説明

摩擦駆動アクチュエータ

【課題】装置の複雑化、高価格化を招くことなく、高精度な位置決めが可能な摩擦駆動アクチュエータを提供する。
【解決手段】駆動信号により伸縮する圧電変位部を備え、該圧電変位部の伸縮により励振される振動体と、振動体に接触し、該振動体に対して相対移動を生じる摺動体と、振動体と摺動体とを加圧接触させる加圧部と、を有する摩擦駆動アクチュエータにおいて、振動体と摺動体は、加圧部によって加圧接触された状態で、振動体と摺動体との相対位置の所定の相対移動方向と直交する方向への移動を規制する規制部を、振動体と摺動体との接触位置に、それぞれ有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦駆動アクチュエータに関し、特に振動体を摺動体に加圧接触させて相対移動を発生させる摩擦駆動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な移動装置に摩擦駆動アクチュエータを用いることが試みられている。摩擦駆動アクチュエータは、通常、電気−機械エネルギー変換素子である圧電素子を備えた振動体と、該振動体に加圧された状態で接触する摺動体等から構成される。摩擦駆動アクチュエータは、振動体に駆動信号を入力して振動体を伸縮運動させ、振動体の一部に楕円振動(以下、円振動を含む)をさせることにより、振動体に加圧接触された摺動体との間で摩擦力により相対移動を発生させるものである。
【0003】
摩擦駆動アクチュエータは、小型、且つ静音性に優れていることから、電子カメラ等の電子機器の駆動機構として利用され、近年では、その用途はさらに拡大し、HDD、DVD等の情報記録装置の記録再生ヘッドの駆動機構に用いることが種々検討されている。
【0004】
例えば、振動体が2つの丸棒状のガイド軸(摺動体)の間に圧接狭持され、振動体の駆動接触部に発生する楕円振動により、振動体とガイド軸とが軸方向に相対移動する振動波リニアモータ(摩擦駆動アクチュエータ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで、特許文献1に開示されている振動波リニアモータの概略構成について図10を用いて説明する。図10(a)は振動波リニアモータ46の正面断面図、図10(b)は、図10(a)のD−D’断面矢視図である。
【0006】
振動子本体75の上下には、平板部92と駆動接触部76とが一体化された連結型駆動接触部93がそれぞれ設けられている。これら連結型駆動接触部93の凹部76aに接触する上下2本のガイド軸77(77−1,77−2)が支持部78の立設部78−2に支持されている。下のガイド軸77−2が螺旋バネ83により押し上げ付勢されて、振動子70を2本のガイド軸77が圧接挟持する。振動子本体75に位相の異なる交番電圧が印加されると振動子本体75が振動波を発生し駆動接触部76部分に楕円回転振動を発生さる。この楕円回転振動により振動子70と2本のガイド軸77,支持部78とが軸方向に相対移動する。このような構成において、一方を固定し他方を被駆動体に連結して被駆動体を移動駆動することができる。
【0007】
また、記録再生ヘッドを備えたヘッドアーム(摺動体)を、ヘッドアームに加圧接触された振動体に発生する楕円振動により、ヘッドアームに設けられた回転穴に挿通された回転軸を中心に揺動させる微小駆動装置(摩擦駆動アクチュエータ)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、ボールベアリング等で軸支されたロータ(摺動体)を、振動体により回転させる回転型超音波アクチュエータ(摩擦駆動アクチュエータ)が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
また、V字型の支点を楔型の支持部材で支持されたヘッドアーム(摺動体)を、ヘッドアームに加圧接触された振動体に発生する楕円振動により、支点を中心に揺動させる情報記録読出しヘッド駆動装置(摩擦駆動アクチュエータ)が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2005−57838号公報
【特許文献2】特開2000−224876号公報
【特許文献3】特開平6−78570号公報
【特許文献4】特開2001−222869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、HDD、DVD等の情報記録装置では、記録密度の高密度化が進展するに伴い、ヘッドの駆動機構は、ヘッドを記録媒体の目標位置へサブミクロン単位で高精度に位置決めできることが求められている。また、情報記録装置の小型、低価格化に伴い、駆動機構の更なる小型、低価格化が要求されている。
【0011】
特許文献1に開示されている振動波リニアモータにおいては、図10(b)に示す様に、ガイド軸77(77−1,77−2)と駆動接触部76との接触面が同一半径の円筒形状に形成されている。しかしながら、両者を結合する際には、駆動接触部76の凹部76aの半径を、ガイド軸77(77−1,77−2)の半径よりも大きくして、両者の間に隙間を設けておかないと結合することができない。この為、高精度の加工をもってしてもミクロン単位の隙間が発生し、ガタが生じる。
