説明

撮像レンズおよび撮像モジュール

【課題】簡単な構成で、迷光を効果的に遮光できる撮像レンズを提供する。
【解決手段】センサ4の受光面が四角形状の受光部5に照射光を集光させる第1レンズL1と第2レンズL2との光学面部L1a・L2aを露出させる開口3aを有すると共に、当該光学面部L1a・L2aの外縁部L1b・L2bを覆うように形成された遮光膜3を備える。上記遮光膜3の開口3aが、四角形状であることにより、迷光を効果的に遮光できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やデジタルスチルカメラ等の電子機器に備えられた撮像レンズおよび撮像モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やデジタルスチルカメラ等の電子機器の小型化・薄型化に伴い、これらの電子機器に搭載される撮像モジュール(例えば、携帯電話に搭載されるカメラモジュール)においても小型化・薄型化が求められている。
【0003】
携帯電話に搭載されるカメラモジュールを一例として説明すると、カメラモジュールの小型化・薄型化を実現するために、カメラモジュールを構成する部材をより小さくしたり、部品の肉厚の薄肉化を行ったりしている。それゆえ、部品のサイズや強度は、ぎりぎりの対応をしている。
【0004】
一方、カメラモジュールに要求される光学性能は、より高精度化が求められており、それを実現するためには、高精度な組立技術が必要となっている。
【0005】
さらに、光学性能を維持するためには、光学性能に影響を及ぼす迷光の対策が重要となっている。特に、小型化・薄型化されたカメラモジュールにおいては、カメラモジュールへ入射する入射光がレンズの有効径領域(光学面部)や有効径領域以外の領域(外縁部)を透過または反射しやすくなる。その結果、カメラモジュール内で迷光が発生し、ゴースト・フレアとして光学性能に影響を及ぼすこととなる。そこで、こうした小型化・薄型化のカメラモジュールにあっては、特に迷光の対策を十分に行っておくことが必要となる。
【0006】
迷光の対策としては、まず、レンズの光学設計によって、あらかじめ迷光となる可能性のある入射光線の光路を特定し、次に、カメラモジュール内で入射光の光路を遮断する遮光部材を設ける。
【0007】
例えば特許文献1には、撮像レンズを構成する複数のレンズの間隔を決める部材を設け、この部材を、シート部材や鏡枠と同部材により構成し、黒色等にして反射光をカットする遮光部材として使用した撮像レンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−156277号公報(平成19年6月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、撮像レンズは通常回転対象に作製されるので、有効像円は円形となる。このため、通常、図2(a)に示すように、遮光膜(遮光部材)30の開口30aも円形状に形成される。
【0010】
一方、撮像素子の受光面の形状は四角形状である。このため、撮像レンズの有効像円の直径は、当該撮像レンズにより集光された光が撮像素子の受光面の全面に入射されるように、当該撮像素子の受光面の対角線と同じか、少し長くなるように設定されている。つまり、撮像レンズの有効像円は、撮像素子の受光面を全て含むような大きさに設定されている。
【0011】
このため、撮像レンズを通った光は、撮像素子の受光面から一部ははみ出すことになる。
【0012】
しかも、迷光を遮光するための遮光膜30の開口30aも円形であるため、この遮光膜30を通った光も撮像素子の受光面では円形となるので、当該受光面から一部ははみ出してしまう。
【0013】
このように、従来の撮像レンズを用いた場合、受光面からはみ出した光が撮像モジュール内で不要な反射を繰り返すことにより迷光となり、ゴースト・フレアとして撮像モジュールにおける光学性能に悪影響を及ぼすこととなる。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、簡単な構成で、迷光を効果的に遮光できる撮像レンズおよび撮像モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の撮像レンズは、上記の課題を解決するために、受光面が四角形状の受光部に照射光を集光させるレンズ体と、上記レンズ体の光学面部を露出させる開口を有すると共に、当該光学面部の外縁部を覆うように形成された遮光部材とを備え、上記遮光部材の開口は、四角形状であることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、遮光部材が有する開口が、上記受光部の受光面と同じ四角形状であることで、撮像レンズによる有効像円を四角形状の受光面と同じ四角形状に変換することができる。
