説明

携帯端末、スピーカ、及び携帯端末のスピーカ取付構造

【課題】装置の薄型化を図りつつ、スピーカ出力音の特性劣化を低減できるようにする。
【解決手段】携帯電話機1は、背面側ケース21の側面に、スピーカ5が発生する音声を出力するための筐体音孔21aが形成され、筐体音孔21aが形成されている側面に接するようにスピーカ実装部20が形成されている。スピーカ5は、スピーカ内部を保護するためのプロテクタ67を含む。また、プロテクタ67には、スピーカ音孔55が設けられている。また、プロテクタ67は、スピーカ5がスピーカ実装部20に取り付けられた状態でプロテクタ67と背面側ケース21との間に空洞部50を形成するために、クッション材52が貼り付けられている。プロテクタ67と背面側ケース21との間の空洞部50を音響伝達空間として利用することによって、スピーカ発生音の劣化を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカを搭載した携帯端末、携帯端末が搭載するスピーカ、及び携帯端末にスピーカを取り付けるスピーカ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の携帯端末が搭載するスピーカの主たる用途は、着信音や着信メロディを鳴動し、携帯電話機のユーザに着信を報知することであった。しかし、携帯端末のテレビ電話機能の普及や、スピーカから受話音声を鳴動するハンズフリー通話機能の普及、ユーザが撮影した動画を再生する再生機能の充実、動画配信サービスの普及に伴い、ユーザが携帯端末の表示部を見ながら音声や音楽を聞く際のスピーカ特性の確保が必要となってきている。
【0003】
ユーザが表示部を見ながら受話音声や音楽等を聞く際のスピーカ特性を向上させる方法として、携帯端末の筐体に配置されたスピーカ放音孔(スピーカが出力する音声を放出する孔部)の配置を変更することが考えられる。例えば、携帯電話機では、スピーカ放音孔を筐体の背面(例えば、表示部や操作部がある側の面とは反対側の面)側に配置することが多いが、筐体の背面側ではなく、筐体の側面に配置することが考えられる。筐体の側面にスピーカ放音孔を配置することにより、スピーカからの放射音の表示部正面側に対する指向性を向上させることができ、スピーカ特性を改善することができる。
【0004】
また、DSP処理を行うことによって仮想的に3D(三次元)効果を与えることが可能なコンテンツ(例えば、映像)の配信や、DSP処理を行うことによって仮想的にサラウンド効果を与えることが可能な音楽の配信も行われるようになってきている。そのため、スピーカを2つ搭載したステレオ対応型の携帯電話機も増えてきている。この場合、ステレオ効果を得るために、それぞれのスピーカから発生する音を互いに離れた位置から2方向に放出することが必要である。そのため、スピーカ音孔を筐体のそれぞれ左右側面に配置した携帯電話機が増えてきている。
【0005】
しかしながら、現在主流となりつつある折り畳み型携帯電話機では、受話用レシーバが実装された表示部側筺体の背面側にスピーカを実装することが多い。また、装置(携帯端末)の薄型化に伴いスピーカの実装スペースの縮小化(特に薄型化)が求められる。また、スピーカ実装スペースを薄型化するために、スピーカの薄型化と、携帯端末の筐体側面にスピーカ音孔を配置するための実装構造の薄型化とが求められる。
【0006】
ステレオ対応型の携帯電話機のスピーカの実装構造として、例えば、特許文献1には、ツインスピーカを搭載する携帯電話機が記載されている。図15は、特許文献1に記載されたツインスピーカを搭載する携帯電話機のスピーカ実装構造を示す断面図である。図15に示すように、特許文献1に記載された携帯電話機では、背面側筐体81の左右側面に設けられた2つの放音孔81a,81bから、左右各々のスピーカの出力音が放出される。
【0007】
具体的には、特許文献1に記載された携帯電話機では、背面筐体に2つの小型スピーカ82a,82bを左右対称となるように、背面筐体に対して水平となるように実装する。また、背面側筐体81と各スピーカ82a,82bとの間に、スピーカ前面に密閉した空洞部83a,83bができるように配置する。そして、空洞部83a,83bをスピーカ音孔から筐体の放音孔81a,81bまでの音響伝達空間として利用し、筐体に設けられた2つの放音孔81a,81bからそれぞれのスピーカ再生音を放出する。
【0008】
【特許文献1】特開2003−152837号公報(段落0010−0013、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された携帯電話機では、小型スピーカ82a,82bからの出力音を劣化させることなく背面側筐体の放音孔81a,81bから出力させるためには、ある程度の容積を確保した状態で背面側筐体81とスピーカ前面との間の空洞部83a,83bを形成しなければならない。そのため、背面側筐体81に膨らみをもたせる必要があり、筐体の厚みが厚くなってしまい、装置(携帯端末)の薄型化の妨げとなってしまう。
【0010】
一方、特許文献1に記載された携帯電話機において、筐体の薄型化を図るために、背面筐体の膨らみを無くしスピーカ前面の空洞部83a,83bの空間容積を減らすと、スピーカから筐体音孔81a,81bまでの音道構造が音響抵抗となってしまう。そのため、スピーカからの出力音圧が大きく劣化する。
【0011】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、装置の薄型化を図りつつ、スピーカ出力音の特性劣化を低減する携帯端末、携帯端末のスピーカ、及び携帯端末のスピーカ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による携帯端末は、スピーカ(例えば、スピーカ5)を搭載した携帯端末(例えば、携帯電話機1)であって、スピーカが発生する音を出力するための孔である筐体側音孔(例えば、筐体音孔21a)が形成された筐体部品(例えば、背面側ケース21)を備え、スピーカは、当該スピーカが筐体部品に取り付けられた状態で筐体部品と面する側の面に、スピーカ内部を保護するための板状の部品であるプロテクタ(例えば、プロテクタ67)を含み、プロテクタは、スピーカが筐体部品に取り付けられた状態で筐体部品と面する側の面に、当該プロテクタと筐体部品との間に所定の空洞部(例えば、空洞部50)を形成するための支持部材(例えば、クッション材52)が取り付けられ、スピーカが発生する音を出力するための孔であるスピーカ側音孔(例えば、スピーカ音孔55)が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、携帯端末において、筐体側音孔は、筐体部品の側面に形成され、筐体部品は、筐体側音孔が形成されている側面に接するように、スピーカを取り付けるためのスピーカ取付部(例えば、スピーカ実装部20)が形成され、スピーカは、プロテクタに支持部材を取り付けられた状態で、スピーカ取付部に取り付けられているものであってもよい。
