説明

携帯端末および防御動作実行プログラム

【課題】複数の候補から一つの防御動作を状況に応じて選択的に行わせ、かつ、防御動作の誤作動を防止することを課題とする。
【解決手段】携帯端末10は、操作キー102、加速度センサ103、光センサ104からそれぞれの入力を受け付ける。その入力が所定の条件を満たした場合に、ボタン操作判定部204、加速度判定部205、光強度判定部206あるいは音声認識部207からは、所定の識別情報が出力される。防御動作選択テーブル310には、複数の識別情報の組合せごとに大音量出力部201、メール送信部202あるいは電話番号発信部203の識別情報が登録される。防御動作実行制御部209は、テーブルを参照し、各部から受け取った複数の識別情報の組合せに対応する識別情報を選択し、当該識別情報で識別される部に防御動作を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防犯機能付きの携帯端末および当該の携帯端末に実行させる防御動作実行プログラムに関し、特に、複数の候補から一つの防御動作を状況に応じて選択的に行わせることができ、かつ、防御動作の誤作動を防止することが可能な携帯端末および当該の携帯端末に実行させる防御動作実行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPHS等の携帯端末は、通話や情報の送受信のほか、防犯のためにも用いられるようになってきている。このような携帯端末の中には、例えば、ボタン操作を受け付けたうえで、大音量を出す、あるいは、指定の連絡先に発信するなど、予めユーザにより選択された防御動作を行なうものがある。
【0003】
また、マイクから入力される音声に対して音声認識を行い、所定のキーワードを確認した場合に防御動作を実行するというように、何らかのセンサからの入力を利用して所定の防御動作を行うものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−288771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の携帯端末のうち、ボタン操作を受け付ける携帯端末では、異常事態が発生した際に、必ずしも、状況に応じた適切な防御動作が行われないという問題があった。例えば、誘拐犯に捕まり、こっそり指定の連絡先に発信したいのに、現在選択中の防御動作が大音量の出力だったという場合があり得る。また、暴漢などに襲われそうになり、大音量で相手を威嚇、または、身の危険を周囲に知らせたいのに、現在選択中の防御動作が指定の連絡先への発信だったという場合もあり得る。
【0006】
また、センサからの入力を利用して所定の防御動作を行う携帯端末では、持ち主の日常における動作でも異常事態が発生したと判定してしまうことがあり、ボタン操作に比べて誤作動が多いという問題があった。例えば、上記した所定のキーワードに一般的に選択される「タスケテ」という言葉は、友達とふざけあっていても発声されることがあり、必要のないときに防御動作が行われる場合があり得る。
【0007】
この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、複数の候補から一つの防御動作を状況に応じて選択的に行わせることができ、かつ、防御動作の誤作動を防止することが可能な携帯端末および当該の携帯端末に実行させる防御動作実行プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この端末は、防犯機能付きの携帯端末であって、複数の防御動作のうち一つを選択的に実行する防御動作実行手段と、当該の携帯端末が所定の条件を満たす入力を受け付けた場合に、該条件に対応する入力識別情報を出力する入力識別手段と、第1の識別情報と第2の識別情報の組合せ毎に、前記防御動作を識別するための防御動作識別情報が登録される記憶手段と、前記記憶手段に登録されている前記第1の識別情報と前記第2の識別情報の組合せのうち、前記入力識別手段によって出力された入力識別情報の1つである一次入力識別情報と前記第1の識別情報が一致し、前記一次入力識別情報の次に前記入力識別手段によって出力された入力識別情報である二次入力識別情報と前記第2の識別情報が一致する組合せに対応する前記防御動作識別情報を前記記憶手段から取得し、取得された防御動作識別情報によって識別される防御動作を前記防御動作実行手段に実行させる防御動作実行制御手段とを備えたことを要件とする。
【0009】
