯情報端末装置に内蔵して設けられたデータベースから検索抽出するような構成にしてもよい。
【0052】
情報を表示させたい対象物は、予め使用者が選定を行っておけばよい。この選定方法としては、例えば、視線検出装置を設けて、撮像領域内の対象物を特定する方法がある。また、表示面1aに矢印を表示させ、この矢印を、情報入力部4を使って、使用者が操作できるようにしておく方法がある。
【0053】
このように、表示面1aに表示された情報は、ビームコンバイナ2によって、使用者の眼Eに向けて反射される。その際、図7に示すように、情報は、実視野内の暗い領域に、重畳されて表示されることになる。よって、使用者は、実視野内の対象物と表示面1aに表示された情報との両方を、良好に見ることができる。
【0054】
なお、図5に示す構成では、撮像用の窓部(カバーガラス8c)が側面1cに設けられている。しかしながら、このような構成に限定されるわけではない。図8は、情報表示装置に備えられた撮像ユニット8の構造の変形例を示す説明図である。
【0055】
例えば、図8(a)に示すように、撮像レンズ8aを構成しているプリズムを表示部1から突出させるようにすれば、表示部1の別の側面1c'に、撮像用の窓部を設けることができる。
【0056】
また、撮像ユニット8は図8(b)に示すように、図5の撮像ユニット8の配置と直交する方向に配置しても良い。いずれの場合にも、撮像レンズaの光軸が、実視野の方向に向くように、撮像ユニット8を配置している。
【0057】
以上のように、本実施例1の携帯情報端末装置は、シースルービュアーとして使用する場合、携帯情報端末装置を、側頭部に当接させて保持する構成になっていて、この状態で、撮像レンズ8aの光軸が実視野方向に向くように、撮像ユニット8が配置されている。
【0058】
本実施例1の携帯情報端末装置によれば、撮像ユニット8によって、使用者が見ている実視野を撮像し、画像処理ユニット13によって、撮像した画像から実視野内の明るさの変化を検出し、実視野の暗い領域に対応する表示面1aの表示領域を特定して、情報を表示することができる。そのため、表示面1aに表示されるべき情報を、実視野内の暗い領域に、実視野の像と重畳して表示させることができる。その結果、使用者は、実視野と撮像した画像による情報の重畳させた表示画像情報を、良好に認識することができる。
【実施例2】
【0059】
図9は、実施例2にかかる携帯情報端末装置の概略構成を側方からみた斜視図である。ここで、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナと表示面構成部を展開した状態を示している。図10は、携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼Eの位置との関係を示す説明図である。
【0060】
実施例2の携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉部材5を有している。ここで、表示部1は、表示面1aと、表示面1aの周りを囲む外枠部1bとを有する。なお、図中1a'は表示面1aを含む表示面構成部である。ここで、表示面1aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉部材5は、表示部1の外枠部1bを把持部3に対して開閉可能に支持している。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0061】
そして、更に、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6を介して、表示部1に接続されている。この接続位置は、表示部1の一端側であって、表示部開閉部材5と対向する位置である。このビームコンバイナ開閉部材6によって、表示部1に対して所定の角度で、ビームコンバイナ2を固定することができる。このような構成により、実施例2の携帯情報端末装置は、図10に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0062】
表示部開閉部材5、ビームコンバイナ開閉部材6は、実施例1で説明したとおりである。また、表示面回動手段9は、表示面1aを外枠部1bに対して回動可能に支持し、且つ、表示面1aを所定量回動させたときの状態を保持する構成を有する。表示面回動手段9としては、公知の回転機構を用いればよい。よって、具体的な構成について、詳細な説明は省略する。
【0063】
そして、実施例2の携帯情報端末装置では、撮像ユニット8が、図1の受光ユニット7に相当する構成として、外枠部1bに設けられている。この撮像ユニット8は、実施例1と同様に、複数の受光面を有する。本実施例2においても、撮像ユニット8によって、実視野内(所定の撮像領域)を撮像する。そして、実施例1と同様にして、暗い領域の検出を行う。
【0064】
ここで、暗い領域の面積は、実視野内の様子によって異なる。そこで、本実施例2では、暗い領域の面積に応じて、表示する情報の量を異ならせている。図11は、実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図である。図11(a)のように、暗い領域の面積が大きい場合は、表示する情報の量を多くする。一方、図11(b)のように、暗い領域の面積が小さい場合には、表示する情報の量を少なくする。
【0065】
本実施例2の携帯情報端末装置によれば、実視野内(所定の撮像領域)の暗い領域の面積に応じて、表示面1aに表示されるべき情報の量を異ならせることができるので、使用者は、撮像した画像による情報が効率よく実視野と重畳して表示された表示画像情報を、効果的に認識することができる。
【0066】
なお、表示する情報量は、暗い領域の面積に比例して多くしている。そのため、図11(b)の場合のように、暗い領域の面積が小さい場合には、表示する情報の量が少なくなる。よって、全ての情報を、一度に表示できない場合がある。
【0067】
そこで、暗い領域に表示される情報は、所定の時間が経過した時に、次の情報を表示させるようにすればよい。あるいは、情報入力部4を操作することで、次の情報を表示させるようにすればよい。
【実施例3】
【0068】
図12は、実施例3にかかる携帯情報端末装置の概略構成を側方からみた斜視図である。ここで、 (a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。図13は、携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼Eの位置との関係を示す説明図である。
