説明

携帯通信端末及びその動作制御方法並びにプログラム

【課題】 使用者に対して正確な振動動作を要求することなく、発呼やメール作成の操作性を高めた携帯通信端末を提供する。
【解決手段】 振動検出用のセンサ20を設け、このセンサ20が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予めメモリ12に登録されている電話番号への発呼を、自動的に行う。また、センサ20が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電子メール宛先への電子メール作成画面を表示するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯通信端末及びその動作制御方法並びにプログラムに関し、特に操作性の向上を図った携帯通信端末及びその動作制御方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機の多機能化に伴って、キー操作が複雑になる傾向がある。特に、電話帳関連機能やメール関連機能においては、登録件数が非常に多い場合、該当する電話番号を検索、発信するだけでも多くのキー操作を行い時間を要するために、操作の簡略化を行うことが要求される。
【0003】
ここで、特許文献1を参照すると、携帯電話機における操作を簡略化すべく、使用者が携帯電話機を振った回数を振動センサを用いて検出し、この振動回数に対応して予めメモリに記憶させておいた電話番号を呼び出して、自動的に発呼するという技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−330210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の技術では、使用者が携帯電話機を振った回数に応じた電話番号をメモリから読み出して発呼するものであるから、使用者は携帯電話機を振る回数と発呼先の電話番号との対比関係を、予め覚えておく必要がある。また、携帯電話機の振る操作があいまいであれば、回数のカウントが正確に行われず、誤った発呼を行うことになり、よって、振る動作を正確に行うことが、使用者に要求されることになる。
【0006】
本発明の目的は、使用者に対して正確な振動動作を要求することなく、発呼やメール作成の操作性を高めた携帯通信端末及びその動作制御方法並びにプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による携帯通信端末は、振動検出手段と、この振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電話番号への発呼をなす制御手段とを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明による他の携帯通信端末は、振動検出手段と、この振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電子メール宛先への電子メール作成画面を表示する制御手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明による携帯通信端末の動作制御方法は、振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電話番号への発呼をなすステップを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明による他の携帯通信端末の動作制御方法は、振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電子メール宛先への電子メール作成画面を表示するステップを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によるプログラムは、携帯通信端末の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電話番号への発呼をなす処理を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明による他のプログラムは、携帯通信端末の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電子メール宛先への電子メール作成画面を表示する処理を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一度、振動センサと電話番号や電子メールの宛先との関連付けを行えば、ワンタッチで電話発信や当該電子メール宛先へのメール作成を行うことが可能となり、従来よりも操作性が向上するという効果がある。また、振動回数をカウントするものではないので、使用者に対して振動の正確性が求められなくなり、繁雑性も解消できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態による形態電話機の機能ブロック図である。図1に示すように、本実施の形態による携帯電話機は、制御部10、センサ20、LCD表示部30、操作部40、無線部50、アンテナ51、スピーカ60、電池70、マイク80により構成される。
【0015】
無線部50は、制御部10の制御により、アンテナ51を介して受信した信号を復調し、変調した信号をアンテナ51を介して送信する。通話時には、マイク70から入力されたアナログ音声は制御部10にてデジタル変換され、無線部50及びアンテナ51を介して送信される。また、アンテナ51及び無線部50を介して受信しされた音声データは、制御部10にてアナログ変換され、スピーカ90より出力される。
【0016】
操作部40は、図2に示すように、テンキー41、開始キー42、メールキー43や確定キーなどを含む入力キーで構成され、制御部10により制御される。LCD表示部30は、制御部10により各種の表示を行う。センサ20は、図3に示すように、振動センサ部1、レジスタ21〜24、比較器25により構成され、制御部10により制御される。
【0017】
ここで、振動センサ部1について説明する。振動センサ部1は、図3に示すように、縦(X軸)、横(Y軸)、高さ(Z軸)の座標を持ち、3次元空間に対応している。振動センサ部は振動を認識すると、各軸の速度測定を数回実施後に平均値を算出する。この平均値を振動測定値とする。各座標は、この振動測定値を基にして変更される
