携帯機器
【課題】 成型用の金型が単純な構造で、安価に製作することができ、且つ防水性を確保することができる蓋部材を提供する。
【解決手段】 機器ケース1の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側に取り付けられた内側蓋部12とを備え、この内側蓋部12の外周部に、外側蓋部11側と内側蓋部12の外周側との直交する2方向に開放されたパッキン溝18を、内側蓋部12の外周に沿って設けた。従って、外側蓋部11の内側に内側蓋部12を取り付けた際に、内側蓋部12のパッキン溝18を、外側蓋部11の外周部が覆って内側蓋部12の外周側のみに開放させた状態に形成することができる。このため、内側蓋部12のパッキン溝18に防水パッキン20を確実に且つ良好に装着することができると共に、内側蓋部12を成形用の金型で成形する際に、金型内にスライド機構を設けずに、型抜きすることができる。
【解決手段】 機器ケース1の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側に取り付けられた内側蓋部12とを備え、この内側蓋部12の外周部に、外側蓋部11側と内側蓋部12の外周側との直交する2方向に開放されたパッキン溝18を、内側蓋部12の外周に沿って設けた。従って、外側蓋部11の内側に内側蓋部12を取り付けた際に、内側蓋部12のパッキン溝18を、外側蓋部11の外周部が覆って内側蓋部12の外周側のみに開放させた状態に形成することができる。このため、内側蓋部12のパッキン溝18に防水パッキン20を確実に且つ良好に装着することができると共に、内側蓋部12を成形用の金型で成形する際に、金型内にスライド機構を設けずに、型抜きすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機、電子カメラなどの携帯型の電子機器に用いられる蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子カメラに用いられている電池蓋においては、特許文献1に記載されているように、カメラケース内に設けられた電池収納部を開閉可能に塞ぐ際に、電池収納部の開口部内に蓋本体の内側部が挿入し、この挿入した蓋本体の内側部の外周部に設けられた防水パッキンが電池収納部の開口部の内周面に密接することにより、防水性を図るように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−157240号公報
【0004】
このような電子カメラの電池蓋は、電池収納部の開口部内に挿入する蓋本体の内側部における外周面にパッキン溝が、外周側のみに開放された状態で、外周に沿って連続して形成され、このパッキン溝に防水パッキンが挿入され、この挿入された防水パッキンの一部がパッキン溝から外周側に突出し、この状態で蓋本体の内側部を電池収納部の開口部内に挿入させた際に、パッキン溝から突出した防水パッキンの一部が電池収納部の開口部の内周面に弾接して密接するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような電子カメラの電池蓋では、蓋本体の内側部における外周面に形成されたパッキン溝が、蓋本体の外周側のみに開放された形成であるから、蓋本体を成形用の金型で成形する際に、金型内にスライド機構を設けなければ、蓋本体の外周面にパッキン溝を形成することができないため、金型の構造が複雑になり、金型の製作が面倒で、金型費用および製品の価格が高くなるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、成型用の金型が単純な構造で、安価に製作することができ、且つ防水性を確保することができる蓋部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に取り付けられて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部側と前記内側蓋部の外周側との直交する2方向に開放されたパッキン溝が、前記外側蓋部の外周よりも中心側に位置した状態で、前記内側蓋部の外周に沿って設けられていることを特徴とする蓋部材である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓋部材において、前記外側蓋部は、弾力を有する軟質の合成樹脂からなる第1蓋部と、この軟質の合成樹脂よりも硬質の合成樹脂からなる第2蓋部とを、前記機器ケースに対する外側に前記第1蓋部が位置し、その内側に前記第2蓋部が位置した状態で、2色成形したことを特徴とする蓋部材である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の蓋部材において、前記外側蓋部の前記第2蓋部における前記内側蓋部に対向する対向面には、補強リブが縦横に設けられていることを特徴とする蓋部材である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓋部材において、前記外側蓋部と前記内側蓋部とは、ねじ部材によって相互に固定されていることを特徴とする蓋部材である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部の内側に、機器ケースに設けられた収納部の開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部を取り付けた際に、内側蓋部の外周部に形成されたパッキン溝を、外側蓋部が覆って内側蓋部の外周側のみに開放させた状態に形成することができ、これにより内側蓋部の外周側のみに開放されたパッキン溝に防水パッキンを確実に且つ良好に装着することができるので、防水性を確保することができる。
【0012】
また、内側蓋部を成形用の金型で成形する際に、内側蓋部にアンダーカット形状やオーバーハング形状のパッキン溝を形成する必要がないので、成型用の金型内にスライド機構を設けずに型抜きすることができる。このため、成形用の金型を単純な構造にすることができるので、成形用の金型および内側蓋部を安価に製作することができると共に、成形時に外側蓋部と内側蓋部とが形状の制約を受けないため、外側蓋部と内側蓋部とを自由な形状に形成することができるほか、パッキン溝の周辺部の肉厚を厚くして強度を高めることができるので、これによっても防水性をも確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明を携帯情報端末機に適用した一実施形態を示した正面図である。
【図2】図1に示された携帯情報端末機を裏面側から見た斜視図である。
【図3】図2に示された携帯情報端末機のA−A矢視における拡大断面図である。
【図4】図2に示された携帯情報端末機の電池蓋を斜め上側から見て示した拡大斜視図である。
【図5】図4に示された携帯情報端末機の電池蓋を斜め下側から見て示した拡大斜視図である。
【図6】図5に示された携帯情報端末機の電池蓋において、防水パッキンを取り外した状態を示した拡大斜視図である。
【図7】図6に示された電池蓋を下側から見て示した拡大裏面図である。
【図8】図5に示された電池蓋のB−B矢視における拡大断面図である。
