説明

携帯通信装置

【課題】ユーザの属性の変化を検出して車両や施設に自動的に通知することができるような技術を提供する。
【解決手段】携帯電話機は、携帯電話機に対する操作内容がテレビ選局操作であるとき(310)、当該操作内容がシリーズ番組の選択操作であり(330)かつそのシリーズ選択回数が基準回数を超えて行われていれば(370)、ユーザは当該シリーズ番組に新たに興味を有するようになったと判定し(375)、その判定結果を、受信した情報を店員に表示する施設側通信装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転環境を、ユーザに関連する情報として、ユーザ側装置(ICカード)に記憶させておき、これを車両に備えられた車両側装置(車載機器)を介して読み取らせることで、そのユーザの運転環境(ユーザの属性を示す個人情報の一例である)を車両側に提供する、といったシステムが提案されている(特許文献1参照)。このシステムであれば、車両において、そのように提供を受けた運転環境への設定を行うことにより、ユーザそれぞれに適した運転環境を容易に再現することができる。
【0003】
一方、特定の店舗(ディーラ)から個々のユーザに応じたサービスの提供を可能とする情報通信システムが提案されている(特許文献2参照)。この情報通信システムでは、車両と、ユーザの携帯するユーザ端末と、ディーラに設置される顧客情報用コンピュータとが、近距離無線通信可能に構成されている。このような構成により、ディーラでは、ユーザが来店した際に、ユーザの車両に蓄積されたユーザの個人情報を無線通信により取得してその情報に応じたサービスを提供し、あるいは、車両やユーザ端末に各種情報を送信することが可能となる。
【特許文献1】特開2002−120670号公報
【特許文献2】特開2006−4180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように送信される個人情報は、一生不変のものもあれば、動的に変化するものもある。例えば、転居、入学、就職(転職)、結婚、出産等によって、個人の属性は変化する。この場合、個人の属性の変化が施設(施設の店員)や車両に適切に伝わらないと、ユーザ(施設の店員から見ればお客様)にふさわしいサービスを提供できない。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、ユーザの属性の変化を検出して車両や施設に自動的に通知することができるような技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の第1の特徴は、ユーザの属性を示す個人情報を記憶媒体(24)に記憶し、記憶した個人情報を、施設に設置され、受信した個人情報を表示する施設側通信装置(5)に通知する携帯通信装置についてのものである。この第1の特徴によれば、この携帯通信装置は、ユーザの行動内容を検出し、検出した行動内容の履歴を記憶媒体に記録する行動検出・記録手段(110、120)と、当該行動内容の履歴中に記録されている同一種類または全く同一の行動内容の実行回数が2以上の基準回数を超えたことに基づいて、ユーザの属性が変化したことを検出し、検出した属性の変化の内容を記憶媒体に記録する変化検出・記録手段(130、140、150)と、変化検出・記録手段が記録した個人情報の変化の内容を、施設側通信装置に送信するための通信手段(22)と、を備えている。なお、「2以上の基準回数」とは、基準回数の値が1ではなく2以上である旨を示している。
【0007】
これによって、変化検出・記録手段が、ユーザの行動内容の履歴中に記録されている同一種類または全く同一の行動内容の実行回数が2以上の基準回数を超えたことに基づいて、ユーザの属性の変化を検出し、それを通信手段が施設側通信装置に自動的に通知することできる。したがって、施設側において、変化した個人情報に基づいてカスタマイズされたサービスをユーザに提供することができる。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明の第2の特徴は、ユーザの属性を示す個人情報を記憶媒体(24)に記憶し、記憶した個人情報を、車両(3)に搭載され、受信した個人情報に基づいて前記車両内の装置(8)を制御する車載通信装置(4)に通知する携帯通信装置についてのものである。この第2の特徴によれば、この携帯通信装置は、ユーザの行動内容を検出し、検出した行動内容の履歴を記憶媒体に記録する行動検出・記録手段(110、120)と、当該行動内容の履歴中に記録されている同一種類または全く同一の行動内容の実行回数が2以上の基準回数を超えたことに基づいて、ユーザの属性が変化したことを検出し、検出した属性の変化の内容を記憶媒体に記録する変化検出・記録手段(130、140、150)と、変化検出・記録手段が記録した個人情報の変化の内容を、車載通信装置に送信するための通信手段(22)と、を備えている。