また、このプログラムは、防犯機能付きの携帯端末に実行させる防御動作実行プログラムであって、第1の識別情報と第2の識別情報の組合せ毎に、前記防御動作を識別するための防御動作識別情報を所定の記憶部から読み出す読出手順と、複数の防御動作のうち一つを選択的に実行する防御動作実行手順と、当該の携帯端末が所定の条件を満たす入力を受け付けた場合に、該条件に対応する入力識別情報を出力する入力識別手順と、前記読出手順に読み出された前記第1の識別情報と前記第2の識別情報の組合せのうち、前記入力識別手順によって出力された入力識別情報の1つである一次入力識別情報と前記第1の識別情報が一致し、前記一次入力識別情報の次に前記入力識別手順によって出力された入力識別情報である二次入力識別情報と前記第2の識別情報が一致する組合せに対応する前記防御動作識別情報を選択し、選択された防御動作識別情報によって識別される防御動作を前記防御動作実行手順に実行させる防御動作実行制御手順とを携帯端末に実行させることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示した携帯端末によれば、複数の候補から一つの防御動作を状況に応じて選択的に行わせることができ、かつ、防御動作の誤作動を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る携帯端末および当該の携帯端末に実行させる防御動作実行プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
まず、本実施例に係る携帯端末の概要を説明する。本実施例に係る携帯端末は、防犯機能付きの携帯端末である。防犯機能付きの携帯端末では、ユーザは、例えば、本体に設けられた専用のボタンを押下することで、ブザーから大音量の警報音を出したり、予め登録された連絡先にワンタッチで電話をかけたりすることができる。また、防犯機能付きの携帯端末では、ユーザの意思とは関係なく、自動で、前述した警告音を出す等の動作が行われる場合もある。その場合、携帯端末は、自身が備える何らかのセンサ、例えば、加速度センサや光センサなどのセンサからの入力を常に監視し、入力が所定の条件を満たした場合に、警告音を出す等の動作を行う。以下では、警告音を出す等、ユーザに起こった異常事態に対処するための動作を防御動作と呼称する。
【0013】
このような防犯機能付きの携帯端末は従来から存在したが、本実施例に係る携帯端末では、ボタンが押下されただけ、あるいは、センサからの入力が所定の条件を満たしただけで防御動作が行われることはない。本実施例に係る携帯端末は、例えば、ボタンが押下されたならば、その後、何らかのセンサからの入力が所定の条件を満たした場合に、あるいは、加速度センサからの入力が所定の条件を満たし、その後、光センサからの入力が所定の条件を満たした場合に、防御動作を行なう。
【0014】
この携帯端末によれば、例えば、ユーザの日常の動作で、専用のボタンが誤って押されてしまった、あるいは、センサからの入力が所定の条件を満たしてしまった場合でも、防御動作が行われることがなく、防御動作の誤作動を防止することが可能となる。また、ボタンが押下され、その後、加速度センサからの入力が所定の条件を満たした場合と、ボタンが押下され、その後、光センサからの入力が所定の条件を満たした場合とでは、異なる防御動作が行われるようになっており、ユーザは、複数の候補から一つの防御動作を状況に応じて選択的に行うことができる。
【0015】
図1を用いて本実施例に係る携帯端末の構成を説明する。図1は、本実施例に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。図1に示すように、携帯端末10は、スピーカ101と、操作キー102と、加速度センサ103と、光センサ104と、マイク105と、表示部106と、制御部107と、記憶部108と、アンテナ109とを備える。なお、図1には、防御動作の実行に関連する構成のみを示している。
【0016】
制御部107は、携帯端末10を全体制御する制御部であり、大音量出力部201と、メール送信部202と、電話番号発信部203と、ボタン操作判定部204と、加速度判定部205と、光強度判定部206と、音声認識部207と、テーブル設定処理部208と、防御動作実行制御部209と、無線通信処理部210とを備える。記憶部108は、各種情報を記憶する記憶部であり、防御動作選択テーブル310と、音声パターン320とを記憶する。
【0017】
操作キー102は、携帯端末10に設けられた数字キーや機能キーであり、各キーが押下されることによってそれぞれ異なる信号をボタン操作判定部204に出力する。加速度センサ103は、携帯端末10にかかる3軸方向の加速度をそれぞれ取得し、加速度判定部205に出力する。光センサ104は、携帯端末10に当たる光の強度を取得し、光強度判定部206に出力する。マイク105は、音声を電気信号に変換し、音声認識部207に出力する。
