説明

携帯端末装置

【課題】携帯端末装置を一方の手で保持したときに、一方の手の親指で操作可能な入力部の範囲を広く確保できる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】携帯端末装置1は、入力部としてのタッチパネル20が形成される筐体2を備える。携帯端末装置1は、ベルト3と、ベルト3の一端27及び他端28に接続される第1,2スライド部材4,5を有する。第1,2スライド部材4,5は、筐体2の第1,2側面10,11上に配置されて、第1,2側面10,11上を移動可能、且つ、第1,2側面10,11に対して回転可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PHS、PDA、スマートフォン等の携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の表面に入力部が形成される携帯端末装置を片手で操作する場合、手のひらや親指以外の指で筐体を握り、親指で入力部を操作するのが一般的である。しかしながら、このような入力操作は、筐体を強く握り続ける必要があり、親指の入力操作が困難である。
【0003】
特許文献1〜6には、携帯端末装置を保持するために使用されるベルトが開示される。これらのベルトは、両端が筐体に支持され、ユーザは、ベルトと筐体との間に親指以外の指を挿入することで、携帯端末装置を保持する。特許文献1〜6のベルトによれば、携帯端末装置を強く握ることなく、親指の入力操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−307918号公報
【特許文献2】特開2009−147992号公報
【特許文献3】特開2010−130166号公報
【特許文献4】特開2010−130244号公報
【特許文献5】特開2010−171731号公報
【特許文献6】特開平10−163640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1〜6のベルトは、両端が固定されるため、ベルトの長さが短い場合、ベルトと筐体との間に挿入した指の姿勢を自由に変えることができない。よって、近年普及する大型の携帯端末装置に設けた場合には、入力部の一部の範囲にしか親指が届かず、親指が届かない範囲の操作を他方の手で行う必要が生じ得る。また、ベルトを長くして、指を挿入する空間を大きくした場合には、ベルトと指との間に隙間が生じて、携帯端末装置が落下する虞れがある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、携帯端末装置を一方の手で保持したときに、一方の手の親指で操作可能な入力部の範囲を広く確保できる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の観点に係る携帯端末装置は、
入力部が形成される筐体を備える携帯端末装置であって、
ベルトと、
前記ベルトの一端及び他端に接続される2つのスライド部材とを有し、
前記2つのスライド部材は、前記筐体の表面上に配置されて、前記筐体の表面上を移動可能、且つ、該筐体の表面に対して回転可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2つのスライド部材を移動・回転させることで、ベルトの位置や向きを調整できる。よって筐体とベルトとの間に挿入した指の姿勢に関わらず、該挿入した指にベルトを密着させることができる。このため、入力部の各位置に親指が届くように、携帯端末装置を手のひらの指寄り位置に載せた場合でも、携帯端末装置を落下させることなく支持できる。これにより携帯端末装置が大型である場合でも、携帯端末装置を一方の手で保持した状態で、一方の手の親指で操作可能な入力部の範囲を広く確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末装置を示す斜視図であり、入力部が形成される表面側から携帯端末装置を視た状態を示す図である。
【図2】実施形態に係る携帯端末装置を示す斜視図であり、裏面側から携帯端末装置を視た状態を示す図である。
【図3】筐体の正面を示す概略図である。
【図4】図1,2に示す状態から、ベルトが回転した状態を示す携帯端末装置の斜視図である。
【図5】第1ピンを拡大して示す正面図である。
【図6】携帯端末装置の断面図であり、図6(A)は、図1,図2のA−A線断面図であり、図6(B)は、図1,図2のB−B線断面図である。
【図7】第1スライド部材を拡大して示す平面図である。
【図8】携帯端末装置の変形例を示す断面図であり、図6(B)の対応図である。
