説明

携帯機

【課題】携帯機本体の落下を検知可能としつつも、消費電力を低減することのできる携帯機を提供する。
【解決手段】この携帯機1では、加速度センサ16を通じて検出される加速度に基づいて携帯機本体の落下を検知する。また、施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12に対する操作に基づいて施錠要求信号あるいは解錠要求信号を車両に設けられた車載機2に無線送信する。ここでは、加速度センサ16への給電を断続させるトランジスタ19を設ける。そして、各スイッチ11,12に対する操作を検知したとき、あるいは車載機2から車室外通信エリアAに対して無線送信されるリクエスト信号を受信したとき、トランジスタ19を通じて加速度センサ16への給電を一定時間だけ行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機に関し、特に車両の無線通信システム等に採用して有益な携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機に設けられたスイッチを操作することによって車両ドアの施錠及び解錠を遠隔操作することのできる車両の無線通信システムが周知である。この無線通信システムでは、ユーザによって携帯機の施錠スイッチあるいは解錠スイッチが操作されると、携帯機から施錠要求信号あるいは解錠要求信号が無線送信される。そして、これらの要求信号が車両に設けられた車載機によって受信されると、車載機は、要求信号の内容に基づいて車両ドアの施錠あるいは解錠を実行する。
【0003】
一方、このような車両の無線通信システムに用いられる携帯機には、例えば特許文献1に見られるように、所定の衝撃が加わったときにこれをセンサにより検知して、当該携帯機に設けられた発光ダイオード(LED)を発光させるようにしたものがある。これにより、ユーザが例えば暗所などで携帯機を落下させたときに携帯機に所定の衝撃が加わると、携帯機のLEDが発光するため、ユーザはLEDの光を頼りに携帯機の位置を知ることができる。このため、携帯機の紛失を回避することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−226025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような携帯機では、衝撃を検出するセンサを駆動させる分だけその消費電力が増加してしまう。したがって、電池を動力源とする携帯機にあっては、電池切れが生じ易くなり、利便性が損なわれるおそれがある。
【0006】
なお、このような課題は、衝撃をセンサにより検知してLEDを発光させる携帯機に限らず、携帯機の落下をセンサにより検知して所定の処理を実行する携帯機において共通する課題である。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯機本体の落下を検知可能としつつも、消費電力を低減することのできる携帯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、手動操作可能な操作部と、携帯機本体の落下を検知する落下検知センサとを有して、該落下検知センサにより前記携帯機本体の落下が検知されるときに所定の処理を実行する携帯機において、前記落下検知センサへの給電を断続させる給電断続手段と、前記操作部に対する操作を検知することに基づいて前記給電断続手段により前記落下検知センサへの給電を一定時間だけ行う制御手段とを備えることを要旨とする。
【0009】
携帯機本体を落下させやすい状況の一つとして、ユーザが携帯機の操作部を操作した直後が考えられる。この点、上記構成によれば、ユーザが操作部を操作した際に落下検知センサへの給電が一定時間だけ行われるため、仮に操作部の操作の直後に携帯機本体を落下させてしまったとしても、その落下を落下検知センサにより検知することができる。また、落下検知センサへの給電は一定時間しか行われないため、携帯機の消費電力を低減することもできる。よって、携帯機本体の落下を検知可能としつつも、消費電力を低減することができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、手動操作可能な操作部と、携帯機本体の落下を検知する落下検知センサとを有して、前記操作部に対する操作に基づいて車両に設けられた車載機に車両ドアの施錠を要求する施錠要求信号を無線送信するとともに、前記落下検知センサにより前記携帯機本体の落下が検知されるときに所定の処理を実行する携帯機において、前記落下検知センサへの給電を断続させる給電断続手段と、前記操作部に対する操作を検知したとき、あるいは前記車載機から車室外の通信エリアに対して送信される無線信号を受信したとき、前記給電断続手段により前記落下検知センサへの給電を一定時間だけ行う制御手段とを備えることを要旨とする。
【0011】