【0014】
また、携帯端末において、支持部材は、プロテクタのスピーカ側音孔が設けられている部分を囲んで壁を形成するように取り付けられているものであってもよい。
【0015】
また、携帯端末において、筐体部品は、当該筐体部品にスピーカが取り付けられた状態でスピーカと接する面に、筐体側音孔に対して直交する向きに溝(例えば、溝91h)が形成されているものであってもよい。
【0016】
また、携帯端末は、ダイナミックタイプのスピーカ又はセラミックタイプのスピーカを搭載したものであってもよい。
【0017】
また、携帯端末は、音声又はメロディー(例えば、メロディ音や操作音)を鳴動するためのスピーカを搭載した携帯電子機器(例えば、PDA)であってもよい。
【0018】
本発明による携帯端末のスピーカは、音声又はメロディーを出力するための孔である筐体側音孔が形成された筐体部品を備えた携帯端末が搭載するスピーカであって、当該スピーカが筐体部品に取り付けられた状態で筐体部品と面する側の面に、スピーカ内部を保護するための板状の部品であるプロテクタを備え、プロテクタは、スピーカが筐体部品に取り付けられた状態で筐体部品と面する側の面に、当該プロテクタと筐体部品との間に所定の空洞部を形成するための支持部材が取り付けられ、スピーカが発生する音を出力するための孔であるスピーカ側音孔が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明による携帯端末のスピーカ取付構造は、携帯端末にスピーカを取り付けるスピーカ取付構造であって、スピーカが発生する音を出力するための孔である筐体側音孔が形成された筐体部品を備え、スピーカは、当該スピーカが筐体部品に取り付けられた状態で筐体部品と面する側の面に、スピーカ内部を保護するための板状の部品であるプロテクタを含み、プロテクタは、スピーカが筐体部品に取り付けられた状態で筐体部品と面する側の面に、当該プロテクタと筐体部品との間に所定の空洞部を形成するための支持部材が取り付けられ、スピーカが発生する音を出力するための孔であるスピーカ側音孔が設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、携帯端末のスピーカ取付構造において、筐体部品は、当該筐体部品にスピーカが取り付けられた状態でスピーカと接する面に、筐体側音孔に対して直交する向きに溝が形成されているものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スピーカを搭載した携帯端末において、スピーカのプロテクタに、プロテクタと筐体部品との間に所定の空洞部を形成するための支持部材を取り付ける。また、プロテクタに、スピーカが発生する音声を出力するためのスピーカ側音孔を設ける。そのため、プロテクタと筐体部品との間に形成された空洞部を音響伝達空間として利用することができ、スピーカ出力音の劣化を軽減することができる。従って、装置の薄型化を図りつつ、スピーカ出力音の特性劣化を低減することができる。
【0022】
また、本発明において、筐体部品に、筐体側音孔に対して直交する向きに溝を形成するように構成すれば、溝を形成しない場合と比較して、より広い音響伝達空間を確保することができ、筐体の強度を確保した上で音響特性の劣化を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、本発明によるスピーカ取付構造を用いた携帯端末の概念を説明する。従来、携帯電話機等の携帯端末が搭載するスピーカの主たる用途は、着信音や着信メロディを鳴動し、携帯電話機のユーザに着信を報知することであった。テレビ電話機能やスピーカから受話音声を鳴動するハンズフリー通話機能等の普及に伴い、ユーザが携帯端末の表示部を見ながら受話音声を聞く際のスピーカ特性の確保が必要となってきている。
【0024】
ユーザが表示部を見ながら受話音声を聞く際のスピーカ特性を向上させる方法として、携帯端末の筐体に配置されたスピーカの放音孔の配置を変更することが考えられる。例えば、携帯電話機では、スピーカの放音孔を筐体の背面側に配置することが多いが、筐体の背面側ではなく、筐体の側面に配置することが考えられる。筐体の側面にスピーカ放音孔を配置することにより、スピーカからの放射音の表示部正面側に対する指向性を向上させることができ、スピーカ特性を改善することができる。
【0025】
また、DSP処理を行うことによって仮想的に3D(三次元)効果を与えることが可能なコンテンツ(例えば、映像)の配信や、DSP処理を行うことによって仮想的にサラウンド効果を与えることが可能な音楽の配信も行われるようになってきている。そのため、スピーカを2つ搭載したステレオ対応型の携帯電話機も増えてきている。この場合、ステレオ効果を得るために、それぞれのスピーカからの発生する音を互いに離れた位置から2方向に放出することが必要である。そのため、スピーカ音孔を筐体の左右側面に配置した携帯電話機が増えてきている。
【0026】
しかしながら、現在主流となりつつある折り畳み型携帯電話機では、受話用レシーバが実装された表示部側筺体の背面側にスピーカを実装することが多い。また、装置(携帯端末)の薄型化に伴いスピーカの実装スペースの縮小化(特に薄型化)が求められる。また、スピーカ実装スペースを薄型化するために、スピーカの薄型化と、携帯端末の筐体側面にスピーカ音孔を配置するための実装構造の薄型化とが求められる。
【0027】
実装構造の薄型化(例えば、筐体の薄型化)を図るために、背面筐体の膨らみを無くした場合、スピーカ前面の空洞部の容積が小さくなりスピーカから筐体音孔までの音道構造が音響抵抗となってしまう。そのため、スピーカからの出力音圧が大きく劣化する。本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、装置の薄型化を図りつつ、スピーカ出力音の特性劣化を低減するためになされたものである。
【0028】
