説明

携帯電子機器

【課題】手軽な防犯用の携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電子機器は、光を射出するプロジェクタと、プロジェクタが光を射出した領域内における被写体に対する焦点距離を検出する撮像部と、あらかじめ設定された第1焦点距離に関する情報に対して、撮像部が検出した第2焦点距離に関する情報の変化量が閾値以上になったときに、所定の動作を実行するように制御する制御部と、を備える。また、プロジェクタは、撮像部が焦点距離を検出する際に、例えば、不可視光でエッジを含む画像を投影すると好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯機能を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、敷地内への不審者の侵入を抑制するための装置がある。このような装置として、例えば、特許文献1には、日常の生活音や、放送番組の受信情報を含む各種情報源からの音声及び映像をランダムに出力(再生)することによって、住民が不在時の住宅への不審者の侵入を手軽に抑制できる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−265021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、ランダムなタイミングで音声などの出力を行う。すなわち、特許文献1に記載の装置は、不審者が敷地内または敷地近傍にいない場合でも音声などの出力を行うことになる。このように、特許文献1に記載の装置は、不要なタイミングで報知を行うため、電力を浪費することになる。また、不要なタイミングで報知を頻繁に行うと、特許文献1に記載の装置が設置された住宅の近所に住む人にとって、特許文献1に記載の装置が発生させる音が騒音となる場合もある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、手軽な防犯用の携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、光を射出する光射出部と、前記光射出部が光を射出した領域内における被写体に対する焦点距離を検出する撮像部と、あらかじめ設定された第1焦点距離に関する情報に対して、前記撮像部が検出した第2焦点距離に関する情報の変化量が閾値以上になったときに、所定の動作を実行するように制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、防犯モードを制御し、前記第1焦点距離に関する情報は、前記防犯モードの実行を開始する時に検出される焦点距離に関する情報であることが望ましい。
【0008】
本発明の好ましい態様としては、前記第1焦点距離及び前記第2焦点距離は、前記撮像部による撮像領域を複数に分割した分割領域ごとに検出され、前記制御部は、前記分割領域ごとに、前記変化量が前記閾値以上であるか否かを判定し、いずれか一つの分割領域での前記変化量が閾値以上であるときには、前記所定の動作を行うように制御することが望ましい。
【0009】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記所定の動作として、前記変化量が前記閾値以上になった分割領域に向かって光を射出することが望ましい。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、光を射出する光射出部と、前記光射出部が光を射出した領域を含んで撮像する撮像部と、あらかじめ設定された第1画像と前記撮像部が撮像した第2画像との変化量が閾値以上になったときに、所定の動作を実行するように制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、防犯モードを制御し、前記第1画像は、前記防犯モードの実行を開始する時に撮像される画像であることが望ましい。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記光射出部は、光を投影して所定の画像を投影することが望ましい。
【0013】
本発明の好ましい態様としては、前記制御部は、前記光射出部が投影する前記所定の画像を前記第1画像として設定することが望ましい。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、前記光射出部は、不可視光で前記所定の画像を投影することが望ましい。
【0015】
本発明の好ましい態様としては、前記撮像部は、ランダムにあるいは一定の時間間隔ごとに、前記撮像を行うことが望ましい。
【0016】
本発明の好ましい態様としては、前記一定の時間間隔は、前記携帯電子機器に外部から電力が供給されている場合には、前記携帯電子機器に外部から電力が供給されていない場合に比較して短く設定されていることが望ましい。
【0017】
本発明の好ましい態様としては、記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記撮像部が撮像した第2画像を前記記憶部に記憶させることが望ましい。
【0018】
本発明の好ましい態様としては、前記記憶部は、前記変化量が閾値以上になったときの前記第2画像を記憶すると共に、前記変化量が閾値未満のときの前記第2画像は、あらかじめ前記記憶部に記憶されないように制御されることが望ましい。
【0019】
本発明の好ましい態様としては、前記記憶部は、前記変化量が閾値未満の前記第2画像を、所定時間内に前記変化量が閾値以上になることがなければ、前記所定時間経過後に消去するように制御されることが望ましい。
【0020】
本発明の好ましい態様としては、前記撮像部は、連続的に画像を撮像でき、前記第2画像は、動画像であることが望ましい。
【0021】
本発明の好ましい態様としては、音声を取得する集音部をさらに備え、前記変化量が閾値以上になったときは、それ以降の音声を集音するように制御することが望ましい。
【0022】
本発明の好ましい態様としては、通信部をさらに備え、前記変化量が閾値以上になったときは、前記通信部により通信が行われることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る携帯電子機器により、手軽な防犯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、プロジェクタが光を射出する前の監視領域を示す説明図である。
