説明

携帯端末

【課題】目的地への誘導機能を有する携帯端末において、使い勝手に優れた誘導機能を提供すること。
【解決手段】携帯電話1は、目標到達地点の位置情報を内蔵するメモリ部251に書き込み、DST位置情報として設定するDST設定手段11と、現在地点の位置情報であるPOS位置情報を測位するPOS測位手段12と、携帯電話1の端末方向を計測する方位計測手段13と、POS位置情報及びメモリ部のDST位置情報に基づいて、現在地点から目標到達地点への進路方向を出力する提示手段15とを有してなる。提示手段15は、端末方向と進路方向との偏差角の大きさに応じて出力レベルを変更し、偏差角がゼロに近づくほど出力レベルを高くし、偏差角が大きくなるにつれて出力レベルを低くするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)機能を有し、このGPS機能を用いて得た緯度経度データ等の位置情報を利用して誘導機能(ナビゲーション機能)を実現した携帯電話や、PDA(Personal Digital Asistants)等の携帯端末がある。例えば、誘導機能を備えた携帯電話として、地図データを表示する表示手段としての液晶ディスプレイと、GPS衛星のGPS信号を受信して現在地点の位置情報を演算するGPS測位回路とを有し、目的地への誘導方向を地図データ上に表示するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、上記従来の誘導機能を備えた携帯電話では、次のような問題がある。すなわち、携帯電話等が採用する小型の液晶パネルは、表示可能な情報量が十分でないため、使用者(ユーザ)が、目的地までの経路等を地図データ上で把握するのが容易でないという問題があった。さらに、携帯電話やPDA等の携帯端末であっても、その表示画面を目視しながらの歩行等は容易でなく、周囲の安全を十分に確認できなくなるおそれがある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−31541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、誘導機能を備えた携帯端末において、使い勝手に優れた誘導機能を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、目標到達地点への誘導機能を備えた携帯端末であって、
上記目標到達地点の位置情報をメモリ部に書き込み、DST位置情報として設定するDST設定手段と、
現在地点の位置情報であるPOS位置情報を測位するPOS測位手段と、
上記携帯端末の姿勢である端末方向を計測する方位計測手段と、
上記POS位置情報及び上記メモリ部の上記DST位置情報に基づいて、上記現在地点から上記目標到達地点への誘導情報を計算する誘導情報計算手段と、
上記誘導情報を、上記携帯端末の使用者が認識可能な物理量に変換して出力する提示手段とを有してなり、
上記誘導情報は、少なくとも、上記現在地点から上記目標到達地点への方位方向である進路方向を含み、
上記提示手段は、上記端末方向と上記進路方向との偏差角の大きさに応じて上記物理量の出力特性を変更するように構成されていることを特徴とする携帯端末にある(請求項1)。
【0007】
本発明の携帯端末は、上記携帯端末の姿勢である端末方向を計測する方位計測手段と、上記誘導情報として、少なくとも、上記現在地点から上記目標到達地点への方位である進路方向を計算する誘導情報計算手段とを有しており、上記提示手段は、上記端末方向と上記進路方向との偏差角の大きさに応じて、上記物理量の出力特性を変更するように構成されている。
【0008】
そのため、本発明の携帯端末では、例えば、使用者(ユーザ)が、携帯端末を把持する方向を略水平面内で回動させると、上記偏差角の大きさに応じて上記提示手段の出力特性が変動する。そのため、携帯端末の使用者は、上記提示手段の出力特性の変化に基づいて、上記進路方向を容易に知ることができる。それ故、上記携帯端末では、例えば、液晶ディスプレイのような2次元エリア情報を提示する表示手段等によらず、上記誘導情報としての上記進路方向等を提示することができる。
【0009】
すなわち、本発明の携帯端末では、使用者は、上記提示手段が出力する物理量の出力特性に応じて、上記進路方向と上記端末方向との偏差角のおおよそ大きさを認識できる。さらに、使用者は、携帯端末を把持する方向を変更したときに、上記提示手段の出力特性の変化傾向に基づいて、上記端末方向に対して上記進路方向がどちら側にあるかを容易に知ることができる。そしてさらに、使用者は、上記進路方向がある側に上記端末方向を向けていけば、上記提示手段の出力特性に応じて上記進路方向を容易に知ることができる。
【0010】
以上のように、本発明の携帯端末では、液晶ディスプレイ等に表示した2次元画像情報によらずに、使用者に上記進路方向を知らせることができる。
なお、上記メモリ部としては、携帯端末のCPU等に外付けされたRAMや、CPU内蔵のRAMや、CPU内部のレジスタ等がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、上記目標到達地点を携帯端末に取り込む方法としては、例えば、上記携帯端末の液晶画面に表示された地図データ上で、使用者がポィンティング手段を用いて指定した地点を取り込む方法や、使用者が入力した電話番号や着信元の電話番号を上記目標到達地点を特定するための情報として取り込む方法や、使用者が入力した施設名称等を上記目標到達地点を特定するための情報として取り込む方法などがある。
【0012】
また、上記液晶画面に表示する上記地図データとしては、例えば、携帯端末のメモリ部から読み出すことができるほか、携帯端末の通信機能を介して、地図データベースを有する外部サーバ等からダウンロード等することもできる。さらに、上記電話番号を位置情報と関連付けるためのリンクデータあるいは、施設名称を位置情報と関連付けるためのリンクデータとしては、上記携帯端末のメモリ部に格納したデータを利用できるほか、携帯端末の通信機能を介して接続可能な外部サーバ等の記憶手段に格納したものを利用することもできる。
