説明

携帯端末装置、通信異常報知方法、通信異常報知プログラム

【課題】 携帯電話機の通信異常報知動作の正確性の向上を図る。
【解決手段】 各現在位置毎に受信レベルを検出してメモリに記憶することで、該メモリ内に各現在位置と、該各現在位置の受信レベルを示す予想受信レベルテーブルを形成する。この予想受信レベルテーブルの各受信レベルは、各現在位置において、過去に当該携帯電話機で実際に受信された受信レベルであるため、その現在位置で予想される当該携帯電話機の受信レベル(予想受信レベル)となる。制御部は、この予想受信レベルテーブルから当該携帯電話機の現在位置に対応する予想受信レベルを検出し、該現在位置における実際の受信レベルと比較する。そして、両者の間に所定以上のレベル差があった場合に、通信異常を示す報知制御を行う。各携帯電話機の機種毎、個体毎、各現在位置毎に(=局所的に)通信異常の有無を判別して、通信異常報知動作の正確性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばGPSユニット(GPS:Global Positioning System)等の現在位置検出機能を備えた携帯電話機、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機等の携帯機器に適用して好適な携帯端末装置、通信異常報知方法、通信異常報知プログラムに関する。
特には、各現在位置毎に予め検出された受信レベルと、現在の受信レベルとを比較する局所的な受信レベルの比較を行い、この比較結果に応じて通信異常の報知を行うことで、通信異常報知動作の正確性の向上を図った携帯端末装置、通信異常報知方法、通信異常報知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−037864号の公開特許公報(特許文献1)に、複数の基地局からの受信レベルに基づいて、目的地に対する利用者の正確な位置情報を報知することを目的とした携帯端末装置が開示されている。
【0003】
この携帯端末装置の場合、所定の場所における受信可能な基地局のコード、及びその受信電界レベルを予め基地局識別信号記憶部に記憶しておき、ある目的の場所を含む基地局エリアにおいて基地局から受信した基地局コードと、基地局識別信号記憶部に記憶された基地局コードとを比較し、基地局コードが一致した場合に、その基地局、及びこのときの受信電界レベルと登録された受信電界レベルとの差を検出する。そして、上記受信電界レベル差に応じて算出した目的地までの距離等を表示部に表示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−037864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、今日において携帯電話機が広く普及しているが、該携帯電話機の使用形態によっては、例えば金属物が携帯電話機の上に置かれる等して、電波を良好に受信することができずに通信異常が発生する場合がある。
【0006】
しかし、従来の携帯電話機は、通信異常を報知する機能を有していないため、上記通信異常が発生している場合でも、通信圏外に位置しているか、若しくは弱電界内に位置しているものと認識するのみで、該通信異常を報知することができない問題があった。
【0007】
通信異常が発生しているのに、これを放置しておくと、例えば基地局サーチを連続的に行うことでバッテリに蓄電されている多くの電力を消費する不都合を生じ、また、通信回路等の故障の原因ともなる。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、通信異常を判別して報知することができるような携帯端末装置、通信異常報知方法、通信異常報知プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る携帯電話機は、上述の課題を解決するために、
無線通信を行う無線通信部による電波の現在の受信レベルを検出する現在受信レベル検出部と、
現在位置を検出する現在位置検出部と、
上記現在位置検出部で上記現在位置が検出される毎に、該検出された現在位置と、上記現在受信レベル検出部で検出された上記現在位置の受信レベルとをそれぞれ関連付けした予想受信レベルテーブルを形成して記憶部に記憶する予想受信レベルテーブル形成部と、
上記現在位置検出部により現在位置が検出された際に、該検出された現在位置に対応する受信レベルを上記予想受信レベルテーブルから検出し、この検出した受信レベルを、上記現在位置において予想される受信レベルである予想受信レベルとして出力する予想受信レベル検出部と、
上記予想受信レベル検出部により上記予想受信レベルテーブルから検出された上記現在位置に対応する上記予想受信レベルと、上記現在受信レベル検出部で検出された現在の受信レベルとを比較する受信レベル比較部と、
上記無線通信部の通信異常を報知するための報知部と、
上記受信レベル比較部から通信異常を示す所定以上のレベル差の比較結果が得られた場合、上記無線通信部が通信異常状態にあるものと判別し、所定の通信異常報知動作を行うように上記報知部を制御する制御部と
を有する。
【0010】
このような本発明に係る携帯端末装置は、現在位置検出部で現在位置が検出される毎に、この検出された現在位置と、現在受信レベル検出部で検出された受信レベルとを関連付けて記憶部に記憶する。これにより、記憶部上には、各現在位置と、該各現在位置に対応する受信レベルを示す予想受信レベルテーブルが形成されることとなる。
【0011】
予想受信レベル検出部は、現在位置検出部により現在位置が検出されると、この現在位置に対応する受信レベルを上記予想受信レベルテーブルから検出する。この予想受信レベルテーブルから検出した受信レベルは、現在位置において当該携帯端末装置が受信することが予想される電波の受信レベル(予想受信レベル)を示している。
【0012】
受信レベル比較部は、予想受信レベル検出部により予想受信レベルテーブルから検出された上記現在位置に対応する上記予想受信レベルと、現在受信レベル検出部で検出された現在の受信レベルとを比較する。そして、この受信レベル比較部から通信異常を示す所定以上のレベル差を示す比較結果が得られた際に、制御部が、無線通信部が通信異常状態にあるものと判別し、所定の通信異常報知動作を行うように報知部を制御する。
【0013】
予想受信レベルテーブルに記憶される受信レベルは、当該携帯端末装置が、その場所で実際に受信した電波の受信レベルを示しており、携帯端末装置の各機種毎、各個体毎、及び各現在位置毎の、固有かつ局所的な受信レベルであると言える。
【0014】
