説明

携帯電話機用充電器

【課題】小型軽量で、携帯に便利な携帯電話機用充電器を提供する。
【解決手段】携帯電話機24の端子25に接続される携帯電話機用充電器において、乾電池14を収納可能な乾電池ボックス11と、乾電池ボックス11に突没可能に収納され、外側端部に携帯電話機24の端子25に接続されるコネクタ部26を有するコネクタ本体12と、コネクタ本体12の内側端部及び乾電池ボックス11の内部に設けられ、該乾電池ボックス11に乾電池14を収納したとき該乾電池14の電極と導通状態に接続される接触部19,23とからなり、乾電池ボックス11に乾電池14を収納しない空の状態においてはコネクタ部26を含むコネクタ本体12の全体が乾電池ボックス11に没入され、乾電池ボックス11に乾電池14を収納した状態においてはコネクタ部26が携帯電話機24の端子25に接続可能に乾電池ボックス11から突出されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機に内蔵された電池が消耗したとき、携帯電話機の端子に接続することにより充電できる携帯電話機用充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に内蔵された電池は充電可能であるが、電池が消耗していても充電を忘れたり、長時間の通信・通話によって使用中に電池が消耗して通信・通話不能になって不便を感じることがある。このような場合に携帯電話機の端子に接続することにより通信・通話できるとともに、充電できる携帯電話機用充電器が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
特許文献1は、乾電池が収納される充電器本体としてのケースと、このケースに着脱自在に結合してケースを閉塞するカバーとからなり、ケースの内底部に乾電池の一方の電極と接触する第1電池端子を設け、カバーに乾電池の他方の電極と接触する第2電池端子及び携帯電話機の端子に接続されるコネクタを設けた携帯電話機用充電器である。
【0004】
特許文献2は、乾電池が収納される充電器本体の端部に外部に向かって開口するコネクタ挿入孔が設けられ、このコネクタ挿入孔に充電器側端子部を備えたコネクタが挿脱可能に設けられている。このコネクタは種々の携帯電話機の電源端子に対応する携帯側端子部を有する複数の種類からなり、コネクタを充電器本体のコネクタ挿入孔に選択的に挿入することにより、複数種類の携帯電話機の充電に利用できるようにしたものである。
【特許文献1】特開2005−20867号公報
【特許文献2】特開2006−6095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の携帯電話機用充電器は、いずれも充電器本体が複数本の乾電池の全体を包容する構造であり、この充電器本体の長手方向の一端部に携帯電話機の電源端子に接続されるコネクタが突出して設けられている。従って、充電器全体が大きくなって嵩張り、しかも充電器本体に複数本の乾電池が収納されているために重くなり、出張や旅行に携帯するにしても不便である。
【0006】
本発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、小型軽量で、携帯に便利な携帯電話機用充電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、請求項1は、携帯電話機の端子に接続される携帯電話機用充電器において、乾電池を収納可能な乾電池ボックスと、前記乾電池ボックスに突没可能に収納され、外側端部に前記携帯電話機の端子に接続されるコネクタ部を有するコネクタ本体と、前記コネクタ本体の内側端部及び前記乾電池ボックスの内部に設けられ、該乾電池ボックスに乾電池を収納したとき該乾電池の電極と導通状態に接続される接触部とからなり、前記乾電池ボックスに乾電池を収納しない空の状態においては前記コネクタ部を含むコネクタ本体の全体が前記乾電池ボックスに没入され、前記乾電池ボックスに乾電池を収納した状態においては前記コネクタ部が前記携帯電話機の端子に接続可能に前記乾電池ボックスから突出されることを特徴とする。
【0008】
請求項2は、請求項1において、前記乾電池ボックスと前記コネクタ本体には係合手段を有し、前記乾電池ボックスに対して前記コネクタ本体を所定の位置まで突出したとき互いに係合するとともに、前記コネクタ本体は、前記乾電池ボックスに対して完全に没入したとき、全長の略1/2の長さに短縮することを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項1の前記乾電池ボックス及びコネクタ本体は、合成樹脂成形品であり、合成樹脂の弾性を利用して互いに嵌合結合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項1の前記コネクタ本体には前記乾電池ボックスに対して突没する際の指掛け部を有し、この指掛け部にストラップ用穴を設け、充電器を携帯電話機に吊下げ可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯電話機に内蔵された電池が消耗したとき、携帯電話機の端子に接続することにより充電できる。また、充電器が小型軽量であり、特に乾電池ボックスから乾電池を抜いたときには、乾電池が収納された状態より充電器全体が略1/2の大きさになり、携帯電話機にストラップアクセサリーとして吊下げて携帯できる。
【0012】
