説明

携帯端末装置

【課題】誤動作を防止し得る、複数の表示部を含む携帯電話機を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、第1表示部11と、第2表示部21と、第1表示部を有する第1キャビネット10と、第2表示部を有する第2キャビネット20と、第1表示部のみが外部に露出する第1形態と、第2表示部の少なくとも一部および第1表示部11が外部に露出する第2形態とで切り替え可能なように第1キャビネットと第2キャビネットを連結させる機構部17、27、39と、第1表示部に対する入力を検出する第1検出部12と、第2表示部に対する入力を検出する第2検出部22と、入力を無効および有効に設定する設定部とを備える。ここで、設定部は、第2形態において、第1検出部および第2検出部のうちの一方の検出部により入力が検出されている場合、第1検出部および第2検出部のうちの他方の検出部により検出された入力を無効に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末装置には、2つの表示面を有するものがある。たとえば、この種の携帯端末装置は、一つの表示面が外部に現れる閉状態から、2つの表示面が外部に現れる開状態に切換え可能とされ、外部に表れている表示面に対する入力を検出する機能が設けられている。かかる機能において、携帯端末装置が閉状態から開状態に切り替えられると、両方の表示面に対する入力が検出される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−305262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、携帯端末装置が閉状態から開状態に切り替えられる間に、ユーザの指などが誤って画面にタッチしてしまうことがある。このタッチによる入力が検出されると、入力に応じた動作がユーザの意図に反して実行されてしまう。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、誤動作を防止し得る、複数の表示部を含む携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯端末装置は、第1表示部と、第2表示部と、前記第1表示部を有する第1キャビネットと、前記第2表示部を有する第2キャビネットと、前記第1表示部のみが外部に露出する第1形態と、前記第2表示部の少なくとも一部および前記第1表示部が外部に露出する第2形態とで切り替え可能なように前記第1キャビネットと前記第2キャビネットを連結させる機構部と、前記第1表示部に対する入力を検出する第1検出部と、前記第2表示部に対する入力を検出する第2検出部と、前記入力を無効および有効に設定する設定部とを備える。ここで、前記設定部は、前記第2形態において、前記第1検出部および前記第2検出部のうちの一方の検出部により入力が検出されている場合、他方の検出部により検出された入力を無効に設定する。
【0007】
本態様に係る携帯端末装置において、前記設定部は、前記一方の検出部により前記入力が検出されてから所定時間の間、前記他方の検出部により検出された前記入力を無効に設定するよう構成され得る。
【0008】
本態様に係る携帯端末装置において、前記第1表示部および前記第2表示部に画面を表示させる表示制御部をさらに備え得る。ここで、前記表示制御部は、前記第1検出部が前記入力を検出したタイミングと前記第2検出部が前記入力を検出したタイミングが所定時間以内であると、前記第1表示部および前記第2表示部に所定の画面を表示する。
【0009】
本態様に係る携帯端末装置において、前記設定部は、前記第1表示部および前記第2表示部に表示される前記所定の画面に対する前記入力を有効にするよう構成され得る。
【0010】
本態様に係る携帯端末装置において、前記設定部は、前記機構部により前記第1形態から前記第2形態に切り替えられ、前記第1検出部および前記第2検出部のうちの一方の検出部により入力が検出された場合、前記他方の検出部により検出された入力を無効に設定するよう構成され得る。
【0011】
本発明のプログラムは、第1表示部と、第2表示部と、前記第1表示部を有する第1キャビネットと、前記第2表示部を有する第2キャビネットと、前記第1表示部のみが外部に露出する第1形態と、前記第2表示部の少なくとも一部および前記第1表示部が外部に露出する第2形態とで切り替え可能なように前記第1キャビネットと前記第2キャビネットを連結させる機構部と、前記第1表示部に対する入力を検出する第1検出部と、前記第2表示部に対する入力を検出する第2検出部とを備える携帯端末装置のコンピュータに、前記第2形態において、前記第1検出部および前記第2検出部のうちの一方の検出部により入力が検出されている場合、他方の検出部により検出された入力を無効に設定する機能を付与する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、誤動作を防止し得る、複数の表示部を含む携帯端末装置を提供することができる。