【0013】
さらに、上記DST設定手段としては、例えば、上記携帯端末に格納されたデータを参照して得た上記目標到達地点の位置情報を、上記DST位置情報として設定することができる。あるいは、上記DST設定手段としては、例えば、無線通信を介して上記目標到達地点を特定し得る何らかの情報を外部サーバ等に送信すると共に、この外部サーバ等から上記目標到達地点の位置情報(緯度経度データ等)を受信し、この位置情報をDST位置情報として設定することもできる。
【0014】
上記提示手段が出力する物理量としては、音や、光や、振動等、人間の五感に作用するものを用いることができる。そして、偏差角に応じて変化させる出力特性としては、例えば、音や振動の場合には、音量や、周波数や、音色や、メロディーや、断続させるときの断続パターンや、断続時間間隔等がある。光の場合の上記出力特性としては、輝度や、色や、点滅させるときの点滅パターンや、点滅間隔等がある。
【0015】
また、上記提示手段は、上記偏差角の大きさに応じて上記物理量の出力レベルを変更し、上記偏差角がゼロに近づくほど出力レベルを高くし、上記偏差角が大きくなるにつれて出力レベルを低くするように構成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記携帯端末では、例えば、使用者が、携帯端末を把持する方向を略水平面内で回動させると、上記偏差角の大きさに応じて上記提示手段の出力レベルが変動する。そのため、携帯端末の使用者は、上記提示手段の出力レベルの変化に基づいて、上記進路方向を容易に知ることができる。それ故、上記携帯端末では、例えば、液晶ディスプレイのような2次元エリア情報を提示する表示手段等によらず、上記誘導情報としての上記進路方向等を提示することができる。
【0016】
すなわち、この携帯端末では、使用者は、上記提示手段が出力する物理量の出力レベルの大きさに応じて、上記進路方向と上記端末方向との偏差角のおおよそ大きさを認識できる。さらに、使用者は、携帯端末を把持する方向を変更したときに、上記提示手段の出力レベルが大きくなるか、小さくなるかに応じて、上記端末方向に対して上記進路方向がどちら側にあるかを容易に知ることができる。そしてさらに、使用者は、上記進路方向がある側に上記端末方向を向けていけば、上記提示手段の出力レベルが最大となる端末方向、すなわち進路方向を容易に知ることができる。
【0017】
また、上記携帯端末は、上記提示手段の動作、非動作を切り替えるナビスイッチを有していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記ナビスイッチを操作して、上記提示手段の動作、非動作を切り替えることにより、上記携帯端末の使用者は、必要に応じて誘導機能を利用することができる。そして、必要に応じて上記提示手段を動作させれば、上記携帯端末の電力消費を抑制でき、例えば、上記携帯端末の電源電池の持続時間を長時間化させることができる。さらに、上記POS測位手段、上記誘導情報計算手段等、携帯端末の誘導機能を実現するためのすべての手段を上記ナビスイッチに連動して動作させれば、上記ナビスイッチがOFFのときの上記携帯端末の電力消費量をさらに抑制できる。
【0018】
また、上記DST設定手段は、最終目的地を入力するためのユーザI/Fとしての最終地点入力機能と、上記現在地点から上記最終目的地までの誘導経路上に位置する1又は2以上の中間目的地の位置情報を上記メモリ部に書き込む経路記憶機能とを有してなり、かつ、上記DST設定手段が、上記中間目的地及び上記最終目的地のうちのいずれかの位置情報を上記DST位置情報として設定することが好ましい(請求項4)。
【0019】
この場合には、例えば、上記現在地点から上記最終目的地までの誘導経路上に位置する上記中間目的地、あるいは、上記最終目的地の位置情報を上記DST位置情報として順次、設定することで、上記中間目的地を経由する経路案内を携帯端末に実施させることができる。なお、上記最終地点入力機能としては、例えば、上記携帯端末の液晶画面等に表示された地図データ上で使用者にポィンティングさせるユーザI/F(インターフェース)や、最終目的地を特定する電話番号や施設名称等を入力させるユーザI/Fなどがある。
【0020】
また、上記携帯端末は、上記提示手段の動作、非動作を切り替えるナビスイッチを有しており、該ナビスイッチは、上記現在地点から上記最終目的地への上記誘導情報を上記提示手段に出力させる第1スイッチと、
上記現在地点から経路順の次の上記中間目的地あるいは上記最終目的地への上記誘導情報を上記提示手段に出力させる第2スイッチとを有することが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記第1スイッチをONとすれば、上記提示手段を用いて、上記最終目的地点への進路方向等の誘導情報を適宜、出力させることができ、上記第2スイッチをONとすれば、上記提示手段を用いて、上記現在地点から次の上記中間目的地あるいは最終目的値までの進路方向等の誘導情報を適宜、出力させることができる。
【0021】
また、上記ナビスイッチは、上記携帯端末が携帯される状態で操作可能に構成されていることが好ましい(請求項6)。
ここで、上記携帯端末が携帯される状態とは、携帯端末の非使用状態であり、例えば、折り畳み式の携帯端末であれば、表示画面や操作パネル等を内側にして折り畳んだ状態をいう。そして、上記携帯状態で操作可能なように上記ナビスイッチを構成した場合には、例えば、上記携帯端末の表示画面や、操作パネル等を利用可能な状態にしなくても、上記ナビスイッチを操作することで、上記携帯端末の誘導機能を随時、利用することができる。
【0022】
また、上記提示手段は、上記物理量として音、光及び振動のうちの少なくもいずれかを出力するように構成されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記提示手段から音、光及び振動のうちの少なくともいずれかを出力させることで、使用者の視覚、聴覚、触覚のうちの少なくともいずれかを介して、進路方向をはじめとする上記誘導情報を使用者に知らせることができる。
