説明

携帯端末

【課題】コネクタの修理を容易に実施し得る携帯端末を提供する。
【解決手段】光学的情報読取装置10では、コネクタ51および複数の電子部品を実装するための基板が、複数の電子部品として制御回路40やメモリ35等が実装されるメイン基板20と、このメイン基板20と分離された基板であってコネクタ51が実装されサブ基板50とから構成される。そして、メイン基板20とサブ基板50とは、取り外し可能な導電部材としてはんだ53により電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続用のコネクタを有する携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部接続用のコネクタを有する携帯端末に関する技術として、下記特許文献1に開示される回路基板が知られている。この回路基板は、半田付け工程で主要回路基板に実装するコネクタ端子や電子部品へのフラックスなどの付着を抑制するため、以下のように製造される。まず、実装前の回路基板には、ミシン目等により分割部が設けられるとともに、この分割部を境界として、各電子部品等の実装領域を備えた主要回路基板と捨て基板とが形成されている。そして、コネクタ端子を、主要回路基板の外端縁と面一に連続するようにミシン目を覆った状態で当該主要回路基板に実装する。その後、コネクタ端子を含む多数の電子部品を主要回路基板にフローにより半田付けした後、分割部から捨て基板を除去する。
【0003】
このように回路基板を構成することで、主要回路基板に実装されるコネクタ端子をフローによって半田付けする際、主要回路基板と捨て基板とに分割されておらず、捨て基板によってコネクタ端子の接続端面が捨て基板の外端縁よりも内側に位置し、かつ、ミシン目が主要回路基板に実装するコネクタ端子のハウジングによって塞がれる。これにより、半田付けする際に飛散するフラックスが捨て基板の外端縁から接続端面を経由してコネクタ端子の内部に直接、飛び込むことがないばかりでなく、分割する際に必要なミシン目から接続端面を経由してコネクタ端子の内部に入り込みにくくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−010479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に開示されるような携帯端末の構成では、主要回路基板に実装されるコネクタに対して外部装置の外部コネクタを接続することで、当該外部装置との情報の入出力が可能となる。しかしながら、例えば、USBコネクタのように脱着の頻度が高いコネクタでは、その着脱の度に着脱に応じた応力が当該コネクタに繰り返し作用することとなり、コネクタの破損やコネクタ接続用のはんだにクラック等が生じて、通信不良となる場合がある。また、外部コネクタとのコネクタ接続時に外部コネクタに接続される接続ケーブルが引き回されると、この引き回し時の力がコネクタに作用することとなり、コネクタの破損やコネクタ接続用のはんだにクラック等が生じて、通信不良となる場合がある。
【0006】
基板には、コネクタだけでなく他の電子部品も実装されているので、上述のようにコネクタやはんだ等が破損したことからコネクタを修理しようとしても、コネクタや他の電子部品が実装された基板を筐体から取り出して、基板ごとの交換、もしくはコネクタの実装のやり直しを行なうことが必要となる。このように、コネクタの修理時には、基板ごと取り扱う必要があるため、手間がかかるだけでなく、修理コストが高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コネクタの修理を容易に実施し得る携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の携帯端末は、コネクタ(51)とこのコネクタを介して入出力される情報を処理するための複数の電子部品(35,40)とを実装するための基板と、前記基板が収容され、前記コネクタが外部に露出可能な筐体(11)と、を備える携帯端末(10)であって、前記基板は、前記複数の電子部品が実装される第1の基板(20)と、この第1の基板と分離された基板であって前記コネクタが実装される第2の基板(50)とから構成され、前記第1の基板と前記第2の基板とは、取り外し可能な導電部材(53)により電気的に接続されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記第1の基板には、その外縁の一部が内方に凹むように凹部(20a)が形成され、前記第2の基板は、前記第1の基板と平行であって前記凹部内に位置するように配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の携帯端末において、前記第1の基板は、多層基板であり、前記第2の基板は、前記第1の基板以下の層数で形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記第2の基板は、複数のねじ部材(52)により前記筐体に締結されて固定されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の携帯端末において、前記第2の基板は、その矩形状の基板面(50a)に対して対角状に位置する2つのねじ部材により前記筐体に締結されて固定されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記筐体には、前記第2の基板および前記導電部材を露出させる開口(15)と、この開口を閉塞可能なカバー部材(60)とが設けられることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、コネクタおよび複数の電子部品を実装するための基板が、複数の電子部品が実装される第1の基板と、この第1の基板と分離された基板であってコネクタが実装される第2の基板とから構成される。そして、第1の基板と第2の基板とは、取り外し可能な導電部材により電気的に接続される。