従って、この予想受信レベルテーブルから検出した予想受信レベル(=上記予想受信レベル)と、現在位置における現在の実際の受信レベルとを比較して通信異常の有無の判別を行うことで、上記固有かつ局所的に行った通信異常の有無の判別により、正確に通信異常を判別して報知することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、携帯端末装置の各機種毎、各個体毎、及び各現在位置毎の、固有かつ局所的な受信レベル(予想受信レベル)と、現在位置における現在の実際の受信レベルとを比較して通信異常の有無の判別を行っているため、正確に通信異常を判別して報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した実施例となる携帯電話機のブロック図である。
【図2】実施例となる携帯電話機の予想受信レベルテーブルの作成動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】実施例となる携帯電話機における通信異常報知動作のメインルーチンのフローチャートである。
【図4】実施例となる携帯電話機における通信異常報知動作のサブルーチンのフローチャートである。
【図5】実施例となる携帯電話機における通信異常報知動作の他のサブルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、現在位置検出機能を備えた携帯電話機に適用することができる。
【0018】
[携帯電話機の構成]
図1に、本発明を適用した実施例となる携帯電話機のブロック図を示す。この図1に示すように当該実施例の携帯電話機は、基地局との間で音声通話、テレビ電話通話、電子メール、Webデータ(Web:World Wide Web)の他、後述する各現在位置における電波の受信レベルの送信や予想受信レベルテーブルのダウンロード等の無線通信を行うアンテナ1及び通信回路2と、受話音声等や通信異常時における報知音声を出力するためのスピーカ部3と、送話音声等を集音するためのマイクロホン部4と、操作メニュー、電子メール、画像(静止画像及び動画像)の他、通信異常時における報知メッセージ等を表示するための表示部5と、十字キー、決定キー、数字キー等の複数の操作キーを備えた操作部6と、発着信や通信異常等をユーザに光で通知するための発光部7(LED:Light Emitting Diode:発光ダイオード)とを有している。
【0019】
また、この携帯電話機は、所望の被写体の静止画像或いは動画像を撮像するためのカメラ部8と、当該携帯電話機の筐体を振動させて発着信や通信異常等をユーザに通知するためのバイブレーションユニット9と、現在時刻をカウントするタイマ10と、通信距離が例えば50cm程度の非接触無線通信を行うための非接触無線通信アンテナ11及び非接触無線通信ユニット12と、通信距離が例えば10m程度の近距離無線通信を行うための近距離無線通信アンテナ13及び近距離無線通信ユニット14と、当該携帯電話機の現在位置を検出するためのGPSアンテナ15(GPS:Global Positioning System)及びGPSユニット16と、赤外線通信を行うための赤外線通信ユニット17とを有している。
【0020】
また、この携帯電話機は、当該携帯電話機と所定の外部機器との接続を図るための外部インターフェイス部18(外部IF部)と、上記基地局を介した無線通信処理を行うためのコミュニケーションプログラムや各種アプリケーションプログラムの他、これら各アプリケーションプログラムで取り扱われる各種データ等が記憶されたメモリ19と、当該携帯電話機全体の動作を制御する制御部20とを有している。
【0021】
メモリ19には、上記コミュニケーションプログラムの他、各現在位置毎に局所的な通信異常の検出を行い所定の報知動作を行うための通信異常検出プログラムと、カメラ部8の撮像制御を行うカメラ制御プログラムが記憶されている。このカメラ制御プログラムは、撮像した静止画像や動画像のビューア機能も備えている。
【0022】
また、メモリ19には、電子メールの作成や送受信を制御するための電子メール管理プログラムと、ユーザのスケジュールが登録されたスケジュール帳の管理を行うためのスケジュール帳管理プログラムと、コミュニケーションネットワークやインターネット等の所定のネットワーク上に設けられたサーバ装置上で公開されているWebページを閲覧するためのWebブラウジングプログラムと、電話帳の管理を行うための電話帳管理プログラムと、音楽データの再生を行うための音楽プレーヤプログラムとが記憶されている。
【0023】
また、メモリ16には、ユーザの所望のスケジュールが登録されるスケジュール帳と、ユーザの知人や友人等のユーザ名、静止画像(顔写真等)、住所、電話番号、電子メールアドレス、生年月日等が登録された電話帳と、音楽プレーヤプログラムに基づいて再生される音楽データと、カメラ制御プログラムのビューア機能に基づいて再生される静止画像データ及び動画像データと、送受信された電子メールデータと、電話及び電子メールの発着信履歴と、各現在位置と、該各現在位置の受信レベルとが関連付けされて記憶された予想受信レベルテーブル等が記憶されている。
【0024】
[携帯電話機の動作]
このような実施例の携帯電話機は、各現在位置と、該各現在位置毎に検出した受信レベルとをそれぞれ関連付けてメモリ19に記憶することで、該メモリ19上に予想受信レベルテーブルを形成する。この予想受信レベルテーブルに記憶された各受信レベルは、当該実施例の携帯電話機が、実際のその場所で検出した受信レベルであるため、次回、その場所に当該携帯電話機が位置することとなった際に、当該携帯電話機で受信することが予想される受信レベル(予想受信レベル)となる。
【0025】
このため、当該携帯電話機では、現在位置における現在の受信レベルと、予想受信レベルテーブルに記憶されている当該現在位置に対応する受信レベル(予想受信レベル)とを比較することで、通信異常を局所的に判別して報知する。
【0026】
これにより、各携帯電話機の機種毎、各携帯電話機の機器毎、及び各現在位置毎に通信異常の判別を行う、固有かつ局所的な通信異常の判別により、正確な通信異常の報知が可能となっている。
【0027】
〔予想受信レベルテーブルの形成動作〕
まず、この実施例の携帯電話機においては、当該携帯電話機は、各現在位置で検出された受信レベルを示す予想受信レベルテーブルを形成する。図2のフローチャートに、この予想受信レベルテーブルの形成動作の流れを示す。
【0028】
