説明

携帯端末、基地局及び携帯端末の位置検出方法

【課題】通信する基地局数を増やさなくても従来より高精度に携帯端末の位置を検出することが出来る携帯端末、基地局及び携帯端末の位置検出方法を提供する。
【解決手段】携帯端末では、変調方式を通信状態に応じて変更した第1の信号を第1の基地局と送受信すると共に変調方式が固定である第2の信号を前記第1の基地局とは異なる複数の第2の基地局と送受信する通信部と、信号に基づいて自らの位置を検出する制御部とを備え、前記制御部が、通信可能距離変更処理によって前記第1の信号の通信可能距離を変化させ、通信可能距離が変化した前記第1信号を前記通信部が送受信できる場合には、通信可能距離が変化した前記第1信号によって限定されたエリア内から自らの位置を限検出し、通信可能距離が変化した前記第1信号を前記通信部が送受信でできない場合には、通信可能距離が変化した前記第1信号によって限定されたエリア外から自らの位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話器やPHS(Personal Handy-phone System)端末等の携帯端末、基地局及び携帯端末の位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、許容誤差を正確に推定し、また荷下ろし時間などを正確に推定することによってトラックや荷役用のパレットなどの移動機器の位置を正確に探索することができるPHSによる移動機器の位置探索方法が開示されている。
この位置探索方法では、移動機器にPHS端末を装着し、該PHS端末が周辺の3つ以上の基地局の信号の電波強度から各基地局との推定距離を算出し、各基地局の位置を中心とすると供に前記推定距離を半径とする複数の円を求め、これらの円の交差範囲より前記PHS端末に装着された移動機器の位置を求める。
そして、前記移動機器の位置が予め設定された拠点位置から予め設定された許容誤差範囲内にあるときに、前記移動機器が前記拠点位置にあると判定する。
【特許文献1】特開2007−43343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、電波強度のみをパラメータとして各基地局との推定距離を算出し、この推定距離を半径とすると共に各基地局を中心とする複数の円に基づいてPSH端末の位置を検出しているが、この方法ではPHS端末が通信する基地局を増やすことでしか位置検出の精度を上げることが出来ないという問題がある。
【0004】
本発明は、上述した事情を鑑みたものであり、通信する基地局数を増やさなくても従来より高精度に携帯端末の位置を検出することが出来る携帯端末、基地局及び携帯端末の位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、携帯端末に係る第1の解決手段として、変調方式を通信状態に応じて変更した第1の信号を第1の基地局と送受信すると共に変調方式が固定である第2の信号を前記第1の基地局とは異なる複数の第2の基地局と送受信する通信部と、前記第1、第2の信号に基づいて自らの位置を検出する制御部とを備え、前記制御部は、前記第1の信号の現在の通信可能距離(第1通信可能距離)を算出し、当該第1通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第1の円を算出し、
前記第1の信号の現在の変調方式より通信可能距離の狭い変調方式から第2通信可能距離を算出し、当該第2通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第2の円を算出し、前記第1通信可能距離と第2通信可能距離の間の第3の通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第3の円を算出し、第2の信号の通信可能距離(第4通信可能距離)を算出し、当該第4通信可能距離を半径とすると共に前記第2の基地局をそれぞれ中心とする複数の第4の円を算出し、通信可能距離変更処理によって前記第1の信号の通信可能距離を前記第1の通信可能距離から前記第3の通信可能距離に変化させ、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記通信部が送受信できる場合には、前記第2の円及び前記第3の円に囲まれたエリアと前記第4の円の重畳エリアの中心を自らの位置として検出し、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記通信部が送受信できない場合には、第1の円及び第3の円に囲まれたエリアと第4の円の重畳エリアの中心を自らの位置として検出するという手段を採用する。
【0006】
本発明では、携帯端末に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御部は、前記通信可能距離変更処理として前記第1の信号の帯域幅を変更または前記第1の信号の帯域幅及び変調方式を変更するという手段を採用する。
【0007】
本発明では、携帯端末に係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、
前記通信部は、複数のアンテナ素子によって構成されるアダプティブアレイアンテナを有し、前記制御部は、前記通信可能距離変更処理として第1の信号の送受信に使用する前記通信部のアンテナ素子の本数を減らすまたは第1の信号の送受信に使用する前記通信部のアンテナ素子の本数を減らす共に第1の信号の変調方式を変更するという手段を採用する。
【0008】
本発明では、携帯端末に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段において、前記第1の信号は通信チャネルを介して送受信する信号であり、第2の信号は制御チャネルを介して送受信する信号であるという手段を採用する。
【0009】
