説明

携帯通信装置及びデータ伝送方法

【課題】 コンテンツデータの再生・入力機能を備えた様々な種類のコンテンツデータ処理機器30(IC音声レコーダやデジタルカメラ等)とネットワークへの接続拠点となる基地局装置との間のデータ伝送を中継し,受信データの再生やコンテンツデータの送信を可能とし,また,機器30の操作タイミングと基地局装置への接続可能なタイミングとのミスマッチの問題を解消する。
【解決手段】 機器30と基地局装置20との間でデータ伝送を中継し,基地局装置20との間で無線通信手段11により得られる受信データをデータ記憶手段16に記憶し,機器30が再生可能なデータ形式を,機器30から有線通信手段12を通じて伝送されたコンテンツデータに基づいて設定し,その結果により受信データを受信データ変換手段3により再生用データに変換する。また,機器30により保存されたコンテンツデータを送信データ変換手段2により送信用データに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コンテンツデータの入力や再生を行う機器と基地局装置との間でデータ伝送を中継する携帯通信装置及びデータ伝送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,駅や喫茶店等の出先において無線LAN通信によりアクセスポイント(基地局装置の一例)を介してインターネット等のネットワークへ接続し,電子メールの送受信やホームページの閲覧を高速な通信環境下で行うことができる公衆無線スポットサービスの提供等,高速なモバイル通信環境が整備されつつある。
従来,このようなモバイル通信環境を利用するためには,モバイル通信が可能な場所において,無線LANカード等の通信インターフェース(I/F)を装着したパーソナルコンピュータ(パソコン)やPDA等の端末(端末装置)を用いて最寄りの基地局装置(アクセスポイントや情報キオスク等)に通信接続している。
一方,IC音声レコーダ(音声コンテンツデータの入力及び再生を行う装置),半導体プレイヤー(音声コンテンツデータの再生装置),デジタルカメラ(画像コンテンツデータの入力及び再生装置),携帯電話機(着信メロディ等の音声コンテンツデータの再生装置),或いはそれらの機能を復号したデジタルカメラ付き携帯電話機等の複合機等,デジタルコンテンツの入力や再生を行う各種の機器(以下,コンテンツデータ処理機器という)が普及している。
ここで,前記コンテンツデータ処理機器には,シリアル通信手段やUSB等のデータ伝送インターフェースや着脱可能なフラッシュメモリ等の記憶媒体のインターフェースを備え,オンライン伝送により或いは前記記憶媒体を介して外部装置とコンテンツデータの伝送が可能なものが多い。
このようなコンテンツデータ処理機器を有効活用し,インターネット等のネットワークとの接続拠点となる基地局装置を介して受信した各種データをコンテンツデータ処理機器で再生したり,コンテンツデータ処理機器で入力されたコンテンツデータを基地局装置を通じて他の機器に送信したりできれば非常に利便性が高まる。
例えば,デジタルカメラ付き携帯電話機では,内蔵されたデジタルカメラで撮影(入力)した画像コンテンツデータを,電子メールデータとして他の携帯電話機に送信したり,他の携帯電話機から電子メールデータとして受信した画像コンテンツデータを液晶表示手段からなる表示部に表示させる(再生する)機能を有している。
一方,特許文献1には,デジタルカメラと携帯電話機とを通信可能とすることにより,携帯電話機とデジタルカメラとを並列操作可能とし,携帯電話の通話機能を維持させつつ,デジタルカメラによる画像を用いたコミュニケーションを実現するものが示されている。
また,特許文献2には,無線LANカードに無線LAN通信網への接続に必要な情報(通信プロトコル等のネットワークに関する設定情報や,通信確立に用いるユーザIDやパスワード等の個人情報)の記憶部及びその情報を用いて通信接続を自動処理する無線通信CPUを設けた通信装置が示されている。これにより,その無線LANカードを装着したパソコン(外部制御機器)を用いれば,無線LAN通信網への接続を行う際に,ユーザがパソコンからユーザIDやパスワード等を通信接続の都度入力する手間が省け,簡便なネットワーク接続が可能となる。
【特許文献1】特開2003−78638号公報
【特許文献2】特開2001−77878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,デジタルカメラ付き携帯電話機は,内蔵されたデジタルカメラで撮影された画像データ(コンテンツデータ)を既定の低速な携帯電話の無線通信回線を通じて送信する機能と,既定の低速な携帯電話の無線通信回線を通じて受信された画像データを内蔵された表示部に表示させる(再生する)機能とを有するのみであり,通信機能を有さないデジタルカメラ等の様々な種類の他の前記コンテンツデータ処理機器とネットワークとの接続拠点となる基地局装置との間のデータ伝送を中継し,様々な種類の前記コンテンツデータ処理機器を有効活用できるものではないという問題点があった。
特許文献1に示されるデジタルカメラ及び携帯電話機も同様に,様々な種類の他の前記コンテンツデータ処理機器と基地局装置との間のデータ伝送を中継できるようにするための構成について何ら示されていない。
一方,アクセスポイント等を介してインターネット接続を可能とするモバイル通信環境は,高速ではあるが携帯電話通信網ほどには網羅的にカバーされておらず,ユーザが機器を操作しているときに基地局装置(アクセスポイント等)が最寄りに存在しない,或いは建物の中に居る等により無線電波が届かない等の場合も多く,ユーザが機器を操作するタイミングと基地局装置を介してネットワークにアクセスできるタイミングとのミスマッチが発生しやすいという問題点もあった。この問題は,特許文献2に示される技術を用いても解消できない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,様々な種類のコンテンツデータ処理機器(IC音声レコーダやデジタルカメラ等)とネットワークへの接続拠点となる基地局装置との間のデータ伝送を中継し,基地局装置からの受信データの再生や基地局装置を通じたコンテンツデータの送信を可能とし,また,コンテンツデータ処理機器の操作タイミングとモバイル通信における基地局装置への接続が可能なタイミングとのミスマッチの問題を解消することが可能な携帯通信装置及びデータ伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明に係る携帯通信装置及びデータ伝送方法は,コンテンツデータの再生機能を備えたコンテンツデータ処理機器と基地局装置との間でデータ伝送を中継するものであって,前記基地局装置との間で無線又は有線によりデータ通信を行い,そのデータ通信を通じて得られる受信データを記憶し,前記コンテンツデータ処理機器との間で無線若しくは有線により又は着脱可能な記憶媒体を介してコンテンツデータの伝送を行うにあたり,前記コンテンツデータ処理機器が再生可能な前記コンテンツデータの形式を設定し,その設定結果に基づいて記憶された前記受信データを,前記コンテンツデータ処理機器へ伝送される再生用コンテンツデータに変換することを特徴とする。