【0017】
これにより、撮像レンズによる有効像円のうち、四角形状の受光面からはみ出す不要な光を低減できるので、不要な光に起因する迷光を低減できる。
【0018】
従って、遮光部材の開口を、受光部の受光面と同じ四角形状にするだけという簡単な構成で、迷光を効果的に遮光することができるという効果を奏する。
【0019】
上記遮光部材の開口のアスペクト比は、上記受光部の受光面のアスペクト比と同じであることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、遮光部材の開口のアスペクト比が、受光部の受光面のアスペクト比と同じであることで、遮光部材の開口によって変換された撮像レンズによる有効像円を受光部の受光面の形状に近づけることができる。
【0021】
これにより、撮像レンズによる有効像円のうち、四角形状の受光面からはみ出す不要な光を確実に低減できるので、不要な光に起因する迷光も確実に低減できる。
【0022】
本発明の撮像モジュールは、上記の課題を解決するために、上記構成の撮像レンズと、当該撮像レンズによって集光された照射光を受光する撮像素子とを備えたことを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、遮光部材の開口を、受光部の受光面と同じ四角形状にするだけという簡単な構成で、迷光を効果的に遮光することができる撮像素子を備えることで、迷光によって意図した光線経路以外を反射光が通ることにより生じるゴーストと呼ばれる像が形成されず、また、迷光成分によるコントラストの低下を生じさせることが無いので、高品位の撮像画像を得ることができる。
【0024】
上記の撮像モジュールにおいて、上記撮像レンズの遮光部材の開口のアスペクト比は、上記撮像素子の受光面のアスペクト比と同じであることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、遮光部材の開口のアスペクト比が、撮像素子の受光面のアスペクト比と同じであることで、遮光部材の開口によって変換された撮像レンズによる有効像円を受光部の受光面の形状に近づけることができる。
【0026】
これにより、撮像レンズによる有効像円のうち、撮像素子の四角形状の受光面からはみ出す不要な光を確実に低減できるので、不要な光に起因する迷光も確実に低減できる。
【0027】
従って、迷光による光学特性の劣化がさらに無くなるので、より高品位の撮像画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の撮像レンズは、以上のように、受光面が四角形状の受光部に照射光を集光させるレンズ体と、上記レンズ体の光学面部を露出させる開口を有すると共に、当該光学面部の外縁部を覆うように形成された遮光部材とを備え、上記遮光部材の開口は、四角形状であることで、遮光部材の開口を、受光部の受光面と同じ四角形状にするだけという簡単な構成で、迷光を効果的に遮光することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1に係る撮像モジュールの概略構成図を示し、(a)は撮像モジュールの断面図、(b)は撮像モジュールに含まれている開口絞りと遮光膜の平面図、(c)は撮像モジュールに含まれているセンサの平面図である。
【図2】(a)は開口が円形状の遮光膜における迷光の遮光状態を説明する図、(b)は開口が四角形状の遮光膜における迷光の遮光状態を説明する図である。
【図3】(a)〜(d)は、撮像モジュールの製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施の形態について説明すれば、以下の通りである。
【0031】
〔撮像モジュールの概要〕
図1は、本実施の形態1に係る撮像モジュール100の概略構成図を示し、(a)は撮像モジュール100の断面図、(b)は撮像モジュール100に含まれている開口絞り2と遮光膜(遮光部材)3の平面図、(c)は撮像モジュール100に含まれているセンサ(撮像素子)4の平面図である。
【0032】
上記撮像モジュール100は、図1(a)に示すように、撮像レンズ(レンズ体)1と、センサ4とで構成されている。
【0033】
