説明

携帯端末

【課題】無駄な電力の消費を抑えて携帯端末の動作可能時間を延ばす。
【解決手段】携帯端末1は、災害情報サーバ34から災害情報を受信して、ユーザに音声や振動などで警告する。この際に、携帯端末1は、自機位置の計測と送信のために用いる無線部12の電源をオフにして電力消費を抑える。警告後、ユーザが携帯端末に対して警告停止操作を行った場合、携帯端末1は、警告を停止する。ユーザが警告停止操作を行わなかった場合、携帯端末1は、無線部12の電源をオンにしてGPS測位を行い、公衆無線を用いて測位した自機位置を監視サーバ35に通知する。当該通知の後、携帯端末1は、無線部12の電源をオフにする。以降、携帯端末1は、ユーザが警告停止操作を行うまで警告を出し続けると共に、タイマ7によって、所定期間ごとに、無線部12の電源オン→測位と送信→無線部12の電源オフ、の動作を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関し、例えば、災害の発生を報知するものに関する。
【背景技術】
【0002】
災害観測網の整備やIT技術の進展により、ネットワークを用いて災害の発生を携帯端末の保持者に報知する技術が提案されている。
例えば、特許文献1の「携帯端末」は、このような技術の1つであって、災害情報をユーザに報知すると共に、ユーザの安否を確認し、ユーザが非常状態にあると判断される場合は、ブザーを鳴動させて周囲にユーザの存在を通報し、救援を求めるものである。
【0003】
この技術では、携帯端末は、災害情報の報知後、ユーザからの安否入力があった場合、あるいは、ユーザが移動している場合にはユーザが安全状態にあると判断する。
そして、安否入力がなく、かつ、ユーザが移動していない場合には、ユーザが意識を失っていたり、動けない場合が想定されるため、ユーザが非常状態にあると判断する。
一方、監視センタは、携帯端末と通信してユーザの安否と現在位置を監視し、必要な場合は、救援の要請などを行う。
【0004】
しかしながら、通常、携帯端末はバッテリ駆動であるため、その動作時間はバッテリ残量に依存し、そのため限られた時間内でしか周囲に救援を依頼することができないという問題があった。
特に可搬性を重視する携帯端末では、電池も小さくせざるを得ないため、救援を求めるために長時間動作させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−86156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、無駄な電力の消費を抑えて携帯端末の動作可能時間を延ばすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、所定の災害情報を受信する災害情報受信手段と、前記所定の災害情報を受信した場合に、当該受信した旨をユーザに報知する報知手段と、前記報知を了解した旨の入力を前記ユーザから受け付ける入力手段と、前記報知を了解した旨の入力があるまで、少なくとも前記ユーザのID情報を含む所定の情報を無線通信により所定の送信先に送信する動作を間欠的に繰り返す無線通信手段と、前記無線通信手段が前記無線通信を行わない期間の少なくとも一部の期間において、当該無線通信に使用する電力の供給を停止する電力制御手段と、を具備したことを特徴とする携帯端末を提供する。
請求項2に記載の発明では、前記無線通信手段は、前記報知後所定時間の間、前記所定の情報の送信を行わないことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末を提供する。
請求項3に記載の発明では、外部から送信されてくる位置検出用信号を受信して現在位置を取得する現在位置取得手段を具備し、前記所定の情報は、最新の前記取得した現在位置を含むことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の携帯端末を提供する。
請求項4に記載の発明では、前記電力制御手段は、前記無線通信手段が前記所定の情報を送信する動作を行わない期間、及び前記現在位置取得手段が、前記現在位置を取得する動作を行わない期間に、前記無線通信手段と前記現在位置取得手段が使用する電力の供給を停止することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末を提供する。
請求項5に記載の発明では、前記無線通信手段は、前記入力手段が前記報知を了解した旨の入力を受け付けた場合に、その旨を前記所定の送信先に送信することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1つの請求項に記載の携帯端末を提供する。
