説明

携帯電話端末

【課題】携帯電話端末表面の除菌やウィルス不活性化による感染症予防機能を有する携帯電話端末を提供する。
【解決手段】折り畳み式、スライド式、スライド回転式等の携帯電話端末100において、利用者が直接触れるか、口元に近接しうるデバイスある操作部3,表示パネル4,レシーバ6,マイク7を納める密閉空間を有する。前記携帯電話端末において、一対の筐体の少なくとも一方の対向面の縁を中央部よりも高く形成することによって、密閉空間が形成される。前記携帯電話機端末において、密閉空間内にオゾンを生成供給するためのオゾン生成部15を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末に関し、詳しくは、除菌機能を備えた携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型インフルエンザなど、感染症のパンデミックが発生しており、これら感染症に対する予防への重要性が高まっている。
【0003】
一般的に携帯電話端末は屋外などで利用する場合も多いが、利用時は携帯電話端末の操作ボタンやスイッチ、タッチパネルなどを操作する必要があり、また通話時は携帯電話端末が利用者の口元に近接する。
【0004】
このため、携帯電話端末の表面にウィルスや病原菌が付着していた場合、利用者が感染するおそれがある。
【0005】
また、携帯電話端末の利用後に、別の利用者に携帯電話端末を貸す場合もありえるが、先の利用者が既に感染症等の感染者であった場合、後の利用者が感染する危険もある。
【0006】
このような背景から、特許文献1においては、利用者が操作可能な操作部を、表面に有する装置本体と、各種情報を表示するための表示装置とからなる折り畳み式の携帯機器に紫外線による殺菌機能を備えたものを開示している。より詳しくは、特許文献1に開示された携帯機器は、表示装置が、装置本体に対して回動可能、且つ、装置本体の表面に対向可能に設けられている。そして、表示装置に紫外線を発光する発光手段を設け、筐体の折畳時に前記表示装置に対向する装置本体の表面に発光手段から紫外線を照射する構成を備えるものである。
【0007】
特許文献1では、発光手段に動作を行わせるために内蔵した充電池による電源が用いられている。しかし、携帯電話による機能の他に、折り畳んで使用しない状態において、紫外線発光手段が動作する構成であるために充電池の電力消耗が激しい。
【0008】
そこで、特許文献2では、携帯電話端末の充電池の電力消耗を抑制するために、必要時に内蔵電池の充電を行う充電器を備えた携帯端末装置が開示されている。具体的に特許文献2の折り畳み式携帯端末装置は、第1および第2筐体のそれぞれ一端をヒンジを介して旋回させて開閉可能に形成し、この開閉動作により発電機を動作させて内蔵された電池の充電器を備えている。特許文献2の電池の充電器は、第1および第2筐体の開閉動作をスライド動作に変換する開閉/スライド変換手段を設け、該開閉/スライド変換手段により発電機の磁石およびコイルを相互移動させて該コイルに起電力を誘起させるものである。
【0009】
一方、特許文献3には、携帯電話端末内部に、香水や芳香剤、マイナスイオン剤、除菌剤などの液体を格納したものが開示されている。具体的に特許文献3の折り畳み型携帯電話機は、所定の液体を格納する液体格納手段と、所定の液体を外部に噴射する液体噴射口と、閉じた状態と開いた状態との間で、上部筐体及び下部筐体の配置位置を変える動作が行われた場合に、液体格納手段に格納されている前記所定の液体を前記液体噴射口から噴射する液体噴射手段とを有するものである。なお、特許文献2においては、液体噴射手段として、ヒンジ機構を液体噴射用ポンプとして用いている。
【0010】
また、特許文献4では、携帯電話機にマイナスイオンを発生するイオン発生部を設けた構成が開示されている。具体的に、特許文献4では、マイナスイオンを発生するイオン発生部を内蔵もしくは外付けで備えているものであり、携帯電話機の操作に応じてマイナスイオンを発生するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−157381号公報
【特許文献2】特開2007−235562号公報
【特許文献3】特開2006−19794号公報
【特許文献4】特開2009−147650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1においては、折り畳んで使用しない場合では、紫外線を照射するために、発光ダイオードを個々の操作スイッチの裏面から照射するために、個々の発光ダイオードに電力を浪費するとともに、さらに、紫外線は光線であるために、影の部分が生じ易く、操作部の裏面側からでは、除菌が十分になされないという欠点を有した。