【0069】
実施例3の携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉手段5とを有している。ここで、表示面1aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉手段5は、表示部1を把持部3に対して開閉可能に支持する。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0070】
そして、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6と、ビームコンバイナ連結部材10及びビームコンバイナ移動部材11を介して、表示部1に接続されている。このような構成により、実施例3の携帯情報端末装置は、図11に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0071】
表示部開閉部材5は、実施例1で説明したとおりである。また、ビームコンバイナ連結部材10は、棒状部材である。また、ビームコンバイナ開閉部材6、ビームコンバイナ移動部材11は、公知の回転機構を用いればよい。よって、具体的な構成について、詳細な説明は省略する。
【0072】
ビームコンバイナ連結部材10には、一端にビームコンバイナ2が接続され、他端に表示部1が接続されている。そして、ビームコンバイナ移動部材11は、ビームコンバイナ連結部材10を表示部1に対して、移動可能に支持している。移動方向は、ビームコンバイナ2が表示面1aから離れる方向である。
【0073】
また、ビームコンバイナ移動部材11は、ビームコンバイナ連結部材10を所定量移動させた時に、その位置での状態を保持できるような機構を有している。また、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2をビームコンバイナ連結部材10に対して開閉可能に支持している。また、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を所定量展開したとき、その位置での状態を保持できるような機構を有している。
【0074】
そして、実施例3の携帯情報端末装置では、図1の受光ユニット7に相当する構成として、撮像ユニット8が表示部1内に設けられている。この撮像ユニット8は、実施例1と同様に、複数の受光面を有する。本実施例3においても、撮像ユニット8によって、実視野内(所定の撮像領域)を撮像する。そして、実施例1と同様にして、暗い領域の検出を行う。
【0075】
なお、本実施例3では、撮像ユニット8はカラーCCDであるため、暗い領域について、その領域の色情報を得ることができる。そこで、本実施例3では、暗い領域の色に応じて、最も認識しやすい色を、情報表示用の色として使用している。
【0076】
図14は、実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図であって、暗い領域の色と、表示される情報の色との関係を示す。暗い領域1の色が色Aの場合は情報を表示する色を色αとしている。暗い領域2の色が色Bの場合は情報を表示する色を色βとしている。暗い領域3の色が色Cの場合は情報を表示する色を色γとしている。色Aと色αは、互いに異なる色である。色Bと色β、色Cと色γについても、同様である。
【0077】
また、暗い領域と、対象物とが離れている場合には、対象物から離れた位置に、対象物の情報が表示される。この場合には、所定の対象物に関連する情報と、所定の対象物を結びつける画像を表示させればよい。例えば、図15に示すように、暗い領域に表示される情報と対象物とを結びつけるために矢印を表示させればよい。
【0078】
本実施例3の携帯情報端末装置も、実施例1や実施例2と同様の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態にかかる携帯情報端末装置における説明図である。
【図2】実施例1の携帯情報端末装置を、側方からみた概略構成図であって、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態である。
【図3】実施例1の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼の位置との関係を示す説明図である。
【図4】表示部開閉部材、ビームコンバイナ開閉部材の構造を示す説明図である。
【図5】実施例1の情報表示装置に備えられた撮像ユニットの構造を示す説明図であって、(a)は撮像ユニットの概略構成図、(b)はビームコンバイナを通して使用者が実視野を見る方向と、撮像レンズの光軸方向との関係を示す図である。
【図6】撮像ユニットで撮像した情報を画像処理ユニットにおいて処理する工程を示すフローチャートである。
【図7】実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す図である。
【図8】情報表示装置に備えられた撮像ユニットの構造の変形例を示す説明図であって、(a)は撮像用の窓部を表示部の別の側面に設けた場合、(b)は図5の撮像ユニット配置位置と直交する方向に配置した場合である。
【図9】実施例2にかかる携帯情報端末装置の概略構成を側方からみた斜視図であって、 (a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態である。
【図10】実施例2の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼の位置との関係を示す説明図である。
【図11】実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図であって、(a)暗い領域の面積が大きい場合に表示される情報量、(b)暗い領域の面積が小さい場合に表示される情報量を示す図である。
【図12】実施例3にかかる携帯情報端末装置の概略構成を側方からみた斜視図であって、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態である。
【図13】実施例3の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼の位置との関係を示す説明図である。