さらに、乾電池ボックスから乾電池を抜いたときには電池ボックスの内部にコネクタ部を含むコネクタ本体の全体が納まるため、携帯時にコネクタ部が障害物と干渉することはなく、コネクタ部の破損を未然に防止できる。
【0013】
また、乾電池ボックス及びコネクタ本体は、合成樹脂の弾性を利用して互いに嵌合結合されるため、組立て時に締付けねじ等が不要となり、組立て作業性の向上とコストダウンを図ることができる。
【0014】
さらに、コネクタ本体の指掛け部にストラップ用穴を有しているため、ストラップ用穴を別途設けることなく、充電器を携帯電話機に吊下げ可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1及び図2は、携帯電話機用充電器の斜視図、図3は乾電池ボックスから乾電池を抜き取った状態の斜視図、図4は乾電池ボックスにコネクタ本体を没入した状態の斜視図、図5は乾電池ボックスとコネクタ本体とを分解した状態の縦断側面図、図6は充電器を携帯電話機にストラップアクセサリーとして吊下げた状態の斜視図である。
【0017】
携帯電話機用充電器10は、図1〜図5に示すように、乾電池ボックス11とコネクタ本体12とから構成されている。乾電池ボックス11は合成樹脂材料によって一体に成形された成形品であり、一端に開口部13を有して矩形状に形成されている。乾電池ボックス11には、開口部13から単4の乾電池14を平行に並べた状態で挿入できる大きさであり、その深さは単4の乾電池14の長さより若干浅く形成されている。
【0018】
乾電池ボックス11の前後両側部における開口部13側には係合手段を構成する係合爪15が内側に突出して設けられている。さらに、乾電池ボックス11の一側部には開口部13から底部16に向かってスリット17が設けられ、他側部には開口部13から底部16に向かって凹溝18が設けられている。また、乾電池ボックス11の底部16には乾電池14の陽極と陰極に接触するコイルばねからなる接触部19が設けられている。
【0019】
前記コネクタ本体12は第1の部材20と、この第1の部材20に対してヒンジ部21によって回動自在に枢支された第2の部材22とから構成されている。第1及び第2の部材20,22はそれぞれ合成樹脂材料によって一体に成形され、第1の部材20は乾電池ボックス11の内部に開口部13から挿脱自在な角筒状に形成されている。第2の部材22も乾電池ボックス11の内部に開口部13から挿脱自在な角筒状に形成されている。第2の部材22の内部には電気回路(図示しない)が設けられ、この基端面には乾電池14の陽極と陰極に接触するコイルばねからなる接触部23が、先端面には携帯電話機24の端子25に接続されるコネクタ部26が突出して設けられている。
【0020】
第1と第2の部材20,22とを連結するヒンジ部21は円環状であり、乾電池ボックス11のスリット17に挿入される幅に形成され、コネクタ本体12を乾電池ボックス11に対して突没する際の指掛け部27を形成している。さらに、ヒンジ部21の中央部にはストラップ用穴28が設けられている。
【0021】
また、第1の部材20の端部でヒンジ部21と反対側には係止爪29が第1の部材20の内外方向に弾性変形可能に設けられ、この係止爪29と対向する第2の部材22の端部には係止爪29と係脱可能な係合穴30が設けられている。そして、第1の部材20に対して第2の部材22をヒンジ部21を支点として接合する方向に回動すると、係止爪29と係合穴30が互いに係合して第1の部材20と第2の部材22とが一体的に結合されるようになっている。なお、係止爪29を指先で内側へ押し込むと、係止爪29と係合穴30との係合が解除される。
【0022】
さらに、第1の部材20と第2の部材22の両側面には乾電池ボックス11の内面に設けられた係合爪15に対応し、この係合爪15と嵌合する嵌合溝31が設けられ、この嵌合溝31の一端部には係合爪15と係合して乾電池ボックス11からの第1の部材20と第2の部材22の突出量を規制する係合段部32が設けられ、乾電池ボックス11とコネクタ本体12との係合手段を構成している。
【0023】
このように構成された携帯電話機用充電器10は、乾電池ボックス11に単4の乾電池14を収納していない状態においては、コネクタ本体12を乾電池ボックス11の内部に押し込むと、ヒンジ部21がスリット17の内部を摺動し、係合爪15が嵌合溝31を摺動しながらコネクタ本体12が乾電池ボックス11の内部に収納される。すなわち、図4に示すように、乾電池ボックス11に乾電池14を収納しない空の状態においてはコネクタ部26を含むコネクタ本体12の全体が乾電池ボックス11に没入され、全長の略1/2の長さに短縮する。
【0024】
コネクタ本体12が乾電池ボックス11の内部に収納された状態においては、コネクタ本体12の外面と乾電池ボックス11の内面との弾性的な圧接によってコネクタ本体12が乾電池ボックス11から不用意に飛び出すことはなく、コネクタ本体12が乾電池ボックス11の内部に収納された状態に保持される。従って、乾電池ボックス11の開口部13からコネクタ部26が突出して障害物と干渉することはなく、ストラップ用穴28に利用して携帯電話機24に吊下げて携帯電話機用充電器10を携帯できる。
【0025】
また、携帯電話機24の電池が消耗して充電する必要が生じたとき、携帯電話機24から携帯電話機用充電器10を取り外し、指掛け部27に手指を掛けてスリット17の開口端に向かってコネクタ本体12を押し出すと、コネクタ本体12が乾電池ボックス11の開口部13から突出する。このとき、係合爪15が嵌合溝31を摺動しながらコネクタ本体12が乾電池ボックス11から突出するが、係合爪15が嵌合溝31の係合段部32に係合してコネクタ本体12の突出量が規制される。