【0013】
また、特許文献2のヒンジに設けられた充電器による起電力は微量であるために、充電機能を十分に果たすものではない。
【0014】
従って、紫外線による除菌を用いたものではなく、除菌液や除菌ガスを用いた除菌機能を有するものが望ましいと考えられる。
【0015】
しかしながら、特許文献3の携帯電話機においては、筐体の開閉動作のたびに、液体が噴霧される構成であって、除菌剤を用いた場合には、開成時に除菌剤を外部に噴霧されたり、操作部を濡らすことになり、使用できない。
【0016】
また、特許文献4の携帯電話機のマイナスイオン発生部の動作は、除菌時のように、操作ボタン収納時、即ち、電話回線の切断時に行われるものではなく、通話時やスイッチの動作時、即ち、操作スイッチを使える状態において行うものではない。
【0017】
そこで、本発明の技術的課題は、携帯電話端末表面の除菌やウィルス不活性化による感染症予防機能を有する携帯電話端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、折り畳み式、スライド式、スライド回転式等の携帯電話端末において、利用者が直接触れるか、口元に近接しうるデバイスを納める密閉空間を有することを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0019】
また、本発明によれば、前記携帯電話端末において、折り畳み、一方を他方に対して相対的にスライド、もしくはスライド回転による開閉動作可能な一対の筐体を備え、前記一対の筐体は閉成状態において対向面間に前記密閉空間を形成することを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0020】
また、本発明によれば、前記携帯電話端末において、前記一対の筐体の少なくとも一方の対向面の縁を中央部よりも高く形成することによって、前記密閉空間が形成されていることを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0021】
また、本発明によれば、前記いずれか一つに記載の携帯電話機端末において、前記密閉空間内にオゾンを生成供給するためのオゾン生成部を設けたことを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0022】
また、本発明によれば、前記携帯電話端末において、前記オゾン生成部は、前記一対の筐体のいずれか一方の筐体内に設けられた電源部に接続され、放電を行う一対の電極を有していることを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0023】
また、本発明によれば、前記携帯電話端末において、前記一対の電極は、コロナ放電、ストリーマ放電、及び無声放電の内のいずれか一種の放電を行うものであることを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0024】
また、本発明によれば、前記携帯電話端末において、前記電源部は、前記一対の筐体の折り畳み、スライド、及びスライド回転のいずれか1種の開閉動作によって起電力を発生する発電機を有することを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0025】
また、本発明によれば、前記携帯電話端末において、前記一対の筐体は、前記開閉動作を可能とさせる開閉動機構を備え、前記発電機は、前記開閉機構の動作に連動して発電することを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0026】
また、本発明によれば、前記携帯電話端末において、前記オゾン発生部は、前記発電機の起電力によってオゾンを生成し、前記密閉空間内に前記オゾンを供給することを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【0027】
また、本発明によれば、前記いずれか一つに記載の携帯電話端末において、前記デバイスは、操作入力ボタン、レシーバ、マイク、及び表示デバイスの内の少なくとも1種であることを特徴とする携帯電話端末が得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、携帯電話端末表面の除菌やウィルス不活性化による感染症予防機能を有する携帯電話端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態による携帯電話端末を示す平面図である。
【図2】図1の携帯電話端末を折り畳み動作(閉成動作)の途中の状態を示す側面断面図である。
【図3】図1の携帯電話端末を折り畳んだ状態(閉状態)を示す側面断面図である。