【図3】図3は、制御部が有する機能を示すブロック図である。
【図4】図4は、事前手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、壁に特徴画像が投影された様子を示す説明図である。
【図6】図6は、実施形態1の防犯手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、撮像領域に人が進入した様子を示す説明図である。
【図8】図8は、実施形態2の防犯手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の説明では、携帯電子機器として携帯電話機を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではない。例えば、PHS(Personal Handyphone System)、カメラ付きプロジェクタ等に対しても本発明を適用できる。
【0026】
(実施形態1)
図1は、携帯電話機の外観を示す斜視図である。なお、各図に示される各装置の大きさや配置位置などは、実際のものと異なる場合がある。図1に示す携帯電話機1は、筐体10と、撮像部11と、マイク12と、レシーバ13と、スピーカ14と、操作部15と、表示部16と、光射出部としてのプロジェクタ17と、バイブレータ18と、制御部30とを備える。本実施形態の筐体10は、例えば、1つの箱型で構成されるいわゆるストレート型筐体である。筐体10は、例えば、第1筐体と第2筐体との2つを含んで構成されてもよい。この場合、筐体10は、第1筐体が第2筐体に対してスライドする構成のスライド式筐体でもよいし、第1筐体が第2筐体に対して回動する折り畳み式の筐体でもよい。すなわち、筐体10の構成は限定されない。
【0027】
撮像部11と、マイク12と、レシーバ13と、スピーカ14と、操作部15と、表示部16と、プロジェクタ17と、バイブレータ18と、制御部30とは、それぞれ、筐体10に収納される。撮像部11と、マイク12と、レシーバ13と、スピーカ14と、操作部15と、表示部16と、プロジェクタ17と、バイブレータ18とは、それぞれ制御部30と電気的に接続される。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、携帯電話機1の全体的な動作を統括的に制御する。撮像部11は、撮像素子11aと、焦点距離検出部11bとを含んで構成される。撮像素子11aは、撮像領域内の被写体(例えば、床や壁)を撮像する。
【0028】
図2は、プロジェクタが光を射出する前の監視領域を示す説明図である。携帯電話機1は、例えば、室内に置かれる。そして、撮像素子11aは、窓92越しに室外(例えばベランダ)の壁91を撮像する。壁91のうち、撮像素子11aが撮像する範囲を撮像領域Aとする。なお、撮像素子11aが撮像する被写体は、室外の壁に限定されず、室内の壁でもよい。また、撮像素子11aが撮像する被写体は、壁に限定されず、例えば床でもよい。また、携帯電話機1は、室外に置かれてもよい。
【0029】
焦点距離検出部11bは、自身(焦点距離検出部11b)と被写体との距離である焦点距離を検出する。本実施形態の焦点距離検出部11bは、例えば、パッシブ方式で焦点距離を検出する。パッシブ方式は、赤外線や超音波などを用いず、レンズで捉えた画像を用いて焦点距離の検出を行う方式である。焦点距離検出部11bは、焦点距離を変更して撮像素子11aに複数の画像を撮像させる。そして、焦点距離検出部11bは、撮像素子11aが撮像した複数の画像を比較し、より具体的には、複数の画像の特徴部分(エッジ部分)の鮮明度を比較して、焦点距離を検出する。パッシブ方式で焦点距離を検出する場合、焦点距離検出部11bは、撮像領域A内に含まれる被写体の特徴部分を検出し、自身(焦点距離検出部11b)と被写体の特徴部分までの距離を検出できる。
【0030】
本実施形態の焦点距離検出部11bは、撮像領域Aを複数の分割領域に分割し、分割領域ごとに焦点距離を検出する。本実施形態の焦点距離検出部11bは、例えば、撮像領域Aを分割領域A1から分割領域A9までの9つの分割領域に分割する。図1に示す制御部30は、分割領域毎の焦点距離検出部11bから焦点距離に関する情報を算出する。具体的には、制御部30は、焦点距離に対応した検出信号を焦点距離検出部11bから取得し、この検出信号の積算値を焦点距離情報として算出する。次に、制御部30は、撮像領域Aのなす画像を取得する場合は、焦点距離情報に基づいて撮像素子11aによる撮像の焦点を調節する。そして、制御部30は、撮像素子11aにより撮像領域Aの撮像を行い、撮像素子11aから画像を取得する。
【0031】
マイク12は、音声を電気信号に変換する。そして制御部30が、電気信号に変換された音声をマイク12から取得する。レシーバ13及びスピーカ14は、それぞれ、制御部30から出力された電気信号を音声に変換して出力する。但し、スピーカ14は、レシーバ13が出力する音声よりも大きな音声を出力できる。操作部15は、例えば、ボタンが筐体10の外部に露出して設けられる。操作部15は、携帯電話機1のユーザーによって操作される。制御部30は、操作部15を介してユーザーが入力した情報を取得する。表示部16は、制御部30から受け取った信号に基づいて画像を表示する。
【0032】
プロジェクタ17は、光を射出する部分が筐体10の外部に露出して設けられる。プロジェクタ17は、制御部30から受け取った信号に基づいて光を射出し、射出された光が到達する投影面に画像を表示させる。バイブレータ18は、例えば、モータと、モータの出力軸に重心がずらされて取り付けられる錘とを含んで構成される。バイブレータ18は、モータに電力が供給されるとモータの出力軸が回転し振動する。バイブレータ18は、この振動を筐体10に伝えることで筐体10を振動させる。
【0033】
図3は、制御部が有する機能を示すブロック図である。制御部30は、1つの装置が図3に示す各機能を実現してもよいし、図3に示す各機能をそれぞれ別個に実現する複数の装置が電気的に接続されることで各機能を実現してもよい。制御部30は、記憶部31と、通信部32と、音声処理部33と、表示制御部34と、バイブレータ制御部35と、トリガー信号出力部36と、撮像制御部37と、主制御部38との各機能を実現する。記憶部31は、制御部30が実行する一連の手順(コンピュータプログラム)を記憶したり、前記一連の手順の実行に必要な情報を記憶したりする。通信部32は、他の電子機器との通信を実現する。具体的には、通信部32は、ユーザーが作成したメールを送信したり、他の携帯電話機から送信されたメールを受信したり、音声通話用の音声データを送受信したりする。また、本実施形態の通信部32は、あらかじめ記憶部31に記憶された信号を送信することもある。
