説明

携帯電子機器

【課題】開状態及び閉状態のいずれかにおいても磁流アンテナを動作することができる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電話装置1は、第1導電部25を有する操作部側筐体部2と、第2導電部35を有する表示部側筐体部3と、第1給電部31とを備える。第1導電部25は、開状態において第2導電部35と対向する位置に開放端を有する第1スリット251が形成され、第2導電部35は、開状態において第1スリット251の開放端と対向する位置に開放端を有する第2スリット351が形成される。開状態において、第1スリット251及び第2スリット351により形成される対向領域A1は、第1給電部31により給電されて磁流アンテナとして動作し、閉状態において、第1導電部25と第2導電部35の周縁部は、第1給電部31により給電されて磁流アンテナとして動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを有し外部機器と通信を行う携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器は、小型化・薄型化が進んでおり、また、様々な構成のアンテナが内蔵されている。
例えば、特許文献1では、第1筐体と第2筐体とから構成される折り畳み型の携帯電子機器において、第1筐体内に配置された第1導電部に切欠部を形成し、当該切欠部に給電することにより、切欠部が磁流アンテナとして動作する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−167420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、第1筐体及び第2筐体の互いの表面が露出する開状態においては、切欠部を磁流アンテナとして動作させることができるものの、第1筐体と第2筐体とが積層配置された閉状態において、第1筐体の導電部が、第2筐体の回路基板に重なってしまい、磁流アンテナとして動作させることができない。
【0005】
本発明は、開状態及び閉状態の双方で磁流アンテナを動作させることができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯電子機器は、第1導電部を有する第1筐体と、第2導電部を有する第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とが積層配置された閉状態と、前記閉状態における前記第1筐体及び前記第2筐体の互いの対向面が露出する開状態とを取りうるように前記第1筐体と前記第2筐体とを所定の回転軸を中心に回動可能に連結する連結部と、第1給電部とを備え、前記第1導電部は、前記開状態において前記第2導電部と対向する位置に開放端を有する第1スリットが形成され、前記第2導電部は、前記開状態において前記第1スリットの開放端と対向する位置に開放端を有する第2スリットが形成され、前記開状態において、前記第1導電部と前記第2導電部とは電気的に接続され、前記第1スリット及び前記第2スリットにより形成される領域は、前記第1給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、前記閉状態において、前記第1導電部の一部と前記第2導電部の一部とが電気的に接続され、前記第1導電部と前記第2導電部の周縁部は、前記第1給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する。
【0007】
また、上記携帯電子機器は、基準電位部と、第2給電部とを備え、前記第1筐体に配置される、アンテナエレメントを有し、前記開状態において、前記アンテナエレメントが前記第2給電部に接続されると共に、前記第1導電部及び前記第2導電部が、前記基準電位部に接続されて、前記アンテナエレメントに対するグランドとして機能することで電流アンテナが構成される構成でもよい。
【0008】
また、上記携帯電子機器では、前記第2筐体は、前記閉状態において前記アンテナエレメントと対向する位置に第3導電部を有し、前記閉状態において、前記アンテナエレメントの一端と前記第3導電部の一端とが電気的に接続され、前記アンテナエレメント及び前記第3導電部は、一方が前記第2給電部に接続されると共に他方が前記基準電位部に接続されて、折返しモノポールアンテナを構成する構成でもよい。
【0009】
また、上記携帯電子機器では、第3給電部を備え、前記第3導電部は、前記開状態において前記第3給電部に接続されて電流アンテナとして動作する構成でもよい。
【0010】
また、上記携帯電子機器では、前記第3導電部は、前記第1筐体又は前記第2筐体の前記対向面に配置されるマイク又はレシーバの少なくとも一部を構成する構成でもよい。
【0011】
また、上記携帯電子機器では、前記第1導電部は、前記第1筐体の一部を構成し、前記第2導電部は、前記第2筐体の一部を構成する構成でもよい。
