説明

携帯電話端末並びにコンテンツ再生プログラム

【課題】着信報知に利用可能なコンテンツの再生時間を制御し、コンテンツをゲームの背景音や効果音などに利用する。
【解決手段】この携帯電話端末MTでは、着信報知に利用可能な複数のコンテンツ(着信報知データファイル)Fd;Fd1,Fd2,…が記憶手段Cに記憶される。設定手段Aは、ユーザ操作に応じてコンテンツの再生時間T1を設定し、コンテンツ再生時には、再生時間T1をタイマBにセットし、ユーザ操作に応じて選択されたコンテンツFda(a:1,2,…)を記憶手段Cから読み出して再生を開始させ、再生開始から再生時間T1が経過すると当該コンテンツFdaの再生を終了させる(D,E)。コンテンツ再生時間T1には、ユーザによりランダムな時間値又は任意の時間値を設定することができ、椅子とりゲームなどの背景音や効果音などの生成にコンテンツを利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、予め記憶されている着信報知に利用可能なコンテンツを使用してユーザがアミューズメント的にコンテンツ再生を楽しむことができる携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話端末向けに種々の音楽コンテンツやマルチメディアコンテンツが提供されており、携帯用電話端末に提供されたコンテンツは、着信報知やコンテンツ自体を再生して視聴するといった用途に用いられる。例えば、特許文献1の携帯電話機では、記憶された楽曲データのサビ部分に繰返し再生を設定しておき、着信時にイントロを再生した後サビ部分を繰り返し再生して着信を報知する。また、音楽コンテンツは他の用途としてアラーム音声として利用されることもあり、複数のアラームをセットすることができるようになった携帯電話端末もある。
【特許文献1】特開2004−258187号公報
【0003】
しかしながら、従来の携帯電話端末においては、着信報知として利用したり、アラームとして時刻を報知したり、コンテンツ自体を個々に再生して楽しむことができるが、他の用途には利用することができず、また、面白みのある再生ができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、このような事情に鑑み、携帯電話端末に予め記憶されている着信報知に利用可能なコンテンツの再生時間を制御することができ、コンテンツをゲームの背景音や効果音などに利用することができるコンテンツ再生技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の主たる特徴に従うと、着信報知に利用可能な複数のコンテンツ(Fd;Fd1,Fd2,…)を記憶した記憶手段(C;2b、2c)と、コンテンツの再生時間(T1)を設定する再生時間設定手段(A,B;S2,S51)と、記憶手段に記憶されたコンテンツから何れかのコンテンツ〔Fda(a:1,2,…)〕を選択するコンテンツ選択手段(A,D;S4)と、コンテンツ選択手段により選択されたコンテンツ(Fda)を、再生時間設定手段により設定された再生時間(T1)の間、再生するコンテンツ再生手段(B,D,E;S5)とを具備する携帯電話端末(TM)〔請求項1〕、並びに、着信報知に利用可能な複数のコンテンツ(Fd;Fd1,Fd2,…)を記憶した記憶手段(2b、2c)を具備し、携帯電話端末として機能するコンピュータ(TM)に、コンテンツの再生時間(T1)を設定する再生時間設定ステップ(S2,S51)と、記憶手段から何れかのコンテンツ〔Fda(a:1,2,…)〕を選択するコンテンツ選択ステップ(S4)と、コンテンツ選択ステップで選択されたコンテンツ(Fda)を、再生時間設定ステップで設定された再生時間(T1)の間、再生するコンテンツ再生ステップ(S5)とから成る手順を実行させるためのコンテンツ再生プログラム〔請求項2〕が提供される。なお、括弧書きは、理解の便のために付記した実施例の参照記号、用語等を表わし、以下においても同様である。
【発明の効果】
【0006】
この発明の主たる特徴によると、携帯電話端末(TM)の記憶手段(C;2b、2c)に着信報知に利用可能な複数のコンテンツ(Fd;Fd1,Fd2,…)を記憶しておき、ユーザ操作に応じて、コンテンツの再生時間(T1)を設定し(A;S2)、再生すべきコンテンツ〔Fda(a:1,2,…)〕を選択的に指定すると(A;S3)、選択されたコンテンツ(Fda)が、設定された再生時間(T1)の間、再生される(B,D,E;S4)。従って、この発明によれば、携帯電話端末に保持されている着信報知用のコンテンツの再生時間が制御された再生を行うことができ、コンテンツを椅子とりゲームなどの背景音や効果音などに利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