本発明では、筐体の側面にスピーカの放音孔を設けたスピーカの実装構造において、スピーカ天面のプロテクタ部に音孔を設ける。また、スピーカ斜面部とプロテクタの一部にクッション材を貼付する。この場合、プロテクタに設けた音孔をクッション材の内径内に覆うように、クッション材を延長して貼付する。また、筐体実装時にケースの天面部とクッションとの間にできた空間を音響伝達空間として利用することを可能とする。そのようにすることにより、本発明では、筐体の薄型化によりスピーカ前面の空洞部の容積が減少した場合であっても、スピーカ実装時の音響抵抗を低減し、スピーカ出力音の劣化を軽減することが可能となる。
【0029】
次に、携帯端末の構成について説明する。図1は、本発明によるスピーカ取付構造を用いた携帯端末の例を示す説明図である。図1(a)は、携帯端末を正面から見た正面図に相当する。また、図1(b)は、携帯端末を側面方向から見た側面図に相当する。また、図1(c)は、携帯端末を背面から見た背面図に相当する。なお、本実施の形態では、携帯端末を見たときに、操作部や表示部を含む側の面を正面という。
【0030】
本実施の形態では、図1に示すように、携帯端末が折り畳み構造を有する携帯電話機1(例えば、W−CDMA方式やGCS方式を用いた携帯電話機)である場合を説明する。なお、携帯端末は、折り畳み式以外の携帯電話機であってもよい。また、携帯端末は、携帯電話機に限らず、PHS等の端末であってもよい。また、携帯端末は、音声(例えば、メロディ音や操作音)を鳴動するためのスピーカを搭載した携帯電子機器(例えば、PDA)であってもよい。
【0031】
図1に示すように、折り畳み構造を有する携帯電話機1は、表示部24や受話用スピーカ26を有する第1の筺体部2(以下、上側筐体部2という)と、キー操作部及びマイクロフォン130等を有する第2の筺体部3(以下、下側筐体部3という)とを含む。また、携帯電話機1において、上側筐体部2と、下側筐体部3とは、上側筺体部2の下端部に設けられたヒンジ4を介して回動可能に連結される。そして、携帯電話機1は、ヒンジ4にて回動させることにより、上側筺体部2を下側筺体部3に対して開閉させることができる。
【0032】
なお、「回動」とは、ある軸に対して正逆方向に円運動できることをいう。また、本実施の形態では、携帯電話機1の長手方向について、表示部24や受話用スピーカ26が位置する側の方向を上側とも表現し、キー操作部やマイクロフォン130が位置する側の方向を下側とも表現する。
【0033】
また、着信音や着信メロディを鳴動するためのスピーカ5は、上側筐体部2に配置されている。この場合、スピーカ5は、ヒンジ4の上部に位置するように、上側筐体部2に配置されている。また、携帯電話機1は、図1(b)に示すように、上側筐体部2の側面に、スピーカ5が出力する音声を放出するための孔である筐体音孔21aが設けられている。スピーカ5が音声を出力すると、スピーカの出力音は、上側筐体部2の筐体側面に配置されたスピーカ放音孔21aから放出される。
【0034】
下側筺体部3は、主な構成要素として、入力キー側(正面側)のケース(筐体部品)、背面側のケース(筐体部品)、回路基板、入力キー、音声入力手段であるマイクロフォン、イヤホンジャック、画像やメロディデータ記録用のメモリーカードを挿入するスロットル、及びバッテリ等を含む。また、回路基板は、電源やキー入力部、表示部、スピーカ等を駆動するための駆動回路、集積回路及び無線回路等が形成される。
【0035】
図2は、携帯電話機1の構成の例を示すブロック図である。図2に示すように、携帯電話機1は、電波の送受信を行うアンテナ11と、制御部121と、記憶部122と、無線通信部123と、操作部23と、表示部24と、カメラユニット(以下、「カメラ」という。)126と、受話用スピーカ26と、音声入力用のマイクロフォン130と、着信メロディーやハンズフリー通話時の受話音声を鳴動するスピーカ5とを備えている。
【0036】
制御部121は、例えばCPU(中央処理装置)と、図示しない各種の周辺回路とで構成され、携帯電話機100が備える各部の制御を行う機能を有する。
【0037】
記憶部122は、例えばRAM等の記憶媒体によって構成され、制御部121が実行する制御プログラム等の各種のデータが格納される。なお、記憶部122の一部がROMによって構成されていてもよく、ROM部分に制御プログラムが格納されていてもよい。
【0038】
無線通信部123は、所定の通信プロトコルに従って信号の変復調を行う機能を有する。具体的には、無線通信部123は、無線信号を、アンテナ11を介して受信して復調する処理を行う。また、無線通信部123は、制御部121から出力された信号を変調し、アンテナ11を介して無線信号を送信する処理を行う。
【0039】
操作部23は、例えば、電話番号の入力等を行うためのキーボタンによって構成される。操作部23は、ユーザの操作に応じた入力信号を制御部121に出力する機能を有する。
【0040】
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)によって構成され、携帯電話機1の折畳時に筐体の内側となる位置に配設される。表示部24には、例えば待ち受け画面や機能設定画面等が表示される。
【0041】
カメラ126は、例えばディジタルカメラが備える各種の機能を有し、被写体を撮像するCCD等の撮像素子や、撮像によって得た画像データを制御部121に出力する回路等を備えている。
【0042】
次に、携帯電話機1の上側筺体部2の構造について説明する。図3は、携帯電話機1の上側筐体部2を分解した状態を示す説明図である。図3に示すように、上側筐体部2は、正面側の筐体部品(以下、表示側ケースという)22、背面側の筐体部品(以下、背面側ケースという)21、回路基板25、表示部24、受話用スピーカ26及びスピーカ5を含む。また、図3に示すように、背面側ケース21には、スピーカ5が発生する音声を出力するための孔である筐体音孔21aが形成されている。
【0043】
表示部24は、回路基板25上に実装された液晶ディスプレイ装置である。また、受話用スピーカ26は、受話音声を鳴動するためのスピーカである。また、スピーカ5は、ハンズフリー通話時の受話音声や着信音、着信メロディを鳴動するためのスピーカである。そして、回路基板25や表示部24、受話用スピーカ26及びスピーカ5は、表示部側ケース22と背面側ケース21とによって、正面方向と背面方向との両方向から保持されて上側筺体部2の筐体内に収納されている。
【0044】