請求項6に記載の発明では、前記無線通信手段に対して電力の供給を停止した回数を計数する計数手段を具備し、前記報知手段は、前記計数した回数に応じて前記報知の形態を変化させることを特徴とする請求項1から請求項5までのうちの何れか1つの請求項に記載の携帯端末を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力供給を制御して無線通信を間欠的に行うことにより、無駄な電力の消費を抑えて携帯端末の動作可能時間を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】災害報知システムの構成を示した図である。
【図2】携帯端末の機能的な構成を示した図である。
【図3】携帯端末のハードウェア的な構成を示した図である。
【図4】携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】変形例に係る携帯端末の機能的な構成を示した図である。
【図6】変形例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態の概要
携帯端末1(図1)は、災害情報サーバ34から緊急地震速報などの災害情報を受信して、ユーザに避難するように音声や振動などで警告する。
また、この際に、携帯端末1は、自機位置の計測と送信のために用いる無線部12の電源をオフにして電力消費を抑え、今後の動作を長期に行えるようにする。
警告後、ユーザが携帯端末に対して警告停止操作を行った場合、ユーザは、警告を認識し、警告停止操作を行える状態にあるため、携帯端末1は、警告を停止する。
【0011】
一方、ユーザが警告停止操作を行わなかった場合、ユーザが非常状態にある可能性があるため、携帯端末1は、無線部12の電源をオンにしてGPS測位を行い、公衆無線を用いて測位した自機位置を監視サーバ35に通知する。当該通知により、監視センタは、非常状態にある可能性のあるユーザの現在位置を知ることができる。
当該通知の後、携帯端末1は、バッテリ駆動時間を考慮して無線部12の電源をオフにする。
【0012】
以降、携帯端末1は、ユーザが警告停止操作を行うまで警告を出し続けると共に、タイマ7によって、所定期間ごとに、無線部12の電源オン→測位と送信→無線部12の電源オフ、の動作を繰り返す。
以上のようにして、携帯端末1は、無線部12を使用しない期間は無線部12に供給する電力を停止して電源16の消耗を抑制するため、携帯端末1を長時間駆動させることができる。これによって、携帯端末保持者の生存率を向上させることができる。
【0013】
(2)実施形態の詳細
図1は、災害報知システム31の構成を示した図である。
災害報知システム31は、携帯端末1、基地局33、災害情報サーバ34、監視サーバ35、ネットワーク32、及びGPS衛星36などから構成されている。
【0014】
携帯端末1は、災害報知システム31に加入している個々のユーザが保持する携帯端末である。本実施の形態では、専用機として構成するが、例えば、携帯電話などの各種の携帯端末に携帯端末1と同様の機能を組み込んでもよい。
図では携帯端末1を1台のみ示してあるが、携帯端末1は、各ユーザによって個々に保持されており、複数存在する。
【0015】
携帯端末1は、基地局33と無線通信することによりネットワーク32に接続する機能、GPS衛星36から送信されるGPS(Global Positioning Systems)信号を受信して自機位置を検出する機能を備えている。
携帯端末1は、災害情報サーバ34から災害情報が送信されたか否かを監視しており、災害情報サーバ34から災害情報を受信した場合は、警告鳴動や振動によりユーザに災害情報を受信した旨を報知する。
【0016】
そして、携帯端末1は、所定時間内にユーザから警告停止操作がなかった場合は、非常状態(ユーザが意識を失っていたり、あるいは身動きできない状態)にあると予想されるため、警告鳴動を継続して周囲にユーザの存在を知らせると共に、所定間隔でユーザのID情報と自機位置を監視サーバ35に送信する。
なお、本実施の形態では、ID情報と自機位置を監視サーバ35に送信するものとするが、例えば、携帯端末1に登録した第三者の携帯端末やその他の送信先でもよく、又は、監視サーバ35とその他の送信先の双方に送信してもよい。
【0017】
ユーザのID情報と自機位置の送信方法は、各種の方法が考えられるが、本実施の形態では、ID情報と最新の自機位置を記載した電子メールを監視サーバ35に送信するものとする。