〔システムの概要〕
図1は、この発明の一実施例による携帯電話端末のシステム構成例を表わす図である。この携帯電話端末MTは、図1(1)のハードウエア構成概略ブロック図に示されるように、中央処理装置(CPU)1、記憶装置2、入力操作デバイス3、通信回路(通信インターフェース)4、送受話処理回路5、出力処理回路6などを備え、これらの装置1〜6はバス7を介して互いに接続されている。
【0008】
記憶装置2は、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリで構成され、ランダムアクセスメモリ部(RAM部)2a、読出専用メモリ部(ROM部)2b及び補助記憶部(外部記憶部)2cとして機能する。ROM部2bは、機器全体を統括制御するためのファームウェアやプリセットされた制御プログラム、着信報知データファイル等を記憶しており、補助記憶部2cは、新たな着信報知データファイルを含む各種データや他の制御プログラム等を保存するのに利用される。これらの制御プログラムには、この携帯電話端末MT上で着信報知データファイルをアミューズメント的に利用する「コンテンツ利用処理」と呼ばれる処理を行うためのアプリケーションプログラムが含まれる。
【0009】
CPU1は、記憶装置2のRAM部2a及びROM部2bと共に本体処理部を構成し、ROM部3に記憶されたファームウェアに従い機器全体を統括制御し、また、ROM部2b或いは補助記憶部2cに記憶された制御プログラムに従って対応するアプリケーションを実行する。RAM部2は、各種処理に際してOSや各種アプリケーションの作業用エリアとして利用され、必要に応じて、所要のデータを一時的に保持しておくことができる。例えば、コンテンツ利用処理の際には、着信報知データファイルの再生時間情報をRAM部2の所定記憶領域に格納しておくことができる。
【0010】
入力操作デバイス3は、カーソルキー、機能キー(SW1〜SW3)、決定キー( Enter)、文字・数字・記号キー(テンキー類)等のボタン・スイッチ類から成る入力操作子と、これら入力操作子の操作内容を検出して本体処理部(1,2a,2b)或いは通信回路4に導入する操作検出回路から成り、例えば、通話先の電話端末を指定したり、補助記憶部2cに記憶された複数の着信報知データファイルから所望の着信報知データを実際の着信報知用に指定するのに用いるだけでなく、コンテンツ利用処理プログラム等の種々のアプリケーションに基づく動作モードを指定したり、各動作モードにおけるアプリケーションの設定や進行を制御するのに用いられる。
【0011】
通信回路4は、送受話処理回路5及びアンテナ8が接続され、通話音声及び送受データの変調及び復調などを行う。また、送受話処理回路5は、送話用音声入力装置(マイク)9及び出力処理回路6に接続され、通話音声の符号及び復号化を行う。さらに、出力処理回路6は、着信受話信号処理部と音響信号処理部や表示処理部などの出力処理部とを備え、音響信号処理部は、音源やDSP(ディジタル信号処理器)等を含む音源LSI、D/A変換器や出力アンプ等を有し、表示処理部はグラフィックカードや点滅制御器を有する。この出力処理回路6には、スピーカやヘッドフォン等の音響出力装置10、振動出力装置(バイブレータ)11、LCDやLED等の表示装置12などの出力装置に接続される。例えば、電話着信時には、着信受話信号処理部と出力処理部により各出力装置10〜12を駆動し、コンテンツ利用時には、出力処理部により、記憶手段2a〜2cに記憶されているコンテンツのデータを再生処理して各出力装置10〜12に再生出力させる。
【0012】
つまり、通常の電話機能については、マイク9及び音響出力装置10より送受話処理回路5及び出力処理回路6の着信受話信号処理部を通じ、通信回路4、アンテナ8、無線基地局BS、交換局(図示せず)及び電話通信回線を介して他の電話端末と通話することができる。また、他の電話端末から着信を受けた時には、出力処理回路6によって、バイブレータ11の振動やLED(12)の点滅で着信を報知するだけでなく、指定された着信報知データファイルに従い、「着メロ」(登録商標)乃至「着ウタ」(登録商標)と呼ばれるメロディや歌唱を音響出力装置10から放音させたり、着信画面をLCDに表示させることができる。
【0013】
