説明

携帯電話機、携帯電話機の通信制御方法、及び通信制御プログラム

【課題】 片通話状態が発生した場合に、ユーザの手動で片側通話を解消することができるようにする。
【解決手段】 音声入力部15は、基地局に送信するユーザの通話音声を入力し、増幅要求信号出力部20は、片側通話が発生したとき、入力されたユーザの通話音声の増幅を要求する増幅要求信号を電力増幅制御部21に出力する。電力増幅部22は、ユーザが増幅要求キー19を押下すると、増幅要求信号出力部20から出力された増幅要求信号に従い、基地局に送信するユーザの通話音声を増幅する。音声送信部23は、電力増幅部22により増幅された通話音声をアンテナ24を介して基地局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局との間で電波を用いて無線通信を行う携帯電話機に係り、特に、基地局に通話音声が届かないという片側通話の状態が発生した場合に、この片側通話の状態を効果的に解消するようにした携帯電話機、携帯電話機の出力制御方法、及び携帯電話機の出力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に関しては、従来より、電力の消耗防止及び他の通信回線に対する混信を避けるために、電波による通信状態に応して通信出力を変化させる技術、即ち無線通信機の送信出力制御回路に関する技術が開発されている。
この種の無線通信機の送信出力制御回路では、手動により通信出力を変化させる従来の方法を、自動で行うようにしたものであって、例えば図6に示すように、まずコントローラ75が第2中間周波増幅器65から自動利得コントロール信号(AGC信号)を得ると共に、この信号を基にして受信電界強度を検知する。そして、コントローラ75は、その電界強度の値が所定値以上のとき、電力増幅器72に発振制御信号を出力する。その後、電力増幅器72は、励振段のアンプゲインなどを変化させることにより出力を切り換える、という構成が採られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭61−109246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記無線通信機の送信出力制御回路は、上述した図6に示すように、コントローラ75が第2中間周波増幅器65から自動利得コントロール信号を得て、この信号も基にして受信電界強度を検知し、この検知した受信電界強度を基にして電力増幅器2が通信出力を変化させる構成となっているので、前述した片側通話が発生した場合、コントローラ5が基地局からの受信信号の受信電界強度を検知しても、片側通話の発生を解消することができないという問題点があった。この場合、片側通話が起こる原因は、図7に示すように、携帯電話機の送信電力が小出力であり、基地局の送信電力が大出力であるため、基地局から携帯電話機に通話音声が送信可能でも、携帯電話機から基地局に通話音声が届かないことに起因している。
【0004】
本発明は、上述した不都合を改善し、片側通話が発生した場合に、ユーザ側の操作により当該片側通話の状態を有効に解消することが可能な携帯電話機、携帯電話機の通信制御方法、及び携帯電話機の通信制御プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明にかかる携帯電話機では、ユーザの通話音声を入力する通話音声入力部と、入力された通話音声を電気信号に変換し基地局へ向けて送信出力する通話音声送信回路部とを備え、前記基地局との間で電波を用いて無線通信を行う携帯電話機において、前述した通話音声送信回路部が備えている音声信号増幅回路を、増幅度の可変設定が可能な増幅度可変設定機能を備えた構成とする。更に、前述した音声信号増幅回路には、ユーザ側の通話音声が基地局側に届かない片通話状態が発生した場合に機能させて当該音声信号増幅回路の増幅度を大きく可変設定する増幅度可変設定回路を併設する。そして、この増幅度可変設定回路に、前述した音声信号増幅回路の増幅度を外部操作により可変設定する外部操作手段を装備する、という構成をその基本的な構成として採用している(請求項1乃至4)。
【0006】
このため、本発明によると、ユーザにより外部操作手段が外部操作されると、前述した増幅度可変設定回路から増幅要求信号が出力され、これに基づいて音声信号増幅回路の増幅度が大きく可変設定される。このため、片通話状態が発生した場合に、ユーザによる外部操作(手動)によって当該片通話状態を有効に解消することができる。
【0007】