なお、ID情報と自機位置をファイルにして監視サーバ35にアップロードしたり、メール機能を利用して監視サーバ35に送信するといった方法が可能である。
【0018】
また、本実施の形態では、ユーザのID情報として監視サーバ35に予め登録したユーザIDを用いるが、監視サーバ35でユーザと携帯端末1の対応関係が登録されている場合、携帯端末1のID情報をユーザのID情報として使用することができる。
携帯端末1のID情報としては、固有のID番号の他に、携帯端末1に設定された電子メールアドレス、携帯端末1の電話番号などを用いることもでき、自機位置の送信に際してこれらの情報が監視サーバ35に自動的に伝達される場合、電子メールの内容にユーザのID情報を記載する必要はない。即ち、自機位置に何らかの方法でユーザを特定する情報が付随していればよい。
【0019】
基地局33は、例えば、携帯電話用の基地局であって、携帯端末1とネットワーク32の接続を中継する。
基地局33は、セルと呼ばれる固有の通信エリアを有しており、図示しないが、複数のセルによって広域に渡り通信エリアをカバーできるように複数の基地局33が設置されている。
携帯端末1は、各基地局33をサーチし、最も電波の状態がよい基地局33を選択する。
携帯端末1は、サーチしても基地局33が検出できない場合、後述のタイマ7(図5)によって所定時間ごとにサーチして消費電力を低減するように構成することもできる。
【0020】
災害情報サーバ34は、災害情報配信プロバイダが運営するサーバである。
災害情報サーバ34は、災害の発生を報知するための災害情報を携帯端末1に配信する。
災害情報としては、地震の到来を予告する緊急地震速報、津波の到来を予告する津波情報、台風の到来を予告する台風情報、火災の発生を報知する火災情報、その他の情報がある。
【0021】
本実施の形態では、災害情報サーバ34は、災害情報の一例として緊急地震速報を配信するものとする。
この場合、災害情報サーバ34は、地震発生時に気象庁などの機関から震源地と規模などの情報を受信し、その地震の影響が及ぶエリアの基地局33から、携帯端末1に対してCDMA(Code Division Multiple Access)などの公衆無線を介して緊急地震速報を配信する。
【0022】
監視サーバ35は、監視センタが運営するサーバである。
監視サーバ35は、災害報知システム31のユーザをユーザデータベースに登録すると共に、ユーザの携帯端末1から送信されてくる自機位置などの情報を受信する。
ユーザデータベースには、ユーザのID番号、氏名、性別、年齢、既往歴、ユーザの所持する携帯端末1のID情報(電話番号や電子メールアドレスなど)、その他の情報が登録されている。
【0023】
監視サーバ35は、災害情報サーバ34が災害情報を送信した後、各携帯端末1からユーザのID情報と携帯端末1の自機位置を受信して記憶する。
監視センタは、携帯端末1から送信されてくる携帯端末1の自機位置によって非常状態にあるユーザの所在地を確認し、救援を要請したりなどする。
災害情報配信プロバイダは、監視センタと同じ事業者であってもよいし、異なる事業者であってもよい。
【0024】
ネットワーク32は、携帯電話網やインターネットなどによって構成された通信ネットワークである。
携帯端末1、災害情報サーバ34、監視サーバ35は、ネットワーク32を介して通信することができる。
【0025】
GPS衛星36は、GPS(Global Positioning Systems)を構成する人工衛星であって、複数個が地球を周回している。
GPS衛星36は、それぞれ時刻情報を含むGPS信号を送信しており、携帯端末1は、これら複数個のGPS衛星36から送信されてくるGPS信号を解析することにより、自機位置の緯度・経度を得ることができる。
【0026】
なお、携帯端末1は、GPS衛星36からのGPS信号を受信すると共に、ネットワーク32を介して所定のサーバからGPS処理用の補助的な情報を受信して現在位置を算出してもよい。あるいは、基地局33による位置検出などを併用してもよい。
【0027】
図2は、携帯端末1の機能的な構成を示した図である。
携帯端末1は、制御部2、無線部12、外部操作部10、警告発生部11、電源16、電力供給制御部15などから構成されている。以下、これらの構成について説明する。
【0028】
無線部12は、公衆無線通信部13、位置情報受信部14などから構成されており、無線通信を行う。
公衆無線通信部13は、アンテナを有しており、基地局33と無線通信する。通信方式としては、例えば、CDMAを用いる。
携帯端末1は、公衆無線通信部13が基地局33と無線通信することにより、ネットワーク32を介して災害情報サーバ34、監視サーバ35と通信することができる。