また、通信回路4は、アンテナ8、無線基地局BS、交換局(図示せず)及びインターネット等の広域通信ネットワークCNを通じて、各種コンテンツを通信端末に配信するコンテンツ提供サイトとして機能する配信サーバSVとパケット通信等によりコンテンツデータを授受することができる。配信サーバSVには、着信報知データファイルなどの各種コンテンツを電話端末ユーザに提供するためのコンテンツデータベースが設けられており、携帯電話端末MTは、通信回路4を通じて外部の配信サーバSVにアクセスし、着信報知データファイルを含む所望のコンテンツをRAM部2aに保持することができ、着信報知データファイルは、必要に応じて、補助記憶部2cに保存することができる。これにより、コンテンツ利用処理の際には、ROM部2bだけでなくRAM部2aや補助記憶部2cに記憶されたコンテンツの楽音や画像を出力処理回路6の音響信号処理部及び表示処理部を通じて音響出力装置10やLCDに出力することができる。
【0014】
図1(2)は、この発明の一実施例によるコンテンツ利用処理時における携帯電話端末の機能ブロック図である。この携帯電話端末MTは、コンテンツ利用処理時の機能をブロックで表わすと、図示のように、設定手段A、計時手段(タイマ)B、記憶手段C、読出手段D及び再生手段Eで構成される。
【0015】
設定手段Aは、入力操作デバイス3、出力処理回路6の表示処理部、表示装置12のLCD(12a)及び本体処理部(1,2a,2b)による設定機能に対応し、設定処理の際は、ユーザ操作に従って、コンテンツ再生時間T1を設定(編集)し、再生時間T1に関する再生時間情報を記憶手段C(2a)に保持させる。また、再生処理の際には、ユーザの選択操作に応じて選択されたコンテンツ即ち着信報知データファイルFda(a:1,2,…)の記憶手段Cからの読出しを読出手段Dに指定すると共に(ファイル選択)、記憶手段Cに保持された再生時間情報に従い再生時間T1を計時手段Bにセットする。
【0016】
計時手段Bは、CPU1に付属するタイマ及びCPU1のタイマ制御機能に対応し、設定手段Aからの時間指示に基づいてコンテンツ再生時間T1をセットし、再生時間T1のカウントに従って読出手段Dからのデータ読出しを制御する(タイマ読出し制御)。なお、設定手段Aは乱数発生手段を備え、再生時間T1がランダムに設定された場合は、乱数発生手段から発生される設定範囲内の乱数値に基づく再生時間がセットされる。
【0017】
記憶手段Cは、ROM部2b乃至補助記憶部2cによるコンテンツ即ち着信報知データファイルFdの記憶機能と、RAM部2aによる再生時間T1の保持機能に対応する。つまり、記憶手段Cは、後述するように、複数の着信報知データファイルFd;Fd1,Fd2,…を蓄積しており、各着信報知データファイルは、少なくとも着信音データを含むが、このような音響データ(演奏データや音声データ)に限らず、これら音響データの再生に合わせてLCD画面に表示される静止画や動画を表わす画像情報や文字情報も含む。なお、必要に応じて、サーバSVから通信回路4を通じて着信報知データファイルを補助記憶部2cに記憶することができる。また、記憶手段Cは、設定手段Aで設定・編集された再生時間T1に関する再生時間情報を一時的に保持し、データ再生時には再生時間情報を設定手段Aに与える。
【0018】
読出手段Dは、本体処理部及び出力処理回路6によるデータ読出機能に対応し、計時手段Bによるタイマ読出し制御に従って、設定手段Aにより選択的に指定されたコンテンツFdaのデータを記憶手段C(2b,2c)から読み出す。そして、再生手段Eは、出力処理回路6の音響信号処理部及び表示処理部、音響出力装置10並びに表示装置12のLCD(12a)による音響発生乃至表示機能に対応し、読出手段Dにより読み出されたコンテンツFdaのデータを、セットされた再生時間の間、順次再生する。
【0019】
この発明の一実施例による携帯電話端末TMでは、このように、着信報知に利用可能な複数のコンテンツ(着信報知データファイル)Fd:Fd1,Fd2,…が記憶手段Cに記憶され、コンテンツ利用処理プログラム(コンテンツ再生プログラム)に従って、設定手段Aは、ユーザ操作に応じてコンテンツの再生時間T1を設定し、コンテンツを再生する際には、設定された再生時間T1をタイマBにセットし、再生時間T1の間、ユーザ操作に応じて選択された所望のコンテンツFda(a:1,2,…)を再生させる(D,E)。つまり、コンテンツ再生時には、ユーザ操作に応じて記憶手段CからコンテンツFdaを読み出して再生を開始し、再生開始から再生時間T1が経過すると当該コンテンツFdaの再生を終了する。コンテンツ再生時間T1には、ユーザによりランダムな時間値又は任意の時間値を設定することができ、従って、椅子とりゲームなどの時間制限があるゲームの背景音や効果音などの生成に端末TMのコンテンツを利用することができる。
