説明

携帯端末装置、通信制御方法および通信制御プログラム

【課題】分離可能な筐体を有する携帯端末装置で、筐体間の通信を適切に制御する。
【解決手段】携帯端末装置1は、筐体1a,1bと制御部1cを有する。筐体1bは、筐体1aに対しクローズしている第1の形態と、筐体1aと分離している第2の形態とを含む変形形態をとる。制御部1cは、第1の形態では、筐体1aと筐体1bが指向性のある無線通信方式で通信するよう制御する。第2の形態では、筐体1aと筐体1bが指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は携帯端末装置、通信制御方法および通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機などの携帯端末装置の処理能力が向上し、多機能化が進んでいる。携帯端末装置には、例えば、音声通話、文書作成、ウェブサイトへのアクセス、電子メールの送受信、動画再生など、様々な種類の情報処理を行えるものがある。また、このような機能をユーザが快適に利用できるよう、様々な変形形態をもつ携帯端末装置が存在する。
【0003】
例えば、2つの筐体を設け、一方の筐体を他方の筐体に対してスライドできるようにした携帯端末装置が考えられる。スライド可能な携帯端末装置に関しては、第1のユニットと第2のユニットとを有し、第2のユニットを第1のユニットに対してスライドさせた際の係止位置を磁気センサによって検出できる携帯端末がある。
【0004】
また、2つの筐体を設け、一方の筐体を他方の筐体から分離できるようにした携帯端末装置も考えられる。分離可能な携帯端末装置に関しては、表示部を備えるディスプレイ筐体と撮像部を備えるパッド筐体とを有し、ディスプレイ筐体とパッド筐体とが無線通信を行う携帯電話装置がある。また、表示部を備える第1の筐体と入力部を備える第2の筐体とを有し、第1の筐体と第2の筐体とが無線通信を行うモバイル端末がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−274727号公報
【特許文献2】特開2007−165960号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0124381号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述の分離可能な携帯端末装置では、2つの筐体の間の通信において、指向性の無い無線通信方式のみを用いていた。このため、不要な範囲にまで電波が到達してしまうという問題があった。その結果として、例えば、情報漏洩などのセキュリティ問題や、他の電子機器との電波干渉の問題が生じる可能性もある。
【0007】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、筐体間の通信を適切に制御できる携帯端末装置、通信制御方法および通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の筐体と第2の筐体と制御部とを有する携帯端末装置が提供される。第2の筐体は、第1の筐体に対しクローズしている第1の形態と、第1の筐体と分離している第2の形態とを含む変形形態をとる。制御部は、第1の形態では、第1の筐体と第2の筐体とが指向性のある無線通信方式で通信するよう制御する。第2の形態では、第1の筐体と第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、第1の筐体と第2の筐体とを有する携帯端末装置の通信制御方法が提供される。この通信制御方法では、第2の筐体が、第1の筐体に対しクローズしている第1の形態であるか、第1の筐体から分離している第2の形態であるかを検出する。第1の形態の場合、第1の筐体と第2の筐体とが指向性のある無線通信方式で通信する。第2の形態の場合、第1の筐体と第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、第1の筐体と第2の筐体とを有する携帯端末装置を制御するための通信制御プログラムが提供される。この通信制御プログラムを実行するコンピュータは、第2の筐体が、第1の筐体に対しクローズしている第1の形態であるか、第1の筐体から分離している第2の形態であるかを検出する。第1の形態の場合、第1の筐体と第2の筐体とが指向性のある無線通信方式で通信するよう制御する。第2の形態の場合、第1の筐体と第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する。
【発明の効果】
【0011】
上記携帯端末装置、通信制御方法および通信制御プログラムによれば、筐体間の通信を適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態の携帯端末装置を示す図である。
【図2】通信システムの全体構成を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の携帯電話機の外観を示す図である。
【図4】第2の実施の形態の分離状態の携帯電話機の外観を示す図である。
【図5】第2の実施の形態の携帯電話機のハードウェアを示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態の携帯電話機の状態変化を示す図である。
【図7】第2の実施の形態の携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態の通信制御を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態の分離状態の携帯電話機の外観を示す図である。
【図10】第3の実施の形態の携帯電話機のハードウェアを示すブロック図である。
【図11】第3の実施の形態の携帯電話機の状態変化を示す図である。
【図12】第3の実施の形態の携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図13】第3の実施の形態の通信制御を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施の形態の携帯電話機の外観を示す図である。
【図15】第4の実施の形態の分離状態の携帯電話機の外観を示す図である。
【図16】第5の実施の形態の携帯電話機のハードウェアを示すブロック図である。
【図17】第6の実施の形態の携帯電話機の状態検出方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の携帯端末装置を示す図である。例えば、第1の実施の形態に係る携帯端末装置1として、携帯電話機、携帯型ゲーム機、電子辞書装置などの電子機器が考えられる。また、ノート型コンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などの情報処理装置も考えられる。
【0014】
携帯端末装置1は、筐体1a,1bを有する。筐体1a(第1の筐体)に対し、筐体1b(第2の筐体)は分離可能であり、第1の形態と第2の形態とを含む変形形態をとる。第1の形態では、筐体1aと筐体1bとがクローズしている。すなわち、筐体1a,1bが厚さ方向に重なっている。ただし、両者の側面が揃っていなくてもよい。第2の形態では、筐体1bが筐体1aから分離している。
【0015】
携帯端末装置1は、更に、制御部1cを有する。制御部1cは、例えば、筐体1a内または筐体1b内に設けられる。制御部1cは、第1の形態では、筐体1aと筐体1bとが両者の接点を介して通信するよう制御する。または、指向性のある無線通信方式で通信するよう制御する。一方、制御部1cは、第2の形態では、筐体1aと筐体1bとが指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する。
【0016】
接点を介した通信のために、例えば、筐体1a,1bに接触端子を設けることが考えられる。指向性のある無線通信のために、例えば、筐体1a,1bに指向性通信を行う通信部を設けることが考えられる。指向性の無い無線通信のために、例えば、筐体1a,1bに無指向性通信を行う通信部を設けることが考えられる。
【0017】
指向性のある無線通信方式として、赤外線通信やRFID(Radio Frequency IDentification)などの通信方式を用いることができる。指向性の無い無線通信方式として、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、WirelessUSB(Universal Serial Bus)、無線LAN(Local Area Network)などの通信方式を用いることができる。
【0018】
なお、筐体1aに対し、筐体1bがスライド可能であってもよい。すなわち、筐体1bの変形形態に、更に、第1の形態から筐体1aをスライドさせた第3の形態が含まれてもよい。制御部1cは、第3の形態では、第1の形態と同様、筐体1aと筐体1bとが接点を介して通信するよう制御することが考えられる。または、指向性のある無線通信方式で通信するよう制御することが考えられる。
【0019】
第1の形態と第3の形態の何れでも接点を介した通信を行えるよう、例えば、筐体1a,1bの少なくとも一方に複数の接続端子を設けることが考えられる。一例として、筐体1aに接続端子#1を設けると共に筐体1bに接続端子#2,#3を設け、第1の形態では接続端子#1と接続端子#2とが接触し、第3の形態では接続端子#1と接続端子#3とが接触するようにしてもよい。
