説明

摩擦溶接方法

【課題】第1溶接面を持つ第1加工物及び第2溶接面を持つ第2加工物を提供する工程を含む、摩擦溶接方法を提供する。
【解決手段】第1溶接面38と隣接した第1領域42では、第1加工物24は、第1溶接面に対してほぼ90°の角度αで配置されており、第1領域隣接した第2領域44では、第1加工物は、第1溶接面から遠ざかる方向でテーパしている。第1加工物は、第2領域において、第1加工物が第1溶接面に対して90°よりも大きく180°よりも小さい角度βで配置される。第1及び第2の加工物は、第1加工物の第1溶接面が第2加工物の第2溶接面40に当接するように配置される。溶接界面46を形成するため、第1及び第2の加工物を互いに対して移動し、溶接面のところの温度を上昇する。次いで移動を停止し、溶接部を冷却し、第1及び第2の加工物を互いに溶接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦溶接方法に関し、更に詳細には、線型摩擦溶接方法、回転摩擦溶接方法、又は軌道摩擦溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2008/017800A1には、第1溶接面から遠ざかる方向でテーパし、第1溶接面から遠ざかる方向で先細になるように第1加工物を構成する、摩擦溶接方法が記載されている。これは、摩擦溶接プロセス中の溶接ばり材料の流量を低減し、溶接部の縁部での歪誘導多孔度(strain induced porosity)の形成を低減するためである。
【0003】
しかしながら、大きなテーパ角度については、第1溶接面の縁部が、支持がなされていないために壊れ、そのため、接触面積、鍛造圧力等の制御が低下してしまうということがわかっている。従って、WO2008/017800A1の方法は、テーパ角度が小さい場合にしか使用されず、そのため、WO2008/017800A1の方法の利点が低下した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/017800A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、上述の問題点を低減する、好ましくは解決する、新規な摩擦溶接方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、摩擦溶接方法において、
第1溶接面を持つ第1加工物及び第2溶接面を持つ第2加工物を提供する工程と、
第1溶接面と隣接した第1領域において、第1加工物が第1溶接面に対してほぼ90°の角度で配置されるように第1加工物を構成する工程と、
第1領域と隣接した第2領域において、第1加工物が第1溶接面から遠ざかる方向でテーパし、第1加工物が、第2領域において、第1溶接面から遠ざかる方向で先細になるように第1加工物を配置する工程と、
第2領域において、第1加工物が、第1溶接面に対して90°よりも大きく且つ180°よりも小さい角度で配置されるように、第1加工物を構成する工程と、
第1加工物の第1溶接面が、第2加工物の第2溶接面に当接するように、第1及び第2の加工物を位置決めする工程と、
加工物のうちの少なくとも一方の加工物の、溶接面のうちの少なくとも一方の溶接面が、他方の加工物の他方の溶接面に対して移動するように、第1及び第2の加工物を互いに対して移動し、溶接面のところで温度を上昇し、溶接界面を形成する工程と、
移動を停止する工程と、
第1及び第2の加工物を冷却し、第1及び第2の加工物を互いに溶接する工程とを含む、方法を提供する。
【0007】
好ましくは、本方法は、第2領域において、第1加工物が、第1溶接面に対して110°よりも大きく且つ180°よりも小さい所定の角度で配置されるように、第1加工物を構成する工程を含む。
【0008】
好ましくは、本方法は、第2領域において、第1加工物が、第1溶接面に対して110°よりも大きく且つ160°よりも小さい所定の角度で配置されるように、第1加工物を構成する工程を含む。
【0009】
好ましくは、本方法は、第2領域において、第1加工物が、第1溶接面に対して110°よりも大きく且つ140°よりも小さい所定の角度で配置されるように、第1加工物を構成する工程を含む。
【0010】
好ましくは、本方法は、第1加工物が、第2領域において、第1溶接面に対して115°、125°、又は135°の所定の角度で配置されるように、第1加工物を構成する工程を含む。
【0011】
好ましくは、本方法は、
第2溶接面と隣接した第1領域において、第2加工物が第2溶接面に対してほぼ90°の所定の角度で配置されるように、第2加工物を構成する工程と、
第1領域と隣接した第2領域において、第2加工物が第2溶接面から遠ざかる方向でテーパし、第2加工物が、第2領域において、第2溶接面から遠ざかる方向で先細になるように、第2加工物を構成する工程と、
第2領域において、第2加工物が第2溶接面に対して90°よりも大きく180°よりも小さい所定の角度で配置されるように、第2加工物を構成する工程とを含む。
