説明

携帯電話機用充電器

【課題】携帯電話機に着脱可能に接続する第1のコネクタと第2のコネクタを簡易にケース本体内に格納できる携帯電話機用充電器を提供する。
【解決手段】携帯電話機用充電器Aは、第1の開口11と第2の開口12とを有するケース本体1と、ケース本体1内に設けられた一次側充電回路とを備え、一次側充電回路は、第1の開口11を介して出没自在な第1のコネクタ31と、第2の開口12を介して出没自在な第2のコネクタ32とを有し、第1のコネクタ31が第1の開口11を介して突出すると共に第2のコネクタ32が第2の開口12から突出しない第1の位置と、第2のコネクタ32が第2の開口12を介して突出すると共に第1のコネクタ31が第1の開口11から突出しない第2の位置と、第1のコネクタ31が第1の開口11から突出しないと共に第2のコネクタ32が第2の開口12から突出しない第3の位置との間を移動自在に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合形状が異なる二種類の携帯電話機の充電端子に接続して携帯電話機の充電を行う携帯電話機用充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、携帯電話事業者別あるいは通信方式別に充電端子の嵌合形状が異なるものが存在し、これらの携帯電話機の充電に対応するものとして、例えば、各携帯電話機の充電端子の嵌合形状に合った2以上の異なる形状のコネクタを備えた携帯電話機用充電器などがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−353385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような携帯電話機用充電器にあっては、携帯電話機に接続する各コネクタは、未使用時であってもケース本体の外部に露出しており、これらのコネクタを破損等から保護するため、未使用時には各コネクタにキャップ等を装着する必要があり、誤ってキャップを紛失した場合には、保護が十分に図れないという問題があった。
【0004】
また、同時に各コネクタに2以上に携帯電話機を接続することができるため、該接続により携帯電話機へ送出する充電電流が増加し充電回路が過負荷となるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、嵌合形状が異なる二種類の携帯電話機の充電端子に接続して前記携帯電話機の充電を行う携帯電話機用充電器であって、前記二種類の携帯電話機の充電端子は、第1の携帯電話機充電端子と、第2の携帯電話機充電端子であり、第1の開口と第2の開口とを有するケース本体と、前記第1の開口と前記第2の開口は対向した位置関係にあり、
前記ケース本体内に設けられ前記携帯電話機に内蔵された蓄電池を充電するための一次側充電回路とを備え、前記一次側充電回路は、電池と、前記第1の携帯電話機充電端子に着脱可能に接続すると共に前記第1の開口を介して出没自在な第1のコネクタと、前記第2の携帯電話機充電端子に着脱可能に接続すると共に前記第2の開口を介して出没自在な第2のコネクタとを有し、前記一次側充電回路は、少なくとも前記電池を有し、移動しない非移動部と、少なくとも前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとを有し、移動する移動部とに分かれ、前記移動部は、前記第1のコネクタが前記第1の開口を介して突出すると共に前記第2のコネクタが前記第2の開口から突出しない第1の位置と、前記第2のコネクタが前記第2の開口を介して突出すると共に前記第1のコネクタが前記第1の開口から突出しない第2の位置と、前記第1のコネクタが前記第1の開口から突出しないと共に前記第2のコネクタが前記第2の開口から突出しない第3の位置との間を移動自在に設けられている携帯電話機用充電器である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の携帯電話機用充電器において、非移動部は、電池のプラス端子に接続する第1のプラス側接続端子と、前記電池のマイナス端子に接続する第1のマイナス側接続端子とを備え、移動部は、前記第1のプラス側接続端子に接触して移動する第2のプラス側接続端子と、前記第1のマイナス側接続端子に接触して移動する第2のマイナス側接続端子とを備え、ケース本体にノブ取り付け穴が設けられ、このノブ取り付け穴を介して前記ケース本体の外部に突出すると共に前記移動部に固着するノブを有しているものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の携帯電話機用充電器において、第1のコネクタの外端と第2のコネクタの外端との距離(L1)が、第1の開口の外端と第2の開口の外端との距離(L2)よりも小さいものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、携帯電話機用充電器の一次側充電回路の移動部は、第1のコネクタが第1の開口を介して突出すると共に第2のコネクタが第2の開口から突出しない第1の位置と、第2のコネクタが第2の開口を介して突出すると共に第1のコネクタが第1の開口から突出しない第2の位置と、第1のコネクタが第1の開口から突出しないと共に第2のコネクタが第2の開口から突出しない第3の位置との間を移動自在に設けられているため、携帯電話機に接続していない第1のコネクタまたは/および第2のコネクタをケース本体内に格納することができ、該コネクタの露出による破損等を防止することができる。しかも、携帯電話機用充電器に接続できる携帯電話機は1台であるため、同時に2台の携帯電話機を接続して充電を行った場合に生ずる充電電流の増加による一次側充電回路(充電回路)への過負荷を防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、携帯電話機用充電器は、ケース本体にノブ取り付け穴が設けられ、このノブ取り付け穴を介してケース本体の外部に突出すると共に移動部に固着するノブを有しているため、ケース本体の外部からノブを操作することにより、携帯電話機用充電器の一次側充電回路の移動部を簡易に移動させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、第1のコネクタの外端と第2のコネクタの外端との距離(L1)が、第1の開口の外端と第2の開口の外端との距離(L2)よりも小さいため、第1のコネクタが第1の開口から突出しないと共に第2のコネクタが第2の開口から突出しない第3の位置、すなわち、第1のコネクタと第2のコネクタの両者をケース本体内に同時に格納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施例を、図1〜図9に基づき説明する。Aは携帯電話機用充電器であり、嵌合形状が異なる二種類の携帯電話機の充電端子に接続して携帯電話機の充電を行うもので、携帯電話機用充電器Aは、概略的に、ケース本体1と、このケース本体1内に収納される一次側充電回路2とを備えている。
【0013】
ケース本体1は、一次側充電回路2を保持するもので、図2(a)、図2(b)に示したように、第1の開口11と第2の開口12とを有し、第1の開口11と第2の開口12は対向した位置関係にある。
【0014】
一次側充電回路2は、ケース本体1内に設けられ携帯電話機B’、B”(携帯電話機B’と携帯電話機B”とは、互いに充電端子の嵌合形状が異なっている。)に内蔵された蓄電池を充電するものであり、図3に示したように、電池41と、第1のコネクタ31と、第2のコネクタ32とを有している。
【0015】
電池41は、携帯電話機B’、B”に充電用の電力を供給するものであり、図2(a)に示したように、ケース本体1内に取替可能に収納され、例えば単三型、単四型、角形(006P)等の乾電池やその他の電池が用いられる。なお、図2(a)において、2本の乾電池を、該乾電池のプラス端子とマイナス端子同士を電気的に接続する連結体42を用いて直列に接続した例を示したが、これらの電池を単独で、あるいは2個以上連結して使用することもできる。
【0016】
第1のコネクタ31は、携帯電話機B’の第1の携帯電話機充電端子B’1に着脱可能に接続すると共に第1の開口11を介して出没自在に設けられ、同様に、第2のコネクタ32は、携帯電話機B”の第2の携帯電話機充電端子B”1に着脱可能に接続すると共に第2の開口12を介して出没自在に設けられている。これらの第1のコネクタ31および第2のコネクタ32は、携帯電話機B’、B”への充電電流を制御する制御回路38を介して電池41に電気的に接続されている。なお、図2(a)に示したように、第1のコネクタ31の外端31aと第2のコネクタ32の外端32aとの距離(L1)が、第1の開口11の外端11aと第2の開口12の外端12aとの距離(L2)よりも小さく(L1<L2)なるように設けられている。
【0017】
前述の一次側充電回路2は、図2(a)、図3に示したように、電池41を有しケース本体1に固定されて移動しない非移動部4と、第1のコネクタ31、第2のコネクタ32を有しケース本体1に対して移動する移動部3とに分かれている。
【0018】