【0020】
また、第1の形態と第3の形態の何れでも指向性通信を行えるよう、例えば、筐体1a,1bの少なくとも一方に複数の無線ポート(例えば、赤外線ポート)を設けることが考えられる。一例として、筐体1aに無線ポート#1を設けると共に筐体1bに無線ポート#2,#3を設け、第1の形態では無線ポート#1と無線ポート#2とが向かい合い、第3の形態では無線ポート#1と無線ポート#3とが向かい合うようにしてもよい。
【0021】
また、制御部1cは、変形形態に加えて通信の種類も考慮して、接点を介した通信方法または指向性のある無線通信方式を使用するか、指向性の無い無線通信方式を使用するかを選択するようにしてもよい。例えば、音声データやキー操作信号の転送の場合、第1の形態や第3の形態であっても、指向性の無い無線通信方式を選択することが考えられる。
【0022】
第1〜第3の形態を含む変形形態は、例えば、磁気による方法で検出できる。この場合は、筐体1a,1bの一方にマグネットを、他方に磁気センサを設ければよい。または、指向性のある無線通信方式で通信可能か否かにより検出してもよい。
【0023】
このような携帯端末装置1によれば、筐体1bは、筐体1aに対しクローズしている第1の形態と、筐体1aと分離している第2の形態とを含む変形形態をとる。制御部1cにより、第1の形態では、筐体1aと筐体1bが両者の接点を介して通信するか、または、指向性のある無線通信方式で通信するよう制御される。また、第2の形態では、筐体1aと筐体1bが指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御される。
【0024】
これにより、筐体1a,1bの間の通信方法が変形形態に応じて適切に制御され、筐体1aと筐体1bとが指向性の無い無線通信方式のみで通信する場合と比べて、不要な範囲にまで電波が到達してしまうことを抑制できる。この結果、通信内容の漏洩のリスクや、他の電子機器との電波干渉の可能性を抑制し得る。
【0025】
また、接点を介した通信方法または指向性の無線通信方式を採用することで、筐体1a,1bの間の通信を安定的に実行でき、また、通信に伴う消費電力も抑制し得る。このような通信方法は、携帯端末装置1のメンテナンスのために外部から診断用の制御コマンドを発行する場合や、携帯端末装置1の制御ソフトウェアを書き換える場合など、特に通信失敗を避けたい場面で有用である。
【0026】
以下の第2〜第6の実施の形態では、第1の実施の形態に係る携帯端末装置1の応用例として、携帯電話機を挙げる。ただし、前述の通り、携帯端末装置1は、携帯電話機以外の様々な電子機器に応用できる。
【0027】
[第2の実施の形態]
図2は、通信システムの全体構成を示す図である。第2の実施の形態に係る通信システムは、携帯電話機100、無線基地局20、ネットワーク30およびサーバ装置40を含む。無線基地局20およびサーバ装置40は、ネットワーク30に接続されている。
【0028】
携帯電話機100は、無線による通話機能およびデータ通信機能を備えた移動無線装置であり、第1の実施の形態の携帯端末装置1の一例である。携帯電話機100は、無線基地局20のカバーエリア(セル)内において、無線基地局20と無線通信が可能である。
【0029】
無線基地局20は、カバーエリア内の移動無線装置と通信可能な無線通信装置である。無線基地局20は、携帯電話機100との間に無線リンクを設定する。そして、携帯電話機100から受信したデータをネットワーク30に転送すると共に、ネットワーク30から受信した携帯電話機100宛てのデータを携帯電話機100に転送する。
【0030】
サーバ装置40は、携帯電話機100に搭載された制御プログラムの更新(例えば、バージョンアップ)を制御する情報処理装置である。サーバ装置40は、新たな制御プログラムを取得すると、サーバ装置40が備える記憶装置に制御プログラムを格納する。そして、ネットワーク30および無線基地局20経由で携帯電話機100に対し、新たな制御プログラムが存在する旨を通知する。その後、携帯電話機100から更新開始の応答があると、サーバ装置40は、記憶装置に格納された制御プログラムを、ネットワーク30および無線基地局20経由で携帯電話機100に送信する。
【0031】
なお、そのようなプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体50に記録して配布することができる。サーバ装置40は、記録媒体50からプログラムを読み出して、サーバ装置40の記憶装置に複製することができる。また、携帯電話機100は、無線で通信してプログラムを受信する代わりに、プログラムを保持している情報処理装置(図示せず)と有線で通信してプログラムを受信してもよい。そのような情報処理装置は、サーバ装置40と同様、記録媒体50からプログラムを取得することができる。
【0032】
記録媒体50としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリを使用できる。磁気記録装置には、HDD(Hard Disk Drive)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、CD(Compact Disc)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−R/RW/RAM(Random Access Memory)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0033】
図3は、第2の実施の形態の携帯電話機の外観を示す図である。携帯電話機100は、可動部110と本体部120とを有する。可動部110は第1の実施の形態の筐体1bの一例であり、本体部120は第1の実施の形態の筐体1aの一例である。
【0034】
可動部110は、本体部120の正面側に重なっている。可動部110の長手方向の長さ(高さ)および短手方向の長さ(幅)は、それぞれ本体部120の高さおよび幅とほぼ同じである。収納状態(第1の形態)では、可動部110の側面と本体部120の側面とがほぼ揃っている。可動部110は、本体部120の長手方向にスライドでき、所定の位置で停止する。図3は、スライド状態(第3の形態)を示している。スライド状態では、本体部120の高さの約半分が可動部110と重なっている。
【0035】
可動部110は、正面にディスプレイ111とスピーカ112とを有する。本体部120は、正面にマイクロホン121とキーパッド122とを有する。キーパッド122は、複数の入力キーを備える。キーパッド122は、収納状態では可動部110によって覆われて露出せず、スライド状態ではその一部分が露出する。
【0036】
また、可動部110がスライドするために、本体部120は、正面に窪んだ状態のレール部101を有する。レール部101は、左側面寄り(図3(A)の上側)および右側面寄り(図3(A)の下側)の端に、スライド方向に沿って設けられている。また、可動部110は、背面に突出した状態の枠部102を有する。枠部102は、レール部101と同様に、左側面寄りおよび右側面寄りの端に、スライド方向に沿って設けられている。図3(C)は、携帯電話機100を図3(A)の左から見た形状を示している。レール部101と枠部102とがかみ合うことで、可動部110がスライドすることができる。
【0037】
なお、図3の例では、可動部110を長手方向にスライドできるようにしたが、短手方向にスライドできるようにしてもよい。その場合、底面寄り(図3(A)の左側)および上面寄り(図3(A)の右側)に、レール部および枠部を設ければよい。また、可動部110を長手方向と短手方向の両方向にスライドできるようにしてもよい。その場合、長手方向にスライドするためのレール部および枠部と、短手方向にスライドするためのレール部および枠部とを両方設ければよい。
【0038】
図4は、第2の実施の形態の分離状態の携帯電話機の外観を示す図である。ユーザは、図3に示したスライド状態から、可動部110を本体部120から引き離すようにしつつ更にスライドさせることで、分離状態(第2の形態)にすることができる。ただし、収納状態から直接、分離状態に変形できるようにしてもよい。
【0039】
可動部110は、背面に接点パッド114a,114bを有する。接点パッド114a,114bは、本体部120と接触通信(すなわち、非無線通信)を行うための接続端子を備えている。接点パッド114aは上面寄り(図4(A)の右側)の端に設けられ、接点パッド114bは長手方向の中央辺りに設けられている。本体部120は、正面に接点パッド123を有する。接点パッド123は、可動部110と接触通信を行うための接続端子を備えている。接点パッド123は上面寄りの端に設けられている。
【0040】
接点パッド114aの接続端子と接点パッド123の接続端子とが接触すると、両者の間で通電し通信を行うことができる。同様に、接点パッド114bの接続端子と接点パッド123の接続端子とが接触すると、両者の間で通電し通信を行うことができる。なお、キーパッド122は、分離状態ではその全部が露出する。
【0041】
図5は、第2の実施の形態の携帯電話機のハードウェアを示すブロック図である。第2の実施の形態に係る携帯電話機100は、前述の通り、可動部110と本体部120とを有する。可動部110と本体部120との間では、接触通信または無指向性の無線通信を行うことができる。
【0042】