【0013】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る携帯電話機の状態の切り替えを説明するための図である。
【図3】実施の形態に係る携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る操作項目画面を両表示面に表示した図である。
【図5】実施の形態に係る各表示面に対する入力を制限する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る携帯電話機を閉状態から開状態に切り替える状態を示す模式図である。
【図7】実施の形態に係る携帯電話機を開状態から閉状態に切り替える状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
<携帯電話機の構成>
図1は、携帯電話機1の構成を示す分解斜視図である。携帯電話機1は、第1キャビネット10と、第2キャビネット20と、これら第1、第2キャビネット10、20を保持する保持体30とで構成されている。
【0017】
第1キャビネット10は、横長の直方体形状を有する。第1キャビネット10の正面には、第1タッチパネルが配されている。第1タッチパネルは、第1ディスプレイ11および第1タッチセンサ12を含む。
【0018】
第1ディスプレイ11は、表示部に相当し、第1表示面11a1に画像を表示する。第1ディスプレイ11は、第1液晶パネル11aおよび第1バックライト11bで構成されている。第1液晶パネル11aの前面に第1表示面11a1が設けられる。第1表示面1
1a1上に第1タッチセンサ12が重ねられている。第1バックライト11bは、1つまたは複数の光源を含み、第1液晶パネル11aを照明する。
【0019】
第1タッチセンサ12は、第1ディスプレイ11に対する入力を検出する検出部に相当する。第1タッチセンサ12は、透明な長方形状のシートであり、第1ディスプレイ11の第1表示面11a1を覆う。第1タッチセンサ12は、マトリクス状に配された第1透明電極と第2透明電極とを備えている。第1タッチセンサ12は、これら透明電極間の静電容量の変化を検出することによって、ユーザが触れた第1表示面11a1上の位置を検出し、その入力位置に応じた位置信号を出力する。なお、ユーザが第1表示面11a1を触れるとは、たとえば、ユーザがペンなどの接触部材や指により第1表示面11a1をタッチすることである。第1表示面11a1にタッチした接触部材や指は静止してもよいし、移動してもよい。また、接触部材や指が第1表示面11a1にタッチしている時間は短くても、長くてもよい。
【0020】
第1キャビネット10の内部には、中央やや後ろ位置にカメラモジュール14が配されている。このカメラモジュール14における被写体像を取り込むためのレンズ窓(図示せず)が、第1キャビネット10の下面に設けられている。
【0021】
また、第1キャビネット10の内部には、前面近傍の中央位置に磁石15が配されており、右前角部に磁石16が配されている。
【0022】
第1キャビネット10の右側面および左側面には、突起部17が設けられている。
【0023】
第2キャビネット20は、横長の直方体形状であって、第1キャビネット10とほぼ同じ形状と大きさを有する。第2キャビネット20には、第2タッチパネルが配されている。第2タッチパネルは、第2ディスプレイ21および第2タッチセンサ22を含む。
【0024】
第2ディスプレイ21は、表示部に相当し、第2表示面21a1に画像を表示する。第2ディスプレイ21は、第2液晶パネル21aおよび第2バックライト21bで構成されている。第2液晶パネル21aの前面に第2表示面21a1が設けられる。第2バックライト21bは1つまたは複数の光源を含み、第2液晶パネル21aを照明する。なお、第1ディスプレイ11および第2ディスプレイ21は、有機EL等他の表示素子により構成されてもよい。
【0025】
第2タッチセンサ22は、第2ディスプレイ21に対する入力を検出する検出部に相当する。第2タッチセンサ22は、第1タッチセンサ12と同様の形状および構成を有する。第2タッチセンサ22は、第2ディスプレイ21の第2表示面21a1を覆い、ユーザが触れた第2表示面21a1上の位置を検出し、その入力位置に応じた位置信号を出力する。
【0026】
第2キャビネット20の内部には、後面近傍の中央位置に磁石24が配されている。