【0034】
音声処理部33は、マイク12から信号を取得すると共に、レシーバ13及びスピーカ14とのそれぞれに信号を出力する。具体的には、音声処理部33は、マイク12が電気信号に変換した音声データをマイク12から取得する。また、音声処理部33は、レシーバ13とスピーカ14とのうちの少なくとも一方へ信号を出力して、レシーバ13とスピーカ14とのうち信号を送った方に音声を出力させる。表示制御部34は、表示部16に表示させる画像を生成する。そして、表示制御部34は、生成した画像を信号として、表示部16に出力する。また、表示制御部34は、プロジェクタ17から射出される光を調節する。具体的には、表示制御部34は、プロジェクタ17から射出される光に含まれる色や、光の量などを調節して、プロジェクタ17によって表示される画像を調節する。
【0035】
バイブレータ制御部35は、バイブレータ18への電力の供給を開始するタイミングや、バイブレータ18への電力の供給を停止するタイミングを調節する。また、バイブレータ制御部35は、バイブレータ18のモータへ供給する電力の大きさ(例えば、電流の大きさ)を調節することで、バイブレータ18が発生する振動の大きさを調節する。
【0036】
トリガー信号出力部36は、携帯電話機1以外の電子機器Eへ送信される信号を出力する。トリガー信号出力部36が出力する信号をトリガー信号という。携帯電話機1以外の電子機器Eとは、例えば、テレビジョン装置や、オーディオ装置、部屋を照らすための照明器具、パーソナルコンピュータである。トリガー信号とは、これらの装置の動作を制御するための信号である。
【0037】
トリガー信号は、例えば、テレビジョン装置を起動するための信号であったり、オーディオ装置を起動して音を出力させるための信号であったり、照明器具の点灯を開始するための信号であったり、パーソナルコンピュータのロックを開始するための信号である。トリガー信号は、あらかじめ記憶部31に記憶されている。例えば、トリガー信号は、ユーザーによって登録される。ユーザーが携帯電話機1にトリガー信号を登録する方法の一例を説明する。テレビジョン装置を起動するための信号をトリガー信号として登録する場合、ユーザーは、例えば、携帯電話機1が備える赤外線送受信部にテレビジョン装置のリモコンを対向させる。そして、ユーザーは、前記リモコンの起動ボタンを押す。トリガー信号出力部36は、赤外線送受信部から取得した信号を取得する。そして、記憶部31がこの信号をトリガー信号として記憶する。
【0038】
撮像制御部37は、撮像部11の動作を制御する。具体的には、撮像制御部37は、まず、焦点距離検出部11bから焦点距離に対応する検出信号を取得する。そして、撮像制御部37は、この検出信号に基づいて、撮像素子11aによる撮像の焦点を合わせる。主制御部38は、記憶部31から撮像制御部37の各部を統括すると共に、記憶部31から撮像制御部37の各部とは異なる機能を実現する。例えば、主制御部38は、記憶部31から必要な情報を取得したり、記憶部31に情報を記憶させたり、操作部15からユーザーの操作を信号として取得したりする。また、主制御部38は、記憶部31に記憶されている一連の手順(プログラム)を実行したり、前記一連の手順の実行に必要な演算をしたりする。
【0039】
次に、制御部30が防犯モードで実行する一連の手順を説明する。防犯モードとは、防犯を促すための携帯電話機1の動作モードである。記憶部31は、防犯モードを実行するときに用いられる一連の手順として、事前手順と、防犯手順との2つを記憶している。事前手順は、防犯手順よりも前に実行されることがある手順である。本実施形態の携帯電話機1は、制御部30が事前手順を実行するか否かをユーザーが指定できる。すなわち、制御部30は、事前手順を省略して、防犯手順から実行することもできる。まずは、事前手順について説明する。
【0040】
図4は、事前手順を示すフローチャートである。ステップST101で、表示制御部34は、事前手順用の質問画像を表示部16に表示させる。事前手順用の質問画像は、図2に示す撮像領域A内の被写体が、時間の経過によって変化しやすいものであるか否かを問う画像である。例えば、撮像領域A内の被写体が時間の経過と共に移動したり、被写体の影や撮像領域A内に映りこんだ影が時間の経過と共に変形したりする場合、被写体は時間の経過によって変化しやすいものに該当する。表示部16は、例えば、「撮像領域A内の被写体は、時間経過によって見え方が変化しますか?」のようなテキスト画像を表示する。ユーザーは、この事前手順用の質問画像を見て、時間経過によって被写体の見え方が変化するか否かを指定する操作を図1に示す操作部15に入力する。次に、図4に示すステップST102で、主制御部38は、操作部15から取得した信号に基づいて、時間経過によって被写体の見え方が変化するか否かを判定する。
【0041】
図5は、壁に特徴画像が投影された様子を示す説明図である。主制御部38により時間経過によって被写体の見え方が変化すると判定されると(ステップST102、Yes)、制御部30はステップST103へ進む。ステップST103で、表示制御部34は、プロジェクタ17に特徴画像を投影させる。特徴画像とは、図5に示すような画像である。特徴画像は、異なる色同士の境界線が明確な画像である。つまり、特徴画像は、グラデーションのように色が徐々に変化するのではなく、色が急激に変化する画像である。すなわち、特徴画像は、いわゆるエッジが含まれる画像であることが好ましい。
【0042】
主制御部38により時間経過によって被写体の見え方が変化しないと判定される(ステップST102、No)、または、ステップST103を実行すると、制御部30はステップST104へ進む。ステップST104で、撮像制御部37は、撮像素子11aにより被写体を撮像させる。ここで、撮像素子11aによる撮像の焦点を自動で合わせる撮像部、いわゆるオートフォーカス機能を有する撮像部は、撮像素子11aが被写体を撮像しようとすると、焦点距離検出部11bが焦点距離を検出する。これにより、撮像制御部37は、被写体を撮像した画像を撮像素子11aから取得すると共に、焦点距離検出部11bから取得した焦点距離に基づいて焦点距離情報(積算値)を算出できる。ここで、算出された焦点距離情報を第1焦点距離情報とする。なお、撮像制御部37は、ステップST104では撮像素子11aによる被写体の撮像は行わず、焦点距離検出部11bによる第1焦点距離情報の算出のみでもよい。次に、ステップST105で、記憶部31は、第1焦点距離情報を記憶する。ステップST105を実行すると、制御部30は一連の手順の実行を終了する。