これにより,前記基地局装置側からの受信データを,設定されたデータ形式に変換して前記コンテンツデータ処理機器に伝送可能となるので,様々な種類の前記コンテンツデータ処理機器に対応した(再生可能な)データ変換が可能となる。
【0005】
また,コンテンツデータの入力機能を備えた前記コンテンツデータ処理機器から伝送入力される前記コンテンツデータを記憶するものであれば,以下のような応用が可能となる。
例えば,その記憶された特定の前記コンテンツデータから前記コンテンツデータ処理機器が再生可能な前記コンテンツデータの形式に関する情報を検出することにより,前記コンテンツデータ処理機器が再生可能な前記コンテンツデータの形式を設定するものが考えられる。
これにより,前記コンテンツデータ処理機器が再生可能なデータ形式に関する情報を入力するための特別な入力手段等を設ける必要がなくなり,装置のコンパクト化,省電力化が図れる。
その他,記憶された前記コンテンツデータを,前記基地局装置側へ送信される送信用データに変換するものも考えられる。
これにより,前記コンテンツデータ処理機器により得られたコンテンツデータを前記基地局装置を通じて送信することが可能となる。
この場合,記憶された特定の前記コンテンツデータに基づいて前記送信用データの送信条件を検出するものが考えられる。
これにより,前記送信用データの宛先やデータ形式等の前記送信条件に関する情報を入力するための特別な入力手段等を設ける必要がなくなり,装置のコンパクト化,省電力化が図れる。
【0006】
また,前記再生用データへの変換処理として,前記受信データを構成する電子メールデータの添付ファイルデータを分離して前記コンテンツデータとする処理,前記受信データを構成する電子メールデータに含まれるテキストデータを,音声のコンテンツデータに変換する処理や文字列画像のコンテンツデータに変換する処理の1又は複数を行うものが考えられる。
これにより,例えば,受信した電子メールの本文のテキストデータを,IC音声レコーダ等(前記コンテンツデータ処理機器の一例)で音声として再生させたり,デジタルカメラ等(前記コンテンツデータ処理機器の一例)で文字列画像として再生させたりすることが可能となり,前記コンテンツデータ処理機器が備える機能を有効活用できる。
【0007】
また,前記コンテンツデータを構成する音声データに基づく音声認識を行うことによるテキストデータの抽出,前記コンテンツデータを構成する文字列画像データに基づく文字認識を行うことによるテキストデータの抽出,の一方又は両方を行うものであれば,以下のような応用が可能となる。
例えば,記憶された特定の前記コンテンツデータから抽出されたテキストデータに基づいて前記送信用データの送信条件を検出するものが考えられる。
また,前記コンテンツデータを,そこから抽出されたテキストデータを本文テキストデータとする電子メールデータに変換するものも考えられる。
これにより,例えば,IC音声レコーダ等で音声録音により入力された音声データ(コンテンツデータの一例)や,広告や本等の紙媒体や情報処理装置のディスプレイ等に表示された文字列情報をデジタルカメラ等で撮影(入力)した画像データ(コンテンツデータの一例)を取り込み,その取り込んだデータに基づいて前記送信用データの宛先やデータ形式等の前記送信条件に関する情報を検出したり,その取り込んだデータをデータ容量の小さな電子メールの本文データ(テキストデータ)に変換して送信したりすることが可能となる。
もちろん,テキストデータの抽出を行わずに,前記コンテンツデータを,これを添付ファイルデータとする電子メールデータに変換して前記送信用データとすることも考えられる。
【0008】
また,本発明に係る携帯通信装置及びデータ伝送方法は,前記コンテンツデータ処理機器の再生機能を用いずに,データ送信側の処理を行うものとして捉えたものであってもよい。
即ち,コンテンツデータの入力機能を備えたコンテンツデータ処理機器と基地局装置との間でデータ伝送を中継するものであって,前記コンテンツデータ処理機器との間で無線若しくは有線により又は着脱可能な記憶媒体を介してコンテンツデータの伝送を行い,これにより前記コンテンツデータ処理機器から入力される前記コンテンツデータを記憶し,前記基地局装置との間で無線又は有線によりデータ通信を行うにあたり,記憶された前記コンテンツデータを,前記基地局装置側へ送信される送信用データに変換し,さらに,記憶された特定の前記コンテンツデータに基づいて前記送信用データの送信条件を検出するものである。
これによっても,各種の前記コンテンツデータ処理機器を,コンテンツデータの入力手段として,かつ,前記送信用データの送信条件を入力するための手段として有効活用することが可能となる。
【0009】
また,前記基地局装置側の通信が可能か否かを判別し,その判別結果に基づいて前記受信データの受信や前記送信用データの送信の一方又は両方を行うタイミングを制御することが考えられる。
これにより,前記コンテンツデータ処理機器の操作時に前記基地局装置との通信ができない状況であっても,利用者が移動中に前記基地局装置との通信が可能となったタイミングで,データ受信及びその受信データの記憶,或いは予め記憶しておいたコンテンツデータに基づくデータ送信が行われる。その結果,前記コンテンツデータ処理機器の操作タイミングと前記基地局装置を通じた通信が可能なタイミングとのミスマッチの問題を解消することが可能となる。
例えば,前記基地局装置側の通信が無線通信である場合に,その無線通信の受信電界強度を監視することにより通信可能か否かを判別することが考えられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,コンテンツデータの再生機能を備えたコンテンツデータ処理機器と基地局装置との間でデータ伝送を中継するものであって,前記基地局装置との間で無線又は有線によりデータ通信を行い,そのデータ通信を通じて得られる受信データを記憶し,前記コンテンツデータ処理機器との間で無線若しくは有線により又は着脱可能な記憶媒体を介してコンテンツデータの伝送を可能とし,前記コンテンツデータ処理機器が再生可能な前記コンテンツデータの形式をし,その設定結果に基づいて記憶された前記受信データを,前記コンテンツデータ処理機器へ伝送される再生用コンテンツデータに変換するので,前記基地局装置側からの受信データを,設定されたデータ形式に変換して前記コンテンツデータ処理機器に伝送可能となり,様々な種類の前記コンテンツデータ処理機器に対応した(再生可能な)データ変換が可能となる。その結果,様々な前記コンテンツデータ処理機器を有効活用して前記基地局装置との間でデータ授受が可能となる。