前述のように、車両の無線通信システムの一つとして、携帯機に設けられた操作部を操作することにより車両ドアの施錠を遠隔操作することができるものがある。ところで、このような車両の無線通信システムに用いられる携帯機では、例えばユーザが車両から離れる際に車両ドアの施錠し忘れが気になったときに、携帯機の操作部の操作により車両ドアを施錠させようとして、鞄などから携帯機本体を取り出そうとする際にもこれを落下させ易い。この点、上記構成によれば、車載機から車室外の通信エリアに対して送信される無線信号が携帯機によって受信された際に、落下検知センサへの給電が一定時間だけ行われるため、携帯機が車室外の通信エリア内に位置した時点から一定時間が経過するまでの期間、携帯機本体の落下を検知することが可能となる。これにより、仮にユーザが車両から離れる際に鞄などから携帯機本体を取り出そうとしてこれを落下させてしまったとしても、その落下を落下検知センサにより検知することができる。また、上記構成によれば、上記請求項1に記載の発明と同様に、仮にユーザが操作部を操作した直後に携帯機本体を落下させてしまったとしても、その落下を検知することもできる。さらに、落下検知センサへの給電は一定時間しか行われないため、携帯機の消費電力を低減することもできる。したがって、携帯機本体の落下の検知を可能としつつも、消費電力を低減することができるようになる。
【0012】
そしてこの場合、請求項3に記載の発明によるように、前記携帯機本体の落下を報知する報知手段を更に備え、前記所定の処理として、前記報知手段による報知を一定時間だけ行う、といった構成を採用することが有効であり、これにより、例えば暗所などでユーザが携帯機本体を落下させた場合であっても、ユーザは報知手段の報知により携帯機本体を見つけやすくなるため、携帯機の紛失を抑制することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の携帯機において、前記落下検知センサは、前記携帯機本体の加速度を検出する加速度センサであるとともに、前記携帯機本体の落下の検知が、前記加速度センサを通じて検出される前記携帯機本体の加速度に基づいて行われ、前記制御手段は、前記報知手段により報知を行っている期間、前記給電断続手段により前記加速度センサへの給電を継続するとともに、その期間に前記加速度センサにより検出される前記携帯機本体の加速度に基づいて、人が前記携帯機本体を所持していると推定される動作を検知したとき、前記報知手段による報知を停止するとともに、前記加速度センサへの給電を遮断することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、報知手段による報知が行われている期間、加速度センサへの給電が継続されるため、落下した携帯機本体をユーザが所持したときに、その際の携帯機本体の加速度を加速度センサにより検出することができる。そして、加速度センサにより検出される加速度に基づいてユーザが携帯機本体を所持していると推定される動作が検知されると、報知手段による報知が停止されるとともに、加速度センサへの給電が遮断される。これにより、必要十分な報知効果を得つつも、消費電力を低減することができるようになる。
【0015】
そしてこの場合、請求項5に記載の発明によるように、前記人が前記携帯機本体を所持していると推定される動作として、前記携帯機本体の持ち上げ動作、あるいは前記携帯機本体を所持した人の歩行動作を採用することが有効であり、これにより、加速度センサを通じて検出される携帯機本体の加速度に基づいてこれらの動作を容易に検出することができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる携帯機によれば、携帯機本体の落下を検知可能としつつも、消費電力を低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる携帯機の一実施形態について同携帯機を利用した車両の無線通信システムの概要を模式的に示す図。
【図2】同車両の無線通信システムのシステム構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態の携帯機による落下報知処理についてその手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態の携帯機による加速度センサへの給電を断続させる処理についてその手順を示すフローチャート。
【図5】(a),(b)は、同実施形態の動作例を示すタイミングチャート。
【図6】(a),(b)は、同実施形態の動作例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかる携帯機を車両の無線通信システムに用いられる携帯機に適用した一実施形態について図1〜図5を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかる車両の無線通信システムの概要について説明する。
【0019】