また、本実施の形態では、スピーカ5は、スピーカ5自身が備えるバネ端子が回路基板25のランドと接触することによって、電気的に接続されている。なお、スピーカ5を電気的に接続する電気的接続方法は、リード線付きコネクタを用いた接続方法であってもよいし、スピーカ5入力端子と回路基板25のランドとをリード線を介して半田付けする方法であってもよい。また、スピーカ5の電気的接続方法は、スピーカ5本体に接触用ランドを設け、回路基板25に実装されたピンコネクタを代表する2極コネクタを用いて接続する方法であってもよい。
【0045】
次に、携帯電話機1が搭載するスピーカ5の構造について説明する。本実施の形態では、携帯電話機1が搭載するスピーカ5は、ダイナミックタイプのスピーカである。まず、ダイナミックタイプスピーカの基本的な構成について説明を行う。図4は、ダイナミックタイプスピーカの基本的な構造を示す断面図である。
【0046】
図4に示すように、ダイナミックタイプスピーカは、ネオジウム等の永久磁石からなる磁石41を含む。また、ダイナミックタイプスピーカは、磁石41の磁束を効率よく構成するためのSPC等の薄鋼板材質からなるヨーク42を含む。また、ダイナミックタイプスピーカは、ヨーク42との間に磁束を形成するためのトッププレート43を含む。また、ダイナミックタイプスピーカは、ヨーク42とトッププレート43との隙間(以下、磁気ギャップという)にボイスコイル44が配置される。また、ダイナミックタイプスピーカは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の薄膜フィルムとして形成された振動板45を含む。
【0047】
図4に示すダイナミックタイプスピーカでは、磁気ギャップ内に配置されたボイスコイル44に交流電流を流すことによって磁束が得られる。そして、磁束によって発生する駆動力により振動板45を振動させることによって、発音することができる。
【0048】
なお、ダイナミックタイプスピーカは、その他の構成要素として、ヨーク42を保持しスピーカの外郭を構成するフレーム46を含む。フレーム46は、PPA(ポリフタルアミド)等のプラスティックを用いて成型される。また、ダイナミックタイプスピーカは、振動板45を保護するためにフレーム46に接着されたプロテクタ47を含む。プロテクタ47は、SPC等の薄鋼板材質を用いて作製される。
【0049】
また、ダイナミックタイプスピーカは、発生した出力音を放出するための孔であるスピーカ音孔48を含む。スピーカ音孔48は、プロテクタ47に複数個設けられている。また、ダイナミックタイプスピーカを筐体に実装した場合、クッション材を介して筐体とプロテクタ47の前面とが当接し、筐体に設けられた放音孔から出力音が放出される。なお、「当接」とは、突き当てた状態に接することをいう。
【0050】
図5は、スピーカ5のスピーカ本体(スピーカ5から後述するクッション材52及び防塵メッシュ53を除いた部分)51を示す斜視図である。本実施の形態では、スピーカ本体51の各面のうち、背面側ケース21に取り付けた状態で、背面側ケース21と接する側の面(プロテクタ67が取り付けられている側の面)を表面といい、表面に対向する側の面を裏面という。図5は、スピーカ本体51を、表面が見えるように斜め方向から見た斜視図に相当する。なお、スピーカ5が発音する仕組みは、図4で示したダイナミックタイプのスピーカが発音する仕組みと同じである。
【0051】
図5に示すように、スピーカ5のスピーカ本体51は、スピーカ5内部の振動板を保護するためのプロテクタ67を含む。プロテクタ67は、スピーカ内部を保護するための板状の部品であり、例えば、SPC等の薄鋼板材料を用いて作製される。
【0052】
また、スピーカ本体51は、側面側に、スピーカ5内部のヨークを保持するための樹脂フレーム66を含む。樹脂フレーム66は、例えば、PPA(ポリフタルアミド)等の合成樹脂を用いて成型される。また、樹脂フレーム66は、図5に示すように、プロテクタ67の面に対して斜めになるような形状をもつ傾斜形状部66aを含む。また、傾斜形状部66aには、図5に示すように、開口部(以下、スピーカ開口部という)54が設けられている。本実施の形態では、スピーカ5は、内部の振動板によって発生した音声をスピーカ開口部54から放出する。
【0053】
また、図5に示すように、プロテクタ67には、複数の開口部55が設けられている。本実施の形態では、各開口部55は、スピーカ5が発生する音声を放出する音孔として機能する。以下、プロテクタ67に設けられている各開口部をスピーカ音孔55という。なお、図5に示す例では、プロテクタ67に5つのスピーカ音孔55が設けられている場合を示しているが、2〜4個のスピーカ音孔55を設けてもよく、また6以上のスピーカ音孔55を設けてもよい。また、プロテクタ67に1つのスピーカ音孔55のみを設けてもよい。
【0054】
スピーカ5は、図5に示すように、プロテクタ67と樹脂フレーム66とによってスピーカ本体51の全てを覆う形状ではなく、樹脂フレーム66の傾斜がある側(傾斜形状部66a)を接合せずに開口した形状(スピーカ開口部54)を有している。
【0055】
また、樹脂フレーム66の傾斜形状部66aは、図5に示すように、全てスピーカ開口部54として開口されているのではなく、所定幅の貼付け部68が形成されている。本実施の形態では、傾斜形状部66aの貼付け部68に所定のクッション材が貼り付けられる。すなわち、樹脂フレーム66の傾斜形状部66aには、クッション材(スピーカ5をケースに実装する際に貼付されるクッション材)を貼付することが可能な幅で、スピーカ開口部54の周囲3辺にクッション貼付部68が設けられている。
【0056】
図6は、スピーカ本体51にクッション材52を貼り付けた状態を示す斜視図である。なお、図6は、図5に示すスピーカ本体51のクッション貼付部68及びプロテクタ67に、クッション材52を貼り付けたものに相当する。図6に示すように、スピーカ本体51には、環形状のクッション材52が貼り付けられる。また、本実施の形態では、スピーカ本体51に貼り付けた状態で、プロテクタ67の各スピーカ音孔55がクッション材52によって塞がれないように、クッション材52の内径の大きさが定められる。また、クッション材52は、クッション貼付部68とプロテクタ67の外周部とに、両面テープ等の粘着材を用いて貼り付けられる。本実施の形態では、図6に示すように、プロテクタ67の各スピーカ音孔55が設けられている部分を囲んで壁を形成するようにクッション材52が貼り付けられる。
【0057】
クッション材52は、例えば、ポロン等の独立発泡体を用いて作製される。本実施の形態では、クッション材52がスピーカ本体51に貼付され筐体に当接されることによって、筐体内部へのスピーカ5の音漏れを防ぐことができる。