また、本発明では、基地局に係る第1の解決手段として、変調方式を通信状態に応じて変更した第1の信号を第1の基地局と送受信すると共に変調方式が固定である第2の信号を前記第1の基地局とは異なる複数の第2の基地局と送受信する携帯端末と第1の信号を送受信する第1の基地局であって、携帯端末と第1の信号を送受信する通信部と、前記第1の信号に基づいて前記携帯端末の位置を検出する制御部とを備え、前記制御部は、前記通信部が前記携帯端末から受信する第1の信号から前記携帯端末による第2の基地局との通信に関する通信情報を取得し、前記第1の信号の現在の通信可能距離(第1通信可能距離)を算出し、当該第1通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第1の円を算出し、前記第1の信号の現在の変調方式より通信可能距離の狭い変調方式から第2通信可能距離を算出し、当該第2通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第2の円を算出し、前記第1通信可能距離と第2通信可能距離の間の第3の通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第3の円を算出し、
前記通信情報に基づいて第2の信号の通信可能距離(第4通信可能距離)を算出し、当該第4通信可能距離を半径とすると共に前記第2の基地局をそれぞれ中心とする複数の第4の円を算出し、通信可能距離変更処理によって前記第1の信号の通信可能距離を前記第1の通信可能距離から前記第3の通信可能距離に変化させ、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記携帯端末と送受信できる場合には、前記第2の円及び前記第3の円に囲まれたエリアと前記第4の円の重畳エリアの中心を前記携帯端末の位置として検出し、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記携帯端末と送受信できない場合には、第1の円及び第3の円に囲まれたエリアと第4の円の重畳エリアの中心を前記携帯端末の位置として検出するという手段を採用する。
【0010】
本発明では、基地局に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御部は、前記通信可能距離変更処理として前記第1の信号の帯域幅を変更または前記第1の信号の帯域幅及び変調方式を変更するという手段を採用する。
【0011】
本発明では、基地局に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記通信部は、複数のアンテナ素子によって構成されるアダプティブアレイアンテナを有し、前記制御部は、前記通信可能距離変更処理として第1の信号の送受信に使用する前記通信部のアンテナ素子の本数を減らすまたは第1の信号の送受信に使用する前記通信部のアンテナ素子の本数を減らす共に第1の信号の変調方式を変更するという手段を採用する。
【0012】
さらに、本発明では、位置検出方法に係る第1の解決手段として、変調方式を通信状態に応じて変更した第1の信号を第1の基地局と送受信すると共に変調方式が固定である第2の信号を前記第1の基地局とは異なる複数の第2の基地局と送受信する携帯端末の位置検出方法であって、前記第1の信号の現在の通信可能距離(第1通信可能距離)を算出し、当該第1通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第1の円を算出し、前記第1の信号の現在の変調方式より通信可能距離の狭い変調方式から第2通信可能距離を算出し、当該第2通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第2の円を算出し、前記第1通信可能距離と第2通信可能距離の間の第3の通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第3の円を算出し、第2の信号の通信可能距離(第4通信可能距離)を算出し、当該第4通信可能距離を半径とすると共に前記第2の基地局をそれぞれ中心とする複数の第4の円を算出し、通信可能距離変更処理によって前記第1の信号の通信可能距離を前記第1の通信可能距離から前記第3の通信可能距離に変化させ、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記携帯端末が送受信できる場合には、前記第2の円及び前記第3の円に囲まれたエリアと前記第4の円の重畳エリアの中心を前記携帯端末の位置として検出し、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記携帯端末が送受信できない場合には、第1の円及び第3の円に囲まれたエリアと第4の円の重畳エリアの中心を前記携帯端末の位置として検出するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前記第1通信可能距離と第2通信可能距離の間の第3の通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第3の円を算出し、通信可能距離変更処理によって前記第1の信号の通信可能距離を前記第1の通信可能距離から前記第3の通信可能距離に変化させ、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記通信部が送受信できる場合には、前記第2の円及び前記第3の円に囲まれたエリアと前記第4の円の重畳エリアの中心を自らの位置として検出し、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記通信部が送受信できない場合には、第1の円及び第3の円に囲まれたエリアと第4の円の重畳エリアの中心を自らの位置として検出する為、通信する基地局数を増やさなくても従来より高精度に携帯端末の位置を検出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、携帯端末の1つであるPHS(Personal Handy-phone System)端末及びその位置検出方法に関する。