本実施形態の車両の無線通信システムは、いわゆるリモートキーレスエントリシステム及びスマートエントリシステムとして動作する。すなわち、図1に示すように、この無線通信システムでは、携帯機本体10に設けられた施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12がユーザによって操作されると、携帯機1から固有の識別コード(キーIDコード)を含む施錠要求信号あるいは解錠要求信号が無線送信される。そして、これらの要求信号が車両に設けられた車載機2によって受信されると、車両Cのドアの施錠あるいは解錠が実行される。また、この無線通信システムでは、例えば車両Cのドアノブに設けられた送信部20から車両ドアの周辺に設定された車室外通信エリアAにリクエスト信号が無線送信されている。そして、携帯機1を所持したユーザが車室外通信エリアAに進入すると、送信部20から無線送信されたリクエスト信号が携帯機1により受信されて、携帯機1からキーIDコードを含む応答信号が無線送信される。また、この応答信号が車載機2によって受信されると、車両ドアの解錠が実行される。なお、本実施形態では、施錠スイッチ11及び解錠スイッチ12が、携帯機1の操作部となっている。
【0020】
次に、図2を参照して、本実施形態にかかる無線通信システムの構成、動作について詳述する。
図2に示すように、車載機2には、上記送信部20に加え、携帯機1から無線送信される応答信号、施錠要求信号、及び解錠要求信号を受信する受信部21が設けられている。そして、送信部20によるリクエスト信号の送信制御、並びに受信部21を介して受信される各種無線信号の処理が、車載機2に設けられた車載制御部22によって統括的に行われる。なお、車載制御部22は不揮発性のメモリ22aを有しており、同メモリ22a内に、車両C固有の識別コード(ビークルIDコード)や上記携帯機1のキーIDコードが記憶されている。車載制御部22は、例えば車両のエンジンが停止状態であって且つ、車両ドアが施錠状態であることを検知すると、ビークルIDコードを含むリクエスト信号を生成して、これを送信部20から所定の周期で車室外通信エリアAに無線送信する。また、車載制御部22は、携帯機1から無線送信された応答信号を受信部21を介して受信すると、応答信号に含まれるキーIDコードと、メモリ22aに記憶されているキーIDコードとの照合を行い、該照合が成立した場合には、ドアロック機構23により車両ドアを解錠させる。さらに、車載制御部22は、携帯機1から無線送信された施錠要求信号及び解錠要求信号を受信部21を介して受信すると、各要求信号に含まれるキーIDコードと、メモリ22aに記憶されているキーIDコードとの照合を行い、該照合が成立した場合には、各信号の要求内容に基づいてドアロック機構23により車両ドアを施錠あるいは解錠させる。
【0021】
また、携帯機1には、車載機2から無線送信されるリクエスト信号を受信する受信部13、並びに上述した応答信号、施錠要求信号、及び解錠要求信号を無線送信する送信部14が設けられている。また、携帯機1には、外部から視認可能に設けられた発光ダイオード(LED)15、並びに携帯機本体10の加速度を互いに直交する3軸方向で検出する加速度センサ16が設けられている。なお、加速度センサ16は、携帯機1の動作電源となる電池18からの給電をトランジスタ19を介して受ける構成となっている。すなわち、加速度センサ16への給電はトランジスタ19のオン/オフに応じて断続される。そして、トランジスタ19のオン/オフの切り替えや、受信部13を介して受信されるリクエスト信号の処理、並びに送信部14による各種無線信号の送信制御が、携帯機1に設けられた携帯機制御部(制御手段)17を通じて統括的に行われる。なお、携帯機制御部17は不揮発性のメモリ17aを有しており、このメモリ17a内に車両CのビークルIDコード、及び携帯機1のキーIDコードが記憶されている。携帯機制御部17は、受信部13を介してリクエスト信号を受信すると、同リクエスト信号に含まれるビークルIDコードと、メモリ17aに記憶されているビークルIDコードとの照合を行い、該照合が成立した場合には、メモリ17aに記憶されているキーIDコードを含む応答信号を生成して、これを送信部14から無線送信する。また、携帯機制御部17は、上記施錠スイッチ11及び解錠スイッチ12の出力信号に基づいて、施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12が操作されたことを検知すると、メモリ17aに記憶されているキーIDコードを含む施錠要求信号あるいは解錠要求信号を生成して、これを送信部14から無線送信する。
【0022】
一方、携帯機制御部17は、加速度センサ16を通じて検出される加速度を監視しつつ、同加速度に基づいて携帯機本体10の落下を検知したとき、その旨をLED15の点灯により報知する落下報知処理を実行する。
【0023】
次に、図3を参照して、携帯機制御部17により実行される落下報知処理の手順について説明する。なお、図3に示す処理は、所定の演算周期をもって繰り返し実行される。