【図9】携帯端末装置の変形例を示す斜視図であり、入力部が形成される表面側から携帯端末装置を視た状態を示す図である。
【図10】携帯端末装置の変形例を示す斜視図であり、裏面側から携帯端末装置を視た状態を示す図である。
【図11】携帯端末装置の変形例の断面図であり、図11(A)は、図9,10のA−A線断面図であり、図11(B)は、図9,10のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る携帯端末装置について図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明の携帯端末装置をスマートフォンに適用した例である。図1,図2は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置1を示す斜視図である。図1は表面側から携帯端末装置1を視た状態を示し、図2は裏面側から携帯端末装置1を視た状態を示す。
【0011】
携帯端末装置1は、筐体2と、ベルト3と、第1スライド部材4と、第2スライド部材5と、第1ピン6(図2)と、第2ピン7(図1)とを有する。
【0012】
筐体2は、例えば合成樹脂や金属から形成される。筐体2は、相対向する第1,2主面8,9と、第1,2主面8,9を結ぶ第1〜4側面10,11,12,13とを有する。
【0013】
第1,2主面8,9は、それぞれ第1〜4辺h1〜h4から構成される矩形状を呈する。第1辺h1と第2辺h2とは、相対向する。第3辺h3は、第1辺h1および第2辺h2の一方側の端部に連なる。第4辺h4は、第1辺h1および第2辺h2の他方側の端部に連なり、第3辺h3に相対向する。
【0014】
第1側面10は、第1,2主面8,9の第1辺h1,h1に沿う側面である。第2側面11は、第1,2主面8,9の第2辺h2,h2に沿う側面である。第3側面12は、第1,2主面8,9の第3辺h3,h3に沿う側面である。第4側面13は、第1,2主面8,9の第4辺h4,h4に沿う側面である。
【0015】
第1主面8には、入力部としてのタッチパネル20が設けられる。タッチパネル20は、例えば、LCD(液晶表示装置)等の表示部の前面に重ねて配置されて、表示部に目標となる画像(例えば、ボタン画像)を表示する。ユーザは、タッチパネル20を指でタッチすることで、携帯端末装置1が備える各種機能を操作できる。なお、携帯端末装置1に形成される入力部は、その他の形態でもよく、例えば、ボタン形式の入力キー等であってもよい。
【0016】
図2に示すように、第1側面10には、第1ガイド溝21が形成される。第1ガイド溝21は、第1辺h1の延長方向に延びる。
【0017】
第1ピン6は、後述の図5に示す一方側端部22が、第1ガイド溝21にスライド自在に係合する。第1スライド部材4は、第1側面10上に配置されて、第1ピン6の他方側端部23(図5)に回転可能に取り付けられる。この取り付けにより、第1スライド部材4は、第1ピン6のスライドに伴い、第1側面10上を第1辺h1の延長方向に移動可能、且つ、第1側面10に対して回転可能である。
【0018】
図1に示すように、第2側面11には、第2ガイド溝24が形成される。第2ガイド溝24は、第2辺h2の延長方向に延びる。
【0019】
第2ピン7は、後述の図5に示す一方側端部25が第2ガイド溝24にスライド自在に係合する。第2スライド部材5は、第2側面11上に配置されて、第2ピン7の他方側端部26(図5)に回転可能に取り付けられる。この取り付けにより、第2スライド部材5は、第2ピン7のスライドに伴い、第2側面11上を第2辺h2の延長方向に移動可能、且つ、第2側面11に対して回転可能である。
【0020】
ベルト3は、可撓性を有する帯状の部材から構成される。ベルト3は、一端27が第1スライド部材4に接続され、他端28が第2スライド部材5に接続される。この接続によって、第1,2スライド部材4,5を移動・回転させることで、ベルト3の位置や向きが変更可能とされる。
【0021】
図3は、筐体2の正面を示す概略図である。図4は、図1,図2に示す状態から、ベルト3の位置が変更された状態を示す斜視図である。
【0022】
図3に示すK1は、第1ガイド溝21の一方側端のある第1辺h1の第1位置を示し、この第1位置K1まで、第1スライド部材4は、一方側に移動可能である。K2は、第2ガイド溝24の一方側端のある第2辺h2の第2位置を示し、この第2位置K2まで、第2スライド部材4は一方側に移動可能である。また図1,図2は、第1,2スライド部材4,5が、それぞれ第1,2位置K1,K2に配置されている状態を示す。
【0023】