可動部110は、前述のディスプレイ111、スピーカ112および接点パッド114a,114bと共に、タッチパネル113、無線通信部115、MRセンサ116、無線部117、制御部118およびメモリ119を有する。
【0043】
ディスプレイ111は、制御部118の制御に従って、各種画像を表示する。ディスプレイ111として、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを用いることができる。ディスプレイ111は、タッチパネル113の下層に位置し、表示する画像はタッチパネル113を透過して正面から視認可能である。表示画像には、例えば、待ち受け画面、操作画面、テキスト、コンテンツ画像などが含まれる。
【0044】
スピーカ112は、制御部118の制御に従って、電気信号を物理振動に変換して音を再生する。例えば、ユーザが通話を行っているとき、通話相手の声や通話相手側の背景雑音がスピーカ112から出力される。
【0045】
タッチパネル113は、ユーザのタッチ操作を検出し、タッチされた位置を入力信号として制御部118に出力する。タッチペンなどのポインティングデバイスまたはユーザの指によりタッチ操作が行われる。ユーザは、ディスプレイ111によって表示された画像を見ながら、タッチパネル113に対してタッチ操作を行える。タッチ位置の検出には、例えば、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式など様々な検出方式があり、何れの方式を採用してもよい。
【0046】
接点パッド114a,114bは、本体部120と接触通信を行うための接続端子を有する。収納状態とスライド状態の何れでも接触通信が行えるよう、接点パッド114aと接点パッド114bとは、可動部110の背面の異なる位置に設けられている。接続端子は、本体部120の接続端子と容易に接触できるよう、接点パッド114a,114bが設けられた面から少し突出していることが好ましい。接点パッド114a,114bは、接点パッド123と接触しているとき、制御部118の制御に従って通信を行う。
【0047】
無線通信部115は、制御部118の制御に従って、本体部120と無線通信を行う。無線通信部115は、指向性の無い無線通信方式を用いる。例えば、Bluetooth、Zigbee、WirelessUSB、無線LANなどの通信方式を用いることが考えられる。Bluetoothの場合、HID(Human Interface Device)プロファイルに従った通信方法を採用できる。
【0048】
MRセンサ116は、磁気抵抗(MR:Magneto Resistive)素子を用いて磁界の変化を検出し、検出結果を制御部118に通知するセンサである。MRセンサ116は、本体部120が備えるマグネットの磁界を検出する。これにより、制御部118が、可動部110と本体部120とが分離しているか否かを判定することができる。
【0049】
無線部117は、制御部118の制御に従って無線信号処理を行い、無線基地局20と無線通信を行う。具体的には、無線部117は、可動部110が備えるアンテナを介して受信した信号を復調・復号し、得られた受信データを制御部118に出力する。また、制御部118から取得した送信データを符号化・変調し、得られた送信信号をアンテナを介して出力する。無線部117が送受信するデータには、音声データ、画像データ、テキストデータ、制御情報などが含まれる。更に、受信するデータに、新たなバージョンの制御プログラムが含まれる。
【0050】
制御部118は、携帯電話機100全体を制御する。制御部118は、例えば、CPU(Central Processing Unit)とRAMで実現できる。CPUは、メモリ119からプログラムやデータを読み出し、RAMに展開してプログラムを実行する。RAMは、プログラムやデータの少なくとも一部を一時的に格納する揮発性メモリである。なお、RAMに代えて、他の種類のメモリを用いてもよい。制御部118の制御には、通信制御、音声入出力制御、キー操作制御、制御プログラムの更新、稼働状態を診断するための制御コマンドの実行などが含まれる。
【0051】
メモリ119は、制御部118が使用するプログラムやデータを格納する不揮発性メモリである。メモリ119として、例えば、フラッシュメモリを用いることができる。制御部118により、メモリ119に格納されたプログラムやデータの読み出しや、メモリ119へのデータの書き込みが行われる。
【0052】
本体部120は、前述のマイクロホン121、キーパッド122および接点パッド123と共に、無線通信部124、マグネット125a,125b、制御部126およびメモリ127を有する。
【0053】
マイクロホン121は、音の物理振動を電気信号に変換して音声入力を受け付け、制御部126経由で制御部118に出力する。例えば、ユーザが通話を行っているとき、ユーザの声やユーザ側の背景雑音がマイクロホン121から入力される。
【0054】
キーパッド122は、複数の入力キーを備えている。いわゆるQWERTYキーボード(または、フルキーボードとも呼ばれる)として機能できるように、好ましくは、26個(アルファベット26文字分)以上の入力キーを備えている。キーパッド122は、何れかの入力キーが押下されると、押下された入力キーを示す入力信号を制御部126経由で制御部118に出力する。なお、入力キーへの文字割り当ては、可動部110変形形態に応じて、制御部126が動的に変更してもよい。
【0055】
接点パッド123は、可動部110と接触通信を行うための接続端子を有する。接点パッド123は、接点パッド114aまたは接点パッド114bと接触しているとき、制御部126の制御に従って通信を行う。
【0056】
無線通信部124は、制御部126の制御に従って、可動部110と無線通信を行う。無線通信部124は、無線通信部115と同様、指向性の無い無線通信方式を用いる。例えば、Bluetooth、Zigbee、WirelessUSB、無線LANなどの通信方式を用いることが考えられる。
【0057】
マグネット125a,125bは、磁界を発生させる磁性体である。収納状態とスライド状態の何れでもMRセンサ116が磁界を検出できるよう、マグネット125aとマグネット125bとは、本体部120内の異なる位置に設けられている。
【0058】
制御部126は、制御部118の制御に基づき、本体部120側の動作を制御する。制御部126は、制御部118と同様、CPUとRAMで実現できる。CPUは、メモリ127からプログラムやデータを読み出し、RAMに展開してプログラムを実行する。RAMは、プログラムやデータの少なくとも一部を一時的に格納する揮発性メモリである。なお、RAMに代えて、他の種類のメモリを用いてもよい。制御部126の制御には、通信制御、音声入力制御、キー操作制御、制御プログラムの更新、稼働状態を診断するための制御コマンドの実行などが含まれる。
【0059】
メモリ127は、制御部126が使用するプログラムやデータを格納する不揮発性メモリである。メモリ127として、例えば、フラッシュメモリを用いることができる。制御部126により、メモリ127に格納されたプログラムやデータの読み出しや、メモリ127へのデータの書き込みが行われる。
【0060】
なお、第2の実施の形態に係る携帯電話機100では、図5に示したように、無線基地局20との通信機能を、ディスプレイ111を備える可動部110側に設けた。これは、動画データのようにサイズの大きいデータを無線基地局20から受信して表示する場合でも、データサイズに応じた帯域を可動部110と本体部120との間で確保しなくてよいという利点がある。ただし、可動部110と本体部120との間の通信帯域が十分大きければ、無線基地局20との通信機能を本体部120側に設けてもよい。
【0061】
また、本体部120の制御部126の処理能力は、可動部110の制御部118の処理能力と同等でなくてもよい。例えば、制御部126のCPUの演算能力を制御部118のCPUの演算能力より低くしてもよい。また、図5では可動部110に2つの接点パッド114a,114bを設け、本体部120に1つの接点パッド123を設けているが、個数を逆にしてもよい。また、可動部110にMRセンサ116を設け、本体部120に2つのマグネット125a,125bを設けているが、両者の配置を逆にしてもよい。
【0062】
図6は、第2の実施の形態の携帯電話機の状態変化を示す図である。図6は、携帯電話機100を右側面(図3(A)の下側)から見た状態を示している。収納状態(図6(A))では可動部110の背面全体と本体部120の正面全体とが向かい合っている。スライド状態(図6(B))では可動部110の背面の一部と本体部120の正面の一部とが向かい合っている。分離状態(図6(C))では本体部120の正面全体が露出する。
【0063】
収納状態では、可動部110の接点パッド114aと本体部120の接点パッド123とが向かい合い接触する。これにより、可動部110と本体部120とは、接点パッド114a,123を介した接触通信が可能となる。また、収納状態では、可動部110のMRセンサ116と本体部120のマグネット125bとが向かい合う。これにより、MRセンサ116でマグネット125bの磁界が検出され、分離していないことが判明する。
【0064】