【図4】図1に示す携帯電話端末のオゾン生成部の一構成例を示すブロック図である。
【図5】図1に示す携帯電話端末のオゾン生成部の他の構成例を示すブロック図である。
【図6】図4に示すオゾン生成部の動作説明に供せられるフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態による携帯電話端末の表示パネル側の筐体をスライドして操作部を露出させた状態(「開状態」)を示す断面図である。
【図8】図7の携帯電話端末の表示側をスライドして操作部を収容した状態(閉状態)を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による携帯電話端末を示す平面図である。図2は図1の携帯電話端末を折り畳み(閉成動作)の途中の状態を示す側面断面図である。図3は図1の携帯電話端末を折り畳んだ状態(閉状態)を示す側面断面図である。図2及び図3においては、筐体部分は外郭のみ示し、内部の構成はハッチを設けることで省略されている。
【0032】
図1を参照すると、操作入力部(第1の筐体)10と表示パネル部(第2の筐体)20は、蝶番等からなる嵌合部30で繋がっている。開閉機構は、嵌合部30によって構成され、この嵌合部30を軸として、第1の筐体10と第2の筐体20を回転させ、重ねることにより折り畳むことができる構造になっている。
【0033】
第1の筐体10の一面には、操作入力ボタンを備えた操作部3が設けられ、嵌合部30とは反対側の端部寄りの略中央部にマイク7が設けられている。一面のマイク7の近傍で、一側部寄りに、オゾン生成部15が設けられている。
【0034】
第2の筐体20の一面には、表示デバイスである表示パネル4が設けられ、嵌合部30と反対側の端部寄りにレシーバ6が設けられている。
【0035】
ここで、本発明において、携帯電話端末の開閉動作とは、一対の筐体を折り畳んだり、開放して操作部3を露出させたり、収容したりする動作、または、一方の筐体に対して他方の筐体を相対的にスライドさせて、操作部を露出させたり、収容するか、もしくは一方の筐体に対して他方の筐体を相対的にスライド及び回転させて操作部3を露出したり、収容する動作を呼ぶ。また、本発明において、「開状態」とは、開閉動作の内の開成動作によって、操作部3が露出し、この操作部を操作可能とした状態を呼び、「閉状態」とは、筐体の開閉動作の内の閉成動作によって、操作部3が一対の筐体に収容され、且つ一方の筐体の下に隠れて使用不可能な状態を呼ぶ。
【0036】
図1を再び参照すると、携帯電話端末100は、折り畳み式の第1の筐体10の縁1、第2の筐体20の縁2の夫々は各筐体10,20の中央部より盛り上げて成形されている。なお、第1の実施の形態においては、第1の筐体10の縁1、第2の筐体の縁2の両方が成形されている構成を有しているが、縁1及び縁2のいずれか一方のみを成形してもよい。これらの縁1及び2は、ABS樹脂や強化プラスチックなどでの成形、またはエラストマーやゴムなどのパッキンを具備する。この縁1,2は、各筐体10,20の中央部よりも高さを有するので、携帯電話端末100を折り畳み時、図3に示すように、縁1,2の対向端面が当接し、操作部3、レシーバ6及びマイク7を密閉できる密閉空間5が形成される。
【0037】
図1に示すオゾン生成部15は、この密閉空間5内にオゾンを生成することができるものである。
【0038】
図3に示すように、折り畳み時において、第1の筐体10の縁1、第2の筐体の縁2のどちらか、或いは両方によって形成される密閉空間によって、操作部3、レシーバ6及びマイク7が密閉される。さらに、この空間5内に、オゾン生成部15によって、オゾンが生成され供給される。
【0039】
図2及び図3に示すように、端末の折り畳みの開閉状態の検出手段として、閉状態において、第1の筐体10及び第2の筐体の対向する位置に、それぞれマグネット11及びホール素子12を備える。なお、マグネット11とホール素子12の組み合わせは、符号12で示されるものをマグネット、符号11で示されるものをホール素子としても良いし、その他に、メカニカルスイッチによる開閉検出手段を用いても良い。
【0040】
図4は図1に示す携帯電話端末のオゾン生成部15の一構成例を示すブロック図である。図4を参照すると、オゾン生成部15は、起電力を発生する電源部21と、この発生した起電力を昇圧させる昇圧回路部22と、これらの動作を制御するシステム制御部23と、発生した起電力によって放電させてオゾンを生成するオゾン発生電極26とを備えている。オゾン発生電極26は、一定間隔で設置された針電極24と平面電極25とを有する。針電極は24及び平面電極25は、電源部21及び昇圧回路部22に夫々接続されている。
【0041】