Lは、第1辺の第1位置K1から第2辺の第2位置K2までの第1辺h1、第3辺h3、第2辺h2に沿う長さを示す。ベルト3の長さは、長さLよりも、大きくなるように設定される。この長さ設定により、図1,図2に示すように、第1,2スライド部材4,5が、第1,2位置K1,K2にある状態では、第1,2スライド部材4,5を回転させることで、図4に示すように、ベルト3を、第3側面12と対向する位置に配置できる。
【0024】
図5は、第1ピン6を拡大して示す正面図である。第1ピン6は、第1ガイド溝21に係合する一方側端部22が、大径の一方側先端部30と、小径の一方側基部31とから構成される。また、第1スライド部材4が取り付けられる他方側端部23が、大径の他方側先端部32と、小径の他方側基部33とから構成される。これら各部は、一方側先端部30、一方側基部31、他方側基部33、他方側先端部32の順序で連なっており、いずれも断面円形を呈し、軸芯が一致する。
【0025】
図6は、携帯端末装置1の断面図である。図6(A)は、図1,図2のA−A線断面図であり、図6(B)は、図1,図2のB−B線断面図である。
【0026】
第1ガイド溝21は、底側に形成される幅広部34と、開口側に形成される幅狭部35とが連なる構造を有する。幅広部34は、第1ピン6の一方側先端部30の径と略一致する幅を有し、一方側先端部30が挿入される。幅狭部35は、幅が第1ピン6の一方側基部31の径と略一致しており、一方側基部31が挿入される。幅狭部35は、一方側先端部30の径よりも幅が小さいことで、一方側先端部30の通過を阻止する。
【0027】
図7は、第1スライド部材4を拡大して示す平面図である。第1スライド部材4は、第1側面10上に配置される第1板状部40と、第1板状部40から突出する一対の第1,2リブ41,42と、第1,2リブ41,42に連結される第1梁部43とから構成される。
【0028】
第1板状部40には、第1孔44が形成される。第1孔44は、平面視で略楕円形状を呈する。第1孔44における長手方向の一方側範囲Aは、第1ピン6の他方側端部23(図5)が回転可能に係合される範囲である。この係合により、第1スライド部材4は第1ピン6に回転可能に取り付けられる。第1孔44における長手方向の他方側範囲Bは、他方側端部23の係合を解除し、第1スライド部材4を第1ピン6から取り外すために使用される。
【0029】
図6(B),図7に示すように、第1孔44の一方側範囲Aは、第1側面10側に形成される幅狭部45と、第1側面10の反対側に形成される幅広部46とが連なる構造を有する。幅広部46は、幅が第1ピン6の他方側先端部32の径と略一致し、他方側先端部32が回転可能に係合する。幅狭部45は、幅が第1ピン6の他方側基部33の径と略一致し、他方側基部33が回転可能に係合する。幅狭部45は、幅が他方側先端部32の径よりも小さく、他方側先端部32の通過を阻止する。
【0030】
第1孔44の他方側範囲Bは、全ての高さ位置で、他方側先端部32の径と略一致する幅を有する。これにより、他方側範囲Bに第1ピン6の他方側端部23が位置した状態では、第1ピン6の他方側端部23を抜き出すことが可能である。
【0031】
第2ピン7は、第1ピン6と同様の構造を有する。よって図5に第2ピン7に係る符号を付して、図5を用いて、第2ピン7の構造を説明する。
【0032】
第2ピン7は、第2ガイド溝24に係合する一方側端部25が、大径の一方側先端部47と、小径の一方側基部48とから構成される。また、第2スライド部材5が取り付けられる他方側端部26が、大径の他方側先端部49と、小径の他方側基部50とから構成される。これら各部は、一方側先端部47、一方側基部48、他方側基部50、他方側先端部49の順序で連なっており、いずれも断面円形を呈し、軸芯が一致する。
【0033】
第2ガイド溝24は、第1ガイド溝21と同様の構造を有する。よって図6に第2ガイド溝24に係る符号を付して、図6を用いて、第2ガイド溝24の構造を説明する。
【0034】
第2ガイド溝24は、底側に形成される幅広部51と、開口側に形成される幅狭部52とが連なる構造を有する。幅広部51は、幅が第2ピン7の一方側先端部47の径と略一致し、一方側先端部47が挿入される。幅狭部52は、幅が第1ピン7の一方側基部48の径と略一致し、一方側基部48が挿入される。幅狭部52は、幅が一方側先端部47の径よりも小さいことで、一方側先端部47の通過を阻止する。
【0035】
第2スライド部材5は、第1スライド部材4と同様の構造を有する。よって図6,図7に、第2スライド部材5に係る符号を付して、図6,図7を用いて、第2スライド部材5の構造について説明する。
【0036】