【0018】
ボタン操作判定部204は、操作キー102からの信号入力があるたびに、所定のキーが押下されたことによる信号入力であるかを判定し、複数の識別情報のうち、判定結果に応じた一つの識別情報を防御動作実行制御部209に出力する。具体的には、ボタン操作判定部204は、各キーが押下されることによって操作キー102から出力されたそれぞれの信号を受け取る。そして、ボタン操作判定部204は、それぞれの信号のうち、あるキーが押下されたことによって出力された信号を受け取った場合には、所定の識別情報を出力し、別のあるキーが押下されたことによって出力された信号を受け取った場合には、前述した所定の識別情報とは異なる識別情報を出力する。
【0019】
加速度判定部205は、加速度センサ103からの入力に基づいて、携帯端末10にどのような運動が加えられたかを判定し、複数の識別情報のうち、判定結果に応じた一つの識別情報を防御動作実行制御部209に出力する。例えば、加速度判定部205は、携帯端末10が上下に振動し、その運動に応じた加速度が加速度センサ103から入力された場合には、所定の識別情報を出力し、携帯端末10が左右に振動し、その運動に応じた加速度が加速度センサ103から入力された場合には、前述した所定の識別情報とは異なる識別情報を出力する。
【0020】
光強度判定部206は、光センサ104からの入力で光の強度が急に減ったか、光の強度が所定値より小さいかなどを判定し、複数の識別情報のうち、判定結果に応じた一つの識別情報を防御動作実行制御部209に出力する。例えば、光強度判定部206は、光センサ104の入力から、光の強度が急に減ったと判定した場合には、所定の識別情報を出力し、光の強度が所定値より小さくなったと判定した場合には、前述した所定の識別情報とは異なる識別情報を出力する。
【0021】
音声認識部207は、マイク105から入力される音声情報に対して音声認識を行なっており、音声パターン320を参照し、複数の識別情報のうち、音声認識の結果に応じた一つの識別情報を防御動作実行制御部209に出力する。ここで、音声パターン320について説明すると、音声パターン320は、図3に示すように、キーワードと、識別情報とが対応付けられたものである。キーワードは、タスケテやイタイなどの言葉の音声情報である。識別情報は、各キーワードを識別するための情報である。音声認識部207は、音声認識の結果、音声パターン320内のキーワードを抽出した場合には、キーワードに対応付けられた識別情報を出力する。
【0022】
上述したように、ボタン操作判定部204、加速度判定部205、光強度判定部206および音声認識部207から出力される識別情報は、いずれの部におけるどの判定結果であるかを一意に識別するものである。
【0023】
なお、各部からは、複数の識別情報のうち、判定結果に応じた一つの識別情報が出力されるものとして説明したが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、各部からは、一つの識別情報のみが出力されるようにしてもよい。
【0024】
例えば、ボタン操作判定部204は、あるキーが押下されたことによって出力された信号が入力されても、別のあるキーが押下されたことによって出力された信号が入力されても、所定の識別情報のみを出力するようにしてもよい。また、加速度判定部205は、携帯端末10が上下に振動し、その運動に応じた加速度が加速度センサ103から入力されても、携帯端末10が左右に振動し、その運動に応じた加速度が加速度センサ103から入力されても、所定の識別情報のみを出力するようにしてもよい。また、光強度判定部206は、光センサ104の入力から、光の強度が急に減ったと判定しても、光の強度が所定値より小さくなったと判定しても、所定の識別情報を出力するようにしてもよい。また、音声認識部207は、音声認識の結果、音声パターン320内のいずれのキーワードを抽出した場合でも、所定の識別情報を出力するようにしてもよい。このような場合、ボタン操作判定部204、加速度判定部205、光強度判定部206および音声認識部207から出力される識別情報は、いずれの部における判定結果であるかを一意に識別するものとなる。
【0025】
テーブル設定処理部208は、操作キー102からの入力に基づいて、表示部106に所定の画面を表示し、防御動作選択テーブル310の内容を変更する。
【0026】