【0012】
好ましくは、本方法は、第2領域において、第2加工物が第2溶接面に対して110°よりも大きく180°よりも小さい所定の角度で配置されるように、第2加工物を構成する工程を含む。
【0013】
好ましくは、本方法は、第2領域において、第2加工物が第2溶接面に対して110°よりも大きく160°よりも小さい所定の角度で配置されるように、第2加工物を構成する工程を含む。
【0014】
好ましくは、本方法は、第2領域において、第2加工物が第2溶接面に対して110°よりも大きく140°よりも小さい所定の角度で配置されるように、第2加工物を構成する工程を含む。
【0015】
好ましくは、本方法は、第2加工物が、第2領域において、第2溶接面に対して115°、125°、又は135°の所定の角度で配置されるように、第2加工物を構成する工程を含む。
【0016】
好ましくは、第1加工物はロータであり、第2加工物はロータブレードである。好ましくは、ロータはファンロータであり、ロータブレードはファンブレードである。ロータはコンプレッサロータ又はコンプレッサドラムであってもよく、ロータブレードはコンプレッサブレードである。
【0017】
好ましくは、第1加工物及び第2加工物はチタニウム合金で形成されている。好ましくは、チタニウム合金は、アルミニウムを6重量%、バナジウムを4重量%含み、残りが、微量の添加物を加えたチタニウム及び偶然の不純物である。変形例では、チタニウム合金は、アルミニウムを6重量%、錫を2重量%、バナジウムを4重量%、モリブデンを6重量%含み、残りが、微量の添加物を加えたチタニウム及び偶然の不純物である。
【0018】
変形例では、第1加工物はロータであり、第2加工物はロータである。第1加工物は、シャフト、スタブシャフト、ディスク、又はドラムであってもよく、第2加工物は、シャフト、スタブシャフト、ディスク、又はドラムであってもよい。
【0019】
第1加工物は、鋼、ニッケル、又はチタニウムでできていてもよく、第2加工物は、鋼、ニッケル、又はチタニウムでできていてもよい。
【0020】
好ましくは、第1及び第2の加工物の互いに対する移動は、振動を含む。
【0021】
好ましくは、第1及び第2の加工物の振動は直線運動を含む。
【0022】
好ましくは、前記方法は、複数の第2加工物を第1加工物に摩擦溶接する工程を含む。
【0023】
好ましくは、第1加工物は、外方に延びる少なくとも一つの部分を含み、第1溶接面は、第1加工物の外方に延びる部分に設けられている。
【0024】
好ましくは、第1加工物は外方に延びる複数の部分を含み、第1加工物の外方に延びる部分の各々は、第1溶接面を有し、複数の第2加工物が第1加工物に摩擦溶接され、第2加工物の各々は、外方に延びる部分の一つに夫々摩擦溶接される。
【0025】
変形例では、第1及び第2の加工物の互いに対する移動は、回転移動を含んでもよい。
【0026】
本発明を、一例として、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明による方法を使用してロータブレードをロータに摩擦溶接したターボファンガスタービンエンジンを示す図である。
【図2】図2は、本発明による摩擦溶接が加えられている第1及び第2の加工物の端面図である。
【図3】図3は、図2の摩擦溶接が加えられている第1及び第2の加工物間の曲線状の溶接平面を示す側面図である。
【図4】図4は、摩擦溶接が行われる前の一方の加工物の片側半分の拡大図である。
【図5】図5は、摩擦溶接中の両加工物の片側半分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ターボファンガスタービンエンジン10は、図1に示すように、流れ方向で、入口12、ファン区分14、コンプレッサ区分16、燃焼区分18、タービン区分20、及び排気区分22を含む。ファン区分14は、周方向で間隔が隔てられた半径方向外方に延びる複数のファンブレード26を支持するファンロータ24を含む。ファン区分14は、更に、ファンケーシング28を含む。ファンケーシング28は、ファンロータ24及びファンブレード26と同軸に配置されており、また、これらを取り囲んでいる。ファンケーシング28は、ファンダクト30を形成する。ファンケーシング28は、周方向で間隔が隔てられた半径方向に延びる複数のファン出口ガイドベーン34によって、コアエンジンケーシング32に固定されている。
【0029】
コンプレッサ区分16は、一つ又はそれ以上のコンプレッサ、例えば中圧コンプレッサ(図示せず)及び高圧コンプレッサ(図示せず)、又は高圧コンプレッサ(図示せず)を含む。タービン区分20は、一つ又はそれ以上のタービン、例えば高圧タービン(図示せず)、中圧タービン(図示せず)、及び低圧タービン(図示せず)、又は高圧タービン(図示せず)及び低圧タービン(図示せず)を含む。
【0030】
ファンブレード26はファンロータ24と一体であり、ファンブレード26はファンロータ24に線型摩擦溶接36によって接合されている。