【0029】
位置情報受信部14は、アンテナを有しており、GPS衛星36から送信されてくるGPS信号を受信する。
本実施の形態では、公衆無線通信部13と位置情報受信部14は、個別にアンテナを有しているが、共用アンテナとすることも可能である。
【0030】
制御部2は、自機位置情報送信指示部3、自機位置情報検出部4、災害情報受信判定部5、電力供給制御指示部6、タイマ7、外部操作検出部8、警告制御部9などから構成されている。
災害情報受信判定部5は、公衆無線通信部13が災害情報を受信したか否かを監視している。
そして、災害情報受信判定部5は、公衆無線通信部13が災害情報を受信した場合、タイマ7をオンし、電力供給制御指示部6に電力供給制御を開始させ、自機位置情報検出部4に自機位置の検出を指示し、また、警告制御部9に警告の発動を指示する。
【0031】
自機位置情報検出部4は、災害情報受信判定部5から自機位置の検出を指示されると、位置情報受信部14によってGPS衛星36から送信されるGPS信号を受信して携帯端末1の現在位置、即ち自機位置を検出し、自機位置情報送信指示部3に通知する。
自機位置の検出は、複数のGPS衛星36から送信されてくる位置情報に含まれる時刻情報を解析することにより、現在位置の緯度経度を計算することにより行われる。
【0032】
自機位置情報送信指示部3は、自機位置情報検出部4から自機位置を取得すると、ユーザのID情報と自機位置を含む電子メールを作成し、タイマ7が指示するタイミングで、当該電子メールを公衆無線通信部13から監視サーバ35に宛てて送信する。
【0033】
電力供給制御指示部6は、災害情報受信判定部5から電力供給制御の指示を受けると、タイマ7からの指示に従って電力供給制御部15に電力の供給をオンオフさせる。
【0034】
警告制御部9は、災害情報受信判定部5から警告発動の指示を受けると、警告発生部11を駆動し、外部操作検出部8から警告停止の指示を受けると、警告発生部11を停止させる。
また、警告制御部9は、警告発生部11の警告形態を変化させることができ、警告発生部11が駆動を開始してから所定時間経過すると、タイマ7からの指示により、周囲に非常事態を通知するために警告発生部11に大音量での鳴動音を出力させる。
なお、警告発生部11は、連続駆動するが、タイマ7からの指示により、警告制御部9が警告発生部11を間欠駆動して電池の消耗を低減するように構成することもできる。
【0035】
外部操作検出部8は、外部操作部10でユーザの警告停止操作が検知された場合に警告制御部9に警告の停止を指示させたり、タイマ7を停止させたりする。
【0036】
タイマ7は、災害情報受信判定部5からの指示により起動し、外部操作検出部8からの指示により停止する。
タイマ7は、動作中は時間を計測し、電力供給制御指示部6に対する電力供給のオンオフや、公衆無線通信部13に対する自機位置情報などの送信を、所定時間間隔(例えば、5分間隔)で指示する。
【0037】
外部操作部10は、例えば、ユーザが警告鳴動を停止させるためのボタン装置を備えており、ユーザから警告停止操作を検知して外部操作検出部8に通知する。
【0038】
警告発生部11は、例えば、ブザーやスピーカなど発音体を備えており、警告制御部9からの指示により、発音体を鳴動させたり、あるいは、鳴動を停止させたりする。
また、警告発生部11にバイブレータを装備し、振動によって警告を発したり、あるいは、発音体とバイブレータの振動により警告を発するように構成することもできる。
更に、警告発生部11に発光体を備えて、これを発光させてもよい。この場合、夜間や地下などの暗闇でユーザの所在を周囲に通知することができる。
【0039】
電源16は、制御部2や無線部12に電力を供給する電池であり、例えば、リチウムイオン電池などの充電可能なものを用いることができる。
電力供給制御部15は、電力供給制御指示部6からの指令に従って電源16から無線部12(公衆無線通信部13、位置情報受信部14)への電力供給をオンオフする。
携帯端末1は、所定時間間隔で自機位置を計測して監視サーバ35に送信するが、自機位置の計測、及び送信を行わない期間は、無線部12への電力供給を停止することにより、電力消費を低減することができる。
【0040】
図3は、携帯端末1のハードウェア的な構成を示した図である。
公衆無線通信部13、及び位置情報受信部14は、それぞれ、公衆無線回路113、位置情報受信回路114を用いて構成されている。
外部操作部10、警告発生部11、電力供給制御部15は、それぞれ、外部操作インターフェース110、警告発生回路111、及び電力供給制御回路115を用いて構成されている。