【0058】
また、スピーカ本体51は、クッション材52を貼り付けた状態で、筐体音孔から侵入してくる埃や塵等がスピーカ5内部に侵入することを防ぐための防塵メッシュ53が取り付けられる。図7は、スピーカ本体51に防塵メッシュ53を取り付けた状態を示す斜視図である。なお、図7は、図5及び図6に示すスピーカ本体51に防塵メッシュ53を取り付けたものに相当する。防塵メッシュ53は、例えば、スピーカ本体51にクッション材52を貼り付けた状態で、クッション材52に両面テープを用いて貼付される。
【0059】
また、図8は、スピーカ5を、裏面が見えるように斜め方向から見た斜視図である。図8に示すように、スピーカ5は、裏面側に、回路基板25のランドに接触させるための2つの接続端子58を含む。接続端子58は、板状の金属材料を用いて作製され、図8に示すように、所定の折り曲げ部58bが設けられていることによって、ばね性(弾力性)を有する。また、図8に示すように、接続端子58は、スピーカ5の裏面に面するように取り付けるための取付部58aを有する。そのような構成を備えた接続端子58を用いることによって、接続端子58のために必要となるスペースを低減でき、携帯電話機1の薄型化を図ることができる。
【0060】
図9は、スピーカの構造を示す断面図である。図9は、スピーカ5を、スピーカ開口部54の長手方向に対して直交する面(図7に示すA−A面)で切断した断面図に相当する。
【0061】
スピーカ5が発音する仕組みは、図4に示したダイナミックタイプのスピーカと同様である。スピーカ5は、ネオジウム等の永久磁石からなる磁石61を含む。また、スピーカ5は、磁石61の磁束を効率よく構成するためのヨーク62を含む。ヨーク部62は、例えば、SPC等の薄鋼板材料を用いて作製される。また、スピーカ5は、ヨーク部62との間に磁束を形成するためのトッププレート63を含む。また、スピーカ5は、ヨーク62とトッププレート63との間の磁気ギャップにボイスコイル64が配置される。また、スピーカ5は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の薄膜フィルムとして形成された振動板65を含む。
【0062】
本実施の形態では、ボイスコイル64に交流電流を流すことによって磁束が得られる。そして、磁束によって発生する駆動力により振動板65を振動させることによって、空気を振動し発音することができる。
【0063】
また、スピーカ5は、その他の構成要素として、ヨーク62を保持しスピーカ5の外郭を構成する樹脂フレーム66を含む。樹脂フレーム66は、例えば、PPA(ポリフタルアミド)等のプラスティックを用いて成型される。また、スピーカ5は、振動板65を保護するために樹脂フレーム66に接着されたプロテクタ67を含む。プロテクタ67には、発生した音声を放出するための孔であるスピーカ音孔55が複数個設けられている。また、スピーカ5を携帯電話機1の筐体に実装した場合、スピーカ本体51に貼付されたクッション材52を介して背面側ケース21とプロテクタ67の前面とが当接し、背面側筐体21に設けられた放音孔21aからスピーカ出力音が放出される。
【0064】
樹脂フレーム66は、背面側ケース21に嵌め込んで固定するための嵌合爪56及び嵌合座面57を含む。すなわち、樹脂フレーム66は、後述する背面側ケース21の嵌合フック21fと嵌合するための嵌合爪56を含む。また、樹脂フレーム66は、背面側ケース21の嵌合部21eと嵌合するための嵌合座面57を含む。なお、「嵌合」とは、形状が合った物を嵌め合わせることをいう。
【0065】
樹脂フレーム66の各側面のうち嵌合爪56と対向する側の側面には、例えば45度の角度で斜面する傾斜形状部66aが形成されている。また、プロテクタ67は、樹脂フレーム66と当接された状態とはなっておらず、傾斜形状部66aには、スピーカ開口部54が形成されている。また、スピーカ開口部54からスピーカ出力音が放出される。また、樹脂フレーム66の斜面形状部66aには、図5に示したように、クッション貼付部68が設けられており、クッション材52が貼付される。
【0066】
次に、スピーカ5が取り付けられる背面側ケース21の構造について説明する。図10は、背面側ケースのスピーカ実装部の構造の一例を示す説明図である。図10(a)は、背面側ケース21のスピーカ実装部20の周辺部分を正面側(すなわち、表示部24のある側)から見た正面図に相当する。また、図10(b)は、背面側ケース21をスピーカ実装部20の部分(図10(a)に示すB−B面)で切断した断面図に相当する。また、図11は、背面側ケース21にスピーカ5を取り付けた状態で、背面側ケース21をスピーカ実装部20の部分で切断した断面図である。
【0067】
図10及び図11に示すように、背面側ケース21の側面には、筐体音孔21aが設けられている。また、背面側ケース21には、筐体音孔21aが形成されている側面に接するように、スピーカ実装部20が設けられている。図11に示すように、スピーカ5は、スピーカ開口部54がある側の側面が背面側ケース21の側面と面するように取り付けられる。すなわち、スピーカ5は、スピーカ開口部54の位置が筐体音孔21aの位置と合うように、背面側ケース21に取り付けられる。そして、スピーカ5が発生したスピーカ出力音は、スピーカ開口部54及び筐体音孔21aを通ってい筐体外に放出される。
【0068】
また、背面側ケース21には、スピーカ5の取り付け時に、筐体音孔21aの中心とスピーカ5のスピーカ開口部54の中心とが同位置となるように、スピーカ5を固定するためのスピーカ固定用リブ21bが設けられている。この場合、スピーカ固定用リブ21bは、スピーカ5の外郭に沿うように、スピーカ座面部21gから垂下した状態で配置されている。すなわち、スピーカ固定用リブ21bは、スピーカ5を固定した状態で、スピーカ5の周囲に壁を形成するように設けられている。
【0069】
また、図10に示すように、背面側ケース21の筐体音孔21aの内部側縁部には、クッション材52を介してスピーカ5の傾斜形状部66aを固定するためのクッション圧接用リブ21dが設けられている。クッション圧接用リブ21dは、スピーカ5の取り付け時に、スピーカ開口部54と平行となるように、クッション突き当て面21c及びスピーカ5のクッション52と当接することによって、筺体内部への音漏れを防止する。また、図10(a)に示すように、クッション圧接用リブ21dは、筐体音孔21aに対して左右に配置されている。
