説明

携帯端末およびヒンジ機構

【課題】 縦長の表示部を有する携帯端末に横長の画像情報等を表示する場合にあっても、利用者に携帯端末を安定して配置できるとともに、違和感なく視聴を可能な携帯端末。
【解決手段】 縦長の表示部を有する上側ユニットと、下側ユニットとを、第1回転軸部と第2回転軸部が互いに直交する様に回転軸を構成して、前記第1回転軸部回り上側ユニットを回転したときには、前記両ユニットが直列に配列され、前記第に回転軸部回りに上側ユニットを回転させたときに前記両ユニットが並列に配置される様にしたので、横長の表示を前記表示部に表示させても、安定して且つ違和感なく視聴可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示窓と操作部とが各々のユニットに配置され、両ユニットを折り畳み可能にした携帯端末に関し、両ユニットを連結する複数の回転軸部によって、両ユニットを直列および並列に配置することを可能とした携帯端末と両ユニットの開閉に使用するヒンジ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロプロセッサの処理速度の向上、低消費電力化や無線通信技術の進展により、携帯端末装置の小型、軽量が進み、また回線を経由して動画像情報を送受できるようなって来ている。携帯端末は、持ち運びに簡便な様に、数字キーやファンクションキーを配列した操作面を有するユニットと表示面を有するユニットをヒンジ構造で連結し、携帯時には、両ユニットを折り畳み、操作面および表示面を保護し、使用時には両ユニットを開状態にし、操作面と表示面とが視聴可能になる様にできる。
【0003】
各種の携帯端末の中でも、携帯電話は、無線網の進展に伴い、動画像の送受が可能になって来ている。この携帯電話は、上記した折り畳み構造のものが主流であり、片手で操作が出来る様に操作面側のユニットは縦長の形状に設計されており、この操作面側のユニットとヒンジ構造で接続される表示面側のユニットも縦長形状で、この表示面側のユニットに搭載されるLCDなどで構成される表示部の表示面積を最大限に広くするために縦長の表示画面になっている。
【0004】
携帯電話の上側および下側ユニットに関して、特開2003−239943号公報には、本体部と蓋部との開閉に加え、蓋部を開いた状態にして、回転可能にしたヒンジ構造を有する携帯電話について開示され、同様の構造は、特開2004−270807号公報、特開2002−118633号公報にも記載がある。
【0005】
さらに、特開2004−180022号公報には、折り畳み式の携帯電話機の主表示部が設けられた上側筐体にヒンジ部を介して主表示部と同様の表示が可能な副表示部を回転可能な様に設け、主表示部と副表示部との並列表示等が出来る携帯端末装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−239943号公報、図5、図7等。
【特許文献2】特開2004−270807号公報、図7、図8等。
【特許文献3】特開2002−118633号公報、図2等。
【特許文献4】特開2004−180022号公報、図1等.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した様に、無線網を利用した携帯電話においても、従来のコンピュータ端末に配信されていた画像情報を含む各種のデータを受信できる様になって来ている。そこで、携帯電話で映画などを視聴する利用者の視聴時間は益々長くなると予測できる。しかしながら、従来の大方の画像情報は、パソコンのモニタやテレビなどの横長の表示を前提としたものであり、上記した携帯電話の縦長表示面にスキャンコンバートして、表示した場合に、携帯電話自体を90度回転させて保持して、画面を見る必要があり、長時間の視聴には不便である。また、長時間の視聴のためには、机上や膝の上等に携帯電話を置いて、視聴するのが好ましいが、従来の折り畳み式の携帯電話では、表示部と操作部とを開閉角度が180度よりも小さな“く”の字型にしなければ、携帯電話を安定した形状に出来ないので、表示画像を視聴するときに、画面に隣接する操作面が視野内に入り、画像を注視しづらい等の問題があった。
【0007】