これにより、コネクタの修理時には、導電部材を取り外して、第2の基板のみを筐体から取り出せばよいので、コネクタの修理を容易に実施することができる。
【0015】
請求項2の発明では、第1の基板には、その外縁の一部が内方に凹むように凹部が形成され、第2の基板は、第1の基板と平行であって凹部内に位置するように配置されるため、第1の基板と第2の基板とが1つの平板状の基板を構成するように配置されることとなる。これにより、第1の基板および第2の基板の両基板がばらばらに配置される場合と比較して、両基板が占めるスペースが小さくなり、携帯端末の小型化を図ることができる。
【0016】
請求項3の発明では、第1の基板は、多層基板であり、第2の基板は、第1の基板以下の層数で形成される。第2の基板にはコネクタが実装され、第1の基板には複数の電子部品が実装されることから、第2の基板は、第1の基板と比較して実装される部品が少ないために、第1の基板以下の層数で形成することができる。特に、第2の基板の層数を、第1の基板に対して少なく形成することで、第2の基板を第1の基板と同じ層数の多層基板で構成する場合と比較して、第2の基板の製造コスト、すなわち、携帯端末の製造コストを低減することができる。
【0017】
請求項4の発明では、第2の基板は、複数のねじ部材により筐体に締結されて固定されるため、第2の基板を取り外す場合には、導電部材を取り外すとともに各ねじ部材を取り外せばよいので、第2の基板の交換を容易に実施することができる。
【0018】
請求項5の発明では、第2の基板は、その矩形状の基板面に対して対角状に位置する2つのねじ部材により筐体に締結されて固定されるため、第2の基板の基板面が小さく構成される場合でも、締結箇所間の距離を長く確保できる。これにより、第2の基板の取り付けを確実に実施できるだけでなく、当該第2の基板が占めるスペースを小さくでき、携帯端末の小型化を図ることができる。
【0019】
請求項6の発明では、筐体には、第2の基板および導電部材を露出させる開口と、この開口を閉塞可能なカバー部材とが設けられるため、第2の基板の交換時にはカバー部材を移動等することで、第2の基板および導電部材が開口から露出することとなる。これにより、筐体を分解等することなく第2の基板および導電部材を容易に露出させることができるので、第2の基板の交換をさらに容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る光学的情報読取装置の構成概要を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】メイン基板とサブ基板との位置関係を示す斜視図である。
【図4】メイン基板とサブ基板との接続関係を示す説明図である。
【図5】カバー部材の構成を説明する説明図であり、図5(A)はUSBコネクタを露出させる状態を示し、図5(B)はサブ基板およびはんだを露出させる状態を示す。
【図6】下面側露出口から露出するサブ基板を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の情報端末を光学的情報読取装置に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の構成概要を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。図2は、図1の光学的情報読取装置10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示す光学的情報読取装置10は、物品に付された情報コード、例えば、バーコードなどの一次元コードやQRコード(登録商標)などの二次元コードを光学的に読み取る携帯型の情報端末として構成されている。
【0022】
光学的情報読取装置10は、全体的に長手状に構成されており、樹脂材料などからなる上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成される長手状の筐体11のよって外郭が構成され、この筐体11の内部に各種部品(各種電気部品等)がメイン基板20等に実装されて収容されている。本実施形態では、筐体11の長手方向を前後方向とし、読取口13が形成された側を前方側、それとは反対側を後方側としている。また、筐体11の厚さ方向を上下方向とし、キー操作部43や液晶表示器46が設けられた側を上方側、それとは反対側を下方側としている。また、これら前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向(横方向)としている。
【0023】
筐体11の前方側には情報コードからの反射光を取り込む読取口13が形成されている。この読取口13は、筐体11の内部に光を取り込みうる開口形状となっており、その開口が透明部材(例えば透明の樹脂部材)によって閉塞された構成をなしている。また、光学的情報読取装置10には、筐体11から露出する形態で様々な部品が設けられている。例えば、筐体11の上面側には、液晶表示器46や、複数個の操作ボタン(数字キーや機能キー等)を有するキー操作部43が設けられており、側面側には、読取指示用のトリガースイッチ42などが設けられている。