ここで、前述した増幅度可変設定回路を、前述した通話音声送信回路部が備えている音声信号増幅回路(電力増幅部)に出力電力を増減制御する電力増幅制御部と、この電力増幅制御部に対して前記音声信号増幅回路の出力増大を指令する要求信号出力部とを備えた構成とし、前述した外部操作手段を、前記要求信号出力部の動作をオン/オフ制御する動作制御機能を備えた構成としてもよい(請求項2)。
【0008】
又、前述した増幅度可変設定回路については、外部操作手段の単位時間当たりの操作回数に比例して増幅度の大きさを設定する第1の増幅度可変設定機能を備えた構成としてもよい(請求項3)。或いは、この増幅度可変設定回路については、前述した外部操作手段の継続操作の時間に比例して増幅度の大きさを設定する第2の増幅度可変設定機能を備えた構成としてもよい(請求項4)。
このようにすると、ユーザは外部操作手段を介して外部操作することにより、前述した片通話状態を有効に解消することができるばかりでなく、先方に対する通話音声の送信レベルの大きさを適度に設定することができて都合がよい。
【0009】
更に、本発明のかかる携帯電話機の通信制御方法では、基地局との間で電波を用いて無線通信を行う携帯電話機の通信制御方法において、前述した基地局に送信するユーザの通話音声を入力する通話音声入力工程と、基地局に携帯電話機からの通話音声が届かない片側通話状態が発生した場合に所定の外部操作手段の操作によって前記ユーザの通話音声に対する増幅度の増大を要求するための増幅要求信号を出力する増幅要求信号出力工程と、この出力された前記増幅要求信号に従って前記基地局に送信するユーザの通話音声を増幅する通話音声信号増幅工程と、を備えた構成とした(請求項5)。
このため、本発明によると、通話中に片通話状態が発生した場合、外部操作手段をユーザが操作することにより、当該片通話状態を有効に解消することができる。
【0010】
ここで、前述した増幅要求出力工程にて出力する増幅要求信号は、ユーザが外部操作手段の操作(押下した)回数又は継続操作時間(押下時間)の大小に対応して前記基地局に送信する通話音声信号の増幅度の大きさを設定する増幅度設定情報を備えた構成としてもよい(請求項6)。このため、これによると、ユーザの個人的判断で先方に対して通話音声を大小自在に可変設定することができるという利点がある。
【0011】
又、本発明にかかる携帯電話機の通信制御プログラムでは、基地局との間で電波を用いて無線通信を行う携帯電話機の通信制御用のコンピュータプログラムであって、前述した基地局に送信するユーザの通話音声を入力する手順、 前記基地局に携帯電話機からの通話音声が届かない片通話状態が発生した場合に、外部操作手段が操作されるとこれに対応して前記ユーザの通話音声に対する増幅度を増大させるための増幅要求信号を出力する手順、および、出力された前記増幅要求信号に従って前記基地局に送信するユーザの通話音声の増幅度を大きく設定する手順、および増幅された前記通話音声を前記基地局に送信する手順、をコンピュータに実行させるように構成した(請求項7)。
このため、これによると、片通話状態の発生に対して、ユーザによる外部操作手段の操作によって本プログラムが有効に作動し、当該発生した片通話状態を有効に解除すことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上にように本発明によると、片通話状態が発生した場合、ユーザにより外部操作手段が外部操作されると、前述した増幅度可変設定回路から増幅要求信号が出力され、これに基づいて音声信号増幅回路の増幅度が大きく可変設定される。このため、片通話状態が発生した場合に、ユーザによる外部操作(手動)によって当該片通話状態を有効に解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、本実施形態における携帯電話機1の通話音声処理系のブロック図を示す。この図1に示すように、携帯電話機1は、ユーザの通話音声を入力する通話音声入力部15と、入力された通話音声を電気信号に変換し基地局2へ向けて送信出力する通話音声送信回路部1Aとを備え、基地局2との間で電波を用いて無線通信を行い得るように構成されている。
この携帯電話機1は、前述した基地局2から受信した通話音声にかかる情報を音声信号に変換し外部(ユーザ側)へ出力する受信音声出力機能を有する通話音声受信回路部1Aと、通話音声入力部15に入力される通話音声をアンテナ24を介して基地局2へ送信する通話音声送信回路部1Bとを備えている。
【0014】
