説明

携帯通信端末装置、携帯通信端末制御方法及び携帯通信端末制御プログラム

【課題】複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置上で動作させ得るアプリケーションプログラムからの回線に関する情報を設定又は取得する指示に回線の指定を不要とし、その指示及び現在の回線の設定状態に応じて、回線に関する処理を行うようにした携帯通信端末装置を提供する。
【解決手段】複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置であって、指示受付手段は、前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付け、設定状態検知手段は、前記回線に関する設定状態を検知し、回線情報設定取得手段は、前記指示受付手段によって受け付けられた指示及び前記設定状態検知手段によって検知された設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置、携帯通信端末制御方法及び携帯通信端末制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
1台の携帯電話等の携帯通信端末装置で複数の回線を用いることができるものがある。例えば、1台の携帯電話で2つの電話番号、メールアドレスが利用できるサービスがある。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、電話番号が異なる複数のSIM(Subscriber Identity Module:加入者識別モジュール)カードを用いて、これらの電話番号に対する同時待ち受けを可能とした移動通信端末を提供することを課題とし、SIMカードaに電話番号A、SIMカードbに電話番号Bが登録されており、このSIMカードa、bがカードスロットを介して装着された際に、主制御部は電話番号A、Bが登録されていることを認識し、これらの電話番号A、Bについて位置登録を行い、この位置登録後、主制御部は基地局から与えられるページング・チャネルのタイミングに従って電話番号A、Bに対する呼び出しの有無をチェックし、呼び出しのあった電話番号を確認した際に着信を行い、これにより、1台の端末にて複数の電話番号を利用でき、これらの電話番号について同時待ち受けを実現できることが開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、複数の電話番号を複数の用途に分けて使用しつつ、着信表示を周囲の人に見られたとしても人間関係の悪化を招来することがない携帯電話機を提供することを課題とし、1台で複数の電話番号の使用が可能であり、かつ、所定の画像を表示可能な表示部を備えた携帯電話機であって、複数の電話番号のいずれかに、相手先の電話番号及び名称を関連付けて記憶する連絡先記憶手段と、相手先の電話番号又は名称に、相手先の仮名称を関連付けて記憶する仮名称記憶手段と、着信時に、当該相手先の名称を表示するか、又は、当該相手先の仮名称を表示するかを判断する判断手段と、判断手段による判断結果に基づいて、相手先の名称又は仮名称を示す画像を表示部に表示させる名称表示手段とを備えたことを特徴とする携帯電話機が開示されている。
【特許文献1】特開2003−189361号公報
【特許文献2】特開2005−184539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置上で動作させ得るアプリケーションプログラムにあっては、その携帯通信端末装置における回線の設定状態と連動した動作を行う必要がある。例えば、アプリケーションプログラムが現在どの回線を利用しているかの情報を得た上で動作するようにプログラミングする必要がある。このことは開発者にとって煩雑である。また、従来のアプリケーションプログラムは1つの回線であることを前提として作成されているため、これを変更することも困難である。
【0006】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置上で動作させ得るアプリケーションプログラムからの回線に関する情報を設定又は取得する指示に回線の指定を不要とし、その指示及び現在の回線の設定状態に応じて、回線に関する処理を行うようにした携帯通信端末装置、携帯通信端末制御方法及び携帯通信端末制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置であって、前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付ける指示受付手段と、前記回線に関する設定状態を検知する設定状態検知手段と、前記指示受付手段によって受け付けられた指示及び前記設定状態検知手段によって検知された設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する回線情報設定取得手段を具備することを特徴とする携帯通信端末装置。
【0008】
[2] 前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示及び前記回線に関する状態に応じて、該指示はいずれの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得するものであるかを記憶する記憶手段をさらに具備し、前記回線情報設定取得手段は、前記記憶手段を用いて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得することを特徴とする[1]に記載の携帯通信端末装置。
【0009】
[3] 前記指示受付手段によって受け付けられた指示が回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示かそれ以外の指示かを判断する指示判断手段をさらに具備し、前記設定状態検知手段は、前記指示判断手段によって回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示であると判断された場合に、前記回線に関する設定状態を検知し、前記回線情報設定取得手段は、前記指示判断手段によって回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示であると判断された場合に、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得することを特徴とする[1]又は[2]に記載の携帯通信端末装置。
【0010】