この磁石24と第1キャビネット10の磁石15とは、後述する開状態で互いに引き合うよう配置されている。
【0027】
第2キャビネット20の内部において、右前角部には閉鎖センサ25が配されている。閉鎖センサ25は、たとえば、ホールICなどで構成され、磁石16の磁力を検出すると、センサ信号を出力する。後述する閉状態で、第1キャビネット10の磁石16が閉鎖センサ25に接近するので、センサ信号が閉鎖センサ25からCPU100へ出力される。一方、開状態になると、第1キャビネット10の磁石16が閉鎖センサ25から離れるので、閉鎖センサ25からセンサ信号が出力されない。
【0028】
第2キャビネット20の両側面にはそれぞれ2つの軸部27が設けられている。
【0029】
保持体30は、底板部31と、底板部31の右端部に形成された右保持部32と、底板部31の左端部に形成された左保持部33とで構成されている。
【0030】
底板部31には、3つのコイルバネ34が左右方向に並ぶように配されている。第2キャビネット20が保持体30に取り付けられた状態において、コイルバネ34は、第2キャビネット20の下面に当接し、第2キャビネット20に対して上方に押し上げる力を付与する。
【0031】
右保持部32の上面にはマイク35および電源キー36が配されている。左保持部33の上面には、スピーカ38が配されている。また、右保持部32の外側面には、複数のハードキー37が配されている。
【0032】
右保持部32および左保持部33の内側面には、案内溝39(左保持部33側のみ図示)が形成されている。案内溝39は、上溝39a、下溝39bおよび2つの縦溝39cとで構成されている。上溝39aおよび下溝39bは前後方向に延び、縦溝39cは、上溝39aと下溝39bとを繋ぐように上下に延びる。
【0033】
携帯電話機1を組み立てる際には、軸部27が案内溝39の下溝39bに挿入され、第2キャビネット20が保持体30の収容領域R内に配置される。突起部17が案内溝39の上溝39aに挿入され、第1キャビネット10が第2キャビネット20の上に配置され、第1キャビネット10が保持体30の収容領域R内に収まる。
【0034】
こうして、底板部31、右保持部32および左保持部33に囲まれた収容領域Rの中に、第1キャビネット10および第2キャビネット20が上下に重なった状態で収容される。この状態では、第1キャビネット10は、上溝39aに案内されて前後にスライド可能である。第2キャビネット20は、下溝39bに案内されて前後にスライド可能である。また、第2キャビネット20が前方に移動し、軸部27が縦溝39cまでくると、第2キャビネット20は、縦溝39cに案内されて上下にスライド可能となる。
【0035】
図2(a)〜図2(d)は、携帯電話機1を閉状態から開状態へ切り替えるための操作について説明するための図である。
【0036】
図2(a)に示す閉状態では、第1キャビネット10が第2キャビネット20の上に重ねられて、携帯電話機1が畳まれる。閉状態は、第1キャビネット10により第2表示面21a1が覆われる第1形態に相当する。閉状態では、第1表示面11a1のみが外部に露出する。
【0037】
図2(b)に示す矢印の方向に、第1キャビネット10が後方に移動し、図2(c)に示す矢印の方向に、第2キャビネット20が前方へ引き出される。これにより、閉鎖センサ25が磁石16の磁力を検出せず、センサ信号を出力しなくなると、携帯電話機1は開状態に切り替えられる。この開状態では、第2表示面21a1の一部が外部に現れる。
【0038】
第2キャビネット20が第1キャビネット10に完全に重ならなくなると、図1に示す軸部27が縦溝39cにくる。これにより、軸部27が縦溝39cに沿って動き、第2キャビネット20は上下に移動可能になる。このとき、コイルバネ34の弾性力と、磁石15および磁石24の引力とにより、第2キャビネット20は上昇する。
【0039】
図2(d)に示すように、第2キャビネット20が第1キャビネット10と密着して並び、第2表示面21a1が第1表示面11a1と同じ高さになる。これにより、第1キャビネット10および第2キャビネット20が広げられて、第1表示面11a1と第2表示面21a1の双方が外部に露出する。
【0040】
なお、開状態は、図2(b)〜図2(d)に示すように、第2表示面21a1の少なくとも一部が外部に露出する第2形態に相当する。
【0041】
また、突起部17が案内溝39の案内溝39の上溝39aを移動し、軸部27が下溝39b、縦溝39cおよび上溝39aを移動することにより、閉状態および開状態が切り替えられる。このため、突起部17、軸部27および案内溝39が閉状態および開状態を切替可能なように、第1キャビネット10および第2キャビネット20を連結させる機構部に相当する。
【0042】