【0043】
図6は、実施形態1の防犯手順を示すフローチャートである。ステップST201で、表示制御部34は、防犯手順用の質問画像を表示部16に表示させる。防犯手順用の質問画像は、図4に示すステップST103を実行したか、すなわち、表示制御部34がプロジェクタ17に特徴画像を投影させたか否かを問う画像である。表示部16は、例えば、「特徴画像を投影しましたか?」のようなテキスト画像を表示する。ユーザーは、この防犯手順用の質問画像を見て、事前手順でプロジェクタ17が特徴画像を投影したか否かを指定する操作を図1に示す操作部15に入力する。次に、ステップST202で、主制御部38は、操作部15から取得した信号に基づいて、事前手順でプロジェクタ17が特徴画像を投影したか否かを判定する。
【0044】
ここで、主制御部38は、操作部15から取得した信号に基づいて事前手順でプロジェクタ17が特徴画像を投影したか否かを判定しなくてもよい。例えば、制御部30が事前手順を実行中に、記憶部31は、事前手順でプロジェクタ17が特徴画像を投影したか否かの情報を記憶しておく。主制御部38は、防犯手順で、記憶部31からこの情報を取得して、事前手順でプロジェクタ17が特徴画像を投影したか否かを判定してもよい。この場合、表示制御部34は、ステップST201を省略できる。
【0045】
主制御部38により事前手順でプロジェクタ17が特徴画像を投影したと判定されると(ステップST202、Yes)、制御部30はステップST203へ進む。ステップST203で、撮像制御部37は、プロジェクタ17に事前手順で投影した特徴画像と同じ特徴画像を投影させる。すなわち、表示制御部34は、図4に示す事前手順と同一の手順を実行する。主制御部38により事前手順でプロジェクタ17が特徴画像を投影していないと判定される(ステップST202、No)、または、ステップST203を実行すると、制御部30はステップST204へ進む。ステップST204で、撮像制御部37は、撮像素子11aにより被写体を撮像させる。これにより、撮像制御部37は、被写体を撮像した画像を取得すると共に、焦点距離を取得して第2焦点距離情報を算出する。
【0046】
次に、ステップST205で、記憶部31は、撮像素子11aが撮像した画像と、第2焦点距離情報とを記憶する。次に、ステップST206で、主制御部38は、記憶部31から第1焦点距離情報及び第2焦点距離情報を取得し、第1焦点距離情報から第2焦点距離情報を減算して、積算値同士の差分である変化量ΔSを算出する。ここで、例えば、被写体が壁や、壁に投影された特徴画像であるとする。この場合、第1焦点距離は、焦点距離検出部11bから壁までの距離に設定されている。この状態で、人(不審者)が被写体を遮ると、焦点距離が低下する。これにより、変化量ΔSは、正の値となる。また、例えば、被写体がドアや、ドアに投影された特徴画像であるとする。この場合、第1焦点距離は、焦点距離検出部11bからドアまでの距離に設定されている。この状態で、人(不審者)がドアを開けると、焦点距離が増大する。これにより、変化量ΔSは、負の値となる。いずれの場合であっても、主制御部38は、撮像領域内の被写体の変化として、焦点距離の変化量ΔSを算出する。
【0047】
次に、ステップST207で、主制御部38は、変化量ΔSの絶対値が閾値α以上であるか否かを判定する。なお、閾値αとの比較の対象は、変化量ΔSの絶対値に限定されず、変化量ΔSでもよい。この場合、主制御部38は、変化量ΔSが閾値α以上であるか否かを判定する。以上であるか否かを判定する以下、閾値αについて説明する。
【0048】
図7は、撮像領域に人が進入した様子を示す説明図である。図7に示すように、撮像領域Aに人(例えば不審者)が進入すると、分割領域A1から分割領域A9のうちの少なくとも1つの分割領域での焦点距離が変動する。図7では、分割領域A1と、分割領域A4と、分割領域A7とに、人が含まれる。よって、分割領域A1と、分割領域A4と、分割領域A7とのそれぞれの分割領域での焦点距離が変動する。結果として、人が進入した分割領域での焦点距離情報(積算値)が変動する。閾値αは、このように、人が分割領域に進入したか否かなどを判定できる値である。閾値αは、例えば、実験によってあらかじめ算出されて記憶部31に記憶される。
【0049】
主制御部38により変化量ΔSの絶対値が閾値α以上ではないと判定されると(ステップST207、No)、制御部30はステップST208へ進む。ステップST208で、主制御部38は、ステップST207を実行してからの経過時間tが所定時間t0以上であるか否かを判定する。主制御部38により経過時間tが所定時間t0以上ではないと判定されると(ステップST208、No)、主制御部38は、再度ステップST208を実行する。主制御部38により経過時間tが所定時間t0以上であると判定されると(ステップST208、Yes)、主制御部38は、ステップST202に戻る。すなわち、制御部30は、経過時間tが所定時間t0以上になるまで待機する。そして、制御部30は、所定時間t0毎にステップST202からステップST207を繰り返し実行する。なお、主制御部38は、この待機中に、防犯手順を終了させる操作が図1に示す操作部15に入力されたか否かを判定してもよい。前記操作が操作部15に入力された場合、制御部30は、一連の手順の実行を終了する。
【0050】
本実施形態では、所定時間t0は、一定値である。これにより、制御部30は、一定の時間間隔で人の撮像領域A内への進入の有無を判定する。この一定の所定時間t0が小さいほど、制御部30は、人(不審者)の撮像領域A内への進入の有無を頻繁に判定できる。よって、携帯電話機1は、防犯をより促せる。この場合、表示制御部34は、プロジェクタ17に特徴画像を常時投影させ続けてもよい。この場合、制御部30は、ステップST204からステップST207を繰り返し実行する。一方、この一定の所定時間t0が大きいほど、制御部30は、撮像部11の動作回数を低減できる。結果として、携帯電話機1は、自身(携帯電話機1)が消費する電力量を低減できる。すなわち、携帯電話機1がバッテリーで動作している場合、携帯電話機1は、自身(携帯電話機1)の可動時間の低下を抑制できる。