図1に示す制御部20は、当該携帯電話機のメイン電源が投入されると、メモリ19に記憶されている通信異常検出プログラムに基づいて、この図2のフローチャートに示す各処理を実行することで、予想受信レベルテーブルを形成する。
【0029】
ステップS1では、制御部20が、GPSユニット16を起動制御し、該GPSユニット16で検出された当該携帯電話機の現在位置(=絶対位置:緯度情報及び経度情報)を取得して、ステップS2に処理を進める。ステップS2では、制御部20が、通信回路2から現在の受信レベルを取得して処理をステップS3に進める。ステップS3では、制御部20が、ステップS1で検出された当該携帯電話機の現在位置と、ステップS2で検出された現在の受信レベルとを関連付けてメモリ19に記憶制御する。
【0030】
制御部20は、後述するステップS4及びステップS5の各処理を介して、このような現在位置とその現在位置における受信レベルとを関連付けてメモリに記憶する動作を、各現在位置毎に繰り返し実行する。これにより、メモリ19には、ユーザの移動に応じた当該携帯電話機の各現在位置毎、かつ、当該携帯電話機で実際に検出された受信レベルを示す予想受信レベルテーブルが形成されることとなる。
【0031】
また、予想受信レベルテーブルに記憶された受信レベルは、当該携帯電話機の各移動位置毎に検出された受信レベルとなるため、メモリ19には、ユーザの行動範囲に対応する、言わば当該ユーザ専用の予想受信レベルテーブルが形成されることとなる。
【0032】
次に制御部20は、このように各現在位置の情報と、該各現在位置毎に検出された受信レベルを示す情報とを関連付けてメモリ19に記憶するのであるが、ステップS4では、この現在位置の情報及び各現在位置毎に検出された受信レベルを示す情報が、例えば10個等の所定の数となったか否か(=GPSユニット16による現在位置の検出回数、及び通信回路2で受信された電波に基づいて行った受信レベルの検出回数がそれぞれ10回となったか否か)、或いは過去に以下に説明する上記各情報のセンター送信を行ってから、例えば1週間等の所定の期間が経過したか否かを判別する。そして、上記各情報が所定の数になっていないものと判別した場合、或いは過去に上記各情報のセンター送信を行ってから所定の期間が経過していないものと判別した場合には、処理をステップS1に戻し、上述のように各現在位置毎に受信レベルを検出してメモリ19に記憶する動作を繰り返し実行する。
【0033】
これに対して、上記各情報が所定の数になったものと判別した場合、或いは過去に上記各情報のセンター送信を行ってから所定の期間が経過したものと判別した場合、制御部20は、処理をステップS5に進め、メモリ19に記憶されている各現在位置の情報、及び該各現在位置に対応する受信レベルを示す情報を、当該携帯電話機の例えば機器識別番号、電話番号等の固有の端末情報と共に、当該携帯電話機の通信事業者が管理するサーバ装置に送信する(センター送信)。
【0034】
これにより、上記サーバ装置においては、携帯電話機の各機種毎、及び各ユーザ毎の各現在位置の情報、及び該各現在位置に対応する受信レベルを示す情報がそれぞれ収集されることとなる。サーバ装置は、ユーザから送信された各現在位置の情報、及び該各現在位置に対応する受信レベルを示す情報を、各機種毎に分類してデータベース部に記憶する。これにより、サーバ装置のデータベース部には、各現在位置の受信レベルを示す予想受信レベルテーブルが、携帯電話機の各機種毎に形成されることとなる(=各ユーザの携帯電話機から送信される各現在位置の情報と、該各現在位置に対応する受信レベルを示す情報に基づいて、携帯電話機の各機種毎の予想受信レベルテーブルを形成する。)。
【0035】
後述するが、当該実施例の携帯電話機の場合、現在位置に対応する受信レベルの情報がメモリ19の予想受信レベルテーブルに記憶されていない場合、上記サーバ装置に対して当該現在位置に対応する受信レベルを含む予想受信レベルテーブルのダウンロード要求を行う。サーバ装置は、このダウンロード要求がなされると、上述のように各ユーザの携帯電話機から送信された各現在位置の情報と、該各現在位置に対応する受信レベルを示す情報とに基づいて形成した、該ダウンロード要求がなされたユーザの携帯電話機の機種に対応する予想受信レベルテーブルを、該ダウンロード要求がなされたユーザの携帯電話機に送信する。これにより、予想受信レベルテーブルのダウンロード要求を行ったユーザは、メモリ19の予想受信レベルテーブルに受信レベルが記憶されていない位置に移動した場合でも、該移動した位置に対応すると共に、なおかつ、自分の機種に対応する各現在位置の受信レベルを示す予想受信レベルテーブルを取得することができるようになっている。
【0036】
〔通信異常報知動作〕
次に、この実施例の携帯電話機においては、当該携帯電話機の現在位置において受信されるべき電波の受信レベルである予想受信レベルを、メモリ19に記憶されている予想受信レベルテーブルから検出すると共に、当該携帯電話機の現在位置における実際の受信レベルを検出する。そして、上記予想受信レベルと実際の受信レベルとを比較して、両者の間に大きいなレベル差が生じている場合に、通信異常が発生しているものと判別して、所定の報知動作を行うようになっている。
【0037】
図3のフローチャートに、制御部20による通信異常報知動作の流れを示す。制御部20は、当該携帯電話機のメイン電源の投入操作を検出すると、メモリ19に記憶されている通信異常検出プログラムに基づいて、この図3のフローチャートに示す各処理を開始する。
【0038】
まず、ステップS11では、制御部20が、GPSユニット16を起動制御し、該GPSユニット16で検出された当該携帯電話機の現在位置(=絶対位置:緯度情報及び経度情報)を取得して、ステップS12に処理を進める。ステップS12では、制御部20が、ステップS11で取得した当該携帯電話機の現在位置に基づいて、メモリ19に記憶されている予想受信レベルテーブルの各現在位置を参照することで、該現在位置で受信される電波の受信レベルを示す予想受信レベルが予想受信レベルテーブルに記憶されているか否かを判別する。そして、予想受信レベルが予想受信レベルテーブルに記憶されているものと判別した場合には、処理をステップS21に進め、予想受信レベルが予想受信レベルテーブルに記憶されていないものと判別した場合には、処理をステップS13に進める。
【0039】
予想受信レベルが予想受信レベルテーブルに記憶されているものと判別することで処理をステップS21に進めると、制御部20は、当該携帯電話機の現在位置に対応する予想受信レベルをメモリ19に記憶されている予想受信レベルテーブルから読み出して、処理をステップS16に進める。
【0040】