【0041】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、記憶媒体104、クロック105などを用いて構成されている。
CPU101は、プログラムに従って各種の情報処理を行う中央処理装置である。
RAM102は、読み書きが可能なメモリであって、CPU101が演算する際のワーキングメモリを提供する。RAM102は、例えば、検出した自機位置を一時的に記憶したり、送信用の電子メールを一時的に記憶したりなどする。
ROM103は、読み取り専用のメモリであって、CPU101が使用するパラメータや基本的なプログラムを記憶している。
【0042】
記憶媒体104は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などを用いて構成されており、制御部2が機能を発揮するための制御プログラムや、ユーザのID情報や監視サーバ35の電子メールアドレス、あるいはユーザが登録した第三者の電子メールアドレスなどのデータが格納されている。
CPU101が制御プログラムを実行することにより、自機位置情報送信指示部3、自機位置情報検出部4、災害情報受信判定部5、電力供給制御指示部6、タイマ7、外部操作検出部8、警告制御部9などのモジュールが形成される。
【0043】
クロック105は、例えば、水晶振動子を用いて構成されており、CPU101が駆動するためのクロック信号を出力する。CPU101は、クロック105のクロック信号に同期して各部を制御したり、タイマ7の時間を計測したりする。
【0044】
図4は、携帯端末1の動作を説明するためのフローチャートである。
以下では、災害情報の一例として緊急地震速報を用いて説明する。
まず、災害情報受信判定部5は、災害情報サーバ34から緊急地震速報が送信されたか監視し(ステップ5)、緊急地震速報を受信しない場合は(ステップ5;N)、引き続き監視を継続する。
【0045】
一方、災害情報受信判定部5は、緊急地震速報を受信した場合(ステップ5;Y)、ユーザが避難して身の安全を確保するため、災害情報受信判定部5が警告制御部9に指示して警告発生部11に警告鳴動(音、振動など)を開始させる(ステップ10)。
次に、災害情報受信判定部5が電力供給制御指示部6に指示して、電力供給制御部15に無線部12への電力供給を停止させ、無線部12の電源をオフにする(ステップ15)。
次に、災害情報受信判定部5がタイマ7を駆動し、タイマ7に時間の計測を開始させる(ステップ20)。
【0046】
次に、外部操作検出部8が外部操作部10からユーザの警告停止操作がなされたか監視する(ステップ25)。
外部操作検出部8は、警告停止操作を受け付けた場合(ステップ25;Y)、警告制御部9に警告発生部11の警告鳴動を停止させ(ステップ30)、タイマ7に警告停止操作がなされた旨を通知する。
タイマ7は、当該通知を受けると、時間の計測を停止すると共に、電力供給制御指示部6に指示して、電力供給制御部15に無線部12への電力供給を開始させ、無線部12の電源をオンにする(ステップ35)。
【0047】
外部操作検出部8が警告停止操作を受け付けなかった場合(ステップ25;;N)、タイマ7は、所定時間が経過したか確認し(ステップ40)、所定時間が経過していない場合は(ステップ40;N)、ステップ25に戻り、警告停止操作の受け付けを監視する。
一方、所定時間が経過した場合(ステップ40;Y)、タイマ7は、電力供給制御指示部6に指示して、電力供給制御部15に無線部12への電力供給を開始させ、無線部12の電源をオンにする(ステップ45)。
【0048】
電源がオンされると、位置情報受信部14は、GPS衛星36からの電波を受信し、自機位置情報検出部4が自機位置特定のためのGPSによる測位処理を実施する(ステップ50)。
次に、自機位置情報検出部4は、測位した自機位置を自機位置情報送信指示部3に通知する。
【0049】
自機位置情報送信指示部3は、当該通知を受けると、ユーザのID情報と自機位置を含み、監視サーバ35の電子メールアドレスを宛先とする電子メールを作成する。
そして、自機位置情報送信指示部3は、タイマ7から指示されたタイミングに公衆無線通信部13から監視サーバ35に当該電子メールを送信し、監視サーバ35に自機位置を通知する(ステップ55)。
監視サーバ35は、当該電子メールを受信し、ユーザのID情報と携帯端末1の現在位置を記憶する。
【0050】
公衆無線通信部13が電子メールを送信した後、タイマ7は、電力供給制御指示部6に指示して、電力供給制御部15に無線部12への電力供給を停止させ、無線部12の電源をオフにする(ステップ60)。