【0023】
また、上記提示手段は、上記進路方向との偏差角をゼロとする上記端末方向を中心として、上記偏差角の大きさに応じて略正規分布状に出力特性が変化するように構成されており、かつ、上記略正規分布形状を角度方向に伸縮できるように構成されていることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記偏差角がゼロとなる端末方向を中心として略正規分布状に上記提示手段の出力特性を設定すれば、上記携帯端末の使用者は、上記偏差角がゼロとなる端末方向を感知し易くなる。さらに、上記略正規分布形状を角度方向に伸縮可能なように構成すれば、上記携帯端末の誘導機能に要求される方位精度やユーザ(使用者)の個人差等に応じて上記提示手段の設定を変更できる。例えば、要求される方位精度が高くない場合には、上記略正規分布形状を角度方向に伸長させることで、ユーザが上記提示手段の出力を認識し得る角度範囲を広くできる。そして、これにより、ユーザは、上記偏差角がゼロとなる上記端末方向を見つけ易くなる。
【0024】
なおここで、上記略正規分布形状とは、正規撒布関数によって表される厳密なガウス分布形状ばかりでなく、中央部にピークを有し、かつ、その側部においてレベルが次第に小さくなるような分布形状を広く含むものである。例えば、余弦撒布関数で表現される「ぼた山」のような形状の分布形状や、三角撒布関数で表現される「三角山」のような、いわゆるピーキーな分布形状であっても良い。
【0025】
また、上記誘導情報計算手段は、上記誘導情報として、上記目標到達地点までの距離である進路距離を計算し、上記提示手段は、上記進路距離の長短に応じて上記物理量を断続的に出力する際の時間間隔を変更するように構成されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記提示手段を用いて、上記偏差角がゼロとなる端末方向のみならず、上記目標到達地点までの進路距離を提示させることができる。
【0026】
また、上記方位計測手段は、感磁体と該感磁体の外周側に巻回した電磁コイルとを含み、上記感磁体に通電する電流の変化に応じて上記電磁コイルの両端に電位差を発生するMI素子よりなることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上記MI素子を用いて上記端末方向を精度良く検出することができ、上記携帯端末が計算する上記偏差角の方位精度を向上させることができる。さらに、小型、かつ、電力消費を少なく構成できるMI素子によれば、上記携帯端末を小型にできると共に、その消費電力を抑制して連続使用可能時間を長時間化させることができる。
【0027】
また、上記携帯端末は、無線通信により公衆電話回線と接続可能なように構成された携帯電話であることが好ましい(請求項11)。
この場合には、上記携帯端末としての携帯電話を用いて、上記誘導機能を実現することができる。上記携帯電話の場合には、液晶ディスプレイ等の表示手段が小型であるため、上記提示手段による誘導機能が特に有効になる。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
本例は、使用者を目的地に誘導する誘導機能を備えた携帯電話に関する例である。この内容について、図1〜図11を用いて説明する。
本例の携帯端末1は、目標到達地点への誘導機能を備えた携帯電話(以下、適宜携帯電話1と記載する。)である。
この携帯電話1は、図1に示すごとく、上記目標到達地点の位置情報をメモリ部251に書き込み、DST位置情報として設定するDST設定手段11と、現在地点の位置情報であるPOS位置情報を測位するPOS測位手段12と、携帯電話1の姿勢である端末方向を計測する方位計測手段13と、POS位置情報及びメモリ部の上記DST位置情報に基づいて、現在地点から目標到達地点への誘導情報を計算する誘導情報計算手段14と、上記誘導情報を、携帯電話1の使用者が認識可能な物理量に変換して出力する提示手段15とを有してなる。
【0029】
上記誘導情報は、少なくとも、上記現在地点から上記目標到達地点への方位方向である進路方向を含み、上記提示手段15は、上記端末方向と上記進路方向との偏差角の大きさに応じて上記物理量の出力特性を変更するように構成されている。
以下に、この内容について詳しく説明する。
【0030】
本例の携帯電話1は、図1〜図3に示すごとく、無線通信を介して公衆電話回線と接続可能に構成されたものである。そして、本例の携帯電話1は、折り畳み可能であって、折り畳んだときに液晶ディスプレイ23及び操作部241が内側に収容されるように構成された折り畳み式のものである。この携帯電話1は、データ通信用のアンテナ211を含み、データの変復調を行う送受信部21と、データの送受信を制御する通信制御部22と、表示用の液晶ディスプレイ23と、データ通信等を実施するのに必要な各種演算を行うCPU25と、各種データを記憶するメモリー部251、252(以下、適宜RAM251、ROM252と記載する。)とを有する。また、ユーザI/Fとしては、テンキーボタン241aを含む操作部241と、音声通話用のマイク及びスピーカ242と、着信お知らせ用のスピーカ281、バイブレータ282及び着信LED283とを備えている。
【0031】
特に、本例の携帯電話1は、図1〜図3に示すごとく、誘導機能(ナビゲーション機能)用に特化された構成部分として、上記POS測位手段12としてのGPS測位部26と、上記方位計測手段13としての2次元方位センサ27と、折り畳んだ携帯電話1の外表面に配置され、携帯電話1を折り畳んだ状態でも操作可能なナビスイッチ243とを有している。そして、本例の携帯電話1では、ROM252に、緯度経度よりなる位置情報と対応付けされた電子地図データを格納している。なお、図3は、図2で示す携帯電話1の液晶ディスプレイ23部分を、同図中、矢印A方向に回動させて折り畳んだ状態の携帯電話1を示している。それ故、図2では、アンテナ211が液晶ディスプレイ23部分によって見えなくなっている。
