説明

携帯用簡易湯沸し器

【課題】 携帯や収納が容易で、且つ車両内での使用を可能にすると共に、少ない電力で2〜3分の短時間に容器内の水を40〜50℃の温度に加熱することができる携帯用簡易湯沸し器を提供すること。
【解決手段】 本発明は、断熱層7と加熱層9を有する容器本体2からなる携帯用簡易湯沸し器1であって、前記加熱層9内に、ポリエステルフィルムの上面にニッケルインヂウム酸化化合物を添加した塗料を塗布した面にポリエステルフィルムを積層被覆し、両端に電極を圧着接合し電極部に電源を接続して形成される発熱体20を収容させたことを特徴とする。また前記発熱体20を加熱層9内に螺旋状に配設した。さらに前記発熱体20は、車両のバッテリー電源を供給源とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯が容易で自動車の車内での使用を可能とし、且つ2〜3分の短時間で40〜50℃の温度に加熱することができる携帯用簡易湯沸し器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、飲料用の湯を沸かす器具として電気ポットが使用されている。一般的な電気ポットは、家庭用電源からコンセントを使用して電源を取り入れ、電熱線を発熱させて容器内の水を加熱保温する。
【0003】
また従来、暖かい地方、寒い地方等の環境雰囲気の変化にかかわりなく、容器内の液体の希望した飲み頃の温度を調整できる湯沸しポットがある(例えば、特許文献1参照)。
上掲特許文献の湯沸しポットは、内部中空な台座本体を設け、この台座本体の上端中央に開口を設け、この開口を覆いかつ熱源を備えた放熱板を設け、液体収納の容器を放熱板上に着脱自在に装着し、台座本体内に容器内の液体温度の変化によって熱源をON、OFFするための温度調節器を設け、温度調節器の調整レバーにて温度調整を行う湯沸しポットであって、上記調整レバーは調整レバーの移動調整範囲が湯沸しポットを載置した環境雰囲気中の温度を加味した状態で、容器内の液体温度の温度調整を行うことを特徴としている。
【特許文献1】実用新案登録第3011517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上掲特許文献1の湯沸しポットは、容器内の液体の希望した飲み頃の温度を調整するために、内部中空な台座本体や放熱板、温度調節器等の多くの器具が必要となりコスト高に繋がると共に、全体形状が大きくなり携帯や収納が困難になるという問題があった。また、家庭用電源からコンセントを使用して電源を取り入れるため、屋外や車両内での使用ができないという欠点もあった。
【0005】
そこで本発明は上記の点に鑑み、携帯や収納が容易で、且つ車両内での使用を可能にすると共に、少ない電力で2〜3分の短時間に容器内の水を40〜50℃の温度に加熱することができる携帯用簡易湯沸し器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の携帯用簡易湯沸し器は、断熱層と加熱層を有する容器本体からなる携帯用簡易湯沸し器であって、前記加熱層内に、ポリエステルフィルムの上面にニッケルインヂウム酸化化合物を添加した塗料を塗布した面にポリエステルフィルムを積層被覆し、両端に電極を圧着接合し電極部に電源を接続して形成される発熱体を収容させたことを特徴とする。また前記発熱体を加熱層内に螺旋状に配設した。さらに前記発熱体は、車両のバッテリー電源を供給源とする。
【発明の効果】
【0007】
加熱層内に、ポリエステルフィルムの上面にニッケルインヂウム酸化化合物を添加した塗料を塗布した面にポリエステルフィルムを積層被覆し、両端に電極を圧着接合し電極部に電源を接続して形成される発熱体を収容させたことにより、少ない電力で2〜3分の短時間に容器内の水を40〜50℃の温度に加熱することができる。
【0008】
また前記発熱体を加熱層内に螺旋状に配設したことで、加熱層内への発熱体の接触面積が多くなり、加熱効率を一層高めることができる。
【0009】
さらに、前記発熱体は車両のバッテリー電源を供給源とすることで、車両内でコーヒーやお茶、またカップ麺や乳児用のミルクを手軽に作ることができる。
【発明を実施するための最良の手段】
【0010】
以下、本発明における携帯用簡易湯沸し器の実施の形態を説明する。
本発明の携帯用簡易湯沸し器は、携帯や収納が容易で、且つ車両内での使用を可能にすると共に、少ない電力で2〜3分の短時間に容器内の水を40〜50℃の温度に加熱することを特徴とする。
【0011】