[4] 複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置が行う携帯通信端末制御方法であって、前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付ける指示受付ステップと、前記回線に関する設定状態を検知する設定状態検知ステップと、前記指示受付ステップによって受け付けられた指示及び前記設定状態検知ステップによって検知された設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する回線情報設定取得ステップを具備することを特徴とする携帯通信端末制御方法。
【0011】
[5] 複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置で動作する携帯通信端末制御プログラムであって、前記携帯通信端末装置を、前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付ける指示受付手段と、前記回線に関する設定状態を検知する設定状態検知手段と、前記指示受付手段によって受け付けられた指示及び前記設定状態検知手段によって検知された設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する回線情報設定取得手段として機能させることを特徴とする携帯通信端末制御プログラム。
【0012】
前記本発明は次のように作用する。
本発明における携帯通信端末装置、携帯通信端末制御方法及び携帯通信端末制御プログラムでは、指示受付手段は、携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付け、設定状態検知手段は、前記回線に関する設定状態を検知し、回線情報設定取得手段は、前記指示受付手段によって受け付けられた指示及び前記設定状態検知手段によって検知された設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する。これによって、複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置上で動作させ得るアプリケーションプログラムからの回線に関する情報を設定又は取得する指示に回線の指定を不要とし、その指示及び現在の回線の設定状態に応じて、回線に関する処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる携帯通信端末装置、携帯通信端末制御方法及び携帯通信端末制御プログラムによれば、複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置上で動作させ得るアプリケーションプログラムからの回線に関する情報を設定又は取得する指示に回線の指定を不要とし、その指示及び現在の回線の設定状態に応じて、回線に関する処理を行うことができる。そして、アプリケーションプログラムはその携帯通信端末装置の回線の状況に的確に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはプログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、プログラム、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がプログラムの場合は、記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能にほぼ一対一に対応しているが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)を含む。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク等で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。
【0015】
以下、携帯通信端末装置として、携帯電話を主に例示して説明する。また、携帯通信端末装置は複数の回線を利用可能であるが、2つの回線(A回線、B回線)の場合を主に例示して説明する。
【0016】
本実施の形態である携帯通信端末装置は、複数の回線を利用可能なものであって、図1に示すように、プログラム110、指示受付モジュール120、指示分類情報記憶モジュール130、複数回線管理モジュール140、回線設定状態記憶モジュール150、A回線情報処理モジュール160、B回線情報処理モジュール170を有している。
【0017】
プログラム110は、指示受付モジュール120と接続されている。携帯通信端末装置上で動作するアプリケーションプログラムであって、その携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を指示受付モジュール120に対して行う。
アプリケーションプログラムとして、例えば、Widget(ウィジェット)と呼ばれるもの、JavaScript(登録商標)のようなインタプリンタを介するものであってもよいし、ネイティブ・アプリケーションであってもよい。ネイティブ・アプリケーションとは、携帯通信端末装置のCPU(Central Processing Unit)、ソフトウェアプラットフォーム、API(Application Program Interface)等向けに特化したアプリケーションである。より具体的な処理としては、例えば、現在の回線における合計の通話時間の情報を取得してディスプレイに表示するもの等がある。
なお、指示受付モジュール120に対して行う指示には、回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示と、それ以外の指示があり得る。
【0018】
指示受付モジュール120は、プログラム110、複数回線管理モジュール140と接続されている。プログラム110から携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付ける。そして、その受け付けた指示を複数回線管理モジュール140に渡す。
【0019】
指示分類情報記憶モジュール130は、複数回線管理モジュール140からアクセスされる。携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示及び回線に関する状態に応じて、その指示はいずれの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得するものであるかを記憶する。
【0020】
例えば、図3の例に示す指示分類テーブル300を記憶する。図3は、指示分類テーブル300のデータ構造例を示す説明図である。指示分類テーブル300は、オブジェクト欄310、プロパティ欄320、Aモード欄330、Bモード欄340、デュアルモード欄350、マルチID設定オフ欄360を有している。
【0021】