【0020】
〔キー配置例〕
図2(1)は、携帯電話端末において入力操作デバイスとして用いられるキーの典型的な配置例を示す。この携帯電話端末MTの操作面には、表示装置12のLCD12a及び入力操作デバイス3の操作子が配置される。LCD12aの画面の下端近傍には、ファンクションキー3aとして用いられる3つのキー「SW1」〜「SW3」が配列され、LCD画面の下部に表示される機能表記に対応する機能が与えられる。
【0021】
ファンクションキー3aの下部には、決定キー(「Enter」)3bの上下左右に4つのカーソルキー(「△」〜「▽」)が配置され、上下移動カーソルキー(「△」、「▽」)3c,3dは、LCD画面内でカーソルを上下に移動してユーザ所望の項目をカーソルで強調表示して選択的に指示するのに用いられる。また、これらのキーの下部には、電話番号や文字入力に用いられる文字・数字キー等を含むその他キー群3eが配置される。
【0022】
〔記憶内容例〕
図2(2)は、携帯電話端末の記憶装置に記憶されるデータの構成例を表わす。この携帯電話端末MTでは、1乃至複数の着信報知データファイルFdが記憶手段Cに記憶され、例えば、図示のように、複数の着信報知データファイルFd:Fd1,Fd2,…がROM部2b及び/又は補助記憶部2cに記憶される。
【0023】
着信報知データファイルFd:Fd1,Fd2,…は、メロディや歌唱(音声)を表わす音響情報、文字や画像などを表わす表示情報などを時系列で記述したコンテンツであり、予め何れかのデータファイルを着信報知用に設定しておくことにより、この携帯電話端末MTが他の電話端末から着呼を受けたときに当該データファイルを再生して音響出力装置10やLCD12aからメロディや歌唱を放音させたり着信画面を表示するのに利用することができる。各データファイルFdは、図2の右下(第1着信報知データファイルFd1の内容を例示)に示すように、ヘッダ情報Hd、マスタートラックTm及び再生トラックTp,Tv,Tiから成る。なお、再生トラックには、少なくとも、演奏トラックTp或いは音声トラックTvを含ませ、データファイルFdを音楽的コンテンツとして用いることができるようにすることが好ましい。この例では、更に文字・画像トラックTiを含ませてより豊かな再生を楽しむことができるようにしている。
【0024】
ヘッダ情報Hsは、当該データファイルFdのタイトルや制作者名、再生トラック数、標準テンポ、全再生時間などをデータファイル先頭のヘッダ部分に記述したものである。マスタートラックTmは、再生トラックTp,Tv,Tiの再生に係る全体的な時間制御情報(小節線位置、テンポ変更など)をタイミング情報Δtm:Δtm1,Δtm2,…と共に時系列的にイベントで記述したものである。
【0025】
再生トラックTp,Tv,Ti中の演奏トラックTpは、MIDIのように、演奏イベントをタイミング情報Δtp:Δtp1,…と共に時系列シーケンスで記述して演奏データを表わすようにしたものであり、再生の際は演奏イベントシーケンスに従って楽音信号を合成して発音する。また、演奏トラックTpには、LED点灯イベント及びバイブレータ振動イベントが含まれており、LED点灯イベントにより表示装置12のLEDを駆動し、バイブレータ振動イベントにより振動出力装置11を駆動することができる。
【0026】
音声トラックTvは、PCM方式で記録された音声データ(オーディオデータ)と、該音声データの再生箇所を指示する音声イベントをタイミング情報Δtv:Δtv1,…と共に時系列で記述した音声イベントシーケンスとから成り、再生の際は、音声イベントシーケンスで指示される音声データに従って音声を発生する。
【0027】
また、文字・画像トラックTiは、文字列や、静止画、動画、アニメーション画像等の画像を記録した文字・画像データと、該文字・画像データの再生箇所を指示する文字・画像イベントをタイミング情報Δti:Δti1,…と共に時系列で記述した文字・画像イベントシーケンスとから成り、再生の際は、文字・画像イベントシーケンスで指示される文字・画像データに従って文字・画像を表示する。
【0028】