防御動作実行制御部209は、ボタン操作判定部204、加速度判定部205、光強度判定部206あるいは音声認識部207から出力される識別信号と、防御動作選択テーブル310とを用いて、大音量出力部201、メール送信部202または電話番号発信部203が所定の防御動作を実行するように制御する。
【0027】
ここで、防御動作選択テーブル310について説明すると、防御動作選択テーブル310は、図2に示すように、第1識別情報と第2識別情報の組合せごとに、時間情報と、命令先とが対応付けられたものである。第1識別情報および第2識別情報は、ボタン操作判定部204、加速度判定部205、光強度判定部206および音声認識部207の判定結果を識別するための識別情報である。時間情報は、所定の時間を示す情報である。命令先は、防御動作を実行する各部を識別するための識別情報である。なお、図2に示した防御動作選択テーブル310は、第1識別情報と第2識別情報の組合せごとに、命令先が一つ対応付けられたものであるが、例えば、大音量出力部およびメール送信部といったように、命令先を複数対応付けてもよい。
【0028】
防御動作実行制御部209の説明に戻って、防御動作実行制御部209は、ボタン操作判定部204、加速度判定部205、光強度判定部206あるいは音声認識部207から識別情報を受け取る。そして、防御動作実行制御部209は、防御動作選択テーブル310における第1識別情報と第2識別情報の組合せのうち、前回受け取った識別情報と第1識別情報が一致し、今回受け取った識別情報と第2識別情報が一致する組合せがあれば、当該組合せに対応付けられた時間情報と命令先を選択する。そして、防御動作実行制御部209は、識別情報の受け取り間隔と選択した時間情報を比較し、受け取り間隔が時間情報よりも小さい場合には、選択した命令先に制御信号を出力する。
【0029】
例えば、防御動作実行制御部209は、ボタン操作判定部204から識別情報Aを受け取り、25秒後に、加速度判定部205から識別情報Bを受け取った場合には、防御動作選択テーブル310における第1識別情報Aと第2識別情報Bの組合せに対応付けられた時間情報「30」を選択する。そして、防御動作実行制御部209は、識別情報Aと識別情報Bの受け取り間隔である25秒と時間情報「30」を比較し、受け取り間隔が時間情報よりも小さいので、大音量出力部201に制御信号を出力する。
【0030】
また、防御動作実行制御部209は、加速度判定部205から識別情報Bを受け取り、50秒後に、ボタン操作判定部204から識別情報Aを受け取った場合には、防御動作選択テーブル310における第1識別情報Bと第2識別情報Aの組合せに対応付けられた時間情報「40」を選択する。そして、防御動作実行制御部209は、識別情報Bと識別情報Aの受け取り間隔である50秒と時間情報「40」を比較する。この場合、受け取り間隔が時間情報よりも大きいので、防御動作実行制御部209は、次の識別情報を受け取るまで待機する。
【0031】
このように、防御動作実行制御部209は、2つの識別情報の組合せによって、大音量出力部201、メール送信部202または電話番号発信部203のいずれに防御動作を実行させるかを決定する。その結果、日常において、例えば、ユーザが誤って操作キー102を操作してしまう、あるいは、加速度センサ103、光センサ104またはマイク105からの入力が所定の条件を満たしてしまう場合があっても、防御動作実行制御部209が一つの識別情報を受け取るだけであり、携帯端末10が防御動作を行うに至らない。また、防御動作実行制御部209が次の識別情報を受け取ったとしても、防御動作選択テーブル310の検索結果によっては防御動作が実行されない。このように、防御動作が実行されるまでの条件が厳しくなり、防御動作の誤作動を防止することが可能となる。
【0032】
また、防御動作選択テーブル310には、複数通りの識別情報の組合せにそれぞれの命令先が予め登録される。その結果、携帯端末10は、複数の候補のうち一つの防御動作を行うことができ、どの防御動作が行われるかは、防御動作実行制御部209が受け取った識別情報の組合せによって決定される。つまり、ユーザは、メニュー画面等で防御動作の再設定することなく、複数の候補から一つの防御動作を状況に応じて選択的に携帯端末10に行わせることができる。
【0033】
また、防御動作実行制御部209が防御動作選択テーブル310に登録された識別情報の組合せを受け取ったとしても、受け取り間隔によっては、防御動作が実行されない。このように、防御動作が実行されるまでの条件が厳しくなり、防御動作の誤作動を防止することが可能となる。
【0034】