図3に示すように、この処理では、はじめに、携帯機本体10が落下したか否かが監視される(ステップS1)。このステップS1では、加速度センサ16を通じて検出される加速度が「0[G]」となることをもって、すなわち携帯機本体10の自由落下が検出されることをもって、携帯機本体10が落下したと判断される。ここで、携帯機本体10が落下したと判断された場合には(ステップS1:YES)、LED15が点灯されるとともに(ステップS2)、点灯開始から一定時間Taが経過したか否かが監視される(ステップS3)。またこのとき、ステップS4において、人が携帯機本体10を所持していると推定される動作が検知されたか否かが併せて監視される。本実施形態では、人が携帯機本体10を所持していると推定される動作として、携帯機本体10の持ち上げ動作、及び携帯機本体10を所持した人の歩行動作を採用することとしている。そして、ステップS4の処理では、加速度センサ16を通じて検出される携帯機本体10の加速度が一定方向に所定時間以上変化することをもって、落下した携帯機本体10が人によって持ち上げられたと判断される。また、加速度センサ16を通じて検出される携帯機本体10の加速度が一定の周期で所定時間以上変化することをもって、携帯機本体10を所持した人が歩行していると判断される。そして、携帯機本体10の持ち上げ動作、あるいは携帯機本体10を所持した人の歩行動作が検知された場合には、人が携帯機本体10を所持していると推定される動作が検知されたと判断される。ここで、人が携帯機本体10を所持していると推定される動作が検知された場合には(ステップS4:YES)、LED15が消灯される(ステップS5)。
【0024】
一方、人が携帯機本体10を所持していると推定される動作が検知されないまま(ステップS4:NO)、LED15の点灯開始から一定時間が経過した場合には(ステップS3:YES)、同様にLED15が消灯される(ステップS5)。
【0025】
ところで、図3に示す処理において、携帯機本体10の落下を監視すべく、加速度センサ16を常時駆動させておくと、その分だけ携帯機1の消費電力が増加するため、携帯機1に電池切れが生じやすくなる。
【0026】
そこで、本実施形態では、通常は加速度センサ16への給電を遮断するとともに、ユーザが携帯機1を落下させやすい状況においてのみ、加速度センサ16への給電を一定時間だけ行うようにしている。ここで、ユーザが携帯機本体10を落下させやすい状況としては、例えば以下の2つのシチュエーションが考えられる。
【0027】
・ユーザが携帯機1の施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12を操作する第1のシチュエーション。
・同乗者がいる状況や、ユーザが車両から離れる際に車両ドアの施錠し忘れが気になった状況などにおいて、携帯機1の施錠スイッチ11を操作して車両ドアを確実に施錠させようとして、鞄などから携帯機本体10を取り出す第2のシチュエーション。
【0028】
具体的には、上記携帯機制御部17は、通常、上記トランジスタ19をオフ状態とすることにより、加速度センサ16への給電を遮断する。そして、施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12に対する操作を検知したとき、第1のシチュエーションが発生したと判断して、トランジスタ19を一定時間だけオンさせる。一方、第2のシチュエーションは、降車したユーザが車両から離れる状況で発生しやすい。そこで、携帯機制御部17では、車載機2から車室外通信エリアAに無線送信されるリクエスト信号を受信したとき、携帯機1を所持したユーザが車室外通信エリアAに位置している状況であると判定し、この状況をもって第2のシチュエーションが発生する可能性があると判断するようにしている。そしてこのときにも、トランジスタ19を一定時間だけオンさせる。
【0029】
次に、図4を参照して、携帯機制御部17により実行される加速度センサ16への給電を断続させる処理の手順を説明する。なお、図4に示す処理は、所定の演算周期をもって繰り返し実行される。
【0030】
図4に示すように、この処理では、はじめに、施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12が操作されたか否かが判断される(ステップS10)。また、施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12が操作されていない場合には(ステップS10:NO)、車載機2から車室外通信エリアAに無線送信されているリクエスト信号を受信したか否かが判断される(ステップS11)。このステップS11では、リクエスト信号を受信した際に、同信号に含まれるビークルIDコードと、メモリ17aに記憶されているビークルIDコードとの照合を行い、該照合が成立することをもって、車載機2から車室外通信エリアAに無線送信されているリクエスト信号を受信したと判断される。そして、リクエスト信号を受信していない場合には(ステップS11:NO)、携帯機制御部17はこの一連の処理を終了する。