【0012】
また、ガイド軸77−2は、立設部78−2に設けられた軸受け長孔81で支持され、螺旋バネ83により押し上げ付勢されている。しかしながら、支持部にはミクロン単位の嵌合ガタが必要であり、このガタ分に相当する振動子70のガイド軸77に対する傾きが発生し、振動子70とガイド軸77との相対位置が変動する。
【0013】
したがって、この様な構成の振動波リニアモータにおいては、振動子70とガイド軸77との間に発生する種々のミクロン単位のガタにより、両者の相対位置を情報記録装置に要求されるサブミクロン単位で高精度に位置決めすることは困難である。
【0014】
また、特許文献2に開示されている微小駆動装置においては、機構構成の詳細は記載されていないが、ヘッドアームが回転軸の軸受機構を有している為、軸受部にガタが発生することは容易に推測できる。また、振動体は、加圧方向以外の方向にも傾きが生じる構成であり、例えば、ヘッドアームが回転軸に対しわずかにねじれ方向に回動される場合がある。この為、ヘッドアームの先端にもうけられたヘッド部がディスク記録面と衝突する恐れがある。また、軸受機構を有しない構成も開示されているが、これらの構成においても、ガイド部材の真円度、摩耗状態、また、衝撃荷重等による圧痕により軸心がずれる等により、位置決めに大きく影響を及ぼすものと考えられる。
【0015】
また、特許文献3に開示されている回転型超音波アクチュエータにおいては、ロータを軸支するボールベアリング等の部材を用いる為、ボールと内輪、外輪との間のガタは避けられない。回転軸方向のガタ成分はガタ寄せされるが、径方向のガタ成分はガタ寄せできない。これらの隙間もミクロン単位であり、位置決めに大きく影響を及ぼす。また、振動体の駆動開始時には、まずこの隙間をガタ寄せしてから所望の方向へ駆動が開始される為、起動時の立上がり特性に影響を及ぼすといった問題がある。また、この様な機構で剛性の高い荷重支持部を構成すると、装置の大型化、並びに機構部品増加による装置の複雑化、高価格化を招く恐れがある。
【0016】
また、特許文献4に開示されている情報記録読出しヘッド駆動装置においては、振動体の加圧接触により、楔型の支持部材によるV字型の支点への押し圧が大きくなり、支点が磨耗する恐れがある。その結果、アーム先端部に設けられたヘッド位置が変動する。
【0017】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、装置の複雑化、高価格化を招くことなく、高精度な位置決めが可能な摩擦駆動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的は、下記の1乃至10いずれか1項に記載の発明によって達成される。
【0019】
1.駆動信号により伸縮する圧電変位部を備え、該圧電変位部の伸縮により励振される振動体と、
前記振動体に接触し、該振動体に対して相対移動を生じる摺動体と、
前記振動体と前記摺動体とを加圧接触させる加圧部と、を有する摩擦駆動アクチュエータにおいて、
前記振動体と前記摺動体は、前記加圧部によって加圧接触された状態で、
前記振動体と前記摺動体との相対位置の所定の相対移動方向と直交する方向への移動を規制する規制部を、前記振動体と前記摺動体との接触位置に、それぞれ有することを特徴とする摩擦駆動アクチュエータ。
【0020】
2.前記摺動体に設けられた前記規制部は、前記所定の相対移動方向に沿って配置され、前記所定の相対移動方向に垂直な断面がV字状のV字状長溝と、
前記V字状長溝に平行に配置された帯状の平坦部と、を有し、
前記振動体に設けられた前記規制部は、前記V字状長溝の溝に当接し、前記所定の相対移動方向に所定の間隔で配置された2つの凸部と、
前記2つの凸部の間であって、前記平坦部に当接する凸部と、を有することを特徴とする前記1に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【0021】
3.前記振動体に設けられた前記規制部は、前記所定の相対移動方向に所定の間隔で配置され、前記所定の相対移動方向に垂直な断面がV字状の2つのV字状溝と、
前記2つのV字状溝に平行に配置された帯状の平坦部と、を有し、
前記摺動体に設けられた前記規制部は、前記2つのV字状溝の溝に当接する凸レールと、
前記凸レールに平行に配置され、前記平坦部に当接する凸レールと、を有することを特徴とする前記1に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【0022】
4.前記摺動体は、長尺状に形成され、前記振動体に対し相対的に直線移動することを特徴とする前記1乃至3のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【0023】
