説明

携帯飲料用容器

【課題】 保温・保冷機能を備え、一見してどの容器に何が入っているかが判別でき、複数の容器が合体・分離可能な携帯飲料用容器を提供することを目的とする。
【解決手段】 容器101Aと101Bとは合体・分離が可能であり、保持部材200を取り外すことで分離させることができる。また、容器101Aと101Bとを合体させる場合には、容器101Aと101Bとの合体面105Aと105Bとを合わせ、保持部材200を嵌めることで容器101Aと101Bとを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合体・分離可能な携帯飲料用容器に関し、特に、2種類以上の飲料を分離した複数の容器に入れ、それぞれの容器を合体させて1つにする携帯飲料用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料用容器では、1つの飲料用容器に1種類の液体の飲料を入れるようになっており、また携帯可能な大きさとなっている。
また、旅行先などに複数の味の飲料が入った容器を持っていきたい場合には、複数の味の飲料が入った容器をそれぞれ持っていかなければならず、荷物が増えてしまうという不便が生じる。そこで、特許文献1で開示されている容器のように、合体・分離が自在であり、複数の容器に複数の液体の飲料を入れ、合体させることで1つの容器にすることができる。これにより、複数の液体の飲料が入った容器を1つの容器として持ち歩くことができ、荷物を最小限にすることが可能である。
【特許文献1】実用新案第3014144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、複数の液体が収容可能な点において便利な点があるが、従来の飲料用容器は、保温・保冷性の機能を備えたものではない。例えば、冷たい水と温かいお茶を別々の容器に入れ、容器を合体させた際に、熱伝導で水は温かくなってしまい、お茶はぬるくなってしまうという問題がある。
【0004】
また、分離・合体させる容器が同じ形状をしているため、どの容器にどの飲料が入っているかが外見から判断することが困難であり、一度飲んでみたり、他の容器に注いだりしなくてはならないという問題もある。
【0005】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、保温・保冷機能を備え、一見してどの容器に何が入っているかが判別でき、複数の容器が合体・分離可能な携帯飲料用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の携帯飲料用容器は、液体を収容する容器と、複数の容器が互いに合体または分離で、合体した容器を保持する保持部材とから構成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の携帯飲料用容器は、容器は、液体を収容する内容器と、内容器を収容する外容器とから構成され、外容器と内容器とから断熱構造を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の携帯飲料用容器は、容器の側面には、他の容器と合体させる合体面を有し、該合体面には、複数のマグネットが設けられ、他の容器の合体面に設けられているマグネットと接着することで、容器同士が合体することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の携帯飲料用容器は、保持部材は、複数の容器が合体した時の形状に嵌る構成であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の携帯飲料用容器は、容器本体の下部には、各容器の保温・保冷の切り替えが可能な保温・保冷装置が取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の携帯飲料用容器は、保温・保冷装置は、内部中央付近に断熱部材を配置し、該断熱部材の両側に保温保冷器が配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の携帯飲料用容器は、保温保冷器は、吸熱または放熱を行う保温保冷部材と、保温保冷部材が行う吸熱または放熱を容器本体へ伝導する熱伝導部材とが、順に積層され、積層された保温保冷部材と熱伝導部材とを支持する支持部材と、保温保冷部材の下部に設置される放熱板と、該放熱板へ送風するファンとを有することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の携帯飲料用容器は、保温保冷部材は、ペルチェ素子を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液体を収容する容器を複数所持する場合に、複数の容器が合体または分離可能であり、合体させることで、複数の容器を1つの容器として携帯することができる。また、容器自体に保温・保冷機能が備わっており、液体の品質を落とすことなく携帯することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1の実施形態>
次に、図面を参照して、第1の実施形態に係る携帯飲料用容器について説明する。
図1は、飲料用容器100の構成を示した図である。
図1に示すように、飲料用容器100は、容器101A,101Bと、容器101A,101Bがそれぞれ備える蓋102A,102Bと、保持部材200と、保持部材200に設けられている紐装着部300と、紐301とから構成されている。
【0016】
容器101Aと101Bとは合体・分離が可能であり、保持部材200を取り外すことで分離させることができる。また、容器101Aと101Bとを合体させる場合には、容器101Aと101Bとの合体面(図2に示す斜線部)を接着し、保持部材200にて容器101Aと101Bとを固定させる。