【0024】
図1(B)に示すように、下側ケース11bの側面のうち読取口13の近傍には、外部機器とUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して通信するためのUSBコネクタ51が露出して設けられている。このUSBコネクタ51は、メイン基板20と分離された専用のサブ基板50に実装されている。なお、メイン基板20およびサブ基板50は、特許請求の範囲に記載の「第1の基板」および「第2の基板」の一例に相当し得る。
【0025】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように、筐体11の内部には、回路部が収容されており、この回路部は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0026】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、情報コードCが付された物品Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0027】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、情報コードC等に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。
【0028】
結像レンズ27は、外部から読取口12を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0029】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、キー操作部43、液晶表示器46、USBインタフェース48等から構成されている。
【0030】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0031】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述したコード画像情報格納領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、読取処理や解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0032】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有すると共に、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。本実施形態では、制御回路40に対し、トリガースイッチ42、キー操作部43、液晶表示器46、USBインタフェース48等が接続されている。
【0033】
トリガースイッチ42は、バーコード等の読取対象に対して照射光を照射する際に押圧操作されるスイッチであって、この押圧操作に応じた信号が制御回路40に入力されるように構成されている。キー操作部43は、複数個の操作ボタンを備えており、使用者のキー操作に応じた操作信号が制御回路40に入力されるように構成されている。液晶表示器46は、制御回路40によって表示内容が制御されるように構成されている。
【0034】
USBインタフェース48は、USBコネクタ51およびこのUSBコネクタ51に接続されるUSBケーブル等を介して外部機器との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御回路40と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0035】
次に、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の特徴的構成について図面を用いて説明する。図3は、メイン基板20とサブ基板50との位置関係を示す斜視図である。図4は、メイン基板20とサブ基板50との接続関係を示す説明図である。図5は、カバー部材60の構成を説明する説明図であり、図5(A)はUSBコネクタ51を露出させる状態を示し、図5(B)はサブ基板50およびはんだ53を露出させる状態を示す。なお、図3および図4では、マイコン系を構成する電子部品等を省略して示している。
【0036】
筐体11内に収容されるメイン基板20には、主に上述した制御回路40やメモリ35等のマイコン系を構成する電子部品の少なくとも一部が実装されており、このメイン基板20は、多層基板として構成されている。また、同様に筐体11内に収容されるサブ基板50には、電子部品としてはUSBコネクタ51のみが実装されており、このサブ基板50は、メイン基板20よりも層数が少ない単層基板として構成されている。
【0037】
図3および図4に示すように、メイン基板20には、その外縁の一部が内方に凹むように凹部20aが形成されており、サブ基板50は、メイン基板20と平行であって凹部20a内に位置するように配置される。これらメイン基板20およびサブ基板50は、上側ケース11aに対してねじ部材により締結されて所定の位置に固定される。特に、図4に示すように、サブ基板50は、締結箇所間の距離を長くするため、その矩形状の基板面50aに対して対角状に位置する2つのねじ部材52により締結されて固定される。
【0038】
