説明

携帯無線機

【課題】携帯無線機の小型化および構成の簡略化とアンテナ性能確保の両立を図り、携帯無線機を手で保持したときのアンテナ性能の劣化を抑制することが可能な携帯無線機を提供することを目的とする。
【解決手段】第一グランドパターン106と第二グランドパターン201は所定間隔を隔てて配置されるとともに信号接続部205を介して電気的に接続され、給電部107と第二グランドパターン201の一部(給電用ランド204)は、給電部材104を介して電気的に接続され、給電用ランド204と信号接続部205を所定の距離に配置し、信号接続部205が第二基板200を放射素子とする逆Fアンテナの短絡部を兼ねる。また、表示部101を備え、第二基板200の少なくとも一部を携帯無線機100の厚み方向の半分よりも表示部101寄りに配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯無線機のアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の携帯無線機のアンテナとしては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されているようなものがあった。特許文献1では、スピーカの信号伝送路をアンテナエレメントで共用し、装置を小型化、構成を簡略化する技術が開示されている。特許文献2では、構造物の板金グランドをアンテナの一部として利用するように構成し、装置を小型化する技術が開示されている。特許文献3では、FPC(Flexible Printed Circuit)基板上に形成された接続ケーブルと、この接続ケーブルと一体形成されたアンテナ部を備え、コンパクトで精度の高い加工ができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−24586号公報
【特許文献2】特開2008−124797号公報
【特許文献3】特開2003−078320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、携帯無線機の小型化および構成の簡略化とアンテナ性能確保の両立が困難となる場合があった。
【0005】
例えば、特許文献1の場合、高周波帯(アンテナ)と低周波帯(スピーカ)で信号伝送路を共用するためにリアクタンス素子が別途必要となる。特許文献2の場合には、構造物として板金グランドが必要である。特許文献3の場合には、接続ケーブルの長さに依存して損失が増加し、アンテナとして動作する放射素子およびグランドの面積がFPC基板上に限定されるためアンテナが狭帯域で放射効率が低く、さらには金属メッキを施した不織布又は織布が必要となる。
【0006】
また、いずれの従来技術でも、携帯無線機を手で保持したときに手とアンテナ素子との距離が近接することでアンテナ性能が著しく劣化する場合があった。
【0007】
本発明は、携帯無線機の小型化および構成の簡略化とアンテナ性能確保の両立を図り、携帯無線機を手で保持したときのアンテナ性能の劣化を抑制することが可能な携帯無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するため、本発明の携帯無線機は、筐体と、前記筐体に設けられ第一グランドパターンを有する第一基板と、前記筐体に設けられ第二グランドパターン及び回路パターンを有する第二基板と、前記第一基板上に設けられ無線回路に電気的に接続される給電部と、前記第二グランドパターン及び前記回路パターンと前記第一基板とを接続する信号接続部と、を具備し、前記第一グランドパターンと前記第二グランドパターンは所定間隔を隔てて配置されるとともに前記信号接続部を介して電気的に接続され、前記給電部と前記第二グランドパターンの一部は、給電部材を介して電気的に接続される。この携帯無線機によれば、給電部材を追加するのみでアンテナを構成することができ、第二基板のみならず第一基板などのグランドも放射に寄与することでアンテナ性能が確保される。
【0009】
また、本発明の携帯無線機は、前記給電部と前記信号接続部を所定の距離に配置し、前記信号接続部が前記第二基板を放射素子とする逆Fアンテナの短絡部を兼ねるように構成する。この携帯無線機によれば、小型で簡便な構成で逆Fアンテナが実現できる。
【0010】
また、本発明の携帯無線機は、前記給電部と前記信号接続部を離間して配置し、前記信号接続部が前記第二基板を放射素子とするループアンテナの短絡部を兼ねるように構成する。この携帯無線機によれば、小型で簡便な構成でループアンテナが実現できる。
【0011】
また、本発明の携帯無線機は、表示部を備え、前記第二基板の少なくとも一部を携帯無線機の厚み方向の半分よりも前記表示部寄りに配置する。この携帯無線機によれば、携帯無線機を手で保持したときに手と第二基板との距離を確保でき、携帯無線機を手で保持したときのアンテナ性能の劣化を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の携帯無線機は、前記表示部と同一面にキー操作部を備え、前記第二基板がキー操作を検出するためのハード基板またはフレキシブル基板である。この携帯無線機によれば、携帯無線機を手で保持したときに手と第二基板との距離が必然的に確保され、携帯無線機を手で保持したときのアンテナ性能の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の携帯無線機によれば、携帯無線機の小型化および構成の簡略化とアンテナ性能確保の両立を図り、携帯無線機を手で保持したときのアンテナ性能の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における携帯無線機の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における第二基板の導体パターン図であり、図2(a)は表面(表面視)、図2(b)は裏面(表面視)のパターン図