上記撮像レンズ1は、図示しない被写体とセンサ4との間に配置されており、被写体からの反射光(照射光)をセンサ4に集光するためのレンズであり、被写体側からセンサ4に向かって順に、開口絞り2、第1レンズL1、遮光膜3、第2レンズL2、および、カバーガラスCGを備えて構成されたものである。
【0034】
上記第1レンズL1、第2レンズL2は、それぞれ光学的機能(例えば集光レンズとしての機能)を奏する光学面部L1a、L2aと、光学面部L1a、L2aを取り囲む外縁部L1b、L2bとからなっている。
【0035】
上記開口絞り2は、上記第1レンズL1の外縁部L1b上に設けられている。開口絞り2は、撮像レンズ1に入射した光が、第1レンズL1の光学面部L1a、および、第2レンズL2の光学面部L2aを適切に通過することを可能とするために、入射した光の軸上光線束の直径を制限することを目的に設けられている。
【0036】
上記開口絞り2は、図1(b)に示すように、円形の開口2aが形成されている。この開口2aは、第1レンズL1の光学面部L1aの直径よりも大きく、且つ、上述したように、第2レンズL2の光学面部L2aを適切に通過することが可能な大きさに設定される。
【0037】
ここで、上記開口絞り2の開口2aを円形にする目的は、収差や明るさの影響を無くすためである。
【0038】
上記遮光膜3は、上記第1レンズL1の外縁部L1bと上記第2レンズL2の外縁部L2bとの間に挿入され、それぞれのレンズ表面等の反射により発生する不要光(迷光)を第2レンズL2に入射しない位置に配置されている。
【0039】
上記遮光膜3は、図1(b)に示すように、四角形状の開口3aが形成されている。この開口3aは、後述するセンサ4の受光部5における受光面(像面)のアスペクト比と同じ、アスペクト比となるように設定される。なお、遮光膜3の開口3aの形状による効果の詳細については後述する。
【0040】
また、上記遮光膜3は、開口絞り2によりも像面側、すなわちセンサ4の受光部5側に配置される必要がある。これは、開口絞り2が撮像レンズ1における収差や明るさに影響を与えるからである。例えば開口絞り2と遮光膜3とが入れ替わった場合には、遮光膜3が開口絞りとして機能する。この場合、開口絞りの開口が四角形状となるので、撮像レンズ1の収差や明るさに悪影響を及ぼすことになる。
【0041】
従って、円形状の開口2aを有する開口絞り2は被写体側、四角形状の開口3aを有する遮光膜3は像面側(センサ4側)に配置することで、撮像レンズ1の収差や明るさに悪影響を及ぼさず、且つ、迷光を効果的に遮光できるという効果を奏する。
【0042】
続いて、上記第1レンズL1および第2レンズL2について説明する。
【0043】
上記第1レンズL1は、正の屈折力を有している、周知のメニスカスレンズである。第1レンズL1は、光学面部L1aの外面が、該メニスカスレンズの凸面に対応し、光学面部L1aの内面が、該メニスカスレンズの凹面に対応する。ここで、第1レンズL1は、光学面部L1aの外面及び内面が非球面形状であるのが好ましく、これにより、撮像レンズ1において発生し得る諸収差を、より良好に補正することが容易となる。
【0044】
レンズの凹面とは、レンズが中空に曲がっている部分、すなわち、レンズが内側に曲がっている部分を示している。レンズの凸面とは、レンズの球状表面が外側に曲がっている部分を示している。
【0045】
また、上記第2レンズL2は、正または負の屈折力を有しているレンズである。第2レンズL2は、光学面部L1aの内面が、該メニスカスレンズの凹面に対応し、光学面部L2aの外面が、該メニスカスレンズの凸面に対応する。さらに、第2レンズL2には、撮像レンズ1を保持するための、上記センサ4に向かって延設された脚部6が形成されている。ここで、第2レンズL2は、光学面部L2aの内面および外面のうち少なくとも一方が非球面形状であるのが好ましく、これにより、撮像レンズ1において発生し得る諸収差を、より良好に補正することが容易となる。
【0046】
カバーガラスCGは、第2レンズL2とセンサ4との間に設けられている。カバーガラスCGは、センサ4の表面を覆うことで、物理的ダメージ等からセンサ4を保護するためのものである。
【0047】
上記センサ4は、撮像レンズ1における、撮像レンズ1によって被写体の反射光を結像して形成された像を、光信号として受光し、この光信号を電気信号へと変換するものである。センサ4は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)により構成される固体撮像素子に代表される、周知の電子撮像素子等で構成されている。