これに対して、予想受信レベルが予想受信レベルテーブルに記憶されていないものと判別することで処理をステップS13に進めると、制御部20は、ステップS11で取得した当該携帯電話機の現在位置を示す現在位置情報、及び例えば当該携帯電話機の機種情報、端末識別情報、電話番号等の端末情報を、当該携帯電話機の通信事業者の上記サーバ装置に送信すると共に、予想受信レベルテーブルのダウンロード要求を行う。
【0041】
上述のように、上記サーバ装置のデータベース部には、各携帯電話機から送信された各現在位置毎の受信レベルで形成した各機種毎の予想受信レベルテーブルが記憶されている。このため、サーバ装置は、この予想受信レベルテーブルのダウンロード要求がなされると、当該ユーザの携帯電話機から送信された端末情報に基づいて、当該携帯電話機の機種を検出すると共に、データベース部から、この検出した機種に対応する予想受信レベルテーブルを検出する。そして、この検出した予想受信レベルテーブルのうち、上記ユーザの携帯電話機から送信された現在位置情報で示される現在位置を中心とした例えば半径10kmの範囲内の各現在位置の受信レベルを示す部分的な予想受信レベルテーブルを、上記ダウンロード要求のなされたユーザの携帯電話機に送信する。これにより、予想受信レベルテーブルのダウンロード要求を行ったユーザは、自分の機種に対応する各現在位置の受信レベルを示す予想受信レベルテーブルを取得することとなる。
【0042】
制御部20は、ステップS14において、このサーバ装置からの予想受信レベルテーブルを受信したか否かを判別しており、該サーバ装置から予想受信レベルテーブルを受信したタイミングで処理をステップS15に進める。ステップS15では、制御部20が、上記サーバ装置から受信した予想受信レベルテーブルをメモリ19に記憶制御すると共に、この記憶した予想受信レベルテーブルに基づいて、当該携帯電話機の現在位置に対応する予想受信レベルを検出し、処理をステップS16に進める。
【0043】
次に、ステップS16では、制御部20が、通信回路2で受信された電波に基づいて現在の電波の受信レベル(=現在における実際の受信レベル)を検出し、処理をステップS17に進める。
【0044】
ステップS17では、制御部20が、ステップS16で検出した現在の実際の受信レベルと、メモリ19に記憶されている予想受信レベルテーブルから検出した現在位置に対応する予想受信レベルとを比較する。そして、制御部20は、ステップS18において、現在の受信レベルは予想受信レベルよりも遙かに低いか否かを判別すると共に、ステップS19において、現在の受信レベルは予想受信レベルよりも遙かに高いか否かを判別する。
【0045】
具体的には、一例ではあるが、制御部20は、現在の実際の受信レベルが、予想受信レベルよりも30d以上低いレベルであった場合に、現在の受信レベルは予想受信レベルよりも遙かに低いものと判別し、また、現在の実際の受信レベルが、予想受信レベルよりも30dB以上高いレベルであった場合に、現在の受信レベルは予想受信レベルよりも遙かに高いものと判別するようになっている。
【0046】
例えば、現在の実際の受信レベルが−100dBで、予想受信レベルが−60dBであった場合、現在の実際の受信レベルは予想受信レベルよりも40dBも低いレベルであるため、制御部20は、現在の実際の受信レベルは、予想受信レベルよりもはるかに低いレベルであるものと判別する。反対に、現在の実際の受信レベルが−60dBで、予想受信レベルが−100dBであった場合、現在の実際の受信レベルは予想受信レベルよりも40dBも高いレベルであるため、制御部20は、現在の実際の受信レベルは、予想受信レベルよりもはるかに高いレベルであるものと判別する。
【0047】
制御部20は、ステップS18において、現在の実際の受信レベルは、予想受信レベルよりもはるかに低いレベルであるものと判別した場合には、処理を図4のフローチャートのステップS31に進め、ステップS19において、現在の実際の受信レベルは、予想受信レベルよりもはるかに高いレベルであるものと判別した場合には、処理を図5のフローチャートのステップS41に進める。
【0048】
一方、現在の実際の受信レベルと予想受信レベルとの間に、上述の大きなレベル差が無い場合、制御部20は、ステップS20に処理を進める。このステップS20に処理を進めると、制御部20は、メモリ19に記憶されている予想受信レベルテーブルを参照することで、当該携帯電話機の現在位置に対応する実際の受信レベルよりも、高い受信レベルとなる移動方向及び移動距離を検出する。上述のように、予想受信レベルテーブルには各現在位置と、該各現在位置に対応する予想受信レベルとが記憶されている。このため、制御部20は、現在の受信レベルよりも高い予想受信レベルとなっている各現在位置と、当該携帯電話機の現在位置と基づいて、上記移動方向及び上記移動距離の検出を行う。
【0049】
そして、制御部20は、例えば「南の方向に10m移動すると、受信レベルがさらに良くなります」等の、上記検出した移動方向及び移動距離に対応する当該携帯電話機の移動を促すメッセージを表示部5に表示制御する。これにより、現在の受信レベルが良好である場合でも、さらに受信レベルが向上する位置へ、ユーザを導くことができる(通信状態が改善する位置へユーザが導くことができる。)。
【0050】
なお、この例では、制御部20は通信状態が改善する移動方向及び移動距離を検出してユーザに報知することとしたが、移動方向のみを検出してユーザに報知してもよい。
【0051】
また、この例では、制御部20は、上記検出した移動方向及び移動距離に対応する当該携帯電話機の移動を促すメッセージを表示部5に表示制御することとしたが、制御部20は、上記検出した移動方向及び移動距離に対応する当該携帯電話機の移動を促す音声メッセージをスピーカ部3を介して出力制御してもよい。
【0052】
(現在の受信レベルが予想受信レベルよりもはるかに低い場合)
次に、現在の実際の受信レベルが予想受信レベルよりもはるかに低いレベルであるということは、例えば当該携帯電話機の上に金属物が載置されることで、電波の受信障害が発生している通信異常状態であることを意味している。
【0053】
このため、上記ステップS18で、現在の実際の受信レベルは、予想受信レベルよりもはるかに低いレベルであるものと判別することで、図4のフローチャートのステップS31に処理を進めると、制御部20は、現在位置を示す現在位置情報、及びこの現在位置における現在の受信レベルをメモリ19に一旦記憶すると共に、上述と同様に、メモリ19に記憶されている予想受信レベルテーブルを参照することで、当該携帯電話機の現在の通信状態が改善する移動方向及び移動距離を検出する。