この移動部3について詳述すると、該移動部3は、図4に示したように、制御回路38が設けられた基板33の一方の側に取付部材34を介して第1のコネクタ31が設けられていると共に、基板33の第1のコネクタ31と反対の側に取付部材34を介して第2のコネクタ32が設けられている。また、取付部材34にはケース本体1に設けられたガイド13、13(図5参照)の溝部13a、13aに係合して摺動可能となるように摺動部34aが突設しており、この摺動部34aがガイド13に摺動することで、移動部3は、第1のコネクタ31が第1の開口11を介して突出すると共に第2のコネクタ32が第2の開口12から突出しない第1の位置(図8(a)、図8(b)参照)と、第2のコネクタ32が第2の開口12を介して突出すると共に第1のコネクタ31が第1の開口11から突出しない第2の位置(図9(a)、図9(b)参照)と、第1のコネクタ31が第1の開口11から突出しないと共に第2のコネクタ32が第2の開口12から突出しない第3の位置(図2(a)、図2(b)参照)との間を自在に移動することができる。更に、移動部3の基板33および/または取付部材34にノブ35が固着されており、このノブ35は、ケース本体1に設けられたノブ取り付け穴10(図1参照)を介してケース本体1の外部に突出している。
【0019】
次に、移動部3と非移動部4の接続について、図6に基づき説明する。非移動部4は、電池41のプラス端子に接続する第1のプラス側接続端子46と、電池41のマイナス端子に接続する第1のマイナス側接続端子47とを備えており、移動部3は、第1のプラス側接続端子46に接触して移動する第2のプラス側接続端子36と、第1のマイナス側接続端子47に接触して移動する第2のマイナス側接続端子37とを備えている。
【0020】
これらの第1のプラス側接続端子46、第1のマイナス側接続端子47、第2のプラス側接続端子36、第2のマイナス側接続端子37は、充電電流の電力損失を低減するため、いずれも電気伝導度の高い材料が用いられ、また、第1のプラス側接続端子46および第1のマイナス側接続端子47にあっては電池41との接触電気抵抗を、第2のプラス側接続端子36および第2のマイナス側接続端子37にあっては、それぞれ第1のプラス側接続端子46、第1のマイナス側接続端子47との接触電気抵抗を低減するため、密着性を良くするようなバネ性を有する材料、例えば、リン青銅などの銅合金が好適に用いられる。
【0021】
次に、本発明の携帯電話機用充電器Aの操作方法について説明する。
【0022】
図1および図2は、未使用時の携帯電話機用充電器Aを示しており、第1のコネクタ31が第1の開口11から突出しないと共に第2のコネクタ32が第2の開口12から突出しない状態(第3の位置)となっている。この状態では、L1<L2であるため、移動部3はケース本体1内に格納されている。
【0023】
そして、充電する携帯電話機の充電端子の嵌合形状に合ったコネクタを選択し、例えば、携帯電話機B’の第1の携帯電話機充電端子B’1の嵌合形状に合う第1のコネクタ31を選択して充電を行う場合は、ノブ35(図1参照)を摘んで図1の矢印mの方向に移動させると、一次側充電回路2の移動部3が移動し、この移動部3に設けられた第1のコネクタ31が第1の開口11を介して突出すると共に第2のコネクタ32が第2の開口12から突出しない状態(第1の位置)となる(図7、図8(a)、図8(b)参照)。そして、第1のコネクタ31を携帯電話機B’の第1の携帯電話機充電端子B’1に嵌合して接続すれば携帯電話機B’への充電を行うことができる。
【0024】
充電完了後は、第1の携帯電話機充電端子B’1から第1のコネクタ31を取り外し、ノブ35を摘んで図7の矢印nの方向に移動させると、前述の第3の位置に戻って携帯電話機用充電器Aの動作が終了する。
【0025】
一方、第2のコネクタ32を選択して充電を行う場合は、ノブ35(図1参照)を摘んで図1の矢印nの方向に移動させると、一次側充電回路2の移動部3が移動し、この移動部3に設けられた第2のコネクタ32が第2の開口12を介して突出すると共に第1のコネクタ31が第1の開口11から突出しない状態(第2の位置)となる(図9(a)、図9(b)参照)。そして、第2のコネクタ32を携帯電話機B”の第2の携帯電話機充電端子B”1に嵌合して接続すれば携帯電話機B”に充電を行うことができる。
【0026】
ところで、本発明において、携帯電話機用充電器Aの一次側充電回路2に非移動部4と移動部3とを設け、該移動部3が第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間を自在に移動できるようにしたのは、携帯電話機用充電器Aの未使用時に移動部3が第3の位置において、第1のコネクタ31と第2のコネクタ32の両方を同時にケース本体1内に格納することができ、コネクタの露出による破損等を防止することができるためである。また、移動部3を第1の位置に移動させて第1のコネクタ31に携帯電話機B’を接続させて充電をする際、第2のコネクタ32はケース本体1の第2の開口12から突出していないため他の携帯電話機B”を誤って接続するのを防止でき、同時に2台の携帯電話機B’、B”を接続して充電を行った場合に生ずる充電電流の増加による一次側充電回路2への過負荷を防止することができる。一方、移動部3を第2の位置に移動させて第2のコネクタ32に携帯電話機B”を接続させて充電をする場合にも、上述した第1の位置での充電と同様な作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の携帯電話機用充電器を示した斜視図である。