【0009】
これによって、変化検出・記録手段が、ユーザの行動内容の履歴中に記録されている同一種類または全く同一の行動内容の実行回数が2以上の基準回数を超えたことに基づいて、ユーザの属性の変化を検出し、それを通信手段が車載通信装置に自動的に通知することできる。したがって、当該車両において、変化した個人情報に基づいてカスタマイズされた制御を行うことができる。
【0010】
また、携帯通信装置において、行動検出・記録手段が検出するユーザの行動内容は、操作部に対するユーザの操作内容に応じた当該携帯通信装置の作動内容であってもよい。これによって、携帯通信装置は、ユーザの操作部への操作内容の履歴に基づいて、ユーザの属性の変化を検出するようになる。
【0011】
また、通信手段は、車両に搭載されたナビゲーション装置から目的地の情報を受信するようになっていてもよい。この場合、変化検出・記録手段による属性が変化したことの検出は、通信手段が受信した目的地の情報の履歴に基づいて行われるようになっていてもよい。
【0012】
ユーザの属性が変化すれば、目的地の履歴がそれに応じて変化することが多い。例えば、ある会社に就職すれば、その会社の所在地が目的地となる頻度が高くなる。したがって、ユーザの属性の変化を、目的地の履歴を通して検出することで、目的地に影響を与えるタイプの属性の変化をより確実に検出することができる。
【0013】
なお、上記特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システムの構成を概略的に示す。この通信システムはユーザ1が携帯する携帯電話機(携帯通信装置の一例に相当する)2、車両3に搭載される車載通信装置4、施設に設置される施設側通信装置5、および施設側通信装置5と(例えばインターネット等の広域通信網を介して)通信可能な情報センタ6を有している。携帯電話機2と車載通信装置4の間、および携帯電話機2と施設側通信装置5の間では、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格に則った通信を行うことができる。また、施設側通信装置5は、複数の施設のそれぞれに1台づつ設置されており、それぞれが同じ情報センタ6と通信するようになっている。
【0015】
図2に、携帯電話機2の構成を示す。携帯電話機2は、操作部21、近距離通信部22、電話通信部23、メモリ24、および制御部25を有している。操作部21は、ユーザの操作を受け付けるボタン等の部材であり、受けた操作に応じた信号を制御部25に出力する。近距離通信部22は、車載通信装置4および施設側通信装置5との通信を実現するための周知の通信機である。電話通信部23は、通常の電話通信を行うための無線機である。メモリ24は、ユーザ1の属性を示す個人情報等を記憶する記憶媒体である。制御部25は、CPU、RAM、ROM等を備えた周知のマイコンであり、CPUがROMに記録されたプログラムをRAMを作業領域として実行することで、種々の処理を実現する。そして制御部25は、その処理の際に、必要に応じて操作部21から信号を取得し、近距離通信部22、電話通信部23を制御し、メモリ24に対して情報の書き込みおよび読み出しを行う。なお、携帯電話機2は、周知のテレビ番組表示、メール送受信機能、インターネット接続機能を有するものとする。また、携帯電話機2は、図示しないGPS受信機を有しており、GPS受信機からの信号に基づいて、自機の現在位置(緯度、経度)を特定することができるようになっている。
【0016】
本実施形態の通信システムの機能は、ユーザ1の属性(ユーザ1の住所、職業、家族構成等のユーザ1を取り巻く環境、および、ユーザ1の嗜好等)を示す個人情報が蓄積される機能、および、その個人情報に基づいてカスタマイズされたサービスまたは車両制御が実行される機能に区別することができる。
【0017】
(1)個人情報を蓄積する機能:
携帯電話機2には、ユーザ1を識別する情報等の、ユーザ1の個人情報が、メモリ24に記録されている。ユーザ1が携帯電話機2を携帯して車両3を運転する際、携帯電話機2と車載通信装置4とが通信可能な距離内に入る。そして、車載通信装置4は、車内の車載制御装置(例えば、ナビゲーション装置、エアコン等)8からの信号に基づいて、車両の走行状況の情報(例えば、目的地、車速等)の情報を取得し、取得した走行状況の情報を、例えば車両のエンジンオフ時、ユーザ1の降車時等に、携帯電話機2に送信する。携帯電話機2の制御部25は、近距離通信部22を介して受信した走行状況の情報を、ユーザ1の個人情報の一部としてメモリ24に記録する。
【0018】
ユーザ1が携帯電話機2を携帯して施設側通信装置5が設けられた施設でサービスの提供(例えば物品の販売、食事の提供)を受ける際、携帯電話機2と施設側通信装置5とが通信可能な距離内に入ることで、制御部25は、近距離通信部22を介して施設側通信装置5に、メモリ24中の個人情報を送信する。施設側通信装置5は、この受信した個人情報と、ユーザ1に提供したサービスの内容(飲食、書籍販売、衣類販売等の提供済みサービス種別、および、肉料理、水色の服等の実際に提供した具体物を含む)とを関連づけて自らの記憶媒体に記録し、さらに、情報センタ6に送信する。なお、ユーザ1に提供したサービスの内容は、施設従業者7等の人が施設側通信装置5を操作して入力するようになっていてもよいし、自動的に施設側通信装置5が検出するようになっていてもよい。
【0019】
情報センタ6では、施設側通信装置5から受信したユーザ1の個人情報を、自らの記憶媒体に蓄積する。ユーザ1が携帯電話機2を携帯して施設側通信装置5を有する施設のいずれかでサービスを受ける度に、個人情報が、携帯電話機2、施設側通信装置5のうちサービスを提供した施設の装置、および情報センタ6で蓄積されていく。
【0020】
(2)サービスまたは車両制御を行う機能:
ユーザ1が携帯電話機2を携帯して車両3に入る際、携帯電話機2と車載通信装置4とが通信可能な距離内に入る。そして、携帯電話機2の制御部25は、メモリ24中の個人情報を、近距離通信部22を介して車載通信装置4に送信する。車載通信装置4は、受信した個人情報に基づいて、車載制御装置8を制御する。例えば、車両3の運転席のシートポジション、エアコンの設定温度、ナビゲーション装置の設定等を制御する。
【0021】
また、図3に示すように、ユーザ1の一例であるユーザ1aが、携帯電話機2の一例である携帯電話機2aを携帯してレストランに入ると、当該レストランに設けられた施設側通信装置5a(施設側通信装置5の一例に相当する)と携帯電話機2aとが通信可能な距離内に入る。
【0022】
このとき、携帯電話機2aの制御部25は、メモリ24中の個人情報のうち、自己の識別情報を施設側通信装置5aに、近距離通信部22を介して送信し(図中の手順(1)参照)、施設側通信装置5aは、受信した識別情報および自らの施設が提供するサービス種別の情報を情報センタ6に送信する(図中の手順(2)参照)。そして、情報センタ6は、自らが蓄積している個人情報から、当該識別情報に対応するユーザの、当該サービス種別に関する情報を抽出し、抽出した情報を施設側通信装置5aに返送する(図中の手順(3)参照)。
【0023】
そして、施設側通信装置5aは、この返送された抽出情報を受信し、さらに、画像表示装置にこの受信情報を表示する(図中の手順(4)参照)。施設従業者7aは、この表示を見ることで、サービスを提供する対象のユーザの、当該施設に適した情報(例えば、当該施設が料理店の場合、当該ユーザが肉料理を注文したことがある旨の情報)に基づいて、当該ユーザに対応したサービスの提供を行う(例えば、提供可能な肉料理を他の料理よりも詳しく紹介する)。
【0024】
また、ユーザ1の一例であるユーザ1bが、携帯電話機2の一例である携帯電話機2bを携帯して衣服店に入ると、当該衣服店に設けられた施設側通信装置5b(施設側通信装置5の一例に相当する)と携帯電話機2bとが通信可能な距離内に入る。
【0025】
このとき、携帯電話機2bの制御部25は、メモリ24中の個人情報のうち、自己の識別情報を施設側通信装置5bに、近距離通信部22を介して送信し(図中の手順(11)参照)、施設側通信装置5bは、受信した識別情報および自らの施設が提供するサービス種別の情報を情報センタ6に送信する(図中の手順(12)参照)。そして、情報センタ6は、自らが蓄積している個人情報から、当該識別情報に対応するユーザの、当該サービス種別に関する情報を抽出し、抽出した情報を施設側通信装置5bに返送する(図中の手順(13)参照)。
【0026】