スライド状態では、可動部110の接点パッド114bと接点パッド123とが向かい合い接触する。これにより、可動部110と本体部120とは、接点パッド114b,123を介した接触通信が可能となる。また、スライド状態では、可動部110のMRセンサ116と本体部120のマグネット125aとが向かい合う。これにより、MRセンサ116でマグネット125aの磁界が検出され、分離していないことが判明する。なお、収納状態とスライド状態とは、接点パッド114a,114bの何れで通信可能かを検出することで区別できる。
【0065】
分離状態では、可動部110の接点パッド114a,114bの何れも、本体部120の接点パッド123と接触しない。従って、可動部110と本体部120との間では、接触通信が行われない。また、分離状態では、可動部110のMRセンサ116は、本体部120のマグネット125a,125bの何れとも向かい合わない。従って、MRセンサ116で磁界が検出されず、分離状態であることが判明する。
【0066】
図7は、第2の実施の形態の携帯電話機の機能を示すブロック図である。可動部110および本体部120がそれぞれプログラムを実行することで、図7に示すような機能が携帯電話機100に実現される。ただし、これら機能の全部または一部を専用のハードウェア回路で実現することも可能である。
【0067】
可動部110には、制御部118がメモリ119に格納されたプログラムを実行することで、プログラム記憶部131、制御コマンド検出部132、機能検査・更新部133、状態検出部134および通信制御部135が実現される。
【0068】
プログラム記憶部131は、可動部110を制御するための制御プログラムおよび制御処理に使用される制御データを記憶する。プログラム記憶部131としての記憶領域は、例えば、CPUによりRAM上に確保される。メモリ119に格納された制御プログラムや制御データが、適宜、プログラム記憶部131に複製される。また、プログラム記憶部131の制御プログラムや制御データが更新された場合、メモリ119に反映される。
【0069】
制御コマンド検出部132は、外部から入力された診断用の制御コマンドを検出する。診断用の制御コマンドは、可動部110および本体部120が正常に稼働しているか、すなわち、ハードウェア障害やソフトウェア障害が無いか診断するためのコマンドである。診断用の制御コマンドは、例えば、携帯電話機100の製造時や保守時に、有線接続用のコネクタ(図示せず)を介して外部の情報処理装置から入力される。制御コマンド検出部132は、診断用の制御コマンドを検出すると、機能検査・更新部133に通知する。また、検査結果を機能検査・更新部133から取得すると、コマンド発行元に転送する。
【0070】
機能検査・更新部133は、制御コマンド検出部132から通知を受けると、可動部110の稼働状況(ハードウェアおよびソフトウェアの一方または両方の稼働状況)を検査する。また、機能検査・更新部133は、本体部120に制御コマンドを送信するよう、通信制御部135に指示する。そして、可動部110の検査結果と本体部120から取得した検査結果を合わせて、制御コマンド検出部132に通知する。
【0071】
また、機能検査・更新部133は、新しいバージョンの制御プログラムが存在することを示す制御情報を無線基地局20から取得すると、制御プログラムを即時に更新すべきか判断する。更新すべきと判断すると、機能検査・更新部133は、サーバ装置40から制御プログラムを取得する。そして、取得した制御プログラムに可動部110側で実行されるものが含まれている場合、プログラム記憶部131に格納された制御プログラムを更新する。また、取得した制御プログラムに本体部120側で実行されるものが含まれている場合、本体部120に制御プログラムを送信するよう、通信制御部135に指示する。
【0072】
状態検出部134は、可動部110の現在状態が、収納状態・スライド状態・分離状態の何れであるかを検出する。具体的には、状態検出部134は、MRセンサ116の検出状況に基づいて分離状態と他の状態とを区別する。更に、接点パッド114a,114bの接触状況に基づいて、収納状態とスライド状態とを区別する。状態検出部134は、検出した現在状態を、通信制御部135に通知する。
【0073】
通信制御部135は、本体部120との通信を制御する。通信制御部135は、本体部120と通信を行うイベントが発生すると、可動部110の現在状態を参照して、接触通信および無指向性の無線通信の一方を選択する。具体的には、安定性が求められる所定の種類の通信(例えば、本体部120への制御コマンドや制御プログラムの送信)の場合、接触通信を優先的に選択する。一方、他の種類の通信(例えば、本体部120からの音声信号やキー操作信号の受信)の場合は、無指向性の無線通信を選択する。
【0074】
ここで、通信制御部135は、接点制御部135aおよび無線制御部135bを含む。接点制御部135aは、本体部120との接触通信を制御する。接点制御部135aは、接点パッド114aおよび接点パッド114bによる通信が可能か確認し、本体部120と接触している方を使用する。無線制御部135bは、本体部120との無指向性の無線通信を制御する。可動部110側から通信を開始する場合、接点制御部135aまたは無線制御部135bは、本体部120に対しコネクションの確立を要求する。
【0075】
なお、これまでの説明では、可動部110がスライド状態にあるときは収納状態と同様に接触通信が選択され得るとしたが、スライド状態では分離状態と同様に無指向性の無線通信が選択されるようにしてもよい。
【0076】
本体部120には、制御部126がメモリ127に格納されたプログラムを実行することで、プログラム記憶部136、キー操作検出部137、通信制御部138および機能検査・更新部139が実現される。
【0077】
プログラム記憶部136は、本体部120を制御するための制御プログラムおよび制御処理に使用される制御データを記憶する。プログラム記憶部136としての記憶領域は、例えば、CPUによりRAM上に確保される。メモリ127に格納された制御プログラムや制御データが、適宜、プログラム記憶部136に複製される。また、プログラム記憶部136の制御プログラムや制御データが更新された場合、メモリ127に反映される。
【0078】
キー操作検出部137は、キーパッド122の入力キーの押下を検出する。そして、押下された入力キーを示すキー操作信号を可動部110に送信するよう、通信制御部138に指示する。
【0079】
通信制御部138は、可動部110との通信を制御する。通信制御部138は、可動部110と通信を行うイベントが発生すると、接触通信または無指向性の無線通信の一方を選択する。具体的には、可動部110からコネクションの確立が要求された場合は、その際に使用された方の通信方法を選択する。本体部120側から通信を開始する場合(例えば、可動部110に音声信号やキー操作信号を送信する場合)は、無指向性の無線通信を選択する。ただし、接触通信によるコネクションが既に存在する場合や、収納状態またはスライド状態にあることを知ることができる場合には、接触通信を選択してもよい。
【0080】
ここで、通信制御部138は、接点制御部138aおよび無線制御部138bを含む。接点制御部138aは、可動部110との接触通信を制御する。無線制御部138bは、可動部110との無指向性の無線通信を制御する。本体部120側から通信を開始する場合、無線制御部138bは、可動部110に対しコネクションの確立を要求する。
【0081】
機能検査・更新部139は、可動部110から制御コマンドを受け取ると、本体部120の稼働状況(ハードウェアおよびソフトウェアの一方または両方の稼働状況)を検査する。そして、可動部110に検査結果を送信するよう、通信制御部138に指示する。また、機能検査・更新部139は、可動部110から新しいバージョンの制御プログラムを取得すると、プログラム記憶部136に格納された制御プログラムを更新する。
【0082】
図8は、第2の実施の形態の通信制御を示すフローチャートである。以下では、図8に示す制御処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
(ステップS11)通信制御部135は、通信開始の契機となるイベントを検出する。通信イベントには、本体部120への制御コマンドの実行要求、本体部120の制御プログラムの更新要求、本体部120からのコネクションの確立要求などが含まれる。
【0083】
(ステップS12)通信制御部135は、ステップS11で検出した通信イベントの示す通信が、安定性が求められる所定の種類の通信か判断する。所定の種類の通信には、例えば、制御コマンドや制御プログラムの送信が含まれる。所定の種類の通信の場合、処理をステップS13に進める。他の種類の通信の場合、処理をステップS17に進める。
【0084】
(ステップS13)状態検出部134は、MRセンサ116でマグネット125aまたはマグネット125bの磁界が検出されたか判断する。検出された場合、処理をステップS14に進める。検出されない場合、分離状態であると判定し、処理をステップS17に進める。
【0085】
(ステップS14)状態検出部134は、接点パッド114aが接点パッド123と接触しているか、すなわち、本体部120側と通電している状態か判断する。接触している場合、収納状態であると判定し、処理をステップS16に進める。接触していない場合、処理をステップS15に進める。
【0086】
(ステップS15)状態検出部134は、接点パッド114bが接点パッド123と接触しているか、すなわち、本体部120側と通電している状態か判断する。接触している場合、スライド状態であると判定し、処理をステップS16に進める。接触していない場合、処理をステップS17に進める。