【図9】図8に示された電池蓋の要部を更に拡大して示した断面図である。
【図10】図6に示された電池蓋の外側蓋部を斜め下側から見て示した拡大斜視図である。
【図11】図6に示された電池蓋の内側蓋部を斜め上側から見て示した拡大斜視図である。
【図12】図11に示された電池蓋の内側蓋部を斜め下側から見て示した拡大斜視図である。
【図13】図11に示された内側蓋部を側方から見て示した拡大側面図である。
【図14】図5に示された電池蓋の防水パッキンを示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜図14を参照して、この発明を携帯情報端末機に適用した一実施形態について説明する。
この携帯情報端末機は、図1および図2に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とかなっている。この機器ケース1内には、表示部4およびキー入力部5が上部ケース2の上面側に露出した状態で設けられている。下部ケース3の下面には、電池蓋6が着脱可能に取り付けられている。
【0015】
この場合、表示部4は、液晶表示パネルやEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、情報処理に伴う各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。キー入力部5は、文字キー、カーソルキー、ファンクションキーなどの情報処理に必要な各種のキーを備えている。また、下部ケース3の内部には、図3に示すように、電池(図示せず)を収納する電池収納部7が、キー入力部5の下側に対応した状態で、下部ケース3の下側(図2では上側)に開放されて設けられている。
【0016】
また、この機器ケース1は、図1および図2に示すように、全体が前後方向(図1では上下方向)に長いほぼ長方形の箱形状に形成されている。この機器ケース1は、図1に示すように、表示部4が設けられている上辺側の部分における前後方向と直交する幅方向(図1では左右方向)の長さが、キー入力部5が設けられている下辺側の部分の幅方向の長さよりも、少し長く形成されている。
【0017】
これにより、この機器ケース1は、キー入力部5に位置する下辺側の部分が握り部1aに形成されている。すなわち、この機器ケース1は、キー入力部5に位置する下辺側の握り部1aを手で握ることにより、片手で持ち、この状態で表示部4に表示された情報を見ながらキー入力部5を入力操作するように構成されている。
【0018】
ところで、電池蓋6は、図2および図3に示すように、キー入力部5に対応する箇所の下部ケース3内に設けられた電池収納部7の開口部7aを開閉可能に塞ぐように構成されている。この電池蓋6は、図3〜図6に示すように、下部ケース3の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側(図3では下側)に取り付けられて、下部ケース3に設けられた電池収納部7の開口部7a内に挿脱可能に挿入して配置されている内側蓋部12とを備えている。
【0019】
外側蓋部11は、図3〜図8に示すように、軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13と、この軟質の合成樹脂よりも硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14とを備え、これらが2色成形によって一体に形成されている。この場合、第1蓋部13は、ゴムやエラストマーなどの弾力を有する軟質の合成樹脂からなり、下部ケース3に対する外側(図8では上側)に位置している。
【0020】
また、この第1蓋部13は、図2および図3に示すように、その外周面(図3では上面)が下部ケース3の下面と連続する湾曲面13aに形成されている。これにより、第1蓋部13は、機器ケース1の握り部1aを手で握った際に、第1蓋部13の湾曲面13aによって手のひらに良好に密接するように構成されている。
【0021】
第2蓋部14は、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)などの硬質の合成樹脂からなり、図5〜図8に示すように、下部ケース3の下面に対面する内側(図8では下側)に位置している。この第2蓋部14の内側面(図8では下面)には、図10に示すように、補強リブ14aが縦横に格子状に形成されている。この補強リブ14aの所定箇所には、図10に示すように、ねじ穴14cを有する複数のボス部14bが形成されている。
【0022】
この場合、第2蓋部14は、図3に示すように、その外形が下部ケース3に設けられた電池収納部7の開口部7aよりも少し大きく形成され、電池収納部7の開口部7aの外部に位置する縁部に当接するように構成されている。また、この第2蓋部14の一端部(図2では上辺側の端部)の両側に位置する各角部には、図2、図4〜図7に示すように、下部ケース3に設けられた一対の取付部材15がそれぞれ装着する一対の取付凹部16が設けられている。
【0023】
この一対の取付凹部16は、図4〜図7、図10に示すように、第2蓋部14の各角部をほぼ半円形状に切り欠いて形成されており、この切り欠いて形成された取付凹部16の内周面における下部には、鍔部16aが設けられている。これにより、外側蓋部11は、下部ケース3の一対の取付部材15が一対の取付凹部16内に側方から挿脱可能に挿入して、取付部材15が鍔部16a上に配置されることにより、鍔部16aが下部ケース3に押え付けられて、下部ケース3に取り付けられるように構成されている。
【0024】
この場合、一対の取付部材15は、図2に示すように、下部ケース3の下面(図2でが上面)にその面方向に回転可能に取り付けられたアーム部15aと、このアーム部15aの先端部に設けられた円板状の押え部15bとを備えた構成になっている。これにより、一対の取付部材15は、アーム部15aを横方向(図2では左右方向)に回転させて押え部15bを外側蓋部11の各取付凹部16内に側方から挿入させることにより、外側蓋部11を下部ケース3に押し付けるように構成されている。
【0025】
一方、内側蓋部12は、第2蓋部14と同様、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)などの硬質の合成樹脂からなり、図3、図5〜図7に示すように、外側蓋部11の第2蓋部14の下面に複数のビス17によって取り付けられるように構成されている。この内側蓋部12は、図3に示すように、その外形が下部ケース3に設けられた電池収納部7の開口部7aの内周面とほぼ同じか、それよりも少し小さい形状に形成されている。
【0026】
すなわち、この内側蓋部12は、図3、図5〜図8に示すように、外側蓋部11の外形よりも少し小さい上板部12aと、その縁部に垂下された枠状の側板部12bとからなり、この上板部12aと側板部12bとが電池収納部7の開口部7a内に挿入するように構成されている。この場合、側板部12bの外周部には、図11〜図13に示すように、パッキン溝18が内側蓋部12の外周に沿って環状に連続して設けられている。
【0027】