また,コンテンツデータの入力機能を備えたコンテンツデータ処理機器と基地局装置との間でデータ伝送を中継するものであって,前記コンテンツデータ処理機器との間で無線若しくは有線により又は着脱可能な記憶媒体を介してコンテンツデータの伝送を行い,これにより前記コンテンツデータ処理機器から入力される前記コンテンツデータを記憶し,前記基地局装置との間で無線又は有線によりデータ通信を行うにあたり,記憶された前記コンテンツデータを,前記基地局装置側へ送信される送信用データに変換し,さらに,記憶された特定の前記コンテンツデータに基づいて前記送信用データの送信条件を検出するので,各種の前記コンテンツデータ処理機器を,コンテンツデータの入力手段として,かつ,前記送信用データの送信条件を入力するための手段として有効活用することが可能となる。
さらに,前記基地局装置側の通信が可能か否かを判別し,その判別結果に基づいて前記受信データの受信や前記送信用データの送信の一方又は両方を行うタイミングを制御すれば,前記コンテンツデータ処理機器の操作タイミングと前記基地局装置を通じた通信が可能なタイミングとのミスマッチの問題を解消することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る携帯通信装置Xの概略構成を表すブロック図,図2は携帯通信装置Xにおけるデータ変換処理の手順を表すフローチャート,図3は携帯通信装置Xにおけるデータ通信タイミング制御処理の手順を表すフローチャートである。
【0012】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る携帯通信装置Xの構成について説明する。
本携帯通信装置Xは,携帯可能に構成された通信装置であり,モバイル通信におけるアクセスポイント(公衆無線スポット)等の基地局装置20,及び前記コンテンツデータ処理機器30(IC音声レコーダ,半導体プレイヤー,デジタルカメラ,携帯電話機,デジタルカメラ付き携帯電話機等)それぞれとの間でデータ伝送を行い,前記基地局装置と前記コンテンツデータ処理機器30との間でのデータ(電子メール,画像データ,音楽データ等)の送受信を,そのデータを一時蓄積(記憶)することによって中継するものである。
【0013】
図1に示すように,本携帯通信装置Xは,無線通信手段11,有線通信手段12,ユーザインターフェース(I/F)手段13,制御手段14,設定情報記憶手段15,データ記憶手段16,電力供給手段17,データ認識手段1,送信データ変換手段2及び受信データ変換手段3を具備する。
前記無線通信手段11は,前記基地局装置20との間で無線によりデータ通信を行うものである(基地局側データ通信手段の一例)。
例えば,ISM帯(2.4GHz帯)の無線電波を用いてIEEE802.11bに準拠するDSSS方式の無線LAN通信を行うとともに,不図示のアンテナにより受信された電波の強度(以下,受信電界強度という)を検出し,その検出結果を前記制御手段14に出力するものである。無線LANの通信方式としては,上記の他にも,IEEE802.11a,11gに準拠するOFDM方式の無線LAN通信やBluetooth通信方式に準拠するFHSS方式の無線LAN通信等が考えられる。
前記有線通信手段12は,前記コンテンツデータ処理機器30との間で有線によりコンテンツデータの伝送を行うインターフェースである(機器側データ伝送手段の一例)。この有線通信手段12は,コネクタ等により前記コンテンツデータ処理機器30との接続/分断が自在に構成され,例えば,前記コンテンツデータ処理機器30が備えるUSBやIEEE802.3規格等に準拠した有線のインターフェースである。
【0014】
前記設定情報記憶手段15は,比較的小容量のフラッシュROM等の不揮発性メモリからなり,接続される前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なデータの形式(データの符号化方式や,画像データの表示部の解像度に対応したデータの解像度等)に関する情報(以下,再生データ形式情報という)や,前記無線通信手段11による前記基地局装置20(無線基地局)との送信条件や受信条件(通信条件)に関する情報(以下,通信条件情報という),例えば,無線LAN通信を確立するために必要な通信プロトコルの種類情報(TCP/IP,UDP,PPP,HTTP,SMTP,POP3,IMAP等),ネットワーク設定情報(IPアドレス,デフォルトゲートウェイ,各種サーバのIPアドレス等),ユーザ情報(ユーザID,パスワード等),データ送信先の情報(例えば,電子メールアドレス)等の通信条件情報が格納される。
この設定情報記憶手段15は,それに記憶される情報量が比較的少なくそのアクセス及び更新の頻度も低いので,高速性は要求されない一方,消失すると再設定が手間であるため,比較的低速ではあるが,電力供給が途絶えても記憶が維持されるよう,不揮発性メモリを用いている。
【0015】
前記データ記憶手段16は,前記無線通信手段11(基地局側データ通信手段の一例)を通じて得られる受信データや,デジタルカメラやIC音声レコーダ等のコンテンツデータ(画像データや音声データ)の入力機能を備えた前記コンテンツデータ処理機器30から,前記有線通信手段12(機器側データ伝送手段の一例)を通じて入力されるコンテンツデータを一時記憶するものである(受信データ記憶手段及びコンテンツデータ記憶手段の一例)。
このデータ記憶手段16は,比較的大容量のSRAM,DRAM或いはSDRAM等の高速な揮発性メモリからなり,前記電力供給手段17から常時,間欠的に給電されることによって数日間から数週間程度の間,データの記憶が保持されるものである。これにより,アクセス及び更新の頻度が高く,データ容量も大きくなりがちなコンテンツデータ等を高速に読み書きすることが可能である。
また,前記データ記憶手段16は,前記コンテンツデータ処理機器30からは,前記有線通信手段12を通じて,拡張メモリとして認識されるよう構成されている。一般に,デジタルカメラやIC音声レコーダ等のデジタルデータ処理機器は,USB等のインターフェースを通じて接続された外部メモリを拡張メモリとして認識し,これにアクセスしてコンテンツデータの書き込みや読み出しを行うメモリ拡張機能を有しているものが多い。
これに対し,前記有線通信手段12及び前記データ記憶手段16は,そのようなメモリ拡張機能に準拠し,前記データ記憶手段16が前記デジタルデータ処理機器30から拡張メモリとして認識されるよう構成されている。これにより,一般的な前記デジタルデータ処理機器30から,前記データ記憶手段16にアクセスし,コンテンツデータの書き込みや読み出しが可能である。
【0016】
前記制御手段14は,マイコン及びその周辺装置(ROM,RAM等)からなり当該携帯通信装置X全体の各種制御を行う。
例えば,所定のプログラムを実行することにより,前記有線通信手段12を通じて,前記コンテンツデータ処理機器30と前記データ記憶手段16との間でデータ伝送を行う処理や,コンテンツデータの前記無線通信手段11を通じて,前記データ記憶手段16と前記基地局装置20側との間でデータ通信を行う処理等を制御する。