【0087】
(ステップS16)通信制御部135は、ステップS14で収納状態と判定された場合は、接点パッド114aを介した接触通信を選択する。また、ステップS15でスライド状態と判定された場合は、接点パッド114bを介した接触通信を選択する。そして、処理をステップS18に進める。
【0088】
(ステップS17)通信制御部135は、無線通信部115を介した無指向性の無線通信を選択する。そして、処理をステップS18に進める。
(ステップS18)通信制御部135は、可動部110と本体部120との間にコネクションを確立するよう制御する。ステップS16で接触通信が選択された場合は、接点制御部135a,138aがコネクション確立の手続きを実行する。ステップS17で無指向性の無線通信が選択された場合は、無線制御部135b,138bがコネクション確立の手続きを実行する。
【0089】
(ステップS19)通信制御部135は、ステップS18で確立されたコネクションを用いて通信を開始する。例えば、通信制御部135は、制御コマンドや制御プログラムを本体部120に送信する。また、本体部120から音声信号やキー操作信号を受信する。
【0090】
(ステップS20)通信制御部138は、ステップS18で確立されたコネクションを用いて通信を開始する。例えば、通信制御部135は、制御コマンドや制御プログラムを本体部120から受信する。また、本体部120に音声信号やキー操作信号を送信する。
【0091】
(ステップS21)通信制御部135は、通信が終了すると(または、一定時間以上通信が行われない時間が継続すると)、ステップS18で確立されたコネクションを切断するよう制御する。接触通信が選択されている場合は、接点制御部135a,138aがコネクション切断の手続きを実行する。無指向性の無線通信が選択されている場合は、無線制御部135b,138bがコネクション切断の手続きを実行する。
【0092】
このようにして、可動部110は、収納状態またはスライド状態にあり、かつ、所定の種類の通信を行う場合は、接触通信を選択する。一方、分離状態にあるか、または、他の種類の通信を行う場合は、無指向性の無線通信を選択する。
【0093】
なお、上記説明では、ステップS13,S15でNOの場合は無指向性の無線通信を行うと判断したが、通信を行わないと判断してもよい。すなわち、制御コマンドの送信や制御プログラムの送信など安定性が求められる通信については、接触通信のみを選択するようにしてもよい。その場合、通信制御部135は、通信イベントの発行元に通信失敗を通知すればよい。
【0094】
制御コマンドの送信が失敗したときは、例えば、制御コマンド検出部132がコマンド発行元に失敗を通知する。制御プログラムの送信が失敗したときは、例えば、機能検査・更新部133がサーバ装置40に更新未完了を通知する。なお、機能検査・更新部133は、可動部110と本体部120との間に接触通信によるコネクションが確立してから制御プログラムを取得してもよいし、コネクション確立前に取得してもよい。後者の場合、取得した制御プログラムを、接触通信が成功するまで一時的に保持しておいてもよい。
【0095】
また、上記ステップS14,S15は同時に実行してもよい。すなわち、状態検出部134は、接点パッド114a,114bの通信可否を並行して確認してもよい。また、状態検出部134は、上記ステップS13でNOと判断された場合でも、接点パッド114a,114bの通信可否を確認するようにしてもよい。これは、例えば、MRセンサ116とマグネット125a,125bとは向かい合わないが、接点パッド114a,114bと接点パッド123とが向かい合うような変形形態を取り得る場合(例えば、可動部110がスライド後に回転するような場合)に有効である。
【0096】
また、上記ステップS18で確立したコネクションは即時に切断しなくてもよい。例えば、制御コマンドの送受信のために確立したコネクションを、キー操作信号の送受信のために利用してもよい。逆に、既にコネクションが存在する場合は、ステップS18で新たにコネクションを設定しなくてもよい。ただし、コネクションを維持する時間を短くした方が、より省電力化が図れる。
【0097】
以上、第2の実施の形態に係る携帯電話機100によれば、可動部110と本体部120との間の通信方法が、可動部110の変形形態に応じて適切に制御され、不要な範囲にまで電波が到達してしまうことを抑制できる。この結果、通信内容の漏洩のリスクや、他の電子機器との電波干渉の可能性を抑制し得る。また、接触通信を採用することで、可動部110と本体部120との間の通信を安定的に実行できる。このような接触通信は、制御コマンドを発行して稼働状況を検査する場合や制御プログラムを書き換える場合など、通信失敗を特に避けたい場面で有用である。
【0098】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。前述の第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については省略する。第3の実施の形態に係る携帯電話機は、可動部と本体部との間の通信方法として、接点を介した通信方法に代えて、指向性のある無線通信方式を採用したものである。
【0099】
図9は、第3の実施の形態の分離状態の携帯電話機の外観を示す図である。第3の実施の形態に係る携帯電話機200は、可動部210と本体部220とを有する。可動部210は第2の実施の形態の可動部110に対応し、本体部220は第2の実施の形態の本体部120に対応する。可動部210は、正面にディスプレイ211とスピーカ212とを有する。また、可動部210は、背面に枠部202を有する。本体部220は、正面にレール部201とマイクロホン221とキーパッド222とを有する。
【0100】
可動部210は、更に、背面に赤外線通信部214a,214bを有する。赤外線通信部214a,214bは、本体部220と赤外線通信(すなわち、非接触通信かつ指向性の無線通信)を行うため、可動部210の背面に露出しており赤外線が透過する赤外線ポートを備える。赤外線通信部214aは上面寄り(図9(A)の右側)の端に設けられ、赤外線通信部214bは長手方向の中央辺りに設けられている。
【0101】
本体部220は、更に、正面に赤外線通信部223を有する。赤外線通信部223は、可動部210と赤外線通信を行うため、本体部220の正面に露出しており赤外線が透過する赤外線ポートを備える。赤外線通信部223は上面寄りの端に設けられている。
【0102】
図10は、第3の実施の形態の携帯電話機のハードウェアを示すブロック図である。可動部210と本体部220との間では、赤外線通信または無指向性の無線通信を行うことができる。
【0103】
可動部210は、前述のディスプレイ211、スピーカ212および赤外線通信部214a,214bと共に、タッチパネル213、無線通信部215、MRセンサ216、無線部217、制御部218およびメモリ219を有する。赤外線通信部214a,214b以外のモジュールの機能は、それぞれ、図5に示した携帯電話機100の同名のモジュールと同様である。
【0104】
赤外線通信部214a,214bは、指向性の無線通信方式である赤外線通信方式により、本体部220と通信を行う。収納状態とスライド状態の何れでも通信が行えるよう、赤外線通信部214aと赤外線通信部214bとは、可動部210の背面の異なる位置に設けられている。赤外線通信部214a,214bは、赤外線通信部223と向かい合っているときに、制御部218の制御に従って通信を行う。
【0105】
本体部220は、前述のマイクロホン221、キーパッド222および赤外線通信部223と共に、無線通信部224、マグネット225a,225b、制御部226およびメモリ227を有する。赤外線通信部223以外のモジュールの機能は、それぞれ、図5に示した携帯電話機100の同名のモジュールと同様である。
【0106】
赤外線通信部223は、赤外線通信方式により可動部210と通信を行う。赤外線通信部223は、赤外線通信部214aまたは赤外線通信部214bと向かい合っているときに、制御部226の制御に従って通信を行う。
【0107】
なお、これまでの説明では、可動部210および本体部220は赤外線通信方式を用いるとしたが、赤外線通信方式以外の指向性のある無線通信方式を用いてもよい。例えば、可動部210および本体部220がRFIDの通信方式を用いてもよい。
【0108】
図11は、第3の実施の形態の携帯電話機の状態変化を示す図である。図11は、携帯電話機200を右側面(図9(A)の下側)から見た状態を示している。
収納状態(図11(A))では、赤外線通信部214aと赤外線通信部223とが向かい合う。よって、両者はそれぞれ他者が送信する赤外線信号を検出し、赤外線通信が可能となる。スライド状態(図11(B))では、赤外線通信部214bと赤外線通信部223とが向かい合う。よって、両者はそれぞれ他者が送信する赤外線信号を検出し、赤外線通信が可能となる。分離状態(図11(C))では、赤外線通信部214a,214bの何れも、赤外線通信部223と向かい合わない。従って、赤外線通信は行われない。
【0109】
図12は、第3の実施の形態の携帯電話機の機能を示すブロック図である。可動部210および本体部220がそれぞれプログラムを実行することで、図12に示すような機能が携帯電話機200に実現される。ただし、これら機能の全部または一部を専用のハードウェア回路で実現することも可能である。
【0110】