そして、施設側通信装置5bは、この返送された抽出情報を受信し、さらに、画像表示装置にこの受信情報を表示する(図中の手順(14)参照)。施設従業者7bは、この表示を見ることで、サービスを提供する対象のユーザの、当該施設に適した情報(例えば、当該ユーザが水色の服を注文したことがある旨の情報)に基づいて、当該ユーザに対応したサービスの提供を行う(例えば、水色の服を重点的に紹介する)。
【0027】
なお、施設側通信装置5は、情報センタ6ではなく、自らの記憶媒体に蓄積した個人情報を施設従業者7に表示し、施設従業者7がその表示内容に応じてカスタマイズされたサービスを提供するようになっていてもよい。また、施設側通信装置5が個人情報のうち、当該施設に対応する種別の個人情報を送信し、施設側通信装置5がその送信された個人情報を施設従業者7に表示し、施設従業者7がその表示内容に応じてカスタマイズされたサービスを提供するようになっていてもよい。
【0028】
なお、以上のような通信システムの作動の詳細は、特願2006−354760に記載されている。
【0029】
また、本実施形態の携帯電話機2は、ユーザ1の属性の変化を検出し、その検出結果を個人情報に反映するようになっている。以下、携帯電話機2のこの作動について詳述する。この作動のために、携帯電話機2の制御部25のCPUは、図4に示すプログラム100を繰り返し実行する。
【0030】
このプログラム100の実行によって、CPUは、携帯電話機2の操作部21に対して予め定められた操作(例えば、視聴対象テレビ番組の変更操作、音楽の聴取の操作)がユーザ1によって行われたかを常時監視する(ステップ110)。そして、所定の操作が行われると、当該操作の内容、当該操作が行われた日時、当該操作日時における携帯電話機2の現在位置(緯度、経度)を、ユーザの行動内容の履歴(以下、行動履歴という)に追加する新たなレコードとして、メモリ24に記録する(ステップ120)。
【0031】
図5に、メモリ24中の行動履歴の記録内容の一例を示す。この図においては、行動履歴は、複数個のレコードを有し、各レコードは、ある1まとまりの操作についての情報を含んでいる。1つのレコード中には、為された操作の種別(テレビ視聴、インターネット検索等)、当該操作の目的の概要(テレビ視聴におけるドラマ、検索に用いる語等)、操作の目的の詳細(具体的な番組名、変更対象待ち受け画像の詳細な内容等)、新規フラグ、操作時位置、操作日時の情報を含んでいる。ここで、操作種別、操作目的概要、および操作目的詳細は、為された操作の内容を示す情報であり、更に言えば、為された操作に対応する携帯電話機2の作動の情報である。
【0032】
新規フラグは、当該操作と全く同じ内容の操作を示すレコードが行動履歴に既に含まれている場合にゼロとなり、当該操作と全く同じ内容の操作を示すレコードが行動履歴に既に含まれていなければ1となる。あるいは、新規フラグは、当該操作と同種の(例えば、操作目的概要が同じである)内容の操作を示すレコードが行動履歴に既に含まれている場合にゼロとなり、当該操作と同種の操作を示すレコードが行動履歴に既に含まれていなければ1となるようになっていてもよい。
【0033】
続いて、CPUは、記録した操作の特異性をチェックし(ステップ130)、そのチェック結果に基づいて、ユーザ1の属性に変化があるか否か(すなわち、更新情報があるか否か)を判定し(ステップ140)、ないと判定すると処理をステップ110に戻し、あると判定すると、続いてユーザの属性の変化の内容を、属性変化情報として、メモリ24に記録する。
【0034】
以降、制御部25は、車載通信装置4または施設側通信装置5との通信が発生すると、個人情報の一部として、属性変化情報を車載通信装置4または施設側通信装置5に送信する。したがって、施設側通信装置5において表示された属性変化情報を施設従業者7が確認することで、施設従業者7は、よりユーザにふさわしいサービスを提供することができるようになる。また、車載通信装置4は、受信した属性変化情報に基づいて、よりユーザにふさわしい制御を行うことができる。
【0035】
ここで、ステップ130の特異性チェックの詳細について説明する。特異性チェックにおいて、制御部25は、直前のステップ120で行動履歴に新たなレコードが追加されたことに起因してユーザの属性に変化があったか否か、および、属性の変化があった場合の属性変化の内容を特定する。
【0036】