【0012】
また、上記携帯電子機器では、前記第1導電部は、前記第1筐体の前記対向面と反対側の面の一部を構成し、前記第2導電部は、前記第2筐体の前記対向面と反対側の面の一部を構成する構成でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開状態及び閉状態の双方であっても磁流アンテナを動作させることができる携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る携帯電話装置が開状態の場合の外観を示す図である。
【図2】本実施形態に係る携帯電話装置が閉状態の場合の外観を示す図である。
【図3】本実施形態に係る携帯電話装置の開状態における内部構造を示す模式図である。
【図4】本実施形態に係る携帯電話装置の閉状態における内部構造を示す模式図(斜視図)である。
【図5】本実施形態に係る携帯電話装置の閉状態における第1導電部と第2導電部との構造を示す模式図(側面図)である。
【図6】本実施形態に係る携帯電話装置の第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチの動作を説明する図である。
【図7】本実施形態に係る携帯電話装置の第4スイッチ及び第5スイッチの動作を説明する図である。
【図8】本実施形態に係る携帯電話装置の閉状態における第1導電部と第2導電部との構造の別の例を示す模式図(側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る携帯電子機器の一例である携帯電話装置1の外観を示す図である。また、本実施の形態では、携帯電話装置1について説明するが、本発明は携帯電話装置に限定されるものではなく、例えば、本実施形態と同等の形状を有するPHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等であってもよい。
【0016】
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2(第1筐体)と、表示部側筐体部3(第2筐体)と、これら操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを連結する連結部4と、を備えて構成される。
【0017】
操作部側筐体部2は、平面(表面)に、操作部11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定や電話機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作キー15とから構成される。
表示部側筐体部3は、平面(表面)に、携帯電話装置1が備える機能に係る各種表示を行う表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22とを備えて構成される。
【0018】
この携帯電話装置1は、図1に示される状態である開状態と、図2に示される状態である閉状態とに、後述の連結部4により自在に遷移することができる。
閉状態は、操作部側筐体部2の平面と、表示部側筐体部3の平面とが対向する状態で積層配置された状態である、いわゆる折畳み型(クラムシェル型)である。
開状態は、閉状態における操作部側筐体部2及び表示部側筐体部3の互いの対向面が露出する状態、すなわち、操作部側筐体部2の平面と、表示部側筐体部3の平面とが並ぶように配置された状態である。
【0019】
連結部4は、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3とを、所定の回転軸を中心に回動可能に連結する。
【0020】
なお、携帯電話装置1は、上述した以外にも他の構成要素により構成されている。例えば、携帯電話装置1は、図示は省略するが、被写体を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等により構成される撮像部等を備えている。
【0021】
このように構成される携帯電話装置1は、開状態及び閉状態の双方で磁流アンテナを動作させることが可能な構成になっている。以下に、携帯電話装置1の具体的な構成について説明する。
【0022】
図3は、開状態における携帯電話装置1の内部構造を示す模式図である。図4は、閉状態における携帯電話装置1の内部構造を示す模式図(斜視図)である。図5は、閉状態における第1導電部25と第2導電部35との構造を示す模式図(側面図)である。
【0023】
図3に示すように、携帯電話装置1は、操作部側筐体部2に、第1導電部25と、アンテナエレメント26と、第1給電部31と、第2給電部32と、を備える。また、携帯電話装置1は、表示部側筐体部3に、第3給電部33と、第2導電部35と、第3導電部36とを備える。
【0024】