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態に係るPHS端末Aの機能ブロック図である。PHS端末Aは、図1に示すように、受信部1、送信部2、操作部3、表示部4、記憶部5及び制御部6から構成される。
【0015】
受信部1は、アンテナ1a、フィルタ切替部1b、第1フィルタ1c、第2フィルタ1d、ミキサ1e、局部発振器1f、受信処理部1gから構成されており、制御部6の指示に基づいて基地局から各種信号を受信する。
アンテナ1aは、基地局から信号を受信する。そして、この受信信号の出力先は、制御部6の指示に基づきフィルタ切替部1bによって第1フィルタ1cまたは第2フィルタ1dへ切り替えが行われる。
【0016】
第1フィルタ1cは、アンテナ1aから入力された受信信号から所望の300kHz帯域以外の不要な周波数成分を減衰するSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタであり、第2フィルタ1dは、アンテナ1aがから入力された受信信号から所望の900kHz帯域以外の不要な周波数成分を減衰するSAWフィルである。この第1フィルタ1cまたは第2フィルタによって所望の帯域以外の周波数成分が減数した受信信号は、ミキサ1eに出力される。
【0017】
ミキサ1eは、第1フィルタ1cまたは第2フィルタ1dから入力された受信信号と、局部発振器1fから入力される局部信号とをミキシングすることで、受信信号を中間周波数へ周波数変換(ダウンコンバート)し、受信IF信号として受信処理部1gに出力する。局部発振器1fは、中間周波数変換用の局部信号を生成し、ミキサ1eに出力する。
受信処理部1g、ミキサ1eから入力された受信IF信号にA/D変換処理及び復調処理等を施し、受信ベースバンド信号として制御部6に出力する。
送信部2は、制御部6の制御に基づいて、基地局に各種信号を送信する。PHS端末Aと基地局とによって構成される通信ネットワークは、通信チャネルを介して送受信する信号の変調方式を通信状態に応じて変化させる適応変調方式に対応しており、受信部1及び送信部2は、この適応変調方式に対応している。
【0018】
操作部3、電源キー、テンキー、各種ファンクションキー等の各種操作キーから構成されており、これらの操作キーに対するユーザの操作指示を制御部6に出力する。
表示部4は、例えば液晶モニタまたは有機ELモニタ等であり、制御部6から入力される信号に基づいて画像や文字からなる各種画面を表示する。
記憶部5は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成されている。ROMは、制御部6が実行する所定の制御プログラムを記憶し、RAMは、制御部6が制御プログラムを実行するときのワークエリアである。
【0019】
制御部6は、記憶部5のROMに予め記憶された所定の制御プログラム、受信部1が受信する受信信号及び操作部3が受け付けた操作指示に基づいて、PHS端末Aの全体動作を統括して制御する。なお、ROMに記憶されている制御プログラムは、位置検出プログラムを備えており、この位置検出プログラムに基づいて制御部6が実行する位置検出処理の詳細については、以下にPHS端末Aの動作として説明する。
【0020】
次に、上記構成のPHS端末Aの位置検出処理について、図2に示すPHS端末Aの動作のフローチャート、図3、図4を参照して詳しく説明する。図3は、PHS端末A、基地局CS1、基地局CS2及び基地局CS3によって構成される無線通信システムにおけるPHS端末Aの位置検出を示す模式図であり、図4は、信号の変調方式及び帯域幅毎の上り信号及び下り信号の通信可能距離を示す図である。
【0021】
一般的にPHS端末は、同時に複数の基地局と制御チャネルを介して信号を送受信し、また位置登録した1つの基地局と通信チャネルを介して信号を送受信する。
PHS端末Aでは、基地局CS1と通信チャネルを介して信号(通信信号)を送受信すると共に基地局CS2及びCS3と制御チャネルを介して信号(制御信号)を送受信し、通信信号及び制御信号の変調方式及び帯域幅に基づいて信号の通信可能距離を算出し、これらの信号の通信可能距離に基づいてPHS端末Aの位置を検出する。なお、PHS端末Aが基地局CS1と送受信する通信信号には、通信状況に応じて変調方式を変更する適応変調方式が採用されている。
【0022】
PHS端末Aの制御部6は、周辺に位置する基地局CS1、CS2及びCS3から制御チャネルを介して受信部1が受信する制御信号の電界強度を測定し、基地局毎に測定した電界強度を登録したCS(Cell Station)リストを作成すると共にこのCSリストを記憶部5に記憶させ、このCSリストに基づき最も信号受信強度の強い基地局CS1へ位置登録する為に送信部2に制御信号を送信させる(ステップS1)。なお、PHS端末Aが基地局CS1と送受信する通信信号の現在の変調方式は「QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式」、また通信信号の帯域幅は「300kHz」とする。
【0023】
制御部6は、基地局CS1、CS2及びCS3の位置が既に記憶部5に記憶されているか否か判定し(ステップS2)、ステップS2において『NO』と判定した場合は、すなわち記憶部5に基地局CS1、CS2及びCS3の位置が記憶されていないと判定した場合には、基地局CS1を介して専用サーバから基地局CS1、CS2及びCS3の位置を取得すると共に記憶部5に記憶させる(ステップS3)。
【0024】