本発明の第1の実施の形態において、オゾン発生電極26は、コロナ放電によって、オゾンを生成する構成であるが、コロナ放電に限らず、ストリーマ放電や無声放電などによって生成することもできる。これらの放電によって流れる電流は非常に小さく、約数μA程度であるため、小型装置での生成が可能である。
【0042】
また、電源部21は、一次電池、二次電池、及び電気二重層コンデンサ等の蓄電器でよいが、これらに限定されるものではない。
【0043】
図5は、図1に示す携帯電話端末のオゾン生成部15の他の構成例を示すブロック図である。図5を参照すると、図4とはオゾン発生電極26の構成が異なっている以外は、図4の例と同じである。
【0044】
図5において、オゾン発生電極26は一対の平面電極27,28を備えている。一対の平面電極27,28は一定の間隔で平行に設置されており、各電極本体27a,28aの表面はホウケイ酸ガラスや雲母などの絶縁体27b,28bで覆われている。
【0045】
図5に示す平面電極27,28は、図4の例と同様に、電源部21と昇圧回路部22で構成される回路に接続されている。また、電源部21、昇圧回路部22は、システム制御部23と接続されている。
【0046】
次に図4に示したオゾン生成部15の動作を図6に示すフローチャートを使用して説明する。
【0047】
図6を参照すると、折り畳み式の携帯電話端末100が「閉」状態であるか、ホール素子12によって検出を行い、携帯電話端末100が「閉」状態となるまで当該処理は待機を行う(ステップS1段階)。
【0048】
そして、「閉」状態を検出した場合、まず携帯電話端末のシステム内の内部タイマー(図示せず)を作動させ(ステップS2段階)、次に昇圧回路22を接続する(ステップS3段階)。すると、電源部21から供給された電圧が昇圧され、高電圧が針電極24に印加され、平面電極25との間にコロナ放電が発生する。ここで、コロナ放電によりオゾンが発生することは広く知られており、当該オゾン生成部においてもコロナ放電により密閉空間5内にオゾンが生成される(ステップS4段階)。
【0049】
オゾン生成は、端末が「開」状態になるか、或いは内部タイマーが規定時間を経過するまで行われる(ステップS5段階)。
【0050】
ここで、端末が「開」状態になったか、或いは内部タイマーが規定時間を経過した後(ステップS6段階)、昇圧回路22を切断し(ステップS7段階)、オゾンの生成を停止させ(ステップS8段階)、そして、作動させていた内部タイマーをクリアし(ステップS9段階)、処理を終了する。
【0051】
以上詳細に本発明の第1の実施の形態による携帯電話端末について述べたが、図2及び図3のホール素子12による開閉検出手段や、図4及び図5の昇圧回路部22は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主要部とは直接関係しないので、その詳細な説明は省略する。
【0052】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0053】
本発明の第1の実施の形態による携帯電話端末が「閉」状態時、密閉空間5内に一定時間オゾンを生成する。オゾンは強い酸化力があることが知られており、上下水処理、医療、居住域や食品製造工程での殺菌、ウィルスの不活化や脱臭などに広く用いられている。このため、本発明によれば、当該端末の閉空間5内に存在する操作入力ボタン等の操作部3、レシーバ6、マイク7、表示パネル4など、利用者が直接触れたり、口元に近接しうるデバイスにオゾンにより、殺菌及び、ウィルスの不活性化を施すことができることである。
【0054】
また、本発明の第1の実施の形態によれば、前記オゾンによる各デバイス周りの殺菌及ウィルスの不活性化の完了後、端末が「開」状態になるまで各デバイスは、密閉空間に格納されたままとなるので、各デバイスが清潔な状態を保つことができることである。
【0055】
さらに、本発明の第1の実施の形態によれば、オゾンには消臭効果もあり、密閉空間内デバイスの殺菌やウィルス不活性化だけでなく、同時に消臭も行うことができるため、各デバイスに臭いが染み付くことが無く、利用者がより快適に携帯電話を利用することができることである。
【0056】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、その基本的構成は第1の実施の形態と同様であるが、オゾン生成における制御方法が第1の実施の形態よりも、更に、改良されている。
【0057】