マイコン系を構成する電子部品等が実装されたメイン基板20と、USBコネクタ51が実装されたサブ基板50とは、両基板20,50を上側ケース11aの所定の位置に固定した後に、対応するパッド同士をはんだ53を用いて電気的に接続することで、電気的に接続されることとなる。これにより、制御回路40がUSBコネクタ51を介して外部機器とデータ通信可能な状態となる。なお、はんだ53は、特許請求の範囲に記載の「導電部材」の一例に相当し得る。
【0039】
図1および図5に示すように、下側ケース11bには、上側ケース11aとの組み付け時にサブ基板50を露出させるための開口15が形成されており、この開口15には、当該開口15の下面側を閉塞可能なカバー部材60が設けられている。このカバー部材60は、断面略U字状に形成されており、開口15に対して幅方向にスライド可能に取り付けられている。
【0040】
このように形成されるカバー部材60は、図5(A)に示すスライド位置では、下面側を閉塞して側面側露出口61を介してUSBコネクタ51を側面側に露出させ、図5(B)に示すスライド位置では、下面側露出口62を介してサブ基板50およびはんだ53を下方側に露出させるように構成されている。なお、カバー部材60は、図5(B)に示す位置までスライド可能に形成されており、通常、図5(A)に示すスライド位置にて図略のねじ部材等を用いて固定されている。
【0041】
ここで、開口15および下面側露出口62の開口寸法(図5(B)にて示す寸法X,Y参照)は、後述する交換作業時の作業性を考慮して、ねじ部材52の締め付け時または取り外し時に使用するねじ回し用のビットが入り、はんだ53の接合時または取り外し時に使用するはんだごてが入るように設定されている。
【0042】
上述のように構成される光学的情報読取装置10において、USBコネクタ51を含めたサブ基板50を交換する交換作業について、図6を用いて説明する。図6は、下面側露出口62から露出するサブ基板50を説明する説明図である。
USBコネクタ51の通信不良が生じたために、USBコネクタ51を含めたサブ基板50を交換する場合には、まず、カバー部材60を固定するねじ部材を外して幅方向にスライド可能な状態にする。そして、カバー部材60を図5(B)に示すスライド位置まで矢印α方向にスライドさせて下面側露出口62を開口させると、図6に示すように、この下面側露出口62から、サブ基板50やUSBコネクタ51の少なくとも一部が露出するとともに、2箇所のねじ部材52および各はんだ53が露出する。
【0043】
このように各はんだ53が下面側露出口62を介して露出した状態で、下面側露出口62を介して加熱したはんだごてを挿入して各はんだ53を加熱することで、当該各はんだ53を取り除く。そして、両ねじ部材52の頭部が下面側露出口62を介して露出した状態で、下面側露出口62を介してねじ回し用のビットを挿入して頭部の十字溝に係合させて回すことで、両ねじ部材52を取り外す。これにより、サブ基板50がメイン基板20および上側ケース11aから分離されるため、サブ基板50を下面側露出口62を介して取り除くことができる。
【0044】
そして、新たに用意したサブ基板50または修理したサブ基板50を、下面側露出口62を介して筐体11内に収容して、メイン基板20の凹部20a内に位置するように配置する。次に、先ほど取り外した両ねじ部材52を、下面側露出口62を介して挿入したビットを用いて元の位置に締結することで、サブ基板50を上側ケース11aに固定する。続いて、下面側露出口62を介して挿入したはんだごてを用いて、サブ基板50とメイン基板20との対応する各パッド同士を電気的に接続するはんだ53をそれぞれ形成する。そして、カバー部材60を、図5(A)に示す元の位置にスライドさせて固定することで、交換作業が完了する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、コネクタ51および複数の電子部品を実装するための基板が、複数の電子部品として制御回路40やメモリ35等が実装されるメイン基板20と、このメイン基板20と分離された基板であってコネクタ51が実装されサブ基板50とから構成される。そして、メイン基板20とサブ基板50とは、取り外し可能な導電部材としてはんだ53により電気的に接続される。
これにより、コネクタ51の修理時には、はんだ53を取り外して、サブ基板50のみを筐体11から取り出せばよいので、コネクタ51の修理を容易に実施することができる。
【0046】
また、メイン基板20には、その外縁の一部が内方に凹むように凹部20aが形成され、サブ基板50は、メイン基板20と平行であって凹部20a内に位置するように配置されるため、メイン基板20とサブ基板50とが1つの平板状の基板を構成するように配置されることとなる。これにより、メイン基板20およびサブ基板50の両基板がばらばらに配置される場合と比較して、両基板20,50が占めるスペースが小さくなり、携帯端末10の小型化を図ることができる。
【0047】
さらに、メイン基板20は、多層基板であり、サブ基板50は、メイン基板20に対して層数が少なく形成される。サブ基板50にはコネクタ51が実装され、メイン基板20には複数の電子部品が実装されることから、サブ基板50は、メイン基板20と比較して実装される部品が少ないために、メイン基板20に対して層数を少なく形成することができる。このため、サブ基板50をメイン基板20と同じ層数の多層基板で構成する場合と比較して、サブ基板50の製造コスト、すなわち、携帯端末10の製造コストを低減することができる。もちろん、サブ基板50をメイン基板20と同じ層数の多層基板で構成することもできる。
【0048】
