説明

携帯端末装置

【課題】本発明は、別部材を用いることなく金属フレームと回路基板とを電気的に導通させる小型化された携帯端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯端末装置としての携帯電話機1は、表示部側筐体3と、表示部側筐体3内に配置される金属フレーム110と、表示部側筐体3内に金属フレーム110と対向して配置され、電子部品が実装されると共に基準電位パターン127を有する回路基板120と、を備える。そして、回路基板120における金属フレーム110に対向する第1実装面121とは反対側の第2実装面122には電子部品が配置され、第1実装面121には基準電位パターンと電気的に接続される半田接合部125が配設され、半田接合部125は、金属フレーム110に当接して金属フレーム110と電気的に導通することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末装置としての携帯電話機において、筐体の剛性を向上させるために該筐体内に金属フレームを配置する場合がある。この場合、この金属フレームに静電気が帯電することで生じる誤作動を防止するため、金属フレームは、回路基板に形成された基準電位パターンと電気的に導通するよう構成される。
【0003】
ここで、金属フレームと回路基板とを電気的に導通させるため、例えば、金属フレームと回路基板との間に弾性部材であるタブを配置する場合がある。しかし、この場合には金属フレームと回路基板との間にタブが配置されることにより薄型化が阻害される場合があった。
【0004】
これに対し、金属フレームと回路基板との間にタブを配置することなく、金属フレームと回路基板とを弾性圧着具により圧着させることで電気的な導通を図った携帯電話機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−046384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の携帯電話機は、別部材を用いて金属フレームと回路基板とを圧着して電気的導通を確保しているため、部品点数が増えるという課題があった。また、弾性圧着具のスペースだけ携帯電話機が大型化するという課題があった。
【0006】
本発明は、半田接合部を設けた回路基板と金属フレームとを近接配置することで、別部材を用いることなく金属フレームと回路基板とを電気的に導通させる小型化された携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体と、前記筐体内に配置される金属フレームと、前記筐体内に前記金属フレームと対向して配置され、電子部品が実装されると共に基準電位部を有する回路基板と、を備え、前記回路基板における前記金属フレームに対向する第1実装面とは反対側の第2実装面には前記電子部品が配置され、前記第1実装面には前記基準電位部と電気的に接続される半田接合部が配設され、前記半田接合部は、前記金属フレームに当接して該金属フレームと電気的に導通することを特徴とする携帯端末装置に関する。
【0008】
また、前記金属フレームには、前記半田接合部が当接する部位に凹部が形成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記半田接合部は、前記回路基板における長手方向中心線又は短手方向中心線の少なくとも一方に対して略対称になるよう複数配設されることが好ましい。
【0010】
ここで、長手方向中心線とは回路基板を幅方向に等分する長手方向に延びる中心線であり、幅方向中心線とは回路基板を長手方向に等分する幅方向に延びる中心線である。
【0011】
また、前記筐体内であって、前記金属フレームにおける前記回路基板とは反対側に該金属フレームと対向して配置されるモジュールと、を更に備え、前記半田接合部は、前記モジュールと前記金属フレームとが互いに重なる領域に配設されることが好ましい。
【0012】
また、前記回路基板は、前記金属フレームに対して長手方向又は短手方向の少なくとも一方に移動可能に配置されることが好ましい。
【0013】
また、前記金属フレームの表面における全部又は一部には、表面保護処理が施され、前記金属フレームにおける前記半田接合部が当接する部位には、前記表面保護処理が施されていないか、又は表面処理が施された後に表面を削る処理がなされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半田接合部を設けた回路基板と金属フレームとを近接配置することで、別部材を用いることなく金属フレームと回路基板とを電気的に導通させる小型化された携帯端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下、携帯端末装置として携帯電話機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0016】
図1から図4により、携帯端末装置としての携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、携帯端末装置としての携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)における正面図を示す。また、図2(A)は、携帯電話機1を開いた状態における左側面図を示し、図2(B)は、携帯電話機1を開いた状態における右側面図を示す。また、図3は、携帯電話機1を開いた状態における背面図を示す。図4は、携帯電話機1の表示部側筐体3を、連結部4の回動軸Yを中心にして所定角度回動した状態の斜視図を示す。