制御部6は、基地局CS2及びCS3から受信部1が受信する制御信号の下り信号の通信可能距離を、制御信号の変調方式「QPSK方式」及びその帯域幅「300kHz」に基づいて算出し、基地局CS2及びCS3の位置をそれぞれを中心とすると共に制御信号の下り信号の通信可能距離を半径とする円を算出する(ステップS4)。図3の円C1は上記ステップS4において算出された基地局CS2を中心とする円を示し、円C2は基地局CS3を中心とする円を示す。制御部6は、ステップS2において『YES』と判定した場合には、すなわち記憶部5が基地局CS1、CS2及びCS3の位置を記憶している場合には、上記ステップS4の処理を実行する。
【0025】
制御部6は、受信部1が受信する通信信号の変調方式「QPSK方式」及び帯域幅「300kHz」に基づいて通信信号の下り信号の通信可能距離「416m」を算出し、基地局CS1の位置を中心とすると共に算出した通信可能距離「416m」を半径とする円を算出する(ステップS5)。図3の円T1は、上記ステップS5において算出された基地局CS1を中心とすると共に通信信号の下り信号の通信可能距離「416m」を半径とする円を示している。
【0026】
上記ステップS4及びステップS5における信号の通信可能距離は、下記式(1)に示す奥村−秦カーブ(PCS拡張秦モデル)の公式に基づいて算出する。
Lp=46.3+33.9logf−13.82hb−a(hm)+(44.9−6.55loghb)logd+CM…(1)
なお、上記式(1)のLpは伝播損失[dB]、fは周波数[MHz]、hbは基地局アンテナ高[m]、hmは移動局アンテナ高[m]、dは通信距離[km]、a(hm)は移動局アンテナ高に対する補正項、CMは伝搬モデルの補正値[dB]である。
【0027】
上記ステップS4及びステップS5において制御部6は、伝播損失を上記式(1)の伝搬損失Lpへ代入することにより、通信距離dを算出する。なお、この通信距離dが第1実施形態における通信可能距離である。上記式(1)へ代入する伝播損失は、信号の変調方式及び帯域幅に基づいて下記式(2)、式(3)及び式(4)から算出することが出来る。ステップS5における通信信号を例として、伝播損失を算出する手順を説明する。
【0028】
まず、式(4)の通過帯域幅に、通信信号の帯域幅「300kHz」を代入することにより有能雑音電力が算出される。そして、式(3)の所要SN比は通信信号の変調方式「QPSK方式」に基づいて決まる為、有能雑音電力を式(3)の熱雑音に代入することにより式(3)の受信感度が算出され、この受信感度を式(2)に代入することにより伝播損失が算出される。
【0029】
なお、各変調方式及び各帯域幅に応じて式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)から算出された通信可能距離が、図4に示す信号の変調方式及び帯域幅毎の通信可能距離である。
伝播損失=等価等方放射電力−受信感度+受信アンテナ利得…(2)
受信感度=熱雑音+所要SN比+雑音指数…(3)
有能雑音電力=ボルツマン定数×絶対温度×通貨帯域幅…(4)
【0030】
制御部6は、ステップS5の処理の後に、現在の通信信号の変調方式である「QPSK方式」よりも通信可能距離が狭い変調方式「8PSK方式」及び帯域幅「300kHz」に基づいて上記式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)から変調方式「8PSK方式」かつ帯域幅「300kHz」である場合の通信信号の下り信号の通信可能距離「287m」を算出し、この通信可能距離「287m」を半径とすると共に基地局CS1を中心とする円T1の同心円である円を算出する(ステップS6)。図3の円T2は、上記ステップS6において算出された基地局CS1を中心とすると共に通信可能距離「287m」を半径とする円を示している。
【0031】
制御部6は、送信部2に通信信号の帯域幅を「300kHz」から「900kHz」への変更するように要求を基地局CS1へ送信させ(ステップS7)、フィルタ切替部1bに第1フィルタから第2フィルタに切り替えさせる(ステップS8)。
制御部6は、変調方式「QPSK方式」及び帯域幅「900kHz」に基づいて上記式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)から変調方式「QPSK方式」かつ帯域幅「900kHz」である場合の通信信号の下り信号の通信可能距離「310m」を算出し、この通信可能距離「310m」を半径とすると共に基地局CS1を中心とする円T1の同心円となる円を算出する(ステップS9)。図3の円T3は、上記ステップS7において算出された基地局CS1を中心とすると共に通信信号の下り信号の通信可能距離「310m」を半径とする円を示している。
【0032】
制御部6は、基地局CS1から送信された帯域幅を「900kHz」に変更した通信信号の下り信号を受信部1に受信させ、受信した帯域幅「900kHz」の通信信号の変調方式が「QPSK方式」であるか否か判定する(ステップS10)。制御部6は、ステップS10において『YES』と判定した場合には、すなわち受信部1が受信した帯域幅「900kHz」に変更された通信信号の変調方式が「QPSK方式」であると判定した場合には、円T2及び円T3に囲まれたエリア、円C1及び円C2の重畳エリアを算出し、この重畳エリアの中点P1をPHS端末Aの位置として検出する(ステップS11)。
【0033】
制御部6は、ステップS10において『NO』と判定した場合には、すなわち受信部1が受信した帯域幅「900kHz」に変更された通信信号の下り信号の変調方式が「QPSK方式」より通信可能距離の広い「BPSK(Binary Phase Shift Keying)方式」に変更されていると判定した場合には、円T1及び円T3に囲まれたエリア、円C1及び円C2の重畳エリアを算出し、この重畳エリアの中点P2をPHS端末Aの位置として検出する(ステップS12)。
【0034】