【0032】
上記GPS測位部26は、図1に示すごとく、GPS電波信号を受信するGPSアンテナ261を有する。このGPSアンテナ261は、GPS衛星が発信する電波信号を受信するように構成してある。そして、GPS測位部26は、GPSアンテナ261で受信した信号を復調して、復調信号を元にしてGPS衛星からの距離を計算する。そして、GPS測位部26は、複数のGPS衛星からの距離に基づいて、携帯電話1の上記POS位置情報として緯度経度データを計算する。なお、このPOS位置情報は、CPU25が参照できるようにRAM251に格納されている。
【0033】
本例のDST設定手段11は、液晶ディスプレイ23に表示した地図データ上で、ユーザに目標到達地点を入力させる地点入力機能と、ユーザが入力した目標到達地点に基づいてROM252に格納したデータベースを参照し、緯度経度データ(位置情報)を得る緯度経度参照機能と、該緯度経度参照機能が得た緯度経度データをRAM251に書き込み、DST位置情報として設定する緯度経度セット機能とを有する。
【0034】
上記の地点入力機能は、図4に示すごとく、ROM252(図1)に格納された地図データを液晶ディスプレイ23に表示させ、液晶ディスプレイ23上に表示されたカーソル矢印231を用いて、ユーザに目標到達地点を指定させるユーザI/F機能である。また、緯度経度参照機能は、地図データと位置情報とのリンクデータを参照して、ユーザが指定した目標到達地点の位置情報、すなわち、上記DST位置情報である緯度経度データを得る機能である。さらに、緯度経度セット機能は、CPU25のメモリ書き込み機能25b(図1)を用いて、目標到達地点の緯度経度データをRAM251の所定アドレスに書き込む機能である。
【0035】
上記誘導情報計算手段14は、CPU25の演算処理機能25aを用いて実施される。この誘導情報計算手段14は、現在地点の位置情報である上記POS位置情報と目標到達地点の位置情報であるDST位置情報とから、現在地点から目標到達地点に至る進路方向及び進路距離を上記誘導情報として計算する。具体的には、CPU25が、RAM251に格納されたPOS位置情報及びDST位置情報を参照して、上記進路方向及び上記進路距離を計算する。例えば、進路方向としては、arctan((POS経度−DST経度)/(POS緯度−DST緯度))として求められる。ここで、POS緯度、POS経度は、POS位置情報のうちの緯度データ、経度データであり、また、DST緯度、DST経度は、DST位置情報のうちの緯度データ、経度データである。
【0036】
本例では、図1に示すごとく、上記提示手段15として、着信用のスピーカ281を利用している。本例の提示手段15としてのスピーカ281は、端末方向と進路方向との偏差角に応じて、図5に示すような出力レベル特性を有している。すなわち、提示手段15の出力レベルは、上記偏差角がゼロとなるときを中心として、略正規分布状に変化している。なお、同図では、横軸に、偏差角=ゼロを中心とした角度を規定し、縦軸には、スピーカ281から出力させる誘導音の出力レベルを規定してある。
【0037】
特に、本例では、提示手段15の出力レベルが、最大値(偏差角=ゼロでの出力レベル値。)に対してマイナス10dBの大きさとなるときの偏差角を±10度に設定した。なお、同図では、横軸に偏差角を規定し、縦軸に、偏差角ゼロのときの出力レベルを基準とした出力レベル比を規定してある。なお、人間の聴感上の音の大きさがおよそ1/2となるマイナス10dBの偏差角としては、ユーザの個人差や、周辺雑音等の環境、要求される方位精度等に応じて設定するのが良い。
【0038】
例えば、携帯電話1の設定画面等を用いて、上記略正規分布形状を角度方向に伸縮できるように構成することも良い。この場合には、ユーザが、好みや、使用状況に応じて、提示手段15としてのスピーカ281が誘導音を出力する際の出力特性を簡単に変更させることができる。
【0039】
さらに、本例の提示手段15では、現在地点から上記目標到達地点までの距離である進路距離を、スピーカ281が誘導音を出力する時間間隔で表現する。すなわち、図6に示すごとく、進路距離に応じて、誘導音の出力間隔t2を短く設定してある。一方、誘導音の連続発生期間t1は、進路距離によらず、略一定の50ミリ秒としてある。なお、同図(a)には、進路距離が短い場合を示し、同図(b)には、進路距離が長い場合を示してある。そして、同図では、縦軸に、出力レベルの大きさを規定し、横軸に時間を規定してある。なお、上記のように出力間隔t2により進路距離の長短を表現する本例の構成に代えて、スピーカ281による出力期間と非出力期間との割合である出力デューティー比の大小によって誘導距離を表現することもできる。
【0040】
本例の上記方位計測手段13としての2次元方位センサ27は、MI素子よりなるものである。この2次元方位センサ27は、地磁気、すなわち地球の磁気及び、地磁気によって生じる磁場を上記MI素子を用いて検出することで方位を計測している。この2次元方位センサ27は、検出感度が略直交するように2基のMI素子を配置してIC化したものである。なお、本例の2次元方位センサ27は、縦、横、高さ寸法が、それぞれ、3mm、3mm、1mm程度の非常に小型のものである。
【0041】
本例の携帯電話1では、図2及び図3に示すごとく、アンテナ211が突出する方向に沿うX軸27Xと、X軸27Xに直交すると共にアンテナ211突出方向が属する平面に含まれるY軸27Yとを規定した。そして、本例の携帯電話では、2次元方位センサ27が有する2基のMI素子の検出感度が、それぞれ、X軸27X、Y軸27Yに沿うように上記2次元方位センサ27を実装してある。
【0042】
ここで、本例の2次元方位センサ27について説明する。この2次元方位センサ27は、図7に示すごとく、互いに直交する2軸方向の磁場を検出する2次元のものである。そして、この2次元方位センサ27は、MI素子よりなる2基の磁気センシング部41、42と、各磁気センシング部41、42を制御するための制御回路チップ14とを一体的にパッケージングしてIC化してなる。
【0043】