【0070】
また、図11に示すように、背面側ケース21には、スピーカ5を取り付ける際に、スピーカ開口部54の嵌合座面57に嵌合するための嵌合部21eが設けられている。また、背面側ケース21には、スピーカ5の嵌合爪56に嵌合し固定するための嵌合フック21fが設けられている。
【0071】
以上に示した構造でスピーカ5が背面側ケース21に取り付けられることによって、スピーカ5を実装した場合に、スピーカ5のプロテクタ67に貼付されたスピーカクッション52が背面側ケース21のスピーカ座面部21gと当接した状態で取り付けられる。また、クッション材52がスピーカ座面部21gに当接した状態で取り付けられることによって、背面側ケース21のスピーカ座面部21gと、スピーカ5のプロテクタ67との間に空洞部50が形成される。すなわち、クッション材52が、プロテクタ67と背面側ケース21との間に空洞部50を形成するための支持部材として機能する。そのような構成により、筐体内部へのスピーカ出力音の音漏れを防ぐことを可能としている。
【0072】
次に、動作について説明する。図11に示すように、スピーカ5が背面側ケース21に取り付けられた状態において、スピーカ本体51に貼付されたスピーカ開口部54側のクッション材52は、背面側ケース21のクッション突き当て面21cに突き当てられる。また、スピーカ5の嵌合座面57は、背面側ケース21の嵌合部21eと当接し、クッション52が本来の厚み寸法に対して20パーセント程度圧縮された状態の高さで保持されている。
【0073】
また、スピーカ5のプロテクタ67前面に貼付されたクッション材52は、背面側ケース21のスピーカ座面部21gに突き当てられる。そして、スピーカ5の嵌合爪56が背面側ケース21の嵌合フック21fに嵌合し、クッション52が本来の厚み寸法に対して20パーセント程度圧縮された状態の高さで保持されている。
【0074】
クッション材52は、図6に示すように、スピーカ音孔55がクッション材52の内径に入るような大きさに形成されている。また、クッション材52は、クッション貼付部68とプロテクタ67の外周部とに、両面テープ等の粘着材を用いて貼り付けられている。そのようにすることにより、スピーカ5のスピーカ開口部54から出力された出力音と、スピーカ音孔55からの出力音とは、クッション52により、筐体内部に漏れることなく背面側ケース21の側面に設けられた筐体音孔21aから外部に放出される。
【0075】
次に、スピーカ5が音声を発生する動作について説明を行う。図12は、スピーカ5が音声を発生する場合の音声の流れを示す説明図である。なお、図12は、上側筐体2の背面側ケース21にスピーカ5が実装された状態を示す断面図に相当する。以下、図12を用いて、スピーカ5の内部構造と、スピーカ出力音の放射の様子を説明する。
【0076】
スピーカ5は、前述したように、背面側ケース21に実装される。スピーカ5は、音声を発生する場合、磁石61に貼り付けられたトッププレート63とヨーク62とで構成される磁気ギャップに配置されたボイスコイル64に交流電流を流すことによって、磁束を得る。また、スピーカ5は、得られた磁束と磁石61により磁気ギャップに発生した磁束とによって発生する駆動力によって、振動板65が上下に振動する。そして、スピーカ5は、振動板65が上下に振動することにより、空気を振動させ、音声を発生する。
【0077】
振動板65の振動により出力された音(以下、スピーカ発生音ともいう)は、図12に示すように、スピーカ5の開口部54及び背面側ケース21の筐体音孔21aから、筐体外部に出力される。また、スピーカ発生音は、スピーカ開口部54だけでなく、スピーカ5のプロテクタ67に設けられたスピーカ音孔55からも放出される。そして、スピーカ発生音は、図12に示すように、スピーカ座面部21gとクッション52との間で構成された空洞部50を音響伝達空間として利用することにより、筐体音孔21aから筐体外部に放射される。
【0078】
以上に示した構造を備えることによって、スピーカ5からの出力音を、スピーカ開口部54からだけでなく、スピーカ音孔55からも放出する。そのようにすることにより、スピーカ5から発生した音が、薄型化により振動板と近接して配置されたプロテクタ67や筐体音孔21a等の音響抵抗により劣化することを低減することが可能となる。
【0079】
例えば、プロテクタ67にスピーカ音孔55が設けられておらず、スピーカ開口部54だけから音声を出力するとすると、発生した音がスピーカ開口部54に到達するまでの間にプロテクタ67による音響抵抗によって減衰してしまう。本実施の形態では、プロテクタ67に設けたスピーカ音孔55から音声を放出するルートを設け、プロテクタ67とスピーカ座面部21gとの間に形成された空洞部50を音響伝達空間として利用することにより、音響効果を用いてスピーカ発生音の劣化を低減している。例えば、約1キロヘルツから約4キロヘルツの帯域の周波数の音をスピーカ5が発生する場合、2dB〜3dB程度音圧の劣化を低減することができる。
【0080】
次に、スピーカ5を背面側ケース21に組み込む方法について説明を行う。図13は、スピーカ5を背面側ケース21に取り付ける方法を示す説明図である。なお、図13は、上側筐体部2の背面側ケース21にスピーカ5を取り付ける際のスピーカ実装部20及びスピーカ5の断面図に相当する。
【0081】
まず、スピーカ5の外郭部分を背面側筐体21に設けられたスピーカ固定用リブ21bに合せる。また、スピーカ本体51に貼付されたスピーカ開口部54側のクッション材52を、背面側ケース21のクッション突き当て面21cに、クッション52が本来の厚み寸法に対して20パーセント圧縮される程度の圧力で突き当てる。そして、スピーカ5の嵌合座面57を背面側ケース21の嵌合部21eに嵌合させる。そのようにすることにより、スピーカ5の開口部54の中心と筐体音孔21aの中心とを合わせることができ、背面側ケース21のクッション圧接用リブ21dとクッション52とが当接される。
【0082】
次いで、スピーカ5の嵌合爪56側に圧力をかけることにより、プロテクタ67に貼付されたクッション52が背面側ケース21のクッション座面部21gに突き当てられ、スピーカ5の嵌合爪56が背面側ケース21の嵌合フック21fと嵌合される。そして、スピーカ5が実装された状態において、クッション52は、20パーセント程度圧縮され固定される。
【0083】