以上説明したように、第1実施形態によれば、受信部1が受信する通信信号の下り信号の変調方式「QPSK方式」及び帯域幅「300kHz」に基づいて円T1を算出し、変調方式「QPSK方式」より通信可能距離の狭い変調方式「8PSK方式」及び帯域幅「300kHz」に基づいて円T2を算出し、変調方式「QPSK方式」及び帯域幅「900kHz」に基づいて円T3を算出し、制御信号の下り信号を通信可能距離とする円C1及び円C2を算出し、円T3の算出に使用した変調方式「QPSK方式」及び帯域幅「900kHz」の通信信号の下り信号を、受信部1が受信するか否かによって円T3及び円T2に囲まれたエリアまたは円T1または円T2に囲まれたエリアのどちらかにPHS端末Aが位置することを限定することができ、その限定したエリアと円C1及び円C2の重畳エリアからPHS端末Aの位置を検出している為、電波強度のみをパラメータとする場合より変調方式及び帯域幅に基づいて高精度に通信可能距離が算出されると共に通信信号の帯域幅の変更によって算出された円T3によってPHS端末Aの位置が限定されることにより通信する基地局数を増やさなくても従来よりも高精度にPHS端末Aの位置を検出することが出来る。
【0035】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。
図5は第2実施形態に係るPHS端末Bの機能ブロック図である。PHS端末Bは、信号を送受信する受信部1及び送信部2の代わりにアダプティブアレイアンテナを備えるアダプティブアレイアンテナ通信部11を備える点において上記第1実施形態のPHS端末Aと相違する。したがって、PHS端末Bにおいて第1実施形態のPHS端末Aと同一の機能構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。
PHS端末Bは、操作部3、表示部4、記憶部5、制御部6、アダプティブアレイアンテナ通信部11を備えている。
【0036】
変更構成要素であるアダプティブアレイアンテナ通信部11は、アンテナ11a、ミキサ11b、第1局部発振器11c、第2局部発振器11d、局部発振器切替部11e及びアダプティブアレイアンテナ処理部11fから構成されており、制御部6の指示に基づいて基地局と通信チャネル及び制御チャネルを介して信号を送受信する。
4本のアンテナ11aは、基地局から受信した信号を各ミキサ11bに出力する。ミキサ11bは、アンテナ11aから入力された受信信号と、第1局部発振器11cまたは第2局部発振器から入力される局部信号とをミキシングすることで、受信信号を中間周波数へ周波数変換(ダウンコンバート)し、受信IF信号としてアダプティブアレイアンテナ処理部11fに出力する。
【0037】
第1局部発振器11cまたは第2局部発振器は、それぞれ異なる局部信号をミキサ11bに出力する。局部発振器切替部11eは、制御部6の制御に基づいて、ミキサ11bに対して第1局部発振器11cから局部信号を入力する1局部発振器動作モードと、第1局部発振器11c及び第2局部発振器11dがそれぞれ2個ずつのミキサに局部信号を入力する2局部発振器動作モードとの切り替えを行う。制御部6は、4本のアンテナ11aに同一周波数帯域の信号を受信させる場合には、局部発振器切替部11eに1局部発振器動作モードへ切り替えさせ、2本ずつのアンテナ11aに異なる周波数帯域の信号を受信させる場合には、局部発振器切替部11eに2局部発振器動作モードへ切り替えさせる。
【0038】
アダプティブアレイアンテナ処理部11fは、ミキサ11bより入力された各受信IF信号を受信ベースバンド信号に変換し、各受信ベースバンド信号に位相係数及び振幅係数を乗算することにより位相調整及び振幅調整を行い、位相調整及び振幅調整を行った受信ベースバンド信号を合成することにより受信信号を生成し、この受信信号を制御部6に出力する。
【0039】
制御部6は、記憶部5のROMに予め記憶された所定の制御プログラム、アダプティブアレイアンテナ通信部11が送受信する信号及び操作部3が受け付けた操作指示に基づいて、PHS端末Aの全体動作を統括して制御する。制御部6が実行する位置検出処理の詳細については、以下にPHS端末Bの動作として説明する。
【0040】
次に、上記構成のPHS端末Bの位置検出処理について、図6に示すPHS端末Bの動作のフローチャート、図7、図8を参照して詳しく説明する。図7は、PHS端末B、基地局CS1、基地局CS2及び基地局CS3によって構成される無線通信システムにおけるPHS端末Bの位置検出を示す模式図であり、図8は、信号の変調方式及びアンテナ本数毎の下り信号の通信可能距離を示す図である。
【0041】
第2実施形態におけるステップS21と第1実施形態におけるステップS1、第2実施形態におけるステップS22と第1実施形態におけるステップS2、第2実施形態におけるステップS23と第1実施形態におけるステップS3は、同じ動作である為、説明を省略する。なお、PHS端末Bが基地局CS1と送受信する通信信号の現在の変調方式は「QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式」とする。
【0042】
制御部6は、基地局CS2及びCS3からアダプティブアレイアンテナ通信部11が受信する制御信号の下り信号の通信可能距離を、制御信号の変調方式「QPSK方式」及び制御信号の下り信号を受信するアンテナ11aの本数「4本」に基づいて算出し、基地局CS2及びCS3の位置をそれぞれを中心とすると共に制御信号の下り信号の通信可能距離を半径とする円を算出する(ステップS24)。図7の円C11は上記ステップS24において算出された基地局CS2を中心とする円を示し、円C12は基地局CS3を中心とする円を示す。
【0043】
制御部6は、通信信号の変調方式「QPSK方式」及び通信信号の下り信号を受信するアンテナ11aの本数「4本」に基づいて通信信号の下り信号の通信可能距離「416m」を算出し、算出した通信信号の下り信号の通信可能距離「416m」を半径とすると共に基地局CS1の位置を中心とする円を算出する(ステップS25)。図7の円T11は、上記ステップS25において算出された基地局CS1を中心とすると共に通信信号の下り信号の通信可能距離「416m」を半径とする円を示している。