5.前記摺動体は、円環状に形成され、前記振動体に対し相対的に回動することを特徴とする前記1乃至3のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【0024】
6.摩擦駆動アクチュエータは、前記振動体を2つ備え、
前記加圧部は、2つの前記振動体のうち一方の前記振動体を用いて、他方の前記振動体と前記摺動体とを加圧接触させることを特徴とする前記1乃至5のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【0025】
7.駆動信号により伸縮する圧電変位部を備え、該圧電変位部の伸縮により励振される振動体と、
円環状に形成され、その内周面で前記振動体と接触し、該振動体に対して相対的に回動する摺動体と、を有する摩擦駆動アクチュエータにおいて、
前記摺動体は、前記円環状に弾性変形が生じた状態で前記振動体に加圧接触するものであって、
前記振動体と前記摺動体は、前記振動体と前記摺動体との相対位置の所定の相対移動方向と直交する方向への移動を規制する規制部を、前記振動体と前記摺動体との接触位置に、それぞれ有することを特徴とする摩擦駆動アクチュエータ。
【0026】
8.前記摺動体に設けられた前記規制部は、該摺動体の内周面に前記所定の相対移動方向に沿って配置され、前記所定の相対移動方向に垂直な断面がV字状のV字状長溝を有し、
前記振動体に設けられた前記規制部は、前記V字状長溝の溝に当接し、前記所定の相対移動方向に所定の間隔で配置された3つの凸部を有することを特徴とする前記7に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【0027】
9.前記振動体に設けられた前記規制部は、前記所定の相対移動方向に所定の間隔で配置され、前記所定の相対移動方向に垂直な断面がV字状の3つのV字状溝を有し、
前記摺動体に設けられた前記規制部は、該摺動体の内周面に前記所定の相対移動方向に沿って配置され、前記3つのV字状溝の溝に当接する凸レールを有することを特徴とする前記7に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【0028】
10.前記振動体は、前記圧電変位部の伸縮により縦振動および屈曲振動を共振励起され、該縦振動および該屈曲振動、またはそのいずれかの節位置で基台に固定されることを特徴とする前記1乃至9のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、振動体と摺動体とが加圧部によって加圧接触された状態で、振動体と摺動体との相対位置の所定の相対移動方向と直交する方向への移動を規制する規制部を、振動体と摺動体との複数の接触位置に、それぞれ備える構成とした。すなわち、加圧部と規制部により、振動体と摺動体との相対位置が所定の相対移動方向を除き一意的に定まる様にした。振動体と摺動体との相対位置が一意的に決められることにより、振動体を例えば装置の筐体やフレーム等に位置決めすることで摺動体の位置も所定の位置に定まることになる。その結果、摺動体に取付けられる例えば記録再生ヘッド等の被駆動部材の高精度な位置決めが可能となる。
【0030】
また、円環状に形成された摺動体の場合、円環状の摺動体に弾性変形が生じた状態でその内周面が振動体に加圧接触し、振動体と摺動体との相対位置の所定の相対移動方向と直交する方向への移動を規制する規制部を、振動体と摺動体との複数の接触位置に、それぞれ備える構成とした。すなわち、円環状に形成され径方向に変形された摺動体の復元力により振動体と加圧接触する様にした。加圧力が摺動体自身の弾性変形から生じるので、外部からの加圧機構が不要となり、機構の簡素化や小型化にも寄与することが可能となる。さらに、加圧力の調整工程も不要となり、生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下図面に基づいて、本発明に係る摩擦駆動アクチュエータの実施の形態を説明する。尚、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0032】
〔実施形態1〕
最初に、実施形態1による摩擦駆動アクチュエータ1の構成を図1を用いて説明する。図1(a)は、摩擦駆動アクチュエータ1の全体構成の概要を示す正面図、図1(b)は、側面図である。
【0033】
摩擦駆動アクチュエータ1は、図1(a)に示す様に、振動体10、摺動体20、及び加圧部30等を有する。
【0034】
摩擦駆動アクチュエータ1は、電気−機械エネルギー変換素子からなる後述の圧電変位部101を備えた振動体10に駆動信号を入力して振動体10を伸縮運動させ、振動体10の一部を楕円軌道(円軌道を含む)を描く様に移動、すなわち楕円振動(円振動を含む)をさせる。これにより振動体10に加圧された状態で接触する摺動体20との間で摩擦力により相対移動を行わせるものである。
【0035】
摺動体20は、コイルばね301、ローラ302、及びローラ回転軸303等から構成される加圧部30によって、振動体10に加圧接触される。振動体10に楕円振動が励振されると、摺動体20が摩擦力により移動される。楕円振動の回転方向が時計方向であれば、摺動体20は右へ、反時計方向であれば左へ移動する。