図3は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態の携帯電話機1は、上述した各構成要素の他、CPU100、メモリ200、映像エンコーダ301、音声エンコーダ302、キー入力回路303、通信モジュール304、バックライト駆動回路305、映像デコーダ306、音声デコーダ307、バッテリー309、電源部310およびクロック311を備えている。
【0043】
カメラモジュール14はCCD等の撮像素子を有する。カメラモジュール14は、撮像素子から出力された撮像信号をデジタル化し、その撮像信号にガンマ補正等の各種補正を施して映像エンコーダ301へ出力する。映像エンコーダ301は、カメラモジュール14からの撮像信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0044】
マイク35は、集音した音声を音声信号に変換して音声エンコーダ302へ出力する。音声エンコーダ302は、マイク35からのアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換するとともに、デジタルの音声信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0045】
キー入力回路303は、電源キー36やハードキー37の各キーが押されたときに、各キーに応じた入力信号をCPU100へ出力する。
【0046】
通信モジュール304は、CPU100からの情報を無線信号に変換し、アンテナ304aを介して基地局へ送信する。また、通信モジュール304は、アンテナ304aを介して受信した無線信号を情報に変換してCPU100へ出力する。
【0047】
バックライト駆動回路305は、CPU100からの制御信号に応じた電圧を第1バックライト11bおよび第2バックライト21bに印加する。第1バックライト11bは、バックライト駆動回路305による電圧により点灯し、第1液晶パネル11aを照明する。第2バックライト21bは、バックライト駆動回路305による電圧により点灯し、第2液晶パネル21aを照明する。
【0048】
映像デコーダ306は、CPU100からの画像情報を第1液晶パネル11aおよび第2液晶パネル21aで表示できる映像信号に変換し、これらを液晶パネル11a、21aに出力する。第1液晶パネル11aは、映像信号に応じた画像を第1表示面11a1に表示する。第2液晶パネル21aは、映像信号に応じた画像を第2表示面21a1に表示する。
【0049】
音声デコーダ307は、CPU100からの音声信号と、着信音やアラーム音等の各種
報知音の音信号とにデコード処理を施し、さらにアナログ信号に変換してスピーカ38に出力する。スピーカ38は、音声デコーダ307からの音声信号や音信号を再生する。
【0050】
バッテリー309は、CPU100やCPU100以外の各部へ電力を供給するためのものであり、二次電池からなる。バッテリー309は電源部310に接続されている。
【0051】
電源部310は、バッテリー309の電圧を各部に必要な大きさの電圧に変換して各部へ供給する。また、電源部310は、外部電源(図示せず)を介して供給された電力をバッテリー309へ供給して、バッテリー309を充電する。
【0052】
クロック311は、時間を計測し、計測した時間を応じた信号をCPU100へ出力する。
【0053】
メモリ200は、ROMおよびRAMを含む。
【0054】
メモリ200には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムが記憶されている。かかる制御プログラムには、各表示面11a1、21a1に対する入力を有効または無効に設定する制御プログラムが含まれる。
【0055】
メモリ200には、操作項目画面の画像情報が記憶されている。操作項目画面は、1つまたは複数のアイコンを含む。操作項目画面に配置されるアイコンは、予め設定されていてもよいし、ユーザにより任意に設定されてもよい。アイコンは、処理の内容を表わした画像である。アイコンが表わす処理内容は、アイコンの表示位置と対応付けられて、対応情報としてメモリ200に保存されている。処理内容としては、処理に使用されるアプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」と言う。)および処理対象のファイルなどが挙げられる。これらのアプリケーションおよびファイルはメモリ200に記憶されている。
【0056】
CPU100は、キー入力回路303からの入力信号および各タッチセンサ12、22からの位置信号に基づき、制御プログラムに従って、カメラモジュール14、マイク35、通信モジュール304、液晶パネル11a、21a、スピーカ38、スピーカ38等を動作させる。これにより、CPU100は、通話機能、電子メール機能、キーロック機能等の各種アプリケーションを実行する。