各磁気センシング部41、42は、同図に示すごとく、感磁体44として長さ1mm、線径20ミクロンのアモルファスワイヤ(以下、適宜アモルファスワイヤ44と記載。)を利用したものである。磁気センシング部41、42では、図8及び図9に示すごとく、アルモルファスワイヤ44に外挿したチューブ状の絶縁樹脂46の外周側に、内径200ミクロン以下の電磁コイル45を巻回してある。
【0044】
すなわち、本例の磁気センシング部41、42は、周辺磁界の強度に応じてインピーダンスが大きく変化するという、感磁体としてのアモルファスワイヤ44が発揮するMI(Magneto−impedance)現象を利用したものである。そして、本例では、アモルファスワイヤ44にパルス状の電流(以下、適宜パルス電流と記載する。)を通電したときに電磁コイル45に生じる誘起電圧を計測することで、周辺磁界の強度を検出している。
【0045】
ここで、上記のMI現象について概説する。このMI現象は、供給する電流方向に対して周回方向に電子スピン配列を有する磁性材料からなる感磁体44について生じるものである。この感磁体44に通電する通電電流を急激に変化させると、周回方向の磁界が急激に変化する。そして、上記MI現象とは、すなわち、周回方向の磁界変化の作用によって、周辺磁界に応じた電子スピン方向変化と、それに伴う内部磁化及びインピーダンス等の変化が生じる現象である。
【0046】
そして、このMI現象を利用したMI素子(本例では、磁気センシング部41、42。)は、感磁体としてのアモルファスワイヤ44の通電電流を急激に変化させたときの電子スピン方向の変化に伴う感磁体の内部磁化及びインピーダンス等の変化を、アモルファスワイヤ44の外周に配置した電磁コイル45の両端に発生する電圧(誘起電圧)に変換する。そして、本例の磁気センシング部41、42は、感磁体としてのアモルファスワイヤ44の長手方向に磁気検出感度を有している。
なお、上記方位計測手段13としては、本例の2次元方位センサ27に代えて、互いに直交する3軸方向に感度を有する3基のMI素子に、傾斜センサを組み合わせた3次元方位センサを利用することも可能である。
【0047】
次に、本例の携帯電話の誘導機能を利用するための操作手順及び、誘導機能の動作について、図10に示すごとく、携帯電話1の制御フローチャートに沿って説明する。
まず、ステップS101では、上記地点入力機能としてユーザに目標到達地点を入力させるためのユーザI/F画面を液晶ディスプレイ23に表示させる。具体的には、ROM252から地図データを読み出し、液晶ディスプレイ23に表示させる。ここで、ステップSU101のごとく、液晶ディスプレイ23上にオーバーレイ表示させたカーソル矢印231(図4参照。)を用いて、ユーザに、目標到達地点を指定させる。なお、地点入力機能としては、位置情報としての緯度経度データを、ユーザが直接、入力するように構成することもできる。さらには、住所番地や電話番号や施設名称等と、緯度経度データ等の位置情報とを対応付けるリンクデータをROM252に格納しておくと共に、住所番地や電話番号等をユーザに入力させるように上記地点入力機能を構成することもできる。
【0048】
次に、ステップS102では、上記緯度経度参照機能により、地図データと位置情報とを対応付けるリンクデータを参照し、ユーザが指定した目標到達地点の位置情報であるDST位置情報を得る。そして、ステップS103では、上記緯度経度セット機能により、DST位置情報をRAM251に書き込む。なお、本例の携帯電話1は、DST位置情報がRAM251上の所定のアドレスに書き込まれたときに、誘導機能を動作させるように構成されている。
【0049】
次に、ステップS104では、CPU25が、ナビスイッチ243がONにされているかOFFであるかを参照する。そして、ナビスイッチ243がONにされているときには、ステップS105及びステップS106に移行する。ステップS105では、GPS測位部26を動作させて、現在地点の緯度経度データ(位置情報)であるPOS位置情報がCPU25に取り込まれ、RAM251に書き込まれる。その後、ステップS107に移行し、RAM251に格納されたPOS位置情報とDST位置情報とから、現在地点から目標到達地点への進路方向及び進路距離が、上記誘導情報として計算される。一方、上記ステップS106では、2次元方位センサ27を動作させて、携帯電話1のアンテナ211の突出方向が向かう方位方向である端末方向を取り込む。そして、ステップS108では、進路方向と端末方向との差分である偏差角が計算される。
【0050】
次に、ステップS109では、提示手段15としてのスピーカ281に対して、上記誘導情報に応じた出力制御を実施する。具体的には、スピーカ281に駆動電力を供給する駆動回路部(図示略)に対して、CPU25が、上記偏差角の大きさに応じた音量制御値及び、上記進路距離の大きさに応じたインターバル制御値を出力する。これにより、スピーカ281は、上記音量制御値に応じた音量の誘導音を、上記インターバル制御値に応じた時間間隔t2(図6参照。)を空けて断続的に出力する。
【0051】
以上のように、本例の携帯電話1によれば、DST位置情報が設定された後、誘導機能が動作している間に、上記ナビスイッチ243をONにすれば、進路方向と端末方向との差分である偏差角に応じた音量の誘導音がスピーカ281から出力される。さらに、このとき、現在地点から目標到達地点までの距離である進路距離に応じた長さの時間間隔t2を空けて断続的に誘導音が出力される。
【0052】
したがって、本例の携帯電話1を使用するユーザは、ナビスイッチ243をONとしながら、そのアンテナ211の突出方向を、自分を中心とした略水平面内で回動させることで、容易に進路方向を知ることができる。特に、本例の携帯電話1では、提示手段15であるスピーカ281の出力レベル特性を、偏差角=ゼロを中心とした略正規分布状に設定してある。それ故、ユーザは、スピーカ281による誘導音の出力レベル(音量)が略正規分布状に分布する広範な角度範囲において、出力レベル(音量)の変化方向(端末方向を回動させたときに生じる音量の増減方向。)を基にして、偏差角がゼロとなる方位方向を極めて容易に探索することができる。さらに、必要に応じて、本例の携帯電話1では、誘導距離に応じた時間間隔を空けて、スピーカ281が断続的に誘導音を出力する。それ故、ユーザは、スピーカ281が発生する誘導音の時間間隔を基にして、現在地点から目標到達地点までのおおよその進路距離を知ることができる。