このパッキン溝18は、図8および図9に示すように、内側蓋部12の外周面に形成された段差状の切欠き部であり、外側蓋部11に対向する上面側と内側蓋部12の外周側との互いに直交する2方向にそれぞれ開放されている。これにより、パッキン溝18は、図5に示すように、その内部に防水パッキン20が内側蓋部12の外周に沿って環状に連続した状態で装着されるように構成されている。
【0028】
この防水パッキン20は、図14に示すように、ゴムなどの弾性部材からなり、断面がほぼ円形状に形成されている。この場合、防水パッキン20は、図8および図9に示すように、内側蓋部12のパッキン溝18内に配置された際に、その一部がパッキン溝18内から内側蓋部12の外周側の外部に突出するように、パッキン溝18の円周方向の深さよりも少し太く形成されている。
【0029】
すなわち、パッキン溝18は、図6、図8および図9に示すように、内側蓋部12が外側蓋部11における第2蓋部14の下面に取り付けられた際に、パッキン溝18の上面側が外側蓋部11の第2蓋部14における外周部の下面によって覆われることにより、内側蓋部12の外周側のみに開放されるように構成されている。これにより、防水パッキン20は、図5、図8および図に示すように、パッキン溝18内に装着された際に、その一部が内側蓋部12の外周側のみに突出するように構成されている。
【0030】
また、この内側蓋部12の上板部12aには、図7、図11および図12に示すように、複数のビス17が挿入する複数のビス挿入孔19が、外側蓋部11の第2蓋部14に設けられた複数のボス部14bに対応して設けられている。これにより、内側蓋部12は、図3および図7に示すように、複数のビス挿入孔19にその下側から複数のビス17がそれぞれ挿入して外側蓋部11の第2蓋部14の下面に設けられた複数のボス部14bの各ねじ穴14cに螺入して締め付けられることにより、外側蓋部11に取り付けられるように構成されている。
【0031】
次に、このような電池蓋6を製作する場合について説明する。
この場合には、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に製作する。まず、外側蓋部11を製作する場合には、成形用の金型によって2色成形することにより、ゴムやエラストマーなどの軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13と、この軟質の合成樹脂よりも硬質のABS樹脂やポリカーボネートなどの硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14とを、一体に成形する。
【0032】
このときには、例えば、硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14を第1成形用の金型で成形し、この第1成形用の金型で成形された第2蓋部14を第2成形用の金型内に配置し、この状態で軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13を成形する。これにより、第1蓋部13と第2蓋部14とが2色成形によって一体に形成された外側蓋部11が製作される。
【0033】
また、内側蓋部12を成形する場合には、第2蓋部14と同様、ABS樹脂やポリカーボネートなどの硬質の合成樹脂を成形用の金型内に射出させることにより製作される。このときには、図10〜図13に示すように、内側蓋部12の外周部にパッキン溝18が、外側蓋部11に対向する上面側と内側蓋部12の外周側との互いに直交する2方向にそれぞれ開放された状態で、内側蓋部12の外周に沿って連続して形成される。
【0034】
この場合、内側蓋部12のパッキン溝18は、アンダーカット形状やオーバーハング形状でないため、内側蓋部12を成形用の金型で成形する際に、金型内にスライド機構を設けずに、図13に示すパーティングライン(PL)で上金型と下金型とに分割して型抜きすることができ、これにより成形用の金型が単純な構造になり、この成形用の金型で内側蓋部12を容易に成形することができる。
【0035】
次に、外側蓋部11に内側蓋部12を取り付ける。このときには、図3に示すように、内側蓋部12に設けられた複数のビス挿入孔19にその下側から複数のビス17をそれぞれ挿入させて外側蓋部11の第2蓋部14の下面に設けられた複数のボス部14bの各ねじ穴14cに螺入させて締め付ける。これにより、外側蓋部11に内側蓋部12が取り付けられる。
【0036】
このように、外側蓋部11に内側蓋部12が取り付けられた際には、図8および図9に示すように、内側蓋部12の上部外周に形成されたパッキン溝18の上面側が、外側蓋部11の第2蓋部14における外周部の下面によって覆われる。このため、パッキン溝18が、図6に示すように、内側蓋部12の外周側のみに開放された状態になる。そして、このパッキン溝18内に防水パッキン20を装着する。このときには、図9に示すように、防水パッキン20の一部がパッキン溝18から内側蓋部12の外周側に突出した状態で、パッキン溝18内に装着される。
【0037】
次に、このような電池蓋6を下部ケース3に取り付けて電池収納部7の開口部7aを塞ぐ場合について説明する。
このときには、図3に示すように、電池蓋6の内側蓋部12を下部ケース3の電池収納部7の開口部7aに対応させ、この状態で内側蓋部12を電池収納部7の開口部7aに挿入させて、外側蓋部11の第2蓋部14を電池収納部7の開口部7aの外側縁部に当接させる。
【0038】
すると、内側蓋部12の外周面のパッキン溝18内に装着された防水パッキン20の一部が電池収納部7の開口部7aの内周面に弾接して密接する。これにより、電池収納部7の開口部7aが内側蓋部12によって密閉される。この状態で、図2に示すように、下部ケース3に設けられた一対の取付部材15によって電池蓋6を下部ケース3に固定する。
【0039】
このときには、一対の取付部材15の各アーム部15aを横方向に回転させて、外側蓋部11に設けられた一対の取付凹部16内にその側方から各押え部15bを挿入させる。すると、この一対の取付凹部16内にそれぞれ設けられた各鍔部16a上に一対の取付部材15の各押え部15bが配置され、この一対の取付部材15の押え部15bによって各鍔部16aが下部ケース3に押え付けられる。これにより、電池蓋6が電池収納部7を密閉した状態で下部ケース3に取り付けられる。
【0040】
ところで、このような携帯情報端末機では、機種に応じて電池容量が異なり、これに伴って電池収納部7の大きさも機種によって異なっている場合がある。このような場合には、電池収納部7の開口部7aの大きさに応じて内側蓋部12を交換するだけで、簡単に且つ容易に対処することができる。すなわち、ビス17を取り外すことにより、内側蓋部12を外側蓋部11から容易に取り外して、電池収納部7の開口部7aの大きさに応じた内側蓋部12と交換することにより、電池収納部7の開口部7aの大きさ異なっても対処することができる。
【0041】
このように、この電池蓋6によれば、機器ケース1の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側に取り付けられて電池収納部7の開口部7aに挿脱可能に挿入する内側蓋部12とを備え、この内側蓋部12の外周部に、外側蓋部11側と内側蓋部12の外周側との互いに直交する2方向にそれぞれ開放されたパッキン溝18を、外側蓋部11の外周よりも中心側に位置した状態で、内側蓋部12の外周に沿って設けた構成であるから、成型用の金型が単純な構造で、安価に製作することができ、且つ防水性を確保することができる。