さらにまた、サブ基板50は、複数のねじ部材52により筐体11に締結されて固定されるため、サブ基板50を取り外す場合には、はんだ53を取り外すとともに各ねじ部材52を取り外せばよいので、サブ基板50の交換を容易に実施することができる。
【0049】
また、サブ基板50は、その矩形状の基板面50aに対して対角状に位置する2つのねじ部材52により筐体11に締結されて固定されるため、サブ基板50の基板面50aが小さく構成される場合でも、締結箇所間の距離を長く確保できる。これにより、サブ基板50の取り付けを確実に実施できるだけでなく、当該サブ基板50が占めるスペースを小さくでき、携帯端末10の小型化を図ることができる。
【0050】
さらにまた、筐体11には、サブ基板50、はんだ53およびねじ部材52を露出させる開口15と、この開口15を閉塞可能なカバー部材60とが設けられるため、サブ基板50の交換時にはカバー部材60を移動等することで、サブ基板50、はんだ53およびねじ部材52が開口15から露出することとなる。これにより、筐体11を分解等することなくサブ基板50、はんだ53およびねじ部材52を容易に露出させることができるので、サブ基板50の交換をさらに容易に実施することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)サブ基板50に実装されるコネクタは、USBコネクタ51に限らず、他の規格のコネクタであってもよい。このようにしても、この他の規格のコネクタの通信不良が生じた場合には、当該コネクタの交換を容易に実施することができる。
【0052】
(2)サブ基板50とメイン基板20とは、両パッドを接続するはんだ53を用いて電気的に接続されることに限らず、例えば、フレキシブルケーブルなどの取り外し可能な導電部材を用いて電気的に接続されてもよい。
【0053】
(3)サブ基板50は、メイン基板20と平行であって凹部20a内に位置するように配置されることに限らず、例えば、メイン基板20の隅部に位置するように配置されてもよい。
【0054】
(4)サブ基板50は、対角状に位置する2つのねじ部材53により上側ケース11aに対して固定されることに限らず、3つ以上のねじ部材を用いて固定されてもよいし、ねじ部材53と異なる部材を用いて固定されてもよい。
【0055】
(5)カバー部材60は、下面側露出口62(開口15)を開口するようにスライド可能に形成されることに限らず、例えば、着脱式の部材であって、離脱時に開口15を開口するように形成されてもよい。
【0056】
(6)本発明に係るサブ基板50等の構成は、上述した光学的情報読取装置に適用されることに限らず、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)など、外部接続用のコネクタを有する携帯端末に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…光学的情報読取装置(携帯端末)
11…筐体
11a…上ケース
11b…下ケース
15…開口
20…メイン基板(第1の基板)
20a…凹部
35…メモリ(電子部品)
40…制御回路(電子部品)
50…サブ基板(第2の基板)
50a…基板面
51…USBコネクタ(コネクタ)
52…ねじ部材
53…はんだ(導電部材)
60…カバー部材
61…側面側露出口
62…下面側露出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタとこのコネクタを介して入出力される情報を処理するための複数の電子部品とを実装するための基板と、
前記基板が収容され、前記コネクタが外部に露出可能な筐体と、
を備える携帯端末であって、
前記基板は、前記複数の電子部品が実装される第1の基板と、この第1の基板と分離された基板であって前記コネクタが実装される第2の基板とから構成され、
前記第1の基板と前記第2の基板とは、取り外し可能な導電部材により電気的に接続されることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記第1の基板には、その外縁の一部が内方に凹むように凹部が形成され、
前記第2の基板は、前記第1の基板と平行であって前記凹部内に位置するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記第1の基板は、多層基板であり、
前記第2の基板は、前記第1の基板以下の層数で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第2の基板は、複数のねじ部材により前記筐体に締結されて固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記第2の基板は、その矩形状の基板面に対して対角状に位置する2つのねじ部材により前記筐体に締結されて固定されることを特徴とする請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記筐体には、前記第2の基板および前記導電部材を露出させる開口と、この開口を閉塞可能なカバー部材とが設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−58555(P2013−58555A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195199(P2011−195199)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】