【0053】
なお、本例では、偏差角に応じて誘導音の出力レベル、つまり、音量を変更したが、これに代えて、図11に示すごとく、誘導音の出力レベルを略一定に保持したまま、その周波数を変更させることもできる。同図では、横軸に、偏差角=ゼロを中心とした角度を規定し、縦軸には、スピーカ281から出力する誘導音の周波数を規定している。
【0054】
偏差角に応じて誘導音の周波数を変更するように構成すれば、例えば、周囲の騒音レベルが高い使用環境において非常に有効である。このような使用環境では、低出力レベル領域の誘導音が周囲の騒音によってかき消されてしまうおそれがある。そのため、誘導音の音量の変化により偏差角を表現する構成では、個人差によって、進路方向を速やかに判別できなくなるおそれがある。上記のごとく周波数を変更するような構成であれば、誘導音の十分な音量を保ちつつ、その周波数の変化によって音色を変化させることにより明確に進路方向を表現することができる。
【0055】
さらになお、提示手段15としては、本例のスピーカ281の他に、携帯電話1の着信を光で知らせる着信LED283や、振動で知らせるバイブレータ282等を利用することもできる。例えば、着信LED283の場合には、上記出力特性として、色や、輝度等を変更することができる。また、バイブレータ282の場合には、本例の場合と同様に、出力レベルや、出力パターン等を変更することができる。また、偏差角が略ゼロとなったときには、本例のようにスピーカ281を用いて、「あと600mです。」とか「このあたりです。」等の上記進路距離を知らせるための音声情報を出力することも良い。
【0056】
(実施例2)
本例は、実施例1の携帯電話を基にして、誘導機能として、経路計算機能と経路誘導機能とを追加した例である。この内容について、図1、図12及び図13を用いて説明する。
本例の携帯電話1のROM252には、地図データと共に、道路の接続情報を表す道路接続データを格納してなる。この道路接続データは、地図データ上で指定された所定の2点間の最適な経路順を演算するのに利用されるものである。また、本例のDST設定手段11は、最終目的地を入力するユーザI/Fとしての最終地点入力機能と、上記現在地点から上記最終目的地までの経路上の中間目的地を計算する経路計算機能と、各中間目的地の緯度経度データ(位置情報)をRAM251に書き込む上記経路記憶機能とを有してなり、さらに、中間目的地及び最終目的地のうちのいずれかの位置情報を、その経路順に、上記目標到達地点のDST位置情報として設定して経路案内する経路案内機能を有している。さらに、本例の携帯電話1は、図12に示すごとく、ナビスイッチ243として、第1スイッチ243aと第2スイッチ243bとを備えている。
【0057】
そして、本例の携帯電話1は、図13のフローチャートに沿って誘導機能を実施する。
まず、ステップS201では、上記最終地点入力機能として、最終目的地を入力させるためのユーザI/F画面を液晶ディスプレイ23に表示させる。具体的には、ROM252から地図データを読み出し、液晶ディスプレイ23に表示させる。ここで、ステップSU201のごとく、液晶ディスプレイ23上にオーバーレイ表示させたカーソル矢印231(図4参照。)を用いて、ユーザに目標到達地点を指定させる。なお、最終地点入力機能としては、最終目的地の緯度経度データ(位置情報)を、ユーザが直接、入力するように構成することもできる。さらには、最終目的地を特定する住所番地や電話番号や施設名称等と、緯度経度データ(位置情報)とを対応付けるリンクデータをROM252に格納すると共に、その住所番地や電話番号等をユーザに入力させるように上記最終地点入力機能を構成することもできる。
【0058】
次に、ステップS202では、実施例1と同様の緯度経度参照機能により、地図データと緯度経度データ(位置情報)とを対応付けるリンクデータを参照して、ユーザが指定した最終目的地の位置情報である緯度経度データを得る。そして、ステップS203では、GPS測位部26を動作させて、現在地点の緯度経度データであるPOS位置情報をCPU25に取り込む。その後、ステップ204に移行して、POS位置情報で特定される現在地点から最終目的地までの最適な経路を、上記道路接続データを参照して計算する。これにより、現在地点から最終目的地までの経路上に位置する交差点、道路変曲点などの中間目的地を求める。そして、各中間目的地の緯度経度データを位置情報として求め、これらをRAM251に書き込む。
【0059】
次に、ステップS205では、CPU25が、第1スイッチ243a及び第2スイッチ243bのON−OFF状態を参照する。そして、第1スイッチ243aがONにされているときには、ステップS206を実施し、第2スイッチ243bがONにされているときには、ステップS207を実施する。
ステップS206では、最終目的地の緯度経度データを、上記目標到達地点のDST位置情報として設定する。一方、ステップS207では、経路順の次の中間目的値(経路順、最後の中間目的地を経由した後は、最終目的地となる。)の緯度経度データを、目標到達地点のDST位置情報として設定する。
【0060】
その後、ステップ208及びステップS210と、ステップS209とが、並行して実施される。ステップS208では、GPS測位部26を動作させて、現在地点の緯度経度データであるPOS位置情報がCPU25に取り込まれる。その後、ステップS210に移行し、POS位置情報とDST位置情報とから、現在地点から目標到達地点への進路方向及び進路距離が上記誘導情報として計算される。一方、ステップS209では、2次元方位センサ27を動作させて、携帯電話1のアンテナ211の突出方向が向かう方位方向である端末方向を取り込む。そして、ステップS211では、進路方向と端末方向との差分である偏差角が計算される。その後、ステップS212では、上記誘導情報に応じた誘導音を出力させるように、スピーカ281を制御する。なお、このステップS212は、実施例1におけるステップS109と同様の処理内容である。