以上のように、本実施の形態によれば、筐体側面にスピーカ音孔21aを有する携帯電話機1のスピーカ5の実装構造において、スピーカ5天面のプロテクタ67に音孔55を設ける。また、スピーカ5の傾斜形状部66aとプロテクタ67の一部とにクッション材52を貼付する。この場合、プロテクタ67に設けられた音孔55をクッション材52の内径内に覆うように、クッション材52を延長して貼付する。そのような構成よって、背面側ケース21とプロテクタ67との間にできた空間を音響伝達空間として利用する。そのため、筐体の薄型化によりスピーカ前面の空洞部の容積が減少した場合であっても、スピーカ5実装時の音響抵抗を低減することができ、スピーカ出力音の劣化を軽減することが可能となる。例えば、1キロヘルツの音声をスピーカ5が発生する場合、2dB〜3dB程度音圧の劣化を低減することができる。
【0084】
背面側ケース21とプロテクタ67との間に形成される音響伝達空間を利用できるので、スピーカ特性の劣化を抑えつつ、装置(携帯電話機1)の薄型化を図ることが可能となる。例えば、背面側ケース21とプロテクタ67との間に音響伝達空間が形成される構造を用いない場合と比較して、携帯電話機1の厚みを0.7mm(クッション材52が圧縮された厚み0.2mmを含む)程度薄くすることができる。従って、装置の薄型化を図りつつ、スピーカ出力音の特性劣化を低減することができる。
【0085】
実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態では、スピーカが実装される背面側ケースのスピーカ取付部の壁に、くし型形状の溝を形成した点で、第1の実施の形態と異なる。本実施の形態では、くし型形状の溝を設けることにより、音響伝達空間を確保することができ、筐体の強度を確保した上で音響特性の劣化を軽減することを可能としている。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同様の構成をなす部分についてはその詳細な説明を省略し、主として第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0086】
図14は、背面側ケースのスピーカ実装部の他の構造例を示す説明図である。図14(a)は、背面側筐体部品にスピーカからの出力音を筐体音孔に劣化なく出力するために溝を設けた場合において、背面側ケース91のスピーカ実装部20の周辺部分を正面側から見た正面図に相当する。本実施の形態では、図14(a)に示すように、背面側ケース91に設けられた筐体音孔91aに対して直交する向きに、溝91hが形成されている。また、図14(b)は、図14(a)に示す背面側ケース91のスピーカ実装部の部分を、溝91hの長手方向に対して直交する面(図14(a)に示すC−C面)で切断した断面図に相当する。また、図14(c)は、図14(a)に示す背面側ケース91のスピーカ実装部の部分を、溝91hの長手方向に対して平行な面(図14(a)に示すD−D面)で切断した断面図に相当する。
【0087】
本実施の形態では、背面側ケース91には、スピーカ座面部91gに、くし型形状の溝91hが形成されている。なお、本実施の形態では、図14に示すように、スピーカ座面部91gに3つの溝91hが形成されている場合を説明するが、3以上の溝91hを形成するようにしてもよい。そのような溝91hを形成することによって、背面側ケース91の強度を劣化させることなく、音声の特性を劣化させることなく、スピーカ音孔から出力された出力音を筐体音孔91aに伝達させるための音響伝達空間を確保することを可能としている。
【0088】
また、背面側ケース91の他の構成は、図10に示した背面側ケース21の構成と同様である。背面側ケース91の一筐体側面には、筐体音孔91aが設けられている。また、背面側ケース91には、スピーカ5の取り付け時に、筐体音孔91aの中心とスピーカ5の中心とが同位置となるように固定するためのスピーカ固定用リブ91bが設けられている。この場合、スピーカ固定用リブ91bは、スピーカ5の外郭に沿うように、スピーカ座面部91gから垂下した状態で配置されている。すなわち、スピーカ固定用リブ91bは、スピーカ5を固定した状態で、スピーカ5の周囲に壁を形成するように設けられている。
【0089】
また、図14に示すように、背面側ケース91の筐体音孔21aの内部側縁部には、クッション材52を介してスピーカ5の傾斜形状部66aを固定するためのクッション圧接用リブ91dが設けられている。クッション圧接用リブ91dは、スピーカ5の取り付け時に、スピーカ開口部54と平行となるように、クッション突き当て面91c及びスピーカ5のクッション52と当接することによって、筺体内部への音漏れを防止する。また、図14(a)に示すように、クッション圧接用リブ91dは、筐体音孔91aに対して左右に配置されている。
【0090】
また、図11と同様に、背面側ケース91には、スピーカ5を取り付ける際に、スピーカ開口部54の嵌合座面57に嵌合するための嵌合部91eが設けられている。また、背面側ケース91には、スピーカ5の嵌合爪56に嵌合し固定するための嵌合フック91fが設けられている。
【0091】
以上に示した構造でスピーカ5が背面側ケース91に取り付けられることによって、スピーカ5を実装した場合に、スピーカ5のプロテクタ67に貼付されたスピーカクッション52が背面側ケース91のスピーカ座面部91gと当接した状態で取り付けられる。また、クッション材52がスピーカ座面部91gに当接した状態で取り付けられることによって、背面側ケース91のスピーカ座面部91gと、スピーカ5のプロテクタ67との間に空洞部50が形成される。そのような構成により、筐体内部へのスピーカ出力音の音漏れを防ぐことを可能としている。
【0092】
以上のように、本実施の形態によれば、スピーカ5が実装される背面側ケース91のスピーカ実装部20に、くし型形状の溝91hを形成する。そのようにすることによって、背面側ケース91に溝91hを形成しない場合と比較して、より広い音響伝達空間を確保することができ、筐体の強度を確保した上で音響特性の劣化を軽減することを可能としている。
【0093】
なお、上記に示した各実施の形態では、スピーカ5がダイナミックタイプのスピーカである場合を説明したが、携帯電話機1は、ダイナミックタイプ以外のスピーカ5を搭載してもよい。例えば、携帯電話機1は、振動素子としてセラミックを用いたセラミックタイプのスピーカを搭載することも可能である。
【0094】