【0017】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは2軸ヒンジ機構を備える連結部4を介して連結され、該携帯電話機1を開状態及び閉状態に変形可能とすると共に、開状態及び閉状態それぞれにおいて表示部側筐体3を表状態と裏状態とに切り替えることができる。
【0018】
ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。そして、開状態における表状態とは、後述する表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向くように配置された状態(図1参照)であり、開状態における裏状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが反対側を向くように配置された状態をいう。また、閉状態における表状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11に対向するように配置された状態であり、閉状態における裏状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11と対向せずに表出した状態である。
【0019】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bにより構成される。この操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。ここで、操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。また、音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0020】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0021】
操作部側筐体2における一方の側面には、図2(A)に示すように、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェース16と、ヘッドホン/マイク端子17と、着脱可能な外部メモリのインターフェース18と、バッテリを充電するための充電端子19とが設けられている。なお、インターフェース16、ヘッドホン端子/マイク端子17及びインターフェース18は、不使用時において着脱可能な防塵対策用のキャップで覆われている。
【0022】
操作部側筐体2における他方の側面には、図2(B)に示すように、一対のサイドキー20と、撮像時に使用される操作キー21と、電波の受信角度を調整可能な放送波受信用のアンテナ22とが配置される。このサイドキー20には、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。ここで、上述と同様に、サイドキー20が使用者により押圧されることで、携帯電話機1においてサイドキー20に割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0023】
操作部側筐体2のリアケース2bには、図3に示すように、被写体を撮像するカメラ部23と、被写体に光を照射するライト部24とが露出して配置される。このカメラ部23とライト部24とは、操作部側筐体2における連結部4側に配置される。また、操作部側筐体2におけるリアケース2bには、バッテリ収容部92にバッテリ90を装着するための開口92aが形成されると共に、該開口92aを塞ぐようにバッテリリッド25が配置される。
【0024】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、図1から図3に示すように、2軸ヒンジ機構を備える連結部4を介して連結される。連結部4における一方の面(裏面)には、図3に示すように、副操作キー群33が該携帯電話機1の幅方向(短手方向)において一列に並んで配置される。この副操作キー群33を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0025】
表示部側筐体3は、外面がフロントケース3aとリアケース3bにより構成される。
表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、各種情報を表示するための所定形状のディスプレイ30と、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31とが露出するように配置される。ここで、音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声出力部31は、携帯電話機1が開状態において他方の端部側に配置される。
【0026】
また、表示部側筐体3のリアケース3bには、各種情報を表示するためのサブディスプレイ32が露出して配置される。ディスプレイ30及びサブディスプレイ32それぞれは、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