前記基地局装置20側とのデータ通信では,前記無線通信手段11を介して,前記基地局装置20のさらに上位側(基幹側)に接続されているインターネット上のサーバ(ウェブサーバや電子メールサーバ等)に対し,HTTPやFTP,POP3,SMTP等のプロトコルを用いてアクセスし,ホームページや音楽データ,電子メール(受信メール)等のデータを送受信する処理を実行する。
前記電力供給手段17(電源)は,当該携帯通信装置Xを構成する各手段(各機器)に電力を供給するバッテリー(内蔵電池)である。
前記ユーザインターフェース13は,ユーザにより操作される操作部及びユーザに情報を提示する表示部を構成するものである。このユーザインターフェース13は,例えば,前記基地局装置20や前記コンテンツデータ処理機器30との通信結果に関する情報を表示するLED或いはLCD,及び当該携帯通信装置Xに対する各種操作入力(電源入り/切り,手動による通信開始操作等)を行うためのスライドスイッチやジョグキー或いはプッシュボタン等を具備する。
【0017】
本携帯通信装置Xは,前記データ認識手段1により,前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なコンテンツデータの形式を設定し(コンテンツデータ形式設定手段の一例),その設定情報(設定結果)を前記設定情報記憶手段15に記憶させ,その設定情報に基づいて,前記データ記憶手段16(受信データ記憶手段の一例)に記憶された前記基地局装置20側からの受信データを,前記受信データ変換手段3(前記再生用データ変換手段の一例)により,前記有線通信手段12(機器側データ伝送手段の一例)を通じて前記コンテンツデータ処理機器30へ伝送される再生用コンテンツデータに変換するものである。
ここで,前記データ認識手段1は,前記データ記憶手段16(コンテンツデータ記憶手段の一例)に記憶された特定のコンテンツデータから,前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なコンテンツデータの形式に関する情報を検出することにより,前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なコンテンツデータの形式を設定する。
さらに,本携帯通信装置Xは,前記送信データ変換手段2(送信用データ変換手段の一例)により,前記データ記憶手段16(コンテンツデータ記憶手段の一例)に記憶されたコンテンツデータ(前記コンテンツデータ処理機器30から入力されたデータ)を,前記無線通信手段11(基地局側データ通信手段の一例)を通じて前記基地局装置20側へ送信される送信用データに変換するものである。
また,前記無線通信手段11による前記送信用データの送信タイミングは,前記制御手段14により制御する。
【0018】
次に,図2のフローチャートを用いて,前記制御手段14,前記データ認識手段1,前記送信データ変換手段2及び前記受信データ変換手段3が行う処理について説明する。以下,S1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別記号を表す。なお,前記データ認識手段1,前記送信データ変換手段2及び前記受信データ変換手段3は,例えば,DSP(Digital Signal Processor)等で構成され,予めその記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより,特定のデータ処理を行うものである。
前記携帯通信装置Xの電源がONされると,前記制御手段14により,前記データ記憶手段16に前記コンテンツデータ処理機器30から伝送されてきたコンテンツデータが保存(記憶)されたか否かが監視される(S1)。
ここで,コンテンツデータの保存があったと判別されると,前記制御手段14により,その保存データが,前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なコンテンツデータの形式に関する前記再生データ形式情報の検出用データ(特定のコンテンツデータ)であるか否かが判別される(S2)。
【0019】
本実施形態では,利用者が,前記再生データ形式情報を前記携帯通信装置Xに設定させたい場合,前記再生データ形式情報を表す既定の画像や音声を含むコンテンツデータを前記コンテンツデータ処理機器30で入力(撮影,録音等)し,得られたコンテンツデータを前記有線通信手段12を通じて前記データ記憶手段16に記憶させる。
例えば,前記コンテンツデータ処理機器30がデジタルカメラ等の画像データ入力・再生機能を備えたものである場合,利用者は,前記再生データ形式情報を表す既定の記号(予め定められた縦線や横線の組合せ等)を紙等の媒体に記録(記載)してこれをデジタルカメラ等の前記コンテンツデータ処理機器30で撮影(入力)し,得られた画像データ(コンテンツデータ)を前記有線通信手段12を通じて前記データ記憶手段16に記憶させる。この場合,前記再生データ形式情報としては,前記コンテンツデータ処理機器30が備える表示部の解像度と画像データの符号化方式(JPG等)等が考えられ,これに対応する記号を記録した媒体を撮影する。その記号としては,手書きの縦線や横線の組合せの他,取扱説明書等に予め表示された前記再生データ形式情報を表すバーコードとすること等も考えら得る。
【0020】
また,前記コンテンツデータ処理機器30がIC音声レコーダ等の音声データ入力・再生機能を備えたものである場合,利用者は,前記再生データ形式情報を表す既定の音声(予め定められた発声音等)をIC音声レコーダ等の前記コンテンツデータ処理機器30で録音(入力)し,得られた音声データ(コンテンツデータ)を前記有線通信手段12を通じて前記データ記憶手段16に記憶させる。この場合,前記再生データ形式情報としては,前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能な音声データの符号化方式(MP3,PCM,AC−3等)等が考えられ,これに対応する音声を録音する。
このとき,当該画像データ又は音声データが,前記再生データ形式情報を含む特定の画像データ又は音声データである旨を前記制御手段14に認識させるため,前記ユーザインターフェース手段13により所定の操作を行う。或いは,前記コンテンツデータ処理機器30側で,入力したコンテンツデータのファイル名や日時情報を設定できる場合には,当該コンテンツデータについて,予め定められたファイル名や日時情報を設定し,これを前記制御手段14によって読み取ることにより,そのコンテンツデータが前記再生データ形式情報を含む特定のコンテンツデータであることを認識可能とするものであってもよい。
ステップS2では,前記制御手段14は,前記ユーザインターフェース手段13からの所定の操作の有無のチェック,或いは前記データ記憶手段16に保存されたコンテンツデータのファイル名や日時情報のチェック等により,保存されたコンテンツデータが,前記再生データ形式情報の検出用データであるか否かを判別する。