【0061】
以上のように、本例の携帯電話1は、最終目的地へ到達するための最適な経路を誘導する経路案内機能を有している。
なお、本例では、2つあるナビスイッチ243a、bのいずれがONにされたかに応じて、上記目標到達地点の位置情報であるDST位置情報に設定する緯度経度データを切り換えている。そして、これにより、最終目的地への誘導情報を出力するか、経路順次の中間目的地への誘導情報を出力するかの切り換えを実現している。これに代えて、最終目的地の位置情報を第1のDST位置情報として設定すると共に、経路順次の中間目的地等の位置情報を第2のDST位置情報として設定し、S208〜S211の計算処理を各DST位置情報について実施するように構成することもできる。この場合には、第1スイッチ243aがONのときには、上記第1のDST位置情報に基づいてステップS212を実施させ、第2スイッチ243bがONのときには、上記第2のDST位置情報に基づいてステップS212を実施させることができる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0062】
(実施例3)
本例は、実施例1の携帯電話を基にして、誘導機能に必要な情報を外部サーバから取得するように構成した例である。この内容について、図14を用いて説明する。
本例では、液晶ディスプレイ23に表示する地図データを、公衆電話回線を介して携帯電話と接続される外部サーバからダウンロードする。すなわち、本例の携帯電話は、公衆電話回線を通じて上記の外部サーバに接続する接続機能と、ダウンロードする地図データを指定するデータ要求機能と、外部サーバから地図データをダウンロードする地図ダウンロード機能とを有する。
【0063】
つまり、本例の携帯電話1の誘導機能は、実施例1のフローチャート中のステップS101を、ステップS301〜ステップS304の一連の処理ステップに置換したものである。
まず、ステップS301では、携帯電話1と外部サーバとの間で、相互通信可能な状態を確立する。そして、ステップS302では、携帯電話1から外部サーバに向けて、地図データの要求信号を送信する。ステップS303では、携帯電話1は、外部サーバから地図データをダウンロードする。そして、ステップS304では、液晶ディスプレイ上に、ダウンロードした地図データを表示させる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0064】
(実施例4)
本例は、実施例2の携帯端末に基づいて、経路計算機能を外部サーバに持たせた例である。この内容について、図15を用いて説明する。
本例の携帯電話は、現在地点から最終目的地に至る経路上の中間目的地の位置情報を、公衆電話回線を介して外部サーバからダウンロードする。すなわち、本例の携帯電話は、公衆電話回線を通じて上記の情報サーバに接続する接続機能と、現在地点及び最終目的地の位置情報を送信して、経路計算を要求する経路計算要求機能と、外部サーバから中間目的地の位置情報をダウンロードする経路ダウンロード機能とを有する。
つまり、本例の携帯電話1の誘導機能は、実施例2のフローチャート中のステップS204を、ステップS401〜ステップS403及び、外部サーバのSO401、SO402の処理ステップに置換したものである。
【0065】
外部サーバは、道路の接続情報を表す道路接続データと対応付けされた地図データを格納したハードディスク又はDVD−ROM等の記憶メディアを有し、かつ、該記憶メディアに格納した地図データに基づいて指定された2地点間の最適な経路を計算するように構成されている。そして、外部サーバは、公衆電話回線を通じて接続された携帯電話から2つの地点を受信して、この2地点間の最適な経路を計算して、この最適経路を形成する中間目的地の位置情報を携帯電話に送信するように構成されている。
【0066】
まず、ステップS401では、携帯電話1と外部サーバとの間で、相互通信可能な状態を確立する。そして、ステップS402では、携帯電話1から外部サーバに向けて、現在地点及び最終目的地の位置情報を送信すると共に、経路計算を要求する要求信号を送信する。一方、外部サーバでは、ステップSO401において、受信した現在地点の位置情報及び、最終目的地の位置情報に基づいて、2つの地点間の最適な経路を計算する。そして、ステップSO402では、経路上に位置する中間目的地の各位置情報を、携帯電話に向けて返信する。これにより、携帯電話1では、ステップS403のごとく、外部サーバから受信した中間目的地の位置情報として、各中間目的地の緯度経度データを取り込むことができる。
【0067】
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例2と同様である。
さらになお、本例では、外部サーバに向けて2地点の位置情報を送信するように構成したが、これに代えて、地点を特定する電話番号や、施設名称等を送信するように構成することもできる。この場合には、電話番号等の情報に基づいて緯度経度データ等の位置情報を生成できるように外部サーバを構成すれば、携帯電話のROMに位置情報のデータベースを格納する必要がなくなる。
【0068】
さらになお、本例のフローチャートは、ROM251に格納したデータベースを参照して最終目的地の位置情報を得ている例であるが、これに代えて、実施例3と同様に、外部データベースを参照して、最終目的地の位置情報を獲得するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例1における、携帯電話の構成を示すブロック図。
【図2】実施例1における、携帯電話を示す斜視図(一部断面図。)。
【図3】実施例1における、折り畳んだ携帯電話を示す斜視図。
【図4】実施例1における、地点入力機能のユーザI/F画面を示す説明図。
【図5】実施例1における、スピーカから出力する誘導音の出力特性を示すグラフ。