本発明は、横長の表示であっても、安定した姿勢に配置出来、利用者に不便を掛けることなく、表示された画像等の視聴が可能な携帯端末を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の携帯端末は、表示部が設けられた上側ユニットと、キー操作部が設けられた下側ユニットとを並列に配置可能にした構成を特徴とするものであり、第1の発明においては、表示部が設けられた上側ユニットと、キー操作部が設けられた下側ユニットと、上側ユニットと下側ユニットとの開閉を可能にする第1回転軸部と、この第1回転軸部の回転中心軸と直交する回転中心軸を有し、上側ユニットと下側ユニットとの開閉を可能にする第2回転軸部とを有し、前記上側ユニットと前記下側ユニットとの開閉が2方向に可能であること特徴とする携帯端末を要旨とする。
【0009】
携帯端末は、第1の発明の構成に加え、第1と第2の回転軸部を連結したことを特徴としてもよく、第2の発明では、第1の発明の構成に加え、第1回転軸部の回転中心軸と直交する方向に回転軸を有する第3回転軸部を有した構成を有して特徴とする携帯端末を要旨とした。
【0010】
さらに、第3の発明においては、第1乃至第2の発明のいずれかの構成に加え、第1回転軸部の端部保持部が下側ユニットに設けられ、上側ユニットと下側ユニットとを重ね合わせたときに、第1回転軸部と端部と前記端部保持部とが嵌合し、端部と端部保持部とが嵌合した状態で上側ユニットと下側ユニットとが開状態となることを特徴とする携帯端末を要旨とした。
【0011】
さらに、第4の発明においては、第1乃至第3の発明の構成に加え、各回転軸部は、回転軸の回転角を保持する保持機構を有することを特徴とする携帯端末を要旨とした。
【0012】
また、第5の発明においては、所定の回転位置で互いに嵌合する一対の嵌合ユニットと、
前記嵌合ユニットを連結する連結軸と、前記一対の嵌合ユニットの少なくとも一方が前記連結軸回りを回転したときに、前記所定の回転位置で嵌合する様に前記一対の嵌合ユニットの一方を押圧する押圧手段とを有し、前記連結軸は中空軸であることを特徴とするヒンジ機構を要旨とした。このヒンジ機構を本携帯端末に使用すれば、嵌合ユニットを連結する中空軸を介して、配線が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る構成では、表示部と操作部とを並列に配置することが可能になり、上側ユニットに設けた表示部を視聴し易い角度に設定して、操作部を設けた下側ユニットを台座として、携帯端末を机上等に配置することが出来るので、横長画面であっても利用者は負担無く、表示画面を視聴できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、携帯電話を例に説明するが、本発明は携帯電話に限ることなく、携帯端末に適用可能である。
【0015】
〔第1実施例〕図1乃至図14は、本発明の第1実施例を示す図である。図1は、本発明に係る携帯電話10の概略外形図と携帯電話10を構成する各ユニットの開閉等の動作を示す図であり、複数の数字キー、ファンクションキーやマイクなどを配置した操作部を有する下側ユニット20と表示部32およびスピーカ34等を図示した内側に配置し、表面側に副表示部38を備えた上側ユニット30とが、第1回転軸部40と第2回転軸部50および第3回転軸部60で連結されている。上側ユニット30と下側ユニット20とは、第1回転軸部40によって、矢印Aで示した方向に開閉が可能であり、第2回転軸部50によって、矢印Bで示した方向に開閉が可能であり、第3回転軸部60によって、矢印Cで示した方向に回転可能である。
【0016】
この様に、本実施例では、上側ユニット30と下側ユニット20とを並列配置可能な様に、第1回転軸部40の回転軸に直交する回転軸を有した第2回転軸部50を設けたので、表示部32と下側ユニット20とを並列に配置可能になり、安定した姿勢に携帯電話10を配置でき、長時間の横長表示の画像等を煩わしさ無く、視聴できる。
【0017】
図2は、携帯電話10を上側ユニット30側から見た平面図であり、第1回転軸部40に対応する第1回転軸41、第2回転軸部50に対応する第2回転軸51、第3回転軸部60に対応する第3回転軸61等の各回転軸の位置関係を示す図である。第2回転軸51は、第1回転軸41の端部近傍に設けられており、第1回転軸41の回転軸とほぼ直交する様に交差し、第3回転軸61は、第1回転軸部40の中央部近傍で第1回転軸41とほぼ直交する様になっている。
【0018】
図3は、第1回転軸部40と第2回転軸部50との交差する近傍の外形図を示す図であり、本実施例では、第1回転軸部40は上側ユニット30の上端部に設け、第2回転軸部50は、上側ユニット30と下側ユニット20との中間部分に設けられている。これら各回転軸部の外側は、樹脂製の筐体で覆われており、第1回転軸部40と、第2回転軸部50の連結部分も筐体で覆われている。