【0042】
すなわち、この電池蓋6では、外側蓋部11の内側に内側蓋部12を取り付けた際に、内側蓋部12の外周部に形成されたパッキン溝18を、外側蓋部11の外周部が覆って内側蓋部12の外周側のみに開放させた状態に形成することができ、これにより内側蓋部12の外周側のみに開放されたパッキン溝18に防水パッキン20を確実に且つ良好に装着することができるので、防水性を確保することができる。
【0043】
また、内側蓋部12を成形用の金型で成形する際には、内側蓋部12にアンダーカット形状やオーバーハング形状のパッキン溝を形成する必要がないので、金型内にスライド機構を設けずに、パーティングライン(PL)で金型を分離させるだけで、型抜きすることができる。このため、成型用の金型を単純な構造にすることができると共に、成形用の金型および内側蓋部12を安価に製作することができるほか、パッキン溝18付近の肉厚を厚く形成して肉厚を補強することができるので、パッキン溝18を強固に形成することができる。
【0044】
これにより、パッキン溝18内に防水パッキン20を確実に且つ良好に装着することができると共に、防止パッキン20の一部をパッキン溝18から内側蓋部12の外周側に突出させることができるので、内側蓋部12を電池収納部7の開口部7a内に挿入させた際に、パッキン溝18内から突出した防止パッキン20の一部を電池収納部7の開口部7aの内周面に確実に且つ良好に弾接させることができ、これにより電池収納部7の開口部7aを確実に密閉することができるので、防水性を確保することができる。
【0045】
また、この電池蓋6では、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に成形しているので、外側蓋部11と内側蓋部12とを一体に成形する場合に比べて、外側蓋部11と内側蓋部12とをそれぞれ成形する際に、外側蓋部11と内側蓋部12とがパッキン溝18によって形状の制約を受けることが少なくなり、このため外側蓋部11と内側蓋部12とを自由な形状に形成することができる。
【0046】
この場合、外側蓋部11は、弾力を有する軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13と、この軟質の合成樹脂よりも硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14とを、下部ケース3に対する外側に第1蓋部13が位置し、その内側に第2蓋部14が位置した状態で、2色成形した構成であることにより、外側蓋部11を簡単に且つ容易に製作することができると共に、耐衝撃性の高いものを得ることができる。
【0047】
すなわち、外側蓋部11は、弾力を有する軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13が機器ケース1に対する外側に設けられ、この第1蓋部13の内側に硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14が設けられていることにより、外側蓋部11が落下などの衝撃を受けた際に、その衝撃を第1蓋部13によって弾力的に吸収することができると共に、第1蓋部13で吸収されなかった衝撃を第2蓋部14で確実に且つ良好に受け止めることができ、これにより高さ2m程度の落下による衝撃に耐えることができるので、耐衝撃性を十分に高めることができる。
【0048】
また、この外側蓋部11の第1蓋部13は、その外側面が下部ケース3の下面に連続する湾曲面13aに形成されていることにより、下部ケース3に電池蓋6を取り付けて機器ケース1の握り部1aを手で握った際に、第1蓋部13の湾曲面13aによって手のひらを良好に密接させることができる。この場合、第1蓋部13はゴムやエラストマーなどの弾性を有する合成樹脂で形成されているため、機器ケース1を握った際に電池蓋6の感触が良く、機器ケース1を握り易くすることができる。
【0049】
また、この外側蓋部11は、第2蓋部14における内側蓋部12に対向する対向面に補強リブ14aが縦横に設けられていることにより、第2蓋部14の全体の厚みが厚くても、補強リブ14aによって第2蓋部14の肉厚を薄く形成して第2蓋部14の重量を軽くすることができると共に、肉厚を薄く形成しても、補強リブ14aによって第2蓋部14の強度を確保することができるほか、第2蓋部14の成形時に補強リブ14aによって第2蓋部14の表面(図12では上面)にヒケが発生するのを軽減することができ、これにより第2蓋部14を良好に成形することができる。
【0050】
さらに、この電池蓋6によれば、外側蓋部11と内側蓋部12とがビス17によって相互に固定されているので、外側蓋部11と内側蓋部12とを簡単に且つ容易に取り付けることができる。このため、例えば携帯情報端末機の機種に応じて電池容量が異なり、これに伴って電池収納部7の大きさが異なっている場合には、内側蓋部12を外側蓋部11から容易に取り外して、電池収納部7の開口部7aの大きさに応じた内側蓋部12と交換するだけで、機種によって電池収納部7の大きさが異なっても、簡単に且つ容易に対処することができる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、蓋部材として機器ケース1の電池収納部7を塞ぐ電池蓋6について述べたが、必ずしも電池蓋6である必要なく、例えば、外部接続端子の端子収納部やメモリーカードのカード収納部などの各種の収納部を塞ぐ蓋部材にも広く適用することができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、携帯情報端末に適用した場合について述べたが、必ずしも携帯情報端末機である必要はなく、例えば、携帯電話機や電子カメラ、電子辞書、携帯型の音楽プレーヤなどの各種の携帯機器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 機器ケース
2 上部ケース
3 下部ケース
6 電池蓋
7 電池収納部
7a 開口部
11 外側蓋部
12 内側蓋部
13 第1蓋部
14 第2蓋部
14a 補強リブ
17 ビス
18 パッキン溝
20 防水パッキン
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機、電子カメラなどの携帯型の電子機器に用いられる蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子カメラに用いられている電池蓋においては、特許文献1に記載されているように、カメラケース内に設けられた電池収納部を開閉可能に塞ぐ際に、電池収納部の開口部内に蓋本体の内側部が挿入し、この挿入した蓋本体の内側部の外周部に設けられた防水パッキンが電池収納部の開口部の内周面に密接することにより、防水性を図るように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−157240号公報