各再生トラックTp,Tv,Tiは、再生指示に応じて、マスタートラックTmのイベント進行と共に各内容が同期して再生される。例えば、再生トラックに演奏トラックTpだけでなく音声トラックTvが含まれる場合は、規定されたタイミングΔtで、演奏トラックTpの演奏イベントに基づく楽音データと音声トラックTvの音声イベントに基づく音声データとが同期して再生される。また、文字・画像トラックTiが含まれる場合は、演奏トラックTpの演奏イベントに基づく楽音データの演奏進行に同期して、文字・画像トラックTiの文字・画像イベントに基づく画像やアニメーションの再生が行われる。なお、再生トラックTp,Tv,Tiの演奏イベント、音声イベント及び文字・画像イベントは、再生イベントと総称される。
【0029】
〔動作例〕
図3は、この発明の一実施例によるコンテンツ利用処理例を表わすフローチャートを示し、図4は、この発明の一実施例による携帯電話端末における画面推移を表わす。この携帯電話端末MTは、入力操作デバイス3に対する所定のユーザ操作によってコンテンツ利用モードになり、コンテンツ利用処理プログラムに従って図3の処理フローが開始する。CPU1は、まず、図4(1)に示されるように、このコンテンツ利用処理アプリケーションのタイトルを表わすメイン画面をLCD12aに表示してユーザの指示操作を待機する。メイン画面には、タイトルの下部に3つの機能表記:「編集」、「再生」及び「終了」が表示され、ファンクションキー3a:SW1〜SW3に、各表記に対応する指示機能が割り当てられる。
【0030】
ここで、ユーザの指示操作があると、ステップS1においてその指示内容が調べられ、「編集」、「再生」及び「終了」の何れであるかを判定する。例えば、ユーザによりファンクションキー3a=SW1が操作され「編集」が指示されると(S1=編集)、ステップS2の編集処理を実行し、この編集処理を終了するとステップS1の待機状態に戻る。また、ファンクションキー3a=SW2が操作されて「再生」が指示されると(S2=再生)、ステップS3のデータファイル選択処理を経てステップS4の再生処理を実行し、この再生処理を終了するとステップS1の待機状態に戻る。
【0031】
まず、メイン画面に対し「編集」が指示されて(S1=編集)ステップS2の編集処理に進んだ場合は、図4(2)に示すように、画面1をLCD12aに表示し、画面1の主表示エリア(主表示部)に、コンテンツ再生時間の設定範囲などを編集するための編集画面を表示し、ユーザに編集入力操作を促すと共に、画面下部の両端に2つの機能表記:「完了」及び「キャンセル」を表示し、ファンクションキー3a:SW1,SW3に各表記に対応する指示機能を割り当てて、次の処理への指示操作を待機する。
【0032】
ステップS2の編集処理において、ユーザが編集画面の表示援助の下に入力操作デバイスを操作してコンテンツ再生時間に関する情報を入力することにより、コンテンツ再生時間の設定などの編集を行うことができる。この編集では、再生時にコンテンツ即ち着信報知データファイルFd:Fd1,Fd2,…を再生するコンテンツ再生時間T1は、次の(a),(b)のように、ランダム或いは固定的に設定することができる。
【0033】
(a)ランダムに設定する場合:
コンテンツ再生時間T1は、ランダムに設定する場合、コンテンツの全再生時間をT0とすると、次式(1)で表わされる。
再生時間 T1 = T0 × RAND ……(1)
ここで、RANDは、指定された範囲(例えば、0.01〜0.5等)において乱数発生手段から出力される乱数値(の関数)。
(b)固定的に設定する場合:
再生時間 T1 = T0 × R ……(2)
ここで、Rは、0以上の固定値。
【0034】
なお、各場合において、RAND及びRを1より大きい値(RAND,R>1)に設定してコンテンツの再生時間T1を当該コンテンツの全再生時間T0より大きくし(T1>T0)、当該コンテンツが繰り返し再生(ループ再生)されるようにしてもよい。
【0035】
さて、ステップS2では、ユーザは、画面1(編集画面)を利用して、コンテンツ再生時間T1をランダムに設定する(ランダム設定)か固定的に設定する(固定設定)か否かを入力し、さらに、ランダム設定の場合は所定の乱数値範囲を入力し、固定設定の場合は1乃至複数の固定値を入力することにより、再生時間情報の編集処理を行う。そして、この編集処理で設定された乱数値範囲又は固定値は、後述する再生段階(S4)でタイマBにセットされる再生時間に反映される。
【0036】