【0031】
一方、施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12が操作された場合(ステップS10:YES)、すなわち上記第1のシチュエーションが発生した場合には、上記トランジスタ19への指令(電流供給)によりトランジスタ19がオンされて(ステップS12)、加速度センサ16への給電が行われる。また、車載機2から車室外通信エリアAに無線送信されているリクエスト信号を受信した場合(ステップS11:YES)、すなわち上記第2のシチュエーションが発生する可能性がある場合にも、トランジスタ19がオンされて(ステップS12)、加速度センサ16への給電が行われる。そして、続くステップS13の処理として、内部タイマによりトランジスタ19をオンした時点から一定時間Tbが経過したか否かが監視される。またこのとき、ステップS14において、LED15が点灯状態となったか否かが併せて監視される。そして、LED15が点灯状態となった場合には(ステップS14:YES)、LED15が消灯状態となったか否かが監視されて(ステップS15)、LED15が消灯状態となった場合には(ステップS15:YES)、トランジスタ19がオフされる(ステップS16)。すなわち、加速度センサ16への給電が遮断される。
【0032】
一方、LED15が点灯しないまま(ステップS14:NO)、一定時間Tbが経過した場合にも(ステップS13:YES)、トランジスタ19がオフされて(ステップS16)、加速度センサ16への給電が遮断される。
【0033】
以下、図5及び図6を参照して、本実施形態にかかる車両の無線通信システムの動作例(作用)について説明する。はじめに、上記第1のシチュエーションの場合について説明する。
【0034】
例えば時刻t1でユーザが携帯機1の施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12を操作したとすると、図5(a)に示すように、携帯機1では、この時点でトランジスタ19がオンされて、加速度センサ16への給電が開始される。これにより、加速度センサ16により携帯機本体10の加速度を検出することが可能となる。このため、その後の時刻t2でユーザが携帯機本体10を落下させてしまったとしても、その際の携帯機本体10の加速度を加速度センサ16により検出することができる。このとき、携帯機本体10が自由落下している際にその加速度として「0[G]」が加速度センサ16により検出されると、図5(b)に示すように、時刻t2でLED15が点灯する。そして、LED15が点灯している期間、図5(a)に示すように、トランジスタ19のオン状態が継続されて、加速度センサ16への給電が継続される。このため、例えば時刻t3でユーザが携帯機本体10を持ち上げたとすると、その際の携帯機本体10の加速度を加速度センサ16により検出することができる。そして、時刻t3で加速度センサ16により検出される加速度に基づいて携帯機本体10の持ち上げ動作が検知されると、図5(b)に示すように、その時点でLED15が消灯するとともに、図5(a)に示すように、トランジスタ19がオフされて加速度センサ16への給電が遮断される。これにより、必要十分な報知効果を得つつも、携帯機1の消費電力を低減することができる。
【0035】
一方、図5(a),(b)に示すように、例えば時刻t2から一定時間Tbが経過するまでの期間、すなわち時刻t2から時刻t4までの期間に携帯機本体10の持ち上げ動作、あるいは携帯機本体10を所持したユーザの歩行動作が検知されなかったとする。この場合には、図5(b)に一点鎖線で示すように、時刻t4の時点でLED15が消灯するとともに、図5(a)に一点鎖線で示すように、同じく時刻t4の時点でトランジスタ19がオフされて加速度センサ16への給電が停止されるため、携帯機1の消費電力を低減することができる。
【0036】
また一方、図6(b)に示すように、時刻t1から一定時時間Taが経過するまでの期間、すなわち時刻t1から時刻t5までの期間にLED15が点灯しなかった場合には、図6(a)に示すように、時刻t5の時点でトランジスタ19がオフされて加速度センサ16への給電が遮断される。このため、携帯機1の消費電力を低減することができる。
【0037】
次に、先の図5を参照して、上記第2のシチュエーションの場合について説明する。