【図3】本発明の実施の形態1における携帯無線機の内部構造図
【図4】本発明の実施の形態2における第二基板の導体パターン図であり、図4(a)は表面(表面視)、図4(b)は裏面(表面視)のパターン図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における携帯無線機100の外観斜視図である。図1に示す携帯無線機100は、例えば携帯電話端末やスマートフォンであり、無線通信機能およびアンテナを搭載する。
【0017】
この携帯無線機100において、その表面の大部分を表示部101が占める。なお、スマートフォンにおいては、この表示部の表面にタッチパネルを構成する場合が多い。また、表示部101と同一面の表示部101の下部にはダイヤフラムを含むキー操作部102a、102b、102cを設けている。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態1における第二基板200の導体パターン図であり、図2(a)は表面(表面視)、図2(b)は裏面(表面視)のパターン図である。図2に示す第二基板200は、本来は携帯無線機100のキー操作部102a〜102cのいずれかが押下されたことを検出するための基板であり、例えばフレキシブル基板(FPC基板)で構成される。なお、第二基板200はハード基板であってもよく、アンテナとは異なる機能を実現するための基板であればよく、キー操作部102a〜102cのいずれかが押下されたことを検出するための基板に限るものではない。
【0019】
この第二基板200において、そのほぼ全面を両面に渡って第二グランドパターン201が占める。202a、202b、202cは第二基板200の表面においてキー操作部102a、102b、102cがそれぞれ押下されたことを検出するためのダイヤフラム構造向けランドである。203はダイヤフラム構造向けランド202a〜202cから延びる回路パターンであり第二基板200の表面および裏面にて構成される。
【0020】
204は第二基板200の第二グランドパターン201をアンテナとして動作させるために第二基板200の裏面に設けた給電用ランドであり、第二グランドパターン201の一部である。第二グランドパターン201および回路パターン203は第二基板200とは別の基板と接続されるために信号接続部205に向かって延びる。
【0021】
ダイヤフラム構造向けランド202a〜202c、給電用ランド204、信号接続部205付近の第二グランドパターンや回路パターンにはレジストを塗布しない。また、信号接続部205付近において、第二グランドパターン201が回路パターン203を覆うように構成し、すなわち、第二グランドパターン201の幅が回路パターン203の幅に比べて太くなるように設定している。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態1における携帯無線機100の内部構造図である。
【0023】
第一基板103は、そのほぼ全面に第一グランドパターン106を設けた基板であり、図示外の無線通信モジュールやCPU(Central Processing Unit)などが実装されており、携帯無線機100の中で大きな面積を占める。キー操作部102a〜102cの筐体内部ではキー操作部102a〜102cとダイヤフラム構造向けランド202a〜202cが対向するように第二基板200が組み込まれる。第一基板103の表面には、図示外の無線通信モジュールのアンテナ端子に第一基板103内の配線パターンや同軸ケーブルを介して接続された給電部(ランド)107に半田付けにより実装された給電部材104を配置する。
【0024】
給電部材104は、弾性を有する導電性部材であり、第二基板200の給電用ランド204と第一基板103の給電部107が対向して給電部材104を介して電気的に接続(または電磁界的に結合)されるように筐体に組み込まれる。このとき、第一基板103と第二基板200の少なくとも一部は略平行に配置されている。
【0025】
また、第一基板103の裏面には、コネクタ105が半田付けにより実装され、第二基板200の信号接続部205が接続されて、第二基板200の第二グランドパターン201が第一基板103の第一グランドパターン106に接続され、第二基板200の回路パターン203も図示外のCPUに接続されることでキー操作部102a〜102cの押下を検出可能となる。
【0026】
上記構成により、第二基板200の信号接続部205が、本来アンテナとは異なる機能を実現するための第二基板200を放射素子とする逆Fアンテナの短絡部を兼ねるため、給電部材104を追加するのみで小型で簡便にアンテナを構成することができ、第二基板200のみならず、大きな面積を有する第一基板103の第一グランドパターン106も放射に寄与することでアンテナ性能が確保される。
【0027】