【0019】
つぎに、各軸部の概略構成を示す図4を参照して、第2回転軸部50、第1回転軸部40、第3回転軸部60の順に詳細を説明する。図4は、第2回転軸51を構成する第2ヒンジモジュール回りに上側ユニット30を回転させて、下側ユニット20の数字キーやファンクションキーからなるキー群22とマイク24を配置した操作面と、上側ユニット30の表示部32、スピーカ34やクッション37等を配置した表示面とが並列配置したときを図示している。
【0020】
〔第2回転軸部〕 第2回転軸部50を構成する主要部品は、下側ユニット20の筐体または、下側ユニット20内の基板(図示せず)に固着された第2ヒンジモジュール52と第1軸部44である。第2ヒンジモジュール52の詳細構造は後述するが、この第2ヒンジモジュールは、互いに回転可能な一対の回転ユニットから構成され、所定の回転角を保持する機能を有しており、一対の回転ユニットの一方は、前述の如く、下側ユニット20の筐体または、下側ユニット20内の基板(図示せず)に固着され、他方は、第1軸部44に固着されている。
【0021】
第1軸部44のX方向の他端部(図示の左端部)には中空部が設けられているとともに、この中空部の径とほぼ同じ径の中空部を有するガイド58が接している。このガイド58は、下側ユニット20の筐体または基板に固定されており、ガイド58の端部に設けたリング状の突起部と第1軸部44に設けた凹部とが嵌め合っており、ガイド58とは回転自在に連結されている。
【0022】
〔第1回転軸部〕第1回転軸部40の主要構成部品は、第1軸部44の一部を構成し、Y方向に伸びた連結円筒部分と、この連結円筒部分の中空部に嵌合している第1ヒンジモジュール42である。この第1ヒンジモジュール42は、第2ヒンジモジュール52と同様に、所定の回転角を保持する機能を有している(詳細は後述)。第1回転軸部40の上端部近傍には、上側ユニット30と回転自在に嵌合した第3ヒンジモジュール62が第1回転軸部40略直交する様に配置されている。
【0023】
さらに、第1軸部44や第1ヒンジモジュール42等の外周部には、外観を整えるために樹脂製ハウジング48、49が設けられており、ハウジング48は、第2ヒンジモジュール52、ガイド58の一部をも覆っている。
【0024】
また、ハウジング49の先端部には、上側ユニット30と下側ユニット20とを折り畳んだ際に、下側ユニット20に備えたロック部26と嵌合するストッパ480(後述)が設けられている。なお、上側ユニット30は、第3ヒンジモジュール62によって支持されており、この支持をより確実なものとするために、上側ユニット30の筐体に第3ヒンジモジュール62と嵌合するボス部を設け、保持面積を増やして、上側ユニット30を安定して支持させることも好ましい。また、上側ユニット30の筐体にボス部を設ける構成の場合には、ブラケット64は必ずしも必要ではない。
【0025】
〔第3回転軸部〕第3回転軸部60の主要構成部品は、先述の第3ヒンジモジュール62である。この第3ヒンジモジュール62も、一対の回転可能なユニットで構成され、所定の回転角を保持する機能を有するが、一方のユニットを上側ユニット30に、他方のユニットをハウジング49内に固着されて、第1回転軸部40と直交する軸回りに回転可能に構成されている。
【0026】
上記したガイド58、第1ヒンジモジュール42、第3ヒンジモジュール62および第1軸部44は中空部を有しており、この中空部に下側ユニット20と上側ユニット30との間を接続するケーブル28が配置されている。
【0027】
つぎに、上記した第1乃至第3ヒンジモジュール42、52、62の構造を図5を参照して説明する。図5(A)は、ヒンジモジュール100の中央断面図を示す図であり、ケース102内にバネ104がモジュール軸114の回りに配置されている。このバネ104の一端は、ボール保持部106を押圧しており、ボール108はバネ104によって、ボール摺動部110を強く押圧している。このボール摺動部110はケース112に収納されており、ケース112はスペーサ116を介して、モジュール軸の一端のフランジ部118によって、軸方向の移動が規制されている。このフランジ部118は、ヒンジモジュール100を組み立ての最後に、モジュール軸114のフランジ部118相当の先端部をカシメることによって容易にフランジ状形状を形成できる。また、この図5(A)を上方向からみた平面図である図5(D)に示す如く、ボール保持部106の爪状の一部が、ケース102と嵌合する構成となっており、ケース102とボール保持部106とは位置決めされ、回転が規制されている。