図6に、この特性チェックの詳細な処理内容をフローチャートに示す。特異性チェックの処理において、制御部25のCPUは、まずステップ310で、直前のステップ110で検出したユーザ1の操作内容が、テレビのチャネル選択操作(すなわちチャネル決定の作動のための操作)であるか否かを判定し、当該判定が肯定的であれば続いてステップ320を実行し、否定的であれば続いてステップ380を実行する。
【0037】
ステップ320では、操作部21への操作が無い状態が所定時間継続することを待つ。待っている間に操作部21の操作が行われた場合は、処理はプログラム100のステップ110に戻る。操作部21への操作が無い状態が所定時間継続くということは、選局操作が終了していることの表れである。
【0038】
操作部21への操作が無い状態が所定時間継続すると、続いてステップ330で、選択されたチャネルで放送している番組が単発番組かシリーズ番組(すなわち連続番組)かを判定する。なお、各チャネルで放送している番組の番組名、当該番組のジャンル(例えば、ニュース、歌番組、スポーツ等の別、あるいは、野球、サッカー、大リーグ、高校野球のようにさらに細分化されたジャンルの別)、当該番組がシリーズ番組であるか単発番組であるかの別等の情報の取得は、例えば、インターネットを介して周知のEPG(Electronic Program Guide)をダウンロードすることで実現できる。選択チャネルの番組が単発番組であれば続いてステップ355に進み、シリーズ番組であれば続いてステップ355に進む。
【0039】
ステップ335では、当該選局番組のジャンルについての視聴回数のカウンタ(メモリ24中の値である)を1回分だけ増加させる。ここで、各ジャンルの視聴回数のカウンタは、携帯電話機2の販売時、ユーザが操作部21に対して所定のリセット操作を行ったとき等に、ゼロにセットされるようになっている。番組そのものではなく当該番組が属するジャンルについての視聴回数のカウンタを増加させるのは、単発番組の場合、今後同一の番組は放送されないものと考えられるからである。
【0040】
続いてステップ340では、当該ジャンルについてのカウンタの値が所定の基準値Aを超えたか否かを判定し、超えていれば続いてステップ345を実行し、超えていなければ続いてステップ350を実行する。
【0041】
ステップ345では、ユーザ1の属性に変更がある旨判定する。これは、カウンタの値が基準値Aを超えている場合は、ユーザ1はこのジャンルの番組に関心があると考えられるからである。さらにステップ345では、属性の変更内容を決定する。具体的には、ユーザ1は、当該ジャンルに新たに興味を持つようになった旨を、属性の変更内容とする。なお、制御部25中のROMには、当該ジャンルを選択するという操作の種別が、あらかじめ、当該ジャンルに新たに興味を持つようになった旨の情報に対応付けられている。
【0042】
ステップ350では、ユーザ1の属性に変更がない旨判定する。これは、カウンタの値が基準値Aを超えていない場合は、当該ジャンルの番組をユーザが見ようとしたとしても、ユーザ1がこのジャンルの番組に関心があるとは必ずしも言えないからである。
【0043】
ステップ355では、当該選択されたシリーズ番組が、ユーザ1にとって初めて観る番組であるか否かを、メモリ24中の行動履歴のデータに基づいて判定する。初めて観る番組である場合、続いてステップ360を実行し、そうでない場合、続いてステップ365を実行する。ステップ360では、ユーザ1の属性に変更がない旨判定する。これは、あるシリーズ番組を1度見たからといって、ユーザ1がその番組に興味を持ったとは言えないからである。
【0044】
ステップ365では、当該シリーズ番組についての視聴回数のカウンタを1回分だけ増加させる。ここで、当該シリーズ番組の視聴回数のカウンタは当該番組の視聴が初めてあったときにメモリ24中に割り当てられるとともにゼロにセットされる。
【0045】
続いてステップ370では、当該シリーズ番組についてのカウンタの値が所定の基準値Bを超えたか否かを判定し、超えていれば続いてステップ360を実行し、超えていなければ続いてステップ375を実行する。なお、基準値Bは、基準値Aと同じであっても異なっていてもよい。
【0046】
ステップ375では、ユーザ1の属性に変更がある旨判定する。これは、カウンタの値が基準値Bを超えている場合は、ユーザ1はこのシリーズ番組に関心があると考えられるからである。さらにステップ375では、属性の変更内容を決定する。具体的には、ユーザ1は、当該シリーズ番組に新たに興味を持つようになった旨を、属性の変更内容とする。なお、制御部25中のROMには、あるシリーズ番組を選択するという操作の種別が、あらかじめ、当該シリーズ番組に新たに興味を持つようになった旨の情報に対応付けられている。