第1導電部25は、操作部側筐体部2の内部であって、操作部側筐体部2の背面側(閉状態における対向面と反対側)に配置され、電気を導通する略直方体形状の板金によって構成されている。なお、第1導電部25は、操作部側筐体部2の背面部を構成する金属ケースでもよい。
第1導電部25は、回路基板(図示省略)に形成される基準電位部(グランドパターン)と導通されており、所定の電位に維持されている。
【0025】
また、第1導電部25は、図3に示すように、開状態において前記第2導電部と対向する位置(連結部4側)に開放端を有する矩形状の第1スリット251が形成されている。
また、第1導電部25は、図5に示すように、アンテナエレメント26側に、操作部側筐体部2の表面側に向かってL字状に突出する第1突出部252を備える。
【0026】
第2導電部35は、表示部側筐体部3の内部であって、表示部側筐体部3の背面側(閉状態における対向面と反対側)に配置され、電気を導通する略直方体形状の板金によって構成されている。なお、第2導電部35は、表示部側筐体部3の背面部を構成する金属ケースでもよい。
第2導電部35には、第1導電部25と同様に、回路基板(図示省略)に形成される基準電位部と導通されており、所定の電位に維持されている。
【0027】
また、第2導電部35は、図3に示すように、開状態において第1導電部25と対向する位置(連結部4側)に開放端を有する矩形状の第2スリット351が形成されている。
また、第2導電部35は、図5に示すように、第1突出部252に対向し、表示部側筐体部3の表面側に向かってL字状に突出する第2突出部353を備える。
【0028】
そして、図3に示すように、開状態において、第1スリット251の開放端側と第2スリット351の開放端側とが近接することにより、第1導電部25と第2導電部35とは、高周波的に結合(電気的に結合)される。この高周波結合によって、第1スリット251及び第2スリット351を構成する第1導電部25の縁部及び第2導電部35の縁部により四方を囲われた対向領域A1が形成される。
【0029】
対向領域A1の長手方向の長さは、所望する波長λに対して、nλ/2(n=1、2、3・・・)であることが好ましい。つまり、第1スリット251及び第2スリット351のそれぞれの長手方向の長さは、開状態において形成される対向領域A1の長手方向の長さがnλ/2(n=1、2、3・・・)となるように形成されることが好ましい。
【0030】
一方、図4及び図5に示すように、第1導電部25と第2導電部35とは、閉状態において離間し、それぞれの連結部4側の端部は、閉状態に比して高周波的な結合度が極めて弱くなるか、もしくは高周波的に結合されない。また、この場合、携帯電話装置1の第1突出部252と第2突出部353とは、近接することによって高周波的に結合される。この高周波結合によって、携帯電話装置1は、第1導電部25の周縁部(平面方向端部)と、第2導電部35の周縁部(平面方向端部)と、第1突出部252と、第2突出部353とに三方を囲われた対向領域A2が形成される。
【0031】
対向領域A2は、コの字状の領域である。そして、対向領域A2を形成する第1導電部25の周縁部の長さと、第2導電部35の周縁部の長さとは、所望する波長λに対して、nλ/2(n=1、2、3・・・)により決定されることが好ましい。
【0032】
図4に示すように、アンテナエレメント26は、コの字型の形状をしている。アンテナエレメント26は、開状態において、第2給電部32により給電されることによって、電流アンテナ(例えば、モノポールアンテナ)として動作する。
【0033】
図4に示すように、第3導電部36は、コの字型の形状をしており、表示部側筐体部3の内部において閉状態でアンテナエレメント26と対向する位置に設けられている。第3導電部36は、開状態において、第3給電部33により給電されることによって、電流アンテナ(例えば、モノポールアンテナ)として動作する。また、第3導電部36は、第2給電部32により給電されてもよい。
【0034】
また、アンテナエレメント26の一端と、第3導電部36の一端とは、閉状態において近接することにより高周波的に結合する。このとき、アンテナエレメント26と第3導電部36とは、いずれか一方が給電され、いずれか他方がグランドに接続されることで、折返しモノポールアンテナを構成する。
【0035】
なお、第3導電部36は、レシーバ22の少なくとも一部(レシーバ22本体及びレシーバ22に接続される信号線)であってもよいし、アンテナエレメント26が表示部側筐体部3に設けられる場合には、操作部側筐体部2に設けられるマイク12の一部であってもよい。
【0036】
第1給電部31は、RF回路(図示省略)等によって構成されている。第1給電部31は、後述の第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の制御に応じて、対向領域A1の長手方向の略中間に位置する第1給電点P1又は対向領域A2のコの字状の周縁部の略中間に位置する第2給電点P2に対して給電することが可能である。第1給電点P1は、対向領域A1を形成する第1導電部25及び第2導電部35のいずれかの縁部(第1スリット251又は第2スリット351の縁部)に位置している。