例えば時刻t1でユーザが降車した際に、車載機2から車室外通信エリアAに無線送信されているリクエスト信号が携帯機1により受信されたとすると、図5(a)に示すように、携帯機1では、この時点でトランジスタ19がオンされて、加速度センサ16への給電が開始される。これにより、加速度センサ16により携帯機本体10の加速度を検出することが可能となる。したがって、その後にユーザが車両から離れる際に車両ドアの施錠し忘れが気になって、時刻t2で鞄などから携帯機本体10を取り出そうとした際にこれを落下させてしまったとしても、その際の携帯機本体10の加速度を加速度センサ16により検出することができる。そして、LED15の点灯及び消灯、並びに加速度センサ16への給電の遮断が上記第1のシチュエーションと同様に行われる。このため、第1のシチュエーションと同様に、必要十分な報知効果を得つつも、携帯機1の消費電力を低減することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態にかかる携帯機によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)加速度センサ16への給電を断続させるトランジスタ19を設けることとした。そして、施錠スイッチ11あるいは解錠スイッチ12が操作されたとき、あるいは車載機2から車室外通信エリアAに対して無線送信されるリクエスト信号を受信したとき、トランジスタ19を通じて加速度センサ16への給電を一定時間Taだけ行うこととした。これにより、携帯機本体10の落下を検知可能としつつも、消費電力を低減することができるようになる。
【0039】
(2)携帯機本体10の落下が検知されたとき、LED15を一定時間だけ点灯させることとした。これにより、LED15の点灯により携帯機本体10を見つけやすくなるため、携帯機1の紛失を抑制することができるようになる。
【0040】
(3)LED15が点灯している期間、加速度センサ16への給電を継続することとした。そして、その期間に加速度センサ16により検出される携帯機本体10の加速度に基づいて人が携帯機本体10を所持していると推定される動作を検知したとき、LED15を消灯させるとともに、加速度センサ16への給電を遮断することとした。これにより、必要十分な報知効果を得つつも、消費電力を低減することができるようになる。
【0041】
(4)人が携帯機本体10を所持していると推定される動作として、携帯機本体10の持ち上げ動作、及び携帯機本体10を所持した人の歩行動作を採用することとした。これにより、加速度センサ16を通じて検出される携帯機本体10の加速度に基づいてこれらの動作を容易に検知することができるようになる。
【0042】
(5)携帯機本体10の落下をLED15の点灯により報知することとした。これにより、携帯機本体10の落下をユーザに的確に報知することができるようになる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
【0043】
・上記実施形態では、加速度センサ16への給電を断続させる給電断続手段としてトランジスタ19を用いることとしたが、これに代えて、例えばリレーなどを用いてもよい。
・上記実施形態では、人が携帯機本体10を所持していると推定される動作として、携帯機本体10の持ち上げ動作、及び携帯機本体10を所持したユーザの歩行動作を採用することとしたが、いずれか一方の動作のみを採用してもよい。要は、人が携帯機本体10を所持していると推定される動作が検知されたときに、LED15の消灯及び加速度センサ16への給電の遮断を行うものであればよい。
【0044】
・先の図3に示す処理では、ステップS4の処理を省略してもよい。すなわち、LED15を点灯させたときに、その状態を常に一定時間Taだけ継続してもよい。
・上記実施形態では、携帯機本体10の落下が検知されたときに、LED15を点灯させる処理を実行することとしたが、これに代えて、例えば各種データを保護すべく、データをバックアップする処理を実行してもよい。また、第三者による携帯機1の不正使用を防止すべく、セキュリティ機能を自動的に起動させてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、携帯機本体10の落下を報知する報知手段として、LED(点灯手段)15を用いることとしたが、これに代えて、例えば音により報知を行うブザー(鳴動手段)などを用いてもよい。このような構成によっても、携帯機本体10の落下をユーザに的確に報知することが可能である。
【0046】
・上記実施形態では、加速度センサ16を通じて検出される携帯機本体10の加速度が「0[G]」となることをもって携帯機本体10が落下したと判定することとした。これに代えて、例えば携帯機本体10の加速度が予め定められた衝撃判定値以上となることをもって、携帯機本体10が落下したと判定してもよい。これにより、落下した携帯機本体10が地面に衝突したときに携帯機本体10に衝撃判定値以上の加速度が発生すると、携帯機本体10の落下が検知されるようになる。
【0047】
・上記実施形態では、各スイッチ11,12が操作されたとき、あるいは車載機2から車室外通信エリアAに対して無線送信されるリクエスト信号を受信したとき、加速度センサ16への給電を行うこととした。これに代えて、各スイッチ11,12が操作されたときにのみ、加速度センサ16への給電を行うようにしてもよい。このような構成であれば、リモートキーレスエントリシステム専用の携帯機、すなわち上記各スイッチ11,12に対する操作に基づいて施錠要求信号あるいは解錠要求信号を送信する機能のみを有する携帯機に、本発明にかかる携帯機を適用することが可能となる。また、車両の無線通信システムに用いられる携帯機以外のものでも、手動操作可能な操作部を有する携帯機であれば、本発明にかかる携帯機を適用することが可能となる。