【0057】
CPU100は、設定部として、各表示面11a1、21a1に対する入力を無効または有効に設定する。各表示面11a1、21a1に対する入力が有効に設定されていると、CPU100は、各タッチセンサ12、22からの位置信号を受け付け、後述する実行部に、位置信号の入力位置に応じた処理を実行させる。また、各表示面11a1、21a1に対する入力が無効に設定されると、CPU100は、各タッチセンサ12、22からの位置信号を受けるが、実行部に位置信号に基づいた処理を実行させない。なお、閉状態では、第2表示面21a1が隠れ、第2表示面21a1に対して入力できず、第2表示面21a1に対する入力に応じた処理は実行されない。このことから、閉状態において第2タッチセンサ22からの入力が無効に設定されてもよいし、設定されなくてもよい。
【0058】
この入力の無効および有効の設定は、ユーザからの入力に応じて変えられる。すなわち、他の入力に先行する入力(以下、「先行入力」と言う。)が第1タッチセンサ12により検出されている間、第2表示面21a1に対する入力が無効に設定される。また、先行入力が第2タッチセンサ22により検出されている間、第1表示面11a1に対する入力が無効に設定される。
【0059】
なお、先行入力とは、両タッチセンサ12、22が入力を検出していない状態から最初に各タッチセンサ12、22のいずれか一方によって検出された入力である。
【0060】
たとえば、携帯電話機1が閉状態から開状態に切り替えられると、第2タッチセンサ22が入力を検出していない状態から、両タッチセンサ12、22が入力を検出する状態になる。このため、開状態に切り替えられてから初めて両タッチセンサ12、22の一方により検出された入力が先行入力となる。この先行入力が検出されている間、両表示面11a1、21a1の他方に対する入力が無効にされる。
【0061】
また、開状態において入力操作がなされている間も、各表示面11a1、21a1から指が離れる度に、両タッチセンサ12、22が入力を検出していない状態となる。このため、各表示面11a1、21a1から指が離れてから、次に両表示面11a1、21a1の一方に指がタッチされると、このタッチによる入力が先行入力となる。そして、両表示面11a1、21a1の一方に指がタッチされている間、両表示面11a1、21a1の他方に対する入力が無効にされる。
【0062】
ただし、両タッチセンサ12、22の一方が先行入力を検出してから所定時間の間に、両タッチセンサ12、22の他方が先行入力に後続する入力(以下、「後続入力」と言う。)を検出すると、CPU100は、両方の入力を有効に設定する。具体的には、CPU100は、両タッチセンサ12、22の一方から位置信号を受けたタイミングから所定時間の間に、両タッチセンサ12、22の他方から位置信号を受けると、両表示面11a1、21a1が同時にタッチされたと判断し、両表示面11a1、21a1に対する入力を有効に設定する。両表示面11a1、21a1に対する入力は、後述する所定画面が表示されている間有効に設定される。これにより、CPU100は、所定画面に対する入力に応じた処理を実行部として実行する。
【0063】
CPU100は、実行部として、各表示面11a1、21a1に対する入力が有効に設定されている間、ユーザの入力に応じた処理を実行する。たとえば、ユーザがアイコンを選択すると、CPU100はタッチセンサから入力信号を受け、位置信号に応じた入力位置を求める。CPU100は、入力位置に表示されるアイコンおよびアイコンの処理内容をメモリ200の対応情報に基づいて特定する。CPU100は、処理内容に応じたアプリケーションやファイルなどをメモリ200から読み出して、アプリケーションを実行する。
【0064】
CPU100は、表示制御部として、映像デコーダ306およびバックライト駆動回路305へ制御信号を出力する。たとえば、CPU100は、バックライト駆動回路305を制御し、各バックライト11b、21bを消灯する。一方、CPU100は、各バックライト11b、21bを点灯すると共に、映像デコーダ306を制御し、各表示面11a1、21a1に画像を表示させる。なお、CPU100は、各表示面11a1、21a1に画像を表示する際のコントラスト、輝度、画面サイズ、および画面の透明度なども制御する。
【0065】
たとえば、CPU100は、設定部により同時タッチと判断されると、図4に示す所定画面の画像情報をメモリ200から読み出し、所定画面を各表示面11a1、21a1に表示する。たとえば、図4に示す操作項目画面が所定画面として両表示面11a1、21a1に表示される。操作項目画面上には、複数個、たとえば、16個のアイコンが配置されている。なお、所定画面は、予め設定されていてもよいし、ユーザにより任意に設定されてもよい。