第2スライド部材5は、第2側面11上に配置される第2板状部54と、第2板状部54から突出する一対の第3,4リブ55,56と、第3,4リブ55,56に連結される第2梁部57とから構成される。
【0037】
第2板状部54には、第2孔58が形成される。第2孔58は、平面視で略楕円形状を呈する。第2孔58における長手方向の一方側範囲Aには、第2ピン7(図1,図5)が係合する範囲である。第2孔58における長手方向の他方側範囲Bは、第2ピン7の係合を解除するために使用される。
【0038】
図6に示すように、第2孔58の一方側範囲Aは、第2側面11側に形成される幅狭部59と、第2側面11の反対側に形成される幅広部60とが連なる構造を有する。幅広部60は、第2ピン7の他方側先端部49の径と略一致する幅を有し、他方側先端部49が回転可能に係合する。幅狭部59は、第2ピン7の他方側基部50の径と略一致する幅を有し、他方側基部50が回転可能に係合する。幅狭部59は、幅が他方側先端部49の径よりも小さいことで、他方側先端部49の通過を阻止する。
【0039】
第2孔58の他方側範囲Bは、全ての高さ位置における幅が、他方側先端部49の径と略一致する。これにより、他方側範囲Bに第2ピン7の他方側端部26が位置した状態では、第2ピン7の他方側端部26を抜き出すことが可能である。
【0040】
また図6(B)に示すように、ベルト3の一端27及び他端28には、折り返された部分が内面に貼着されることで、輪が形成される。これらの輪に第1,2梁部43,57が挿通されることで、ベルト3の一端27及び他端28は、第1,2スライド部材4,5に接続される。
【0041】
次に、ユーザが携帯端末装置1に対して行う動作について説明する。
【0042】
携帯端末装置1を使用する際には、まず、ユーザは、第1,2スライド部材4,5を回転させることで、図1,図2に示すように、ベルト3を、タッチパネル20が形成されていない裏面側、つまり第2主面9と対向する側に配置する。
【0043】
ついで、ユーザは、ベルト3と筐体2との間に、一方の手の親指以外の指を挿入して、上記挿入した指や、手のひらの指寄り位置で、携帯端末装置1を支える。
【0044】
ついで、ユーザは、一方の手の親指や他方の手で、携帯端末装置1を、親指でタッチパネル20が操作可能な位置に動かす。
【0045】
ついで、ユーザは、第1,2スライド部材4,5を移動・回転させて、ベルト3の位置や向きを調整することで、ベルト3と筐体2との間に挿入した指に、ベルト3を隙間無く密着させる。以上の動作により、携帯端末装置1を使用する態勢(タッチパネル20の操作を行う態勢)が整う。
【0046】
また、携帯端末装置1の使用を完了した際には、ユーザは、ベルト3と筐体2との間から、指を抜き出す。
【0047】
ついで、ユーザは、第1,2スライド部材4,5を、第1,2辺h1,h2の第1,2位置K1,K2(第1,2ガイド溝21,24の一方側端)に移動させる。
【0048】
ついで、ユーザは、第1,2スライド部材4,5を回転させることで、図4に示すように、ベルト3を、第3側面12と対向する位置に配置する。以上の動作により、携帯端末装置1を収納する態勢が整う。
【0049】
本実施の形態によれば、第1,2スライド部材4,5を移動・回転させることで、ベルト3の位置や向きを調整できる。よって筐体2とベルト3との間に挿入した指の姿勢に関わらず、該挿入した指にベルト3を密着させることができる。このため、タッチパネル20の各位置に親指が届くように、携帯端末装置1を手のひらの指寄り位置に載せた場合でも、携帯端末装置1を落下させることなく支持できる。これにより携帯端末装置1が大型である場合でも、携帯端末装置1を一方の手で保持した状態で、一方の手の親指で操作可能なタッチパネル20の範囲を広く確保できる。
【0050】
また、第1,2スライド部材4が、それぞれ第1,2ピン6に取り付けられた状態では、第1孔44の幅狭部45(図6(B))が、第1ピン6の他方側先端部32の通過を阻止する。また、第2孔58の幅狭部59が、第2ピン7の他方側先端部49の通過を阻止する。これにより、第1,2ピン6,7と第1,2スライド部材4,5との接続状態が確実に維持されるため、ベルト3が筐体2から外れて、筐体2が落下することが防止される。
【0051】
また、ベルト3を第3側面12と対向する位置に配置できるため、ベルト3と筐体2とが、筐体2の厚さ方向にかさばらない。このため、良好な収納性が得られる。
【0052】
本発明は、上記の実施の形態に限らず、特許請求の範囲において種々改変されてもよい。
【0053】