【0054】
そして、制御部20は、ステップS32に処理を進め、例えば「電波の受信障害が発生しています。東の方向に5m移動すると、通信状態が改善します」等の、電波の受信障害の発生を通知し、また、上記検出した移動方向及び移動距離に対応する当該携帯電話機の移動を促すメッセージを表示部5に表示制御すると共に、電波の受信障害を示す所定の電子音をスピーカ部3を介して出力制御する。これにより、電波の受信障害が発生していることをユーザに通知することができると共に、通信状態が改善する位置へ、ユーザを導くことができる。
【0055】
なお、上記電子音と共に、或いは上記電子音の代わりに、電波の受信障害を示す所定の振動パターンでバイブレーションユニット9を振動駆動制御しても良いし、電波の受信障害を示す所定の発光パターンで発光部7を発光制御しても良い。また、上記電波の受信障害の発生の通知すると共に、上記検出した移動方向及び移動距離に対応する当該携帯電話機の移動を促す音声メッセージをスピーカ部3を介して出力制御してもよい。
【0056】
また、ユーザに対して通信状態を改善する移動方向及び移動距離を報知することとしたが、移動方向のみをユーザに報知してもよい。
【0057】
次に、このような電波の受信障害を示す報知制御を行うと、制御部20は、処理をステップS33に進め、GPSユニット16を起動制御し、該GPSユニット16で検出された当該携帯電話機の現在位置を取得して、ステップS34に処理を進める。
【0058】
ステップS34では、制御部20が、上記ステップS31でメモリ19に一旦記憶制御した位置情報(=過去の現在位置を示す位置情報)と、上記ステップS33で検出された現在位置情報とを比較することで、上記電波の受信障害を示す報知制御後に、当該携帯電話機の移動が行われたか否かを判別する。そして、当該携帯電話機の移動が行われていないものと判別した場合は、処理をステップS32に戻し、上述の電波の受信障害を示す報知制御を繰り返し実行し、当該携帯電話機の移動が行われたものと判別した場合は、処理をステップS35に進める。
【0059】
ステップS35では、制御部20が、通信回路2で受信された電波に基づいて、この移動後の現在の電波の受信レベルを検出すると共に、この移動後の現在の電波の受信レベルと、上記ステップS31でメモリ19に記憶しておいた移動前の受信レベルとを比較する。そして、ステップS36において、上記携帯電話機の移動により、受信レベルの改善がなされたか否かを判別する。
【0060】
制御部20は、上記携帯電話機の移動により受信レベルの改善がなされたものと判別した場合には、処理をステップS40に進め、上記電波の受信障害を示す報知制御を停止制御し、図3のフローチャートのステップS1へ処理を戻す。
【0061】
これに対して、上記携帯電話機の移動により受信レベルの改善がなされていないということは、当該携帯電話機の通信機能の故障等が考えられる。このため、制御部20は、上記携帯電話機の移動により受信レベルの改善がなされていないものと判別した場合には、処理をステップS37に進め、アップリンクとダウンリンクの各伝搬減衰量をネットワークパラメータに基づいて比較し、ステップS38において、上記両者の間に所定以上の差があるか否かを判別する。
【0062】
上記両者の間に所定以上の差が無いということは、当該携帯電話機の通信機能は良好に動作しているが、当該携帯電話機を移動した際に、ユーザが受信レベルの低い場所に移動してしまったことを意味している。このため、制御部20は、上記両者の間に差が無いものと判別した場合には、処理をステップS31に戻し、該ステップS31〜ステップS38の処理を繰り返し実行することで、当該携帯電話機の受信レベルが改善される場所への移動を促す。
【0063】
これに対して、上記両者の間に所定以上の差があるということは、当該携帯電話機の通信機能が故障していることを意味する。このため、上記両者の間に所定以上の差があるものと判別することで処理をステップS39に進めると、制御部20は、例えば「通信機能の故障です。販売店で修理を受けてください」等の端末事業者によるサニティチェックを促すメッセージを表示部5に表示制御して、この図3〜図5に示すフローチャートの全処理を終了する。
【0064】
(現在の受信レベルが予想受信レベルよりもはるかに高い場合)
次に、現在の実際の受信レベルが予想受信レベルよりもはるかに高いレベルであるということは、近隣から妨害電波が発生している可能性が高いことを意味している。このため、図3のフローチャートの上記ステップS19で、現在の実際の受信レベルは、予想受信レベルよりもはるかに高いレベルであるものと判別することで、図5のフローチャートのステップS41に処理を進めると、制御部20は、現在位置を示す現在位置情報、及びこの現在位置における現在の受信レベルをメモリ19に一旦記憶すると共に、上述と同様に、メモリ19に記憶されている予想受信レベルテーブルを参照することで、当該携帯電話機の現在の通信状態を改善可能な移動方向及び移動距離を検出する。
【0065】
そして、制御部20は、ステップS42に処理を進め、ハンドオフ制御により、物理チャンネルの変更制御を行うと共に、例えば「妨害電波が発生しています。南の方向に10m移動すると、通信状態が改善します」等の妨害電波の発生を通知し、また、上記検出した移動方向及び移動距離に対応する当該携帯電話機の移動を促すメッセージを表示部5に表示制御すると共に、電波の受信障害を示す所定の電子音をスピーカ部3を介して出力制御する。これにより、妨害電波の発生をユーザに通知することができると共に、受信レベルが向上する位置へ、ユーザを導くことができる。
【0066】
なお、上記電子音と共に、或いは上記電子音の代わりに、妨害電波の発生を示す所定の振動パターンでバイブレーションユニット9を振動駆動制御しても良いし、妨害電波の発生を示す所定の発光パターンで発光部7を発光制御しても良い。また、上記妨害電波の発生を通知すると共に、上記検出した移動方向及び移動距離に対応する当該携帯電話機の移動を促す音声メッセージをスピーカ部3を介して出力制御してもよい。
【0067】
次に、このような妨害電波の発生を示す報知制御を行うと、制御部20は、処理をステップS43に進め、GPSユニット16を起動制御し、該GPSユニット16で検出された当該携帯電話機の現在位置を取得して、ステップS44に処理を進める。
【0068】