また、上記に示した各実施の形態では、携帯電話機1がモノラルスピーカを実装する場合を説明したが、携帯電話機1は、近年増加しているステレオスピーカを搭載することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、携帯電話機等の携帯端末に適用できる。特に、スピーカを搭載した携帯端末において、スピーカ出力音の特性劣化を低減する用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明によるスピーカ取付構造を用いた携帯端末の例を示す説明図である。
【図2】携帯電話機1の構成の例を示すブロック図である。
【図3】携帯電話機1の上側筐体部2を分解した状態を示す説明図である。
【図4】ダイナミックタイプスピーカの基本的な構造を示す断面図である。
【図5】スピーカ5のスピーカ本体51を示す斜視図である。
【図6】スピーカ本体51にクッション材52を貼り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】スピーカ本体51に防塵メッシュ53を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】スピーカ5を、裏面が見えるように斜め方向から見た斜視図である。
【図9】スピーカの構造を示す断面図である。
【図10】背面側ケースのスピーカ実装部の構造の一例を示す説明図である。
【図11】背面側ケース21にスピーカ5を取り付けた状態で、背面側ケース21をスピーカ実装部20の部分で切断した断面図である。
【図12】スピーカ5が音声を発生する場合の音声の流れを示す説明図である。
【図13】スピーカ5を背面側ケース21に取り付ける方法を示す説明図である。
【図14】背面側ケースのスピーカ実装部の他の構造例を示す説明図である。
【図15】従来のツインスピーカを搭載する携帯電話機のスピーカ実装構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 携帯電話機
2 上側筐体部
3 下側筐体部
4 ヒンジ
5 スピーカ
21 背面側ケース
21a 筐体音孔
21g スピーカ座面部
51 スピーカ本体
52 クッション材
53 防塵メッシュ
54 スピーカ開口部
55 スピーカ音孔
61 磁石
62 ヨーク部
63 トッププレート
64 ボイスコイル
66 樹脂フレーム
67 プロテクタ
68 クッション貼付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカを搭載した携帯端末であって、
前記スピーカが発生する音を出力するための孔である筐体側音孔が形成された筐体部品を備え、
前記スピーカは、
当該スピーカが前記筐体部品に取り付けられた状態で前記筐体部品と面する側の面に、スピーカ内部を保護するための板状の部品であるプロテクタを含み、
前記プロテクタは、
前記スピーカが前記筐体部品に取り付けられた状態で前記筐体部品と面する側の面に、当該プロテクタと前記筐体部品との間に所定の空洞部を形成するための支持部材が取り付けられ、
前記スピーカが発生する音を出力するための孔であるスピーカ側音孔が設けられている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
筐体側音孔は、筐体部品の側面に形成され、
前記筐体部品は、前記筐体側音孔が形成されている側面に接するように、スピーカを取り付けるためのスピーカ取付部が形成され、
前記スピーカは、プロテクタに支持部材を取り付けられた状態で、前記スピーカ取付部に取り付けられている
請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
支持部材は、プロテクタのスピーカ側音孔が設けられている部分を囲んで壁を形成するように取り付けられている請求項1又は請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
筐体部品は、当該筐体部品にスピーカが取り付けられた状態で前記スピーカと接する面に、筐体側音孔に対して直交する向きに溝が形成されている請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
ダイナミックタイプのスピーカ又はセラミックタイプのスピーカを搭載した請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
音声又はメロディーを鳴動するためのスピーカを搭載した携帯電子機器である請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
音声又はメロディーを出力するための孔である筐体側音孔が形成された筐体部品を備えた携帯端末が搭載するスピーカであって、
当該スピーカが前記筐体部品に取り付けられた状態で前記筐体部品と面する側の面に、スピーカ内部を保護するための板状の部品であるプロテクタを備え、
前記プロテクタは、
前記スピーカが前記筐体部品に取り付けられた状態で前記筐体部品と面する側の面に、当該プロテクタと前記筐体部品との間に所定の空洞部を形成するための支持部材が取り付けられ、
前記スピーカが発生する音を出力するための孔であるスピーカ側音孔が設けられている
ことを特徴とする携帯端末のスピーカ。
【請求項8】
携帯端末にスピーカを取り付けるスピーカ取付構造であって、
前記スピーカが発生する音を出力するための孔である筐体側音孔が形成された筐体部品を備え、
前記スピーカは、
当該スピーカが前記筐体部品に取り付けられた状態で前記筐体部品と面する側の面に、スピーカ内部を保護するための板状の部品であるプロテクタを含み、
前記プロテクタは、
前記スピーカが前記筐体部品に取り付けられた状態で前記筐体部品と面する側の面に、当該プロテクタと前記筐体部品との間に所定の空洞部を形成するための支持部材が取り付けられ、
前記スピーカが発生する音を出力するための孔であるスピーカ側音孔が設けられている
ことを特徴とする携帯端末のスピーカ取付構造。
【請求項9】
筐体部品は、当該筐体部品にスピーカが取り付けられた状態で前記スピーカと接する面に、筐体側音孔に対して直交する向きに溝が形成されている請求項9記載の携帯端末のスピーカ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−195011(P2007−195011A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12296(P2006−12296)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】