【0021】
ステップS2において,保存データが,前記再生データ形式情報の検出用データ(特定のコンテンツデータ)であると判別されると,前記データ認識手段1において,バーコード情報認識に用いる周知の画像処理等の所定の画像処理により,前記再生データ形式情報を認識し,その情報を前記制御手段14を通じて,前記設定情報記憶手段15に記憶させ(S3),その後,処理をステップS1へ戻す。
ここで,前記データ認識手段1が行うステップS3の処理は,前記データ記憶手段16(コンテンツデータ記憶手段の一例)に記憶された前記再生データ形式情報の検出用データ(特定のコンテンツデータの一例)から,前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なコンテンツデータの形式に関する前記再生データ検出情報を検出し,これによって前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なコンテンツデータの形式を設定する処理である(コンテンツデータ形式設定手段の一例)。
一方,ステップS2において,保存データが,前記再生データ形式情報の検出用データ(特定のコンテンツデータ)でないと判別されると,前記制御手段14により,その保存データが,前記無線通信手段11(基地局側データ通信手段の一例)による前記基地局装置20側との間のデータの送受信条件に関する前記通信条件情報(送信条件を表す情報の一例)の検出用データであるか否かが判別される(S4)。
【0022】
本実施形態では,利用者が,前記送信用データの宛先等の前記通信条件情報を前記携帯通信装置Xに設定させたい場合,前記再生データ形式情報の検出用データと同様に,前記通信条件情報(宛先情報(宛先メールアドレス)等)を表す画像や音声を含むコンテンツデータを前記コンテンツデータ処理機器30で入力(撮影,録音等)し,得られたコンテンツデータを前記有線通信手段12を通じて前記データ記憶手段16に記憶させる。
そして,ステップS4では,前述のステップS2と同様に,前記制御手段14により,前記ユーザインターフェース手段13からの所定の操作の有無のチェック,或いは前記データ記憶手段16に保存されたコンテンツデータのファイル名や日時情報のチェック等によって,保存されたコンテンツデータが,前記通信条件情報の検出用データであるか否かを判別する。
【0023】
ステップS4において,保存データが,前記通信条件情報の検出用データ(特定のコンテンツデータ)であると判別されると,前記データ認識手段1により,前記データ記憶手段16(コンテンツデータ記憶手段)に記憶された前記通信条件の検出用データ(特定のコンテンツデータの一例)に基づいて,前記無線通信手段11(基地局側データ通信手段の一例)による送信用データ(送信用の電子メールデータ)等の通信条件を検出し(送信条件検出手段の一例),その情報を前記制御手段14を通じて,前記設定情報記憶手段15に記憶させ(S5),その後,処理をステップS1へ戻す。
ステップS5における前記通信条件情報の検出は,後述する前記データ認識手段1のテキスト抽出機能により,前記通信条件情報を認識することにより行われる。
ここで,前記データ認識手段1は,前記データ記憶手段16に記憶されるコンテンツデータが画像データである場合,その画像データを構成する文字列画像データに基づいて周知の文字認識処理を行い,これによってテキストデータ(文字列情報)を抽出する画像データからのテキスト抽出機能を有する(テキストデータ抽出手段の一例)。
さらに,前記データ認識手段1は,前記データ記憶手段16に記憶されるコンテンツデータが音声データにより構成される場合,その音声データに基づく周知の音声認識処理を行い,これによってテキストデータを抽出する音声データからのテキスト抽出機能を有する(テキストデータ抽出手段の一例)。
そして,ステップS5では,前記データ認識手段1により,そのテキスト抽出処理機能(テキストデータ抽出手段の一例)によって前記データ記憶手段16(コンテンツデータ記憶手段の一例)内の前記通信条件情報の検出用データ(特定のコンテンツデータ)からテキストデータを抽出し,そのテキストデータに基づいて,前記通信条件(前記基地局装置20側へ送信する送信用データの送信条件を含む情報)を検出し,検出情報を前記制御手段14を通じて前記設定情報記憶手段15に記憶させ,その後,前記制御手段14によりステップS1へ処理を戻す。
【0024】
一方,ステップS4において,保存データが,前記通信条件情報の検出用データ(特定のコンテンツデータ)でない(即ち,前記再生データ形式情報の検出用データでもない)と判別されると,前記送信データ変換手段2により,その保存データ(前記データ記憶手段16に記憶されたコンテンツデータ)を,前記無線通信手段11(基地局側データ通信手段の一例)を通じて前記基地局装置20側へ送信される送信用データに変換して前記データ記憶手段16内の所定の送信フォルダ内に記憶させ(S6,送信用データ変換手段の一例),その後,前記制御手段14によりステップS1へ処理を戻す。
ここで,利用者は,前記コンテンツデータ処理機器30により入力されたコンテンツデータを,そのまま電子メールの添付ファイルとして送信したい場合は,前記携帯通信装置Xの前記ユーザインターフェース手段13から何ら操作をすることなくコンテンツデータを前記データ記憶手段16に保存する。
一方,利用者は,前記コンテンツデータ処理機器30により入力されたコンテンツデータが,新聞や雑誌等の書類等を撮影して得られた画像データ等の文字列画像を含む画像データである場合や,インタービューへの応答等の人の音声を含む音声データである場合に,その文字列画像や音声をテキストデータに変換した電子メールデータとして送信したい場合は,前記ユーザインターフェース手段13から所定のテキスト変換操作を行いながらコンテンツデータを保存する。
そして,ステップS6において,前記送信データ変換手段2は,通常は(前記ユーザインターフェス手段13への操作がない場合),前記データ記憶手段16に保存されたコンテンツデータを,これを添付ファイルデータとする電子メールデータに変換する(ファイル添付メール変換手段の一例)。
一方,前記送信データ変換手段2は,前記ユーザインターフェース手段13から,所定のテキスト変換操作がなされていることが検知された場合は,前記データ記憶手段16に保存されたコンテンツデータを,そこから前記データ認識手段1の前記テキスト抽出機能(テキストデータ抽出手段の一例)により抽出されたテキストデータを本文テキストデータとする電子メールデータに変換する(テキストメール変換手段の一例)。
【0025】
一方,前記携帯通信装置Xの電源ON後,前述のステップS1〜S6の処理と並行して(マルチタスクで),前記制御手段14により,前記データ記憶手段16の所定の受信フォルダ内に前記基地局装置20側から前記無線通信手段11を通じて受信された電子メールデータ(受信データの一例,以下,受信メールデータという)が保存(記憶)されたか否かが監視される(S7)。