例えば、図8に示すように、第1ピン6は、一方側基部31が第1ガイド溝21の外側に延び出るように形成されてもよい。この場合、第1スライド部材4が一方側基部31の表面に支持されることで、第1スライド部材4と第1側面10との間に隙間Sが生じる。このため、第1スライド部材4を円滑に回転させることができる。
【0054】
また同様に、第2ピン7は、一方側基部48が第2ガイド溝24から外側に延び出るように形成されてもよい。この場合、第2スライド部材5が一方側基部48の表面に支持されることで、第2スライド部材5と第2側面11との間に隙間Sが生じる。このため、第2スライド部材5を円滑に回転させることができる。
【0055】
また、本発明の携帯端末装置は、図9,図10に示すように変形されてもよい。図9は、変形例である携帯端末装置70を示す斜視図である。図9は、表面側から携帯端末装置70を視た状態を示し、図10は、裏面側から携帯端末装置70を視た状態を示す。図11は、携帯端末装置70の断面図である。図11(A)は、図9のA−A線断面図であり、図11(B)は、図9のB−B線断面図である。
【0056】
携帯端末装置70は、筐体71と、第3スライド部材72と、第4スライド部材73と、ベルト74とを有する。
【0057】
筐体71では、図9に示すように、第1主面8に第3,4ガイド溝75,76が形成され、図10に示すように、第2主面9に第5,6ガイド溝77,78が形成される。
【0058】
第3ガイド溝75は、第1主面8における第1側面10側の端に形成される。第4ガイド溝76は、第1主面8における第2側面11側の端に形成される。第3,4ガイド溝75,76は、それぞれタッチパネル20の外側に位置する。
【0059】
第5ガイド溝77は、第2主面9における第1側面10側の端に形成される。第6ガイド溝78は、第2主面9における第2側面11側の端に形成される。
【0060】
図11(B)に示すように、第3スライド部材72は、本体部79と、第1脚部80と、第2脚部81とを有する。
【0061】
本体部79は、第1側面10上に配置されて、第1側面10に沿って延びる。
【0062】
第1脚部80は、本体部79における第1主面8側の端から、第1主面8に沿って、第3ガイド溝75の位置まで延びる。
【0063】
第2脚部81は、本体部79における第2主面9側の端から、第2主面9に沿って、第5ガイド溝77の位置まで延びる。
【0064】
第1脚部80の先端には、第3ガイド溝75にスライド自在に係合する第1係合部82が形成される。第1係合部82は、大径の先端部84と、小径の基部85とが連なる構造を有する。
【0065】
第3ガイド溝75は、底側に形成される幅広部86と、開口側に形成される幅狭部87とが連なる構造を有する。幅広部86は、幅が先端部84の径と略一致し、先端部84が挿入される。幅狭部87は、幅が基部85の径と略一致し、基部85が挿入される。幅狭部87は、幅が先端部84の径よりも小さいことで、先端部84の通過を阻止する。
【0066】
第2脚部81の先端には、第5ガイド溝77にスライド自在に係合する第2係合部83が形成される。第2係合部83は、大径の先端部88と、小径の基部89とが連なる構造を有する。
【0067】
第5ガイド溝77は、底側に形成される幅広部90と、開口側に形成される幅狭部91とが連なる構造を有する。幅広部90は、幅が先端部88の径と略一致し、先端部88が挿入される。幅狭部91は、幅が基部89の径と略一致し、基部89が挿入される。幅狭部91は、幅が先端部88の径よりも小さいことで、先端部88の通過を阻止する。
【0068】
本体部79の中央には、外側(第1側面10の反対側)に突出する突出部92が形成される。突出部92は、大径の先端部93と、小径の基部94とから構成される。基部94は断面円形を呈する。
【0069】
ベルト74の一端には、第3孔95が形成される。第3孔95は、径が基部94と略一致する円形を呈し、基部94が挿通される。この挿通により、ベルト74の一端は、第3スライド部材72に回転可能に接続される。また、突出部92の先端部93は、第3孔95よりも径が大きいことで、ベルト74が抜け出ることを規制する。
【0070】
図9,図10に示す第4スライド部材73は、第3スライド部材72と同様の構造を有し、第4,6ガイド溝76,78は、それぞれ、第3,5ガイド溝75,77とそれぞれ同様の構造を有する。第4スライド部材73は、第4,6ガイド溝76,78にスライド自在に係合し、第4スライド部材73には、ベルト74の他端が回転可能に接続される。
【0071】
以上の携帯端末装置70によれば、第3,4スライド部材72,73のスライドに伴い、ベルト74の位置が変更される。また、ベルト74の一端及び他端を回転させることで、ベルト74の向きが変更される。この携帯端末装置70によっても、携帯端末装置70を一方の手で保持した状態で、一方の手の親指で操作可能なタッチパネル20の範囲を広く確保できる。