以下に、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の動作について説明する。
【0037】
図6は、携帯電話装置1の第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の動作を説明する図である。図6(a)は、開状態における各スイッチの状態を示す図であり、図6(b)は、閉状態における各スイッチの状態を示す図である。
【0038】
図6に示すように、携帯電話装置1は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3と、制御部50とを備える。
【0039】
第1スイッチSW1は、制御部50と第1給電部31に接続されている。第1スイッチSW1は、可動接点Aと、固定接点Bと、固定接点Cとを備える。
可動接点Aは、第1給電部31に接続されると共に、制御部50の制御によって、固定接点B又は固定接点Cに接続される。
固定接点Bは、第1給電点P1に接続されると共に、制御部50の制御によって、可動接点Aと接続可能である。
固定接点Cは、第2給電点P2に接続されると共に、制御部50の制御によって、可動接点Aと接続可能である。
【0040】
第2スイッチSW2は、連結部4に設けられており、第1ラインL1を有する。第1ラインL1は、両端にタブ端子を有しており、閉状態において当該タブ端子を介して第1導電部25に接続可能である。すなわち、第2スイッチSW2は、開状態において第1ラインL1と第1導電部25とを開放し、閉状態において第1ラインL1と第1導電部25とを接続する。
【0041】
第3スイッチSW3は、連結部4に設けられており、第2ラインL2を有する。第2ラインL2は、両端にタブ端子を有しており、閉状態において当該タブ端子を介して第2導電部35に接続可能である。すなわち、第3スイッチSW3は、開状態において第2ラインL2と第2導電部35とを開放し、閉状態において第2ラインL2と第2導電部35とを接続する。
【0042】
制御部50は、携帯電話装置1の全体を制御する。この制御部50は、開状態が検出された場合に第1スイッチSW1の可動接点Aを固定接点Bに接続させる。すると、第1給電点P1は、第1給電部31によって給電され、対向領域A1に電界が発生する。よって、対向領域A1は、開状態において磁流アンテナ(いわゆるスロットアンテナやスリットアンテナ)として動作する。
【0043】
また、制御部50は、閉状態が検出された場合に第1スイッチSW1の可動接点Aを固定接点Cに接続させる。すると、第2給電点P2は、第1給電部31によって給電され、対向領域A2に電界が発生する。よって、対向領域A2は、閉状態において磁流アンテナとして動作する。
なお、開状態及び閉状態の検出は、磁気開閉スイッチ等の従来技術を用いて行われ、開状態、閉状態を示す信号が制御部50に供給される。
【0044】
第2給電部32は、RF回路(図示省略)等によって構成されており、後述の第4スイッチSW4の制御に応じて、アンテナエレメント26に対して給電することが可能である。また、第2給電部32は、第1導電部25に接続されている。第1導電部25と第2導電部35とは、開状態において高周波的に結合しており、開状態において、アンテナエレメント26のグランドとして機能する。
第3給電部33は、RF回路(図示省略)等によって構成されており、後述の第5スイッチSW5の制御に応じて、第3導電部36に対して給電することが可能である。
【0045】
図7は、携帯電話装置1の第4スイッチSW4及び第5スイッチSW5の動作を説明する図である。図7(a)は、開状態における各スイッチの状態を示す図であり、図7(b)は、閉状態における各スイッチの状態を示す図である。
【0046】
第4スイッチSW4は、制御部50と第2給電部32に接続されている。第4スイッチSW4は、可動接点Dと、固定接点Eと、固定接点Fとを備える。
可動接点Dは、アンテナエレメント26に接続されると共に、制御部50の制御によって、固定接点E又は固定接点Fに接続される。
固定接点Eは、グランド(第1導電部25)に接続されると共に、制御部50の制御によって、可動接点Dと接続可能である。
固定接点Fは、第2給電部32に接続されると共に、制御部50の制御によって、可動接点Dと接続可能である。
【0047】
第5スイッチSW5は、制御部50と第3給電部33に接続されている。第5スイッチSW5は、可動接点Gと、固定接点Hと、固定接点Iとを備える。
可動接点Gは、第3導電部36に接続されると共に、制御部50の制御によって、固定接点H又は固定接点Iに接続される。
固定接点Hは、グランド(第2導電部35)に接続されると共に、制御部50の制御によって、可動接点Gと接続可能である。
