説明

携帯電子機器

【課題】水の浸入に伴う故障のおそれを低減することができる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】複数の動作状態それぞれに対応する複数の閾値を記憶する記憶部250と、複数の動作状態に含まれる一の動作状態を取得する動作状態取得部212と、一の動作状態に対応して電流値を測定する電流測定部260と、電流測定部260により測定された電流値が一の動作状態に対応して記憶部250に記憶された閾値よりも大きいか否かを判定する電流判定部222と、電流判定部222により電流値が閾値よりも大きいと判定された場合に所定の動作を行う所定動作部223、224と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防水機能を有する携帯電話機が開発されており、防水機能は、携帯電話機において重要な機能の一つとして注目されている。従来の防水水技術としては、例えば、筐体における充電池の蓋の部分やコネクタの部分における隙間などをパッキンなどにより塞いだり、マイクやイヤホンの部分を防水透湿性の膜で覆ったりして水をガードすることにより、防水性を確保する技術がある(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−297629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、パッキンを用いる場合には、隙間が確実に塞がれていなければ、水の浸入を許してしまう。また、防水透湿性の膜は気体を通してしまうので、湿気(水蒸気)に関しては浸入を防止できない。このように、携帯電子機器の使用状況によっては、防水機能を有する携帯電話機であっても、携帯電話機の筐体の内部に、水(液体)や湿気が浸入してしまい、携帯電子機器が故障してしまうおそれがある。
【0005】
従って、本発明は、水の浸入に伴う故障のおそれを低減することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の動作状態それぞれに対応する複数の閾値を記憶する記憶部と、前記複数の動作状態に含まれる一の動作状態を取得する動作状態取得部と、前記一の動作状態に対応して電流値を測定する電流測定部と、前記電流測定部により測定された前記電流値が、前記一の動作状態に対応して前記記憶部に記憶された前記閾値よりも大きいか否かを判定する電流判定部と、前記電流判定部により前記電流値が前記閾値よりも大きいと判定された場合に所定の動作を行う所定動作部と、を備える携帯電子機器に関する。
【0007】
また、前記動作状態取得部は、前記複数の動作状態に含まれる一の動作状態が開始されると当該一の動作状態を取得することが好ましい。
【0008】
また、前記所定動作部は、情報のバックアップを推奨する旨の報知、所定の情報の記憶、及び通信回線を介する所定の宛先への前記所定の情報の送信のうちの少なくとも一つ又は全部の動作を行うことにより、前記所定の動作を行うことが好ましい。
【0009】
また、前記記億部は、前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の電流測定箇所を記億し、前記電流測定部は、前記一の動作状態に対応して前記記憶部に記億された前記電流測定箇所における前記電流値を測定することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水の浸入に伴う故障のおそれを低減することができる携帯電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態は、本発明を、防水機能を有する携帯電話機に適用した実施形態である。図1は、本発明の一実施形態の携帯電話機1を開いた状態で示す正面斜視図である。図2は、図1に示す携帯電話機1の機能ブロック図である。図3は、図2に示す機能ブロック図の詳細を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して開閉可能に連結される。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結される。これにより、携帯電話機1は、連結部4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能となる。
【0013】
つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが開いた状態(開状態)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態)とにすることができる。ここで、閉状態とは、両筐体2,3が互いに重なるように配置された状態(図示せず)であり、開状態とは、両筐体2,3が互いに重ならないように配置された状態(図1及び図3参照)をいう。
【0014】
操作部側筐体2は、その外面がフロントケース2aとリアケース2bとから構成される。操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部(マイク)12とがそれぞれ露出するように構成される。