前述した通話音声受信回路部1Aは、基地局2から送信されてくる音声信号を受信する音声受信部11と、受信された音声信号を復調する搬送波除去回路12と、この復調された音声信号を増幅する音声信号増幅部13と、この増幅された音声信号を通話音声として外部出力する音声出力部14とを備えている。そして、これら各構成要素によって基地局2から受信した通話音声にかかる情報を音声信号に変換し通話音声として外部出力することができるようになっている(受信音声出力機能の実行)。
【0015】
前述した音声受信部11は、基地局から無線通信で送信されてきた通話音声をアンテナ24を介して受信する。搬送波除去部(復調回路)12は、音声受信部11で受信した通話音声の音声信号から搬送波及びノイズ信号を除去して音声信号のみを取り出す。増幅器13は、搬送波除去部12により取り出された通話音声の音声信号を所定のゲインで増幅する。又、音声出力部14は、例えばスピーカであって増幅された通話音声を出力する機能を備えている。
【0016】
又、前述した通話音声送信回路部1Bは、前述した通話音声入力部15から入力された通話音声を電気信号に変換する音声信号生成部16と、この音声信号生成部16から出力される通話音声信号を予め別に装備された搬送波発生回路17から出力される搬送波に乗せる(変調する)信号合成回路18と、この信号合成回路18から出力される音声送信信号を増幅する前述した音声信号増幅回路22と、増幅された音声送信信号をアンテナ24から前述した基地局2へ向けて送信する音声送信部23とを備えている。
【0017】
前述した音声信号生成部16は、前述した音声入力部15に入力された通話音声を搬送波に重畳するための音声信号を生成する機能を備えている。搬送波発生回路17は、音声信号を無線通信で送信するための搬送波を発生する機能を備えている。信号合成部18は、搬送波発生部17により発生された搬送波の信号と音声信号生成部16により生成された通話音声の音声信号とを重畳(変調)した音声送信信号を生成する機能を備えている。又、前述した音声入力部15は、マイクであって、図2に示す通話音声入力段に配置され、基地局2を介して相手の携帯電話に送信するための通話音声を入力する。
【0018】
ここで、携帯電話機1の前述した通話音声送信回路部1Bが備えている音声信号増幅回路22は、増幅度の可変設定が可能な増幅度可変設定機能を備えた構成となっている。
この音声信号増幅回路22には、ユーザ側の通話音声が基地局2側に届かない片通話状態が発生した場合に機能し若しくは外部操作によって機能させて当該音声信号増幅回路22の増幅度を大きく可変設定する増幅度可変設定回路1Cが併設されている。そして、この増幅度可変設定回路1Cには、前述した音声信号増幅回路22の増幅度を外部操作により可変設定する増幅要求キーとしての外部操作手段19が装備されている。
【0019】
このため、上記実施形態にあっては、ユーザによって外部操作手段(増幅要求キー)19が外部操作されると、前述した増幅度可変設定回路1Cから増幅要求信号が出力され、これに基づいて音声信号増幅回路22の増幅度が大きく可変設定される。このため、基地局2からの通話音声を得ることはできるが当該基地局に対しては携帯電話機1側からは通話音声が届かないという片通話状態が発生した場合に、ユーザによって外部操作手段19を外部操作(手動)することにより、当該増幅度可変設定回路1Cが有効に機能して音声信号増幅回路22の増幅度が有効に可変設定され、これにより、当該片通話状態が有効に解消されることとなる。
【0020】
前述した増幅度可変設定回路1Cは、上述した通話音声送信回路部1Aが備えている音声信号増幅回路(電力増幅部)22に出力電力を増減制御する電力増幅制御部21と、この電力増幅制御部21に対して前記音声信号増幅回路22の出力増大を指令する要求信号出力部20とを備えて構成されている。又、前述した外部操作手段19は、前述した要求信号出力部20の動作をオン/オフ制御する動作制御機能を備えている。この外部操作手段19(増幅要求キー)は、本実施形態ではオン/オフ動作可能な押ボタンスイッチ(キースイッチ)によって構成されている。
このため、携帯電話機1で通話中に前述した片通話状態が発生した場合には、ユーザは、外部操作手段19(増幅要求キー)をオン/オフ操作することにより、当該片通話状態をリアルタイムで且つ迅速に解消することができるという利点が生じる。
【0021】
ここで、前述した増幅度可変設定回路1Cについては、前述した外部操作手段19の単位時間当たりの操作回数に比例して増幅度の大きさを設定する第1の増幅度可変設定機能を備えた構成としてもよい。又、この増幅度可変設定回路1Cについては、前述した外部操作手段19の継続操作の時間に比例して増幅度の大きさを設定する第2の増幅度可変設定機能を備えた構成としてもよい。