【0048】
・上記実施形態では、携帯機本体10の落下を検知する落下検知センサとして3軸の加速度センサ16を用いることとしたが、これに代えて、例えば1軸の加速度センサや2軸の加速度センサを用いることも可能である。また、携帯機本体10に生じる衝撃力を検出するショックセンサなどを用いて携帯機本体10の落下を検知してもよい。
【0049】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯機において、前記落下検知センサは、前記携帯機本体の加速度を検出する加速度センサであるとともに、前記携帯機本体の落下の検知が、前記加速度センサを通じて検出される前記携帯機本体の加速度に基づいて行われることを特徴とする携帯機。同構成によるように、携帯機本体の加速度に基づいてその落下を検知することとすれば、携帯機本体の落下を容易に検知することができるようになる。
【0050】
(ロ)請求項3に記載の携帯機において、前記報知手段が、前記携帯機本体の落下を点灯により報知する点灯手段からなることを特徴とする携帯機。同構成によれば、携帯機本体が落下したときに点灯手段が点灯するため、携帯機本体の落下をユーザに的確に報知することができるようになる。
【0051】
(ハ)請求項3に記載の携帯機において、前記報知手段が、前記携帯機本体の落下を音により報知する鳴動手段からなることを特徴とする携帯機。同構成によれば、携帯機が落下したときに鳴動手段から音が発せられるため、携帯機本体の落下をユーザに的確に報知することができるようになる。
【符号の説明】
【0052】
A…車室外通信エリア、C…車両、1…携帯機、2…車載機、10…携帯機本体、11…施錠スイッチ、12…解錠スイッチ、13,21…受信部、14,20…送信部、15…発光ダイオード(LED)、16…加速度センサ、17…携帯機制御部、17a,22a…メモリ、18…電池、19…トランジスタ、22…車載制御部、23…ドアロック機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動操作可能な操作部と、携帯機本体の落下を検知する落下検知センサとを有して、該落下検知センサにより前記携帯機本体の落下が検知されるときに所定の処理を実行する携帯機において、
前記落下検知センサへの給電を断続させる給電断続手段と、前記操作部に対する操作を検知することに基づいて前記給電断続手段により前記落下検知センサへの給電を一定時間だけ行う制御手段とを備える
ことを特徴とする携帯機。
【請求項2】
手動操作可能な操作部と、携帯機本体の落下を検知する落下検知センサとを有して、前記操作部に対する操作に基づいて車両に設けられた車載機に車両ドアの施錠を要求する施錠要求信号を無線送信するとともに、前記落下検知センサにより前記携帯機本体の落下が検知されるときに所定の処理を実行する携帯機において、
前記落下検知センサへの給電を断続させる給電断続手段と、前記操作部に対する操作を検知したとき、あるいは前記車載機から車室外の通信エリアに対して送信される無線信号を受信したとき、前記給電断続手段により前記落下検知センサへの給電を一定時間だけ行う制御手段とを備える
ことを特徴とする携帯機。
【請求項3】
前記携帯機本体の落下を報知する報知手段を更に備え、前記所定の処理が、前記報知手段による報知を一定時間だけ行う処理である
請求項1又は2に記載の携帯機。
【請求項4】
前記落下検知センサは、前記携帯機本体の加速度を検出する加速度センサであるとともに、前記携帯機本体の落下の検知が、前記加速度センサを通じて検出される前記携帯機本体の加速度に基づいて行われ、
前記制御手段は、前記報知手段により報知を行っている期間、前記給電断続手段により前記加速度センサへの給電を継続するとともに、その期間に前記加速度センサにより検出される前記携帯機本体の加速度に基づいて、人が前記携帯機本体を所持していると推定される動作を検知したとき、前記報知手段による報知を停止するとともに、前記加速度センサへの給電を遮断する
請求項3に記載の携帯機。
【請求項5】
前記人が前記携帯機本体を所持していると推定される動作が、前記携帯機本体の持ち上げ動作、あるいは前記携帯機本体を所持した人の歩行動作である
請求項4に記載の携帯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−233328(P2012−233328A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101547(P2011−101547)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】