【0018】
本発明では、この振動測定値が予め設定した振動測定閾値を上回った場合に処理を行うものとする。振動センサ部1は振動を検出すると、変更後の座標をレジスタ21に設定する。レジスタ21には、原点(0,0,0)と座標(x,y,z)が設定され、座標(x,y,z)には、振動測定完了後に設定される。
【0019】
レジスタ22には、振動測定閾値が制御部10により設定される。レジスタ23には、測定した振動測定値がセンサ20により設定される。振動測定値は、一定期間内に数回測定された速度を平均化したものとする。レジスタ24には、レジスタ22とレジスタ23との設定内容の比較結果が、比較器25により設定される。比較器25は、レジスタ22に設定されている振動測定閾値と、レジスタ23に設定される振動測定値との比較を行い、比較結果をレジスタ24に設定する。
【0020】
振動測定値が振動測定閾値を上回った場合、レジスタ24にはA値が設定され、振動測定値が振動測定閾値を下回った場合、レジスタ24にはB値が設定される。レジスタ24に比較結果を設定後、センサ20は制御部10に割込みを出力する。割込みを認識した制御部10は、レジスタ24の値を読み出す。
【0021】
図1に戻って、制御部10は、CPU11とメモリ12とタイマ13とを有し、周辺回路の制御を行う。図5に示すように、メモリ12には、振動発信用電話番号保存領域と電話番号のテーブルと、振動フラグとが保存される。振動発信用電話番号保存領域と電話番号とを関連付けした内容は、ユーザ設定完了後に、制御部10によりメモリ12に格納される。制御部10がレジスタ24を読み出した結果A値であった場合、振動フラグON(振動あり)がメモリ12に保存される。B値であった場合、振動フラグOFF(振動なし)がメモリ12に保存される。
【0022】
タイマ13は、制御部10が図2に示す開始キー42の押下を認識した時に、計時動作を開始し、制御部10が振動フラグONを認識すると、タイマ13は制御部10によりその計時動作を停止するものとする。
【0023】
次に、本実施の形態の動作を説明する。ユーザは事前設定を行う必要があるが、この事前設定動作について、図6を用いて説明する。ユーザは電話帳に登録している任意の電話番号を開き(S1)、任意の電話番号を選択する(S2)。その後、図7に示すように、サブメニューを表示して振動発信設定を選択する(S3)。ここで、振動発信設定とは、本実施の形態を実施するために振動により発信する電話番号を設定する機能である。
【0024】
ステップS3の後、制御部10は、開始キー押下後の振動にて電話発信を行うために、図5に示した振動発信用電話番号保存領域に電話番号を保存する(S4)。以上の手順を踏まえることにより、事前設定を行うことができる。
【0025】
次に、図8を用いて本実施の形態の発呼動作について説明する。使用者が図2に示す開始キー42を押下することにより、制御部10が開始キー入力を認識すると(S11)、制御部10はタイマ13の計時を開始し(S12)、制御部10が振動を認識するまで継続する。ユーザが携帯電話機を振ることで(S13)、振動センサ部1は振動測定を実施(S14)し、振動を認識する(S15)。
【0026】
ここで、ステップS14で実施する振動測定の手順を、ステップS16からS19に従って説明する。ステップS15の後、センサ20は、ステップS15で測定した振動測定値をレジスタ23に設定する(S16)。ステップS16後、比較器25は、レジスタ22とレジスタ23との設定内容の比較を行い(S17)、この比較結果をレジスタ24に設定する(S18)。ステップS18後、センサ20は制御部10へ割り込みを出力する(S19)。
【0027】
ステップS19の後、制御部10はレジスタ24の値を読み出す(S20)。ステップS20の後、読み出した結果を元に、制御部10は図5の振動あり/なしフラグに保存する(S21)。ステップS21にて保存された振動フラグがONの時(S22)、かつタイマ13が継続中である時(S23)、制御部10は図5の振動発信用電話番号保存領域の電話番号を読出し(S24)、制御部10は電話発信待ち状態となる(S25)。ステップS25の後、制御部10はタイマ13の計時動作を停止(S26)し、制御部10は発信処理を開始する(S27)。
【0028】
振動フラグがOFFの時、または振動フラグがONであるがタイマ13がタイムアウトした時、制御部10は振動発信を実施しないことは勿論である。以上の処理手順を踏むことにより、本発明の一実施の形態を実現することができる。
【0029】
以上述べたように、本発明では、振動の測定値が所定閾値を上回った場合には、設定された電話番号に対する発呼動作を行うようにしているので、少なくとも1回の振動操作によって、自動発呼が可能となる。
【0030】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。先の実施の形態では、振動センサと電話番号について記載したが、電子メール作成についても、同様な制御を行うことで操作の簡略化を行うことができる。本実施の形態による携帯電話機の機能ブロック図は、図1と同一であり、また操作部40についても図2と同一である。本例では、携帯電話機を振ることにより、電子メール宛先が設定された状態で、メール作成画面を表示する制御について述べる。
【0031】
先の実施の形態と本実施の形態の差異は、図9に示すように、先の実施の形態のメモリ12の振動発信用電話番号保存領域に代わり、振動用メール宛先保存領域を割当てること、振動用メール宛先保存領域に電子メールの宛先を保存することである。
【0032】
先ず、図10を用いて事前設定について説明する。使用者は電話帳に登録しているメール宛先を開き(S31)、任意のメール宛先を選択する(S32)。その後、図11に示すように、サブメニューを表示して振動メール宛先設定を選択する(S33)。ここで振動メール宛先設定とは、本発明を実施するために振動によりメールアドレスを設定する機能である。ステップS33の後、制御部10は図9の振動用メール宛先保存領域にメール宛先を保存する(S34)。以上の手順を踏まえることにより、本実施の形態の事前設定を行うことができる。
【0033】