【0015】
操作部側筐体2の内部には、カメラ部23(図1には図示せず)が内蔵されている。操作部側筐体2の上端部には、TVアンテナ22が出没自在に設けられる。TVアンテナ22は、地上デジタル放送としてのいわゆるワンセグ放送の電波を受信するためのアンテナである。
【0016】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15とから構成される。
【0017】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、あるいは、起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0018】
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0019】
表示部側筐体3は、その外面がフロントケース3aとリアケース3bとにより構成される。表示部側筐体3のフロントケース3a側には、撮像画像等を含む各種情報を表示するための表示部31と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部32とが露出するように配置される。また、表示部側筐体3は、着信音、メッセージ等を出力するスピーカ234(図2参照。図1には図示せず)を備えている。
【0020】
表示部31は、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライトなどの光源部とを備えて構成される。
【0021】
つぎに、図2及び図3に示す機能ブロック図を参照しながら、携帯電話機1の各機能について説明する。図2に示すように、携帯電話機1は、基地局310との間で通信を行う通信部100と、放送波を受信する放送波受信部150と、所定の処理を行う処理部200と、を備えている。
【0022】
携帯電話機1は、複数の動作状態を有している。動作状態としては、例えば、待ち受け画面状態、カメラ起動状態、ワンセグ起動状態がある。待ち受け画面状態は、携帯電話機1は起動しているが、通話、メール、カメラ、TVなどの機能を使用していない状態であり、一般に最も消費電力量が少ない状態である。カメラ起動状態は、後述するカメラ部240(カメラアプリ)が起動した状態である。ワンセグ起動状態は、後述する放送波処理部151(ワンセグアプリ)が起動した状態である。
【0023】
通信部100の構成及び動作について説明する。通信部100は、メインアンテナ部101と、通信処理部102と、を備える。
メインアンテナ部101は、所定の通信方式(例えば、CDMA(Code Division Mulitiple Access)2000_1x等)に基づいて、基地局310を介して他の通信端末装置との間で電話による通信やメールによる通信等を行う。また、後で詳述するように、メインアンテナ部101は、基地局310及び通信回線320を介して外部サーバ330の間で情報(例えば、後述するバックアップ情報)の通信等を行う。
メインアンテナ部101は、例えば、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局310と通信を行う。なお、使用周波数帯は、800MHz以外の周波数帯であってもよい。また、メインアンテナ部101は、複数の使用周波数帯に対応できるように構成されていてもよい。
【0024】
通信処理部102は、送信処理を行う送信回路と受信処理を行う受信回路とにより構成される。通信処理部102は、メインアンテナ部101によって受信した信号を受信回路により復調処理し、処理後の信号を処理部200に供給する。また、通信処理部102は、処理部200から供給された信号を送信回路により変調処理し、メインアンテナ部101を介して基地局に送信する。
【0025】
放送波受信部150の構成及び動作について説明する。放送波受信部150は、放送波受信用のTVアンテナ22と、TVアンテナ22により受信した信号に対して所定の処理を行う放送波処理部151と、を備える。
図3に示すように、放送波処理部151は、TVアンテナ22により受信した放送波を処理するチューナ部152と、コプロセッサとしてのデコーダ部153と、所定の情報を処理部200に通知する受信部通知部154と、を備える。
【0026】
チューナ部152は、所定方式により変調・圧縮処理されたデジタル放送信号を受信し、受信したデジタル放送信号に基づいて、放送局が送り出したTS(Transport Stream)パケットの復元処理を行う。
【0027】
デコーダ部153は、放送波処理部151におけるコプロセッサとして機能するもので、チューナ部152による所定の処理が行われた後のデジタル放送信号を復号処理する。具体的には、デコーダ部153は、映像TSパケットから映像信号をデコードする。デコードされた映像信号は、処理部200の表示部31に送信され、映像として表示される。なお、放送波処理部151は、音声TSパケットのデコード処理を行う音声デコード処理部も有している。