【0031】
第1加工物(例えば、ファンロータ24)を、第2加工物(例えば、ファンブレード26)に摩擦溶接する方法を、図2乃至図5を参照して説明する。この摩擦溶接法は、第1加工物(即ち、ファンロータ24)に第1溶接面38を提供し、第2加工物(即ち、ファンブレード26)に第2溶接面40を提供する工程を含む。第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、第1溶接面38と隣接した第1領域42において、第1加工物(即ち、ファンロータ24)が第1溶接面38に対してほぼ90°の角度αで配置されるように構成されている。第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、第1領域42と隣接した第2領域44において、第1加工物(即ち、ファンロータ24)が、第1溶接面38から遠ざかる方向にテーパし、第1加工物(即ち、ファンロータ24)が第2領域44において、第1溶接面38から遠ざかる方向で先細になるように構成されている。第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、第1加工物の第2領域44において、ファンロータ24が第1溶接面38に対して90°よりも大きく180°よりも小さい角度βで配置されるように構成されている。第1及び第2の加工物(即ち、ファンロータ24及びファンブレード26)は、夫々、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の第1溶接面38が、第2加工物(即ち、ファンブレード26)の第2溶接面40に当接するように構成されている。また、第1及び第2の加工物(即ち、ファンロータ24及びファンブレード26)は、夫々、互いに対して矢印Oで示すように移動するように構成されている。その結果、加工物24、26のうちの少なくとも一方の溶接面38、40のうちの少なくとも一方が、他方の加工物26、24のうちの他方の溶接面40、38に対して移動する。この際、圧力即ち鍛造力が加えられ、第1及び第2の加工物24及び26を互いに向かって押し、そのため、溶接面38、40のところで温度が上昇し、溶接界面46を形成する。移動を停止することにより第1及び第2の加工物(即ち、ファンロータ24及びファンブレード26)の夫々を冷却し、第1及び第2の加工物(即ち、ファンロータ24及びファンブレード26)を互いに溶接できる。
【0032】
第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の第1領域42において、側面42A及び42Bが第1溶接面38に対して90°の角度αで配置されるように構成されている。第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の第2領域44において、側面44A及び44Bが第1溶接面38に対して110°よりも大きく且つ180°よりも小さい角度βで配置されるように構成されている。第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の第2領域44において、側面44A及び44Bが第1溶接面38に対して110°よりも大きく且つ160°よりも小さい角度βで配置されるように構成されていてもよい。第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の第2領域44において、側面44A及び44Bが第1溶接面38に対して110°よりも大きく且つ140°よりも小さい角度βで配置されるように構成されていてもよい。特定の例では、第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の第2領域44において、側面44A及び44Bが第1溶接面38に対して115°、125°、又は135°の角度βで配置されるように構成されている。
【0033】
第2加工物26は、第2溶接面40と隣接した第1領域48において、第2加工物(即ち、ファンブレード26)が、第2溶接面40に対してほぼ90°の角度αで配置され、第2加工物(即ち、ファンブレード26)は、第1領域48と隣接した第2領域50において、第2加工物(即ち、ファンブレード26)が第2溶接面40から遠ざかる方向にテーパし、第2加工物(即ち、ファンブレード26)の第2領域50は第2溶接面40から遠ざかる方向で先細になるように構成されている。第2加工物即ちファンブレード26は、第2領域50において、第2加工物(即ち、ファンブレード26)が第2溶接面40に対して90°よりも大きく且つ180°よりも小さい角度βで配置されるように構成されている。
【0034】