このようにすると、外部操作手段19の操作の態様をユーザの適性に合わせて種々の異なった設定をすることができ、かかる点において使用者の適性若しくは感性を重視した外部操作手段19を備えた携帯電話を提供することができるという利点がある。
【0022】
ここで、前述した携帯電話機1の前述した通話音声送信回路部1Aおよび増幅度可変設定回路1Cについては、上記実施形態の内容と同等に機能する携帯電話機用の通信制御プログラムを、図示しないCPUに併設されたメモリに予め記憶しておき、これを当該CPUを装備したコンピュータにより実行するように構成してもよい。
【0023】
前述した携帯電話機1の外部操作手段(増幅要求キー)19は、図2に示すように、被写体を撮影するための撮影キー30の上に配置され、片通話状態が発生した場合に、当該片通話状態を解消するためにユーザにより押下操作される。そして、ユーザにより押下されると、前述した増幅度可変設定回路1Cの増幅要求信号出力部20からユーザの通話音声の増幅を要求する増幅要求信号を出力させる。
【0024】
増幅要求信号出力部20は、外部操作手段(増幅要求キー)19の押下により上記増幅要求信号を電力増幅制御部21に出力する。また、増幅要求信号出力部20は、ユーザが外部操作手段(増幅要求キー)19を押下した回数に基づき、基地局に送信する通話音声信号の増幅の大きさを異にする増幅要求信号を出力する。例えば、増幅要求信号出力部20は、外部操作手段(増幅要求キー)19が2回押下された場合には、1回押下された場合に比べ、通話音声信号の増幅率を2倍にする増幅要求信号を出力し、また、増幅要求キー19が3回押下された場合には、1回押下された場合に比べ、通話音声信号の増幅率を3倍にする増幅要求信号を出力する。
【0025】
電力増幅制御部21は、入力された増幅要求信号の内容を調べ、増幅要求信号に基づいた増幅率で、信号合成部18から出力した上記音声送信信号を増幅させる指示を電力増幅部22に出力する。電力増幅部22は、電力増幅制御部21から入力された上記指示に従い、音声送信信号の電力を増幅する。音声送信部23は、電力を増幅した音声送信信号をアンテナ24を介して無線で基地局に送信する。
【0026】
次に、上記実施形態の動作を、通話音声を送信する場合と受信する場合とに分けて説明する。
【0027】
図3は通話音声を送信する場合における本発明に係る携帯電話機1の動作を示すフローチャートである。
この場合、携帯電話機1は、基地局2を介して他の携帯電話機に送信する通話音声がある否かを判定し(ステップ100)、送信する通話音声がないと判定した場合(ステップ100;NO)には処理を終了する。一方、送信する通話音声があると判定した場合には(ステップ100;YES)、増幅要求信号出力部20が、外部操作手段(増幅要求キー)19が押下されたか否かを判定する(ステップ101)。増幅要求信号出力部20は、増幅要求キー19が押下されていないと判定された場合には(ステップ101;NO)、音声入力部15にユーザが発声した通話音声を入力させる(ステップ102)。次に、音声入力部15は、通話音声を音声信号出力部16に出力する。
【0028】
音声信号生成部16は、入力されたユーザが発声した通話音声を搬送波に重畳する音声信号を生成し(ステップ103)、生成した通話音声の音声信号を信号合成部18に出力する。信号合成部18は、搬送波発生部17から出力されている搬送波の搬送波信号と、音声信号生成部16から入力された通話音声の音声信号とを重畳し音声送信信号を生成し(ステップ104)、この音声送信信号を電力増幅部22に出力する。
【0029】
その後、電力増幅部22は、入力された音声送信信号を、電力増幅制御部21から指示された所定の増幅率で増幅し(ステップ105)、増幅した音声送信信号を音声送信部23に出力する。音声送信部23は、増幅した音声送信信号をアンテナ24を介して無線通信により、基地局に送信し(ステップ106)、ステップ100に処理を移行し、上述したと同様な処理を続行する。
又、ステップ101において、増幅要求キー19が押下されたと判定された場合には(ステップ100;YES)、増幅要求信号出力部20は、外部操作手段(増幅要求キー)19が押下された回数を検知する。
【0030】
増幅要求信号出力部20は、外部操作手段(増幅要求キー)19が押下された回数を検知すると、ユーザが増幅要求キー19を押下した回数に基づき、基地局に送信する通話音声信号の増幅の大きさを異にする増幅要求信号を電力増幅制御部21に出力する(ステップ107)。例えば、増幅要求信号出力部20は、外部操作手段(増幅要求キー)19が3回押下された場合には、1回押下された場合に比べ、通話音声信号の増幅率を3倍にする増幅要求信号を出力する。
【0031】