【0028】
受信部通知部154は、チューナ部152によるデジタル放送信号の受信が開始されると、デジタル放送信号の受信が開始された旨を表す放送信号受信開始情報を生成し、生成した放送信号受信開始情報を処理部200に通知する。また、受信部通知部154は、デコーダ部153によるデコード処理が開始されると、デコード処理が開始された旨を表すデコード処理開始情報を生成し、生成したデコード処理開始情報を処理部200に通知する。
【0029】
処理部200の構成及び動作について説明する。図2に示すように、処理部200は、操作キー群11と、音声入力部12と、表示部31と、音声出力部32と、所定の音処理を行う音処理部231と、所定の画像処理を行う画像処理部232と、着信音、メッセージ等が出力されるスピーカ234と、カメラ部240と、電流測定部260と、種々の情報が記憶されている記憶部250と、電源電圧監視部210と、を備えている。なお、操作キー群11、音声入力部12、表示部31及び音声出力部32については、前述してある。
【0030】
カメラ部240は、被写体を撮像する部位であり、図3に示すように、自動焦点(オートフォーカス:「AF」ともいう)機能を実現するAF部241と、カメラ部通知部242とを備える。カメラ部通知部242は、カメラ部240が起動すると、カメラ部240が起動した旨を表すカメラ部起動情報を生成し、生成したカメラ部起動情報を処理部200に通知する。また、カメラ部通知部242は、AF部241が起動すると、AF部241が起動した旨を表すAF部起動情報を生成し、生成したAF部起動情報を処理部200に通知する。
【0031】
図3に示すように、記憶部250は、動作状態テーブル253と、測定箇所テーブル251と、閾値テーブル252とを備える。
動作状態テーブル253には、複数の動作状態それぞれに対応する複数の電源電圧値の情報が収納(記憶)されている。動作状態によって消費電流が変わり、動作状態に対応する電源電圧値が変わるので、複数の動作状態それぞれに対応する複数の電源電圧値を設定することができる。
【0032】
測定箇所テーブル251には、複数の動作状態それぞれに対応する複数の電流測定箇所Pの情報が収納(記憶)されている。動作状態によってエレクトロマイグレーションが発生しやすい箇所(つまり、電流値を測定すべき箇所)が変わるので、複数の動作状態それぞれに対応する複数の電流測定箇所Pを設定する。なお、電流測定箇所Pは1箇所であってもよい(例えば電源部付近)。
閾値テーブル252には、複数の動作状態それぞれに対応する複数の閾値の情報が収納(記憶)されている。動作状態によって適切な閾値が変わるので、複数の動作状態それぞれに対応する複数の閾値を設定する。
【0033】
電流測定部260は、一の動作状態に対応して記憶部250に記憶された電流測定箇所Pにおける電流値を測定する。電流測定部260は、測定された電流値の情報を処理部200に通知する。
【0034】
電源電圧監視部210について説明する。電源電圧監視部210は、電源電圧値を測定して監視する部位であり、図3に示すように、監視処理部211と、動作状態取得部212と、測定箇所取得部213と、閾値取得部214と、使用状態取得部215と、電流値取得部221と、電流判定部222と、所定動作部としての報知処理部223と、所定動作部としてのバックアップ処理部224と、を備える。
【0035】
監視処理部211は、現在の電源電圧値を監視し、その電源電圧値に基づいて各種処理を行う。例えば、監視処理部211は、消費電力の大きいモジュールを複数起動したこと等により電源電圧値の低下が検出された場合には、電源電圧値を昇圧して補正する。
【0036】
動作状態取得部212は、携帯電話機1における複数の動作状態に含まれる一の動作状態、すなわち、各モジュールの動作状態を取得する。
【0037】
例えば、動作状態取得部212は、カメラ部240のカメラ部通知部242から出力されたカメラ部起動情報を受信することにより、カメラ部240の動作状態(起動/停止)を取得する。また、動作状態取得部212は、カメラ部240のAF部241から出力されたAF部起動情報を受信することにより、AF部241の動作状態(起動/停止)を取得する。
【0038】
また、動作状態取得部212は、放送波処理部151のチューナ部152から出力されたチューナ部起動情報を受信することにより、チューナ部152の動作状態(起動/停止)を取得する。また、動作状態取得部212は、放送波処理部151のデコーダ部153から出力されたデコーダ部起動情報を受信することにより、チューナ部152の動作状態(起動/停止)を取得する。
【0039】
このように、動作状態取得部212は、複数の動作状態に含まれる一の動作状態が開始されると当該一の動作状態を取得することができる。なお、動作状態取得部212は、どのモジュールからも起動状態が確認されなかった場合に、携帯電話機1が待ち受け状態であることを取得する。
【0040】