図2を参照すると、第1の実施の形態において、折り畳み式端末の第1及び第2の筐体10,20は開閉機構をなす嵌合部30を軸に回転する構成である。これに対して、本発明の第2の実施の形態においては、更に、嵌合部30の軸上にコイルとマグネットにて構成される小型の発電機を設けている。この発電機は電源部21に備えられ、折り畳み時に嵌合軸30に加わる回転力が発電機に伝達され、起電力が生じる。この起電力を利用して昇圧回路部22を経由してオゾン生成電極26に印加することにより、オゾンを発生させることができる。
【0058】
このように、本発明の第2の実施の形態では、折り畳み時に生じる起電力を利用してオゾンを生成しているので、オゾン生成のための電源を別途用意する必要が無いという効果が得られる。
【0059】
さらに、本発明の第2の実施の形態では、折り畳み時にしかオゾンが生成されないため、余分にオゾンが発生することがなく、オゾン生成時間の制御に用いていた内部タイマーによる制御が不要となり、オゾン生成の制御をシンプルな構成とすることができるという効果も得られる。
【0060】
(第3の実施の形態)
上記第1及び第2の実施の形態では、図2のような折り畳み式の携帯電話端末について述べたが、図7及び8に示したスライド式や回転スライド式などの携帯電話端末においても同様に、密閉空間を設けられる構造とすることで実現することができる。
【0061】
図7は本発明の第3の実施の形態による携帯電話端末100の表示パネル側の筐体をスライドして操作部を露出させた状態(「開状態」)を示す断面図である。図8は図7の携帯電話端末の表示パネル側の筐体をスライドして操作部を収容した状態(「閉状態」)を示す側面断面図である。図7及び図8においては、筐体部分は輪郭のみ示し、内部は省略されて、斜線が施こされている。
【0062】
図7及び図8を参照すると、携帯電話端末110は、スライド式の筐体の操作入力部側(第1の筐体)60と、表示パネル部側(第2の筐体)70と、第1の筐体60及び第2の筐体70とを相対的にスライドさせるように連結する図示しない開閉機構とを備えている。
【0063】
また、スライド式の筐体の操作入力部(第1の筐体)60の縁1が中央部よりも高く盛り上げて成形されている。しかし、表示パネル部(第2の筐体)70の縁2を高く形成しても良く、また、筐体60,70の縁1,2の両方を各筐体の中央部より盛り上げて成形しても良い。これら、第1の筐体60の縁1及び第2の筐体70の縁2のどちらか、或いは両方はABS樹脂や強化プラスチックなどでの成形、またはエラストマーやゴムなどのパッキンを具備しても良い。
【0064】
この第1の筐体60の縁1及び第2の筐体70の縁2によって、各筐体の中央部よりも高さを設けておき、当該携帯電話端末を重ね合わせた際に、図8に示すように操作部3及びマイク7を密閉できる密閉空間5を設けることができる。
【0065】
また、端末の操作部の収容状態(開成状態)の検出手段として、第1の筐体60および第2の筐体の対向面の同側の端部に、対向するように設けられたマグネット11及びホール素子12を備える。なお、マグネット11とホール素子12の組み合わせは、符号12をマグネット、符号11をホール素子としても良いし、メカニカルスイッチによる開閉検出手段を用いても良い。
【0066】
図7を参照すると、第1の筐体60と第2の筐体70とは図示しない開閉機構によって、第1の筐体60に対して第2の筐体70を相対的にスライド可能とするとともに、第1の筐体と第2の筐体とを重ねる閉成動作を行うことにより操作入力ボタン等の操作部3を密閉空間5内に収容した閉状態となるように構成されている。
【0067】
図8に示すように、携帯電話端末110は、第1及び第2の筐体60,70の重ね合わせ時(閉状態)において操作部3及びマイク7を密閉できる密閉空間5が作り出される。
【0068】
また、図1に示すものと同様に、図7のマイク7の近辺にオゾン生成部が設けられているが図示は省略されている。オゾン生成部は、図8に示すように、操作部3及びマイク7を密閉できる密閉空間5内にオゾンを生成することができるものである。
【0069】
なお、本発明の第3の実施の形態による携帯電話端末のオゾン生成部の構成および動作は、図4乃至図6の第1の実施の形態による携帯電話端末の動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態においては、以下に示すような効果を奏する。
【0071】
本発明の第3の実施の形態による携帯電話端末が「閉」状態時、密閉空間5内に、オゾン生成部によって、一定時間オゾンを生成する。オゾンは強い酸化力があることが知られており、上下水処理、医療、居住域や食品製造工程での殺菌、ウィルスの不活化や脱臭などに広く用いられている。このため、本発明の第3の実施の形態によれば、当該端末の密閉空間5内に存在する操作入力ボタン等の操作部3及びマイク7など、利用者が直接触れたり、口元に近接しうるデバイスにオゾンにより、殺菌及び、ウィルスの不活性化を施すことができることである。
【0072】