【0028】
図5(B),(C)は、ヒンジモジュール100の左側面図および右側面図であるが、ヒンジモジュール100の外周面には、キー溝120が複数設けられており、このキー溝120と嵌合する突起を有する部材に容易に、固定可能となっている。
【0029】
ボール保持部106側とボール摺動部110側とを、相対的に回転されると、ボール108はボール保持部106側に追従して移動し、ボール108がボール摺動部110に設けた凹部位置に合ったときに、この凹部にボール108が入り、ボール保持部106側とボール摺動部110側との回転位置が保持される。
【0030】
図6はヒンジモジュール100のバネ104の替わりに皿バネ130を使用したヒンジモジュール150を示す図であり、この皿バネを利用することで、ヒンジモジュールの全長を短くすることが可能になり、本実施例では、第3回転軸部60に使用している。
【0031】
図7は、他のであるヒンジモジュール170であり、ヒンジモジュール100、150と主に異なる点は、ボール108の替わりに、凸カム部140および対向する位置に配置する凹カム部142を使用した点である。凸カム部140の凸部形状は、例えば凸カム部140の中心を通る直線状と突起であり、凹部カム部142の凹部形状は凹部カム部142の中心を通る溝形状とし、突起と溝とが嵌合したときに、凸部カム部140側と凹カム部142側との相対角度を保持可能になる。
【0032】
上記した、ヒンジモジュール100、150、170の内、本実施例では第1ヒンジモジュール42にヒンジモジュール100に相当するものを使用するが、この場合に第1回転軸41回りの上側ユニットと下側ユニットとの回転角度が保持される状況を図8を参照して説明する。この図8に示す様に、本実施例では、両ユニット20、30が160度の開き角度を保持する様に、第1ヒンジモジュール42のボール108(図5参照)位置を設定してあり、図示の約120度の範囲では、ボール108がまだボール摺動部110の凹部位置と外れており、この角度範囲では、上側ユニット30はフリーストップ状態であり、この120度のフリーストップ範囲外の各々20度内では、ボール108が凹部位置に嵌合し始め、嵌合するので、両ユニット20、30が閉状態(重ね合わせ状態)または、160度の開き角の状態に保持される。
【0033】
なお、図4で示した第2ヒンジモジュール52のモジュール軸(図5(A)参照)は、中空軸でなくとも良い。
【0034】
次に、図9を参照して、第1回転軸41の先端部に設けたストッパ480を説明する。
【0035】
ストッパ480は、ハウジング49に固着されており、このストッパ480の外周部から内方向にエッジ状のストッパリブ481が突起している。つぎに、ストッパ480とロック部26の動作を図10(A)、(B)、(C)を参照して説明する。図10(A)は、上側ユニット30が、下側ユニット20に向かう方向に回転している場合を示している。下側ユニット20の筐体部に固着されたストッパ収納部240内には、バネ242と、このストッパ収納部の内壁を摺動可能に移動するストッパ軸244が収納されており、バネ242によって、ストッパ軸244の先端に設けられたストッパ爪246が、ストッパ収納部240の外側に突出する様に、保持されている。このストッパ軸244は、下側ユニット20の側壁に設けられた解除ボタン248を筐体内方向に押圧することにより、ピン254で連結され、ピン256で下側ユニット20の筐体等に固着されたアーム250とアーム252とによって、ストッパ爪246がストッパ収納部240に収納される様に移動する。
【0036】
つぎに、上側ユニット30が、下側ユニット20と重なる位置まで移動するにつれて、ハウジング49の端部とテーパ状のストッパ爪246とが接触し、両ユニット20、30間の角度が小さくなるに従って、ストッパ爪246のテーパ状の先端がハウジング49に押され、ストッパ軸244がストッパ収納部240内に移動し、両ユニット20、30が重なったときに、図10(B)に示す様に、ストッパ爪246の溝部に、ストッパ480のストッパリブ481が嵌合する。一端、ストッパ爪246とストッパリブ481とが嵌合すると、バネ242がストッパ軸244を押圧するので、図10(C)に示す様に、上側ユニット30と下側ユニット20とが開閉されても、ストッパ爪246とストッパリブ481との嵌合は保持されるので、上側ユニット30を滑らかに開閉できる。
【0037】