【0027】
連結部4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心にして任意の角度で開閉自在に連結すると共に、回動軸Yを中心に任意の角度で回動自在に連結する2軸ヒンジ機構を備える。
【0028】
連結部4は、一方端4a側において図示しない開閉連結部材により操作部側筐体2の上端部と連結されており、他方端4b側において図示しない回動連結部材により表示部側筐体3の下端部と連結されている。
【0029】
連結部4の一方端4aには、該連結部4における表面から垂直に突出するように形成される凸形状の開閉部4cが形成される。そして、操作部側筐体2の上端部には、この凸形状の開閉部4cが挿嵌される凹形状の切り欠き部5が形成される。
【0030】
この開閉部4cの開閉軸X方向における両側それぞれには、図示しない孔部Aが形成される。また、操作部側筐体2の切り欠き部5における両内側面には、図示しない孔部Bが形成される。そして、凸形状の開閉部4cが、凹形状の切り欠き部5に挿嵌された状態において、孔部Aと孔部Bとは互いに近接して対向するよう配置されると共に、孔部Aと孔部Bとの双方に円筒状の開閉連結部材が挿通される。これにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、開閉可能に連結される。なお、開閉部4cは、操作部側筐体2の上端部に挿嵌される形状であれば良く、特に凸形状に限られず、また、操作部側筐体2の上端部の形状も凹形状に限られない。
【0031】
また、連結部4の他方端4b側と表示部側筐体3の下端部とは、図示しない回動連結部材により回動自在に連結される。連結部4における表示部側筐体3側の側面には、図示しない孔部Cが形成される。また、表示部側筐体3における連結部4側の側面には、図示しない孔部Dが形成される。そして、孔部Cと孔部Dとの双方に回動連結部材が挿通されることで、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが回動軸Yを中心に回動可能に連結される。つまり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、表示部側筐体3の表裏状態を切り替え可能に連結される。
【0032】
携帯電話機1は、上述したように、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4により開閉及び回動可能に連結される。これにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心にして開閉させたり、回動軸Yを中心にして回動をさせたりすることで携帯電話機1を様々な状態に変形させることができる。
【0033】
例えば、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重なる状態である閉状態(第1閉状態)の携帯電話機1を、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれにおける開閉軸Xと反対側の端部が、互いに離間するよう開閉軸Xを中心にして開くように変形させることで、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重ならない開状態(第1開状態)にすることができる。
【0034】
逆に、開状態(第1開状態)の携帯電話機1を、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれの開閉軸Xと反対側の端部が、互いに近づくよう開閉軸Xを中心にして閉じるように変形させることで、閉状態(第1閉状態)にすることができる。
【0035】
また、開状態(第1開状態)において、図4に示すように、表示部側筐体3を、回動軸Yを中心に回動させることができる。更には、表示部側筐体3を更に回動軸Yを中心に回転させることで、表示部側筐体3における表裏状態を切り替えることができる。具体的には、表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向く開状態(第1開状態)から、表示部側筐体3が回動軸Yを中心に180度回転されて表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群とが反対側を向く開状態(第2開状態)にすることができる。
【0036】
そして、第2開状態における表示部側筐体3を開閉軸Xを中心にして閉じるよう変形させることで、携帯電話機1を閉状態(第2閉状態)にすることができる。つまり、携帯電話機1は、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が、操作部側筐体2における操作キー群11に対向するよう配置された閉状態(第1閉状態)から、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が、操作部側筐体2に対向せずに表出した状態である閉状態(第2閉状態、ターンクローズ状態)に変形させることができる。
【0037】
なお、本実施形態においては、連結部4による折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(リボルバ)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。