【図2】図1の断面図であり、図2(a)は図1のX−X線で切断した断面図を、図2(b)は図1のY−Y線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【図3】図1の一次側充電回路の模式図を示している。
【図4】図1の一次側充電回路の移動部を示した正面図である。
【図5】図1のX−X線で切断したケース本体の断面図である。
【図6】図1の一次側充電回路の移動部と非移動部の要部を示した斜視図である。
【図7】図1の使用状態の一例を示した斜視図である。
【図8】図1の使用状態の一例を示した図であり、図8(a)は図1のX−X線で切断した断面図を、図8(b)は図1のY−Y線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【図9】図1の使用状態の他の例を示した図であり、図9(a)は図1のX−X線で切断した断面図を、図9(b)は図1のY−Y線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0028】
A 携帯電話機用充電器
B’、B” 携帯電話機
B’1 第1の携帯電話機充電端子
B”1 第2の携帯電話機充電端子
1 ケース本体
11 第1の開口
12 第2の開口
2 一次側充電回路
3 移動部
31 第1のコネクタ
32 第2のコネクタ
35 ノブ
4 非移動部
41 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合形状が異なる二種類の携帯電話機の充電端子に接続して前記携帯電話機の充電を行う携帯電話機用充電器であって、
前記二種類の携帯電話機の充電端子は、第1の携帯電話機充電端子と、第2の携帯電話機充電端子であり、
第1の開口と第2の開口とを有するケース本体と、
前記第1の開口と前記第2の開口は対向した位置関係にあり、
前記ケース本体内に設けられ前記携帯電話機に内蔵された蓄電池を充電するための一次側充電回路とを備え、
前記一次側充電回路は、電池と、前記第1の携帯電話機充電端子に着脱可能に接続すると共に前記第1の開口を介して出没自在な第1のコネクタと、前記第2の携帯電話機充電端子に着脱可能に接続すると共に前記第2の開口を介して出没自在な第2のコネクタとを有し、
前記一次側充電回路は、少なくとも前記電池を有し、移動しない非移動部と、少なくとも前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとを有し、移動する移動部とに分かれ、
前記移動部は、前記第1のコネクタが前記第1の開口を介して突出すると共に前記第2のコネクタが前記第2の開口から突出しない第1の位置と、
前記第2のコネクタが前記第2の開口を介して突出すると共に前記第1のコネクタが前記第1の開口から突出しない第2の位置と、
前記第1のコネクタが前記第1の開口から突出しないと共に前記第2のコネクタが前記第2の開口から突出しない第3の位置との間を移動自在に設けられていることを特徴とする携帯電話機用充電器。
【請求項2】
非移動部は、電池のプラス端子に接続する第1のプラス側接続端子と、前記電池のマイナス端子に接続する第1のマイナス側接続端子とを備え、
移動部は、前記第1のプラス側接続端子に接触して移動する第2のプラス側接続端子と、前記第1のマイナス側接続端子に接触して移動する第2のマイナス側接続端子とを備え、
ケース本体にノブ取り付け穴が設けられ、このノブ取り付け穴を介して前記ケース本体の外部に突出すると共に前記移動部に固着するノブを有していることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機用充電器。
【請求項3】
第1のコネクタの外端と第2のコネクタの外端との距離(L1)が、第1の開口の外端と第2の開口の外端との距離(L2)よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機用充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−206242(P2008−206242A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37298(P2007−37298)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(591286764)株式会社トップランド (7)
【Fターム(参考)】