その後、タイマ7は、ステップ20に戻り、時間の計測を開始する。
【0051】
このように、携帯端末1では、タイマ7が開始して(ステップ20)、所定時間経過してから(ステップ40)自機位置の計測や電子メールの送信を開始する。
即ち、携帯端末1は、警告鳴動を開始してから所定時間経過するまで電子メールの送信を行わない。
これによって、緊急地震速報を送信した後、所定時間経過までにユーザによって警告鳴動停止が行われた携帯端末1については電子メールが送信されず、緊急地震速報後に監視サーバ35に対して送信される電子メールの数を抑制することができる。
【0052】
なお、携帯端末1は、無線部12の電源はタイマ7によりオンオフするが、タイマ処理に関わるブロックと鳴動処理に関わるブロック(制御部2、外部操作部10、警告発生部11)については、警告鳴動を引き続き実施するため電力供給を継続する。
以上の処理により、携帯端末1は、警告停止操作がなされるか、電源16の容量が切れるまで、無線部12の電源オフ→無線部12の電源オン→自機位置の計測→自機位置の通知→電源オフ、という動作を繰り返し実施する。
【0053】
以上に説明した本実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)災害の発生をユーザに告知した後、無線部12を間欠駆動して自機位置の検知、及び送信を行うが、無線部12を使用しない期間は無線部12の電源をオフにすることができる。
(2)無線部12を使用しない期間に無線部12をオフして消費電力を極力節約することにより、長期にわたる鳴動音の出力が可能になり、長期間にわたってユーザが周囲に救援を求めたり、ユーザの発見を助けることができる。
(3)万一バッテリ駆動が不可能になった場合においても、監視サーバ35やユーザの指定するアドレスにユーザの位置を通知しているので、ユーザを救援する際に、ユーザの位置を容易に特定することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、無線部12の電源をオンオフするが、更に細かく公衆無線通信部13と位置情報受信部14の電源を個別にオンオフすることも可能である。この場合、まず、公衆無線通信部13をオフの状態で位置情報受信部14をオンして測位処理を行い、測位処理が終了すると、位置情報受信部14をオフして公衆無線通信部13をオンにして電子メールを送信し、その後公衆無線通信部13をオフするように構成する。
【0055】
また、本実施の形態では、ユーザが警告停止操作を行うと、携帯端末1は、電子メールの送信を停止するが、ユーザが警告停止操作をした場合に、安否情報を公衆無線通信部13から監視サーバ35に送信するように構成することもできる。
これによって、監視サーバ35は、電子メールの送信の停止がユーザの操作によるものなのか、あるいは、電源16の電池切れによるものかを判断することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、携帯端末1は災害情報を受信して各種災害用の動作を開始したが、携帯端末1にセンサなどを設置し、携帯端末1自体が災害を検知して動作を開始するように構成することもできる。
【0057】
また、携帯端末1が災害情報サーバ34から災害情報を受信した場合に、携帯端末1が監視サーバ35に災害情報を受信した旨を通知するように構成することもできる。これにより、監視サーバ35は、携帯端末1が電源オンされており、災害情報サーバ34から災害情報を受信したことを確認することができる。
【0058】
また、携帯端末1は、監視サーバ35にユーザのID情報と自機位置を電子メールで送信した後、自機位置が変化していない場合は、監視サーバ35に回線を接続した直後に回線を切断し、監視サーバ35に着信履歴を残すなどして、ID情報と自機位置の通知を簡略化し、電池の消耗を抑制することも可能である。
【0059】
(変形例)
図5は、変形例に係る携帯端末1の機能的な構成を示した図である。
変形例に係る携帯端末1では、タイマ7と警告制御部9の間にカウンタ17を設けてある。
カウンタ17は、タイマ7が所定時間を計測する回数、即ち、無線部12に対する電力供給を停止した回数を計数するカウント手段として機能し、携帯端末1は、カウント数が所定値に達した場合(即ち、危険状態に陥ってから所定時間経過後)、警告の形態を変更する。
カウント数と警告の形態の対応関係は、記憶媒体104(図3)に記憶してあり、CPU101が何れの形態の警告を発するかを警告発生回路111に指示する。
【0060】
カウント数が所定値に達した場合に警告の形態を変更する例としては、次のようなものがある。
(1)振動を音に変更する。