【0038】
次いで、図5及び図6により、表示部側筐体3の内部構造について説明する。図5は、表示部側筐体3の分解斜視図を示す。図6は、金属フレーム110における回路基板120と対向する底面112a側の平面図である。
【0039】
表示部側筐体3は、図5に示すように、フロントケース3aと、モジュールとしてのディスプレイユニット100と、金属フレーム10と、基準電位部としての基準電位パターン127及びディスプレイ用の電子部品を備える回路基板120と、サブディスプレイユニット130と、リアケース3bと、を備える。
【0040】
フロントケース3aとリアケース3bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置されると共に、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース3aとリアケース3bとの間には、ディスプレイユニット100と、金属フレーム110と、回路基板120と、サブディスプレイユニット130とが、フロントケース3a側からこの順番で収納配置される。
【0041】
フロントケース3aは、ケース体300aの表面にLCDカバー300bとフロントカバー300cを固定して形成される。
【0042】
ディスプレイユニット100は、ディスプレイ30と、該ディスプレイ30を固定するホルダーとにより構成されている。
【0043】
金属フレーム110は断面がH字状の部材であり、フロントケース3a側及びリアケース3b側に、浅い凹状の収容部111、112が形成される。そして、金属フレーム110におけるフロントケース3a側の収容部111にはディスプレイユニット100が収容配置され、リアケース3b側の収容部112には回路基板120が収容配置される。ここで、金属フレーム110は、表示部側筐体3における曲げ動作や捩り動作に対する剛性確保のための補強部材及び静電対策用のシールドとして機能する。
【0044】
また、図6に示すように、金属フレーム110における収容部112の底面112aには、複数の凹部115が形成される。複数の凹部115は、後述する回路基板120に形成される複数の半田接合部125に対応する位置に形成される。また、凹部115は、該凹部115の容積が半田接合部125の体積と同じか、又は少し小さくなるように形成される。ここで、金属フレーム110の表面には、腐食防止等を目的として所定の表面保護処理がなされている。ただし、凹部115が形成されている位置においては、該凹部115を形成するために表面保護処理がなされた金属フレーム110の表面を削る処理がなされている。よって、凹部115が形成されている位置においては、金属フレーム110を構成する金属部材が露出された状態となっている。
【0045】
回路基板120は、上述のように金属フレーム110に形成される収容部112に収容配置される。回路基板120におけるリアケース3b側の第2実装面122には、図示しない各種電子部品が配置される。上述した音声出力部31は、回路基板120の第2実装面122における連結部4とは反対の端部側に配置される。また、第2実装面122に配置される各種電子部品は、所定の組み合わせによりディスプレイ30やサブディスプレイ32の表示態様やそのタイミング等の表示制御を行う表示制御ブロック等の回路ブロックを形成する。
【0046】
回路基板120における金属フレーム110側の第1実装面121には、外周部に図示しない基準電位部としての基準電位パターン127が形成される。この基準電位パターン127よりも内部側の第1実装面121には、複数の半田接合部125が形成される。半田接合部125は、第1実装面121に所定量の半田材料を印刷やリフロー処理等により接合させるフローことで形成される。この複数の半田接合部125は、長手方向中心線に対して線対称になるよう形成されると共に、短手方向中心線に対して線対称になるように形成される。ここで、複数の半田接合部125は、回路基板120の内層部に設けられた図示しない基準電位層と電気的に導通する。
【0047】
そして、回路基板120を金属フレーム110の収容部112に収容するように配置した状態において、複数の半田接合部125それぞれは、上述した対向した位置に形成されている複数の凹部115それぞれの内面に当接して電気的に導通する。これにより、金属フレーム110は、半田接合部125を介して回路基板120の基準電位部である基準電位層と電気的に導通する。
【0048】
サブディスプレイユニット130は、サブディスプレイ32と、該サブディスプレイ32とを固定するホルダーとにより構成されている。サブディスプレイユニット130は、リアケース3bと回路基板120とに挟まれるように配置される。つまり、サブディスプレイユニット130は、フロントケース3aとリアケース3bとにより挟み込まれることで加えられる力により、回路基板120を金属フレーム110側に押し付けるように押圧する。また、サブディスプレイユニット130は、上述のように、リアケース3bに形成される窓部3cから表出するように配置される。
【0049】