測定箇所取得部213は、記憶部250の測定箇所テーブル251を参照して、現在の動作状態に対応する電流測定箇所Pの情報を取得する。
【0041】
閾値取得部214は、記憶部250の閾値テーブル252を参照して、現在の動作状態に対応する電流値の閾値の情報を取得する。
【0042】
電流値取得部221は、電流測定部260により測定され且つ電流測定部260から通知される電流値を取得する。
【0043】
電流判定部222は、電流測定部260により測定された電流値が、現在の動作状態に対応する電流値の閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0044】
報知処理部(所定動作部)223は、電流判定部222により電流値が閾値よりも大きいと判定された場合に、所定の報知内容を報知させる。報知内容は、例えば、携帯電話機1が現在保持する情報のバックアップを推奨する旨である(詳細は後述)。
【0045】
バックアップ処理部(所定動作部)224は、電流判定部222により電流値が閾値よりも大きいと判定された場合に、通信回線320を介して所定の情報(例えば、バックアップ情報)を所定の宛先(例えば、外部サーバ330)に送信する。
【0046】
次に、本実施形態の携帯電話機1の一使用態様について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、図1に示す携帯電話機1における動作を示すフローチャートである。図5は、携帯電話機の表示部31に表示される報知内容の一例を示す図である。本使用態様については、待ち受け画面状態、カメラ起動状態及びワンセグ起動状態に着目して説明を行う。
【0047】
図4に示すように、携帯電話機1が起動すると、所定のタイミングで電源電圧監視部210のタスクが開始される。
電源電圧監視部210のタスクが開始されると、監視処理部211は、携帯電話機1における電源電圧値について、周期的な監視(測定を含む)を開始する(ステップS110)。電源電圧値の監視は、所定の間隔(例えば、500ms)ごとに行われる。
【0048】
ステップS120において、動作状態取得部212は、携帯電話機1における複数の動作状態に含まれる一の動作状態、すなわち、各モジュールの動作状態を取得する。
以下、待ち受け画面状態、カメラアプリ起動状態及びワンセグアプリ起動状態の3種類の動作状態それぞれについて、携帯電話機1の動作を説明する。
【0049】
<待ち受け画面状態>
まず、待ち受け画面状態における携帯電話機1の動作について説明する。
動作状態取得部212は、記憶部250の動作状態テーブル253を参照して、携帯電話機1の動作状態を取得する。ここでは、携帯電話機1の「待ち受け画面状態」が取得されたものとする(ステップS120)。
【0050】
ステップS130において、測定箇所取得部213は、記憶部250の測定箇所テーブル251を参照して、「待ち受け画面状態」に対応する電流測定箇所Pの情報を取得する。
【0051】
ステップS140において、閾値取得部214は、記憶部250の閾値テーブル252を参照して、「待ち受け画面状態」に対応する閾値の情報を取得する。
【0052】
ここでは、動作状態は「待ち受け画面状態」である(ステップS161)。
従って、以下には、待ち受け画面状態に対応する処理が行われる。
ステップS211において、電流測定部260は、「待ち受け画面状態」に対応する電流測定箇所Pにおける電流値を測定する。そして、電流値取得部221は、電流測定部260により測定された電流値を取得する。
【0053】
ステップS221において、電流判定部222は、電流測定部260により測定された電流値が、「待ち受け画面状態」に対応する閾値よりも大きいか否かを判定する。
電流測定部260により測定された電流値が「待ち受け画面状態」に対応する閾値よりも大きい場合(YES)には、絶縁不良の虞がある状態であるため、バックアップを推奨する旨の表示を行う処理であるステップS230に進む。
【0054】
ステップS230において、報知処理部223は、所定の報知内容を報知させる。報知内容は、例えば、図5に示すように、携帯電話機1が現在保持する情報のバックアップを推奨する旨である。
【0055】
使用者によりバックアップをすることが選択(決定)された場合には、ステップS240において、バックアップ処理部224は、通信回線320を介して所定の情報を所定の宛先に送信する。詳細には、バックアップ処理部224は、現在保持する情報のうちバックアップすべき情報を、基地局310及び通信回線320を介して、外部サーバ330に送信する。外部サーバ330に送信された情報は、サーバメモリ331に記憶(バックアップ)される。
このように、ステップS240が行われて、電源電圧監視部210のタスクが完了する。
【0056】
一方、電流測定部260により測定された電流値が「待ち受け画面状態」に対応する閾値以下の場合(NO)には、電源電圧値の監視を行う処理であるステップS110に戻る。このようにして、電源電圧監視部210のタスクが継続する。
【0057】
<カメラ起動状態>
次に、カメラ起動状態における携帯電話機1の動作について説明する。