ステップS44では、制御部20が、上記ステップS41でメモリ19に一旦記憶制御した位置情報(=過去の現在位置を示す位置情報)と、上記ステップS43で検出された現在位置情報とを比較することで、上記妨害電波の発生を示す報知制御後に、当該携帯電話機の移動が行われたか否かを判別する。そして、当該携帯電話機の移動が行われていないものと判別した場合は、処理をステップS42に戻し、上述のハンドオフによる物理チャンネルの変更制御、及び妨害電波の発生を示す報知制御を繰り返し実行し、当該携帯電話機の移動が行われたものと判別した場合は、処理をステップS45に進める。
【0069】
ステップS45では、制御部20が、通信回路2で受信された電波に基づいて、この移動後の現在の電波の受信レベルを検出すると共に、この移動後の現在の電波の受信レベルと、上記ステップS41でメモリ19に記憶しておいた移動前の受信レベルとを比較する。そして、ステップS46において、上記携帯電話機の移動により、受信レベルの改善がなされたか否かを判別する。
【0070】
制御部20は、上記携帯電話機の移動により受信レベルの改善がなされていないものと判別した場合には、このままでは、引き続き妨害電波を受け続けることとなるため、処理をステップS41に戻し、該ステップS41〜ステップS46の処理を繰り返し実行することで、当該携帯電話機の受信レベルが改善される場所への移動を促す。
【0071】
これに対して、上記携帯電話機の移動により受信レベルが改善がされたものと判別した場合、処理をステップS47に進め、上記妨害電波の発生を示す報知制御を停止制御して、処理をステップS48に進める。
【0072】
ステップS48では、制御部20が、例えば「妨害電波の発生箇所をセンターに通知しますか?」等の、妨害電波の発生箇所のセンター通知の是非を問うメッセージを表示部5に表示制御する。ユーザは、上記センター通知の許可/非許可を、操作部6を操作することで指示するのであるが、制御部20は、操作部6の操作状況を監視することで、上記センター通知が許可されたか否かを判別する。
【0073】
そして、制御部20は、上記センター通知が許可されないものと判別した場合は、以下に説明する妨害電波の発生箇所を示す情報のセンター通知を行うことなく、この図3〜図5のフローチャートに示す全処理を終了する。
【0074】
これに対して、上記センター通知が許可されたものと判別した場合、制御部20は、処理をステップS50に進め、妨害電波の発生箇所を示す位置情報をメモリ19から読み出し、これを上述の通信事業者の上記サーバ装置に送信するように通信回路2を送信制御して、この図3〜図5のフローチャートに示す全処理を終了する。通信事業者は、この妨害電波の発生箇所を示す位置情報に基づいて、後日、該妨害電波の発生を防止するための処置を行うこととなる。
【0075】
[実施例の効果]
以上の説明から明らかなように、この実施例の携帯電話機は、現在位置が移動する毎に受信レベルを検出して、該各現在位置と該各現在位置の受信レベルとをそれぞれ関連付けてメモリ19に記憶することで、各現在位置と、該各現在位置の受信レベルを示す予想受信レベルテーブルをメモリ19上に形成する。
【0076】
制御部20は、当該携帯電話機が移動すると、この移動による現在位置に基づいて、メモリ19の予想受信レベルテーブルを参照することで、該現在位置に対応する受信レベルを検出する。このメモリ19の予想受信レベルテーブルから検出した受信レベルは、当該携帯電話機が過去に、その現在位置に位置することとなった際に、当該携帯電話機自身で検出した受信レベルである。従って、当該携帯電話機が、再度、その現在位置に位置することとなった際には、当該携帯電話機で受信されることが予想される電波の受信レベル(予想受信レベル)を示している。
【0077】
制御部20は、メモリ19の予想受信レベルテーブルから現在位置に対応する予想受信レベルを検出すると、通信回路2で受信している電波に基づいて、現在の実際の受信レベルを検出し、この現在の実際の受信レベルと、上記予想受信レベルテーブルから検出した予想受信レベルとを比較する。そして、制御部20は、現在の実際の受信レベルと予想受信レベルとの間に所定以上のレベル差を検出した場合(=通常のレベル差以上のレベル差を検出した場合=通信異常を示すレベル差分を検出した場合)に、通信異常を示す所定の報知制御を行う。
【0078】
上記メモリ19の予想受信レベルテーブルに記憶されている受信レベルは、当該携帯電話機が、その場所で実際に受信した電波の受信レベルであるため、当該携帯電話機の機種に対応し、当該携帯電話機自信(携帯電話機の各個体)に対応すると共に、その場所に対応する受信レベルである。換言すれば、機種及び機器固有、かつ、局所的な受信レベルである。
【0079】
このため、現在位置に対応する上記予想受信レベルと、現在位置における現在の実際の受信レベルとを比較して通信異常の有無の判別を行うことで、携帯電話機の各機種毎、各携帯電話機個体毎、かつ、各現在位置毎に(=局所的に)、通信異常の有無を判別して該通信異常の報知制御を行うことができ、非常に正確に通信異常を判別して報知することができる。
【0080】
[変形例]
上述の実施例の説明では、メモリ19内に過去に位置することとなった各現在位置と該各現在位置に対応する受信レベルとを関連付けて記憶した予想受信レベルテーブルを形成し、現在、位置している現在位置に対応する受信レベルが、この予想受信レベルテーブルに記憶されていない場合に、ネットワーク上のサーバ装置から、当該現在位置に対応する受信レベルを含む予想受信レベルテーブルをダウンロードすることとしたが、この実施例の変形例となる携帯電話機は、該携帯電話機の位置登録情報に基づいてサーバ装置から自動的に送信される当該携帯電話機の現在位置に対応する基地局の予想受信レベルテーブルを受信して、上述の通信異常の判別を行うようにしたものである。
【0081】
なお、上述の実施例の携帯電話機と、この実施例の変形例となる携帯電話機とは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複する説明は省略することとする。
【0082】
すなわち、この例の場合、例えば当該携帯電話機の通信事業者のネットワークやインターネット等の所定のネットワーク上に設けられた上記サーバ装置は、各基地局の通信セル内の各絶対位置と、予め検出した該各絶対位置における受信レベルとを関連付けて記憶した各基地局毎の予想受信レベルテーブルを有している。
【0083】
当該携帯端末装置の制御部20は、移動により、無線通信に用いる基地局が変わる毎に、当該携帯端末装置の通信事業者の位置記憶装置(ホームメモリ)に位置登録されている登録位置を変更登録するように通信回路2を制御する。
【0084】