【0047】
ステップ380では、チャネル選択操作以外の操作内容の実行に対応した、属性変化の有無、および属性変化の内容の特定を行う。具体的には、直前のステップ110で検出したユーザ1の操作内容と、複数種類の操作条件とを比較する。さらに、当該操作内容がそれら複数種類の操作条件のいずれかを満たす場合、当該操作条件にあらかじめ対応付けられたアルゴリズムで、当該操作内容と同一の操作内容が動作履歴に基準回数を超えて記録されているか否か、または、当該操作内容と同一種類の操作内容が動作履歴に基準回数を超えて記録されているか否かを判定する。ここで用いる基準回数は、当該操作条件毎に異なっていてもよい。そして、基準回数を超えている場合、属性変化の有りと判定し、当該操作内容または当該操作内容種別にあらかじめ対応づけられたユーザの属性の変化内容を、当該操作に起因するユーザ1の属性の変化内容であると決定する。
【0048】
なお、チャネル選択操作以外の操作内容としては、例えば、ラジオ聴取、音楽聴取、待受け画面設定、音量変更、メールマガジン登録、インターネットサイトのブックマーク登録、インターネット検索語指定、メールアドレス登録、等がある。
【0049】
ステップ345、350、360、375、380の後、特異性チェック処理は終了する。以上のように、制御部25は、特異性チェックにおいて、操作内容を確認して、それにふさわしい処理の実行を開始し(ステップ310参照)、直前に行われた操作部21への操作内容と同じ操作の実行が行動履歴に基準回数を超えて記録されていれば(ステップ370参照)、ユーザの属性の変化があったと判定し、さらに、当該操作内容に対応する携帯電話機2の作動から、あらかじめ決められた対応関係に基づいて、ユーザの属性の変化の内容を特定する(ステップ375参照)。しかし、当該種類の操作が行動履歴に基準回数を超えて記録されていなければ(ステップ370参照)、ユーザの属性に変化が無いと判定する(ステップ360参照)。
【0050】
また、制御部25は、特異性チェックにおいて、直前に行われた操作部21への操作内容と同種の操作の実行が行動履歴に基準回数を超えて記録されていれば(ステップ340参照)、ユーザの属性の変化があったと判定し、さらに、当該種類に属する操作内容に対応する携帯電話機2の作動から、あらかじめ決められた対応関係に基づいて、ユーザの属性の変化の内容を特定する(ステップ345参照)。しかし、当該操作の実行が行動履歴に基準回数を超えて記録されていなければ(ステップ340参照)、ユーザの属性に変化が無いと判定する(ステップ350参照)。
【0051】
以上のように、携帯電話機2は、ユーザ1の行動内容の履歴中に記録されている同一種類または全く同一の行動内容の実行回数が基準回数を超えたことに基づいて、ユーザ1の属性の変化を検出し、その変化の内容を施設側通信装置5、および車載通信装置4に自動的に通知することできる。したがって、施設側通信装置5側において、変化した個人情報に基づいてカスタマイズされたサービスをユーザに提供することができる。例えば、施設従業者7は、ユーザ1が新たに興味を持ったシリーズ番組または番組ジャンルに関連した話を持ち出すことで、ユーザ1との会話を円滑に進めることができる。また例えば、施設従業者7は、ユーザ1が新たに興味を持ったシリーズ番組で話題になった商品の購入を奨めることで、ユーザ1の購買可能性を高めることができる。
【0052】
また、当該車載通信装置4において、変化した個人情報に基づいてカスタマイズされた制御を行うことができる。例えば、車載通信装置4は、車両3に搭載されたテレビ受像機の機能がオンとなったときに、ユーザ1が新たに興味を持ったシリーズ番組または番組ジャンルに該当するチャンネルを、自動的に選局するよう、当該テレビ受像機を制御することができる。
【0053】
また、携帯電話機2において、検出されるユーザ1の行動内容は、操作部21に対するユーザ1の操作内容である。また、ユーザ1の属性が変化したことの検出は、ユーザ1の操作部21への操作内容に応じた当該携帯電話機2の作動内容である。このようになっていることで、携帯電話機2は、ユーザ1の操作部21への操作内容に応じた当該携帯電話機2の作動内容の履歴に基づいて、ユーザ1の属性の変化を検出するようになる。
【0054】