また、本発明の第3の実施の形態によれば、オゾンによる作部3及びマイク7などのデバイス周りの殺菌及ウィルスの不活性化の完了後、端末が「開」状態になるまで各デバイスは、密閉空間に格納されたままとなるので、各デバイスが清潔な状態を保つことができることである。
【0073】
さらに、本発明の第3の実施の形態によれば、オゾンには消臭効果もあり、密閉空間内デバイスの殺菌やウィルス不活性化だけでなく、同時に消臭も行うことができるため、各デバイスに臭いが染み付くことが無く、利用者がより快適に携帯電話を利用することができることである。
【0074】
以上、第1乃至第3の実施の形態を参照して、本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる種々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上の説明の通り、本発明に係る携帯電話端末は、携帯電話端末表面の除菌やウィルス不活性化による感染症予防機能を有する携帯電話端末に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1,2 縁
3 操作部
4 表示パネル
5 空間
6 レシーバ
7 マイク
10 操作入力部(第1の筐体)
11 マグネット
12 ホール素子
15 オゾン生成部
20 表示パネル部(第2の筐体)
21 電源部
22 昇圧回路部
23 システム制御部
24 針電極
25 平面電極
26 オゾン発生電極
27,28 平面電極
27a,28a 電極本体
27a,27b 絶縁体
30 嵌合部
60 第1の筐体
70 第2の筐体
100 携帯電話端末
110 携帯電話端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式、スライド式、スライド回転式等の携帯電話端末において、利用者が直接触れるか、口元に近接しうるデバイスを納める密閉空間を有することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電話端末において、折り畳み、一方を他方に対して相対的にスライド、もしくはスライド回転による開閉動作可能な一対の筐体を備え、前記一対の筐体は閉成状態において対向面間に前記密閉空間を形成することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯電話端末において、前記一対の筐体の少なくとも一方の対向面の縁を中央部よりも高く形成することによって、前記密閉空間が形成されていることを特徴とする携帯電話端末。
【請求項4】
請求項1乃至3の内のいずれか一項に記載の携帯電話機端末において、前記密閉空間内にオゾンを生成供給するためのオゾン生成部を設けたことを特徴とする携帯電話端末。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯電話端末において、前記オゾン生成部は、前記一対の筐体のいずれか一方の筐体内に設けられた電源部に接続され、放電を行う一対の電極を有していることを特徴とする携帯電話端末。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯電話端末において、前記一対の電極は、コロナ放電、ストリーマ放電、及び無声放電の内のいずれか一種の放電を行うものであることを特徴とする携帯電話端末。
【請求項7】
請求項5に記載の携帯電話端末において、前記電源部は、前記一対の筐体の折り畳み、スライド、及びスライド回転のいずれか1種の開閉動作によって起電力を発生する発電機を有することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯電話端末において、前記一対の筐体は、前記開閉動作を可能とさせる開閉動機構を備え、前記発電機は、前記開閉機構の動作に連動して発電することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項9】
請求項7に記載の携帯電話端末において、前記オゾン発生部は、前記発電機の起電力によってオゾンを生成し、前記密閉空間内に前記オゾンを供給することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項10】
請求項1乃至9の内のいずれか一項に記載の携帯電話端末において、前記デバイスは、操作入力ボタン、レシーバ、マイク、及び表示デバイスの内の少なくとも1種であることを特徴とする携帯電話端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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