本実施形態においては、カメラ部240のカメラ部通知部242からカメラ起動情報を通知させて、カメラ部240の起動/停止の判定を確実に且つ速やかに行う。
カメラ部240の起動は、カメラアプリ(カメラ部240を制御するアプリケーション)の起動を伴って行われる。
【0058】
具体的には、カメラ部240が起動すると、カメラ部通知部242は、カメラ部240が起動した旨を表すカメラ部起動情報を生成し、生成したカメラ部起動情報を処理部200に通知する(ステップS312)。
また、AF部241が起動すると、カメラ部通知部242は、AF部241が起動した旨を表すAF部起動情報を生成し、生成したAF部起動情報を処理部200に通知する(ステップS322)。ここで、カメラ部起動情報とは別にAF部起動情報を通知するのは、AF部241が起動すると、対応する電流測定箇所P及び電流値の閾値が変わり、電流測定箇所P及び電流値を再設定する必要があるためである。
【0059】
ステップS120において、カメラ部通知部242からカメラ部起動情報が処理部200に通知されると、動作状態取得部212は、携帯電話機1の動作状態が「カメラ起動状態」(カメラ部240が起動した状態)であると判定する。
同様に、ステップS120において、カメラ部通知部242からAF部起動情報が処理部200に通知されると、動作状態取得部212は、携帯電話機1の動作状態が「カメラ起動状態(AF起動状態)」(カメラ部240のAF部241が起動した状態)であると判定する。
【0060】
ステップS130において、測定箇所取得部213は、記憶部250の測定箇所テーブル251を参照して、「カメラ起動状態」又は「カメラ起動状態(AF起動状態)」に対応する電流測定箇所Pの情報を取得する。
【0061】
ステップS140において、閾値取得部214は、記憶部250の閾値テーブル252を参照して、「カメラ起動状態」又は「カメラ起動状態(AF起動状態)」に対応する閾値の情報を取得する。
【0062】
ここでは、動作状態は「カメラ起動状態」である(ステップS162)。
従って、以下には、カメラ起動状態に対応する処理が行われる。
ステップS212において、電流測定部260は、「カメラ起動状態」又は「カメラ起動状態(AF起動状態)」に対応する電流測定箇所Pにおける電流値を測定する。そして、電流値取得部221は、電流測定部260により測定された電流値を取得する。
【0063】
ステップS222において、電流判定部222は、電流測定部260により測定された電流値が、「カメラ起動状態」又は「カメラ起動状態(AF起動状態)」に対応する閾値よりも大きいか否かを判定する。
電流値の判定後の処理は、待ち受け画面状態における電流値の判定後の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
<ワンセグ起動状態>
次に、ワンセグ起動状態における携帯電話機1の動作について説明する。

本実施形態においては、放送波処理部151の受信部通知部154からワンセグ起動情報を通知させて、放送波処理部151の起動/停止の判定を確実に且つ速やかに行う。
放送波処理部151の起動は、ワンセグアプリ(放送波処理部151を制御するアプリケーション)の起動を伴って行われる。
【0065】
具体的には、放送波処理部151のチューナ部152が起動すると、受信部通知部154は、放送波処理部151のチューナ部152が起動した旨を表すチューナ部起動情報を生成し、生成したチューナ部起動情報を処理部200に通知する(ステップS313)。
また、デコーダ部153が起動すると、受信部通知部154は、デコーダ部153が起動した旨を表すデコーダ部起動情報を生成し、生成したデコーダ部起動情報を処理部200に通知する(ステップS323)。ここで、チューナ部起動情報とは別にデコーダ部起動情報を通知するのは、AF部241が起動すると、対応する電流測定箇所P及び電流値の閾値が変わり、電流測定箇所P及び電流値を再設定する必要があるためである。
【0066】
ステップS120において、受信部通知部154からチューナ部起動情報が処理部200に通知されると、動作状態取得部212は、携帯電話機1の動作状態が「ワンセグ起動状態(チューナ部起動状態)」であると判定する。
同様に、ステップS120において、受信部通知部154からデコーダ部起動情報が処理部200に通知されると、動作状態取得部212は、携帯電話機1の動作状態が「ワンセグ起動状態(デコーダ部起動状態)」であると判定する。
【0067】
ステップS130において、測定箇所取得部213は、記憶部250の測定箇所テーブル251を参照して、「ワンセグ起動状態(チューナ部起動状態)」又は「ワンセグ起動状態(デコーダ部起動状態)」に対応する測定箇所の情報を取得する。
【0068】
ステップS140において、閾値取得部214は、記憶部250の閾値テーブル252を参照して、「ワンセグ起動状態(チューナ部起動状態)」又は「ワンセグ起動状態(デコーダ部起動状態)」に対応する閾値の情報を取得する。
【0069】
ここでは、動作状態は「ワンセグ起動状態」である(ステップS163)。