このため、サーバ装置は、上記ホームメモリに登録されている各携帯電話機の登録位置を変更の有無を監視し、該登録位置の変更を検出すると、この変更された登録位置の基地局に対応する予想受信レベルテーブルを、該登録位置の変更を行った携帯電話機に送信する。これにより、携帯電話機側では、移動により登録位置の変更登録を行う毎に、該変更した登録位置の基地局に対応する予想受信レベルテーブルが、上記サーバ装置から送信されることとなる。
【0085】
制御部20は、このサーバ装置から送信された上記変更後の登録位置に対応する基地局の予想受信レベルテーブルをメモリ19に記憶制御し、GPSユニット16により現在位置が検出された際に、該検出された現在位置に対応する受信レベルを上記記憶部に記憶した上記サーバ装置からの予想受信レベルテーブルから検出する。
【0086】
そして、制御部20は、この予想受信レベルテーブルから検出した上記現在位置に対応する上記予想受信レベルと、通信回路2で受信されている電波に基づいて検出した現在の受信レベルとを比較し、この両者の比較結果が、通信異常を示す所定以上のレベル差の比較結果であった場合に、上記通信回路2が通信異常状態にあるものと判別し、上述の通信異常報知制御を行う。
【0087】
この実施例の変形例の携帯電話機の場合は、当該携帯電話機が移動により登録位置の変更登録を行う毎に、上記サーバ装置から、この変更後の登録位置の基地局に対応する予想受信レベルテーブルが自動的に送信される。このため、携帯電話機側からサーバ装置に対して予想受信レベルテーブルのダウンロード要求を行う処理を省略することができる他、上述の実施の形態の携帯電話機と同じ効果を得ることができる。
【0088】
[他の変形例]
上述の実施例の説明では、現在位置に対応する予想受信レベルがメモリ19の予想受信レベルテーブルに記憶されていない場合に、該現在位置に対応する予想受信レベルテーブルを上記サーバ装置からダウンロードすることとしたが、この際、制御部20は、当該携帯電話機の移動経路に基づいて、該携帯電話機が電車で移動しているか、車で移動しているかを判別し、電車で移動しているものと判別した場合には、当該電車の路線沿いの地理的範囲に対応する予想受信レベルテーブルのダウンロード要求を行い、車で移動しているものと判別した場合には、その幹線道路沿いの地理的範囲に対応する予想受信レベルテーブルのダウンロード要求を行うようにしてもよい。これにより、ユーザの移動(=当該携帯電話機の移動)に応じて、常に最適な地理的範囲の予想受信レベルテーブルをダウンロード可能とすることができる。
【0089】
また、所定のタイミングで、メモリ19に記憶されている当該携帯電話機の予想受信レベルテーブルと同じ地理的範囲の、他の機種、他の携帯電話機の予想受信レベルテーブルを上記サーバ装置からダウンロードし、両者の各現在位置における各受信レベル同士をそれぞれ比較して、当該携帯電話機の正常/異常を診断するようにしてもよい(自己診断機能)。
【0090】
また、上述の実施例の説明では、本発明を携帯電話機に適用することとしたが、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、ノート型のパーソナルコンピュータ装置等の他の携帯機器に本発明を適用してもよい。いずれの場合も上述と同様の効果を得ることができる。
【0091】
最後に、上述の実施例は、本発明の一例である。このため、本発明は上述の実施例に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0092】
1 アンテナ、2 通信回路、3 スピーカ部、4 マイクロホン部、5 表示部、6 操作部、7 発光部、8 カメラ部、9 バイブレーションユニット、10 タイマ、11 非接触無線通信アンテナ、12 非接触無線通信ユニット、13 近距離無線通信アンテナ、14 近距離無線通信ユニット、15 GPSアンテナ、16 GPSユニット、17 赤外線通信ユニット、18 外部インターフェイス部、19 メモリ、20 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う無線通信部による電波の現在の受信レベルを検出する現在受信レベル検出部と、
現在位置を検出する現在位置検出部と、
上記現在位置検出部で上記現在位置が検出される毎に、該検出された現在位置と、上記現在受信レベル検出部で検出された上記現在位置の受信レベルとをそれぞれ関連付けした予想受信レベルテーブルを形成して記憶部に記憶する予想受信レベルテーブル形成部と、
上記現在位置検出部により現在位置が検出された際に、該検出された現在位置に対応する受信レベルを上記予想受信レベルテーブルから検出し、この検出した受信レベルを、上記現在位置において予想される受信レベルである予想受信レベルとして出力する予想受信レベル検出部と、
上記予想受信レベル検出部により上記予想受信レベルテーブルから検出された上記現在位置に対応する上記予想受信レベルと、上記現在受信レベル検出部で検出された現在の受信レベルとを比較する受信レベル比較部と、
上記無線通信部の通信異常を報知するための報知部と、
上記受信レベル比較部から通信異常を示す所定以上のレベル差の比較結果が得られた場合、上記無線通信部が通信異常状態にあるものと判別し、所定の通信異常報知動作を行うように上記報知部を制御する制御部と
を有する携帯端末装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記現在位置検出部で行われる上記現在位置の検出回数、及び上記現在受信レベル検出部で行われる上記現在の受信レベルの検出回数が、それぞれ所定回数行われる毎に、該所定回数分の上記各現在位置の情報、及び該各現在位置に対応する上記受信レベルの情報を、所定のネットワーク上に設けられ、各携帯電話機からそれぞれ送信される上記各現在位置の情報及び該各現在位置に対応する受信レベルの情報を収集するサーバ装置にアップロードするように上記無線通信部を制御する
請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記現在位置検出部で検出された上記各現在位置の情報、及び上記現在受信レベル検出部で検出された上記各現在位置に対応する上記受信レベルの情報を、所定のネットワーク上に設けられ、各携帯電話機からそれぞれ送信される上記各現在位置の情報及び該各現在位置に対応する受信レベルの情報を収集するサーバ装置にアップロードするように上記無線通信部を制御する際に、前回アップロードを行った時刻から所定期間が経過する毎に、前回アップロードを行ってから今回アップロードを行うまでの所定期間に対応する上記各現在位置の情報、及び該各現在位置に対応する上記受信レベルの情報を、上記サーバ装置にアップロードするように上記無線通信部を制御する