【0072】
また、携帯端末装置1のベルト3(図1,図2)や、携帯端末装置70のベルト74(図9,図10)は、長さが調節可能に設けられてもよい。
【0073】
また、本発明の携帯端末装置は、スマートフォンに限定されず、携帯電話機、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)など、入力部を備えるあらゆる携帯端末装置に適用できる。
【0074】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限らない。
【0075】
(付記1)
入力部が形成される筐体を備える携帯端末装置であって、
ベルトと、
前記ベルトの一端及び他端に接続される2つのスライド部材とを有し、
前記2つのスライド部材は、前記筐体の表面上に配置されて、前記筐体の表面上を移動可能、且つ、該筐体の表面に対して回転可能であることを特徴とする携帯端末装置。
【0076】
(付記2)
前記筐体は、相対向する2つの主面と、該2つの主面を結ぶ複数の側面とを有し、
前記入力部は、前記2つの主面のうち一方に形成され、
前記2つのスライド部材は、前記複数の側面のうち、相対向する2つの側面上に配置されて、該側面上を移動可能、且つ、該側面に対して回転可能であることを特徴とする付記1に記載の携帯端末装置。
【0077】
(付記3)
前記2つの主面は、それぞれ、第1辺と、該第1辺に相対向する第2辺と、前記第1辺および前記第2辺の一方側の端部に連なる第3辺と、前記第1辺および前記第2辺の他方側の端部に連なり前記第3辺に相対向する第4辺とから構成される矩形状を呈し、
前記複数の側面は、前記2つの主面の前記第1辺に沿う第1側面と、前記2つの主面の前記第2辺に沿う第2側面と、前記2つの主面の前記第3辺に沿う第3側面と、前記2つの主面の前記第4辺に沿う第4側面とからなり、
前記ベルトの一端に接続される第1スライド部材は、前記第1側面上に配置されて、該第1側面上を前記第1辺の延長方向に移動可能、且つ、該第1側面に対して回転可能であり、
前記ベルトの他端に接続される第2スライド部材は、前記第2側面上に配置されて、該第1側面上を前記第2辺の延長方向に移動可能、且つ、該第2側面に対して回転可能であることを特徴とする付記2に記載の携帯端末装置。
【0078】
(付記4)
前記第1スライド部材は、前記第1辺の第1位置まで前記第1辺の一方側に移動可能であり、
前記第2スライド部材は、前記第2辺の第2位置まで前記第1辺の一方側に移動可能であり、
前記ベルトの長さは、前記第1辺、前記第3辺、前記第2辺に沿う前記第1位置から第2位置までの長さよりも、大きいことを特徴とする付記3に記載の携帯端末装置。
【0079】
(付記5)
前記第1側面に形成される第1ガイド溝に、一端側部がスライド自在に係合する第1ピンと、
前記第2側面に形成される第2ガイド溝に、一端側部がスライド自在に係合する第2ピンとをさらに備え、
前記第1ガイド溝及び前記第2ガイド溝は、それぞれ、前記第1辺及び前記第2辺の延長方向に延び、
前記第1スライド部材は、前記第1ピンの他方側端部に回転可能に取り付けられることで、前記第1ピンのスライドに伴い前記第1側面上を前記第1辺の延長方向に移動可能、且つ、前記第1側面に対して回転可能であり、
前記第2スライド部材は、前記第2ピンの他方側端部に回転可能に取り付けられることで、前記第2ピンのスライドに伴い前記第2側面上を前記第2辺の延長方向に移動可能、且つ、前記第2側面に対して回転可能であることを特徴とする付記3又は4に記載の携帯端末装置。
【0080】
(付記6)
前記第1ピン及び前記第2ピンの一方側端部は、それぞれ、大径の一方側先端部と、小径の一方側基部とからなり、
前記第1ガイド溝の底側には、前記第1ピンの前記一方側先端部が挿入される幅広部が形成され、前記第1ガイド溝の開口側には、前記第1ピンの前記一方側基部が挿入されて、前記第1ピンの前記一方側先端部の通過を阻止する幅狭部が形成され、
前記第2ガイド溝の底側には、前記第2ピンの前記一方側先端部が挿入される幅広部が形成され、前記第2ガイド溝の開口側には、前記第2ピンの前記一方側基部が挿入されて、前記第2ピンの前記一方側先端部の通過を阻止する幅狭部が形成されることを特徴とする付記5に記載の携帯端末装置。
【0081】
(付記7)
前記第1スライド部材は、前記第1側面上に配置される第1板状部と、該第1板状部から突出する一対の第1リブ及び第2リブと、前記第1リブ及び前記第2リブに連結される第1梁部とから構成され、前記第1板状部に形成される第1孔に前記第1ピンの他方側端部が回転可能に係合することで、前記第1ピンの他方側端部に回転可能に取り付けられ、