ステップS213において、電流測定部260は、「ワンセグ起動状態(チューナ部起動状態)」又は「ワンセグ起動状態(デコーダ部起動状態)」に対応する電流測定箇所Pにおける電流値を測定する。そして、電流値取得部221は、電流測定部260により測定された電流値を取得する。
【0070】
ステップS223において、電流判定部222は、電流測定部260により測定された電流値が、「ワンセグ起動状態(チューナ部起動状態)」又は「ワンセグ起動状態(デコーダ部起動状態)」に対応する閾値よりも大きいか否かを判定する。
電流値の判定後の処理は、待ち受け画面状態における電流値の判定後の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
本実施形態によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態においては、動作状態を取得する動作状態取得部212と、動作状態に対応する電流測定箇所Pにおける電流値を測定する電流測定部260と、電流測定部260により測定された電流値が動作状態に対応する閾値よりも大きいか否かを判定する電流判定部222と、電流判定部222により電流値が閾値よりも大きいと判定された場合に所定の報知内容を報知させる報知処理部223と、を備える。そのため、絶縁不良などを的確に検出することができる。
【0072】
特に、単に電流値を監視するだけでは的確に検出することが困難なエレクトロマイグレーションに起因する絶縁不良の検出に効果的である。エレクトロマイグレーションの検出が困難な理由は、次の通りである。
ここで、エレクトロマイグレーションとは、配線、電極などの電気伝導体の中で移動する電子と金属原子の間で運動量の交換が行われるために、電気伝導体の金属イオンが時間の経過と共に徐々に移動することで、金属イオンが欠乏した部分において電気伝導体の形状に欠損が生じ、電気抵抗の増大や断線などを招く現象である。エレクトロマイグレーションは、電流密度が高く,温度が高い場合に、その進行が早まり、特に,高い電流密度で使用される集積回路などで問題となる。
【0073】
腐食が進行すると、一般的には、腐食が進行する箇所において電流値が増加する。しかし、電流値の大小のみでは一概には判断できない。例えば、電流値が小さいときにエレクトロマイグレーションが進行することもある。電流値が大きいときのみエレクトロマイグレーションが進行することもある。エレクトロマイグレーションは、端子間などの絶縁不良が徐々に進行する現象なので、腐食が進行する箇所において予測が不可能な症状が出ることもある。待ち受け画面状態などの定常時(消費電流が少ない状態のとき)には電流がほとんど流れない回路にエレクトロマイグレーションが進行している場合には、モジュール(デバイス)の起動した状態でないと、電流値の増加を検出できない場合もある。
【0074】
また、本実施形態においては、携帯電話機1が故障した場合に、その故障がエレクトロマイグレーションを含む腐食が原因であること、及び腐食が進行した箇所の特定を容易に確認することができるので、故障の修理が容易となる。なお、故障に係る動作状態については、例えば、携帯電話機1における不揮発性メモリ(内蔵メモリ、外部メモリ)に保存すればよい。
【0075】
また、本実施形態においては、動作状態取得部212は、複数の動作状態に含まれる一の動作状態が開始されると当該一の動作状態を取得する。そのため、動作状態が開始される度に、電流判定部222により電流値が判定され、報知処理部223により報知処理が行われる。このように、継続的に報知処理が行われることで、使用者が携帯電話機1の故障に関する情報をより適切に知ることができる。
【0076】
また、本実施形態においては、前記報知内容は、携帯電話機1が現在保持する情報のバックアップを推奨する旨であるため、使用者は、速やかにバックアップの処理を行うことができる。
【0077】
また、本実施形態においては、携帯電話機1は、バックアップ処理部224を備えるため、電流判定部222により電流値が閾値よりも大きいと判定された場合に、通信回線320を介して所定の情報を所定の宛先に送信することができる。従って、使用者は、特段の対応をしなくても情報のバックアップを容易に行うことができる。
【0078】
なお、動作状態取得部212は、電源電圧値を測定して監視する電源電圧監視部210から構成され、電源電圧監視部210により測定される電源電圧値に基づいて現在の動作状態を取得してもよい。携帯電話機においては、電源電圧値を測定して監視する電源電圧監視部を備えることは一般的である。従って、携帯電話機1について大きな仕様変更をしなくても、本発明の構成を実現することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されるものではない。
例えば、前述の実施形態においては、電源電圧の監視を行うことで、「待ち受け画面状態」の動作状態を取得しているが、これに制限されず、電源電圧の監視を行うことで、他の動作状態を取得することもできる。
【0080】