請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記予想受信レベル検出部で、上記現在位置検出部により検出された現在位置に対応する上記予想受信レベルを上記予想受信レベルテーブルから検出できなかった場合に、上記サーバ装置に対して、上記現在位置に対応する予想受信レベルテーブルのダウンロード要求を行うように上記無線通信部を制御し、このダウンロード要求に応じて上記サーバ装置から送信される上記予想受信レベルテーブルを上記記憶部に記憶制御する
請求項2又は請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
所定のネットワーク上に設けられ、各基地局の通信セル内の各絶対位置と、予め検出した該各絶対位置における受信レベルとを関連付けて記憶した各基地局毎の予想受信レベルテーブルを有し、当該携帯端末装置が、当該携帯端末装置の通信事業者の位置記憶装置に対して行う位置登録による登録位置が変更される毎に、該変更後の登録位置に対応する基地局の予想受信レベルテーブルを当該携帯端末装置に送信するサーバ装置からの上記変更後の登録位置に対応する基地局の予想受信レベルテーブルを、上記制御部は上記記憶部に記憶制御し、
上記予想受信レベル検出部は、上記現在位置検出部により現在位置が検出された際に、該検出された現在位置に対応する受信レベルを上記記憶部に記憶された上記予想受信レベルテーブルから検出し、この検出した受信レベルを、上記現在位置において予想される受信レベルである予想受信レベルとして出力し、
上記受信レベル比較部は、上記予想受信レベル検出部により上記予想受信レベルテーブルから検出された上記現在位置に対応する上記予想受信レベルと、上記現在受信レベル検出部で検出された現在の受信レベルとを比較し、
上記制御部は、上記受信レベル比較部から通信異常を示す所定以上のレベル差の比較結果が得られた場合、上記無線通信部が通信異常状態にあるものと判別し、所定の通信異常報知動作を行うように上記報知部を制御する
請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
上記制御部は、少なくとも上記無線通信部が通信異常状態にあるものと判別した場合、上記所定の通信異常報知動作を行うように上記報知部を制御すると共に、上記現在位置検出部で検出された当該携帯電話機の現在位置に基づいて、上記記憶部に記憶されている予想受信レベルテーブルを参照することで、通信状態が改善される方向、或いは通信状態が改善される方向及び通信状態が改善される距離を検出して報知するように上記報知部を制御する
請求項1から請求項5のうち、いずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
現在受信レベル検出部が、無線通信を行う無線通信部による電波の現在の受信レベルを検出する現在受信レベル検出ステップと、
現在位置検出部が、現在位置を検出する現在位置検出ステップと、
予想受信レベルテーブル形成部が、上記現在位置検出ステップで上記現在位置が検出される毎に、該検出された現在位置と、上記現在受信レベル検出ステップで検出された上記現在位置の受信レベルとをそれぞれ関連付けした予想受信レベルテーブルを形成して記憶部に記憶する予想受信レベルテーブル形成ステップと、
上記現在位置検出ステップにより現在位置が検出された際に、予想受信レベル検出部が、上記検出された現在位置に対応する受信レベルを上記予想受信レベルテーブルから検出し、この検出した受信レベルを、上記現在位置において予想される受信レベルである予想受信レベルとして出力する予想受信レベル検出ステップと、
受信レベル比較部が、上記予想受信レベル検出ステップにより上記予想受信レベルテーブルから検出された上記現在位置に対応する上記予想受信レベルと、上記現在受信レベル検出ステップで検出された現在の受信レベルとを比較する受信レベル比較ステップと、
上記受信レベル比較ステップで通信異常を示す所定以上のレベル差の比較結果が得られた場合、制御部が、上記無線通信部が通信異常状態にあるものと判別し、所定の通信異常報知動作を行うように、上記無線通信部の通信異常を報知するための報知部を制御する報知制御ステップと
を有する通信異常報知方法。
【請求項8】
無線通信を行う無線通信部による電波の現在の受信レベルを検出する現在受信レベル検出部としてコンピュータを機能させ、
現在位置を検出するように現在位置検出部を制御する現在位置検出制御部としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記現在位置検出制御部として機能させることで、上記現在位置検出部により上記現在位置が検出される毎に、該検出された現在位置と、コンピュータを上記現在受信レベル検出部として機能させることで検出された上記現在位置の受信レベルとをそれぞれ関連付けした予想受信レベルテーブルを形成して記憶部に記憶する予想受信レベルテーブル形成部としてコンピュータを機能させ、
上記現在位置検出制御部としてコンピュータを機能させることで、上記現在位置検出部により現在位置が検出された際に、上記検出された現在位置に対応する受信レベルを上記予想受信レベルテーブルから検出し、この検出した受信レベルを、上記現在位置において予想される受信レベルである予想受信レベルとして出力する予想受信レベル検出部としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記予想受信レベル検出部として機能させることで、上記予想受信レベルテーブルから検出された上記現在位置に対応する上記予想受信レベルと、コンピュータを上記現在受信レベル検出部として機能させることで検出された現在の受信レベルとを比較する受信レベル比較部としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記受信レベル比較部として機能させることで、通信異常を示す所定以上のレベル差の比較結果が得られた場合、上記無線通信部が通信異常状態にあるものと判別し、所定の通信異常報知動作を行うように、上記無線通信部の通信異常を報知するための報知部を制御する報知制御部としてコンピュータを機能させる
通信異常報知プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−61299(P2011−61299A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205995(P2009−205995)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】