大音量出力部201、メール送信部202および電話番号発信部203は、防御動作実行制御部209の命令を受けて、所定の防御動作を実行する。具体的には、大音量出力部201は、防御動作実行制御部209から制御信号を受け取ると、スピーカ101によって大音量の警報音を鳴らす。また、メール送信部202は、防御動作実行制御部209から制御信号を受け取ると、予め設定されたアドレスへ所定の内容のメールを送信するように無線通信処理部210に指示する。また、電話番号発信部203は、防御動作実行制御部209から制御信号を受け取ると、予め設定された電話番号へ発信するように無線通信処理部210に指示する。無線通信処理部210は、メール送信部202や電話番号発信部203からの指示に基づいてメール送信や電話番号発信等に係る無線通信処理を行い、アンテナ109から電波を発信する。
【0035】
なお、所定の防御動作を実行する処理部として、大音量出力部201、メール送信部202および電話番号発信部203を例に挙げたが、異常事態に対処するための動作を行う処理部であればいかなるものであってもよい。例えば、メール送信と電話番号発信を行なう処理部をさらに備えるようにしてもよい。その場合、防御動作選択テーブル310には、当該処理部を識別するための識別情報が、所定の第1識別情報と第2識別情報の組合せに対応付けられて登録される。
【0036】
次に、テーブル設定処理部208の処理について説明する。防御動作実行制御部209が参照する防御動作選択テーブル310の内容については変更可能であり、テーブル設定処理部208は、操作キー102から所定の入力を受け付けると、表示部106に図4−1〜図4−7に示すような画面を表示する。ユーザが表示部106に表示された画面にしたがって操作キー102を操作することで、防御動作選択テーブル310の内容が変更される、あるいは、防御動作選択テーブル310に第1識別情報、第2識別情報、時間情報および命令先が新たに登録される。図4−1〜図4−7は、テーブル設定処理部208が表示部106に表示する画面の例を示す図である。
【0037】
テーブル設定処理部208は、例えば、第1識別情報、第2識別情報および命令先の変更画面として、図4−1に示すように、「カスタム防御動作1」といった表題と、「第1センサ」、「第2センサ」および「防御動作」といった項目と、項目ごとの選択欄とを表示部106に表示する。テーブル設定処理部208は、「第1センサ」の選択欄の決定事項を防御動作選択テーブル310の第1識別情報に反映し、「第2センサ」の選択欄の決定事項を同じく第2識別情報に反映し、「防御動作」の選択欄の決定事項を同じく命令先に反映する。
【0038】
ユーザが操作キー102を操作すると、テーブル設定処理部208は、例えば、図4−2に示すように、「第1センサ」の選択欄中に複数の候補を表示する。ここでは、例えば、「モーションセンサ」が選択されるものとする。次に、テーブル設定処理部208は、例えば、図4−3に示すように、「第2センサ」の選択欄中に複数の候補を表示する。ここでは、例えば、「音声認識」が選択されるものとする。次に、テーブル設定処理部208は、図4−4に示すように、「防御動作」の選択欄中に複数の候補を表示する。ここで、例えば、「緊急アラーム」が選択されると、テーブル設定処理部208は、防御動作選択テーブル310の命令先に、大音量出力部201が識別される識別情報を書き込む。
【0039】
そして、テーブル設定処理部208は、例えば、図4−5に示すように、「モーションセンサ」といった表題と、「検出動作選択」といった項目と、選択欄とを表示し、選択欄には複数の候補を表示する。ここで、例えば、「上下振動」が選択されると、テーブル設定処理部208は、防御動作選択テーブル310の第1識別情報に、「上下振動」に対応する識別情報を書き込む。
【0040】
そして、テーブル設定処理部208は、図4−6に示すように、「音声認識」といった表題と、「認識音声登録」といった項目と、選択欄とを表示し、選択欄には複数の候補を表示する。ここで、例えば、「タスケテ」が選択されると、テーブル設定処理部208は、防御動作選択テーブル310の第2識別情報に、「タスケテ」に対応する識別情報を書き込む。つまり、テーブル設定処理部208は、上下振動に対応する識別情報と、「タスケテ」に対応する識別情報を第1識別情報と第2識別情報の組合せとして防御動作選択テーブル310に書き込み、当該組合せに対応する命令先として上述した大音量出力部201が識別される識別情報を書き込む。
【0041】