【0004】
このような電子カメラの電池蓋は、電池収納部の開口部内に挿入する蓋本体の内側部における外周面にパッキン溝が、外周側のみに開放された状態で、外周に沿って連続して形成され、このパッキン溝に防水パッキンが挿入され、この挿入された防水パッキンの一部がパッキン溝から外周側に突出し、この状態で蓋本体の内側部を電池収納部の開口部内に挿入させた際に、パッキン溝から突出した防水パッキンの一部が電池収納部の開口部の内周面に弾接して密接するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような電子カメラの電池蓋では、蓋本体の内側部における外周面に形成されたパッキン溝が、蓋本体の外周側のみに開放された形成であるから、蓋本体を成形用の金型で成形する際に、金型内にスライド機構を設けなければ、蓋本体の外周面にパッキン溝を形成することができないため、金型の構造が複雑になり、金型の製作が面倒で、金型費用および製品の価格が高くなるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、成型用の金型が単純な構造で、安価に製作することができ、且つ防水性を確保することができる蓋部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に取り付けられて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部側と前記内側蓋部の外周側との直交する2方向に開放されたパッキン溝が、前記外側蓋部の外周よりも中心側に位置した状態で、前記内側蓋部の外周に沿って設けられていることを特徴とする蓋部材である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓋部材において、前記外側蓋部は、弾力を有する軟質の合成樹脂からなる第1蓋部と、この軟質の合成樹脂よりも硬質の合成樹脂からなる第2蓋部とを、前記機器ケースに対する外側に前記第1蓋部が位置し、その内側に前記第2蓋部が位置した状態で、2色成形したことを特徴とする蓋部材である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の蓋部材において、前記外側蓋部の前記第2蓋部における前記内側蓋部に対向する対向面には、補強リブが縦横に設けられていることを特徴とする蓋部材である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓋部材において、前記外側蓋部と前記内側蓋部とは、ねじ部材によって相互に固定されていることを特徴とする蓋部材である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部の内側に、機器ケースに設けられた収納部の開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部を取り付けた際に、内側蓋部の外周部に形成されたパッキン溝を、外側蓋部が覆って内側蓋部の外周側のみに開放させた状態に形成することができ、これにより内側蓋部の外周側のみに開放されたパッキン溝に防水パッキンを確実に且つ良好に装着することができるので、防水性を確保することができる。
【0012】
また、内側蓋部を成形用の金型で成形する際に、内側蓋部にアンダーカット形状やオーバーハング形状のパッキン溝を形成する必要がないので、成型用の金型内にスライド機構を設けずに型抜きすることができる。このため、成形用の金型を単純な構造にすることができるので、成形用の金型および内側蓋部を安価に製作することができると共に、成形時に外側蓋部と内側蓋部とが形状の制約を受けないため、外側蓋部と内側蓋部とを自由な形状に形成することができるほか、パッキン溝の周辺部の肉厚を厚くして強度を高めることができるので、これによっても防水性をも確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明を携帯情報端末機に適用した一実施形態を示した正面図である。
【図2】図1に示された携帯情報端末機を裏面側から見た斜視図である。
【図3】図2に示された携帯情報端末機のA−A矢視における拡大断面図である。
【図4】図2に示された携帯情報端末機の電池蓋を斜め上側から見て示した拡大斜視図である。
【図5】図4に示された携帯情報端末機の電池蓋を斜め下側から見て示した拡大斜視図である。
【図6】図5に示された携帯情報端末機の電池蓋において、防水パッキンを取り外した状態を示した拡大斜視図である。
【図7】図6に示された電池蓋を下側から見て示した拡大裏面図である。
【図8】図5に示された電池蓋のB−B矢視における拡大断面図である。
【図9】図8に示された電池蓋の要部を更に拡大して示した断面図である。
【図10】図6に示された電池蓋の外側蓋部を斜め下側から見て示した拡大斜視図である。
【図11】図6に示された電池蓋の内側蓋部を斜め上側から見て示した拡大斜視図である。
【図12】図11に示された電池蓋の内側蓋部を斜め下側から見て示した拡大斜視図である。
【図13】図11に示された内側蓋部を側方から見て示した拡大側面図である。
【図14】図5に示された電池蓋の防水パッキンを示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜図14を参照して、この発明を携帯情報端末機に適用した一実施形態について説明する。
この携帯情報端末機は、図1および図2に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とかなっている。この機器ケース1内には、表示部4およびキー入力部5が上部ケース2の上面側に露出した状態で設けられている。下部ケース3の下面には、電池蓋6が着脱可能に取り付けられている。
【0015】
この場合、表示部4は、液晶表示パネルやEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、情報処理に伴う各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。キー入力部5は、文字キー、カーソルキー、ファンクションキーなどの情報処理に必要な各種のキーを備えている。また、下部ケース3の内部には、図3に示すように、電池(図示せず)を収納する電池収納部7が、キー入力部5の下側に対応した状態で、下部ケース3の下側(図2では上側)に開放されて設けられている。
【0016】
また、この機器ケース1は、図1および図2に示すように、全体が前後方向(図1では上下方向)に長いほぼ長方形の箱形状に形成されている。この機器ケース1は、図1に示すように、表示部4が設けられている上辺側の部分における前後方向と直交する幅方向(図1では左右方向)の長さが、キー入力部5が設けられている下辺側の部分の幅方向の長さよりも、少し長く形成されている。
【0017】
これにより、この機器ケース1は、キー入力部5に位置する下辺側の部分が握り部1aに形成されている。すなわち、この機器ケース1は、キー入力部5に位置する下辺側の握り部1aを手で握ることにより、片手で持ち、この状態で表示部4に表示された情報を見ながらキー入力部5を入力操作するように構成されている。
【0018】