次に図11、図12に、第1回転軸部40、第3回転軸部60の他の例を示す。図11に示す第1回転軸と図4の第1回転軸部40との違いは、第1ヒンジモジュール42のモジュール軸114の形状であり、図11に示す例では、ボス部56内に第1ヒンジモジュール42は収納され、第1ヒンジモジュール42のモジュール軸114は第1軸部44と嵌合していない構成とした。
【0038】
図12は、第3回転軸部60にヒンジモジュールを使用しない例であり、図4で使用した第3ヒンジモジュール62に替えて、円筒軸66を使用している。
【0039】
なお、第1回転軸部40と第2回転軸部50は、各々の回転軸が直交する様に配置されていれば良く、必ずしも各々の回転軸は交差する必要はない。図13に、第1実施例の変形例として、第1回転軸部40と第2回転軸部50との位置を変えた例を示す。図13(A)は、第1回転軸部40が上側ユニット30の厚み内に配置した場合であり第1実施例に相当し、図13(B)は第1回転軸部40が上側ユニット30と下側ユニット20との間に配置した場合であり、図13(C)は、第1回転軸部40と第2回転軸部50とを下側ユニットの厚み内に配置した例を示す。
【0040】
上記した第1実施例の携帯電話10の上側ユニット30と下側ユニット20との取り得る相対位置関係を図14に示す。以下の説明では、第1回転軸部40、第2回転軸部50、第3回転軸部60の各軸心を第1回転軸、第2回転軸、第3回転軸と称す。図14(1)は上側ユニット30と下側ユニット20を折り畳み重ねた状態を示し、図14(2)は、(1)の状態から、上側ユニット30を第2回転軸回りに回転し、上側ユニット30と下側ユニット20とを並列配置したものである。図14(3)は、第1回転軸回りに上側ユニットを回転させ、上側ユニット30と下側ユニット20とを直列に配置した状態を示し、この状態で、第2回転軸回りに上側ユニット30を回転させた場合を図14(4)に示す。この状態で、上側ユニット30を第3回転軸回りに回転させた状態を図14(5)に示す。図14(3)の上側ユニット30と下側ユニット20とを直列に配列した状態から、上側ユニット30を第3回転軸回りに回転させた場合を図14(6)に示し、この状態から、第1回転軸回りに上側ユニット30を回転させ、両ユニットを重ね合わせた状態を図14(7)に示し、さらに、この状態から、上側ユニット30を第2回転軸回りに回転させ両ユニットを並列配置した状態を図14(8)示す。
【0041】
なお、第1実施例において、第1回転軸部40、第2回転軸部50、第3回転軸部60の3つを設けたが、第1回転軸部40、第2回転軸部50の2つのみで上側ユニット30と下側ユニット20とを並列配置が可能であり、この2つの回転軸部のみで携帯電話10を構成するようにしても良い。
【0042】
〔第2実施例〕つぎに図15乃至図18を参照して、第2実施例を説明する。図15において図4に示した部材と同様の機能を有するものには同じ符号を付し、説明を省略する。本第2実施例と第1実施例の違いは、第1回転軸部の違いであり、本第2実施例では、第1回転軸部にヒンジモジュールを設けていない。このために、上側ユニット30と下側ユニット20とを図1の矢印Aで示す方向に開閉する場合に所定の角度で保持することができない。そこで、本実施例では、上側ユニット30と下側ユニット20を重ね合わせた場合に、ストッパ480とロック部26とが嵌合し、ロック部内にヒンジモジュールを設けて、前記矢印A方向に開閉する場合にも、開き角度を保持できる様にした点である。さらに、この第2実施例の変形として、第2回転軸部50回りに上側ユニット30を回転させるときに、上側ユニット30の回転を規制した構成を付加した例を示す。
【0043】
図15に示した第2実施例では、ロック部26の構成は図10に示したものと略同様であるが、図10のストッパ軸244に替えて、図16に示す様にヒンジモジュール245を使用している。このヒンジモジュール245は、図5に示したものと同様であるがモジュール軸114(図5参照)は中空軸でなくともよく、このヒンジモジュール245はストッパ収納部240に固定されるのではなく、キー溝120(図5参照)を案内として、図16のバネ242に押圧方向に移動可能で、回転はキー溝120で規制されている。このように、ロック部26内にヒンジモジュール245を設けたので、図1で示した矢印A方向に開閉する場合にも上側ユニット30と下側ユニット20間を所定の角度で保持可能となる。
【0044】