そして、テーブル設定処理部208は、時間情報の変更画面として、例えば、図4−7に示すように、「第2センサ検出時間」といった表題と、選択欄とを表示し、選択欄には複数の候補を表示する。ここで、例えば、「10秒」が選択されると、テーブル設定処理部208は、防御動作選択テーブル310の時間情報に、「10秒」に対応する時間情報を書き込む。つまり、テーブル設定処理部208は、前述した組合せに対応する時間情報として「10秒」に対応する時間情報を書き込む。
【0042】
次に、防御動作実行制御部209の処理動作について図5を用いて説明する。図5は、防御動作実行制御部209の処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
図5に示すように、防御動作実行制御部209は、識別情報を受け取るまで待機する(ステップS111)。そして、防御動作実行制御部209は、識別情報を受け取り(ステップS111肯定)、次の識別情報を受け取った場合には(ステップS112肯定)、防御動作選択テーブル310を参照し、前回受け取った識別情報と、今回受け取った識別情報の組合せを検索する(ステップS114)。
【0044】
一方、識別情報を受け取らずに(ステップS112否定)、一定時間が経過した場合には(ステップS113肯定)、防御動作実行制御部209は、次の識別情報を受け取るまで待機する(ステップS111)。
【0045】
検索の結果、該当する組合せがヒットした場合には(ステップS115肯定)、防御動作実行制御部209は、組合せに対応付けられた時間情報および命令先を選択する(ステップS116)。そして、防御動作実行制御部209は、2つの識別情報の受け取り間隔と、選択した時間情報を比較し(ステップS117)、受け取り間隔が選択した時間情報より小さい場合には(ステップS117肯定)、選択した命令先に制御信号を出力し(ステップS118)、処理を終了する。
【0046】
一方、該当する組合せがヒットしなかった場合、もしくは、受け取り間隔が選択した時間情報の値以上である場合には(ステップS115否定またはステップS117否定)、次の識別情報を受け取るまで一定時間だけ待機する(ステップS112)。
【0047】
上述してきたように、本実施例に係る携帯端末10では、防御動作実行制御部209は、ボタン操作判定部204、加速度判定部205、光強度判定部206あるいは音声認識部207から受け取った識別情報の組合せによって、大音量出力部201、メール送信部202および電話番号発信部203のいずれに制御信号を出力するかを制御する。その結果として、例えば、携帯端末10のユーザが、友達とふざけあっているときに、「タスケテ」と発声した場合、音声認識部207から防御動作実行制御部209へ識別情報が出力される。しかし、次の識別情報が防御動作実行制御部209へ出力されない限り、防御動作が実行されることはない。また、次の識別情報が出力されたとしても、防御動作選択テーブル310の検索結果によっては防御動作が実行されない。このように、防御動作が実行されるまでの条件が厳しくなり、防御動作の誤作動を防止することが可能となる。
【0048】
また、防御動作選択テーブル310には、複数通りの識別情報の組合せにそれぞれの命令先が予め登録される。その結果として、例えば、携帯端末10を上下に振った後、左右に振ることで、携帯端末10に大音量を出させることもできるし、操作キー102を押下した後、携帯端末10を左右に振ることで、携帯端末10に所定のアドレスへのメール送信を行なわせることもできる。このように、ユーザは、メニュー画面等で防御動作の再設定することなく、複数の候補から一つの防御動作を状況に応じて選択的に行うことができる。
【0049】
また、識別情報が2つ続けて防御動作実行制御部209へ出力されたとしても、2つの識別情報の受け取り間隔が所定の時間より短くないと防御動作が実行されない。こうすることで、防御動作が実行されるまでの条件がより厳しくなり、防御動作の誤作動をさらに防止することが可能となる。
【0050】
なお、上記の実施例では、防御動作選択テーブル310に登録される組合せは、第1識別情報と第2識別情報の2つの識別情報を組み合わせたものであり、防御動作実行制御部209が、各部から受け取った2つの識別情報の組合せを用いて検索するものとして説明した。しかし、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、防御動作選択テーブル310に登録される組合せは、3つ以上の識別情報を組み合わせたもので、防御動作実行制御部209が、各部から受け取った3つ以上の識別情報の組合せを用いて検索するようにしてもよい。その場合、登録される組合せと、検索に用いられる組合せとは、同数の識別情報を組み合わせたものであることが望ましい。
【0051】