【0048】
上記センサ4は、図1(c)に示すように、受光部5が四角形状の受光面を有している。ここでは、四角形状を矩形状として説明する。すなわち、上記受光部5の受光面の矩形の短辺の寸法は、aのJ倍であり、長辺の寸法は、bのJ倍である。ここで、a、b、および、Jは、任意の正数である。従って、該矩形における、長辺の寸法と短辺の寸法との比率は、b:aである。以下、この比率b:aを、「アスペクト比」と称する。
【0049】
ここで、上述したように、上記遮光膜3の開口3aは、センサ4の受光部5における受光面のスペクト比と同じ、アスペクト比となるように設定されるので、上記遮光膜3の開口3aのスペクト比は、センサ4の受光部5のアスペクト比と同じb:aとなる。
【0050】
〔撮像レンズ1における遮光膜3による効果〕
上記構成の撮像モジュール100において、撮像レンズ1に設けた上記構成の遮光膜3による効果について、図2(a)(b)を参照しながら以下に説明する。
【0051】
上記撮像レンズ1は、回転対称に作製されており、有効像円は円形である。一方、受光に用いるセンサ4の受光部5の受光面は四角形状である。
【0052】
従って、図2(a)に示すように、従来の遮光膜30では、開口30aの形状が撮像レンズ1の有効像円の形状に合わせて円形であるので、センサ4の受光部5外の像は不要である。この不要な像となる光が迷光となり、撮像モジュール100において、種々の不具合を生じさせる。
【0053】
上記のような問題を解決するために、本願の遮光膜3では、図2(b)に示すように、開口3aを四角形状にしてセンサ4の受光部5に照射される不要な光をカットすることができる。これにより、不要な光に起因する迷光を効果的に防ぐことが可能となる。
【0054】
さらに、上記遮光膜3の開口3aのアスペクト比を、センサ4の受光部5の受光面のアスペクト比と同じにすることで、より効果的にセンサ4の受光部5に照射される不要な光をカットすることができる。
【0055】
〔撮像モジュール100における撮像レンズ1の遮光膜3による効果〕
上記構成の遮光膜3を有する撮像レンズ1を備えた撮像モジュール100では、以下のような効果を奏する。
【0056】
すなわち、上記撮像レンズ1の遮光膜3によって迷光が効果的に遮光されるので、迷光によって意図した光線経路以外を反射光が通ることにより生じるゴーストと呼ばれる像が形成されず、また、迷光成分によるコントラストの低下を生じさせることが無いので、高品位の撮像画像を得ることができる。
【0057】
〔撮像モジュール100の製造方法〕
上記撮像モジュール100の製造方法の一例について図3(a)〜図3(d)を参照しながら以下に説明する。
【0058】
近年では、撮像レンズ1を構成している第1レンズL1および第2レンズL2の材料として、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いた、いわゆる耐熱カメラモジュールの開発が進められている。ここでは、第1レンズL1および第2レンズL2の材料として、熱硬化性樹脂101を用いた例について説明する。
【0059】
第1レンズL1および第2レンズL2の材料として、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いる理由は、大量の撮像モジュール100を一括して、かつ短時間で製造することにより、撮像モジュール100の製造コストの低減を図るためである。特に、第1レンズL1および第2レンズL2の材料として、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いる理由は、撮像モジュール100に対して、リフローの実施を可能にするためである。
【0060】
撮像モジュール100を製造する技術は、多々提案されている。中でも代表的な技術は、上述した射出成形、および、ウエハレベルレンズプロセスである。特に、最近では、撮像モジュールの製造時間およびその他の総合的知見において、より有利であると考えられている、ウエハレベルレンズ(リフローアブルレンズ)プロセスが注目されている。
【0061】
ウエハレベルレンズプロセスを実施するにあたっては、熱に起因して、第1レンズL1および第2レンズL2に塑性変形が発生してしまうことを抑制する必要がある。この必要性から、第1レンズL1および第2レンズL2としては、熱が加えられても変形しにくい、耐熱性に非常に優れた、熱硬化性樹脂材料またはUV硬化性樹脂材料を用いたウエハレベルレンズ(レンズアレイ)が注目されている。具体的には、摂氏260〜280度の熱が10秒以上与えられても、塑性変形しない程度の耐熱性を有している、熱硬化性樹脂材料またはUV硬化性樹脂材料を用いたウエハレベルレンズが注目されている。