【図14】実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図であって、暗い領域の色と、表示される情報の色との関係を示す。
【図15】実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図であって、暗い領域と対象物が離れている場合に、両者を関連付ける画像が表示されている様子を示す。
【符号の説明】
【0080】
1 表示部
1a 表示面
1a' 表示面構成部
1b 外枠部
1c(1c') 表示部の一面(側面)
2 ビームコンバイナ
3 把持部
3a,3b 把持部の一面(側面)
4 情報入力部
5 表示部開閉手段
5a,5b 円筒部
5a11,5b1 貫通孔
5a2 凹部
5b2,5b3 係止溝
5c バネ
5d 球状部材
5e ピン
5f 止め具
6 ビームコンバイナ開閉手段
6a,6c 円筒部
6a1,6c1 貫通孔
6b 係止部
6c2 係止爪
7 受光ユニット
8 撮像ユニット
8a 撮像レンズ
8b 撮像素子
8c カバーガラス
9 表示面回動手段
10 ビームコンバイナ連結部材
11 ビームコンバイナ移動部材
12 メモリ
13 画像処理ユニット
E 使用者の眼
L 仮想線
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルなどの表示素子を有する携帯情報端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一人の人間が複数のコンピュータを使用するネットワーク社会、いわゆるユビキタス・ネットワーク社会が提唱されている。ユビキタス・ネットワーク社会では、インターネット等の情報ネットワークに、いつでも、どこからでもアクセスできる環境が実現できる。このようなアクセスに使う携帯情報端末装置は、パソコンに限られず、例えば携帯電話等も用いることができる。
【0003】
そして、携帯電話においては、通話とディスプレイ認識とを同時に行なえる表示機能付き携帯情報端末装置が、例えば、特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2001−308997号公報
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、小型のディスプレイをホログラム素子により遠方に拡大投影する。これにより、例えば、通話をしながら表示画像情報を見ることができる。さらに、ホログラム素子を介して遠方の物体の透過像を同時に観察できる。この表示機能付き携帯情報端末装置は、実視野の像にデジタル情報を重畳させて表示する、いわゆるシースルービュアー(see−through viewer)として用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、実視野内に存在する物体の反射率は、それぞれの物体によって異なる。そのため、シースルービュアーの使用時には、実視野内の場所によって、実視野内での明るさが異なる。従来技術の表示機能付き携帯情報端末装置では、実視野内の位置によっては、実視野内の物体の明るさが、表示素子で表示される画像情報の明るさに対して明るすぎることがある。その結果、使用者が、重畳させた表示画像情報を認識できなくなることが生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、重畳させた表示画像情報を、使用者が認識できる携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による携帯情報端末装置は、情報入力部を有する把持部と、前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示部と、前記表示面に表示された情報を反射して使用者の眼に導くと共に、使用者の前方の実視野の対象物の像を透過して使用者の眼に導くビームコンバイナと、前記ビームコンバイナを、前記表示部に対して開閉可能に支持するビームコンバイナ開閉部材と、前記表示部を、前記把持部に対して開閉可能に支持する表示部開閉部材と、前記実視野側から入射する光を受光するように配置された複数の受光面を備えた撮像ユニットと、画像処理ユニットとを備え、前記撮像ユニットは、前記実視野を撮像し、前記画像処理ユニットは、領域検出工程と表示工程とを有し、前記領域検出工程は、前記撮像ユニットによって撮像された実視野の画像について、所定の閾値との比較を行い、所定の閾値よりも低い値を有する領域である暗い領域を検出し、前記表示工程は、前記表示面の表示領域のうち、前記暗い領域に対応する前記表示面の表示領域に、前記実視野の画像の領域内にある所定の対象物に関連する関連情報を表示するようにしたことを特徴とする。
また、本発明による携帯情報端末装置は、前記暗い領域の面積に応じて、前記関連情報の量を異ならせるようにするのが好ましい。
また、本発明による携帯情報端末装置は、前記暗い領域の色に応じて、前記関連情報の表示色を異ならせるようにするのが好ましい。
また、本発明による携帯情報端末装置は、前記対象物と前記暗い領域との間を結びつけるための画像を表示するようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実視野内の明るさが変化しても、重畳させた表示画像情報を使用者が良好に認識できる携帯情報端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
図1は、一実施形態にかかる携帯情報端末装置における説明図を示している。図1では、携帯情報端末装置の表示部とビームコンバイナとの位置、及びこれらと使用者の眼Eとの関係を示している。
【0010】
携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、ビームコンバイナ2を有している。表示面1aは、画像(情報)を表示する。ビームコンバイナ2は、表示面1aに表示された画像(情報)を拡大するような光学的パワーを持つ。このビームコンバイナ2は、ハーフミラーで構成されている。また、把持部3と表示部1の接続部には、表示部開閉部材5が設けられている。また、表示部1とビームコンバイナ2の接続部には、ビームコンバイナ開閉部材6が設けられている。そして、表示部1には、受光素子7aを備えた受光ユニット7が設けられている。
【0011】