なお、上記の実施例では、防御動作選択テーブル310において、第1識別情報と第2識別情報の組合せに、命令先のほか、時間情報が対応付けられ、防御動作実行制御部209が、防御動作を実行するか否かを判定する際に用いられるものとして説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1識別情報と第2識別情報の組合せに、命令先のみが対応付けられ、防御動作実行制御部209が各部から受け取った2つの識別情報の組合せのみで防御動作を実行するか否かを判定するようにしてもよい。
【0052】
なお、図1に示した本実施例に係る携帯端末10の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更できる。例えば、携帯端末10の制御部107の機能をソフトウェアとして実装し、これをCPU(Central Processing Unit)で実行して、携帯端末10と同等の機能を実現できる。以下に、制御部107の機能をソフトウェアとして実装した防御動作実行プログラム431を実行する携帯端末の一例を示す。
【0053】
図6は、防御動作実行プログラム431を実行する携帯端末400を示す機能ブロック図である。この携帯端末400は、各種演算処理を実行するCPU410と、携帯端末400への入力を受け付ける操作キー401、加速度センサ402、光センサ403、マイク404と、画像や音声など各種情報を出力する表示部405およびスピーカ406と、無線通信処理を実行してアンテナ408から電波を送受信する無線通信部407と、各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)420と、ROM(Read Only Memory)430とをバス440で接続して構成される。
【0054】
そして、ROM430には、図1に示した制御部107と同様の機能を有する防御動作実行プログラム431が記憶され、図1に示した防御動作選択テーブル310に相当する防御動作選択テーブルデータ432が設けられる。
【0055】
そして、CPU410が防御動作実行プログラム431をROM430から読み出してRAM420に展開すると、防御動作実行プログラム431は、防御動作実行プロセス421として機能するようになる。そして、防御動作実行プロセス421は、防御動作選択テーブル310から読み出した情報等を適宜RAM420上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開したデータ等に基づいて各種データ処理を実行する。
【0056】
なお、上記の防御動作実行プログラム431は、必ずしもROM430に格納されている必要はなく、メモリーカード等の記憶媒体に記憶されたこのプログラムを、携帯端末400が読み出して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等を介して携帯端末400に接続される他のコンピュータ(またはサーバ)等にこのプログラムを記憶させておき、携帯端末400がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施例に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図2】防御動作選択テーブルの具体例を示す図である。
【図3】音声パターンの具体例を示す図である。
【図4−1】テーブル設定処理部208が表示部106に表示する画面の例を示す図である。
【図4−2】テーブル設定処理部208が表示部106に表示する画面の例を示す図である。
【図4−3】テーブル設定処理部208が表示部106に表示する画面の例を示す図である。
【図4−4】テーブル設定処理部208が表示部106に表示する画面の例を示す図である。
【図4−5】テーブル設定処理部208が表示部106に表示する画面の例を示す図である。
【図4−6】テーブル設定処理部208が表示部106に表示する画面の例を示す図である。
【図4−7】テーブル設定処理部208が表示部106に表示する画面の例を示す図である。
【図5】防御動作実行制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】防御動作実行プログラムを実行する携帯端末を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 携帯端末
101 スピーカ
102 操作キー
103 加速度センサ
104 光センサ
105 マイク
106 表示部
107 制御部
108 記憶部
109 アンテナ
201 大音量出力部