【0017】
保持部材200には、紐装着部300と、当該紐装着部300に装着された紐301が設けられている。また、例えば、長さの調節が可能な紐301が紐装着部300に取り付けることで、飲料用容器の携帯を便利にさせる。
【0018】
次に、図2を参照して、容器101Aと101Bの構成について説明する。
まず、容器101Aと101Bについて説明する。
なお、容器101Aと101Bとは、形状・構成が同じであるため、一方を例にとって説明をする。
容器101A(101B)は、容器本体部103と、保持部材200を取り付けるためのネジ部104から構成されている。容器101A(101B)は、底面が半楕円形の円筒であり、一方の容器101Bと接着する面を合体面105Aとし、合体面105A(105B)には複数のマグネット400が設けられている。容器101Aと101Bの合体面105A,105Bを接着させると、マグネット400の磁力により容器101Aと101Bとが合体する仕組みとなっている。
【0019】
ネジ部104の胴部径は、容器本体部103の胴部径よりもやや小さく、表面に保持部材200と螺合するためのネジ106A(106B)が形成されている。また、ネジ部104の上部には、蓋102A(102B)が設けられている。
【0020】
また、容器101A(101B)は保温・保冷機能を備えた容器であり、それぞれが断熱構造を有するものである。図3に示すように、容器101A(101B)とは、それぞれ、外容器107と内容器108との間を真空空間109とから構成される金属製の真空二重容器である。特に、外容器107と内容器108を構成する金属材料を熱伝導性の低いステンレス鋼を採用し、保温・保冷機能の高いものとする。
【0021】
また、金属材料に採用する材料としては、ステンレス鋼以外にも合成樹脂材料やセラミックなどでもよく、さらに、断熱材料を巻きつけたり、断熱材料を充填したり、真空構造としたりしたものなど、種々の断熱構造を採用することが可能である。
【0022】
次に、図2を参照して、携帯飲料用容器の合体・分離について説明する。
図2に示すように、容器101Aと101Bとのそれぞれの合体面108A,108Bとを合わせることで、両者に設けられているマグネット400同士が磁力によって、接着され固定される。また、保持部材200には、容器101Aと101Bとが合体した時のネジ部104と螺合するネジ302が保持部材200の裏側に形成されている。そして、接着した容器101Aと101Bとのネジ部104に保持部材200を嵌め、螺合させる。
【0023】
また、容器101Aと101Bとを分離させる場合には、容器101Aと101Bとを保持している保持部材200を取り外し、容器101Aと101Bとの合体面108A,108Bを横にスライドさせ、マグネット400の接着をずらすことで分離が可能となる。
【0024】
また、図4に示すように、容器101A,101B,101Cといった3つを合体・分離させるようにした携帯飲料用容器でもよい。さらに、容器の形状は必ずしも円筒状でなくてもよく、例えば、直方体を合体・分離させ、直方体の形状に合わせた保持部材でもよい。
【0025】
また、容器101A,101B,101Cに液体を収容した時に、収容した液体の種類が判別できるように、容器の外形を色で区別したり、容器101A,101B,101Cに設けられている蓋付近に、窓(図示せず)を設けたり、さらには、ネジ部104を透明化させたりする。
【0026】
<第2の実施形態>
次に、図5、図6を参照して、第2の実施形態に係る携帯飲料用容器について説明する。
図5に示すように、携帯飲料用容器100の下部には、保温保冷装置400が設けられている。この保温保冷装置400は、携帯飲料用容器100の下部に、嵌合させ、または、ネジ(図示せず)によって螺合させることにより装着される。保温保冷装置400の周面には、通風窓401a,401bが設けられている。保温保冷装置400内部へ外気を取り込むためのものである。さらに、通風窓401a,401bの近傍には、保温・保冷の切替えスイッチ402a,402bが設けられている。
【0027】
次に、図6を参照して、保温保冷装置400の構成を説明する。
保温保冷装置400は、全体に断熱効果のある素材をからなり、内部の熱を逃がさない構造となっている。保温保冷装置400の内部中央付近には、断熱部材600が設けられており、この断熱部材600を挟むようにして、両側に保温保冷器500,500が設けられている。
【0028】
保温保冷器500は、熱伝導部材501、保温保冷部材502と順に積層され、これを支持部材504,504が支持している。保温保冷部材502の下部には、ヒートシンク503とファン505が設けられている。
【0029】
熱伝導部材501は、例えば、アルミニウム等の高い熱伝導率を有する素材からなり、これによって、保温保冷部材502から発生する熱を容器101A,101Bへ熱伝導する効率を高める。保温保冷部材502は、電子冷却素子から構成される。電子冷却素子としては、例えば、ペルチェ素子が好適である。ペルチェ素子は、ペルチェ効果を利用した素子であり、電圧が印加されると一方の面(冷却面)において熱を奪い他方の面(放熱面)からその熱を放熱する素子である。
【0030】
また、支持部材504も断熱部材600と同様に断熱効果のある素材をからなる。また、ヒートシンク503は、熱が拡散しやすいように設けられたものであり、保温保冷部材502の下部に接触している。また、ヒートシンク503表面に空気を供給するファン505が取り付けられている。ファン505は、通風窓401a,401bから流れる空気をヒートシンク503表面へ供給する。