【0044】
上記ステップS24及びステップS25において制御部6は、信号の変調方式及び信号を受信するアンテナ11aの本数に基づいて上記式(1)、式(2)、式(3)及び下記式(5)から信号の通信可能距離を算出する。
アンテナ利得=10log(アンテナ本数)…(5)
ステップS25における通信信号を例として、通信可能距離を算出する手順を説明する。
まず、式(5)のアンテナ本数に、通信信号の下り信号を受信するアンテナ11aの本数「4本」を代入することによりアンテナ利得「6dB」が算出される。アンテナ数4本の場合のアンテナ利得「6dB」は、等価等方放射電力に含まれる送信アンテナ利得の基準値となる。アンテナ数2本の場合には、式(5)よりアンテナ利得「3dB」が算出され、アンテナ数4本の場合とのアンテナ利得差「3dB」を式(2)の等価等方放射電力から差し引く。次に、式(3)の所要SN比が通信信号の変調方式「QPSK方式」に基づいて決まり、式(3)の受信感度が算出される。そして式(2)の受信アンテナ利得にPHS端末Bの受信アンテナ利得を代入すると共に式(3)の受信感度を式(2)の受信感度に代入することにより、伝播損失が算出される。そしてこの伝播損失を式(1)の伝播損失Lpへ代入することにより通信距離dが算出される。なお、通信距離dは、第2実施形態における通信可能距離である。
各変調方式及び信号を受信するアンテナ本数に応じて式(1)、式(2)、式(3)及び式(5)から算出された通信可能距離が、図8に示す変調方式及びアンテナ本数毎の通信可能距離である。
【0045】
制御部6は、ステップS25の処理の後に、現在の通信信号の変調方式である「QPSK方式」よりも通信可能距離が狭い変調方式「8PSK方式」及び通信信号の下り信号を受信するアンテナ11aの本数「4本」に基づいて上記式(1)、式(2)、式(3)及び式(5)から変調方式「8PSK方式」かつ受信するアンテナ本数「4本」である場合の通信信号の下り信号の通信可能距離「287m」を算出し、この通信可能距離「287m」を半径とすると共に基地局CS1を中心とする円T11の同心円である円を算出する(ステップS26)。図7の円T12は、上記ステップS26において算出された基地局CS1を中心とすると共に通信可能距離「287m」を半径とする円を示している。
【0046】
制御部6は、局部発振器切替部11eに1局部発振器動作モードから2局部発振器動作モードに切り替えさせると共に4本のアンテナ11aによって受信していた基地局CS1から送信される通信信号の下り信号を、2本のアンテナ11aで受信するように変更する(ステップS27)。
制御部6は、通信信号の変調方式「QPSK方式」及び通信信号を受信するアンテナ11aの本数「2本」に基づいて上記式(1)、式(2)、式(3)及び式(5)から変調方式「QPSK方式」かつっ受信するアンテナ11a本数「2本」である場合の通信信号の下り信号の通信可能距離「346m」を算出し、この通信可能距離「346m」を半径とすると共に基地局CS1を中心とする円T11の同心円である円を算出する(ステップS28)。図3の円T13は、上記ステップS28において算出された基地局CS1を中心とすると共に通信信号の下り信号の通信可能距離「310m」を半径とする円を示している。
【0047】
制御部6は、受信するアンテナ本数を「2本」に変更したことによって基地局CS1から受信する通信信号の下り信号お変調方式が「QPSK方式」であるか否か判定する(ステップS29)。
制御部6は、ステップS29において『NO』と判定した場合には、すなわちアダプティブアレイアンテナ通信部11が受信している通信信号の下り信号の変調方式が「QPSK方式」のままであると判定した場合には、円T12及び円T13に囲まれたエリア、円C11及び円C12の重畳エリアを算出し、この重畳エリアの中点P3 をPHS端末Bの位置として検出する(ステップS30)。
【0048】
制御部6は、ステップS29において『NO』と判定した場合には、すなわちアダプティブアレイアンテナ通信部11が受信した通信信号の変調方式が「QPSK方式」より通信可能距離の広い「BPSK(Binary Phase Shift Keying)方式」に変更されていると判定した場合には、円T11及び円T13に囲まれたエリア、円C11及び円C12の重畳エリアを算出し、この重畳エリアの中点P4をPHS端末Aの位置として検出する(ステップS31)。
【0049】
以上説明したように、第2実施形態によれば、受信部1が受信する通信信号の下り信号の変調方式「QPSK方式」及び受信するアンテナ11a本数「4本」に基づいて円T11を算出し、変調方式「QPSK方式」より通信可能距離の狭い変調方式「8PSK方式」及びアンテナ11a本数「4本」に基づいて円T12を算出し、変調方式「QPSK方式」及びアンテナ11a本数「2本」に基づいて円T13を算出し、制御信号の下り信号を通信可能距離とする円C1及び円C11を算出し、円T13の算出に使用した変調方式「QPSK方式」及び受信するアンテナ11a本数「2本」の通信信号の下り信号を、アダプティブアレイアンテナ通信部11が受信するか否かによって円T13及び円12に囲まれたエリアまたは円T11または円T12に囲まれたエリアのどちらかにPHS端末Bが位置することを限定することができ、その限定したエリアと円C11及び円C11の重畳エリアからPHS端末Bの位置を検出している為、電波強度のみをパラメータとする場合より変調方式及び受信するアンテナ11a本数に基づいて高精度に通信可能距離を算出すると共に通信信号を受信するアンテナ11a本数の変更によって算出された円T13によってPHS端末Bの位置が限定されることにより通信する基地局数を増やさなくても従来よりも高精度にPHS端末Bの位置を検出することが出来る。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、PHS端末A及びPHS端末Bにより位置検出処理を実行したが、本発明はこれに限定せず、基地局にPHS端末の位置検出を行わせてよい。