このように、ユーザ1の操作という行動を、それに応じた携帯電話機2の作動の履歴という視点から区別し、その区別に応じてユーザ1の属性を検出することで、携帯電話機2の作動内容に影響を与えるタイプの属性の変化をより確実に検出することができる。
【0055】
なお、上記の実施形態において、近距離通信部22が通信手段の一例に相当する。また、携帯電話機2の制御部25が、プログラム100のステップ110および120を実行することで行動検出・記録手段の一例として機能し、ステップ130、140、150を実行することで変化検出・記録手段の一例として機能する。
【0056】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0057】
例えば、上記実施形態においては、携帯電話機2に対する操作内容の履歴に基づいて、基準回数を超える操作が行われたか否かを判定し、行われた場合、当該操作(または当該操作が属する操作種別)にあらかじめ対応付けられたユーザの属性変化内容を、当該操作に起因するユーザの属性変化として特定し、その属性変化の情報を施設側通信装置5および車載通信装置4に送信するようになっている。
【0058】
しかし、別の例として、携帯電話機2は、車両3中のナビゲーション装置において設定された目的地または経由地(以下、総称してポイントという)の履歴(例えば、図7に図6と同形式で示す履歴;行動履歴の一例に相当する)を、車載通信装置4を介して取得し、取得したポイントの履歴に基づいて、当該ポイントの設定回数が基準回数C(基準回数A、Bのいずれかと同じであってもよいし、すべてと異なっていてもよい)を超えた場合、当該ポイントの種別にあらかじめ対応付けられたユーザの属性変化内容を、当該ポイントの設定に起因するユーザの属性変化として特定し、その属性変化の情報を施設側通信装置5および車載通信装置4に送信するようになっていてもよい。
【0059】
例えば、携帯電話機2の制御部25は、図7にしたようなポイントの履歴に対して、上記のような処理を施すことで、ユーザ1が、会社を目的地として設定することに起因するユーザの属性変化、すなわち、ユーザ1が会社に就職したという属性変化を検出して記録し、さらに施設側通信装置5または車載通信装置4に送信することができる。
【0060】
このような就職の情報の表示を施設側通信装置5から受けた施設従業者7は、ユーザ1に対して、スーツの提案、ビジネスマナーの教示、社会人用学習コンテンツの紹介等のサービスを行うことで、ユーザ1の購買可能性を高めることができる。
【0061】
また、別の例として、携帯電話機2は、車両3中のドライブレコーダにおいて記録された車両3の走行ルートの履歴(行動履歴の一例に相当する)を、車載通信装置4を介して取得し、取得した走行ルートの履歴に基づいて、特定の施設への駐車回数が基準回数D(基準回数A、B、Cのいずれかと同じであってもよいし、すべてと異なっていてもよい)を超えた場合、当該施設の種別にあらかじめ対応付けられたユーザ1の属性変化内容を、当該施設の駐車に起因するユーザの属性変化として特定し、その属性変化の情報を施設側通信装置5および車載通信装置4に送信するようになっていてもよい。
【0062】
例えば、図8に示すように、ユーザ1が、いつもは会社31から自宅32へ車両3でルート33を通って帰っていたところ、ある日を境に産婦人科病院34に寄る特異ルート35を走行し、当該病院34に頻繁に駐車するようになれば、携帯電話機2の制御部25は、走行ルートの履歴に対して上記のような処理を施すことで、ユーザ1が、産婦人科病院に駐車することに起因するユーザの属性変化、すなわち、ユーザ1の子供が生まれたという属性変化を検出して記録し、さらに施設側通信装置5または車載通信装置4に送信することができる。なお、制御部25は、産婦人科病院に加え、役所やベビー用品関連店への駐車回数が基準回数を超えるようになったことに基づいて、ユーザ1の子供が生まれたという属性変化の検出、記録、送信を行うようになっていてもよい。
【0063】
このような就職の情報の表示を施設側通信装置5から受けた施設従業者7は、ベビー洋品の提案、ミルク、離乳食等の提案紹介等のサービスを行うことで、ユーザ1の購買可能性を高めることができる。また、施設従業者7は、出産のお祝いの声がけを行うことで、ユーザ1に好印象を与えることができる。
【0064】