この第2実施例において、上側ユニット30を第2回転軸部50回りに回転させる場合に、上側ユニット30が上記矢印A方向に回転する恐れがある。このA方向の回転を規制した構造を図17に示す。 図17は、上側ユニット30と下側ユニット20を閉じたときに、図1において、矢印Dで示した方向から矢視した要部断面図を示したものであり、第3回転軸部60は省略してある。
【0045】
図17で、第1軸部441は、図4の第1軸部44に相当する軸である。この第1軸部441の端部には、後述するカム442が固着されている。このカム442は、上側ユニット30が矢印Eで示す第2回転軸部50の回転軸回りに開かれるときに、第2回転軸部50内のカム541に沿って回転する。図18にカム442およびカム541の要部を示す。カム442には、突起部444が設けられており、この突起部444は、上側ユニット30と下側ユニット20とが閉じた状態では、カム541の逃げ部543近傍に位置し、この状態で上側ユニット30は、通常の上側ユニット30と下側ユニット20とを直列に配列する開き方向に回転が可能となっている。上側ユニット30を横開きさせる際には、上側ユニットを図示の矢印E方向に回転させるが、この回転時には、カム442の突起部444は、カム541の外周に沿って移動し、図18に示す様に、カム541の突起部545とカム442の突起部444とが接する位置で第1軸部441のE方向の回転は規制され、この第1軸部441は、軸回りの回転も規制される。
【0046】
上記したカム442およびカム541は突起を有した形状であるが、図19に、変形例を示す。図19では、上側および下側ユニット等の図示は省略してある。図18に示したカム442に相当するカム450は、円板状で円周の一部に平取り部452が設けられている。同様に図18のカム541に相当するカム550も円板状で円周の一部に平取り部552が設けられている。上側ユニットを開閉する場合に本変形例でも矢印E方向に第1軸部441は移動するが、このときに平取り部452がカム550の円板部分に接する様に移動する。従って、本変形例では、E方向に上側ユニットを回転する時に第1軸部441の図示した矢印F方向の回転も規制することが可能になる。
【0047】
〔第3実施例〕第1実施例および第2実施例では、下側ユニット20にロック部26を設けた実施例であるが、第3実施例では、このロック部26を下側ユニット20内に設けている点が異なる。なお、第3実施例において第1実施例と同様の機能を有する部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0048】
図20(A)は、第3実施例の携帯電話600の上側ユニット30と下側ユニット20とを重ね合わせたときの概略図であり、図20(B)は上側ユニット30と下側ユニット20とを直列に配置したときの概略図である。同図に示す様に、ロック部を下側ユニット20の操作面上に配置していないので、第1回転軸部40を長く構成することが可能になる。図21は、上側ユニット30と下側ユニット20とを並列に配置したときの概略図である。図21において、第1回転軸部40の上端部に、ロック爪部610が設けられ、上側ユニット30を、下側ユニット20と重ねたときに、このロック爪610は、下側ユニット20の筐体内に設けたロック部612に挿入される。このロック部612の詳細を図22を参照して説明する。図22(A)は下側ユニット20内にロック爪610が挿入されたときのロック部612近傍の断面図を示し、断面図を図22(B)に示す。図22(A)でロック爪610に設けた溝に、バネ666で押圧されたスライド爪664の先端が挿入され、ロック爪610は固定される。このスライド爪664は傾斜部を有し、この傾斜部に下側ユニット20の外部に突出部を有する解除ボタン668が接している。この解除ボタン668を押圧すると、解除ボタン668の先端部がスライド爪664の傾斜部を押すことになり、スライド爪664は、図示の右方向に移動し、スライド爪664の先端部は、ロック爪610の溝から離れ、ロックが解除される。
【0049】
この第3実施例の携帯電話600の上側ユニット30および下側ユニット20の開閉方向、移動等の動作を図23に示す。この図は第1実施例の図1に相当するものである。図24は、上側ユニット30と下側ユニット20とを並列配置した場合の図であるが、第1実施例で説明した様に第2回転軸部にヒンジモジュールを使用した場合に、上側ユニット30を所定の角度で角度設定出来ることを示した図であり、例えばαを180度、ベータを160度等に設定したものである。図25は、第3回転軸部にヒンジモジュールを本実施例に使用した場合の上側ユニット30を所定の角度で角度設定出来ることを示した図であり、αを例えば45度、60度等に設定可能である。