【0062】
ウエハレベルレンズプロセスでは、まず、図3(a)に示すように、多数の凹部が形成されたレンズアレイ成形型102と、該凹部の各々に対応する多数の凸部が形成されたレンズアレイ成形型103と、により、熱硬化性樹脂101を挟み込み、かつ、レンズアレイ成形型102および103において発生する熱により熱硬化性樹脂101を硬化させ、互いに対応する該凹部および凸部の組み合わせ毎にレンズが成形された、第1レンズアレイ104を作製する。
【0063】
図3(a)では、熱硬化性樹脂101に多数の第1レンズL1が互いに同一面上に成形された第1レンズアレイ104の作製工程を示している。第2レンズL2が互いに同一面上に成形された第2レンズアレイ105も、図3(a)と同様の工程で作製できる。但し、金型であるレンズアレイ成形型102の形状が異なる。具体的には、第2レンズL2の脚部6を形成するための凹部がレンズアレイ成形型102に形成されている点で異なる。
【0064】
このようにして作製された第1レンズアレイ104と第2レンズアレイ105とは、図3(b)に示すように、互いに凹部側を対向させて、その間に、遮光膜3を挟みこむようにして貼り合わされる。
【0065】
上記遮光膜3は、第1レンズアレイ104の第1レンズL1の光学面部L1aと、第2レンズアレイ105の第2レンズL2の光学面部L2aとを露出させるように開口3aが形成されている。この遮光膜3によれば、第1レンズL1からの入射光のうち不要な光(迷光)が第2レンズL2に入射されないようになる。
【0066】
ここで、第1レンズアレイ104と第2レンズアレイ105とを、各第1レンズL1および第2レンズL2に関して、第1レンズL1の光軸と、これに対応する第2レンズL2の光軸と、の両方が、図1に示す撮像レンズ1の光軸La上に位置するように接合する。撮像モジュール(撮像レンズ1を含む)100の大量生産の観点から、第1レンズアレイ104と第2レンズアレイ105とは、第1レンズL1の光軸と対応する第2レンズL2の光軸との組み合わせの少なくとも2組の各々に関して、これらの両光軸が互いに、光軸La上に位置するように貼り合せる。
【0067】
但し、具体的に、第1レンズアレイ104と第2レンズアレイ105との間での位置あわせを行う調芯方法としては、第1レンズL1および第2レンズL2の各光軸同士を、光軸La上に揃える以外にも、撮像しながら調芯を図る等、色々な手法が挙げられ、また、位置あわせは、ウエハのピッチ仕上がり精度にも影響される。
【0068】
次に、図3(c)に示すように、第1レンズアレイ104と第2レンズアレイ105とを接合したものを、当該第2レンズアレイ105に形成された脚部6を介してセンサアレイ106に接続する。
【0069】
センサアレイ106には、各レンズに対応する位置にセンサ4が一体的に設けられている。これにより、第1レンズアレイ104と第2レンズアレイ105とを接合したものに対して、各光軸Laと対応する各センサ4の中心4aとが重なり合うように、センサアレイ106を接続する。
【0070】
なお、各センサ4はそれぞれ、受光部5を有し、この受光部5を覆うようにカバーガラスCGが貼り付けられている。
【0071】
また、図3(c)に示す工程では、第1レンズアレイ104の各凸部である、各第1レンズL1の光学面部L1aに対応する部分を露出させる開口2aが形成された開口絞り2を取り付ける。但し、開口絞り2を取り付けるタイミング、および取り付けの手法については、特に限定されない。
【0072】
図3(c)に示す工程により作製された、アレイ状となっている多数の撮像モジュール100は、図3(d)に示すように、第1レンズL1の光軸と対応する第2レンズL2の光軸との組み合わせの1組を単位として、つまり換言すれば、1つの撮像モジュール100毎に(最低限、1つの撮像モジュール100を単位として)分割して、撮像モジュール100は完成する。
【0073】
なお、カバーガラスCGはセンサ4に含まれるものとして、センサ4の中にある四角で図示している。撮像モジュール100では、センサ4の受光部5のみにカバーガラスCGを貼り付けている例を示している。
【0074】