【0051】
主制御部38により変化量ΔSの絶対値が閾値α以上であると判定されると(ステップST207、Yes)、制御部30はステップST209へ進む。ステップST209で、制御部30は、携帯電話機1が有する各部に防犯動作をさせる。制御部30が各部によって動作させる防犯動作の具体的な一例を説明する。表示制御部34は、防犯動作として、プロジェクタ17から可視光を射出する。この時プロジェクタ17は、可視光を点滅させるように射出してもよい。または、プロジェクタ17は、不審者に警告するテキスト画像を被写体(図2に示す壁91や床)に投影してもよい。
【0052】
表示制御部34は、図7に示す分割領域A1から分割領域A9の分割領域のうち、最も変化量ΔSの絶対値が大きかった領域に向かってプロジェクタ17から光を射出すると好ましい。図7に示す状況の場合、プロジェクタ17は、分割領域A1と、分割領域A4と、分割領域A7とのうちのいずれかに向かって光を射出する。これにより、プロジェクタ17は、人(不審者)に向かって光を射出する。よって、携帯電話機1は、人(不審者)をより驚かせることができる。
【0053】
音声処理部33は、防犯動作として、スピーカ14に警報音を出力させる。また、音声処理部33は、マイク12に音声を集音させてその音声信号をマイク12から取得する。そして、記憶部31がその音声信号(データ)を記録する。バイブレータ制御部35は、バイブレータ18を作動させる。撮像制御部37は、撮像素子11aに撮像領域Aを撮像させる。そして、撮像素子11aが撮像した画像を記憶部31が記憶する。撮像部11が連続的に画像を撮像できる場合、記憶部31に画像が連続的に連なった動画像を記録してもよい。
【0054】
通信部32は、防犯動作として、携帯電話機1以外の所定の電子機器に信号を送る。例えば、通信部32は、あらかじめ登録された携帯電話機にメールを送信したり、警備サービス会社が有する電子機器に警報信号を送信したりする。この時、通信部32は、撮像素子11aが撮像した静止画像や動画像、マイク12から取得した音声信号(データ)を、例えばメールに添付して所定の電子機器に送信すると好ましい。これにより、不審者が撮像されている可能性がある静止画像や動画像、不審者の声が含まれている可能性がある音声信号(データ)を迅速に送信できる。結果として、携帯電話機1は、より迅速に防犯を促せる。
【0055】
また、トリガー信号出力部36は、防犯動作として、携帯電話機1以外の電子機器Eへトリガー信号を出力する。これにより、例えば、テレビジョン装置がトリガー信号を受信すると、テレビジョン装置が起動する。また、オーディオ装置がトリガー信号を受信すると、オーディオ装置が起動して音声を出力する。また、照明器具がトリガー信号を受信すると、照明器具が点灯する。これらの動作により、制御部30は、不審者を驚かすことができる。また、パーソナルコンピュータがトリガー信号を受信すると、パーソナルコンピュータがロックする、すなわち、パーソナルコンピュータが例えばパスワードによって保護される。これにより、制御部30は、パーソナルコンピュータが備える記憶部に記憶された情報を保護できる。なお、ステップST209では、制御部30は防犯動作として上述の複数の動作のうち、少なくとも1つの動作を実行すればよい。
【0056】
次に、ステップST210で、主制御部38は、防犯動作を停止させるための操作が操作部15に入力されたか否かを判定する。防犯動作を停止させるための操作は、例えば、パスワードを入力する操作である。防犯動作を停止させるための操作が操作部15に入力されていないと主制御部38により判定されると(ステップST210、No)、制御部30は、ステップST209へ戻って防犯動作を継続する。防犯動作を停止させるための操作が操作部15に入力されたと主制御部38により判定されると(ステップST210、Yes)、制御部30はステップST211へ進む。ステップST211で、制御部30は、防犯動作を停止して、一連の手順の実行を終了する。
【0057】
上述の一連の手順を制御部30が実行することによって、制御部30は、撮像領域A内の変化、例えば、撮像領域A内への人の侵入の有無を判定し、撮像領域A内へ人が侵入したと判定すると携帯電話機1が備える各部に防犯動作を開始させる。これにより、携帯電話機1は、防犯を促せる。さらに、携帯電話機1は、防犯を促そうとする場所(例えばベランダ)に設置される際に固定される必要もなく、また、有線によるネットワークも必要としない。よって、携帯電話機1を用いれば、ユーザーは、手軽に防犯を実施できる。また、制御部30は、あらかじめ設定された第1焦点距離情報に対して、撮像部11が取得した第2焦点距離情報の変化量の絶対値が閾値α以上になったときに、所定の動作として各部に防犯動作を実行させる。これにより、携帯電話機1は、図7に示すように、焦点距離検出部11bと被写体との間の撮像領域Aに人が進入した場合に、防犯動作を実行できる。
【0058】
また、携帯電話機1は、撮像素子11aによる撮像時に、プロジェクタ17が撮像領域Aに特徴画像を投影する。これにより、例えば、時間の経過と共に撮像領域Aに影が映りこんだ場合であっても、焦点距離検出部11bは、特徴画像を最も特徴がある部分だと認識できる。よって、携帯電話機1は、焦点距離検出部11bが同じ対象(特徴画像)との焦点距離を検出できるため、焦点距離検出部11bの検出値のバラつきを低減できる。なお、プロジェクタ17は、可視光を射出してもよいが、不可視光を射出する方が好ましい。これにより、携帯電話機1は、仮に撮像領域Aの近傍に不審者がいた場合であっても、図6に示すステップST203でのプロジェクタ17による投影を不審者に悟られるおそれを低減できる。
【0059】
また、本実施形態の携帯電話機1は、光射出部としてのプロジェクタ17を備えるが、プロジェクタ17に替えて光射出部としての照明装置を備えてもよい。照明装置は、撮像領域Aに向かって照明用の光を射出する。これにより、照明装置は、時間の経過と共に撮像領域Aに影が映りこんだ場合であっても、この影を照明によって低減できる。以上により、携帯電話機1は、焦点距離検出部11bの検出値のバラつきを低減できる。なお、携帯電話機1は、プロジェクタ17が照明用の光を射出することで、プロジェクタ17を照明装置として機能させてもよい。
【0060】