ここで,受信電子メールデータの保存があったと判別されると,前記受信データ変換手段3により,前記設定情報記憶手段15に記憶された前記再生データ形式情報に基づいて(即ち,前記データ認識手段1(コンテンツデータ形式設定手段の一例)の設定結果に基づいて),前記データ記憶手段16(受信データ記憶手段の一例)に記憶された前記受信メールデータ(受信データ)を,前記有線通信手段12(機器側データ伝送手段の一例)を通じて前記コンテンツデータ処理機器30へ伝送される再生用コンテンツデータに変換し(S8,再生用データ変換手段の一例),その後,前記制御手段14により処理をステップS7へ戻す。
ここで,前記受信データ変換手段3(再生用データ変換手段の一例)は,前記受信メールデータ(受信データを構成する電子メールデータ)に含まれるタイトルや本文等のテキストデータを,音声のコンテンツデータ又は文字列画像のコンテンツデータのいずれかに変換する(音声コンテンツ化手段,画像コンテンツ化手段の一例)。いずれのコンテンツデータに変換するか,及び,どのようなデータ形式(符号化方式,解像度等)に変換するかは,前記設定情報記憶手段15に記憶された前記再生データ形式情報に従う。
ここで,テキストデータを文字列画像の画像データに変換する場合は,予めROM等に,文字コード各々に対応した文字画像データを記憶しておき,その文字画像データを組み合わせることによって文字列の画像データとする。
また,テキストデータを音声データに変換する場合は,周知の音声合成技術を用いることにより,テキストデータを,それを読み上げる音声データに変換する。或いは,前記文字画像データと同様に,文字コード各々に対応した文字読み上げ音声データを記憶しておき,その読み上げ音声データを組み合わせることによって音声データとすることも考えられる。
これにより,前記受信メールデータのテキスト情報を,前記コンテンツデータ処理機器30により再生することが可能となる。
即ち,前記コンテンツデータ処理機器30が,デジタルカメラ等の画像データの再生機能を有する機器である場合,受信電子メールデータのテキスト情報が画像データに変換され,文字列画像としてデジタルカメラ等の表示部に再生させることが可能となる。
また,前記コンテンツデータ処理機器30が,IC音声レコーダ等の音声データの再生機能を有する機器である場合,受信電子メールデータのテキスト情報が音声データに変換され,音声で読み上げられるデジタルカメラ等の表示部に再生させることが可能となる。
さらに,ステップS8では,前記受信データ変換手段3(再生用データ変換手段の一例)は,前記受信メールデータ(受信データを構成する電子メールデータ)に,音声データや画像データのコンテンツデータである添付ファイルデータが存在する場合は,その添付ファイルデータを分離してコンテンツデータとして前記データ記憶手段16に記憶させる(添付ファイル分離手段の一例)。この分離したデータ(コンテンツデータ)も,前記再生データ形式情報に従って,その符号化方式や解像度等が変換される。
これにより,添付ファイルデータについても,前記コンテンツデータ処理機器30によって再生できる。
【0026】
当該携帯通信装置Xは,通常は,利用者によって当該装置Xが単独で(前記コンテンツデータ処理機器30と接続せずに)携帯され,その間に通信可能な前記基地局装置20に対して自動的に通信接続を確立し,電子メールデータの受信及び前記データ記憶手段16への格納と,前記データ記憶手段16に格納されている電子メールデータ(コンテンツデータから変換されたもの)の送信を行う。
次に,図3のフローチャートを用いて,前記制御手段14による,前記基地局装置20側との通信タイミングの制御について説明する。
当該携帯通信装置Xの電源がONされると,前記無線通信手段11により前記受信電界強度が検出(測定)され(S11),前記制御手段14によって前記受信電界強度が所定の設定強度(しきい値)以上であるか否かが判別(しきい値判定)される(S12)。
ここで,前記受信電界強度が前記設定強度未満である場合には,前記基地局装置20との通信が不可能であるとしてS11へ戻って処理が繰り返される。
一方,前記受信電界強度が前記設定強度以上であると判別された場合,前記基地局装置20との通信が可能であるため,前記無線通信手段11を制御することにより,前記通信条件情報に基づく前記基地局装置20との通信を確立するための処理(通信確立処理)が自動的に実行される(S13)。
次に,前記データ記憶手段16の前記送信フォルダ内に前記送信データ変換手段2によって変換された電子メールデータ(送信用データの一例)が格納されている場合には,前記無線通信手段11を制御してSMTPを用いることにより,その電子メールデータ(コンテンツ)を,前記基地局装置20の上位側のインターネット上の所定の送信メールサーバ(前記通信条件情報で指定されたサーバ)に対して送信する(S14)。このとき,前記基地局装置20への送信が完了した(送信済みの)コンテンツデータは,前記データ記憶手段16の前記送信フォルダから消去される。
次に,前記無線通信手段11を制御してPOP3或いはIMAPを用いることにより,インターネット上の所定の受信メールサーバ(前記通信条件情報で指定されたサーバ)にアクセスし,受信メールが到着している場合には,その電子メールデータ(受信データ)を受信して前記データ記憶手段16の受信フォルダに格納する(S15)。
最後に,前記制御手段14により,S14〜S15での通信結果の情報を前記ユーザインターフェース手段13に表示(S16)させた後,S11へ戻って前述した処理が所定の周期で繰り返される。
ここで,前記ユーザインターフェース手段13への表示は,例えば,受信メールの取得及び前記データ記憶手段16への格納があった場合に,所定のLEDを点滅させる,或いは送信メール等のコンテンツデータの送信が正常に行われた場合に,点灯(送信メールありを表す)していたLEDを消灯させる等である。
また,前記制御手段14は,前記ユーザインターフェース手段13から所定の手動実行の操作入力があった場合には,これに応じてS13〜S16の処理を実行する。
【0027】
ここで,前記無線通信手段11により行われるステップS11の処理は,前記無線通信手段11における受信電界強度を監視する処理であり,前記制御手段14により行われるステップS12の処理は,前記受信電界強度の監視結果により,前記無線通信手段11(基地局側データ通信手段の一例)により通信可能か否かを判別する処理である(基地局側通信可否判別手段の一例)。
また,前記制御手段14により制御されるステップS11〜S15の処理は,ステップS12(基地局側通信可否判別手段の処理の一例)の判別結果に基づいて,前記無線通信手段11(基地局側データ通信手段の一例)により受信データの受信と,送信用データ(データ変換後の送信メールデータ)の送信とを行うタイミングを制御する処理である(通信タイミング制御手段の一例)。
以上のような通信タイミング制御により,前記無線通信手段11による通信が可能なときに該無線通信手段11を介して前記基地局装置20と前記データ記憶手段16との間でデータの送受信が行われることになる。