表示部1の表示面1aに表示された画像(情報)は、ビームコンバイナ2で反射されて使用者の眼Eに導かれる。また、使用者の眼Eから、ビームコンバイナ2を隔てた所定の位置に、表示面1aに表示された画像(情報)の虚像が、拡大形成される。よって、使用者は、この虚像を拡大観察できる。このように、使用者の眼Eには、ビームコンバイナ2を通過してくる光が入射すると共に、ビームコンバイナ2で反射された光が入射する。
【0012】
ここで、ビームコンバイナ2を通過して見える領域を、実視野とする。この実視野内の明るさは、場所によって異なる。例えば、実視野内に、高い建物と低い建物があったとした場合に、太陽の位置によっては、低い建物は、高い建物の影の中に入り、低い建物の明るさは、高い建物の明るさより暗くなる。
【0013】
表示部1の一面1cは、使用者がビームコンバイナ2を通して見ている領域、すなわち実視野と略対向する面である。そして、撮像ユニット7は受光素子7aを有する。受光素子7aは、複数の受光面で構成されていて、使用者の前方からの入射する光を受光する位置に配置されている。また、図1に示す携帯情報端末装置の構成は、使用者が把持部3を右手で掴んで携帯情報端末装置を保持するようにしている。
【0014】
そこで、本実施形態の携帯情報端末装置では、撮像ユニット7を実視野と略対向する面である表示部1の面1cに配置して、実視野からの光を受光するようにしている。
【0015】
このような状態において、撮像ユニット7は、使用者の前方にある実視野を撮像する。そして、撮像ユニット7は、各画素に入射した光量に応じた信号を出力する。続いて、前記出力された信号は、画像処理ユニット13に入力される。画像処理ユニット13では、入力された信号と所定の閾値との比較が行われる。このような工程を経ることで、撮像した画像のうち、明るさが所定の閾値よりも低い領域である、暗い領域が検出される。
【0016】
ここで、撮像ユニット7で撮像した画像は、ビームコンバイナ2を介して透過観察した実視野と同じ領域の画像である。そのため、上記工程により検出された暗い領域は、実視野における暗い領域に相当する。また、使用者はビームコンバイナ2を介して実視野を見ている。よって、実視野における暗い領域に相当する領域が、ビームコンバイナ2の光学面にも、同様に存在していることになる。
【0017】
一方、ビームコンバイナ2の光学面は、表示面1aに表示された情報を反射している。そのため、ビームコンバイナ2の光学面内における所定の位置は、表示面1a内における所定の位置と対応していることになる。
【0018】
そして、使用者は、表示面1aに表示された情報を、ビームコンバイナ2を介して見ている。よって、ビームコンバイナ2における暗い領域は、表示面1a内にも対応した暗い領域が存在していることになる。
【0019】
そこで、画像処理ユニット13は、実視野の暗い領域に対応する表示面1aの表示領域を特定する。そして、画像処理ユニット13は、特定した表示面1aの表示領域に、撮像ユニット7によって撮像された画像の領域内にある所定の対象物に関連する情報を表示する。以下、「撮像ユニット7によって・・・対象物」を、単に「所定の対象物」と称する。その結果、前記特定した表示面1aの表示領域に、所定の対象物に関連する情報が、表示される。この関連情報は、実視野の像と重畳される。
【0020】
このような構成とすることで、使用者は、特定した表示面1aの表示領域に、対象物に関連する情報を、良好に認識することができる。
【0021】
なお、本実施形態の携帯情報端末では、特定した表示面1aの表示領域に、所定の対象物に関連する情報をビームコンバイナ2で反射して、使用者の眼Eに導くように構成している。
【0022】
なお、このような構成の携帯情報端末装置においては、ビームコンバイナ2が、表示面1aに対して偏心配置されている。このため、ビームコンバイナ2を介して観察される像に偏心収差が生じやすい。
【0023】
しかるに、本実施形態のように、ビームコンバイナ2に非対称なパワーを持たせる。例えば、仮想線Lに沿う方向において、徐々にパワーが変化するように、ビームコンバイナ2の光学面を形成する。このような構成とすれば、表示面1aに対しビームコンバイナ2が偏心していることにより偏心収差が発生しても、この偏心収差を補正することができる。
【0024】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0025】
図2は、実施例1の携帯情報端末装置を、側方からみた概略構成図である。ここで、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。図3は、携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼Eの位置との関係を示す説明図である。図4は、表示部開閉部材5と、ビームコンバイナ開閉部材6の構造を示す説明図である。
【0026】
実施例1の携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉部材5を有している。ここで、表示面1aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉部材5は、表示部1を把持部3に対して開閉可能に支持している。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0027】
そして、更に、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6を介して、表示部1に接続されている。この接続位置は、表示部1の一端側であって、表示部開閉部材5と対向する位置である。このビームコンバイナ開閉部材6によって、表示部1に対して、所定の角度でビームコンバイナ2を固定することができる。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、図3に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0028】
表示部開閉部材5は、図4に示すように、円筒部5aと、円筒部5bと、バネ5cと、球状部材5dと、ピン5eと、止め具5fとを有している。ここで、円筒部5bは、表示部1の一端に一体形成されている。また、円筒部5aは、把持部3の一端に一体形成されている。
【0029】
円筒部5aには、長手方向に沿って、中央に貫通孔5a1が形成されている。そして、円筒部5aの一端には、ピン5eの頭部を収納するための凹部5a2が、他端には、バネ5cを取り付けるための取付部(図示省略)が、それぞれ形成されている。