第2加工物26は、第2加工物(即ち、ファンブレード26)の第1領域48において、側面48A及び48Bが第2溶接面40に対して90°の角度αで配置されるように構成されている。第2加工物26は、第2加工物26の第2領域50において、側面50A及び50Bが第2溶接面40に対して110°よりも大きく且つ180°よりも小さい角度βで配置されるように構成されている。第2加工物26は、第2加工物26の第2領域50において、側面50A及び50Bが第2溶接面40に対して110°よりも大きく且つ160°よりも小さい角度βで配置されるように構成されていてもよい。第2加工物26は、第2加工物26の第2領域50において、側面50A及び50Bが第2溶接面40に対して110°よりも大きく且つ140°よりも小さい角度βで配置されるように構成されていてもよい。特定の例では、第2加工物26は、第2加工物26の第2領域50において、側面50A及び50Bが第2溶接面40に対して115°、125°、又は135°の角度βで配置されるように構成されていてもよい。
【0035】
図4でわかるように、第1加工物24の第1領域42から第2領域44まで滑らかに緩やかに移行している。第2領域44から第1加工物24の主部までの移行部は、寛容なアール又は半径(generous radius)になっている。第1加工物24の第1領域42は、上文中に説明したように、第1溶接面38に対して90°の角度αで配置されており、摩擦溶接プロセス中、初期に、アップセットが主に第1加工物24の第1領域42で生じる。第1加工物24の第2領域44は、第1溶接面38に対して最適角度βで配置されており、最終アップセットが第1加工物24の第2領域44で生じる。第2加工物もまた同様の方法で構成されている。
【0036】
図5でわかるように、二叉のフラッシュ(即ち、ばり)52が形成され、最終的溶接面56と隣接して塑性流動ゾーン54が形成される。更に、ばりの塑性流れ58が生じる場所に形成されたアール(即ち、応力集中部60)が、小さくなることがわかる。これにより、この位置で縁部に亀裂が入る危険をなくし、歪み誘導多孔度の形成を低減する。第1領域42から第2領域44までの滑らかな移行部43は、ばり形成における不連続をなくし、ばりの除去及び/又はスタブ剛性に関する追加の問題点をなくす。第2領域44の軸線方向長さは、通常の摩擦溶接プロセスにおける固有のアップセット変化を吸収するように構成されている。第2領域44のベース45には、塑性変形が加わり、従って、この領域に亀裂が生じないようにするために代表的には5mmの寛容なアール又は半径が必要とされる。
【0037】
この例では、第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、外方に延びる少なくとも一つの部分41を含み、第1溶接面38は、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の外方に延びる部分41に設けられている。更に、第1加工物(即ち、ファンロータ24)は、外方に延びる複数の部分41を含み、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の外方に延びる部分41の各々は、第1溶接面38を有し、複数の第2加工物(即ち、ファンブレード26)が、第1加工物(即ち、ファンロータ24)に摩擦溶接され、第2加工物(即ち、ファンブレード26)の各々が、第1加工物(即ち、ファンロータ24)の外方に延びる部分41の夫々に摩擦溶接される。
【0038】
第1加工物(即ち、ファンロータ24)及び第2加工物(即ち、ファンブレード26)の互いに対する移動は、振動を含み、詳細には第1及び第2の加工物24及び26の振動は直線運動(線型移動)を含む。
【0039】
第1加工物(即ち、ファンロータ24)及び第2加工物(即ち、ファンブレード26)はチタニウム合金でできている。チタニウム合金は、アルミニウムを6重量%、バナジウムを4重量%含むことができ、残りが微量の添加物を加えたチタニウム及び偶然の不純物とすることができる。又は別の態様では、チタニウム合金は、アルミニウムを6重量%、錫を2重量%、バナジウムを4重量%、モリブデンを6重量%含むことができ、残りが微量の添加物を加えたチタニウム及び偶然の不純物とすることができる。他の適当なチタニウム合金を使用してもよい。
【0040】
ファンロータ及びファンブレードを参照して本発明を説明したが、本発明は、例えば、コンプレッサロータ、コンプレッサドラム、コンプレッサブレード、タービンロータ、タービンブレード等の、他のロータ及びロータブレードにも等しく適用できる。コンプレッサブレードは、上文中で言及したチタニウム合金又は鋼で形成されていてもよい。コンプレッサディスク又はコンプレッサドラムは、上文中で言及したチタニウム合金、ニッケル合金、又は鋼で形成されていてもよい。タービンブレードは、ニッケル合金で形成されていてもよく、タービンディスクは、ニッケル合金で形成されていてもよい。
【0041】