例えば、基地局CS1が、PHS端末から基地局CS2及びCS3の位置及び制御信号の変調方式に関する通信情報を取得し、この通信情報に基づいて基地局CS2及びCS3を中心とする円を算出し、通信信号の帯域幅の変更または基地局CS1が受信に使用するアンテナ本数を変更することによってPHS端末の位置を検出するようにしてもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、変調方式、帯域幅または信号を受信するアンテナ本数に基づいて信号の通信可能距離を算出し、算出した通信可能距離に基づいて位置を検出したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、変調方式ではなく、信号の受信帯域幅及びFER(frame error rate)等に基づいて信号の通信可能範囲を算出し、PHS端末A及びPHS端末Bの位置検出を行ってもよい。
【0052】
(3)上記実施形態では、奥村−秦カーブ(PCS拡張秦モデル)の公式を用いて通信可能距離を算出したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、奥村−秦カーブ(PCS拡張秦モデル)の公式ではなく、Walfisch−池上式や坂上式を用いて通信可能距離を算出し、PHS端末A及びPHS端末Bの位置検出を実施してもよい。
【0053】
(4)上記実施形態では、主に下り信号の通信可能距離を使用して位置検出を実施したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、上り信号の変調方式から求めた通信可能距離を使用して位置検出を実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態に係るPHS端末Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るPHS端末Aの動作のフローチャートである。。
【図3】本発明の第1実施形態に係るPHS端末A、基地局CS1、基地局CS2及び基地局CS3によって構成される無線通信システムにおけるPHS端末Aの位置検出を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るPHS端末Aが通信に使用する変調方式及び帯域幅毎の上り信号及び下り信号の通信可能距離を示す図であり。
【図5】本発明の第2実施形態に係るPHS端末Bの機能ブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るPHS端末Bの動作のフローチャートである。。
【図7】本発明の第2実施形態に係るPHS端末B、基地局CS1、基地局CS2及び基地局CS3によって構成される無線通信システムにおけるHS端末Aの位置検出を示す模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るPHS端末Bが通信に使用する信号の変調方式及び受信するアンテナ本数毎の下り信号の通信可能距離を示す図であり。
【符号の説明】
【0055】
A,B…PHS端末、CS1,CS2,CS3…基地局、1…受信部、1a,11a…アンテナ、1b…フィルタ切替部、1c…第1フィルタ、1d…第2フィルタ、1e…ミキサ、1f…局部発振器、1g…受信処理部、2…送信部、3…操作部、4…表示部、5…記憶部、6…制御部、11…アダプティブアレイアンテナ通信部、11b…ミキサ、11c…第1局部発振器、11d…第2局部発振器、11e…局部発振器切替部、11f…アダプティブアレイアンテナ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調方式を通信状態に応じて変更した第1の信号を第1の基地局と送受信すると共に変調方式が固定である第2の信号を前記第1の基地局とは異なる複数の第2の基地局と送受信する通信部と、
前記第1、第2の信号に基づいて自らの位置を検出する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の信号の現在の通信可能距離(第1通信可能距離)を算出し、当該第1通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第1の円を算出し、
前記第1の信号の現在の変調方式より通信可能距離の狭い変調方式から第2通信可能距離を算出し、当該第2通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第2の円を算出し、
前記第1通信可能距離と第2通信可能距離の間の第3の通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第3の円を算出し、
第2の信号の通信可能距離(第4通信可能距離)を算出し、当該第4通信可能距離を半径とすると共に前記第2の基地局をそれぞれ中心とする複数の第4の円を算出し、
通信可能距離変更処理によって前記第1の信号の通信可能距離を前記第1の通信可能距離から前記第3の通信可能距離に変化させ、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1の信号を前記通信部が送受信できる場合には、前記第2の円及び前記第3の円に囲まれたエリアと前記第4の円の重畳エリアの中心を自らの位置として検出し、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1の信号を前記通信部が送受信できない場合には、第1の円及び第3の円に囲まれたエリアと第4の円の重畳エリアの中心を自らの位置として検出する
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信可能距離変更処理として前記第1の信号の帯域幅を変更または前記第1の信号の帯域幅及び変調方式を変更することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記通信部は、複数のアンテナ素子によって構成されるアダプティブアレイアンテナを有し、