【0026】
次に、係止爪29を指先で内側へ押し込むと、係止爪29と係合穴30との係合が解除され、コネクタ本体12の第1の部材20に対して第2の部材22がヒンジ部21を支点として回動でき、第1の部材20の開口部が開口する。そこで、第1の部材20の開口部から単4の2本の乾電池14を収納すると、2本の乾電池14は乾電池ボックス11の内部に平行に収納される。そして、第1の部材20に対して第2の部材22をヒンジ部21を支点として回動して第1の部材20の開口部を閉塞すると、係止爪29と係合穴30が互いに係合して第1の部材20と第2の部材22とが一体的に結合される。
【0027】
2本の乾電池14が乾電池ボックス11に収納されると、乾電池14の陽極と陰極は接触部19,23に導通状態に接触し、電気回路を介してコネクタ部26に導通状態となる。従って、コネクタ部26を携帯電話機24の端子25に接続することにより、携帯電話機24に内蔵された電池を充電することができる。
【0028】
このように携帯電話機24の電池が消耗し、この内蔵電池に充電をするときに、乾電池ボックス11に乾電池14を収納し、コネクタ部26を携帯電話機24の端子25に接続すればよく、乾電池14を収納した充電器10を携帯する必要がなく、空の充電器10のみを携帯すればよい。従って、図6に示すように、小型軽量であり、充電器10を携帯電話機24に吊下げてアクセサリーとして携帯可能である。さらに、乾電池ボックス11及びコネクタ本体12は、合成樹脂成形品であり、合成樹脂の弾性を利用して互いに嵌合結合されるため、組立て時にビス等が不要であり、組立て作業性が向上し、コストダウンを図ることができる。
【0029】
なお、前記実施形態においては、単4の乾電池について説明したが、乾電池の種類に限定されるものではない。また、乾電池の接続は、直列、並列のいずれでもよい。
【0030】
なお、本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す携帯電話機用充電器の斜視図。
【図2】同実施形態を示す携帯電話機用充電器の斜視図。
【図3】同実施形態を示し、乾電池ボックスから乾電池を抜き取った状態の斜視図。
【図4】同実施形態を示し、乾電池ボックスにコネクタ本体を没入した状態の斜視図。
【図5】同実施形態を示し、乾電池ボックスとコネクタ本体とを分解した状態の縦断側面図。
【図6】同実施形態を示し、充電器を携帯電話機にストラップアクセサリーとして吊下げた状態の斜視図。
【符号の説明】
【0032】
11…乾電池ボックス、12…コネクタ本体、14…乾電池、19,23…接触部、20…第1の部材、21…ヒンジ部、22…第2の部材、24…携帯電話機、25…端子、26…コネクタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機の端子に接続される携帯電話機用充電器において、
乾電池を収納可能な乾電池ボックスと、
前記乾電池ボックスに突没可能に収納され、外側端部に前記携帯電話機の端子に接続されるコネクタ部を有するコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の内側端部及び前記乾電池ボックスの内部に設けられ、該乾電池ボックスに乾電池を収納したとき該乾電池の電極と導通状態に接続される接触部とからなり、
前記乾電池ボックスに乾電池を収納しない空の状態においては前記コネクタ部を含むコネクタ本体の全体が前記乾電池ボックスに没入され、前記乾電池ボックスに乾電池を収納した状態においては前記コネクタ部が前記携帯電話機の端子に接続可能に前記乾電池ボックスから突出されることを特徴とする携帯電話機用充電器。
【請求項2】
前記乾電池ボックスと前記コネクタ本体には係合手段を有し、前記乾電池ボックスに対して前記コネクタ本体を所定の位置まで突出したとき互いに係合するとともに、前記コネクタ本体は、前記乾電池ボックスに対して完全に没入したとき、全長の略1/2の長さに短縮することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機用充電器。
【請求項3】
前記乾電池ボックス及びコネクタ本体は、合成樹脂成形品であり、合成樹脂の弾性を利用して互いに嵌合結合されていることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機用充電器。
【請求項4】
前記コネクタ本体には前記乾電池ボックスに対して突没する際の指掛け部を有し、この指掛け部にストラップ用穴を設け、充電器を携帯電話機に吊下げ可能であることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機用充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−172954(P2008−172954A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4830(P2007−4830)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(592074441)東京コイルエンジニアリング株式会社 (62)
【Fターム(参考)】