別の態様では、第1加工物はロータであってもよく、第2加工物はロータであってもよい。第1加工物は、シャフト、スタブシャフト、ディスク、又はドラムであってもよく、第2加工物は、シャフト、スタブシャフト、ディスク、又はドラムであってもよい。第1加工物は、鋼、ニッケル、ニッケル合金、チタニウム合金、又は他の適当な金属又は合金でできていてもよく、第2加工物は、鋼、ニッケル、ニッケル合金、チタニウム合金、又は他の適当な金属又は合金でできていてもよい。この方法では、第1及び第2の加工物の互いに対する移動は、回転移動を含む。シャフト、スタブシャフト、ディスク、又はドラムは、ガスタービンエンジンのシャフト、スタブシャフト、ディスク、又はドラムとすることができる。ディスクは、ファンディスク、コンプレッサディスク又はタービンディスクとすることができ、ドラムはコンプレッサドラム又はタービンドラムとすることができる。
【0042】
本発明の利点は、縁部に亀裂が形成され難くするか或いは亀裂が形成されないようにし、歪み誘導多孔度を制御し、その結果、高品質で一体性が高い溶接を提供し、縁部をきれいにする上での余裕を小さくするということである。
【0043】
本発明は、ばりの形態によりマルテンサイト領域に亀裂が発生する、鋼製加工物の慣性溶接に適用できる。
【0044】
本発明は、線型摩擦溶接、直接駆動回転摩擦溶接及び慣性回転摩擦溶接を含む回転摩擦溶接、及び軌道摩擦溶接等の多くの摩擦溶接技術に適用できる。回転摩擦溶接の場合には、チューブ状加工物又は中実加工物に適用でき、チューブをプレートやバーに溶接するのに、例えばボスをケーシングに溶接するのに使用してもよい。
【0045】
溶接鍛造力は、摩擦溶接プロセス中、一定であってもよく、又は、指令された溶接面積の増加割合に関連して変化させてもよく、これによって、一定の界面力を維持するか或いは可変の鍛造圧力で溶接を行うことができる。
【0046】
本発明を、両加工物に第1及び第2の領域を形成することを参照して説明したが、第1及び第2の領域を加工物の一方だけに形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
24 ファンロータ
26 ファンブレード
38 第1溶接面
40 第2溶接面
42 第1領域
42A、42B 側面
44 第2領域
44A、44B 側面
46 溶接界面
48 第1領域
50 第2領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦溶接方法であって、
第1溶接面を持つ第1加工物と、第2溶接面を持つ第2加工物を提供する工程と、
前記第1溶接面と隣接した第1領域において、前記第1加工物が前記第1溶接面に対してほぼ90°の角度で配置されるように第1加工物を設ける工程と、
前記第1領域と隣接した第2領域において、前記第1加工物が前記第1溶接面から遠ざかる方向でテーパし、前記第1加工物が、前記第2領域において、前記第1溶接面から遠ざかる方向で先細になるように、前記第1加工物を配置する工程と、
前記第2領域において、前記第1加工物が、前記第1溶接面に対して90°よりも大きく且つ180°よりも小さい角度で配置されるように、前記第1加工物を設ける工程と、
前記第1加工物の前記第1溶接面が前記第2加工物の前記第2溶接面に当接するように、前記第1及び第2の加工物を位置決めする工程と、
前記第1及び第2の加工物のうちの少なくとも一方の加工物の、前記溶接面のうちの少なくとも一方の溶接面が、他方の加工物の他方の溶接面に対して移動するように、前記第1及び第2の加工物を互いに対して移動し、前記溶接面のところで温度を上昇し、溶接界面を形成する工程と、
前記移動を停止する工程と、
前記第1及び第2の加工物を冷却し、前記第1及び第2の加工物を互いに溶接する工程とを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記第2領域において、前記第1加工物が、前記第1溶接面に対して110°よりも大きく且つ180°よりも小さい角度で配置されるように、前記第1加工物を設ける工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記第2領域において、前記第1加工物が、前記第1溶接面に対して110°よりも大きく且つ160°よりも小さい角度で配置されるように、前記第1加工物を設ける工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の方法において、
前記第2領域において、前記第1加工物が、前記第1溶接面に対して110°よりも大きく且つ140°よりも小さい角度で配置されるように、前記第1加工物を設ける工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記第2溶接面と隣接した第1領域において、前記第2加工物が、前記第2溶接面に対してほぼ90°の角度で配置されるように、前記第2加工物を設ける工程と、
前記第1領域と隣接した第2領域において、前記第2加工物が、前記第2溶接面から遠ざかる方向でテーパし、前記第2加工物が、前記第2領域において、前記第2溶接面から遠ざかる方向で先細になるように、前記第2加工物を設ける工程と、