電力増幅制御部21は、増幅要求信号出力部20から入力された増幅要求信号の内容を調べ、増幅要求信号に基づいた増幅率で、信号合成部18から出力した音声送信信号を増幅させる指示を電力増幅部22に出力し(ステップ108)、ステップ105に処理を移行し、上述したと同様な処理を続行する。
【0032】
図4は通話音声を受信する場合における本実施形態に係る携帯電話機1の動作を示すフローチャートである。
この場合、携帯電話機1は、基地局2を介して他の携帯電話機から受信した通話音声がある否かを判定し(ステップ200)、受信した通話音声がないと判定した場合(ステップ200;NO)には、処理を終了する。一方、携帯電話機1は、受信した通話音声があると判定した場合には(ステップ200;YES)、音声受信部11が、基地局2から無線通信で送信されてきた通話音声をアンテナ24を介して受信し(ステップ201)、受信した通話音声を搬送波除去部12に出力する。搬送波除去部12は、通話音声の音声信号から搬送波及びノイズを除去し、音声信号のみを取り出し(ステップ202)、この音声信号を増幅器13に出力する。
【0033】
増幅器13は、搬送波除去部12により取り出された通話音声の音声信号を所定のゲインで増幅し(ステップ203)、増幅した音声信号を音声出力部14に出力する。音声出力部14は、入力された増幅された音声信号を出力することで、基地局を介して受信した他の携帯電話機からの通話音声を出力する(ステップ204)。
【0034】
この実施形態によれば、片通話状態が発生した場合に、図5に示すように、ユーザにより外部操作手段(増幅要求キー)19が押下されると、増幅要求信号出力部20から通話音声を増幅を要求する信号を出力させるので、基地局に出力する通話音声の電波が増強され、片通話状態を解消することができる。
【0035】
この実施形態によれば、増幅要求キー19の押下回数により通話音声の増幅の大きさをユーザ自身が制御することが可能であるので、ユーザが希望するように通話音声の増幅を行うことができる。
【0036】
本発明に係る実施形態の携帯電話機は、増幅要求信号出力部20が、ユーザが外部操作手段(増幅要求キー)19を押下した回数に基づき、基地局に送信する通話音声信号の増幅の大きさを異にする増幅要求信号を出力するという構成になっているが、これ以外として、外部操作手段(増幅要求キー)19の押下時間に応じて、基地局に送信する通話音声信号の増幅の大きさを異にする増幅要求信号を出力するような構成にしてもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態にあっては、ユーザによって外部操作手段(増幅要求キー)19が外部操作されると、前述した増幅度可変設定回路1Cから増幅要求信号が出力され、これに基づいて音声信号増幅回路22の増幅度が大きく可変設定されため、基地局2からの通話音声を得ることはできるが当該基地局に対しては携帯電話機1側からは通話音声が届かないという片通話状態が発生した場合に、ユーザによって外部操作手段19を外部操作(手動)することにより、当該増幅度可変設定回路1Cが有効に機能して音声信号増幅回路22の増幅度が有効に可変設定され、これにより、当該片通話状態が有効に解消されることとなる。
【0038】
又、前述した外部操作手段(増幅要求キー)19は、前述した要求信号出力部20の動作をオン/オフ制御する動作制御機能を備えていることから、携帯電話機1で通話中に前述した片通話状態が発生した場合には、ユーザは、外部操作手段(増幅要求キー)19をオン/オフ操作することにより、当該片通話状態をリアルタイムで且つ迅速に解消することができる。
【0039】
更に、前述した増幅度可変設定回路1Cについては、前述したように外部操作手段(増幅要求キー)19の操作回数に比例して増幅度の大きさを設定する第1の増幅度可変設定機能を、又、前述した外部操作手段(増幅要求キー)19の継続操作の時間に比例して増幅度の大きさを設定する第2の増幅度可変設定機能を備えたので、外部操作手段19の操作の態様をユーザの適性に合わせて種々の異なった形態に設定をすることができ、かかる点において使用者の適性若しくは感性を重視した外部操作手段(増幅要求キー)19を備えた携帯電話を提供することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1中に開示した外部操作手段(増幅要求キー)の配置箇所を示す説明図である。
【図3】図1に開示した実施形態の動作形態を示すフローチャートである。
【図4】図1に開示した実施形態の他の動作形態を示すフローチャートである。
【図5】図1に開示した実施形態における携帯電話機の効能を示す説明図である。