次に、本実施の形態の動作について、図12を用いて説明する。なお、図8と同等ステップには同一符号により示しており、図8と相違する部分についてのみ説明する。先ず、使用者が図2に示すメールキー43を押下することにより、制御部10はメールキー入力を認識する(S41)。その後、制御部10が図9の振動用メール宛先保存領域を読出し(S42)、メール宛先を設定する(S43)。ステップS43の後、制御部10は、メール宛先をすでに設定した状態で、メール作成画面をLCD表示部30に表示する(S44)。以上の処理手順を踏むことにより、先の実施の形態と同等な処理を行うことができる。
【0034】
以上述べたように、本実施の形態では、振動の測定値が所定閾値を上回った場合には、設定された電子メール宛先に対するメール作成画面を自動表示して、この作成されたメール内容を設定されたメール宛先に自動発信するようにしているので、少なくとも1回の振動操作によって、自動発信が可能となる。
【0035】
上述した各実施の形態における動作は、その動作手順を予めプログラムとしてROMなどの記録媒体に格納しておき、これをコンピュータ(制御部:CPU)により読み取らせて実行させるように構成できることは明らかである。なお、上記の各実施の形態では、携帯電話機について説明しているが、他のモバイル系端末(携帯通信端末)にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態の機能ブロック図である。
【図2】図1の操作部40の例を示す図である。
【図3】図1のセンサ20の例を示す図である。
【図4】図3の振動センサ部1の基準位置図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるメモリ12のテーブル構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態における事前設定動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態における振動発信設定関連付けイメージ図である。
【図8】本発明の一実施の形態における動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施の形態におけるメモリ12のテーブル構成を示す図である。
【図10】本発明の他の実施の形態における事前設定動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施の形態における振動メーネ宛先設定関連付けイメージ図である。
【図12】本発明の他の実施の形態における動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1 振動センサ部
11 CPU
12 メモリ
13 タイマ
20 センサ
21〜24 レジスタ
25 比較器
30 LCD表示部
40 操作部
41 テンキー
42 開始キー
43 メールキー
50 無線部
51 アンテナ
60 スピーカ
70 電池
80 マイク
100 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動検出手段と、この振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電話番号への発呼をなす制御手段とを含むことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記電話番号の登録を使用者の操作に応答してなすようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
振動検出手段と、この振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電子メール宛先への電子メール作成画面を表示する制御手段とを含むことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項4】
前記制御手段は、前記電子メール作成画面を表示するに際して、電子メールの宛先として、前記予め登録されている電子メール宛先を設定することを特徴とする請求項3記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記電子メール宛先の登録を使用者の操作に応答してなすようにしたことを特徴とする請求項3または4記載の携帯通信端末。
【請求項6】
振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電話番号への発呼をなすステップを含むことを特徴とする携帯通信端末の動作制御方法。
【請求項7】
前記電話番号の登録を使用者の操作に応答してなすステップを、更に含むことを特徴とする請求項6記載の動作制御方法。
【請求項8】
振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電子メール宛先への電子メール作成画面を表示するステップを含むことを特徴とする携帯通信端末の動作制御方法。
【請求項9】
前記電子メール作成画面を表示するに際して、電子メールの宛先として、前記予め登録されている電子メール宛先を設定するステップを、更に含むことを特徴とする請求項8記載の動作制御方法。
【請求項10】
前記電子メール宛先の登録を使用者の操作に応答してなすステップを、更に含むことを特徴とする請求項8または9記載の動作制御方法。
【請求項11】
携帯通信端末の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電話番号への発呼をなす処理を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
携帯通信端末の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、振動検出手段が所定閾値を上回る振動状態を検出した場合に、予め登録されている電子メール宛先への電子メール作成画面を表示する処理を含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−78840(P2008−78840A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253656(P2006−253656)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】