例えば、ランダム設定した場合は、後述するステップS51において、ファイル再生の開始毎に、乱数発生手段により、設定された乱数値範囲からランダムに選択される値に基づいて再生時間がタイマBにセットされる。また、1の固定値を設定した場合はファイル再生の開始毎に当該固定値に基づく再生時間がセットされるが、複数の固定値を設定した場合には、データファイルFdを順次再生する(1のファイル再生を終了した後で引き続き次のファイル再生を行う)際、ファイル再生の開始毎に、順次、複数の固定値から設定順で選択される固定値に基づいて再生時間T1がセットされる。
【0037】
ステップS2での再生時間情報の編集処理を終了し、画面1(編集画面)に対するファンクションキー3a=SW1のユーザ操作で「完了」が指示されると、上述した編集結果をRAM部2aに保持した上、ステップS1の待機状態に戻る。なお、ファンクションキー3a=SW1による「キャンセル」のユーザ指示操作があったときは、編集結果を保持することなく、ステップS1の待機状態に戻る。
【0038】
なお、再生時間情報の編集において、コンテンツ再生時間T1は、上述のように、コンテンツ全再生時間T0を1或いは100%とした割合RAND,Rではなく、そのまま実時間(sec等)で表わした絶対時間で規定してもよい。この場合も、設定される再生時間の範囲はユーザが設定してもよいし、予め固定的に規定していてもよい。また、設定した再生時間T1>T0の場合、上述と同様に、コンテンツが繰り返し再生される。
【0039】
次に、図4(1)のメイン画面で「再生」が指示されたときは(S1=再生)、図4(3)に示すように、「ファイル選択画面」と呼ばれる画面3をLCD12aに表示し、画面3の主表示エリアに、記憶手段2b,2cに記憶されたデータファイルFd:Fd1,Fd2,…のタイトルを選択指示可能に一覧表示すると共に、画面下部の両端に2つの機能表記:「開始」及び「戻る」を表示し、ファンクションキー3a:SW1,SW3に各表記に対応する指示機能を割り当てて、ユーザの更なる指示操作を待機する。
【0040】
ここで、上下移動カーソルキー3c,3dのユーザ操作により所望のタイトルがカーソル指示されファンクションキー3a=SW1のユーザ操作で「開始」が指示されると、ステップS3に進み、カーソルで指示されたデータファイルFda(a:1,2,…)を再生すべきデータファイルとして選択し、さらに、ステップS5に進んで再生処理を行う。
【0041】
再生処理(S5)の第1ステップS51では、再生時間(再生開始からの経過時間)を計時する計時手段Bのタイマを初期化し、RAM部2a上に保持されている編集結果に従って計時手段Bのタイマに再生時間T1をセットしてデータファイルFdaの再生開始を出力処理回路6に指示する。以後、再生開始からの時間経過に応じてタイマをカウントダウンし、次のステップS52でタイマBにセットされた再生時間T1が経過したか否かを判定し、経過していないときは(S52=NO)、ステップS53で、データファイルFdaの再生イベントを読み出し出力処理回路6によりデータ再生を行い、図4(4)に示すように、「再生画面」と呼ばれる画面3をLCD12aに表示する。
【0042】
以後、逐次ステップS52に戻って時間経過を判定し、再生時間T1が経過していない間は(S52=NO)、ステップS53において、データファイルFdaのデータを順次再生していく。例えば、データファイルFdaにおける演奏及び音声トラックTp,Tvのイベントによる再生音響信号は、出力処理回路6から音響出力装置10に出力される。また、文字・画像トラックTiのイベントによる再生映像信号は、出力処理回路6から表示装置12に出力され、当該データファイルFdに対応するデータ再生画面がLCD12aに現れる。従って、画面4の主表示エリアには、図4(4)のように、当該データファイルFdaのタイトル表示や文字・画像トラックTiの内容に応じた画像が表示される。
【0043】
なお、画面3の再生画面には、機能表記:「停止」が下部に表示され、ファンクションキー3a=SW1のユーザ操作で「停止」が指示されると、データ再生を停止し、LCD12aに画面2を表示してステップS3に戻り、ユーザによるファイルの再選択操作を待つことができる。
【0044】
データ再生の開始後、ステップS51でセットされた再生時間T1が経過すると、この時間経過をステップS53で判定し、再生処理(S5)を終了する。これにより、LCD12aに図4(2)の画面2(ファイル選択画面)を表示してステップS3に戻り、画面2に対するユーザの再指示操作を待つ。ここで、ユーザによるデータファイルFdの選択操作があると、上述したステップS3〜S5の動作を繰り返し、ユーザは、ステップS2で予め設定・編集した再生時間T1により再生時間が制御されたコンテンツ再生を繰り返し楽しむことができる。