【0066】
<第1の実施形態の処理手順>
図4は、操作項目画面を両表示面11a1、21a1に表示した図である。図5は、各表示面11a1、21a1に対する入力を有効または無効に設定する処理手順を示すフローチャートである。
【0067】
各表示面11a1、21a1に対する入力を制限するモードが設定されている間、各表示面11a1、21a1に対する入力を有効または無効に設定する処理がCPU100により実行される。
【0068】
まず、各表示面11a1、21a1に対する入力が有効に設定された状態で、各表示面11a1、21a1に対する先行入力が監視される(S101)。
【0069】
たとえば、第1表示面11a1がユーザによりタッチされると、CPU100は、位置信号を第1タッチセンサ12から受け、第1表示面11a1に対して先行入力がなされたと判断する (S101:YES) 。
【0070】
次に、先行入力の際における携帯電話機1の状態が判定される(S102)。CPU100は、センサ信号を閉鎖センサ25から受けていれば、携帯電話機1が開状態でないと判断する(S102:NO)。このとき、携帯電話機1は閉状態であり、第2表示面11a1
第2表示面21a1に対する入力ができない。これにより、仮に第1表示面に11a1対して先行入力がなされても、第2表示面21a1に対する入力を無効に設定する必要がないことから、CPU100は、S101の処理に戻り、さらに先行入力を監視する。
【0071】
一方、CPU100がセンサ信号を閉鎖センサ25から受けていなければ、携帯電話機1が開状態であると判断される(S102:YES)。開状態では、両表示面11a1、2
1a1が外部に現れ、両表示面11a1、21a1に対する入力が可能となる。
【0072】
次に、クロック311からの信号に基づいて、第1表示面11a1に対する先行入力からの経過時間が計測される(S103)。経過時間が所定時間以内に、位置信号が第2タッチセンサ22から入力されるか否かが監視される(S104)。
【0073】
ユーザが第1表示面11a1と第2表示面21aを同時に触れると、CPU100は、先行入力から所定時間以内に位置信号を第2タッチセンサ22から受ける。この位置信号に基づいて、第1表示面11a1に対する先行入力と第2表示面21a1に対する後続入力とが同時になされた同時タッチであると判断される(S104:YES)。
【0074】
このような同時タッチとの判断結果に応じて、第1表示面11a1および第2表示面21a1に操作項目画面が表示される(S105)。なお、操作項目画面が両表示面11a1、21a1に表示されている間、両タッチセンサ12、22からの入力は有効のままである。ここで、ユーザが操作項目画面のアイコンを選択すると、アイコンに応じたアプリケーションが実行される(S106:YES)。これにより、操作項目画面に代わって、アプ
リケーションの画面が各表示面11a1、21a1に表示される。CPU100はS101の処理に戻り、ユーザの操作に応じて各表示面11a1、21a1に対する入力が再び制限される。
【0075】
一方、ユーザが第1表示面11a1に触れてから所定時間経過後に第2表示面21a1に触れると、第1表示面11a1に対する先行入力と第2表示面21a1に対する後続入力は同時タッチでないと判断される(S104:NO)。これにより、第2表示面21a1
に対する後続入力が無効に設定される(S107)。このため、第2表示面21a1のアイコン上にユーザが指を触れても、アイコンに基づく処理は実行されない。
【0076】
そして、CPU100は、引き続き、第1表示面11a1に対する先行入力を監視し、第1タッチセンサ12からの位置信号がCPU100へ出力されている間は先行入力が継続していると判断する(S108:NO)。よって、ユーザは、第1表示面11a1に最初に触れた状態から指を離さなければ、第2表示面21a1に対する後続入力が無効に設定されるため(S107)、第2表示面21a1の触れる位置を気にせずにすむ。
【0077】
一方、ユーザが第1表示面11a1から指を離すと、先行入力は継続されていないと判断される(S108:YES)。そこで、CPU100は、無効に設定されていた第2表示
面21a1に対する入力を有効に設定し(S109)、S101の処理に戻る。
【0078】
以上、本実施形態によれば、先にタッチされた表示面11a1、21a1に対する入力が有効に設定され、その表示面11a1、21a1にタッチされている間は、他方の表示面11a1、21a1に対する入力が無効に設定される。
【0079】