その結果,前記コンテンツデータ処理機器30の利用者は,任意の場所で前記コンテンツデータ処理機器30と前記携帯通信装置Xとを接続し,送信したいコンテンツデータの保存と,前記送信条件情報の検出用のコンテンツデータの保存とを行っておけば,前記携帯通信装置Xを携帯して移動している間に,前記基地局装置20との通信可能な場所を通過した際に,保存したコンテンツデータの電子メール送信が自動的になされる。
また,前記携帯通信装置Xを携帯して移動している間に,前記基地局装置20との通信可能な場所を通過した際に,前記基地局装置20側から電子メールが自動的に受信され,任意の場所で前記コンテンツデータ処理機器30と前記携帯通信装置Xとを接続することにより,その受信データから変換されたコンテンツデータを,前記コンテンツデータ処理機器30により再生して見聞きすることができる。
従って,利用者が前記コンテンツデータ処理機器30を使用したい(使用できる)ときに前記基地局装置20が最寄りに存在しない場合や,出先で前記コンテンツデータ処理機器30を使用できる建物の中等で無線電波が届かない場合等であっても,当該携帯通信装置Xを携帯しての移動経路の近くに前記基地局装置20が存在すれば,データの送受信が自動的になされる。このため,利用者が前記コンテンツデータ処理機器30を使用したい(できる)場所で前記基地局装置20にアクセスできないという従来のミスマッチの問題が解消される。
さらに,前記コンテンツデータ処理機器30を当該携帯無線装置Xと接続した時点では,既に前記基地局装置20との間でのデータの送受信は終了しているので,利用者にとって,データ送受信のための無駄な待ち時間が生じないというメリットもある。
【0028】
以上示した前記携帯通信装置Xでは,前記基地局装置20との通信手段が無線通信手段であるが,これに限るものでなく,例えば,前記基地局装置20が,USBインターフェースを備える情報キオスク等であれば,これに対応する有線通信手段(USBインターフェース)とすることも考えられる。この場合,例えば,前記有線通信手段12を前記基地局装置20との通信手段としても兼用し,前記ユーザI/F手段13により,いずれを通信相手とするかを切り替え可能に構成することも考えられる。
同様に,前記携帯通信装置Xでは,前記コンテンツデータ処理機器30との通信手段が有線通信手段であるが,例えば,前記コンテンツデータ処理機器30がIEEE802.11b規格に準拠した無線LANやBluetooth等の無線通信インターフェースや,着脱可能なフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(記録媒体)を装着するインターフェースを備えるものであれば,これに対応する無線通信手段や不揮発性メモリ(記録媒体)を装着するインターフェースとすることも考えられる。この場合も,例えば,前記無線通信手段12を前記コンテンツデータ処理機器30との通信手段としても兼用し,前記ユーザインターフェース手段13により,いずれを通信相手とするかを切り替え可能に構成することが考えられる。
また,前記携帯通信装置(X,X1)では,前記無線通信手段12がISM帯での無線通信手段であったが,これに限るものでなく,例えば5GHz帯等の他の周波数帯域の電波通信を行うものや,光通信を行うもの等も考えられる。
さらに,前記設定情報記憶手段15及び前記データ記憶手段16は,フラッシュメモリ等の1つの記憶手段で構成してもよい。
また,前記携帯通信装置Xでは,前記データ認識手段1により,保存されたコンテンツデータに基づいて前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なコンテンツデータの形式(前記再生データ形式情報)を設定するものであったが,例えば,前記ユーザインターフェース手段13から,前記再生データ形式情報を入力することにより,前記コンテンツデータ処理機器30が再生可能なコンテンツデータの形式を設定するものも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は,モバイル通信における基地局装置とコンテンツデータ処理機器との間でのデータの送受信を行うシステム等への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯通信装置Xの概略構成を表すブロック図。
【図2】携帯通信装置Xにおけるデータ変換処理の手順を表すフローチャート。
【図3】携帯通信装置Xにおけるデータ通信タイミング制御処理の手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
【0031】
1…データ認識手段
2…送信データ変換手段
3…受信データ変換手段
11…無線通信手段(基地局側データ通信手段)
12…有線通信手段(機器側データ伝送手段)
13…ユーザインターフェイス手段
14…制御手段
15…設定情報記憶手段
16…データ記憶手段(コンテンツデータ記憶手段,受信データ記憶手段)
17…電力供給手段
20…基地局装置
30…コンテンツデータ処理機器
S1,S2,,,…処理手順(ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータの再生機能を備えたコンテンツデータ処理機器と基地局装置との間でデータ伝送を中継する携帯通信装置であって,
前記基地局装置との間で無線又は有線によりデータ通信を行う基地局側データ通信手段と,
前記基地局側データ通信手段を通じて得られる受信データを記憶する受信データ記憶手段と,
前記コンテンツデータ処理機器との間で無線若しくは有線により又は着脱可能な記憶媒体を介してコンテンツデータの伝送を行う機器側データ伝送手段と,
前記コンテンツデータ処理機器が再生可能な前記コンテンツデータの形式を設定するコンテンツデータ形式設定手段と,
前記コンテンツデータ形式設定手段の設定結果に基づいて前記受信データ記憶手段に記憶された前記受信データを,前記機器側データ伝送手段を通じて前記コンテンツデータ処理機器へ伝送される再生用コンテンツデータに変換する再生用データ変換手段と,
を具備してなることを特徴とする携帯通信装置。
【請求項2】
コンテンツデータの入力機能を備えた前記コンテンツデータ処理機器から前記機器側データ伝送手段を通じて入力される前記コンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶手段を具備してなる請求項1に記載の携帯通信装置。
【請求項3】
前記コンテンツデータ形式設定手段が,前記コンテンツデータ記憶手段に記憶された特定の前記コンテンツデータから前記コンテンツデータ処理機器が再生可能な前記コンテンツデータの形式に関する情報を検出することにより,前記コンテンツデータ処理機器が再生可能な前記コンテンツデータの形式を設定してなる請求項2に記載の携帯通信装置。
【請求項4】