前述の実施形態においては、カメラ部240(カメラアプリ)又は放送波処理部151(ワンセグアプリ)の起動情報を通知することで、それぞれ「カメラ起動状態」又は「ワンセグ起動状態」の動作状態を取得しているが、これに制限されず、その他のモジュールの起動情報を通知することで、動作状態を取得することもできる。
【0081】
前記実施形態においては、「バックアップを推奨する旨の報知内容」を表示部31に表示して視覚的に報知しているが、これに制限されない。「バックアップを推奨する旨の報知内容」は、その旨の音声や警告音などにより報知することもできる。
報知内容は、バックアップに関する内容に制限されず、例えば、携帯電話機1の修理や買い換えを推奨する旨でもよい。
【0082】
前述の実施形態においては、情報を外部サーバ330に送信してバックアップを行っているが、これに制限されず、情報を、外部サーバ330に送信すると共に、あるいは外部サーバ330に送信するのに代えて、携帯電話機1の記憶部250に記憶させてもよい。また、情報を、携帯電話機1に対して着脱自在な外部メモリや他の携帯電話機に記憶させてもよい。更に、これらの動作を、「バックアップを推奨する旨の報知内容」を表示部31に表示する代わりに行ってもよい。所定動作部による所定の動作の態様は、本発明では限定されない。
【0083】
また、前記実施形態は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機であるが、本発明はこれに限定されない。本発明に係る携帯電話機の形態としては、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)等であってもよい。
【0084】
また、前記実施形態は、本発明を携帯電話機に適用したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の携帯電子機器は、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコンに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態の携帯電話機1を開いた状態で示す正面斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機1の機能ブロック図である。
【図3】図2に示す機能ブロック図の詳細を示す図である。
【図4】図1に示す携帯電話機1における動作を示すフローチャートである。
【図5】携帯電話機の表示部31に表示される報知内容の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
210 電源電圧監視部
212 動作状態取得部
222 電流判定部
223 報知処理部(所定動作部)
224 バックアップ処理部(所定動作部)
250 記憶部
260 電流測定部
320 通信回線
330 外部サーバ(所定の宛先)
P 電流測定箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動作状態それぞれに対応する複数の閾値を記憶する記憶部と、
前記複数の動作状態に含まれる一の動作状態を取得する動作状態取得部と、
前記一の動作状態に対応して電流値を測定する電流測定部と、
前記電流測定部により測定された前記電流値が、前記一の動作状態に対応して前記記憶部に記憶された前記閾値よりも大きいか否かを判定する電流判定部と、
前記電流判定部により前記電流値が前記閾値よりも大きいと判定された場合に所定の動作を行う所定動作部と、
を備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記動作状態取得部は、前記複数の動作状態に含まれる一の動作状態が開始されると当該一の動作状態を取得する請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記所定動作部は、情報のバックアップを推奨する旨の報知、所定の情報の記憶、及び通信回線を介する所定の宛先への前記所定の情報の送信のうちの少なくとも一つ又は全部の動作を行うことにより、前記所定の動作を行う請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記記億部は、前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の電流測定箇所を記億し、
前記電流測定部は、前記一の動作状態に対応して前記記憶部に記億された前記電流測定箇所における前記電流値を測定する請求項1から3のいずれかに記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−154366(P2010−154366A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331603(P2008−331603)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】