ここで、本実施形態の所定時間t0は、一定値であるものとして説明したが、所定時間t0は、ランダムな値でもよい。所定時間t0がランダムである場合、制御部30は、ステップST202からステップST207を繰り返す度に、待機時間が変動する。すなわち、制御部30は、ランダムなタイミングで人(不審者)の撮像領域A内への進入の有無を判定する。これにより、携帯電話機1は、仮に不審者が携帯電話機1の存在に気がついたとしても、どのタイミングで人(不審者)の撮像領域A内への進入の有無を制御部30が判定しているかを推測しにくくできる。
【0061】
また、所定時間t0の値が一定値である場合、所定時間t0は、図6に示す防犯手順を実行する度に変動する値であってもよい。例えば、表示制御部34は、ステップST201で、この一定の所定時間t0の値をユーザーに指定させる画像も表示部16に表示させる。ユーザーは、この質問画像を見て、所定時間t0を指定する値を操作部15に入力する。主制御部38は、操作部15から信号を取得し、この信号に基づいて所定時間t0の値を設定する。これにより、携帯電話機1は、ユーザーが所望するタイミングで不審者の撮像領域Aへの進入の有無を判定できる。
【0062】
また、他の態様として、制御部30は、携帯電話機1に外部から電力が供給されているか否かで、所定時間t0の値を変更してもよい。制御部30は、携帯電話機1に外部から電力が供給されている場合、携帯電話機1に外部から電力が供給されていない場合よりも、所定時間t0の値を小さくする。これは、携帯電話機1に外部から電力が供給されている場合は、バッテリーの残量を考慮しなくてもよいためである。これにより、制御部30は、携帯電話機1に外部から電力が供給されている場合に、人(不審者)の撮像領域A内への進入の有無をより頻繁に判定できる。なお、所定時間t0になり得る値には、0が含まれる。所定時間t0が0である場合、携帯電話機1は、人(不審者)の撮像領域A内への進入の有無をさらに頻繁に判定できる。結果として、携帯電話機1は、防犯をさらに促せる。
【0063】
ここで、本実施形態では、第1焦点距離情報は、事前手順で撮像制御部37が算出した情報であるが、第1焦点距離情報は、事前手順で撮像制御部37が算出した情報に限定されない。例えば、第1焦点距離情報は、あらかじめ記憶部31が記憶している第1焦点距離情報でもよい。例えば、図6に示す防犯手順を実行する度に、毎回同じ撮像領域Aを撮像部11が撮像する場合、主制御部38は、第1焦点距離情報として、前回防犯手順を実行した際に記憶部31が記憶した焦点距離情報を用いてもよい。また、撮像制御部37は、図6に示すステップST202からステップST208を繰り返し実行することで、焦点距離情報を複数回算出する。n回目に撮像制御部37が算出した焦点距離情報を第2焦点距離情報とすると、第1焦点距離情報は、直前の回(n−1回目)で撮像制御部37が算出した焦点情報でもよい。この場合、制御部30は、前回の焦点距離情報と、今回の焦点距離情報との差に基づいて、不審者の有無を判定する。これらの場合、制御部30は、事前手順を実行しなくても、不審者の有無を判定できる。
【0064】
また、本実施形態では、記憶部31は、変化量ΔSの絶対値が閾値α以上となったときにステップST204で撮像素子11aによって撮像された画像のみを記憶し、変化量ΔSの絶対値が閾値α未満であったときに撮像素子11aによって撮像された画像は記憶しない。つまり、記憶部31は、図6に示すステップST207でYesと判定された直前のステップST205で記憶された画像はそのまま記憶する。そして、記憶部31は、ステップST207でNoと判定された直前のステップST205で記憶された画像は消去する。これにより、記憶部31は、容量の低下を抑制できる。
【0065】
但し、記憶部31は、変化量ΔSの絶対値が閾値α未満となる直前に撮像素子11aによって撮像された画像も記憶してもよい。例えば、記憶部31は、撮像素子11aが撮像した複数の画像をすべて記憶する。そして、ステップST209で、通信部32は、記憶部31に記憶されている複数の画像の少なくとも一部を送信する。複数の画像の一部とは、変化量ΔSの絶対値が閾値α以上となる前後の所定時間以内に撮像された画像である。これにより、通信部32は、ステップST209に至る直前に撮像素子11aが撮像した画像以外の画像も送信できる。この態様の場合、記憶部31は、ステップST207で、変化量ΔSの絶対値が閾値α未満であったときに撮像素子11aが撮像した画像は、所定時間内に変化量ΔSの絶対値が閾値α以上になることがなければ、所定時間が経過した後に消去してもよい。これにより、記憶部31は、空き容量の低下を抑制できる。
【0066】
(付記項1)
光を射出する光射出部と、
前記光射出部が光を射出した領域内における被写体に対する焦点距離を検出する撮像部と、
あらかじめ設定された第1焦点距離に関する情報に対して、前記撮像部が検出した第2焦点距離に関する情報の変化量が閾値以上になったときに、所定の動作を実行するように制御する制御部と、
を備えた携帯電子機器。
(付記項2)
前記制御部は、防犯モードを制御し、
前記第1焦点距離に関する情報は、前記防犯モードの実行を開始する時に算出される情報である付記項1に記載の携帯電子機器。
(付記項3)
前記光射出部は、光を投影して所定の画像を投影する付記項1または付記項2に記載の携帯電子機器。
(付記項4)
前記制御部は、前記光射出部が投影する前記所定の画像を前記第1焦点距離に関する情報として設定することを特徴とする付記項3に記載の携帯電子機器。
(付記項5)
前記光射出部は、不可視光で前記所定の画像を投影する付記項3または付記項4に記載の携帯電子機器。
(付記項6)
前記撮像部は、ランダムにあるいは一定の時間間隔ごとに、前記焦点距離の検出を行う付記項1から付記項5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
(付記項7)
前記一定の時間間隔は、前記携帯電子機器に外部から電力が供給されている場合には、前記携帯電子機器に外部から電力が供給されていない場合に比較して短く設定されている付記項6に記載の携帯電子機器。
(付記項8)
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記撮像部が撮像した画像を前記記憶部に記憶させる付記項1から付記項7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
(付記項9)
前記記憶部は、前記変化量が閾値以上になったときの前記画像を記憶すると共に、前記変化量が閾値未満のときの前記画像は、あらかじめ前記記憶部に記憶されないように制御される付記項8に記載の携帯電子機器。