【0036】
摺動体20は、断面形状が略矩形の長尺状部品であり、材料には、安価で製造し易いステンレス等の金属部品を用いる。表面には、振動体10との磨耗を防ぐ為、焼入れや窒化処理等の表面硬化処理を施す。CrNやTiCN等のセラミックコーティングを行ってもよい。また、アルミナやジルコニア等のセラミックを用いることで、さらに耐磨耗性を上げることができる。また、振動体10との磨耗を防ぐ為、接触部の表面は平滑な面であることが好ましい。
【0037】
振動体10の構成を図2に示す、図2(a)は、振動体10の正面図、図2(b)は、側面図、図2(c)は、平面図である。
【0038】
振動体10は、図2(a)に示す様に、圧電変位部101、当接部102等を有する。
【0039】
圧電変位部101は、圧電素子などの電気−機械エネルギー変換素子で構成された矩形の形状をなし、後述の縦(伸縮)1次振動モード、屈曲2次振動モードによる共振を行う。圧電変位部101は、4つの変位部101a,101b,101c,101dから構成され、各変位部毎に図示しない内部の電極が所定の形状に分割されている。これら電極に所定の電圧波形を印加することで、当接部102に設けられた半球状の凸部102a,102bに楕円振動を励起する。
【0040】
尚、振動体10の形状、また、駆動に用いる共振モード等はこれらの形態に限定されるものではなく、一般的な定在波振動体であり、複数箇所から駆動力の取出しが可能であればよい。
【0041】
また、電気−機械エネルギー変換素子(以下、変位素子とも記する)としては、PZT等の圧電特性を示す複数のセラミック薄板と内部電極とを交互に積層した積層型圧電素子を用いてもよいし、あるいは単層の圧電素子と金属製の弾性体を結合したものを用いてもよい。前者の場合、各セラミック薄板(単層の圧電素子)の変位量を合成することにより、変位素子全体の変位量を大きくする。後者の場合、圧電素子を駆動源として弾性体を共振させることにより大きな変位を得ることができる。
【0042】
当接部102の材料としては、安定して高い摩擦係数が得られ、かつ耐磨耗性に優れたWC(タングステンカーバイト)を主材料とする超硬材料等が好ましい。またアルミナ、ジルコニアなど硬度の高いセラミックを用いてもよいし、鉄系材料を熱処理、窒化処理などの表面処理により表面硬化させたものもを用いてもよい。
【0043】
ここで、この様な構成の振動体10に励振される楕円振動について図3を用いて説明する。振動体10は、共振を利用して駆動される。図3は、共振駆動に用いる固有モードによる振動体10の変形の様子を示し、図3(a)は、非駆動時の振動体10の態様を示す図、図3(b)は、縦(伸縮)1次振動モードによる変形の様子を示す図、図3(c)は、屈曲2次振動モードによる変形の様子を示す図である。
【0044】
縦1次振動モードは、図3(b)に示す様に、振動体10の中央部F1を節として伸縮振動を行い、凸部102a,102bがY方向(縦方向)に変位する。屈曲2次振動モードは、図3(c)に示す様に、F2を節として、2次の曲げ変形を行い、凸部102a,102bの先端がP方向に変位する。尚、図3(b)、図3(c)に示す振動体10の変形の様子は、説明上、それぞれのモードにおける変位量を誇張して示したものである。
【0045】
縦1次振動モードは、4つの変位部101a,101b,101c,101dに同位相の駆動信号をその共振周波数で印加することで励起できる。屈曲2次振動モードは、変位部101a,101dに同位相の駆動信号1、また、変位部101b,101cに駆動信号1と所定の位相差を有する駆動信号2をその共振周波数で印加することで励起できる。縦1次振動モードと屈曲2次振動モードによる共振周波数が所定の範囲になる様に振動体10の形状を形成し、2つのモードを略一致させて振動体10を駆動することにより、凸部102a,102bに、図3(a)に示す様に、楕円振動Dを励起させることができる。凸部102a,102bが楕円軌道を描くように駆動されている間、一定の区間で凸部102a,102bが摺動体20に接触し、凸部102a,102bと摺動体20との間に作用する摩擦力により、摺動体20が所定方向に駆動される。また、これらの駆動信号の位相のずれ方向を逆にすることにより凸部102a,102bの楕円軌道の回転方向が逆転し、摺動体20の移動方向を逆転させることができる。
【0046】
この様な構成の摩擦駆動アクチュエータ1において、本発明は、摺動体20に取付けられる例えば記録再生ヘッド等の被駆動部材を高精度に位置決めできる様に、振動体10と摺動体10との相対位置が所定の相対移動方向を除き一意的に定まる様に相対位置の変動を規制するものである。以下、その詳細を説明する。
【0047】