可動部210には、制御部218がメモリ219に格納されたプログラムを実行することで、プログラム記憶部231、制御コマンド検出部232、機能検査・更新部233、状態検出部234および通信制御部235が実現される。通信制御部235以外のモジュールの機能は、図7に示した携帯電話機100の同名のモジュールと同様である。
【0111】
通信制御部235は、本体部220との通信を制御する。通信制御部235は、通信イベントが発生すると、可動部210の現在状態を参照して、赤外線通信および無指向性の無線通信の一方を選択する。具体的には、安定性が求められる所定の種類の通信の場合、赤外線通信を優先的に選択する。一方、他の種類の通信の場合は、無指向性の無線通信を選択する。
【0112】
ここで、通信制御部235は、赤外線制御部235aと無線制御部235bとを含む。赤外線制御部235aは、赤外線通信を制御する。赤外線制御部235aは、赤外線通信部214aおよび赤外線通信部214bによる赤外線通信が可能か(例えば、既知信号を受信しているか、受信レベルが閾値を超えているかなど)を確認し、通信可能な方を使用する。無線制御部235bは、無指向性の無線通信を制御する。
【0113】
本体部220には、制御部226がメモリ227に格納されたプログラムを実行することで、プログラム記憶部236、キー操作検出部237、通信制御部238および機能検査・更新部239が実現される。通信制御部238以外のモジュールの機能は、図7に示した携帯電話機100の同名のモジュールと同様である。
【0114】
通信制御部238は、可動部210との通信を制御する。通信制御部238は、通信イベントが発生すると、赤外線通信または無指向性の無線通信の一方を選択する。具体的には、可動部210からコネクションの確立が要求された場合、その際に使用された方の通信方法を選択する。本体部220側から通信を開始する場合、無指向性の無線通信を選択する。ただし、赤外線通信によるコネクションが既に存在する場合や、収納状態またはスライド状態にあることを知ることができる場合には、赤外線通信を選択してもよい。
【0115】
ここで、通信制御部238は、赤外線制御部238aと無線制御部238bとを含む。赤外線制御部238aは、赤外線通信を制御する。無線制御部238bは、無指向性の無線通信を制御する。
【0116】
図13は、第3の実施の形態の通信制御を示すフローチャートである。以下では、図13に示す制御処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
(ステップS31)通信制御部235は、通信開始の契機となるイベントを検出する。
【0117】
(ステップS32)通信制御部235は、ステップS31で検出した通信イベントの示す通信が、安定性が求められる所定の種類の通信か判断する。所定の種類の通信には、例えば、制御コマンドや制御プログラムの送信が含まれる。所定の種類の通信の場合、処理をステップS33に進める。他の種類の通信の場合、処理をステップS37に進める。
【0118】
(ステップS33)状態検出部234は、MRセンサ216でマグネット225aまたはマグネット225bの磁界が検出されたか判断する。検出された場合、処理をステップS34に進める。検出されない場合、分離状態であると判定し、処理をステップS37に進める。
【0119】
(ステップS34)状態検出部234は、赤外線通信部214aが赤外線通信部223と通信可能か(例えば、通信可能なレベルの赤外線信号が検出されているか)判断する。通信可能な場合、収納状態であると判定し、処理をステップS36に進める。通信可能でない場合、処理をステップS35に進める。
【0120】
(ステップS35)状態検出部234は、赤外線通信部214bが赤外線通信部223と通信可能か(例えば、通信可能なレベルの赤外線信号が検出されているか)判断する。通信可能な場合、スライド状態であると判定し、処理をステップS36に進める。通信可能でない場合、処理をステップS37に進める。
【0121】
(ステップS36)通信制御部235は、ステップS34で収納状態と判定された場合は、赤外線通信部214aを介した赤外線通信を選択する。また、ステップS35でスライド状態と判定された場合は、赤外線通信部214bを介した赤外線通信を選択する。そして、処理をステップS38に進める。
【0122】
(ステップS37)通信制御部235は、無線通信部215を介した無指向性の無線通信を選択する。そして、処理をステップS38に進める。
(ステップS38)通信制御部235は、コネクションを確立するよう制御する。ステップS36で赤外線通信が選択された場合は、赤外線制御部235a,238aがコネクション確立の手続きを実行する。ステップS37で無指向性の無線通信が選択された場合は、無線制御部235b,238bがコネクション確立の手続きを実行する。
【0123】
(ステップS39)通信制御部235は、ステップS38で確立されたコネクションを用いて通信を開始する。
(ステップS40)通信制御部238は、ステップS38で確立されたコネクションを用いて通信を開始する。
【0124】
(ステップS41)通信制御部235は、通信が終了すると(または、一定時間以上通信が行われない時間が継続すると)、ステップS38で確立されたコネクションを切断するよう制御する。赤外線通信が選択されている場合は、赤外線制御部235a,238aがコネクション切断の手続きを実行する。無指向性の無線通信が選択されている場合は、無線制御部235b,238bがコネクション切断の手続きを実行する。
【0125】
このようにして、可動部210は、収納状態またはスライド状態にあり、かつ、所定の種類の通信を行う場合は、赤外線通信を選択する。一方、分離状態にあるか、または、他の種類の通信を行う場合は、無指向性の無線通信を選択する。
【0126】
なお、上記説明では、ステップS33,S35でNOの場合は無指向性の無線通信を行うと判断したが、通信を行わないと判断してもよい。上記ステップS34,S35は同時に実行してもよい。状態検出部234は、上記ステップS33でNOと判断された場合でも、赤外線通信部214a,214bの通信可否を確認するようにしてもよい。上記ステップS38で確立したコネクションは即時に切断しなくてもよい。逆に、既にコネクションが存在する場合は、ステップS38で新たにコネクションを設定しなくてもよい。
【0127】
以上、第3の実施の形態に係る携帯電話機200によれば、赤外線通信と無指向性の無線通信とが、可動部210の変形形態に応じて適切に選択される。これにより、不要な範囲にまで電波が到達してしまうことを抑制できる。また、赤外線通信を採用することで、可動部210と本体部220との間の通信を安定的に実行できる。
【0128】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。前述の第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については省略する。第4の実施の形態に係る携帯電話機は、本体部に対して可動部をスライドできるようにする構造が、第2の実施の形態に係る携帯電話機100と異なる。
【0129】
図14は、第4の実施の形態の携帯電話機の外観を示す図である。第4の実施の形態に係る携帯電話機300は、可動部310と本体部320とを有する。可動部310は第2の実施の形態の可動部110に対応し、本体部320は第2の実施の形態の本体部120に対応する。可動部310は、正面にディスプレイ311とスピーカ312とを有する。本体部320は、正面にマイクロホン321とキーパッド322とを有する。
【0130】
可動部310は、本体部320の長手方向にスライドできる。可動部310がスライドするために、本体部320は、正面に窪んだ状態のレール部301を有する。レール部301は、左側面寄り(図14(A)の上側)に、スライド方向に沿って設けられている。ただし、レール部301を右側面寄り(図14(A)の下側)に設けてもよい。また、可動部310は、ボタン303を有する。ボタン303は、左側面の底面寄り(図14(A)の左側)の位置に設けられている。
【0131】
図15は、第4の実施の形態の分離状態の携帯電話機の外観を示す図である。ユーザは図14に示したスライド状態から、ボタン303を押下しつつ可動部310を本体部320から引き離すことで、分離状態にすることができる。可動部310は、背面に接点パッド314a,314bを有する。本体部320は、正面に接点パッド323を有する。
【0132】
また、可動部310は、背面にフック部302を有する。フック部302は、左側面寄り(図15(A)の上側)のボタン303の近くに設けられている。ボタン303が押下されている間はフック部302が開き、ボタン303が押下されていない間はフック部302が閉じる。フック部302は、レール部301内に設けられたスライド台に引っ掛けることができる。すなわち、ユーザは、ボタン303を押下しつつレール部301のスライド台とフック部302とを向かい合わせ、ボタン303から指を離すことで、可動部310と本体部320とを結合することができる。レール部301内ではスライド台がスライドする。
【0133】
なお、図14の例では、可動部310を長手方向にスライドできるようにしたが、短手方向にスライドできるようにしてもよい。その場合、底面寄り(図14(A)の左側)または上面寄り(図14(A)の右側)に、レール部およびフック部を設ければよい。また、可動部310を長手方向と短手方向の両方向にスライドできるようにしてもよい。その場合、長手方向にスライドするためのレール部およびフック部と、短手方向にスライドするためのレール部およびフック部とを両方設ければよい。