ところで、電池蓋6は、図2および図3に示すように、キー入力部5に対応する箇所の下部ケース3内に設けられた電池収納部7の開口部7aを開閉可能に塞ぐように構成されている。この電池蓋6は、図3〜図6に示すように、下部ケース3の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側(図3では下側)に取り付けられて、下部ケース3に設けられた電池収納部7の開口部7a内に挿脱可能に挿入して配置されている内側蓋部12とを備えている。
【0019】
外側蓋部11は、図3〜図8に示すように、軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13と、この軟質の合成樹脂よりも硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14とを備え、これらが2色成形によって一体に形成されている。この場合、第1蓋部13は、ゴムやエラストマーなどの弾力を有する軟質の合成樹脂からなり、下部ケース3に対する外側(図8では上側)に位置している。
【0020】
また、この第1蓋部13は、図2および図3に示すように、その外周面(図3では上面)が下部ケース3の下面と連続する湾曲面13aに形成されている。これにより、第1蓋部13は、機器ケース1の握り部1aを手で握った際に、第1蓋部13の湾曲面13aによって手のひらに良好に密接するように構成されている。
【0021】
第2蓋部14は、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)などの硬質の合成樹脂からなり、図5〜図8に示すように、下部ケース3の下面に対面する内側(図8では下側)に位置している。この第2蓋部14の内側面(図8では下面)には、図10に示すように、補強リブ14aが縦横に格子状に形成されている。この補強リブ14aの所定箇所には、図10に示すように、ねじ穴14cを有する複数のボス部14bが形成されている。
【0022】
この場合、第2蓋部14は、図3に示すように、その外形が下部ケース3に設けられた電池収納部7の開口部7aよりも少し大きく形成され、電池収納部7の開口部7aの外部に位置する縁部に当接するように構成されている。また、この第2蓋部14の一端部(図2では上辺側の端部)の両側に位置する各角部には、図2、図4〜図7に示すように、下部ケース3に設けられた一対の取付部材15がそれぞれ装着する一対の取付凹部16が設けられている。
【0023】
この一対の取付凹部16は、図4〜図7、図10に示すように、第2蓋部14の各角部をほぼ半円形状に切り欠いて形成されており、この切り欠いて形成された取付凹部16の内周面における下部には、鍔部16aが設けられている。これにより、外側蓋部11は、下部ケース3の一対の取付部材15が一対の取付凹部16内に側方から挿脱可能に挿入して、取付部材15が鍔部16a上に配置されることにより、鍔部16aが下部ケース3に押え付けられて、下部ケース3に取り付けられるように構成されている。
【0024】
この場合、一対の取付部材15は、図2に示すように、下部ケース3の下面(図2でが上面)にその面方向に回転可能に取り付けられたアーム部15aと、このアーム部15aの先端部に設けられた円板状の押え部15bとを備えた構成になっている。これにより、一対の取付部材15は、アーム部15aを横方向(図2では左右方向)に回転させて押え部15bを外側蓋部11の各取付凹部16内に側方から挿入させることにより、外側蓋部11を下部ケース3に押し付けるように構成されている。
【0025】
一方、内側蓋部12は、第2蓋部14と同様、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)などの硬質の合成樹脂からなり、図3、図5〜図7に示すように、外側蓋部11の第2蓋部14の下面に複数のビス17によって取り付けられるように構成されている。この内側蓋部12は、図3に示すように、その外形が下部ケース3に設けられた電池収納部7の開口部7aの内周面とほぼ同じか、それよりも少し小さい形状に形成されている。
【0026】
すなわち、この内側蓋部12は、図3、図5〜図8に示すように、外側蓋部11の外形よりも少し小さい上板部12aと、その縁部に垂下された枠状の側板部12bとからなり、この上板部12aと側板部12bとが電池収納部7の開口部7a内に挿入するように構成されている。この場合、側板部12bの外周部には、図11〜図13に示すように、パッキン溝18が内側蓋部12の外周に沿って環状に連続して設けられている。
【0027】
このパッキン溝18は、図8および図9に示すように、内側蓋部12の外周面に形成された段差状の切欠き部であり、外側蓋部11に対向する上面側と内側蓋部12の外周側との互いに直交する2方向にそれぞれ開放されている。これにより、パッキン溝18は、図5に示すように、その内部に防水パッキン20が内側蓋部12の外周に沿って環状に連続した状態で装着されるように構成されている。
【0028】
この防水パッキン20は、図14に示すように、ゴムなどの弾性部材からなり、断面がほぼ円形状に形成されている。この場合、防水パッキン20は、図8および図9に示すように、内側蓋部12のパッキン溝18内に配置された際に、その一部がパッキン溝18内から内側蓋部12の外周側の外部に突出するように、パッキン溝18の円周方向の深さよりも少し太く形成されている。
【0029】
すなわち、パッキン溝18は、図6、図8および図9に示すように、内側蓋部12が外側蓋部11における第2蓋部14の下面に取り付けられた際に、パッキン溝18の上面側が外側蓋部11の第2蓋部14における外周部の下面によって覆われることにより、内側蓋部12の外周側のみに開放されるように構成されている。これにより、防水パッキン20は、図5、図8および図に示すように、パッキン溝18内に装着された際に、その一部が内側蓋部12の外周側のみに突出するように構成されている。
【0030】
また、この内側蓋部12の上板部12aには、図7、図11および図12に示すように、複数のビス17が挿入する複数のビス挿入孔19が、外側蓋部11の第2蓋部14に設けられた複数のボス部14bに対応して設けられている。これにより、内側蓋部12は、図3および図7に示すように、複数のビス挿入孔19にその下側から複数のビス17がそれぞれ挿入して外側蓋部11の第2蓋部14の下面に設けられた複数のボス部14bの各ねじ穴14cに螺入して締め付けられることにより、外側蓋部11に取り付けられるように構成されている。
【0031】
次に、このような電池蓋6を製作する場合について説明する。
この場合には、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に製作する。まず、外側蓋部11を製作する場合には、成形用の金型によって2色成形することにより、ゴムやエラストマーなどの軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13と、この軟質の合成樹脂よりも硬質のABS樹脂やポリカーボネートなどの硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14とを、一体に成形する。