固定接点Iは、第3給電部33に接続されると共に、制御部50の制御によって、可動接点Gと接続可能である。
【0048】
以下に、第4スイッチSW4及び第5スイッチSW5の動作について説明する。
制御部50は、開状態が検出された場合に、第4スイッチSW4の可動接点Dを固定接点Fに接続させる。すると、アンテナエレメント26は、第2給電部32によって給電され、電界が発生する。すなわち、アンテナエレメント26は、開状態において、電流アンテナとして動作する。
【0049】
また、制御部50は、開状態が検出された場合に第5スイッチSW5の可動接点Gを固定接点Iに接続させる。すると、第3導電部36は、第3給電部33によって給電され、電界が発生する。すなわち、第3導電部36は、開状態において、電流アンテナとして動作する。
【0050】
また、制御部50は、閉状態が検出された場合に第4スイッチSW4の可動接点Dを固定接点Fに接続させると共に、第5スイッチSW5の可動接点Gを固定接点Hに接続させる。すると、アンテナエレメント26は、第2給電部32によって給電される。閉状態において、アンテナエレメント26と第3導電部36とは高周波的に結合(電気的に接続)されているため、アンテナエレメント26と第3導電部36とから電界が発生する。すなわち、閉状態において、アンテナエレメント26と第3導電部36とは、第2給電部32によって給電されることによって、折返しモノポールアンテナとして動作する。
【0051】
以上、本実施形態によれば、携帯電話装置1は、開状態において、第1導電部25と第2導電部35とは電気的に接続され、第1スリット251及び第2スリット351により形成される対向領域A1が、第1給電部31により給電されて磁流アンテナとして動作する。また、携帯電話装置1は、閉状態において、第1導電部25の第1突出部252と第2導電部35の第2突出部352とが高周波的に結合され、第1導電部25と前記第2導電部の周縁部である対向領域A2が、第1給電部31により給電されて磁流アンテナとして動作する。
【0052】
よって、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態のいずれかであっても磁流アンテナとして動作することができる。また、携帯電話装置1は、開状態において第1導電部25と第2導電部35が高周波的に結合されるので、第1導電部25と第2導電部35とを電気的に結合させるための部品を削減することができる。
【0053】
また、携帯電話装置1は、開状態において、アンテナエレメント26が第2給電部32により給電されて電流アンテナとして動作し、第1導電部25及び第2導電部35が、開状態においてアンテナエレメント26のグランドとして機能する。
【0054】
このように、第1導電部25と第2導電部35が結合されることによって、グランド結合量が高くなるため、携帯電話装置1は、アンテナエレメント26のアンテナ特性を向上させることができる。
【0055】
また、携帯電話装置1は、閉状態において、アンテナエレメント26の一端と第3導電部36の一端とが電気的に接続され、アンテナエレメント26と第3導電部36とが、折返しモノポールアンテナとして動作する。折返しモノポールアンテナは、折り返さない通常のモノポールアンテナに比べてインピーダンスを高くすることができる。よって、携帯電話装置1は、閉状態において、当該折返しモノポールアンテナを使用することで、モノポールアンテナを使用する場合に比べて、アンテナの周辺の金属や人体への影響を低減することができる。
【0056】
また、携帯電話装置1の第3導電部36は、開状態において、第3給電部33により給電されて電流アンテナとして動作する。よって、携帯電話装置1は、開状態において、対向領域A1を使用した1の磁流アンテナと、アンテナエレメント26及び第3導電部36を使用した2の電流アンテナとを利用することができる。したがって、携帯電話装置1は、これらのアンテナを同一周波数同時空間多重化伝送(MIMO、Multi Input Multi Output)に適用して通信容量を増加させることができる。
【0057】
また、携帯電話装置1の第3導電部36は、マイク又はレシーバの一部を構成する。よって、携帯電話装置1は、新たな部品を必要とすることなく第3導電部36をアンテナとして動作させることができる。
【0058】
また、携帯電話装置1では、第1導電部25は、操作部側筐体部2の一部を構成し、第2導電部35は、表示部側筐体部3の一部を構成する。よって、携帯電話装置1は、操作部側筐体部2及び表示部側筐体部3をアンテナとして動作させることができる。
【0059】
また、携帯電話装置1では、第1導電部25は、操作部側筐体部2の背面側の一部を構成し、第2導電部35は、表示部側筐体部3背面側の一部を構成する。よって、携帯電話装置1は、開状態において、第1導電部25と第2導電部35とが近接することによって、第1導電部25と第2導電部35とを高周波的に結合させることができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0061】