【0030】
円筒部5bの中央には、長手方向に沿って、中央に貫通孔5b1が形成されている。そして、円筒部5bの一端には、止め具5fを収納するための凹部(図示省略)が、他端には、球状部材5dの一部を嵌合可能な係止溝5b2と,5b3とが、それぞれ形成されている。
【0031】
そして、表示部開閉部材5では、バネ5cを円筒部5aの取付部に取り付けると共に、バネ5cの先端に球状部材5dを取り付けている。そして、この状態で、ピン5eを円筒部5aの凹部5a2側から、円筒部5a及び5bの貫通孔5a1と5b1に通し、その先端を止め具5fで止めている。このような構成により、表示部開閉部材5は、表示部1を把持部3に対し開閉可能に支持している。
【0032】
また、表示部開閉部材5では、表示部1を展開したときに、球状部材5dが係止溝5b2,5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される。このような構成とすることで、表示部1と把持部3を、任意の角度で固定することができるようになっている。
【0033】
なお、表示部開閉部材5の具体的な構成は、上記構成に限定されるものではない。例えば、円筒部5a及び5bのそれぞれに磁石を備えた係止部を設け、互いの係止部が当接したときに、表示部1と把持部3が固定されるように構成してもよい。
【0034】
ビームコンバイナ開閉部材6は、円筒部6aと、係止部6bと、円筒部6cと、係止爪6c2と、図示省略したピン及び止め具を有している。ここで、円筒部6aと係止部6bは、表示部1の他端に一体形成されている。一方、円筒部6cは、ビームコンバイナ2の一端に一体形成されている。また、係止爪6c2は、円筒部6cに一体形成されている。円筒部6a及び6cには、中央に貫通孔6a1及び6c1がそれぞれ形成されている。係止部6b及び係止爪6c2にはそれぞれ磁石が設けられている。
【0035】
そして、ビームコンバイナ開閉部材6は、図示省略したピンを円筒部6a及び6cの貫通孔6a1及び6c1に通し、その先端を図示省略した止め具で止めて構成されている。このような構成により、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を、表示部1に対し開閉可能に支持している。
【0036】
また、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を展開したときに、係止爪6c2が係止部6bに当接し、且つ、互いの磁力でその状態を保持することで、ビームコンバイナ2を表示部1に対して固定することができるようになっている。
【0037】
なお、ビームコンバイナ開閉部材6は、上記構成に限定されるものではない。例えば、表示部開閉部材5における球状部材5dが係止溝5b2及び5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される構成と同様に構成してもよい。
【0038】
このような構成によって、図3に示すように、表示面1aに表示された情報が、使用者の眼E方向に反射されるようになっている。このように、実施例1の携帯情報端末装置は、携帯電話としての使用と、シースルービュアーとしての使用とを可能にすることができる。
【0039】
そして、本実施例1の携帯情報端末装置では、撮像ユニット8が、図1の受光ユニット7に相当する構成として、表示部1内に設けられている。この撮像ユニット8は、面1cを介して、外部を撮像する。この面1cは、実視野と略対向している面である。
【0040】
図5は、実施例1の情報表示装置に備えられた撮像ユニットの構造を示す説明図であって、(a)は撮像ユニットの概略構成図、(b)はビームコンバイナを通して使用者が実視野を見る方向と、撮像レンズの光軸方向との関係を示す。撮像ユニット8は、図5(a)に示すように、撮像レンズ8aと、撮像素子8b及びカバーガラス8cを有する。撮像レンズ8aは、プリズムと、負レンズと、正レンズとからなる。なお、カバーガラス8cは、撮像用の窓部となる。また、撮像素子8bは受光素子である。本実施例1では、撮像素子8bはCCDであって、複数の受光部で構成されている。
【0041】
なお、本実施例1では、表示部1を展開した時に、表示部1が把持部3に対して、180°以上の角度で折り曲がった状態になっている。そのため、図5(b)に示すように、矢印X1の方向と矢印X2の方向が異なる。ここで、矢印X1の方向は、ビームコンバイナ2を通して、使用者が実視野を見る方向である。一方、矢印X2の方向は、面1cにおける法線の方向である。
【0042】
そのため、撮像レンズ8aの光軸が矢印X2の方向と平行になるように、撮像レンズ8aを配置すると、使用者が見ている実視野を撮像できない。そこで、撮像レンズ8aの光軸が矢印X3の方向と平行になるように、撮像レンズ8aを配置するようにすることで、撮像素子8bは実視野内(所定の撮像領域)を撮像する。
【0043】
また、携帯情報端末装置は、メモリ12を内蔵している。よって、撮像ユニット8に備えられている撮像素子8bによって撮像された画像は、一旦、メモリ12に保存される。また、携帯情報端末装置は、画像処理ユニット13を内蔵している。そして、この画像処理ユニット13において、所定の処理が行われる。
【0044】
図6は、撮像ユニット8で撮像した画像を画像処理ユニット13において処理する工程を示すフローチャートである。まず、画像処理ユニット13は、撮像ユニット8で撮像した画像をメモリ12から読み出す(ステップS1)。ここで、画像は、複数の画素から構成されている。そこで、画像処理ユニット13は、各画素の有する明るさと閾値との比較を行う(ステップS2)。
【0045】
ここで、画素の有する明るさが閾値よりも小さい場合、画像処理ユニット13は、この画素の座標を記憶する(ステップS3)。一方、画素の明るさが閾値以上である場合、画像処理ユニット13は何も行わない。画像処理ユニット13は、上記処理を、全ての画素について行う(ステップS4)。
【0046】
上記比較が全ての画素について終了したら、画像処理ユニット13は、記憶した座標から、座標が連続する画像の集まり、すなわち暗い領域、を特定する(ステップS5)。ここで、暗い領域の数は、撮像領域の様子によって異なる。そこで、暗い領域の数に応じて、処理を異ならせる(ステップS6)。
【0047】