前記第2スライド部材は、前記第2側面上に配置される第2板状部と、該第2板状部から突出する一対の第3リブ及び第4リブと、前記第3リブ及び前記第4リブに連結される第2梁部とから構成され、前記第2板状部に形成される第2孔に前記第2ピンの他方側端部が回転可能に係合することで、前記第2ピンの他方側端部に回転可能に取り付けられ、
前記ベルトは、一端が前記第1梁部に接続され、他端が前記第2梁部に接続されることを特徴とする付記5又は6に記載の携帯端末装置。
【0082】
(付記8)
前記第1ピン及び前記第2ピンの他方側端部は、それぞれ、大径の他方側先端部と、小径の他端側基端部とからなり、
前記第1孔には、前記第1側面の反対側に、前記第1ピンの他方側先端部が係合される幅広部が形成され、前記第1側面側に、前記第1ピンの他方側先端部が係合されて、前記第1ピンの他方側先端部の通過を阻止する幅狭部が形成され、
前記第2孔には、前記第2側面の反対側に、前記第2ピンの他方側先端部が係合される幅広部が形成され、前記第2側面側に、前記第2ピンの他方側先端部が係合されて、前記第2ピンの他方側先端部の通過を阻止する幅狭部が形成されることを特徴とする付記7に記載の携帯端末装置。
【符号の説明】
【0083】
1,70 携帯端末装置
2,71 筐体
3,74 ベルト
4 第1スライド部材
5 第2スライド部材
6 第1ピン
7 第2ピン
8 第1主面
9 第2主面
10 第1側面
11 第2側面
12 第3側面
13 第4側面
20 タッチパネル
21 第1ガイド溝
22 第1ピンの一方側端部
23 第1ピンの他方側端部
24 第2ガイド溝
25 第2ピンの一方側端部
26 第2ピンの他方側端部
27 ベルトの一端
28 ベルトの他端
30 第1ピンの一方側先端部
31 第1ピンの一方側基部
32 第1ピンの他方側先端部
33 第1ピンの他方側基部
34 第1ガイド溝の幅広部
35 第1ガイド溝の幅狭部
40 第1板状部
41 第1リブ
42 第2リブ
43 第1梁部
44 第1孔
45 第1孔の幅狭部
46 第1孔の幅広部
47 第2ピンの一方側先端部
48 第2ピンの一方側基部
49 第2ピンの他方側先端部
50 第2ピンの他方側基部
51 第2ガイド溝の幅広部
52 第2ガイド溝の幅狭部
54 第2板状部
55 第3リブ
56 第4リブ
57 第2梁部
58 第2孔
59 第2孔の幅狭部
60 第2孔の幅広部
72 第3スライド部材
73 第4スライド部材
75 第3ガイド溝
76 第4ガイド溝
77 第5ガイド溝
78 第6ガイド溝
79 本体部
80 第1脚部
81 第2脚部
82 第1係合部
83 第2係合部
84 第1係合部の先端部
85 第1係合部の基部
86 第3ガイド溝の幅広部
87 第3ガイド溝の幅狭部
88 第2係合部の先端部
89 第2係合部の基部
90 第5ガイド溝の幅広部
91 第5ガイド溝の幅狭部
92 突出部
93 突出部の先端部
94 突出部の基部
95 第3孔
h1 第1辺
h2 第2辺
h3 第3辺
h4 第4辺
K1 第1辺の第1位置
K2 第2辺の第2位置
L 第1位置から第2位置までの長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部が形成される筐体を備える携帯端末装置であって、
ベルトと、
前記ベルトの一端及び他端に接続される2つのスライド部材とを有し、
前記2つのスライド部材は、前記筐体の表面上に配置されて、前記筐体の表面上を移動可能、且つ、該筐体の表面に対して回転可能であることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記筐体は、相対向する2つの主面と、該2つの主面を結ぶ複数の側面とを有し、
前記入力部は、前記2つの主面のうち一方に形成され、
前記2つのスライド部材は、前記複数の側面のうち、相対向する2つの側面上に配置されて、該側面上を移動可能、且つ、該側面に対して回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記2つの主面は、それぞれ、第1辺と、該第1辺に相対向する第2辺と、前記第1辺および前記第2辺の一方側の端部に連なる第3辺と、前記第1辺および前記第2辺の他方側の端部に連なり前記第3辺に相対向する第4辺とから構成される矩形状を呈し、
前記複数の側面は、前記2つの主面の前記第1辺に沿う第1側面と、前記2つの主面の前記第2辺に沿う第2側面と、前記2つの主面の前記第3辺に沿う第3側面と、前記2つの主面の前記第4辺に沿う第4側面とからなり、