(付記項10)
前記記憶部は、前記変化量が閾値未満の前記画像を、所定時間内に前記変化量が閾値以上になることがなければ、前記所定時間経過後に消去するように制御される付記項8に記載の携帯電子機器。
(付記項11)
前記撮像部は、連続的に画像を撮像でき、前記画像は、動画像である付記項1から付記項10のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【0067】
(実施形態2)
図8は、実施形態2の防犯手順を示すフローチャートである。実施形態2の携帯電話機は、実施形態1の携帯電話機1と同様の構成である。但し、実施形態1の携帯電話機1と実施形態2の携帯電話機とでは、制御部30が実行する手順が異なる。実施形態2の制御部30は、焦点距離情報同士の比較ではなく、画像同士の比較によって撮像領域A内への人の進入の有無を判定する点に特徴がある。
【0068】
図8に示すステップST301で、表示制御部34は、図5に示すように、プロジェクタ17によって撮像領域Aの少なくとも一部に特徴画像を投影させる。次に、ステップST302で、撮像制御部37は、撮像素子11aに被写体を撮像させる。次に、ステップST303で、記憶部31は、撮像素子11aが撮像した画像を第1画像として記憶する。なお、本実施形態では、記憶部31は、焦点距離情報は記憶しなくてもよい。
【0069】
次に、ステップST304で、主制御部38は、ステップST303を実行してからの経過時間tが所定時間t0以上であるか否かを判定する。この所定時間t0は、実施形態1の所定時間t0と同様に、ランダムな値でも一定値でもよい。前記所定時間t0がランダムな値である場合に、携帯電話機が奏する効果は実施形態1で説明した効果と同じである。また、所定時間t0が一定値である場合に、携帯電話機が奏する効果は実施形態1で説明した効果と同じである。
【0070】
主制御部38により経過時間tが所定時間t0以上ではないと判定されると(ステップST304、No)、主制御部38は、再度ステップST304を実行する。主制御部38により経過時間tが所定時間t0以上であると判定されると(ステップST304、Yes)、主制御部38は、ステップST305に進む。すなわち、制御部30は、経過時間tが所定時間t0以上になるまで待機する。ステップST305で、撮像制御部37は、プロジェクタ17にステップST301で投影した特徴画像と同じ特徴画像を撮像領域Aに投影させる。すなわち、表示制御部34は、ステップST301と同一の手順を実行する。
【0071】
次に、ステップST306で、撮像制御部37は、撮像素子11aに被写体を撮像させる。次に、ステップST307で、記憶部31は、撮像素子11aが撮像した画像を第2画像として記億する。次に、ステップST308で、主制御部38は、記憶部31から第1画像及び第2画像を取得し、画像解析によって第1画像と第2画像との差である変化量ΔGを算出する。変化量ΔGは、人が撮像領域Aに進入すると、第2画像が変化するために生じる差分である。次に、ステップST309で、主制御部38は、変化量ΔGが閾値β以上であるか否かを判定する。閾値βは、図7に示すように、画像の色成分や、画像に含まれる被写体の形状などで人が撮像領域Aに進入したか否かを判定できる値である。閾値βは、例えば、実験によってあらかじめ算出されて記憶部31に記憶される。
【0072】
主制御部38により変化量ΔGの絶対値が閾値β以上ではないと判定されると(ステップST309、No)、制御部30はステップST310へ進む。ステップST310で、主制御部38は、ステップST309を実行してからの経過時間tが所定時間t0以上であるか否かを判定する。主制御部38により経過時間tが所定時間t0以上ではないと判定されると(ステップST310、No)、主制御部38は、再度ステップST310を実行する。主制御部38により経過時間tが所定時間t0以上であると判定されると(ステップST310、Yes)、表示制御部34は、ステップST305に戻る。すなわち、制御部30は、経過時間tが所定時間t0以上になるまで待機する。そして、制御部30は、所定時間t0毎にステップST305からステップST309を繰り返し実行する。主制御部38は、この待機中に、例えば、防犯手順を終了させる操作が図1に示す操作部15に入力されたか否かを判定してもよい。前記操作が操作部15に入力された場合、制御部30は、一連の手順の実行を終了する。
【0073】
主制御部38により変化量ΔGの絶対値が閾値β以上であると判定されると(ステップST309、Yes)、ステップST311に進む。ステップST311からステップST313の各手順は、図6に示すステップST209からステップST211の各手順と同一の手順であるため説明を省略する。ステップST313を実行すると、制御部30は、一連の手順の実行を終了する。
【0074】
上述の一連の手順を実行することによって、制御部30は、防犯モードの実行を開始する時に撮像される画像を第1画像として取得する。また、プロジェクタ17は、撮像領域Aに光を投影して所定の画像として特徴画像を投影する。また、制御部30は、プロジェクタ17が投影する特徴画像を撮像素子11aに撮像させ、その画像を第1画像として設定する。ここで、プロジェクタ17は、不可視光で特徴画像を投影すると好ましい。これにより、携帯電話機は、仮に撮像領域Aの近傍に不審者がいた場合であっても、ステップST305でのプロジェクタ17による投影を不審者に悟られるおそれを低減できる。
【0075】
また、上述の一連の手順を実行することによって、制御部30は、撮像素子11aが撮像した第2画像を記憶部31に記憶させる。このとき、記憶部31は、変化量ΔGが閾値β以上になったときの第2画像を記憶すると共に、変化量ΔGが閾値β未満ときの第2画像は、あらかじめ記憶部31に記憶しなくてもよい。つまり、記憶部31は、図8に示すステップST309でYesと判定された直前のステップST307で記憶された画像はそのまま記憶する。そして、記憶部31は、ステップST309でNoと判定された直前のステップST307で記憶された画像は消去する。これにより、記憶部31は、残り容量の低下を抑制できる。または、記憶部31は、変化量ΔGが閾値β未満ときの第2画像を、所定時間内に変化量ΔGが閾値β以上になることがなければ、所定時間が経過した後に記憶部31から消去してもよい。これにより、記憶部31は、残り容量の低下を抑制できる。また、撮像素子11aは、連続的に画像を撮像できてもよい。この場合、第1画像及び第2画像は、動画像となる。