暗い領域が複数存在する場合、最も面積の大きな暗い領域が、所定の対象物に関連する情報を表示するための表示用の暗い領域に該当する(ステップS7)。以下、「所定の対象物・・・暗い領域」を、単に、「表示用の暗い領域」と称する。
【0048】
一方、暗い領域が1つしか存在しない場合、この暗い領域が、表示用の暗い領域に該当する。
【0049】
表示用の暗い領域が特定されると、画像処理ユニット13は、実視野における表示用の暗い領域を特定する。更に、この特定に基いて、表示用の暗い領域に対応する表示面1aの表示領域を特定する。(ステップS8)。
【0050】
そして、表示面1aの表示領域が特定されると、画像処理ユニット13は、特定した表示面1aの表示領域に情報を表示する(ステップS9)。
【0051】
ここで、表示される情報は、所定の対象物に関連する情報である。なお、所定の対象物に関する関連情報は、携帯情報端末装置と別体、または、携帯情報端末装置に内蔵して設けられたデータベースから検索抽出するような構成にしてもよい。
【0052】
情報を表示させたい対象物は、予め使用者が選定を行っておけばよい。この選定方法としては、例えば、視線検出装置を設けて、撮像領域内の対象物を特定する方法がある。また、表示面1aに矢印を表示させ、この矢印を、情報入力部4を使って、使用者が操作できるようにしておく方法がある。
【0053】
このように、表示面1aに表示された情報は、ビームコンバイナ2によって、使用者の眼Eに向けて反射される。その際、図7に示すように、情報は、実視野内の暗い領域に、重畳されて表示されることになる。よって、使用者は、実視野内の対象物と表示面1aに表示された情報との両方を、良好に見ることができる。
【0054】
なお、図5に示す構成では、撮像用の窓部(カバーガラス8c)が側面1cに設けられている。しかしながら、このような構成に限定されるわけではない。図8は、情報表示装置に備えられた撮像ユニット8の構造の変形例を示す説明図である。
【0055】
例えば、図8(a)に示すように、撮像レンズ8aを構成しているプリズムを表示部1から突出させるようにすれば、表示部1の別の側面1c'に、撮像用の窓部を設けることができる。
【0056】
また、撮像ユニット8は図8(b)に示すように、図5の撮像ユニット8の配置と直交する方向に配置しても良い。いずれの場合にも、撮像レンズaの光軸が、実視野の方向に向くように、撮像ユニット8を配置している。
【0057】
以上のように、本実施例1の携帯情報端末装置は、シースルービュアーとして使用する場合、携帯情報端末装置を、側頭部に当接させて保持する構成になっていて、この状態で、撮像レンズ8aの光軸が実視野方向に向くように、撮像ユニット8が配置されている。
【0058】
本実施例1の携帯情報端末装置によれば、撮像ユニット8によって、使用者が見ている実視野を撮像し、画像処理ユニット13によって、撮像した画像から実視野内の明るさの変化を検出し、実視野の暗い領域に対応する表示面1aの表示領域を特定して、情報を表示することができる。そのため、表示面1aに表示されるべき情報を、実視野内の暗い領域に、実視野の像と重畳して表示させることができる。その結果、使用者は、実視野と撮像した画像による情報の重畳させた表示画像情報を、良好に認識することができる。
【実施例2】
【0059】
図9は、実施例2にかかる携帯情報端末装置の概略構成を側方からみた斜視図である。ここで、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナと表示面構成部を展開した状態を示している。図10は、携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼Eの位置との関係を示す説明図である。
【0060】
実施例2の携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉部材5を有している。ここで、表示部1は、表示面1aと、表示面1aの周りを囲む外枠部1bとを有する。なお、図中1a'は表示面1aを含む表示面構成部である。ここで、表示面1aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉部材5は、表示部1の外枠部1bを把持部3に対して開閉可能に支持している。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0061】
そして、更に、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6を介して、表示部1に接続されている。この接続位置は、表示部1の一端側であって、表示部開閉部材5と対向する位置である。このビームコンバイナ開閉部材6によって、表示部1に対して所定の角度で、ビームコンバイナ2を固定することができる。このような構成により、実施例2の携帯情報端末装置は、図10に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0062】
表示部開閉部材5、ビームコンバイナ開閉部材6は、実施例1で説明したとおりである。また、表示面回動手段9は、表示面1aを外枠部1bに対して回動可能に支持し、且つ、表示面1aを所定量回動させたときの状態を保持する構成を有する。表示面回動手段9としては、公知の回転機構を用いればよい。よって、具体的な構成について、詳細な説明は省略する。
【0063】
そして、実施例2の携帯情報端末装置では、撮像ユニット8が、図1の受光ユニット7に相当する構成として、外枠部1bに設けられている。この撮像ユニット8は、実施例1と同様に、複数の受光面を有する。本実施例2においても、撮像ユニット8によって、実視野内(所定の撮像領域)を撮像する。そして、実施例1と同様にして、暗い領域の検出を行う。
【0064】
ここで、暗い領域の面積は、実視野内の様子によって異なる。そこで、本実施例2では、暗い領域の面積に応じて、表示する情報の量を異ならせている。図11は、実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図である。図11(a)のように、暗い領域の面積が大きい場合は、表示する情報の量を多くする。一方、図11(b)のように、暗い領域の面積が小さい場合には、表示する情報の量を少なくする。
【0065】
本実施例2の携帯情報端末装置によれば、実視野内(所定の撮像領域)の暗い領域の面積に応じて、表示面1aに表示されるべき情報の量を異ならせることができるので、使用者は、撮像した画像による情報が効率よく実視野と重畳して表示された表示画像情報を、効果的に認識することができる。