【0045】
そして、ファンクションキー3a=SW3のユーザ操作で「戻る」の指示があると(S3=戻る)、LCD12aにメイン画面を表示してステップS1の待機状態に戻る。さらに、LCD12aに対して、ファンクションキー3a=SW3が操作され「終了」が指示されると(S2=終了)、RAM部2aに保持されている時間編集結果を消去してコンテンツ利用処理を終了し、携帯電話端末MTは、コンテンツ利用モード以前の状態に戻る。
【0046】
〔種々の実施態様〕
以上、この発明の好適な一実施例について説明したが、これは単なる一例であって、この発明は、発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、種々の態様で実施することができる。例えば、実施例では再生コンテンツ選択画面(画面2)を表示しユーザ操作で任意のコンテンツ(データファイル)を選択するようにしたが、このような選択画面を用いず、設定手段(A)の乱数発生手段によって、携帯電話端末(TM)内に蓄積されている全コンテンツのうちから、再生すべきコンテンツをランダムに選択するようにしてもよい。
【0047】
また、実施例では、コンテンツ利用処理の終了時に、編集ステップ(S2)で設定・編集した再生時間情報を消去するようにしたが、これを補助記憶部2cに保存しておき、次回のコンテンツ利用処理の際に、保存した再生時間情報をRAM部(2a)に読み出し、これを編集して更新したり(S2)、読み出した再生時間情報或いは更新した再生時間情報に従って再生時間(T1)をタイマにセットする(S51)ようにしてもよい。
【0048】
また、実施例では、編集画面(画面1)を表示してコンテンツ再生時間などを設定・編集するようにしたが、編集画面を用いないで、再生時間の設定範囲をランダムに或いは規定の範囲で設定するように構成してもよい。例えば、再生時間に関する複数の設定条件を補助記憶部(2c)にプリセットしておき、データ再生の開始直前に文字・数字キー(3e)のユーザ操作に応じて所望の設定条件を選択する。
【0049】
また、コンテンツ再生時間(T1)が経過した際、コンテンツ(データファイル)の再生を停止すると同時に、出力装置(10〜12)により、ビープ音やチャイム等の効果音、バイブレータの駆動、LEDの発光など、所定の演出効果を実行させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の一実施例による携帯電話端末のシステム概要図である。
【図2】この発明の一実施例による携帯電話端末におけるキー配置及び記憶内容の例を表わす図である。
【図3】この発明の一実施例によるコンテンツ利用処理例を表わすフローチャートである。
【図4】この発明の一実施例による携帯電話端末の画面推移を表わす図である。
【符号の説明】
【0051】
MT 携帯電話端末、
Fd:Fd1,Fd2,…;Fda 着信報知データファイル(コンテンツ)、
T1 コンテンツ再生時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信報知に利用可能な複数のコンテンツを記憶した記憶手段と、
コンテンツの再生時間を設定する再生時間設定手段と、
上記記憶手段に記憶されたコンテンツから何れかのコンテンツを選択するコンテンツ選択手段と、
上記コンテンツ選択手段により選択されたコンテンツを、上記再生時間設定手段により設定された再生時間の間、再生するコンテンツ再生手段と
を具備することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
着信報知に利用可能な複数のコンテンツを記憶した記憶手段を具備し、携帯電話端末として機能するコンピュータに、
コンテンツの再生時間を設定する再生時間設定ステップと、
上記記憶手段から何れかのコンテンツを選択するコンテンツ選択ステップと、
上記コンテンツ選択ステップで選択されたコンテンツを、上記再生時間設定ステップで設定された再生時間の間、再生するコンテンツ再生ステップと
から成る手順を実行させるためのコンテンツ再生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−248927(P2007−248927A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73594(P2006−73594)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】