〔第4実施例〕第4実施例を図26に示す。本実施例においても、第1実施例、第2実施例と同様の機能を有する部材には同符号を付し、説明を省略する。本実施例と第1、2実施例と異なる点は、上側ユニット30と下側ユニット20とを並列配置したときに、上側ユニット30と下側ユニット20とを固定するためのロック機能を設けた点である。図26を参照して、このロック部の説明を行う。
【0050】
図26(A)は、携帯電話700の上側ユニット30と下側ユニット20とを並列配置した平面図であり、図26(B)は、図26(A)を右側面から矢視したときの側面図である。本実施例では、第1回転軸部40の図示上端部にロック爪610が設けられ、下側ユニット20にロック部662が設けられている。図26(A)に示す様に、上側ユニット30と下側ユニット20とを並列配置したときに、下側ユニットの筐体にロックレバー710が軸714を介して下側ユニット20に回転自在に取り付けられており、一端が固定され他端がロックレバー710を押圧するバネ712によって、ロックレバー710の先端が上側ユニット30に設けられた溝716に挿入され、両ユニット間の位置決めを行っている。このロックレバー710と第1回転軸部40とによって、上側ユニット30は、両端支持されることになり、確実な位置決めが可能になるので、手振れの影響や振動の影響によって上側ユニット30がズレる心配がない。
【0051】
上記の開示に加え、下記の付記を開示する。
(付記1)表示部が設けられた上側ユニットと、キー操作部が設けられた下側ユニットと、
前記上側ユニットと前記下側ユニットとの開閉を可能にする第1回転軸部と、前記第1回転軸部の回転中心軸と直交する回転中心軸を有し、前記上側ユニットと前記下側ユニットとの開閉を可能にする第2回転軸部とを有し、前記上側ユニットと前記下側ユニットとの開閉が2方向に可能であること特徴とする携帯端末。
(付記2)前記第1回転軸部と前記第2回転軸部とが連結していることを特徴とする付記1に記載の携帯端末。
(付記3)前記第1回転軸部に設けられ、前記第1回転軸部の回転中心軸と直交する方向に回転軸を有する第3回転軸部を有した付記1または付記2に記載の携帯端末。
(付記4)前記第1回転軸部の端部保持部が前記下側ユニットに設けられ、前記上側ユニットと前記下側ユニットとを重ね合わせたときに、前記第1回転軸部と端部と前記端部保持部とが嵌合し、前記端部と端部保持部とが嵌合した状態で前記上側ユニットと前記下側ユニットとが開状態となることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の携帯端末。
(付記5)前記第1回転軸部、前記第2回転軸部および前記第3回転軸部の各々に、回転軸の回転角を保持する保持機構を有することを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載の携帯端末。
(付記6)所定の回転位置で互いに嵌合する一対の嵌合ユニットと、前記嵌合ユニットを連結する連結軸と、前記一対の嵌合ユニットの少なくとも一方が前記連結軸回りを回転したときに、前記所定の回転位置で嵌合する様に前記一対の嵌合ユニットの一方を押圧する押圧手段とを有し、前記連結軸は中空軸であることを特徴とするヒンジ機構。
(付記7)前記第2回転軸部は両端支持構造であることを特徴とする付記1乃至付記5のいずれかに記載の携帯端末。
(付記8)付記4において、前記端部保持部は、前記下側ユニットのキー操作部面よりも下部に設けられていることを特徴とする付記1に記載の携帯端末。
(付記9)前記第1回転軸部端部と前記第2回転軸部端部とが分離されており、前記各端部にカムを有し、前記上側ユニットと前記下側ユニットとが前記第1回転軸部回りに回転自在であり、前記第2回転軸部回りに回転する際には、前記第1回転軸部回りの回転が規制されていることを特徴とする付記1に記載の携帯端末。
(付記10)付記1乃至付記9のいずれかの携帯端末において、前記第1および第2回転軸部を中空軸を用いて構成し、前記中空軸内に前記下側ユニットを前記上側ユニットとの間を接続するケーブルを前記中空軸を経由して配線されることを特徴とする携帯端末。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、縦長の表示部を有する上側ユニットと、下側ユニットとを、第1回転軸部と第2回転軸部が互いに直交する様に回転軸を構成して、前記第1回転軸部回り上側ユニットを回転したときには、前記両ユニットが直列に配列され、前記第に回転軸部回りに上側ユニットを回転させたときに前記両ユニットが並列に配置される様にしたので、横長の表示を前記表示部に表示させても、安定して且つ違和感なく視聴可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施例の携帯電話の概略外形を示す図。