また例えば、ユーザ1が転居し、それまで走行していた地域から大きく離れた地域を頻繁に走行するようになれば、携帯電話機2の制御部25は、走行ルートの履歴に対して上記のような処理を施すことで、ユーザ1が、ある地域を走行することに起因するユーザの属性変化、すなわち、ユーザ1が当該地域に転居したという属性変化を検出して記録し、さらに施設側通信装置5または車載通信装置4に送信することができ、施設従業者7は、それに応じたサービスを提供することができる。また、ユーザ1が当該地域に転居したという属性変化の状況を施設側通信装置5が受信していないにもかかわらず、ユーザ1が通常走行している位置から大きく離れた位置にいる場合は、施設側通信装置5は、ユーザ1が出張中である旨を施設従業者7に表示し、施設従業者7は、それに応じたサービスを提供するようになっていてもよい。
【0065】
また、携帯通信装置は、上述の携帯電話機2のように、電話機能を有していてもよいし、いなくてもよい。
【0066】
また、上記の実施形態において、制御部25がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】携帯電話機2の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の通信システムにおけるサービスの提供を概念的に表す図である。
【図4】制御部25のCPUが実行するプログラム100のフローチャートである。
【図5】行動履歴のメモリ24中への記録例を示す図表である。
【図6】特性チェックの詳細な処理内容を示すフローチャートである。
【図7】目的地、経由地の履歴のメモリ24中への記録例を示す図表である。
【図8】経由地の変更例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…ユーザ、2…携帯電話機、3…車両、4…車載通信装置、5…施設側通信装置、
6…情報センタ、7…施設従業者、8…車載制御装置、21…操作部、
22…近距離通信部、23…電話通信部、24…メモリ、25…制御部、
100…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの属性を示す個人情報を記憶媒体(24)に記憶し、記憶した個人情報を、施設に設置され、受信した個人情報を表示する施設側通信装置(5)に通知する携帯通信装置であって、
前記ユーザの行動内容を検出し、検出した行動内容の履歴を前記記憶媒体に記録する行動検出・記録手段(110、120)と、
前記行動内容の履歴中に記録されている同一種類または全く同一の行動内容の実行回数が2以上の基準回数を超えたことに基づいて、前記ユーザの属性が変化したことを検出し、検出した属性の変化の内容を前記記憶媒体に記録する変化検出・記録手段(130、140、150)と、
変化検出・記録手段が記録した前記変化の内容を、前記施設側通信装置に送信するための通信手段(22)と、を備えた携帯通信装置。
【請求項2】
ユーザの属性を示す個人情報を記憶媒体に記憶し、記憶した個人情報を、車両(3)に搭載され、受信した個人情報に基づいて前記車両内の装置(8)を制御する車載通信装置(4)に通知する携帯通信装置であって、
前記ユーザの行動内容を検出し、検出した行動内容の履歴を前記記憶媒体に記録する行動検出・記録手段(110、120)と、
前記行動内容の履歴中に記録されている同一種類または全く同一の行動内容の実行回数が2以上の基準回数を超えたことに基づいて、前記ユーザの属性が変化したことを検出し、検出した属性の変化の内容を前記記憶媒体に記録する変化検出・記録手段(130、140、150)と、
変化検出・記録手段が記録した前記変化の内容を、前記車載通信装置に送信するための通信手段(22)と、を備えた携帯通信装置。
【請求項3】
前記ユーザの操作を受け付ける操作部(21)を備え、
前記行動検出・記録手段が検出する前記ユーザの前記行動内容は、前記操作部に対する前記ユーザの操作内容であることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯通信装置。
【請求項4】
前記通信手段は、車両に搭載されたナビゲーション装置から目的地の情報を受信し、
前記行動検出・記録手段が検出する前記ユーザの前記行動内容は、前記通信手段が受信した前記目的地であることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−3617(P2009−3617A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162505(P2007−162505)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】