振動体10は、図1(a)、図1(b)に示す様に、屈曲2次振動の節F2近傍に設けられた孔101hで、本発明における基台に該当する固定台40に設けられた軸40aに係合し、固定台40のXY平面内に位置決め固定される。軸40aと孔101hとの係合は、ガタが無い様に、しまりばめが好ましい。さらに振動体10は、固定台40に対し左右(X方向)に振れない様に、振動体10の縦1次振動モードの節F1の両端近傍を支持する固定台40に設けられた支持部材40bと係合する。尚、振動体10と固定台40とを結合する際には隙間を要するが、この隙間によるガタを無くす為に、接着剤で固着させる。また、接着が困難な場合は固定台40に対しZ方向へもガタが無い様に、振動体10を板バネ41により付勢し固定台40へ押し付ける。尚、振動体10の固定方法は、振動体10の振動を阻害しない様に、前述の様に、振動の節近傍で行うことが好ましい。また、振動体10への給電は、図示しないフレキシブルプリント基板、あるいはリード線等を用いて行う。
【0048】
摺動体20は、図1(a)、図1(b)に示す様に、断面形状が略矩形の長尺状部品であり、振動体10に対向する面に、V字状長溝20aが、X方向(相対移動方向)に沿って設けられている。このV字状長溝20aに、振動体10の当接部102に設けられた半球状の2つの凸部102aがそれぞれ当接する。V字状長溝20aのV字部の角度は90度が好ましいが、これに限るものではなく、60度から120度程度が好ましい。V字部の角度が小さすぎると、V字状長溝20aと凸部102aとの係合が浅くなり、V字状長溝20aの淵近くで凸部102aと接触することから係合が外れ易くなる。一方、V字部の角度が大きすぎると、V字状長溝20aの側壁と凸部102aとの接触点同士が近接することから、位置決めとしての効果が小さくなる。
【0049】
また、摺動体20のV字状長溝20aが設けられている面には、摺動体20のX軸回りの揺動を規制する平坦部20bが、V字状長溝20aに平行に帯状に設けられている。この平坦部20bに、振動体10の当接部102に設けられた半球状の凸部102bが当接する。
【0050】
V字状長溝20a、平坦部20bの表面は、表面粗さが小さい平滑な面で、平面度も高精度であることが好ましい。また、V字状長溝20aと平坦部20bとの距離が離れているほど摺動体20のX軸回りの揺動の規制効果は大きくなる。尚、凸部102a、凸部102b、及びV字状長溝20a、平坦部20bは本発明における規制部に該当する。
【0051】
摺動体20と振動体10とが前述の様な接触状態を保つ様に、加圧部30により摺動体20と振動体10とが加圧接触されている。加圧部30の押圧力を伝達するのはローラ302であり、ローラ302を軸支するローラ回転軸303と固定部材50との間にコイルばね301が設けられる。加圧部30の摺動体20への力点は、ローラ302と摺動体20との接触部であり、この接触部は、Y方向から見て摺動体20と振動体10とのすべての接触点、すなわち、2つの凸部102a、凸部102b、及びV字状長溝20a、平坦部20bに囲まれた領域の略中央部にあることが好ましい。上記領域の外に力点があると、接触部の姿勢が外乱により変化し易くなる。
【0052】
この様に、摺動体20と振動体10との相対位置は、摺動体20のV字状長溝20aと振動体10の2つの凸部102aとの接触点4か所で規制されることで、X方向(相対移動方向)の変動を除き、Y方向、及びZ方向の変動が規制される。また、加圧部30による押圧力で振動体10の凸部102bと摺動体20の平坦部20bとを加圧接触させることで、摺動体20のX軸回りの搖動を規制することができる。その結果、摺動体20と振動体10との相対位置は、X方向(相対移動方向)への変動を除き、一意的に定められる。
【0053】
この様に、本発明の実施形態1による摩擦アクチュエータ1においては、加圧部30と規制部(2つの凸部102a、凸部102b、V字状長溝20a、平坦部20b)により、振動体10と摺動体20との相対位置が所定の相対移動方向を除き一意的に定まる様にした。振動体10と摺動体20との相対位置が一意的に決められることにより、振動体10を固定台40を介して、例えば装置の筐体やフレーム等に位置決めすることで摺動体20の位置も所定の位置に定まることになる。その結果、摺動体20に取付けられる例えば記録再生ヘッド等の被駆動部材の高精度な位置決めが可能となる。
【0054】
また、振動体10と摺動体20との接触位置にガタが無い為、駆動開始直後から所望の方向への移動が可能であり、起動応答性の高い駆動機構を構成することが可能となる。さらに従来の様な軸受部材を必要とせず駆動に関与する部材が少なくなる為、これら部材の共振周波数を駆動周波数から遠ざける等、振動駆動に特有の設計を容易に行うことができる。また、これら軸受部材を必要としないことから、装置の大型化や複雑化を招くことなく摩擦駆動アクチュエータ1の剛性を高めることも可能となる。これにより、サーボ制御を行う場合の周波数帯域を高周波数側にシフトすることができ、制御性を高めることができる。
【0055】
また、規制部による振動体10と摺動体20との接触点は、すべて駆動力を伝達する為、局所的な表面状態の変化等により1つの接触点での摩擦係数が変化しても、他の接触点との平均化が行われる為、安定した推力を得ることができる。
【0056】
また、従来の摩擦駆動アクチュエータに比べ、構成部品が少なくなることにより、装置を小型化することができる。