例えば、携帯端末1がユーザの身体から離れているなどしてユーザに振動が伝わらない場合に、これを音に変更して、ユーザが警告に気づきやすくすることができる。
(2)振動と音による警告を音のみに変更する。
振動と音による警告を音のみに変更することにより、消費電力を低減し、携帯端末1を長時間使用することが可能となる。
【0061】
(3)音量を大きくする。
警告鳴動がユーザに聞こえない場合に、音量を大きくしてユーザに報知することができる。また、ユーザが意識不明などの場合に、救助隊によってユーザが発見されやすくなる。
(4)警告音を意味内容を持つ音声に変更する。
例えば、ブザー音を「警告音を停止して下さい。」とか、「地震です。避難して下さい。」などの音声に変更することにより、ユーザに情報提供や指示を行うことができる。
【0062】
図6は、変形例に係る携帯端末1の動作を説明するためのフローチャートである。
なお、以下では、図4と同じステップには、同じステップ番号を付し、説明を省略する。
まず、無線部12の電源をオフした後(ステップ15)、カウンタ17は、カウント数iを0にリセットする(ステップ105)。
次に、ステップ40で所定時間が経過した場合(ステップ40;Y)、カウンタ17は、カウント数iに1を加えて警告制御部9に通知する(ステップ110)。
【0063】
次に、警告制御部9は、通知されたカウント数を、カウント数と警告形態の対応関係と対比して警告形態を特定し、警告発生部11の警告形態を当該警告形態に設定する(ステップ115)。
例えば、カウント数と警告形態の対応関係が、カウント数が6回以上のときに音量を大きくするものである場合、警告制御部9は、通知されたカウント数が6回以上であるか否かを判断し、6回以上の場合は警告発生部11の音量を大きくする。
【0064】
以上に説明した実施の形態、及び変形例によって、次の構成を得ることができる。
携帯端末1は、監視サーバ35から災害情報を受信するため、所定の災害情報を受信する災害情報受信手段を備え、災害情報を受信すると警告発生部11によってユーザに警告を報知するため、前記所定の災害情報を受信した場合に、当該受信した旨をユーザに報知する報知手段を備えている。
また、携帯端末1は、外部操作部10によって警告を了解したユーザから警告停止操作を受け付けるため、前記報知を了解した旨の入力を前記ユーザから受け付ける入力手段を備えている。
また、携帯端末1は、ユーザから警告停止操作があるまで、ユーザのID情報と自機位置を含む電子メールを所定時間ごとに間欠的に送信するため、前記報知を了解した旨の入力があるまで、少なくとも前記ユーザのID情報を含む所定の情報を無線通信により所定の送信先に送信する動作を間欠的に繰り返す無線通信手段を備えている。
そして、携帯端末1は、電子メールを送信しない期間の少なくとも一部において無線部12の電源をオフにするため、前記無線通信手段が無線通信を行わない期間の少なくとも一部の期間において、当該無線通信に使用する電力の供給を停止する電力制御手段を備えている。
【0065】
また、携帯端末1は、災害情報を受信して警告を開始した後、タイマ7によって所定時間の経過が計測されてから電子メールの送信を開始するため、前記無線通信手段は、前記報知後所定時間の間、前記所定の情報の送信を行わない。
【0066】
また、携帯端末1は、GPS信号を受信して自機位置、即ち、自機の現在位置を計算し、これを電子メールに記載して監視サーバ35に送信するため、外部から送信されてくる位置検出用信号を受信して現在位置を取得する現在位置取得手段を備え、前記所定の情報は、最新の前記取得した現在位置を含んでいる。
【0067】
また、携帯端末1は、公衆無線通信部13が電子メールを送信しない期間、及び位置情報受信部14がGPS信号を受信しない期間、無線部12への電力供給を停止するため、前記電力制御手段は、前記無線通信手段が前記所定の情報を送信する動作を行わない期間、及び前記現在位置取得手段が、前記現在位置を取得する動作を行わない期間に、前記無線通信手段と前記現在位置取得手段が使用する電力の供給を停止している。
【0068】
また、携帯端末1は、ユーザが警告停止操作をした場合に、その旨を監視サーバ35に送信するように構成することもできるため、この場合、前記無線通信手段は、前記入力手段が前記報知を了解した旨の入力を受け付けた場合に、その旨を前記所定の送信先に送信している。
なお、タイマ7による最初の所定期間が経過してから、当該その旨を監視サーバ35に送信するように構成して、監視サーバ35に対するアクセスの集中を低減することもできる。この場合、前記無線通信手段は、前記報知後所定時間が経過した後、前記入力手段が前記報知を了解した旨の入力を受け付けた場合に、その旨を前記所定の送信先に送信している。