図1に示す携帯用簡易湯沸し器1は円筒形状を呈しており、断熱層7と加熱層9を有する容器本体2と、容器本体2の上部に着脱自在に装着された内蓋5および蓋体6とで構成されている。また断熱層7と加熱層9とは外枠3と内壁部4との間に備えられている。さらに外枠3には、温度調節やタイマー、またスイッチ等を備えた調整器10を具備してもよい。
【0012】
前記断熱層7は、加熱層9にて加熱された容器内の湯を保温するもので、内部には発泡スチロール等の断熱材8が収容されている。なお、前記断熱層7の内部を真空状態とすることで、より高い保温性を実現することもできる。
【0013】
前記加熱層9内には発熱体20が収容されている。発熱体20は、図3に示すように、ポリエステルフィルム基台21の上面に、ニッケルインヂウム酸化化合物を添加した塗料22をスプレー塗布し、熱硬化処理を行い、その上面にポリエステルフィルム23を積層被覆して絶縁性を図る。この時の発熱膜は7μm〜50μmの厚さで、温度帯により膜厚を変化させる。
【0014】
また両端に電極端子24を圧着固定し、電源・電線26を接続し、絶縁テープ27で接着固定させ電極部25を構成し、ニッケルインヂウム酸化化合物の特性により抵抗発熱させることを特徴としている。なおこの発熱体20は、特開2004−316377号(米国特許第7060950号)公報に開示されている周知の技術である。
【0015】
前記発熱体20をコード状に形成し、前記加熱層9内に収容させたことにより、容器本体2内の水を少ない電力で2〜3分の短時間に40〜50℃の温度に加熱することができる。
【0016】
また他の好適例として、図2に示すように、前記発熱体20を加熱層9内に螺旋状に配設することが望ましい。前記発熱体20を螺旋状に配設することにより、加熱層9内への発熱体20の接触面積が多くなり、加熱効率を一層高めることができる。
【0017】
また他の好適例として、前記発熱体20を発熱させる電源として車両のバッテリー電源を供給源とする。この際に使用されるDC12V電源コード11は、適宜長さを有するコード12と、コード12の一端に装着された係合部13と、他端に装着された接続プラグ14とで構成されている。なお、トラックやバス等の大型車両においては、DC24V電源コードを使用することが望ましい。
【0018】
前記電源コード11を使用する場合、係合部13を車両に備えられているシガレットライター端子に係合し、接続プラグ14を容器本体2の接続部15に装着させる。この際、調整器10にて温度調節や保温時間を適宜設定してもよい。そのことにより、車両内でコーヒーやお茶、またカップ麺や乳児用のミルク等を手軽に作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の携帯用簡易湯沸し器の断面図である。
【図2】前記携帯用簡易湯沸し器の斜視図である。
【図3】発熱体の詳細を示す。
【符号の説明】
【0020】
1 携帯用簡易湯沸し器
2 容器本体
3 外枠
4 内壁部
5 内蓋
6 蓋体
7 断熱層
8 断熱材
9 加熱層
10 調整器
11 DC12V電源コード
12 コード
13 係合部
14 接続プラグ
15 接続部
20 発熱体
21 ポリエステルフィルム基台
22 塗料
23 ポリエステルフィルム
24 電極端子
25 電極部
26 電源・電線
27 絶縁テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱層と加熱層を有する容器本体からなる携帯用簡易湯沸し器であって、前記加熱層内に、ポリエステルフィルムの上面にニッケルインヂウム酸化化合物を添加した塗料を塗布した面にポリエステルフィルムを積層被覆し、両端に電極を圧着接合し電極部に電源を接続して形成される発熱体を収容させたことを特徴とする携帯用簡易湯沸し器。
【請求項2】
前記発熱体を加熱層内に螺旋状に配設した請求項1記載の携帯用簡易湯沸し器。
【請求項3】
前記発熱体は、車両のバッテリー電源を供給源とする請求項1または2記載の携帯用簡易湯沸し器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−168098(P2008−168098A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31265(P2007−31265)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(595049264)
【Fターム(参考)】