このため、携帯電話機が閉状態から開状態に切り替えられる際、図6(a)に示すように、ユーザは、外部に表れている第1表示面11a1の画面を見ながら注意して、アイコンの表示されていない位置に指を置く。図6(b)に示すように、ユーザは、第1表示面11a1に最初に触れた状態から指を離さなければ、誤って第2表示面21a1のアイコンに他の手の指が触れても誤動作しない。よって、第2表示面21a1の触れる位置を気にせずに、第2キャビネット20を持って、閉状態から開状態に携帯電話機1を切り替えることができる。
【0080】
また、開状態から閉状態へ携帯電話機1が切り替えられる場合には、図7(a)に示すように、ユーザは、第1表示面11a1のアイコンの配置を見ながら、アイコンが表示されていない位置に指を置く。ユーザが第1表示面11a1と同時またはほぼ同時に第2表示面21a1を触らなければ、同時タッチではないので、第2表示面21a1に対する入力が無効に設定される。このため、図7(b)に示すように、ユーザは、第1表示面11a1に触れている限り、第2表示面21a1のアイコン位置に気にせずに、第2キャビネット20を持つことができる。そして、図7(c)に示すように、第1キャビネット10が第2キャビネット20上に重ねられていくと、第2表示面21a1の外部に表れている面積が狭くなるため、ユーザは第2表示面21a1の指の位置を移動させる必要がある。ただし、第1表示面11a1にユーザの指が触れている間、第2表示面21a1に対する入力は無効であるため、ユーザは第2表示面21a1のアイコンの位置を気にせずに、指の位置を移動させることができる。
【0081】
このように、携帯電話機1の状態の切替時など、各表示面11a1、21a1にユーザが誤ってタッチしてしまう機会が多い場合に、ユーザは両方の表示面11a1、21a1に対するタッチ位置を気に掛けずに済み、操作性に優れる。
【0082】
また、本実施形態によれば、一方の表示面11a1、21a1に対する入力を行っている最中に、操作していない他方の表示面11a1、21a1に対してユーザが誤って入力してしまっても、入力に応じた処理が実行されずに済む。このようなユーザが意図していない処理の実行が防止され得る。また、ユーザは、一方の表示面11a1、21a1に対して入力操作している間に、他方の表示面11a1、21a1に入力しないように注意する必要がなく、操作性に優れる。
【0083】
さらに、本実施形態によれば、ユーザは両表示面11a1、21a1を同時にタッチすると、操作項目画面などの所定画面が両表示面11a1、21a1に表示され、所定画面に対する入力が有効に設定される。このように、同時タッチなど、ユーザがタッチするタイミングを調整した場合には、ユーザの意図に応じて、両表示面11a1、21a1に対
する入力が有効になり、利便性に優れる。
【0084】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0085】
たとえば、上記実施形態では、両表示面11a1、21a1の一方に対する入力が各タッチセンサ12、22により検出されている間、他方の表示面11a1、21a1に対する入力が無効に設定された。これに対して、両表示面11a1、21a1の一方に対する先行入力が各タッチセンサ12、22により検出され、その後検出されなくなってからも先行入力から所定時間の間は、他方の表示面に対する入力が無効に設定されるような構成とされてもよい。これにより、ユーザが一方の表示面11a1、21a1に対して一連の操作をしている間は、他方の表示面に対する入力が制限され、操作性の向上がさらに図られる。
【0086】
また、上記実施形態では、両タッチセンサ12、22の一方が先行入力を検出してから所定時間の間に、両タッチセンサ12、22の他方が後続入力を検出すると、同時タッチであると判断される。このように、先行入力と後続入力との間に所定時間が設けられたが、所定時間が設けられなくてもよい。この場合、両表示面11a1、21a1が同じタイミングでユーザによりタッチされたときのみ、同時タッチされたと判断され、両表示面11a1、11a2に操作項目画面が表示される。なお、同時タッチされた場合に、操作項目画面が表示されるのではなく、双方のタッチが受け付けられないようにしても良い。
【0087】
さらに、上記実施形態では、両表示面11a1、21a1が同時にタッチされた場合、操作項目画面が両表示面11a1、21a1に対して表示されたが、操作項目画面が表示されなくてもよい。この場合、同時にタッチされたことによる入力は受け付けられない。
【0088】