【0031】
使用者に際しては、切替えスイッチ402a,402bによって、容器101Aと101Bの片方を保温、一方を保冷、または両方を保温または保冷といった選択をすることができる。例えば、容器101A内の飲料を保温したい場合には、切替えスイッチ402aを「保温」側へ切り替える。逆に、保冷したい場合には、切替えスイッチ402aを「保冷」側へ切り替える。切替えスイッチ402aの切り替え動作によって、保温保冷部材502へ流れる電流の向きが変化し、保温・保冷を切替えることができる。
【0032】
保温保冷部材502及びファン505は、ケーブル700を介して電源アダプタ701から供給される電力により駆動される。電源アダプタ701は、電源プラグ702が交流電源(AC100V等)に差し込まれて使用され、交流電圧を直流電圧に変換して保温保冷部材502及びファン505へ供給する。また、電源アダプタ701を自動車用電源コネクタに代えることにより電力を得ることもできる。さらに、保温保冷装置400に充電機能(図示せず)を備えることで、電源のない状況下でも保温保冷の延長を可能とすることができる。
【0033】
以上の説明から、本実施形態によれば、保温・保冷機能を有する容器101A(101Bにそれぞれ異なる液体を収容することができ、さらに、容器101Aと101Bとを合体させ、保持部材200で保持させることで、携帯に便利となる。また、容器101A(101B)には、断熱性が有り、合体させても互いの液体を温めたり、冷ましたりすることがなく、長時間の携帯でも液体の品質を落とすことがない。
【0034】
また、複数の容器を色で区別したり、窓を設けたりすることで収容されている液体の種類を判別することができる。
【0035】
さらに、携帯飲料用容器100の下部に保温保冷装置400を装着することで、保温・保冷時間を延長することができ、長時間の保温・保冷を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施形態に係る携帯飲料用容器の構成を示した図である。
【図2】図1に示す携帯飲料用容器の分解斜視図である。
【図3】図2に示す容器の断面図である。
【図4】複数の容器を合体させる様子を示した図である。
【図5】第2の実施形態に係る携帯飲料用容器の構成を示した図である。
【図6】保温・保冷装置の断面図である。
【符号の説明】
【0037】
100 携帯飲料用容器
101A、101B 容器
102A、102B 蓋
103 容器本体部
104 ネジ部
105A、105B 合体面
106A、105B、302 ネジ
107 外容器
108 内容器
109 真空空間
200 保持部材
300 紐装着部
301 紐
400 保温保冷装置
401a、401b 通風窓
402a、402b 切替えスイッチ
500 保温保冷器
501 熱伝導部材
502 保温保冷部材
503 ヒートシンク
504 ファン
600 断熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器に飲料用の液体を収容した携帯可能に構成した携帯飲料用容器であって、
前記複数の容器を組み合わせたとき、略円柱形状を形成するとともに、該略円柱形状上部に螺合部を形成する容器本体部と、
該複数の容器を組み合わせたとき該螺合部に螺合する溝を有する蓋部と、
から構成されることを特徴とする携帯飲料用容器。
【請求項2】
前記容器本体は、液体を収容する内容器と、
該内容器を保持する外容器とからなり、
該内容器と該外容器との間に真空空間を有することを特徴とする請求項1記載の携帯飲料用容器。
【請求項3】
前記複数の容器を組み合わせた際の組み合わせ面は互いに磁着されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の携帯飲料用容器。
【請求項4】
前記螺合部は、透明部材で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯飲料用容器。
【請求項5】
前記複数の容器は、各々が色分けされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯飲料用容器。
【請求項6】
前記容器本体の下部には、各容器の保温・保冷の切り替えが可能な保温・保冷装置が取り付けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯飲料用容器。
【請求項7】
前記保温・保冷装置は、
内部中央付近に断熱部材を配置し、該断熱部材の両側に保温保冷器が配置されていることを特徴とする請求項6記載の携帯飲料用容器。
【請求項8】
前記保温保冷器は、
吸熱または放熱を行う保温保冷部材と、
前記保温保冷部材が行う吸熱または放熱を前記容器本体へ伝導する熱伝導部材とが、順に積層され、
積層された前記保温保冷部材と前記熱伝導部材とを支持する支持部材と、
前記保温保冷部材の下部に設置される放熱板と、
該放熱板へ送風するファンとを有することを特徴とする請求項7記載の携帯飲料用容器。
【請求項9】
前記保温保冷部材は、ペルチェ素子を含むことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の携帯飲料用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−150056(P2008−150056A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337136(P2006−337136)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(598146285)
【出願人】(506415115)
【Fターム(参考)】