【0057】
(実施形態1の変形例1)
実施形態1の変形例1による摩擦駆動アクチュエータ1の構成を図4に示す、図4(a)は、摩擦駆動アクチュエータ1の全体構成の概要を示す正面図、図4(b)は、側面図である。
【0058】
変形例1による摩擦駆動アクチュエータ1は、図4(a)、図4(b)に示す様に、摺動体21には、振動体11に対向する面に、半円柱状の2つの凸レール21a、21bがX方向(相対移動方向)に沿って平行に設けられている。
【0059】
一方、振動体11には、凸レール21aに当接される2つのV字状溝112aが、X方向(相対移動方向)に所定の間隔をもって設けられている。また、凸レール21bに当接される平坦部112bが、2つのV字状溝112aに平行に帯状に設けられている。
【0060】
尚、V字状溝112aのX方向(相対移動方向)の幅は狭いほうが好ましい。幅が広いいと、凸レール21aと線接触状態になる為、加工精度によっては摺動体21のX方向(相対移動方向)への相対移動に影響を及ぼす場合がある。
【0061】
摺動体21と振動体11との相対位置は、摺動体21の凸レール21aと振動体11の2つのV字状溝112aとの接触点4か所で規制されることで、X方向(相対移動方向)の変動を除き、Y方向、及びZ方向の変動が規制される。また、加圧部30による押圧力で摺動体21の凸レール21bと振動体11の平坦部112bとを加圧接触させることで、摺動体21のX軸回りの搖動を規制することができる。その結果、摺動体21と振動体11との相対位置は、X方向(相対移動方向)への変動を除き、一意的に定められ、実施形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(実施形態1の変形例2)
実施形態1の変形例2による摩擦駆動アクチュエータ1の構成を図5に示す、図5(a)は、摩擦駆動アクチュエータ1の全体構成の概要を示す正面図、図5(b)は、側面図である。
【0063】
変形例2による摩擦駆動アクチュエータ1は、図5(a)、図5(b)に示す様に、前述の図1を用いて説明した、実施形態1の場合の振動体10と同様の振動体を2つ有する(振動体10−1,10−2)。
【0064】
一方の振動体10−1は、実施形態1の場合と同様に、固定台40−1を介して、例えば装置の筐体やフレーム等に位置決めされている。
【0065】
加圧部31は、実施形態1の場合のローラ302に代わり、他方の振動体10−2を有し、該振動体10−2を用いて、摺動体20を振動体10−1に加圧接触させる。
【0066】
この様な構成の摩擦駆動アクチュエータ1において、2つの振動体(振動体10−1,10−2)に楕円振動を行わせることにより、実施形態1の場合の2倍の駆動力を得ることができる。尚、固定側の振動体10−1が摺動体20との相対位置を規制し、振動体10−2は、加圧のみを行い、相対位置の規制を行わない構成にすることが好ましい。
【0067】
〔実施形態2〕
実施形態2による摩擦駆動アクチュエータ1の構成を図6を用いて説明する。図6(a)は、摩擦駆動アクチュエータ1の全体構成の概要を示す正面図、図6(b)は、図6(a)におけるA−A’矢視断面図、図6(c)は、図6(a)におけるA−B矢視断面図である。
【0068】
摩擦駆動アクチュエータ1は、図6(a)に示す様に、振動体12、摺動体22、及び加圧部30等を有する。
【0069】
実施形態1による摩擦駆動アクチュエータ1の場合は、振動体10と摺動体20との間で、相対的に直進移動を行うものであったが、実施形態2の場合は、円環状に形成された摺動体22の内輪に配置された振動体12との間で相対的に回動を行うものである。
【0070】
摺動体22は、図6(a)に示す様に、円環状に形成され、振動体12に対向する面に、図6(b)、図6(c)に示す様に、V字状長溝22aが、回動方向Q(相対移動方向)に沿ってリング状に設けられている。また、摺動体22のV字状長溝22aが設けられている面には、摺動体22のX軸回りの揺動を規制する平坦部22bが、V字状長溝22aに平行に帯状に設けられている。
【0071】
一方、振動体12の摺動体22と対向する面は、図7に示す様に、摺動体22の内周面に沿って円弧状に形成されている。振動体12には、V字状長溝22aに当接する2つの半球状の凸部122aが、回動方向Q(相対移動方向)に所定の間隔をもって設けられている。また、平坦部20bに当接する半球状の凸部122bが設けられている。尚、図7(a)は、振動体12の正面図、図7(b)は、側面図、図7(c)は、平面図である。
【0072】
摺動体22と振動体12との相対位置は、摺動体22のV字状長溝22aと振動体12の2つの凸部122aとの接触点4か所で規制されることで、回動方向Q(相対移動方向)の変動を除き、Y方向、及びZ方向の変動が規制される。また、加圧部30による押圧力で振動体12の凸部122bと摺動体22の平坦部22bとを加圧接触させることで、摺動体22のX軸回りの搖動を規制することができる。その結果、摺動体22と振動体12との相対位置は、回動方向Q(相対移動方向)への変動を除き、一意的に定められ、実施形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(実施形態2の変形例1)