【図6】従来の携帯電話等の無線通信機器の構成を示す回路図である。
【図7】片通話状態の発生を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 携帯電話機
1A 通話音声受信回路部
1B 通話音声送信回路部
1C 増幅度可変設定回路
11 音声受信部
12 搬送波除去部(復調回路)
13 増幅部
14 音声出力部
15 音声入力部(通話音声入力部)
16 音声信号生成部
17 搬送波発生部
18 信号合成部(変調回路)
19 増幅要求キー(外部操作手段)
20 増幅要求信号出力部
21 電力増幅制御部
22 電力増幅部(音声信号増幅回路)
23 音声送信部
24 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの通話音声を入力する通話音声入力部と、入力された通話音声を電気信号に変換し基地局へ向けて送信出力する通話音声送信回路部とを備え、前記基地局との間で電波を用いて無線通信を行う携帯電話機において、
前記通話音声送信回路部が備えている音声信号増幅回路を、増幅度の可変設定が可能な増幅度可変設定機能を備えた構成とすると共に、
この音声信号増幅回路に、前記ユーザ側の通話音声が基地局側に届かない片通話状態が発生した場合に機能させて前記音声信号増幅回路の増幅度を大きく可変設定する増幅度可変設定回路を併設し、
この増幅度可変設定回路に、前記音声信号増幅回路の増幅度を外部操作により可変設定する外部操作手段を装備したことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記請求項1に記載の携帯電話機において、
前記増幅度可変設定回路を、前記通話音声送信回路部が備えている音声信号増幅回路に出力電力を増減制御する電力増幅制御部と、この電力増幅制御部に対して前記音声信号増幅回路の出力増大を指令する要求信号出力部とを備えた構成とし、
前記外部操作手段が、前記要求信号出力部の動作をオン/オフ制御する動作制御機能を備えていることを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の携帯電話機において、
前記増幅度可変設定回路は、前記外部操作手段の単位時間当たりの操作回数に比例して増幅度の大きさを設定する第1の増幅度可変設定機能を備えていることを特徴とした携帯電話機。
【請求項4】
前記請求項1又は2に記載の携帯電話機において、
前記増幅度可変設定回路は、前記外部操作手段の継続操作の時間に比例して増幅度の大きさを設定する第2の増幅度可変設定機能を備えていることを特徴とした携帯電話機。
【請求項5】
基地局との間で電波を用いて無線通信を行う携帯電話機の通信制御方法において、
基地局に送信するユーザの通話音声を入力する通話音声入力工程と、
前記基地局に携帯電話機からの通話音声が届かない片側通話状態が発生した場合に所定の外部操作手段の操作によって前記ユーザの通話音声に対する増幅度の増大を要求するための増幅要求信号を出力する増幅要求信号出力工程と、
この出力された前記増幅要求信号に従って前記基地局に送信するユーザの通話音声を増幅する通話音声信号増幅工程と、
を備えていることを特徴とした携帯電話機の通信制御方法。
【請求項6】
請求項5記載の携帯電話機の通信制御方法において、
前記増幅要求出力工程にて出力する前記増幅要求信号は、ユーザが外部操作手段の操作(押下した)回数又は継続操作時間(押下時間)に対応して前記基地局に送信する通話音声信号の増幅度の大きさを設定する増幅度設定情報を備えていることを特徴とした携帯電話機の通信制御方法。
【請求項7】
基地局との間で電波を用いて無線通信を行う携帯電話機の通信制御プログラムであって、
前記基地局に送信するユーザの通話音声を入力する手順、
前記基地局に携帯電話機からの通話音声が届かない片側通話状態が発生した場合に所定の外部操作手段の操作によって前記ユーザの通話音声に対する増幅度の増大を要求するための増幅要求信号を出力する手順、
出力された前記増幅要求信号に従って前記基地局に送信するユーザの通話音声を増幅する手順、および増幅された前記通話音声を前記基地局に送信する手順、
をコンピュータに実行させる携帯電話機の通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−60227(P2007−60227A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242425(P2005−242425)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】