【図2】回転軸の配置を示す図。
【図3】第1回転軸部と第2回転軸部の近傍を示す図。
【図4】第1実施例の詳細を示す図。
【図5】ヒンジモジュールの構造を示す図。
【図6】ヒンジモジュールの他の構造を示す図。
【図7】ヒンジモジュールの他の構造を示す図。
【図8】ヒンジモジュールによる角度保持機能の1例を示す図。
【図9】第1回転軸部の端部を示す図。
【図10】ロック部の機能を説明する図。
【図11】第1回転軸部の他の例を示す図。
【図12】第1回転軸部の他の例を示す図。
【図13】第1回転軸部と第2回転軸部の位置を替えた例を示す図。
【図14】上側ユニットと下側ユニット位置を示す図。
【図15】第2実施例を示す図。
【図16】ロック部を説明する図。
【図17】第1回転軸部近傍を示す図。
【図18】第1回転軸近傍の他の例を示す図。
【図19】第1回転軸部近傍の他の例を示す図。
【図20】第3実施例を示す図。
【図21】両ユニットを並列配置したときの概略外形図。
【図22】ロック機能を説明する図。
【図23】第3実施例の上側ユニットおよび下側ユニットの動作を示す図。
【図24】第3実施例で上側ユニットと下側ユニットとを並列配置したときの概略を示す図
【図25】上側ユニットを傾斜させたときを示す図。
【図26】第4実施例の概略を示す図
【符号の説明】
【0054】
10 携帯電話
20 下側ユニット
22 キー群
26 ロック部
30 上側ユニット
32 表示部
40 第1回転軸部
42 第1ヒンジモジュール
44 第1軸部
50 第2回転軸部
52 第2ヒンジモジュール
60 第3回転軸部
62 第3ヒンジモジュール
100 ヒンジモジュール
244 ストッパ軸
245 ヒンジモジュール
442 カム
450 カム
480 ストッパ
481 ストッパリブ
541 カム
550 カム
600 携帯電話
610 ロック爪
664 スライド爪
710 ロックレバー
716 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部が設けられた上側ユニットと、
キー操作部が設けられた下側ユニットと、
前記上側ユニットと前記下側ユニットとの開閉を可能にする第1回転軸部と、
前記第1回転軸部の回転中心軸と直交する回転中心軸を有し、前記上側ユニットと前記下側ユニットとの開閉を可能にする第2回転軸部とを有し、
前記上側ユニットと前記下側ユニットとの開閉が2方向に可能であること特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記第1回転軸部に設けられ、前記第1回転軸部の回転中心軸と直交する方向に回転軸を有する第3回転軸部を有した請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記第1回転軸部の端部保持部が前記下側ユニットに設けられ、前記上側ユニットと前記下側ユニットとを重ね合わせたときに、前記第1回転軸部と端部と前記端部保持部とが嵌合し、前記端部と端部保持部とが嵌合した状態で前記上側ユニットと前記下側ユニットとが開状態となることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第1回転軸部、前記第2回転軸部および前記第3回転軸部の各々に、回転軸の回転角を保持する保持機構を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項5】
所定の回転位置で互いに嵌合する一対の嵌合ユニットと、
前記嵌合ユニットを連結する連結軸と、
前記一対の嵌合ユニットの少なくとも一方が前記連結軸回りを回転したときに、前記所定の回転位置で嵌合する様に前記一対の嵌合ユニットの一方を押圧する押圧手段と有し、
前記連結軸は中空軸であることを特徴とするヒンジ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−113686(P2007−113686A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305439(P2005−305439)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】