前記制御部は、前記通信可能距離変更処理として第1の信号の送受信に使用する前記通信部のアンテナ素子の本数を減らすまたは第1の信号の送受信に使用する前記通信部のアンテナ素子の本数を減らす共に第1の信号の変調方式を変更することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第1の信号は通信チャネルを介して送受信する信号であり、第2の信号は制御チャネルを介して送受信する信号であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の携帯端末。
【請求項5】
変調方式を通信状態に応じて変更した第1の信号を第1の基地局と送受信すると共に変調方式が固定である第2の信号を前記第1の基地局とは異なる複数の第2の基地局と送受信する携帯端末と第1の信号を送受信する第1の基地局であって、
携帯端末と第1の信号を送受信する通信部と、
前記第1の信号に基づいて前記携帯端末の位置を検出する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記通信部が前記携帯端末から受信する第1の信号から前記携帯端末による第2の基地局との通信に関する通信情報を取得し、
前記第1の信号の現在の通信可能距離(第1通信可能距離)を算出し、当該第1通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第1の円を算出し、
前記第1の信号の現在の変調方式より通信可能距離の狭い変調方式から第2通信可能距離を算出し、当該第2通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第2の円を算出し、
前記第1通信可能距離と第2通信可能距離の間の第3の通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第3の円を算出し、
前記通信情報に基づいて第2の信号の通信可能距離(第4通信可能距離)を算出し、当該第4通信可能距離を半径とすると共に前記第2の基地局をそれぞれ中心とする複数の第4の円を算出し、
通信可能距離変更処理によって前記第1の信号の通信可能距離を前記第1の通信可能距離から前記第3の通信可能距離に変化させ、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1の信号を前記携帯端末と送受信できる場合には、前記第2の円及び前記第3の円に囲まれたエリアと前記第4の円の重畳エリアの中心を前記携帯端末の位置として検出し、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1の信号を前記携帯端末と送受信できない場合には、第1の円及び第3の円に囲まれたエリアと第4の円の重畳エリアの中心を前記携帯端末の位置として検出することを特徴とする基地局。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信可能距離変更処理として前記第1の信号の帯域幅を変更または前記第1の信号の帯域幅及び変調方式を変更することを特徴とする請求項5記載の基地局。
【請求項7】
前記通信部は、複数のアンテナ素子によって構成されるアダプティブアレイアンテナを有し、
前記制御部は、前記通信可能距離変更処理として第1の信号の送受信に使用する前記通信部のアンテナ素子の本数を減らすまたは第1の信号の送受信に使用する前記通信部のアンテナ素子の本数を減らす共に第1の信号の変調方式を変更することを特徴とする請求項5記載の基地局。
【請求項8】
変調方式を通信状態に応じて変更した第1の信号を第1の基地局と送受信すると共に変調方式が固定である第2の信号を前記第1の基地局とは異なる複数の第2の基地局と送受信する携帯端末の位置検出方法であって、
前記第1の信号の現在の通信可能距離(第1通信可能距離)を算出し、当該第1通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第1の円を算出し、
前記第1の信号の現在の変調方式より通信可能距離の狭い変調方式から第2通信可能距離を算出し、当該第2通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第2の円を算出し、
前記第1通信可能距離と第2通信可能距離の間の第3の通信可能距離を半径とすると共に前記第1の基地局を中心とする第3の円を算出し、
第2の信号の通信可能距離(第4通信可能距離)を算出し、当該第4通信可能距離を半径とすると共に前記第2の基地局をそれぞれ中心とする複数の第4の円を算出し、
通信可能距離変更処理によって前記第1の信号の通信可能距離を前記第1の通信可能距離から前記第3の通信可能距離に変化させ、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1の信号を前記携帯端末が送受信できる場合には、前記第2の円及び前記第3の円に囲まれたエリアと前記第4の円の重畳エリアの中心を前記携帯端末の位置として検出し、通信可能距離が前記第3の通信可能距離となった前記第1信号を前記携帯端末が送受信できない場合には、第1の円及び第3の円に囲まれたエリアと第4の円の重畳エリアの中心を前記携帯端末の位置として検出することを特徴とする位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−109331(P2009−109331A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281688(P2007−281688)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】