202 メール送信部
203 電話番号発信部
204 ボタン操作判定部
205 加速度判定部
206 光強度判定部
207 音声認識部
208 テーブル設定処理部
209 防御動作実行制御部
210 無線通信処理部
310 防御動作選択テーブル
320 音声パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯機能付きの携帯端末であって、
複数の防御動作のうち一つを選択的に実行する防御動作実行手段と、
当該の携帯端末が所定の条件を満たす入力を受け付けた場合に、該条件に対応する入力識別情報を出力する入力識別手段と、
第1の識別情報と第2の識別情報の組合せ毎に、前記防御動作を識別するための防御動作識別情報が登録される記憶手段と、
前記記憶手段に登録されている前記第1の識別情報と前記第2の識別情報の組合せのうち、前記入力識別手段によって出力された入力識別情報の1つである一次入力識別情報と前記第1の識別情報が一致し、前記一次入力識別情報の次に前記入力識別手段によって出力された入力識別情報である二次入力識別情報と前記第2の識別情報が一致する組合せに対応する前記防御動作識別情報を前記記憶手段から取得し、取得された防御動作識別情報によって識別される防御動作を前記防御動作実行手段に実行させる防御動作実行制御手段と
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記組合せ毎に、所定の時間がさらに登録され、
前記防御動作実行手段は、前記組合せのうち、前記入力識別手段によって出力された入力識別情報の1つである一次入力識別情報と前記第1の識別情報が一致し、前記一次入力識別情報の次に前記入力識別手段によって出力された入力識別情報である二次入力識別情報と前記第2の識別情報が一致する組合せに対応し、かつ、前記一次入力識別情報が出力されてから、前記二次入力識別情報が出力されるまでにかかった時間より短い前記所定の時間に対応する前記防御動作識別情報を前記記憶手段から取得することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記記憶手段に登録された登録内容に対する変更要求を受け付けて変更する登録内容変更手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
防犯機能付きの携帯端末に実行させる防御動作実行プログラムであって、
第1の識別情報と第2の識別情報の組合せ毎に、前記防御動作を識別するための防御動作識別情報を所定の記憶部から読み出す読出手順と、
複数の防御動作のうち一つを選択的に実行する防御動作実行手順と、
当該の携帯端末が所定の条件を満たす入力を受け付けた場合に、該条件に対応する入力識別情報を出力する入力識別手順と、
前記読出手順に読み出された前記第1の識別情報と前記第2の識別情報の組合せのうち、前記入力識別手順によって出力された入力識別情報の1つである一次入力識別情報と前記第1の識別情報が一致し、前記一次入力識別情報の次に前記入力識別手順によって出力された入力識別情報である二次入力識別情報と前記第2の識別情報が一致する組合せに対応する前記防御動作識別情報を選択し、選択された防御動作識別情報によって識別される防御動作を前記防御動作実行手順に実行させる防御動作実行制御手順と
を携帯端末に実行させることを特徴とする防御動作実行プログラム。
【請求項5】
前記読出手順は、前記組合せ毎に、所定の時間をさらに読み出し、
前記防御動作実行手順は、前記組合せのうち、前記入力識別手順によって出力された入力識別情報の1つである一次入力識別情報と前記第1の識別情報が一致し、前記一次入力識別情報の次に前記入力識別手順によって出力された入力識別情報である二次入力識別情報と前記第2の識別情報が一致する組合せに対応し、かつ、前記一次入力識別情報が出力されてから、前記二次入力識別情報が出力されるまでにかかった時間より短い前記所定の時間に対応する前記防御動作識別情報を選択することを特徴とする請求項4に記載の防御動作実行プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図4−7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−10970(P2010−10970A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166563(P2008−166563)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】