【0066】
なお、表示する情報量は、暗い領域の面積に比例して多くしている。そのため、図11(b)の場合のように、暗い領域の面積が小さい場合には、表示する情報の量が少なくなる。よって、全ての情報を、一度に表示できない場合がある。
【0067】
そこで、暗い領域に表示される情報は、所定の時間が経過した時に、次の情報を表示させるようにすればよい。あるいは、情報入力部4を操作することで、次の情報を表示させるようにすればよい。
【実施例3】
【0068】
図12は、実施例3にかかる携帯情報端末装置の概略構成を側方からみた斜視図である。ここで、 (a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。図13は、携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼Eの位置との関係を示す説明図である。
【0069】
実施例3の携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉手段5とを有している。ここで、表示面1aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉手段5は、表示部1を把持部3に対して開閉可能に支持する。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0070】
そして、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6と、ビームコンバイナ連結部材10及びビームコンバイナ移動部材11を介して、表示部1に接続されている。このような構成により、実施例3の携帯情報端末装置は、図11に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0071】
表示部開閉部材5は、実施例1で説明したとおりである。また、ビームコンバイナ連結部材10は、棒状部材である。また、ビームコンバイナ開閉部材6、ビームコンバイナ移動部材11は、公知の回転機構を用いればよい。よって、具体的な構成について、詳細な説明は省略する。
【0072】
ビームコンバイナ連結部材10には、一端にビームコンバイナ2が接続され、他端に表示部1が接続されている。そして、ビームコンバイナ移動部材11は、ビームコンバイナ連結部材10を表示部1に対して、移動可能に支持している。移動方向は、ビームコンバイナ2が表示面1aから離れる方向である。
【0073】
また、ビームコンバイナ移動部材11は、ビームコンバイナ連結部材10を所定量移動させた時に、その位置での状態を保持できるような機構を有している。また、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2をビームコンバイナ連結部材10に対して開閉可能に支持している。また、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を所定量展開したとき、その位置での状態を保持できるような機構を有している。
【0074】
そして、実施例3の携帯情報端末装置では、図1の受光ユニット7に相当する構成として、撮像ユニット8が表示部1内に設けられている。この撮像ユニット8は、実施例1と同様に、複数の受光面を有する。本実施例3においても、撮像ユニット8によって、実視野内(所定の撮像領域)を撮像する。そして、実施例1と同様にして、暗い領域の検出を行う。
【0075】
なお、本実施例3では、撮像ユニット8はカラーCCDであるため、暗い領域について、その領域の色情報を得ることができる。そこで、本実施例3では、暗い領域の色に応じて、最も認識しやすい色を、情報表示用の色として使用している。
【0076】
図14は、実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図であって、暗い領域の色と、表示される情報の色との関係を示す。暗い領域1の色が色Aの場合は情報を表示する色を色αとしている。暗い領域2の色が色Bの場合は情報を表示する色を色βとしている。暗い領域3の色が色Cの場合は情報を表示する色を色γとしている。色Aと色αは、互いに異なる色である。色Bと色β、色Cと色γについても、同様である。
【0077】
また、暗い領域と、対象物とが離れている場合には、対象物から離れた位置に、対象物の情報が表示される。この場合には、所定の対象物に関連する情報と、所定の対象物を結びつける画像を表示させればよい。例えば、図15に示すように、暗い領域に表示される情報と対象物とを結びつけるために矢印を表示させればよい。
【0078】
本実施例3の携帯情報端末装置も、実施例1や実施例2と同様の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態にかかる携帯情報端末装置における説明図である。
【図2】実施例1の携帯情報端末装置を、側方からみた概略構成図であって、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態である。
【図3】実施例1の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼の位置との関係を示す説明図である。
【図4】表示部開閉部材、ビームコンバイナ開閉部材の構造を示す説明図である。
【図5】実施例1の情報表示装置に備えられた撮像ユニットの構造を示す説明図であって、(a)は撮像ユニットの概略構成図、(b)はビームコンバイナを通して使用者が実視野を見る方向と、撮像レンズの光軸方向との関係を示す図である。
【図6】撮像ユニットで撮像した情報を画像処理ユニットにおいて処理する工程を示すフローチャートである。
【図7】実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す図である。
【図8】情報表示装置に備えられた撮像ユニットの構造の変形例を示す説明図であって、(a)は撮像用の窓部を表示部の別の側面に設けた場合、(b)は図5の撮像ユニット配置位置と直交する方向に配置した場合である。
【図9】実施例2にかかる携帯情報端末装置の概略構成を側方からみた斜視図であって、 (a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態である。