続けて、図7により、回路基板120に形成される複数の半田接合部125が、金属フレーム110に電気的に導通する導通構造について説明する。図7は、金属フレーム110に、ディスプレイユニット100と回路基板120とを収容するように組み込んだ状態における断面図を示す。ここでの金属フレーム110はマグネシウム合金により構成されているかアルミニウム合金等の導通性を有す金属部材で構成されていてもよい。
【0050】
図7に示すように、回路基板120の第1実装面121に形成される複数の半田接合部125それぞれは、金属フレーム110の収容部における底面120aに形成される複数の凹部115それぞれに挿入するようにして配置される。複数の半田接合部125それぞれは、該複数の半田接合部125それぞれにおける体積が、複数の凹部115それぞれにおける容積よりも同じが少し大きくなるように形成されるので、該複数の半田接合部125それぞれは、複数の凹部115それぞれにフィットするように配置される。半田接合部125は変形可能な半田材料により構成されるので、凹部115の形状に沿って変形して凹部115の内面に隙間無く配置される。また、サブディスプレイユニット130側からの押し付け力により、弾性変形されて、凹部115の内面に確実に当接される。
【0051】
上述のように、半田接合部125は、表面保護処理された表面を削る処理をして形成された凹部115に挿入するように配置されることで、金属フレーム110と電気的に導通される。この半田接合部125は、回路基板120に形成される基準電位層127と電気的に導通するように形成されているので、金属フレーム110は、回路基板120に配設される基準電位部に電気的に導通される。
【0052】
また、金属フレーム110における回路基板120の反対側には、ディスプレイユニット100が配置される。ディスプレイユニット100は、回路基板120における半田接合部125が形成される領域に対応する位置を含む領域に配置される。言い換えると、複数の半田接合部125それぞれは、ディスプレイユニット100と金属フレーム110とが互いに重なる領域に対応する位置に形成される。これにより、表示部側筐体3を組み立てた状態において、ディスプレイユニット100は金属フレーム110を回路基板120側に押圧した状態で固定されるので、複数の半田接合部125それぞれは、複数の凹部115それぞれにおける内面に好適に当接される。
【0053】
本実施形態において、複数の半田接合部125が第1実装面121に形成された回路基板120と、金属フレーム110とを積層配置することで、別部材を用いることなく金属フレーム110と回路基板120とを電気的に導通させることができる。これにより、携帯端末装置としての携帯電話機1を小型化(薄型化)することができる。また、簡易な構成により金属フレーム110と回路基板120とを電気的に導通させることができる。また、任意の位置に半田接合部125を形成することで、金属フレーム110と回路基板120とを任意の位置で電気的に導通させることができる。
【0054】
また、本実施形態において、金属フレーム110に複数の凹部115を形成すると共に、複数の半田接合部125それぞれが、複数の凹部115それぞれに挿入するようにして配置される。これにより、携帯端末装置をより小型化(薄型化)することができる。
【0055】
また、本実施形態において、回路基板120に複数の半田接合部125を形成しているので、金属フレーム110から回路基板120に加えられる荷重を分散させることができる。また、金属フレーム110を複数個所で回路基板120の基準電位部に導通されているので、携帯端末装置がアンテナを備える場合に、このアンテナの特性に影響を与えることを抑制できる。
【0056】
また、本実施形態において、複数の半田接合部125は、回路基板120における長手方向中心線に対して線対称になるように形成されると共に、短手方向中心線に対して線対称になるように形成される。これにより、金属フレーム110から回路基板120に加えられる荷重をより均一に分散させることができる。
【0057】
また、本実施形態において、半田接合部125は半田材料により構成されるので、金属フレーム110を構成する材料を選択する際における自由度が広がる。
【0058】
また、本実施形態において、金属フレーム110に電気的に導通する部材である半田接合部125が半田材料により構成されるので、新たに半田接合部125を形成する工程を設けることなく、他の部材を半田付けする工程で半田接合部125を形成することができる。
【0059】
また、本実施形態において、回路基板70と金属フレーム110とを電気的に導通させるために別部材であるタブ等を用いないので、部品コストが低減されると共に、タブを実装するための実装コストが低減される。また、本実施形態においては、回路基板120の基準電位部は、連結部4内を挿通されるケーブルを介して操作部側筐体2内に配置されてバッテリ90と電気的に接続されている図示しないメイン回路基板の基準電位部と電気的に接続されている。
【0060】
以上、本形態の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、金属フレーム110は、操作部側筐体2を構成するケースと分離された部材であるが、これに限定されず、インサート成形によりケースと一体的に形成されたものでもよい。
【0061】
また、本実施形態において、金属フレームは表示部側筐体3に配置されているが、これに限定されず、操作部側筐体2に配置されていてもよい。
【0062】