【0032】
このときには、例えば、硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14を第1成形用の金型で成形し、この第1成形用の金型で成形された第2蓋部14を第2成形用の金型内に配置し、この状態で軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13を成形する。これにより、第1蓋部13と第2蓋部14とが2色成形によって一体に形成された外側蓋部11が製作される。
【0033】
また、内側蓋部12を成形する場合には、第2蓋部14と同様、ABS樹脂やポリカーボネートなどの硬質の合成樹脂を成形用の金型内に射出させることにより製作される。このときには、図10〜図13に示すように、内側蓋部12の外周部にパッキン溝18が、外側蓋部11に対向する上面側と内側蓋部12の外周側との互いに直交する2方向にそれぞれ開放された状態で、内側蓋部12の外周に沿って連続して形成される。
【0034】
この場合、内側蓋部12のパッキン溝18は、アンダーカット形状やオーバーハング形状でないため、内側蓋部12を成形用の金型で成形する際に、金型内にスライド機構を設けずに、図13に示すパーティングライン(PL)で上金型と下金型とに分割して型抜きすることができ、これにより成形用の金型が単純な構造になり、この成形用の金型で内側蓋部12を容易に成形することができる。
【0035】
次に、外側蓋部11に内側蓋部12を取り付ける。このときには、図3に示すように、内側蓋部12に設けられた複数のビス挿入孔19にその下側から複数のビス17をそれぞれ挿入させて外側蓋部11の第2蓋部14の下面に設けられた複数のボス部14bの各ねじ穴14cに螺入させて締め付ける。これにより、外側蓋部11に内側蓋部12が取り付けられる。
【0036】
このように、外側蓋部11に内側蓋部12が取り付けられた際には、図8および図9に示すように、内側蓋部12の上部外周に形成されたパッキン溝18の上面側が、外側蓋部11の第2蓋部14における外周部の下面によって覆われる。このため、パッキン溝18が、図6に示すように、内側蓋部12の外周側のみに開放された状態になる。そして、このパッキン溝18内に防水パッキン20を装着する。このときには、図9に示すように、防水パッキン20の一部がパッキン溝18から内側蓋部12の外周側に突出した状態で、パッキン溝18内に装着される。
【0037】
次に、このような電池蓋6を下部ケース3に取り付けて電池収納部7の開口部7aを塞ぐ場合について説明する。
このときには、図3に示すように、電池蓋6の内側蓋部12を下部ケース3の電池収納部7の開口部7aに対応させ、この状態で内側蓋部12を電池収納部7の開口部7aに挿入させて、外側蓋部11の第2蓋部14を電池収納部7の開口部7aの外側縁部に当接させる。
【0038】
すると、内側蓋部12の外周面のパッキン溝18内に装着された防水パッキン20の一部が電池収納部7の開口部7aの内周面に弾接して密接する。これにより、電池収納部7の開口部7aが内側蓋部12によって密閉される。この状態で、図2に示すように、下部ケース3に設けられた一対の取付部材15によって電池蓋6を下部ケース3に固定する。
【0039】
このときには、一対の取付部材15の各アーム部15aを横方向に回転させて、外側蓋部11に設けられた一対の取付凹部16内にその側方から各押え部15bを挿入させる。すると、この一対の取付凹部16内にそれぞれ設けられた各鍔部16a上に一対の取付部材15の各押え部15bが配置され、この一対の取付部材15の押え部15bによって各鍔部16aが下部ケース3に押え付けられる。これにより、電池蓋6が電池収納部7を密閉した状態で下部ケース3に取り付けられる。
【0040】
ところで、このような携帯情報端末機では、機種に応じて電池容量が異なり、これに伴って電池収納部7の大きさも機種によって異なっている場合がある。このような場合には、電池収納部7の開口部7aの大きさに応じて内側蓋部12を交換するだけで、簡単に且つ容易に対処することができる。すなわち、ビス17を取り外すことにより、内側蓋部12を外側蓋部11から容易に取り外して、電池収納部7の開口部7aの大きさに応じた内側蓋部12と交換することにより、電池収納部7の開口部7aの大きさ異なっても対処することができる。
【0041】
このように、この電池蓋6によれば、機器ケース1の外形の一部を形成する外側蓋部11と、この外側蓋部11の内側に取り付けられて電池収納部7の開口部7aに挿脱可能に挿入する内側蓋部12とを備え、この内側蓋部12の外周部に、外側蓋部11側と内側蓋部12の外周側との互いに直交する2方向にそれぞれ開放されたパッキン溝18を、外側蓋部11の外周よりも中心側に位置した状態で、内側蓋部12の外周に沿って設けた構成であるから、成型用の金型が単純な構造で、安価に製作することができ、且つ防水性を確保することができる。
【0042】
すなわち、この電池蓋6では、外側蓋部11の内側に内側蓋部12を取り付けた際に、内側蓋部12の外周部に形成されたパッキン溝18を、外側蓋部11の外周部が覆って内側蓋部12の外周側のみに開放させた状態に形成することができ、これにより内側蓋部12の外周側のみに開放されたパッキン溝18に防水パッキン20を確実に且つ良好に装着することができるので、防水性を確保することができる。
【0043】
また、内側蓋部12を成形用の金型で成形する際には、内側蓋部12にアンダーカット形状やオーバーハング形状のパッキン溝を形成する必要がないので、金型内にスライド機構を設けずに、パーティングライン(PL)で金型を分離させるだけで、型抜きすることができる。このため、成型用の金型を単純な構造にすることができると共に、成形用の金型および内側蓋部12を安価に製作することができるほか、パッキン溝18付近の肉厚を厚く形成して肉厚を補強することができるので、パッキン溝18を強固に形成することができる。
【0044】
これにより、パッキン溝18内に防水パッキン20を確実に且つ良好に装着することができると共に、防止パッキン20の一部をパッキン溝18から内側蓋部12の外周側に突出させることができるので、内側蓋部12を電池収納部7の開口部7a内に挿入させた際に、パッキン溝18内から突出した防止パッキン20の一部を電池収納部7の開口部7aの内周面に確実に且つ良好に弾接させることができ、これにより電池収納部7の開口部7aを確実に密閉することができるので、防水性を確保することができる。
【0045】
また、この電池蓋6では、外側蓋部11と内側蓋部12とを別々に成形しているので、外側蓋部11と内側蓋部12とを一体に成形する場合に比べて、外側蓋部11と内側蓋部12とをそれぞれ成形する際に、外側蓋部11と内側蓋部12とがパッキン溝18によって形状の制約を受けることが少なくなり、このため外側蓋部11と内側蓋部12とを自由な形状に形成することができる。
【0046】
この場合、外側蓋部11は、弾力を有する軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13と、この軟質の合成樹脂よりも硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14とを、下部ケース3に対する外側に第1蓋部13が位置し、その内側に第2蓋部14が位置した状態で、2色成形した構成であることにより、外側蓋部11を簡単に且つ容易に製作することができると共に、耐衝撃性の高いものを得ることができる。