また、上記実施形態では、第2キャビネット20の右前角部に閉鎖センサ25が配されたが、閉鎖センサ25に代えてまたは閉鎖センサ25と共に、開放センサが配されてもよい。開放センサは第2キャビネット20の右後角部に設けられる。閉状態から開状態へ携帯電話機1が切り替えられると、第1キャビネット10の磁石16が開放センサに接近し、開放センサから信号がCPU100へ出力される。よって、閉鎖センサ25からの信号がなくなってから、開放センサからの信号がCPU100へ出力されるまでの間が、携帯電話機1の切替時と判断される。この切替時に、両表示面11a1、21a1に対する入力が無効にされると、誤動作の防止がさらに図られる。
【0089】
また、上記実施形態では、携帯電話機1を用いたが、PDAや携帯ゲーム機などの携帯端末装置を用いることもできる。
【0090】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。たとえば、上記実施形態の一部または全部を組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 携帯電話機
10 第1キャビネット
11 第1ディスプレイ
12 第1タッチセンサ
20 第2キャビネット
21 第2ディスプレイ
22 第2タッチセンサ
17 突起部
27 軸部
39 案内溝
100 CPU
200 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示部と、
第2表示部と、
前記第1表示部を有する第1キャビネットと、
前記第2表示部を有する第2キャビネットと、
前記第1表示部のみが外部に露出する第1形態と、前記第2表示部の少なくとも一部および前記第1表示部が外部に露出する第2形態とで切り替え可能なように前記第1キャビネットと前記第2キャビネットを連結させる機構部と、
前記第1表示部に対する入力を検出する第1検出部と、
前記第2表示部に対する入力を検出する第2検出部と、
前記入力を無効および有効に設定する設定部とを備え、
前記設定部は、前記第2形態において、前記第1検出部および前記第2検出部のうちの一方の検出部により入力が検出されている場合、他方の検出部により検出された入力を無効に設定する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記設定部は、前記一方の検出部により前記入力が検出されてから所定時間の間、前記他方の検出部により検出された前記入力を無効に設定する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯端末装置において、
前記第1表示部および前記第2表示部に画面を表示させる表示制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記第1検出部が前記入力を検出したタイミングと前記第2検出部が前記入力を検出したタイミングが所定時間以内であると、前記第1表示部および前記第2表示部に所定の画面を表示する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯端末装置において、
前記設定部は、前記第1表示部および前記第2表示部に表示される前記所定の画面に対する前記入力を有効にする、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の携帯端末装置において、
前記設定部は、前記機構部により前記第1形態から前記第2形態に切り替えられ、前記第1検出部および前記第2検出部のうちの一方の検出部により入力が検出された場合、前記他方の検出部により検出された入力を無効に設定する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
第1表示部と、第2表示部と、前記第1表示部を有する第1キャビネットと、前記第2表示部を有する第2キャビネットと、前記第1表示部のみが外部に露出する第1形態と、前記第2表示部の少なくとも一部および前記第1表示部が外部に露出する第2形態とで切り替え可能なように前記第1キャビネットと前記第2キャビネットを連結させる機構部と、前記第1表示部に対する入力を検出する第1検出部と、前記第2表示部に対する入力を検出する第2検出部とを備える携帯端末装置のコンピュータに、
前記第2形態において、前記第1検出部および前記第2検出部のうちの一方の検出部により入力が検出されている場合、他方の検出部により検出された入力を無効に設定する機能を付与するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−173914(P2012−173914A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34291(P2011−34291)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】