本実施形態では、閉状態において、第1突出部252と第2突出部353とが近接することによって高周波結合されることとしたが、これに限らない。例えば、第1突出部の先端が、閉状態において第2突出部353に導通接触するように形成するようにしてもよい。このようにすることで、携帯電話装置は、図5に示す場合と同様に、閉状態において、第1導電部25の周縁部(平面方向端部)と、第2導電部35の周縁部(平面方向端部)と、第1突出部と、第2突出部353とに三方を囲われた対向領域を形成することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 携帯電話装置
2 操作部側筐体部
3 表示部側筐体部
4 連結部
25 第1導電部
26 アンテナエレメント
31 第1給電部
32 第2給電部
33 第3給電部
35 第2導電部
36 第3導電部
50 制御部
251 第1スリット
252 第1突出部
351 第2スリット
352 第2突出部
A1、A2 対向領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部を有する第1筐体と、
第2導電部を有する第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とが積層配置された閉状態と、前記閉状態における前記第1筐体及び前記第2筐体の互いの対向面が露出する開状態とを取りうるように前記第1筐体と前記第2筐体とを所定の回転軸を中心に回動可能に連結する連結部と、
第1給電部とを備え、
前記第1導電部は、前記開状態において前記第2導電部と対向する位置に開放端を有する第1スリットが形成され、
前記第2導電部は、前記開状態において前記第1スリットの開放端と対向する位置に開放端を有する第2スリットが形成され、
前記開状態において、前記第1導電部と前記第2導電部とは電気的に接続され、前記第1スリット及び前記第2スリットにより形成される領域は、前記第1給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、
前記閉状態において、前記第1導電部の一部と前記第2導電部の一部とが電気的に接続され、前記第1導電部と前記第2導電部の周縁部は、前記第1給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する携帯電子機器。
【請求項2】
基準電位部と、
第2給電部とを備え、
前記第1筐体に配置される、アンテナエレメントを有し、
前記開状態において、前記アンテナエレメントが前記第2給電部に接続されると共に、前記第1導電部及び前記第2導電部が、前記基準電位部に接続されて、前記アンテナエレメントに対するグランドとして機能することで電流アンテナが構成される請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第2筐体は、前記閉状態において前記アンテナエレメントと対向する位置に第3導電部を有し、
前記閉状態において、前記アンテナエレメントの一端と前記第3導電部の一端とが電気的に接続され、前記アンテナエレメント及び前記第3導電部は、一方が前記第2給電部に接続されると共に他方が前記基準電位部に接続されて、折返しモノポールアンテナを構成する請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
第3給電部を備え、
前記第3導電部は、前記開状態において前記第3給電部に接続されて電流アンテナとして動作する請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第3導電部は、前記第1筐体又は前記第2筐体の前記対向面に配置されるマイク又はレシーバの少なくとも一部を構成する請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記第1導電部は、前記第1筐体の一部を構成し、
前記第2導電部は、前記第2筐体の一部を構成する請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記第1導電部は、前記第1筐体の前記対向面と反対側の面の一部を構成し、
前記第2導電部は、前記第2筐体の前記対向面と反対側の面の一部を構成する請求項6に記載の携帯電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205171(P2012−205171A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69319(P2011−69319)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】