オブジェクト欄310は、操作対象のオブジェクトを記憶する。プロパティ欄320は、そのオブジェクトに対する指示を記憶する。つまり、プロパティ欄320(オブジェクト欄310を含めてもよい)が、情報の設定又は取得に関する指示を記憶する。
【0022】
Aモード欄330は、A回線が設定されていた場合に、その指示によって設定又は取得される対象の回線を記憶する。Bモード欄340は、B回線が設定されていた場合に、その指示によって設定又は取得される対象の回線を記憶する。デュアルモード欄350は、デュアルモードが設定されていた場合に、その指示によって設定又は取得される対象の回線を記憶する。マルチID設定オフ欄360は、マルチIDの設定をオフとした場合に、その指示によって設定又は取得される対象の回線を記憶する。つまり、Aモード欄330からマルチID設定オフ欄360は、回線に関する状態に応じて、その指示はいずれの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得するものであるかを記憶する。Aモード欄330からマルチID設定オフ欄360に記憶されている回線の設定として、「A回線」とある場合は、A回線に関する情報が対象であり、「B回線」とある場合は、B回線に関する情報が対象であり、「A/B両方」とある場合は、A回線及びB回線の両方のそれぞれに関する情報が対象であり、「A/B共通」とある場合は、A回線及びB回線の両方に共通のものに関する情報(つまり、A回線、B回線ともに利用する情報である)が対象であることを示している。
【0023】
例えば、ブラウザのブックマークに関する指示(launchBookmark)の場合は、Aモード、Bモード、デュアルモード、マルチID設定オフのいずれであっても、「A回線」を対象とする。A回線でのみブラウザでのネット接続が許可されているからである。電話の通話時間に関する指示(getTotalCalltime)の場合は、Aモードの場合は「A回線」を対象とし、Bモードの場合は「B回線」を対象とし、デュアルモード、マルチID設定オフの場合は「A/B両方」を対象とする。アドレス帳のオーナーに関する指示(getOwnerInfo)の場合は、Aモード、デュアルモード、マルチID設定オフの場合は「A回線」を対象とし、Bモードの場合は「B回線」を対象とする。また、環境の言語に関する指示(setLanguage、getLanguage)の場合は、Aモード、Bモード、デュアルモード、マルチID設定オフのいずれであっても、「A/B共通」を対象とする。
【0024】
複数回線管理モジュール140は、指示受付モジュール120、指示分類情報記憶モジュール130、回線設定状態記憶モジュール150、A回線情報処理モジュール160、B回線情報処理モジュール170と接続されている。指示受付モジュール120から指示を受け取った後、回線設定状態記憶モジュール150を用いて、携帯通信端末装置における回線に関する設定状態を検知する。そして、指示受付モジュール120によって受け付けられた指示及び検知した設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を、A回線情報処理モジュール160又はB回線情報処理モジュール170を用いて設定又は取得する。
また、複数回線管理モジュール140は、指示分類情報記憶モジュール130を用いて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を、A回線情報処理モジュール160又はB回線情報処理モジュール170を制御して、設定又は取得するようにしてもよい。
【0025】
さらに、複数回線管理モジュール140は、指示受付モジュール120によって受け付けられた指示が回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示かそれ以外の指示かを判断するようにしてもよい。例えば、指示受付モジュール120によって受け付けられた指示が、指示分類情報記憶モジュール130の指示分類テーブル300内のプロパティ欄320に記憶されているものであれば、回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示であると判断し、プロパティ欄320に記憶されているものでないならば、それ以外の指示であると判断する。そして、回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示であると判断した場合に、回線に関する設定状態を回線設定状態記憶モジュール150を用いて検知し、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を、A回線情報処理モジュール160又はB回線情報処理モジュール170を用いて設定又は取得するようにしてもよい。
【0026】
回線設定状態記憶モジュール150は、複数回線管理モジュール140からアクセスされる。現在の携帯通信端末装置における回線の設定状態を記憶している。回線の設定は、携帯通信端末装置の利用者の操作等によって設定される。回線の設定状態としては、例えば、Aモード(A回線で送受信する状態)、Bモード(B回線で送受信する状態)、デュアルモード(A回線、B回線の両方で送受信する状態)、マルチID設定オフの4つがある。なお、マルチID設定オフとは、その携帯通信端末装置内で閉じている指示(つまり、外部との通信が発生しないもの)については、A回線、B回線の両方が設定され、それ以外(つまり、外部との通信が発生するもの)については、A回線が設定されるものである。
A回線情報処理モジュール160は、複数回線管理モジュール140と接続されている。複数回線管理モジュール140からの指示に基づいて、A回線に関する情報を設定又は取得する。
B回線情報処理モジュール170は、複数回線管理モジュール140と接続されている。複数回線管理モジュール140からの指示に基づいて、B回線に関する情報を設定又は取得する。
【0027】
図2は、本実施の形態をより具現化した場合のモジュール構成例を示す図である。
プログラム210、プログラム実行環境モジュール221、プログラム制御モジュール222、端末情報処理モジュール223、複数回線個人情報取得・設定モジュール240、SIM250、A回線個人情報処理モジュール260、B回線個人情報処理モジュール270を有している。図1の例に示したモジュール構成例と対比すると、プログラム210はプログラム110に該当し、プログラム実行環境モジュール221は指示受付モジュール120による処理を含み、プログラム制御モジュール222、端末情報処理モジュール223、複数回線個人情報取得・設定モジュール240は指示分類情報記憶モジュール130と複数回線管理モジュール140による処理を含み、SIM250は回線設定状態記憶モジュール150の一部となり、A回線個人情報処理モジュール260はA回線情報処理モジュール160に該当し、B回線個人情報処理モジュール270はB回線情報処理モジュール170に該当する。