実施形態2の変形例1による摩擦駆動アクチュエータ1の構成を図8に示す、図8(a)は、摩擦駆動アクチュエータ1の全体構成の概要を示す正面図、図8(b)は、図8(a)におけるA−B矢視断面図である。
【0074】
変形例1による摩擦駆動アクチュエータ1は、図8(a)に示す様に、振動体12、摺動体22等を有し、実施形態2の場合と同様に、円環状に形成された摺動体22の内輪に配置された振動体12との間で相対的に回動を行うものである。
【0075】
変形例1による摩擦駆動アクチュエータ1は、実施形態2の場合のコイルばね301、ローラ302、及びローラ回転軸303等から構成される加圧部30を有さず、摺動体22自身が加圧機能を有するものである。
【0076】
摺動体22は、振動体12に組み込まれる前は、その直径(内径)が、振動体12の寸法より小さく設定されており、組み込まれることにより、摺動体22は、振動体12によって、その直径が拡大する方向へ(楕円状に)変形されており、振動体12と摺動体22との各接触部には、摺動体22の弾性変形による復元力が加圧力として作用している。この加圧力により、摺動体22は、振動体12に対して、半径方向の移動がガタ無く規制されている。
【0077】
また、摺動体22と振動体12との接触部を円周全域ではなく、3箇所という限られた部分だけとして、摺動体22に振動体12から拘束されない非接触部分を生じさせている。円周全域が接触する場合に比べて、摺動体22の弾性変形を容易とするので、摺動体22は接触部によってチャージされ、加圧力をばねとした時のバネ定数は、円周全域が接触する場合に比べて、より小さくなる。これにより、振動体12や摺動体22に寸法上の製造差があっても、その誤差量に対する加圧力の変動を小さく抑えることができる。また、温度変化等によって、振動体12や摺動体22に寸法変化が生じても、バネ定数が小さいので、加圧力の変動を小さく抑えることが可能となり、加圧力が安定する。このようにして、加圧力の寸法に対する誤差感度を低減でき、その結果、駆動性能も安定させることができる。
【0078】
さらに、加圧力が摺動体22自身の弾性変形から生じるので、外部からの加圧機構が不要となり、機構の簡素化や小型化にも寄与することが可能となる。さらに、加圧力の調整工程も不要となり、生産性を向上させることができる。
【0079】
図8に戻って、摺動体22は、図8(a)に示す様に、円環状に形成され、振動体12に対向する面に、図8(b)に示す様に、V字状長溝22aが、回動方向Q(相対移動方向)に沿ってリング状に設けられている。
【0080】
一方、振動体12の摺動体22と対向する面は、図9に示す様に、摺動体22の内周面に沿って円弧状に形成されている。振動体12の短辺の一方の側面には、V字状長溝22aに当接する2つの半球状の凸部122aが、回動方向Q(相対移動方向)に所定の間隔をもって設けられている。また、他方の端面の中央には、V字状長溝22aに当接する1つの半球状の凸部122aが設けられている。尚、図9(a)は、振動体12の正面図、図9(b)は、側面図、図9(c)は、平面図である。
【0081】
摺動体22と振動体12との相対位置は、摺動体22のV字状長溝22aと振動体12の3つの凸部122aとの接触点6か所で規制されることで、回動方向Q(相対移動方向)への変動を除き、一意的に定められ、実施形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0082】
尚、本実施形態においては、摺動体22にV字状長溝22a、振動体12に該V字状長溝22aに当接する3つの半球状の凸部122aを設けたが、振動体12に3つのV字状溝、摺動体22に該3つのV字状溝に当接する半円状の凸レールを設ける構成としてもよい。
【0083】
また、振動体12の形状を矩形に限らず、三角形状とし、三角形の3つの頂点で摺動体22と加圧接触する構成としてもよい。このような場合も、実施形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態1による摩擦駆動アクチュエータの全体構成図である。
【図2】実施形態1による振動体の構成を示す外観図である。
【図3】実施形態1による振動体の共振モードにおける変形の様子を示す図である。
【図4】実施形態1の変形例1による摩擦駆動アクチュエータの全体構成図である。
【図5】実施形態1の変形例2による摩擦駆動アクチュエータの全体構成図である。
【図6】本発明の実施形態2による摩擦駆動アクチュエータの全体構成図である。
【図7】実施形態2による振動体の構成を示す外観図である。
【図8】実施形態2の変形例1による摩擦駆動アクチュエータの全体構成図である。
【図9】実施形態2の変形例1による振動体の構成を示す外観図である。
【図10】従来の摩擦駆動アクチュエータの全体構成図である。
【符号の説明】
【0085】
1 摩擦駆動アクチュエータ