【0069】
また、変形例に係る携帯端末1は、カウンタ17によって、無線部12に対する電力供給を停止した回数を計数し、当該回数に応じて報知の形態を変化させるため、前記無線通信手段に対して電力の供給を停止した回数を計数する計数手段を具備し、前記報知手段は、前記計数した回数に応じて前記報知の形態を変化させることができる。
【0070】
以上の構成の、例えば、次のような地震速報対応携帯端末を提供することができる。
まず、携帯端末が緊急地震速報を受信した際に警告音を鳴動し、携帯端末保持者に警告をする。
そして、緊急地震速報から所定時間経過した後、周囲へ非常事態を通知するために警告音を鳴動させる。
更に、警告音停止操作が一定期間の間にされなかった場合は携帯端末に具備する無線部分の電源をオフにすることで、バッテリ駆動時間を長くすることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯端末
2 制御部
3 自機位置情報送信指示部
4 自機位置情報検出部
5 災害情報受信判定部
6 電力供給制御指示部
7 タイマ
8 外部操作検出部
9 警告制御部
10 外部操作部
11 警告発生部
12 無線部
13 公衆無線通信部
14 位置情報受信部
15 電力供給制御部
16 電源
17 カウンタ
31 災害報知システム
32 ネットワーク
33 基地局
34 災害情報サーバ
35 監視サーバ
36 GPS衛星
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 記憶媒体
105 クロック
110 外部操作インターフェース
111 警告発生回路
113 公衆無線回路
114 位置情報受信回路
115 電力供給制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の災害情報を受信する災害情報受信手段と、
前記所定の災害情報を受信した場合に、当該受信した旨をユーザに報知する報知手段と、
前記報知を了解した旨の入力を前記ユーザから受け付ける入力手段と、
前記報知を了解した旨の入力があるまで、少なくとも前記ユーザのID情報を含む所定の情報を無線通信により所定の送信先に送信する動作を間欠的に繰り返す無線通信手段と、
前記無線通信手段が前記無線通信を行わない期間の少なくとも一部の期間において、当該無線通信に使用する電力の供給を停止する電力制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記無線通信手段は、前記報知後所定時間の間、前記所定の情報の送信を行わないことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
外部から送信されてくる位置検出用信号を受信して現在位置を取得する現在位置取得手段を具備し、
前記所定の情報は、最新の前記取得した現在位置を含むことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記電力制御手段は、前記無線通信手段が前記所定の情報を送信する動作を行わない期間、及び前記現在位置取得手段が、前記現在位置を取得する動作を行わない期間に、前記無線通信手段と前記現在位置取得手段が使用する電力の供給を停止することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記無線通信手段は、前記入力手段が前記報知を了解した旨の入力を受け付けた場合に、その旨を前記所定の送信先に送信することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1つの請求項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記無線通信手段に対して電力の供給を停止した回数を計数する計数手段を具備し、
前記報知手段は、前記計数した回数に応じて前記報知の形態を変化させることを特徴とする請求項1から請求項5までのうちの何れか1つの請求項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−95165(P2012−95165A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241595(P2010−241595)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(500353222)エスアイアイ移動通信株式会社 (46)
【Fターム(参考)】