【0028】
プログラム210は、プログラム実行環境モジュール221と接続されている。回線情報に伴う個人情報の取得又は設定に関する指示、その他の個人情報とは関係のない情報の取得又は設定の指示をプログラム実行環境モジュール221に対して行う。例えば、個人情報とは関係のない情報として、その位置における電界強度の情報等が該当する。また、プログラム210は、特定の者(携帯通信端末装置である携帯電話を供給する通信事業者、その通信事業者から許可を得ているいわゆるサードパーティ等)によって作成されるものの他に、不特定の者によって作成されるアプリケーションプログラムを含んでもよい。
【0029】
プログラム実行環境モジュール221は、プログラム210、プログラム制御モジュール222と接続されている。プログラム210を携帯通信端末装置内で実行させるためのインタフェースを備えており、不特定の者によってもアプリケーションプログラムが作成できるように、その仕様が公開されている。プログラム210からの指示を受け付け、その指示をプログラム制御モジュール222に渡す。
【0030】
プログラム制御モジュール222は、プログラム実行環境モジュール221、端末情報処理モジュール223、複数回線個人情報取得・設定モジュール240と接続されている。プログラム実行環境モジュール221から受け取った指示に従って、その指示が個人情報とは関係のない情報の取得又は設定の指示であるならば、端末情報処理モジュール223を用いて情報の取得又は設定を行う。個人情報と関係のある情報の取得又は設定の指示であるならば、複数回線個人情報取得・設定モジュール240を用いてその情報の取得又は設定を行う。
端末情報処理モジュール223は、プログラム制御モジュール222と接続されている。プログラム制御モジュール222からの指示に基づいて、個人情報とは関係のない情報を設定又は取得する。例えば、電界強度を測定する等である。
【0031】
複数回線個人情報取得・設定モジュール240は、プログラム制御モジュール222、SIM250、A回線個人情報処理モジュール260、B回線個人情報処理モジュール270と接続されている。プログラム制御モジュール222から個人情報と関係のある情報の取得又は設定の指示を受け取り、現在の回線の状態をSIM250等を用いて検知する。そして、指示及び検知した設定状態に基づいて、A回線、B回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を、A回線個人情報処理モジュール260、B回線個人情報処理モジュール270を用いて設定又は取得する。
【0032】
SIM250は、複数回線個人情報取得・設定モジュール240からアクセスされる。携帯電話番号などの契約者情報を記憶している。SIM250は回線数に応じて複数枚あってもよい。
A回線個人情報処理モジュール260は、複数回線個人情報取得・設定モジュール240と接続されている。複数回線個人情報取得・設定モジュール240からの指示に基づいて、A回線に関する情報を設定又は取得する。
B回線個人情報処理モジュール270は、複数回線個人情報取得・設定モジュール240と接続されている。複数回線個人情報取得・設定モジュール240からの指示に基づいて、B回線に関する情報を設定又は取得する。
【0033】
図4は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS402では、指示受付モジュール120が、プログラム110から指示を受け付け、複数回線管理モジュール140に渡す。
ステップS404では、複数回線管理モジュール140が、その指示は回線情報に伴う個人情報に関する取得又は設定であるか否かを判断する。個人情報に関する指示であるならばステップS406へ進み、それ以外の場合はステップS420へ進む。
ステップS406では、複数回線管理モジュール140が、回線設定状態記憶モジュール150を用いて、現在の回線の設定状態を取得する。
【0034】
ステップS408では、ステップS402で取得した指示とステップS406で取得した回線設定状態との組み合わせから、指示分類情報記憶モジュール130を用いて、ステップS410、ステップS412、ステップS414、ステップS416のいずれか1つの処理を行わせる。
ステップS410では、A回線情報処理モジュール160が、A回線に伴う個人情報の取得又は設定を行う。
ステップS412では、B回線情報処理モジュール170が、B回線に伴う個人情報の取得又は設定を行う。
【0035】
ステップS414では、A回線情報処理モジュール160、B回線情報処理モジュール170が、A回線・B回線に伴う個人情報の取得又は設定を行う。
ステップS416では、複数回線管理モジュール140が、A回線・B回線に共通の個人情報の取得又は設定を行う。
ステップS420では、個人情報以外の情報に関する取得又は設定を行う。
【0036】
本実施の形態が実装される携帯通信端末装置は、図5に示すような携帯電話500であってもよい。携帯電話500は、例えば、電話としての機能を有するように音声入力できるマイク505と、音声出力できるスピーカー504と、電話番号又はアプリケーションプログラム等の要求等により文字を入力するための文字入力装置であるキー502と、電波を送受信してデータ通信を行うためのアンテナ503と、キー502による文字入力の結果、アプリケーションプログラムに関する表示等(アプリケーションプログラムの処理結果等の表示)を行うディスプレイ501等を有している。携帯電話500内には、アプリケーションプログラム等を実行するCPU、メモリ、SIM、通信用回路等のハードウェア等が内蔵されており、携帯通信端末装置を実現するためのソフトウェアであるコンピュータ・プログラムをメモリに記憶させ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、携帯通信端末装置が実現される。
【0037】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図6に示すように、一般的なコンピュータであり、具体的には携帯電話500に内蔵されるようなコンピュータである。プログラム110、指示受付モジュール120、複数回線管理モジュール140等のプログラムを実行するCPU610と、そのプログラムやデータを記憶するRAM630と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM620と、補助記憶装置であるHD640(例えば、フラッシュメモリ等を含む)と、キー等から操作者の操作によってデータを入力又はCRTや液晶ディスプレイ等にデータを出力して操作者とのインタフェースとなるUI/F650と、メモリカード等のリムーバブルメディアに対して読み書きするリムーバブルメディアリーダーライター660と、通信ネットワークと接続するための通信回線I/F670、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス680により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0038】