また、信号接続部205付近において、第二グランドパターン201の幅を太く設定することで広帯域なアンテナ特性が得られる。このとき、第二グランドパターン201の少なくとも一部を第一グランドパターン106やその他のグランドから所定距離(例えば5mm以上)で離間し、第一基板103の給電部107(第二基板200の給電用ランド204)を使用する無線通信の周波数帯に応じて信号接続部205(コネクタ105)から所定の距離に配置することでより高いアンテナ性能が確保される。
【0028】
なお、第二基板200の信号接続部205が第一基板103のコネクタ105に接続される場合について記載したが、信号接続部205が第三の基板上に実装されたコネクタに接続される場合であっても、携帯無線機100の中で大きな面積を占める金属性のシャーシなどを介して第一基板103と第三の基板のグランドが接続されるように構成すれば同様の効果が得られる。
【0029】
また、第二基板200はFPC基板であり、図3に示すように、第二基板200の少なくとも一部を携帯無線機100の厚み方向の半分よりも表示部101寄りに配置しているが、特に、第二基板200がキー操作部102a〜102cの押下を検出するのが本来の機能である場合には必然的に第二基板200の少なくとも一部が携帯無線機100の厚み方向の半分よりも表示部101寄りに配置されることとなる。
【0030】
上記構成により、携帯無線機100を手で保持したときに、手の平が携帯無線機100の背面に近接するが、手の平と第二基板200との距離を確保でき、携帯無線機100を手で保持したときのアンテナ性能の劣化を抑制することができる。
【0031】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における第二基板の導体パターン図であり、図4(a)は表面(表面視)、図4(b)は裏面(表面視)のパターン図である。図4において、図2と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0032】
本実施の形態では、第二基板300において、給電用ランド301を信号接続部205(コネクタ105)から離間して配置している。また、これに対応して給電部材104の実装位置を変更し、必要に応じて第一基板103の外形も変更する。
【0033】
上記構成により、第二基板300の信号接続部205が、本来アンテナとは異なる機能を実現するための第二基板300を放射素子とするループアンテナの短絡部を兼ねるため、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
携帯無線機の小型化および構成の簡略化とアンテナ性能確保の両立を図り、携帯無線機を手で保持したときのアンテナ性能の劣化を抑制することができるので、携帯電話端末やスマートフォン等の用途に有用である。
【符号の説明】
【0035】
100 携帯無線機
101 表示部
102a、102b、102c キー操作部
103 第一基板
104 給電部材
105 コネクタ
106 第一グランドパターン
107 給電部
200、300 第二基板
201 第二グランドパターン
202a、202b、202c ダイヤフラム構造向けランド
203 回路パターン
204、301 給電用ランド
205 信号接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられ第一グランドパターンを有する第一基板と、
前記筐体に設けられ第二グランドパターン及び回路パターンを有する第二基板と、
前記第一基板上に設けられ無線回路に電気的に接続される給電部と、
前記第二グランドパターン及び前記回路パターンと前記第一基板とを接続する信号接続部と、
を具備し、
前記第一グランドパターンと前記第二グランドパターンは所定間隔を隔てて配置されるとともに前記信号接続部を介して電気的に接続され、
前記給電部と前記第二グランドパターンの一部は、給電部材を介して電気的に接続されることを特徴とする、携帯無線機。
【請求項2】
前記給電部と前記信号接続部を所定の距離に配置し、前記信号接続部が前記第二基板を放射素子とする逆Fアンテナの短絡部を兼ねることを特徴とする、請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項3】
前記給電部と前記信号接続部を離間して配置し、前記信号接続部が前記第二基板を放射素子とするループアンテナの短絡部を兼ねることを特徴とする、請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項4】
表示部を備えた携帯無線機であって、前記第二基板の少なくとも一部を携帯無線機の厚み方向の半分よりも前記表示部寄りに配置することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯無線機。
【請求項5】
前記表示部と同一面にキー操作部を備えた携帯無線機であって、前記第二基板がキー操作を検出するためのハード基板またはフレキシブル基板であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−227743(P2012−227743A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93745(P2011−93745)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】