【0047】
すなわち、外側蓋部11は、弾力を有する軟質の合成樹脂からなる第1蓋部13が機器ケース1に対する外側に設けられ、この第1蓋部13の内側に硬質の合成樹脂からなる第2蓋部14が設けられていることにより、外側蓋部11が落下などの衝撃を受けた際に、その衝撃を第1蓋部13によって弾力的に吸収することができると共に、第1蓋部13で吸収されなかった衝撃を第2蓋部14で確実に且つ良好に受け止めることができ、これにより高さ2m程度の落下による衝撃に耐えることができるので、耐衝撃性を十分に高めることができる。
【0048】
また、この外側蓋部11の第1蓋部13は、その外側面が下部ケース3の下面に連続する湾曲面13aに形成されていることにより、下部ケース3に電池蓋6を取り付けて機器ケース1の握り部1aを手で握った際に、第1蓋部13の湾曲面13aによって手のひらを良好に密接させることができる。この場合、第1蓋部13はゴムやエラストマーなどの弾性を有する合成樹脂で形成されているため、機器ケース1を握った際に電池蓋6の感触が良く、機器ケース1を握り易くすることができる。
【0049】
また、この外側蓋部11は、第2蓋部14における内側蓋部12に対向する対向面に補強リブ14aが縦横に設けられていることにより、第2蓋部14の全体の厚みが厚くても、補強リブ14aによって第2蓋部14の肉厚を薄く形成して第2蓋部14の重量を軽くすることができると共に、肉厚を薄く形成しても、補強リブ14aによって第2蓋部14の強度を確保することができるほか、第2蓋部14の成形時に補強リブ14aによって第2蓋部14の表面(図12では上面)にヒケが発生するのを軽減することができ、これにより第2蓋部14を良好に成形することができる。
【0050】
さらに、この電池蓋6によれば、外側蓋部11と内側蓋部12とがビス17によって相互に固定されているので、外側蓋部11と内側蓋部12とを簡単に且つ容易に取り付けることができる。このため、例えば携帯情報端末機の機種に応じて電池容量が異なり、これに伴って電池収納部7の大きさが異なっている場合には、内側蓋部12を外側蓋部11から容易に取り外して、電池収納部7の開口部7aの大きさに応じた内側蓋部12と交換するだけで、機種によって電池収納部7の大きさが異なっても、簡単に且つ容易に対処することができる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、蓋部材として機器ケース1の電池収納部7を塞ぐ電池蓋6について述べたが、必ずしも電池蓋6である必要なく、例えば、外部接続端子の端子収納部やメモリーカードのカード収納部などの各種の収納部を塞ぐ蓋部材にも広く適用することができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、携帯情報端末に適用した場合について述べたが、必ずしも携帯情報端末機である必要はなく、例えば、携帯電話機や電子カメラ、電子辞書、携帯型の音楽プレーヤなどの各種の携帯機器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 機器ケース
2 上部ケース
3 下部ケース
6 電池蓋
7 電池収納部
7a 開口部
11 外側蓋部
12 内側蓋部
13 第1蓋部
14 第2蓋部
14a 補強リブ
17 ビス
18 パッキン溝
20 防水パッキン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、
前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に取り付けられて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、
前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部側と前記内側蓋部の外周側との直交する2方向に開放されたパッキン溝が、前記外側蓋部の外周よりも中心側に位置した状態で、前記内側蓋部の外周に沿って設けられていることを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋部材において、前記外側蓋部は、弾力を有する軟質の合成樹脂からなる第1蓋部と、この軟質の合成樹脂よりも硬質の合成樹脂からなる第2蓋部とを、前記機器ケースに対する外側に前記第1蓋部が位置し、その内側に前記第2蓋部が位置した状態で、2色成形したことを特徴とする蓋部材。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋部材において、前記外側蓋部の前記第2蓋部における前記内側蓋部に対向する対向面には、補強リブが縦横に設けられていることを特徴とする蓋部材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓋部材において、前記外側蓋部と前記内側蓋部とは、ねじ部材によって相互に固定されていることを特徴とする蓋部材。
【請求項1】
機器ケースに設けられた収納部の開口部を塞ぐための蓋部材において、
前記機器ケースの外形の一部を形成する外側蓋部と、この外側蓋部の内側に取り付けられて前記収納部の前記開口部に挿脱可能に挿入する内側蓋部とを備え、
前記内側蓋部の外周部には、前記外側蓋部側と前記内側蓋部の外周側との直交する2方向に開放されたパッキン溝が、前記外側蓋部の外周よりも中心側に位置した状態で、前記内側蓋部の外周に沿って設けられていることを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋部材において、前記外側蓋部は、弾力を有する軟質の合成樹脂からなる第1蓋部と、この軟質の合成樹脂よりも硬質の合成樹脂からなる第2蓋部とを、前記機器ケースに対する外側に前記第1蓋部が位置し、その内側に前記第2蓋部が位置した状態で、2色成形したことを特徴とする蓋部材。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋部材において、前記外側蓋部の前記第2蓋部における前記内側蓋部に対向する対向面には、補強リブが縦横に設けられていることを特徴とする蓋部材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蓋部材において、前記外側蓋部と前記内側蓋部とは、ねじ部材によって相互に固定されていることを特徴とする蓋部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−134025(P2012−134025A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285434(P2010−285434)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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