10,11,12 振動体
101 圧電変位部
102,112,122 当接部
151,152,153,154 圧電素子
20,21,22 摺動体
30,31 加圧部
301 コイルばね
302 ローラ
303 ローラ回転軸
40 固定台
41 板ばね
50 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号により伸縮する圧電変位部を備え、該圧電変位部の伸縮により励振される振動体と、
前記振動体に接触し、該振動体に対して相対移動を生じる摺動体と、
前記振動体と前記摺動体とを加圧接触させる加圧部と、を有する摩擦駆動アクチュエータにおいて、
前記振動体と前記摺動体は、前記加圧部によって加圧接触された状態で、
前記振動体と前記摺動体との相対位置の所定の相対移動方向と直交する方向への移動を規制する規制部を、前記振動体と前記摺動体との接触位置に、それぞれ有することを特徴とする摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項2】
前記摺動体に設けられた前記規制部は、前記所定の相対移動方向に沿って配置され、前記所定の相対移動方向に垂直な断面がV字状のV字状長溝と、
前記V字状長溝に平行に配置された帯状の平坦部と、を有し、
前記振動体に設けられた前記規制部は、前記V字状長溝の溝に当接し、前記所定の相対移動方向に所定の間隔で配置された2つの凸部と、
前記2つの凸部の間であって、前記平坦部に当接する凸部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項3】
前記振動体に設けられた前記規制部は、前記所定の相対移動方向に所定の間隔で配置され、前記所定の相対移動方向に垂直な断面がV字状の2つのV字状溝と、
前記2つのV字状溝に平行に配置された帯状の平坦部と、を有し、
前記摺動体に設けられた前記規制部は、前記2つのV字状溝の溝に当接する凸レールと、
前記凸レールに平行に配置され、前記平坦部に当接する凸レールと、を有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項4】
前記摺動体は、長尺状に形成され、前記振動体に対し相対的に直線移動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項5】
前記摺動体は、円環状に形成され、前記振動体に対し相対的に回動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項6】
摩擦駆動アクチュエータは、前記振動体を2つ備え、
前記加圧部は、2つの前記振動体のうち一方の前記振動体を用いて、他方の前記振動体と前記摺動体とを加圧接触させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項7】
駆動信号により伸縮する圧電変位部を備え、該圧電変位部の伸縮により励振される振動体と、
円環状に形成され、その内周面で前記振動体と接触し、該振動体に対して相対的に回動する摺動体と、を有する摩擦駆動アクチュエータにおいて、
前記摺動体は、前記円環状に弾性変形が生じた状態で前記振動体に加圧接触するものであって、
前記振動体と前記摺動体は、前記振動体と前記摺動体との相対位置の所定の相対移動方向と直交する方向への移動を規制する規制部を、前記振動体と前記摺動体との接触位置に、それぞれ有することを特徴とする摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項8】
前記摺動体に設けられた前記規制部は、該摺動体の内周面に前記所定の相対移動方向に沿って配置され、前記所定の相対移動方向に垂直な断面がV字状のV字状長溝を有し、
前記振動体に設けられた前記規制部は、前記V字状長溝の溝に当接し、前記所定の相対移動方向に所定の間隔で配置された3つの凸部を有することを特徴とする請求項7に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項9】
前記振動体に設けられた前記規制部は、前記所定の相対移動方向に所定の間隔で配置され、前記所定の相対移動方向に垂直な断面がV字状の3つのV字状溝を有し、
前記摺動体に設けられた前記規制部は、該摺動体の内周面に前記所定の相対移動方向に沿って配置され、前記3つのV字状溝の溝に当接する凸レールを有することを特徴とする請求項7に記載の摩擦駆動アクチュエータ。
【請求項10】
前記振動体は、前記圧電変位部の伸縮により縦振動および屈曲振動を共振励起され、該縦振動および該屈曲振動、またはそのいずれかの節位置で基台に固定されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−245507(P2008−245507A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5502(P2008−5502)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】