【0134】
以上、第4の実施の形態に係る携帯電話機300によれば、第2の実施の形態に係る携帯電話機100と同様、可動部310を本体部320に対してスライド可能かつ分離可能な構造にすることができる。なお、第3の実施の形態に係る携帯電話機200のように、可動部310と本体部320とが指向性の無線通信(例えば、赤外線通信)を行うようにしてもよい。
【0135】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について説明する。前述の第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については省略する。第5の実施の形態に係る携帯電話機は、携帯電話機の全体の制御機能を、可動部に代えて本体部に設けるようにしたものである。
【0136】
図16は、第5の実施の形態の携帯電話機のハードウェアを示すブロック図である。第5の実施の形態に係る携帯電話機400は、可動部410と本体部420とを有する。可動部410は第2の実施の形態の可動部110に対応し、本体部420は第2の実施の形態の本体部120に対応する。
【0137】
可動部410は、ディスプレイ411、スピーカ412、タッチパネル413、接点パッド414a,414b、無線通信部415、マグネット416a,416b、制御部417およびメモリ418を有する。上記ユニットの機能は、それぞれ、第2の実施の形態のディスプレイ111、スピーカ112、タッチパネル113、接点パッド114a,114b、無線通信部115、マグネット125a,125b、制御部126およびメモリ127と同様である。
【0138】
本体部420は、マイクロホン421、キーパッド422、接点パッド423、無線通信部424、MRセンサ425、無線部426、制御部427およびメモリ428を有する。上記ユニットの機能は、それぞれ、第2の実施の形態のマイクロホン121、キーパッド122、接点パッド123、無線通信部124、MRセンサ116、無線部117、制御部118およびメモリ119と同様である。
【0139】
ここで、無線基地局20との通信機能およびメインの制御機能は、本体部420が有する。すなわち、制御部417は、制御部427の制御に基づき、可動部410側の動作を制御する。制御部417は、接点パッド414a,414bの接触状況を検出し、例えば、無指向性の無線通信により制御部427に通知する。一方、制御部427は、携帯電話機400全体を制御する。制御部427は、接触状況と磁界の検出状況に基づいて、可動部410の状態(収納状態、スライド状態または分離状態)を判断し、通信を制御する。
【0140】
なお、制御部417の処理能力は、制御部427の処理能力と同等でなくてもよい。例えば、制御部417のCPUの演算能力を制御部427のCPUの演算能力より低くしてもよい。また、図16では可動部410に2つの接点パッド414a,414bを設け、本体部420に1つの接点パッド423を設けているが、個数を逆にしてもよい。また、MRセンサ425とマグネット416a,416bの配置を逆にしてもよい。また、第3の実施の形態に係る携帯電話機200のように、可動部410と本体部420とが指向性の無線通信(例えば、赤外線通信)を行ってもよい。
【0141】
以上、第5の実施の形態に係る携帯電話機400によれば、第2の実施の形態に係る携帯電話機100と同様、可動部410の状態に応じて通信方法を適切に選択できる。
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態について説明する。前述の第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については省略する。第6の実施の形態に係る携帯電話機は、MRセンサのみを用いて、収納状態とスライド状態と分離状態を区別可能にしたものである。
【0142】
図17は、第6の実施の形態の携帯電話機の状態検出方法を示す図である。第6の実施の形態に係る携帯電話機500は、可動部510と本体部520とを有する。可動部510は第2の実施の形態の可動部110に対応し、本体部520は第2の実施の形態の本体部120に対応する。図17では、可動部510と本体部520とを正面から見ている。ただし、記載上、可動部510と本体部520とを横に並べて表しているが、実際は、可動部510と本体部520とが重なっている。
【0143】
可動部510は、左側面寄り(図17の左側)かつ底面寄りの位置にMRセンサ516aを備え、右側面寄り(図17の右側)かつ底面寄りの位置にMRセンサ516bを備えている。本体部520は、左側面寄りかつ長手方向の中央付近の位置にマグネット525aを備え、右側面寄りかつ底面寄りの位置にマグネット525bを備えている。
【0144】
収納状態(図17(A))では、MRセンサ516bとマグネット525bとが向かい合う。これにより、MRセンサ516bで磁界が検出される。スライド状態(図17(B))では、MRセンサ516aとマグネット525aとが向かい合う。これにより、MRセンサ516aで磁界が検出される。分離状態(図17(C))では、MRセンサ516a,516bの何れも、マグネット525a,525bと向かい合わない。従って、MRセンサ516a,516bでは磁界が検出されない。
【0145】
これにより、可動部510は、収納状態とスライド状態と分離状態とを区別して検出できる。すなわち、MRセンサ516aが検出OFFかつMRセンサ516bが検出ONであれば、収納状態と判定できる。MRセンサ516aが検出ONかつMRセンサ516bが検出OFFであれば、スライド状態と判定できる。MRセンサ516a,516b両方が検出OFFであれば、分離状態と判定できる。
【0146】
なお、2つのMRセンサ516a,516bを可動部510の長手方向に並べて設け、2つのマグネット525a,525bを本体部520の長手方向に並べて設けても、収納状態とスライド状態と分離状態とを区別して検出できる。
【0147】
以上、第6の実施の形態に係る携帯電話機500によれば、第2の実施の形態に係る携帯電話機100と同様、可動部510の状態を特定して、通信方法を適切に選択できる。その際、接触通信が可能か否かを確認しなくても、磁気検出により収納状態とスライド状態と分離状態とを区別できる。従って、状態特定の速度向上や、通信に伴う電力消費の抑制という効果が期待できる。なお、第3の実施の形態に係る携帯電話機200のように、可動部510と本体部520とが指向性の無線通信(例えば、赤外線通信)を行うようにしてもよい。
【0148】
以上の第3〜第6の実施の形態の思想は任意に組み合わせることが可能である。
以上の第1〜第6の実施の形態を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 第1の筐体と、
前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態と、前記第1の筐体と分離している第2の形態とを含む変形形態をとる第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが、前記第1の形態では前記第1の筐体と前記第2の筐体との接点を介して通信し、前記第2の形態では指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する制御部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【0149】
(付記2) 前記第2の筐体の前記変形形態には、前記第1の形態から前記第1の筐体に対してスライドさせた第3の形態が更に含まれ、
前記制御部は、前記第3の形態では前記第1の筐体と前記第2の筐体との接点を介して通信するよう制御する、
ことを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0150】
(付記3) 前記第1の筐体は前記第2の筐体と通信するための第1の接続端子を有し、前記第2の筐体は前記第1の筐体と通信するための第2の接続端子および第3の接続端子を有し、
前記第1の形態では前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とが接し、前記第3の形態では前記第1の接続端子と前記第3の接続端子とが接する、
ことを特徴とする付記2記載の携帯端末装置。
【0151】
(付記4) 前記制御部は、所定の種類の通信については、前記第1の形態の場合にも前記指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御することを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0152】
(付記5) 前記第1の筐体は磁性体を有し、前記第2の筐体は磁気センサを有し、
前記制御部は、前記磁気センサによる前記磁性体の検出状況に応じて、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが分離しているか否か判断する、
ことを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0153】
(付記6) 第1の筐体と、