なお、前述の実施の形態では、携帯通信端末装置として携帯電話を例示したが、携帯電話以外にも複数の回線を利用可能なPHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等のデータ通信端末、通信機能を有しているゲーム端末、ナビゲーションシステム、情報家電等を用いてもよい。
また、利用可能な回線数として2つの場合を例示したが、3つ以上であってもよい。
【0039】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納することも可能であり、その場合は、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明としても把握することができる。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能である。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に乗せて搬送することも可能である。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態のモジュール構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態をより具現化した場合のモジュール構成例を示す図である。
【図3】指示分類テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図4】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図5】携帯通信端末装置の一例である携帯電話を示す説明図である。
【図6】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
110…プログラム
120…指示受付モジュール
130…指示分類情報記憶モジュール
140…複数回線管理モジュール
150…回線設定状態記憶モジュール
160…A回線情報処理モジュール
170…B回線情報処理モジュール
210…プログラム
221…プログラム実行環境モジュール
222…プログラム制御モジュール
223…端末情報処理モジュール
240…複数回線個人情報取得・設定モジュール
250…SIM
260…A回線個人情報処理モジュール
270…B回線個人情報処理モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置であって、
前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付ける指示受付手段と、
前記回線に関する設定状態を検知する設定状態検知手段と、
前記指示受付手段によって受け付けられた指示及び前記設定状態検知手段によって検知された設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する回線情報設定取得手段
を具備することを特徴とする携帯通信端末装置。
【請求項2】
前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示及び前記回線に関する状態に応じて、該指示はいずれの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得するものであるかを記憶する記憶手段
をさらに具備し、
前記回線情報設定取得手段は、前記記憶手段を用いて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末装置。
【請求項3】
前記指示受付手段によって受け付けられた指示が回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示かそれ以外の指示かを判断する指示判断手段
をさらに具備し、
前記設定状態検知手段は、前記指示判断手段によって回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示であると判断された場合に、前記回線に関する設定状態を検知し、
前記回線情報設定取得手段は、前記指示判断手段によって回線に関する情報に対して設定又は取得を行う指示であると判断された場合に、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯通信端末装置。
【請求項4】
複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置が行う携帯通信端末制御方法であって、
前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付ける指示受付ステップと、
前記回線に関する設定状態を検知する設定状態検知ステップと、
前記指示受付ステップによって受け付けられた指示及び前記設定状態検知ステップによって検知された設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する回線情報設定取得ステップ
を具備することを特徴とする携帯通信端末制御方法。
【請求項5】
複数の回線を利用可能な携帯通信端末装置で動作する携帯通信端末制御プログラムであって、
前記携帯通信端末装置を、
前記携帯通信端末装置における情報の設定又は取得に関する指示を受け付ける指示受付手段と、
前記回線に関する設定状態を検知する設定状態検知手段と、
前記指示受付手段によって受け付けられた指示及び前記設定状態検知手段によって検知された設定状態に基づいて、複数の回線のうちいずれかの回線又は複数の回線に関する情報を設定又は取得する回線情報設定取得手段
として機能させることを特徴とする携帯通信端末制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−130377(P2010−130377A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303300(P2008−303300)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】