【0076】
上記構成の本実施形態の携帯電話機は、実施形態1の携帯電話機1と同一の効果を奏する。さらに、本実施形態の携帯電話機は、画像解析を用いて撮像素子11aが撮像した画像同士を比較するため、画像解析の精度によっては、より精度よく撮像領域A内の不審者の有無を判定できる可能性がある。但し、焦点距離の比較に基づく不審者の有無の判定は、画像解析の比較に基づく不審者の有無の判定よりも、判定に要する時間を短縮できる可能性がある。よって、より迅速に撮像領域A内の不審者の有無を判定するという点では、実施形態1の携帯電話機1が優れることがある。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明に係る携帯電子機器は、防犯機能を有する携帯電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 携帯電話機
10 筐体
11 撮像部
11a 撮像素子
11b 焦点距離検出部
12 マイク
13 レシーバ
14 スピーカ
15 操作部
16 表示部
17 プロジェクタ
18 バイブレータ
30 制御部
31 記憶部
32 通信部
33 音声処理部
34 表示制御部
35 バイブレータ制御部
36 トリガー信号出力部
37 撮像制御部
38 主制御部
91 壁
92 窓
A 撮像領域
A1〜A9 分割領域
E 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する光射出部と、
前記光射出部が光を射出した領域内における被写体に対する焦点距離を検出する撮像部と、
あらかじめ設定された第1焦点距離に関する情報に対して、前記撮像部が検出した第2焦点距離に関する情報の変化量が閾値以上になったときに、所定の動作を実行するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、防犯モードを制御し、
前記第1焦点距離に関する情報は、前記防犯モードの実行を開始する時に検出される焦点距離に関する情報である請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第1焦点距離及び前記第2焦点距離は、前記撮像部による撮像領域を複数に分割した分割領域ごとに検出され、
前記制御部は、前記分割領域ごとに、前記変化量が前記閾値以上であるか否かを判定し、いずれか一つの分割領域での前記変化量が閾値以上であるときには、前記所定の動作を行うように制御する請求項1または請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定の動作として、前記変化量が前記閾値以上になった分割領域に向かって光を射出する請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
光を射出する光射出部と、
前記光射出部が光を射出した領域を含んで撮像する撮像部と、
あらかじめ設定された第1画像と前記撮像部が撮像した第2画像との変化量が閾値以上になったときに、所定の動作を実行するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、防犯モードを制御し、
前記第1画像は、前記防犯モードの実行を開始する時に撮像される画像である請求項5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記光射出部は、光を投影して所定の画像を投影する請求項5または請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記光射出部が投影する前記所定の画像を前記第1画像として設定することを特徴とする請求項7に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記光射出部は、不可視光で前記所定の画像を投影する請求項7または請求項8に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記撮像部は、ランダムにあるいは一定の時間間隔ごとに、前記撮像を行う請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項11】
前記一定の時間間隔は、前記携帯電子機器に外部から電力が供給されている場合には、前記携帯電子機器に外部から電力が供給されていない場合に比較して短く設定されている請求項10に記載の携帯電子機器。
【請求項12】
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記撮像部が撮像した第2画像を前記記憶部に記憶させる請求項5から請求項11のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項13】
前記記憶部は、前記変化量が閾値以上になったときの前記第2画像を記憶すると共に、前記変化量が閾値未満のときの前記第2画像は、あらかじめ前記記憶部に記憶されないように制御される請求項12に記載の携帯電子機器。
【請求項14】
前記記憶部は、前記変化量が閾値未満の前記第2画像を、所定時間内に前記変化量が閾値以上になることがなければ、前記所定時間経過後に消去するように制御される請求項12に記載の携帯電子機器。
【請求項15】
前記撮像部は、連続的に画像を撮像でき、前記第2画像は、動画像である請求項5から請求項14のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項16】
音声を取得する集音部をさらに備え、
前記変化量が閾値以上になったときは、それ以降の音声を集音するように制御する請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項17】
通信部をさらに備え、
前記変化量が閾値以上になったときは、前記通信部により通信が行われる請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−150665(P2011−150665A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13602(P2010−13602)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】