前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態と、前記第1の筐体と分離している第2の形態とを含む変形形態をとる第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが、前記第1の形態では指向性のある無線通信方式で通信し、前記第2の形態では指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する制御部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【0154】
(付記7) 前記第2の筐体の前記変形形態には、前記第1の形態から前記第1の筐体に対してスライドさせた第3の形態が更に含まれ、
前記制御部は、前記第3の形態では前記指向性のある無線通信方式で通信するよう制御する、
ことを特徴とする付記6記載の携帯端末装置。
【0155】
(付記8) 前記第1の筐体は第1の無線ポートを有し、前記第2の筐体は第2の無線ポートおよび第3の無線ポートを有し、
前記制御部は、前記第1の形態では前記第1の無線ポートと前記第2の無線ポートの間で通信し、前記第3の形態では前記第1の無線ポートと前記第3の無線ポートの間で通信するよう制御する、
ことを特徴とする付記7記載の携帯端末装置。
【0156】
(付記9) 前記制御部は、所定の種類の通信については、前記第1の形態の場合にも前記指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御することを特徴とする付記6記載の携帯端末装置。
【0157】
(付記10) 前記指向性のある無線通信方式は、赤外線通信方式であることを特徴とする付記6記載の携帯端末装置。
(付記11) 前記第1の筐体は磁性体を有し、前記第2の筐体は磁気センサを有し、
前記制御部は、前記磁気センサによる前記磁性体の検出状況に応じて、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが分離しているか否か判断する、
ことを特徴とする付記6記載の携帯端末装置。
【0158】
(付記12) 第1の筐体と第2の筐体とを有する携帯端末装置の通信制御方法であって、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態であるか、前記第1の筐体から分離している第2の形態であるかを検出し、
前記第1の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが前記第1の筐体と前記第2の筐体との接点を介して通信し、前記第2の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信する、
ことを特徴とする通信制御方法。
【0159】
(付記13) 第1の筐体と第2の筐体とを有する携帯端末装置の通信制御方法であって、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態であるか、前記第1の筐体から分離している第2の形態であるかを検出し、
前記第1の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性のある無線通信方式で通信し、前記第2の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信する、
ことを特徴とする通信制御方法。
【0160】
(付記14) 第1の筐体と第2の筐体とを有する携帯端末装置を制御するコンピュータに、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態であるか、前記第1の筐体から分離している第2の形態であるかを検出し、
前記第1の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが前記第1の筐体と前記第2の筐体との接点を介して通信し、前記第2の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する、
処理を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。
【0161】
(付記15) 第1の筐体と第2の筐体とを有する携帯端末装置を制御するコンピュータに、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態であるか、前記第1の筐体から分離している第2の形態であるかを検出し、
前記第1の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性のある無線通信方式で通信し、前記第2の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する、
処理を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。
【符号の説明】
【0162】
1 携帯端末装置
1a,1b 筐体
1c 制御部
100 携帯電話機
101 レール部
102 枠部
110 可動部
111 ディスプレイ
112 スピーカ
114a,114b,123 接点パッド
120 本体部
121 マイクロホン
122 キーパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態と、前記第1の筐体と分離している第2の形態とを含む変形形態をとる第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが、前記第1の形態では指向性のある無線通信方式で通信し、前記第2の形態では指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する制御部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記第2の筐体の前記変形形態には、前記第1の形態から前記第1の筐体に対してスライドさせた第3の形態が更に含まれ、
前記制御部は、前記第3の形態では前記指向性のある無線通信方式で通信するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記第1の筐体は第1の無線ポートを有し、前記第2の筐体は第2の無線ポートおよび第3の無線ポートを有し、
前記制御部は、前記第1の形態では前記第1の無線ポートと前記第2の無線ポートの間で通信し、前記第3の形態では前記第1の無線ポートと前記第3の無線ポートの間で通信するよう制御する、
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、所定の種類の通信については、前記第1の形態の場合にも前記指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記指向性のある無線通信方式は、赤外線通信方式であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記第1の筐体は磁性体を有し、前記第2の筐体は磁気センサを有し、
前記制御部は、前記磁気センサによる前記磁性体の検出状況に応じて、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが分離しているか否か判断する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
第1の筐体と第2の筐体とを有する携帯端末装置の通信制御方法であって、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態であるか、前記第1の筐体から分離している第2の形態であるかを検出し、
前記第1の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性のある無線通信方式で通信し、前記第2の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信する、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項8】
第1の筐体と第2の筐体とを有する携帯端末装置を制御するコンピュータに、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体に対しクローズしている第1の形態であるか、前記第1の筐体から分離している第2の形態であるかを検出し、
前記第1の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性のある無線通信方式で通信し、前記第2の形態の場合、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが指向性の無い無線通信方式で通信するよう制御する、
処理を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−62874(P2013−62874A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274234(P2012−274234)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2009−140146(P2009−140146)の分割
【原出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】