【図6】実施例1における、誘導音の時間変化を示すグラフ((a)は、進路距離が短い場合。(b)は、進路距離が長い場合。)。
【図7】実施例1における、2次元方位センサを示す斜視図。
【図8】実施例1における、磁気センシング部を示す正面図。
【図9】実施例1における、磁気センシング部の断面構造を示す断面図。
【図10】実施例1における、携帯電話における誘導機能の手順を示すフローチャート。
【図11】実施例1における、スピーカから出力する誘導音の出力特性のその他の例を示すグラフ。
【図12】実施例2における、折り畳んだ携帯電話を示す斜視図。
【図13】実施例2における、携帯電話における誘導機能の手順を示すフローチャート。
【図14】実施例3における、携帯電話における誘導機能の手順の一部を示すフローチャート。
【図15】実施例4における、携帯電話における誘導機能の手順の一部を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
1 携帯端末(携帯電話)
11 DST設定手段
12 POS測位手段
13 方位計測手段
14 誘導情報計算手段
15 提示手段
23 液晶ディスプレイ
25 CPU
251、252 メモリ部
26 GPS測位部
261 GPSアンテナ
27 2次元方位センサ
281 スピーカ
282 バイブレータ
283 着信LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標到達地点への誘導機能を備えた携帯端末であって、
上記目標到達地点の位置情報をメモリ部に書き込み、DST位置情報として設定するDST設定手段と、
現在地点の位置情報であるPOS位置情報を測位するPOS測位手段と、
上記携帯端末の姿勢である端末方向を計測する方位計測手段と、
上記POS位置情報及び上記メモリ部の上記DST位置情報に基づいて、上記現在地点から上記目標到達地点への誘導情報を計算する誘導情報計算手段と、
上記誘導情報を、上記携帯端末の使用者が認識可能な物理量に変換して出力する提示手段とを有してなり、
上記誘導情報は、少なくとも、上記現在地点から上記目標到達地点への方位方向である進路方向を含み、
上記提示手段は、上記端末方向と上記進路方向との偏差角の大きさに応じて上記物理量の出力特性を変更するように構成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1において、上記提示手段は、上記偏差角の大きさに応じて上記物理量の出力レベルを変更し、上記偏差角がゼロに近づくほど出力レベルを高くし、上記偏差角が大きくなるにつれて出力レベルを低くするように構成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記携帯端末は、上記提示手段の動作、非動作を切り替えるナビスイッチを有していることを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項1又は2において、上記DST設定手段は、最終目的地を入力するためのユーザI/Fとしての最終地点入力機能と、上記現在地点から上記最終目的地までの誘導経路上に位置する1又は2以上の中間目的地の位置情報を上記メモリ部に書き込む経路記憶機能とを有してなり、かつ、上記DST設定手段が、上記中間目的地及び上記最終目的地のうちのいずれかの位置情報を上記DST位置情報として設定することを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
請求項4において、上記携帯端末は、上記提示手段の動作、非動作を切り替えるナビスイッチを有しており、該ナビスイッチは、上記現在地点から上記最終目的地への上記誘導情報を上記提示手段に出力させる第1スイッチと、
上記現在地点から経路順の次の上記中間目的地あるいは上記最終目的地への上記誘導情報を上記提示手段に出力させる第2スイッチとを有することを特徴とする携帯端末。
【請求項6】
請求項3又は5において、上記ナビスイッチは、上記携帯端末における携帯状態で操作可能に構成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、上記提示手段は、上記物理量として音、光及び振動のうちの少なくもいずれかを出力するように構成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、上記提示手段は、上記進路方向との偏差角をゼロとする上記端末方向を中心として、上記偏差角の大きさに応じて略正規分布状に出力特性が変化するように構成されており、かつ、上記略正規分布形状を角度方向に伸縮できるように構成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項において、上記誘導情報計算手段は、上記誘導情報として、上記目標到達地点までの距離である進路距離を計算し、上記提示手段は、上記進路距離の長短に応じて上記物理量を断続的に出力する際の時間間隔を変更するように構成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、上記方位計測手段は、感磁体と該感磁体の外周側に巻回した電磁コイルとを含み、上記感磁体に通電する電流の変化に応じて上記電磁コイルの両端に電位差を発生するMI素子よりなることを特徴とする携帯端末。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項において、上記携帯端末は、無線通信により公衆電話回線と接続可能なように構成された携帯電話であることを特徴とする携帯端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−3269(P2006−3269A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181384(P2004−181384)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【Fターム(参考)】