前記ベルトの一端に接続される第1スライド部材は、前記第1側面上に配置されて、該第1側面上を前記第1辺の延長方向に移動可能、且つ、該第1側面に対して回転可能であり、
前記ベルトの他端に接続される第2スライド部材は、前記第2側面上に配置されて、該第1側面上を前記第2辺の延長方向に移動可能、且つ、該第2側面に対して回転可能であることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記第1スライド部材は、前記第1辺の第1位置まで前記第1辺の一方側に移動可能であり、
前記第2スライド部材は、前記第2辺の第2位置まで前記第1辺の一方側に移動可能であり、
前記ベルトの長さは、前記第1辺、前記第3辺、前記第2辺に沿う前記第1位置から第2位置までの長さよりも、大きいことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記第1側面に形成される第1ガイド溝に、一端側部がスライド自在に係合する第1ピンと、
前記第2側面に形成される第2ガイド溝に、一端側部がスライド自在に係合する第2ピンとをさらに備え、
前記第1ガイド溝及び前記第2ガイド溝は、それぞれ、前記第1辺及び前記第2辺の延長方向に延び、
前記第1スライド部材は、前記第1ピンの他方側端部に回転可能に取り付けられることで、前記第1ピンのスライドに伴い前記第1側面上を前記第1辺の延長方向に移動可能、且つ、前記第1側面に対して回転可能であり、
前記第2スライド部材は、前記第2ピンの他方側端部に回転可能に取り付けられることで、前記第2ピンのスライドに伴い前記第2側面上を前記第2辺の延長方向に移動可能、且つ、前記第2側面に対して回転可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記第1ピン及び前記第2ピンの一方側端部は、それぞれ、大径の一方側先端部と、小径の一方側基部とからなり、
前記第1ガイド溝の底側には、前記第1ピンの前記一方側先端部が挿入される幅広部が形成され、前記第1ガイド溝の開口側には、前記第1ピンの前記一方側基部が挿入されて、前記第1ピンの前記一方側先端部の通過を阻止する幅狭部が形成され、
前記第2ガイド溝の底側には、前記第2ピンの前記一方側先端部が挿入される幅広部が形成され、前記第2ガイド溝の開口側には、前記第2ピンの前記一方側基部が挿入されて、前記第2ピンの前記一方側先端部の通過を阻止する幅狭部が形成されることを特徴とする請求項5に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記第1スライド部材は、前記第1側面上に配置される第1板状部と、該第1板状部から突出する一対の第1リブ及び第2リブと、前記第1リブ及び前記第2リブに連結される第1梁部とから構成され、前記第1板状部に形成される第1孔に前記第1ピンの他方側端部が回転可能に係合することで、前記第1ピンの他方側端部に回転可能に取り付けられ、
前記第2スライド部材は、前記第2側面上に配置される第2板状部と、該第2板状部から突出する一対の第3リブ及び第4リブと、前記第3リブ及び前記第4リブに連結される第2梁部とから構成され、前記第2板状部に形成される第2孔に前記第2ピンの他方側端部が回転可能に係合することで、前記第2ピンの他方側端部に回転可能に取り付けられ、
前記ベルトは、一端が前記第1梁部に接続され、他端が前記第2梁部に接続されることを特徴とする請求項5又は6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記第1ピン及び前記第2ピンの他方側端部は、それぞれ、大径の他方側先端部と、小径の他端側基端部とからなり、
前記第1孔には、前記第1側面の反対側に、前記第1ピンの他方側先端部が係合される幅広部が形成され、前記第1側面側に、前記第1ピンの他方側先端部が係合されて、前記第1ピンの他方側先端部の通過を阻止する幅狭部が形成され、
前記第2孔には、前記第2側面の反対側に、前記第2ピンの他方側先端部が係合される幅広部が形成され、前記第2側面側に、前記第2ピンの他方側先端部が係合されて、前記第2ピンの他方側先端部の通過を阻止する幅狭部が形成されることを特徴とする請求項7に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−248580(P2012−248580A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117254(P2011−117254)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】