また、本実施形態において、金属フレーム110は、マグネシウムにより構成されているが、これに限定されず、アルミニウムや鉄等の他の金属により構成されていてもよい。
【0063】
また、本実施形態において、金属フレーム110には、複数の凹部115が形成されているが、これに限定されず、平面であってもよい。
【0064】
また、本実施形態において、半田接合部125及び凹部115は、モジュールとしてのディスプレイユニット100と金属フレーム110とが互いに重なり合う領域に対応する位置に形成されるが、これに限定されず、組み立て後や使用時において荷重がかかる任意の位置に形成することができる。
【0065】
また、本実施形態において、モジュールとしてディスプレイユニット100を用いているが、これに限定されず、カメラユニット等の他のモジュールでもよい。
【0066】
また、本実施形態において、回路基板120は、金属フレーム110に固定されているが、これに限定されず、回路基板120が長手方向及び/又は短手方向に移動(摺動)可能に配置してもよい。これにより、半田接合部125が金属フレームとしての金属フレーム110の表面を削るので、例えば、表面保護処理がなされていたとしても、半田接合部125に当接する部位が電気的に導通可能な状態になるので好ましい。また、回路基板120が平面方向に摺動することで、半田接合部125の表面におけるフラックスを摩擦により削とることが可能となり、半田接合部125と金属フレーム110との導通を確実に行うことができる。
【0067】
また、本実施形態において、金属フレーム110における表面には表面保護処理が全面になされているが、これに限定されず、表面保護処理をしないか、又は半田接合部125が当接する位置だけ表面保護処理をしないようしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】携帯端末装置としての携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)における正面図を示す。
【図2】(A)携帯電話機1を開いた状態における左側面図を示し、(B)携帯電話機1を開いた状態における右側面図を示す。
【図3】携帯電話機1を開いた状態における背面図を示す。
【図4】携帯電話機1の表示部側筐体3を、連結部4の回動軸Yを中心にして所定角度回動した状態の斜視図を示す。
【図5】表示部側筐体3の分解斜視図を示す。
【図6】金属フレーム110における回路基板120と対向する底面112a側の平面図である。
【図7】金属フレーム110に、ディスプレイユニット100と回路基板120とを収容するように組み込んだ状態における断面図を示す。
【符号の説明】
【0069】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
4 連結部
110 金属フレーム
115 凹部
120 回路基板
121 第1実装面
122 第2実装面
125 半田接合部
127 基準電位パターン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置される金属フレームと、
前記筐体内に前記金属フレームと対向して配置され、電子部品が実装されると共に基準電位部を有する回路基板と、を備え、
前記回路基板における前記金属フレームに対向する第1実装面とは反対側の第2実装面には前記電子部品が配置され、前記第1実装面には前記基準電位部と電気的に接続される半田接合部が配設され、
前記半田接合部は、前記金属フレームに当接して該金属フレームと電気的に導通することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記金属フレームには、前記半田接合部が当接する部位に凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記半田接合部は、前記回路基板における長手方向中心線又は短手方向中心線の少なくとも一方に対して略対称になるよう複数配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記筐体内であって、前記金属フレームにおける前記回路基板とは反対側に該金属フレームと対向して配置されるモジュールと、を更に備え、
前記半田接合部は、前記モジュールと前記金属フレームとが互いに重なる領域に配設されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記回路基板は、前記金属フレームに対して長手方向又は短手方向の少なくとも一方に移動可能に配置されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記金属フレームの表面における全部又は一部には、表面保護処理が施され、
前記金属フレームにおける前記半田接合部が当接する部位には、前記表面保護処理が施されていないか、又は表面処理が施された後に表面を削る処理がなされていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−182600(P2008−182600A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15609(P2007−15609)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】