前記第2領域において、前記第2加工物が、前記第2溶接面に対して90°よりも大きく180°よりも小さい角度で配置されるように、前記第2加工物を設ける工程とを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記第2領域において、前記第2加工物が、前記第2溶接面に対して110°よりも大きく180°よりも小さい角度で配置されるように、前記第2加工物を設ける工程を含む、方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の方法において、
前記第2領域において、前記第2加工物が、前記第2溶接面に対して110°よりも大きく160°よりも小さい角度で配置されるように、前記第2加工物を設ける工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項5、6、又は7に記載の方法において、
前記第2領域において、前記第2加工物が、前記第2溶接面に対して110°よりも大きく140°よりも小さい角度で配置されるように、前記第2加工物を設ける工程を含む、方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記第1加工物はロータであり、前記第2加工物はロータブレードである、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記ロータはファンロータであり、前記ロータブレードはファンブレードであり、または、
前記ロータはコンプレッサロータ又はコンプレッサドラムであり、前記ロータブレードはコンプレッサブレードである、方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法において、
前記第1加工物及び前記第2加工物はチタニウム合金で形成されている、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記チタニウム合金は、アルミニウムを6重量%、バナジウムを4重量%含み、残りが微量の添加物を加えたチタニウム及び偶然の不純物であるか、或いは、
前記チタニウム合金は、アルミニウムを6重量%、錫を2重量%、バナジウムを4重量%、モリブデンを6重量%含み、残りが微量の添加物を加えたチタニウム及び及然の不純物である、方法。
【請求項13】
請求項9乃至12のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記第1及び第2の加工物の互いに対する移動は、振動を含む、方法。
【請求項14】
請求項9乃至13のうちのいずれか一項記載の方法において、
複数の第2加工物を前記第1加工物に摩擦溶接する工程を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記第1加工物は、外方に延びる少なくとも一つの部分を含み、前記第1溶接面は、前記第1加工物の前記外方に延びる部分に設けられている、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記第1加工物は外方に延びる複数の部分を含み、
前記第1加工物の外方に延びる部分の各々は、第1溶接面を有し、
複数の第2加工物が前記第1加工物に摩擦溶接され、
前記第2加工物の各々は、前記外方に延びる部分の一つに夫々摩擦溶接される、方法。
【請求項17】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記第1加工物はロータであり、前記第2加工物はロータである、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記第1加工物は、シャフト、スタブシャフト、ディスク、又はドラムであり、前記第2加工物は、シャフト、スタブシャフト、ディスク、又はドラムである、方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法において、
前記第1加工物は、鋼、チタニウム、又はニッケルを備えたおり、前記第2加工物は、鋼、チタニウム、又はニッケルを備えている、方法。
【請求項20】
請求項17乃至19のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1及び第2の加工物の互いに対する移動は、回転運動を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−36917(P2011−36917A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−174169(P2010−174169)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(591005785)ロールス・ロイス・ピーエルシー (88)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】