前記コンテンツデータ記憶手段に記憶された前記コンテンツデータを,前記基地局側データ通信手段を通じて前記基地局装置側へ送信される送信用データに変換する送信用データ変換手段を具備してなる請求項2又は3のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項5】
前記コンテンツデータ記憶手段に記憶された特定の前記コンテンツデータに基づいて前記基地局側データ通信手段による前記送信用データの送信条件を検出する送信条件検出手段を具備してなる請求項4に記載の携帯通信装置。
【請求項6】
前記再生用データ変換手段が,前記受信データを構成する電子メールデータの添付ファイルデータを分離して前記コンテンツデータとする添付ファイル分離手段を具備してなる請求項1〜5のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項7】
前記再生用データ変換手段が,前記受信データを構成する電子メールデータに含まれるテキストデータを,音声のコンテンツデータに変換する音声コンテンツ化手段及び/又は文字列画像のコンテンツデータに変換する画像コンテンツ化手段を具備してなる請求項1〜6のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項8】
前記コンテンツデータを構成する音声データに基づく音声認識を行うことによるテキストデータの抽出及び/又は前記コンテンツデータを構成する文字列画像データに基づく文字認識を行うことによるテキストデータの抽出を行うテキストデータ抽出手段を具備してなる請求項1〜7のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項9】
前記送信条件検出手段が,前記テキストデータ抽出手段により前記コンテンツデータ記憶手段内の特定の前記コンテンツデータから抽出されたテキストデータに基づいて前記送信用データの送信条件を検出してなる請求項8に記載の携帯通信装置。
【請求項10】
前記送信用データ変換手段が,前記コンテンツデータを,そこから前記テキストデータ抽出手段により抽出されたテキストデータを本文テキストデータとする電子メールデータに変換するテキストメール変換手段を具備してなる請求項8又は9のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項11】
前記送信用データ変換手段が,前記コンテンツデータを,これを添付ファイルデータとする電子メールデータに変換するファイル添付メール変換手段を具備してなる請求項4〜10のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項12】
コンテンツデータの入力機能を備えたコンテンツデータ処理機器と基地局装置との間でデータ伝送を中継する携帯通信装置であって,
前記コンテンツデータ処理機器との間で無線若しくは有線により又は着脱可能な記憶媒体を介してコンテンツデータの伝送を行う機器側データ伝送手段と,
前記コンテンツデータ処理機器から前記機器側データ伝送手段を通じて入力される前記コンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶手段と,
前記基地局装置との間で無線又は有線によりデータ通信を行う基地局側データ通信手段と,
前記コンテンツデータ記憶手段に記憶された前記コンテンツデータを,前記基地局側データ通信手段を通じて前記基地局装置側へ送信される送信用データに変換する送信用データ変換手段と,
前記コンテンツデータ記憶手段に記憶された特定の前記コンテンツデータに基づいて前記基地局側データ通信手段による前記送信用データの送信条件を検出する送信条件検出手段と,
を具備してなることを特徴とする携帯通信装置。
【請求項13】
前記基地局側データ通信手段による通信が可能か否かを判別する基地局側通信可否判別手段と,
前記基地局側通信可否判別手段の判別結果に基づいて前記基地局側データ通信手段により前記受信データの受信及び/又は前記送信用データの送信を行うタイミングを制御する通信タイミング制御手段と,
を具備してなる請求項1〜12のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項14】
前記基地局側データ通信手段が無線通信手段であり,
前記基地局側通信可否判別手段が,前記無線通信手段における受信電界強度を監視することにより通信可能か否かを判別してなる請求項13に記載の携帯通信装置。
【請求項15】
コンテンツデータの再生機能を備えたコンテンツデータ処理機器と基地局装置との間におけるデータ伝送を制御するデータ伝送方法であって,
前記基地局装置との間で無線又は有線によりデータ通信を行う基地局側データ通信工程と,
前記基地局側データ通信工程を通じて得られる受信データを記憶手段に記録する受信データ記録工程と,
前記コンテンツデータ処理機器との間で無線若しくは有線により又は着脱可能な記憶媒体を介してコンテンツデータの伝送を行う機器側データ伝送工程と,
前記コンテンツデータ処理機器が再生可能な前記コンテンツデータの形式を設定するコンテンツデータ形式設定工程と,
前記コンテンツデータ形式設定工程の設定結果に基づいて前記受信データ記録工程により記録された前記受信データを,前記機器側データ伝送工程を通じて前記コンテンツデータ処理機器へ伝送される再生用コンテンツデータに変換する再生用データ変換工程と,
を有してなることを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項16】
コンテンツデータの入力機能を備えたコンテンツデータ処理機器と基地局装置との間におけるデータ伝送を制御するデータ伝送方法であって,
前記コンテンツデータ処理機器との間で無線若しくは有線により又は着脱可能な記憶媒体を介してコンテンツデータの伝送を行う機器側データ伝送工程と,
前記コンテンツデータ処理機器から前記機器側データ伝送工程を通じて入力される前記コンテンツデータを記憶手段に記録するコンテンツデータ記録工程と,
前記基地局装置との間で無線又は有線によりデータ通信を行う基地局側データ通信工程と,
前記コンテンツデータ記録工程により記録された前記コンテンツデータを,前記基地局側データ通信工程を通じて前記基地局装置側へ送信される送信用データに変換する送信用データ変換工程と,
前記コンテンツデータ記録工程により記録された特定の前記コンテンツデータに基づいて前記基地局側データ通信工程による前記送信用データの送信条件を検出する送信条件検出工程と,
を有してなることを特徴とするデータ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−115235(P2006−115235A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300705(P2004−300705)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】