【図10】実施例2の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼の位置との関係を示す説明図である。
【図11】実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図であって、(a)暗い領域の面積が大きい場合に表示される情報量、(b)暗い領域の面積が小さい場合に表示される情報量を示す図である。
【図12】実施例3にかかる携帯情報端末装置の概略構成を側方からみた斜視図であって、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態である。
【図13】実施例3の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと使用者の眼の位置との関係を示す説明図である。
【図14】実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図であって、暗い領域の色と、表示される情報の色との関係を示す。
【図15】実視野の暗い領域に、情報が重畳して表示されている様子を示す説明図であって、暗い領域と対象物が離れている場合に、両者を関連付ける画像が表示されている様子を示す。
【符号の説明】
【0080】
1 表示部
1a 表示面
1a' 表示面構成部
1b 外枠部
1c(1c') 表示部の一面(側面)
2 ビームコンバイナ
3 把持部
3a,3b 把持部の一面(側面)
4 情報入力部
5 表示部開閉手段
5a,5b 円筒部
5a11,5b1 貫通孔
5a2 凹部
5b2,5b3 係止溝
5c バネ
5d 球状部材
5e ピン
5f 止め具
6 ビームコンバイナ開閉手段
6a,6c 円筒部
6a1,6c1 貫通孔
6b 係止部
6c2 係止爪
7 受光ユニット
8 撮像ユニット
8a 撮像レンズ
8b 撮像素子
8c カバーガラス
9 表示面回動手段
10 ビームコンバイナ連結部材
11 ビームコンバイナ移動部材
12 メモリ
13 画像処理ユニット
E 使用者の眼
L 仮想線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報入力部を有する把持部と、
前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示部と、
前記表示面に表示された情報を反射して使用者の眼に導くと共に、使用者の前方の実視野の対象物の像を透過して使用者の眼に導くビームコンバイナと、
前記ビームコンバイナを、前記表示部に対して開閉可能に支持するビームコンバイナ開閉部材と、
前記表示部を、前記把持部に対して開閉可能に支持する表示部開閉部材と、
前記実視野側から入射する光を受光するように配置された複数の受光面を備えた撮像ユニットと、
画像処理ユニットとを備え、
前記撮像ユニットは、前記実視野を撮像し、
前記画像処理ユニットは、領域検出工程と表示工程とを有し、
前記領域検出工程は、前記撮像ユニットによって撮像された実視野の画像について、所定の閾値との比較を行い、所定の閾値よりも低い値を有する領域である暗い領域を検出し、
前記表示工程は、前記表示面の表示領域のうち、前記暗い領域に対応する前記表示面の表示領域に、前記実視野の画像の領域内にある所定の対象物に関連する関連情報を表示するようにしたことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記暗い領域の面積に応じて、前記関連情報の量を異ならせるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記暗い領域の色に応じて、前記関連情報の表示色を異ならせるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
前記対象物と前記暗い領域との間を結びつけるための画像を表示するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の携帯情報端末装置。
【請求項1】
情報入力部を有する把持部と、
前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示部と、
前記表示面に表示された情報を反射して使用者の眼に導くと共に、使用者の前方の実視野の対象物の像を透過して使用者の眼に導くビームコンバイナと、
前記ビームコンバイナを、前記表示部に対して開閉可能に支持するビームコンバイナ開閉部材と、
前記表示部を、前記把持部に対して開閉可能に支持する表示部開閉部材と、
前記実視野側から入射する光を受光するように配置された複数の受光面を備えた撮像ユニットと、
画像処理ユニットとを備え、
前記撮像ユニットは、前記実視野を撮像し、
前記画像処理ユニットは、領域検出工程と表示工程とを有し、
前記領域検出工程は、前記撮像ユニットによって撮像された実視野の画像について、所定の閾値との比較を行い、所定の閾値よりも低い値を有する領域である暗い領域を検出し、
前記表示工程は、前記表示面の表示領域のうち、前記暗い領域に対応する前記表示面の表示領域に、前記実視野の画像の領域内にある所定の対象物に関連する関連情報を表示するようにしたことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記暗い領域の面積に応じて、前記関連情報の量を異ならせるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記暗い領域の色に応じて、前記関連情報の表示色を異ならせるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
前記対象物と前記暗い領域との間を結びつけるための画像を表示するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の携帯情報端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−153966(P2006−153966A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340681(P2004−340681)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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