なお、図3(c)に示す、各センサ4(センサアレイ106)を搭載する工程を省略し、カバーガラスCGのみを搭載することで、撮像モジュール100から撮像素子を省略すれば、ウエハレベルレンズプロセスにより、撮像レンズ1を製造することも容易に可能である。
【0075】
但し、カバーガラスCGを取り付けるタイミング、および取り付けの手法については、特に限定されない。
【0076】
以上、図3(a)〜図3(d)に示すウエハレベルレンズプロセスにより、多数の撮像モジュール100を一括して製造することで、撮像モジュール100の製造コストは、低減することができる。さらに、完成した撮像モジュール100を、基板に実装するときにおいて、リフローにより発生する熱(最大温度が摂氏260度程度)に起因して塑性変形してしまうことを避けるため、第1レンズL1および第2レンズL2は、摂氏260〜280度の熱に対して10秒以上の耐性を有している、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いるのが、より好ましい。これにより、撮像モジュール100に対しては、リフローを施すことが可能となる。ウエハレベルでの製造工程に、さらに、耐熱性を有している樹脂材料を適用することで、リフローに対応可能な撮像モジュールを安価に製造することが可能である。
【0077】
〔本実施の形態による効果〕
本実施の形態にかかる撮像モジュール100によれば、上述のように、簡単な構成で、迷光を効果的に遮光できるので、モバイル機器のように、遮光機構を設けるほどのスペース的な余裕が無い場合であっても、効果的な迷光の遮光を実現できるという効果を奏する。
【0078】
また、撮像モジュール100は、自身に備えられた撮像レンズ1と同様の効果を奏するため、例えば2枚という少ないレンズ枚数であっても良好な解像力を有する、安価なデジタルカメラを実現することが可能となる。
【0079】
撮像モジュール100は、センサ4の画素数が100万画素を超えているのが好ましい。
【0080】
撮像レンズ1の解像力に適したセンサ4を備えることにより、良好な解像力を有する撮像モジュール100を得ることができる。なお、撮像モジュール100では、1.3Mクラスのセンサ4を備えることが好適である。
【0081】
撮像モジュール100は、センサ4の画素のピッチが2.5μm未満であるのが好ましい。
【0082】
画素のピッチが2.5μm未満である固体撮像素子を用いてセンサ4を構成することにより、高画素の撮像素子の性能を十分活かした撮像モジュール100を実現することができる。
【0083】
図3(a)〜図3(d)に示したウエハレベルレンズプロセスによって、撮像モジュール100は、同一面上に、第2レンズL2を複数備えた第2レンズアレイ105と、同一面上にセンサ4を複数備えたセンサアレイ106と、を用意し、各第2レンズL2と各センサ4とが、1対1に対応して対向配置されるように、第2レンズアレイ105にセンサアレイ106を搭載した後、対向配置された、第2レンズL2およびセンサ4の組み合わせを単位として分割して製造されたものであると解釈することができる。
【0084】
図3(a)〜図3(d)に示したウエハレベルレンズプロセスによって、撮像モジュール100は、同一面上に、第1レンズL1を複数備えた第1レンズアレイ104と、同一面上に、第2レンズL2を複数備えた第2レンズアレイ105と、を用意し、各第1レンズL1と各第2レンズL2とが、1対1に対応して対向配置されるように、第1レンズアレイ104に第2レンズアレイ105を貼り合せた後、対向配置された、第1レンズL1および第2レンズL2の組み合わせを単位として分割して製造されたものであると解釈することができる。
【0085】
上記の構成によれば、大量の撮像モジュール100を一括して、かつ短時間で製造することが可能となるため、撮像モジュール100の製造コストは、低減することが可能となる。撮像モジュール100は、少ないレンズ枚数で撮像レンズ1を実現することで、部品削減によるコストの低下が可能であると共に、上記のような安価な製造方法が適用でき、これらの相乗効果でより安価に製造できる。特に、撮像レンズ1において、レンズの枚数を少なくして、レンズアレイを貼り合せる工程を削減することにより、撮像モジュール100においては、製造誤差が発生し得る要因も減るため、より効果的なコスト削減が期待できる。
【0086】
撮像モジュール100は、撮像レンズ1を構成するレンズの少なくとも1つは、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂から成るのが好ましい。
【0087】
撮像レンズ1を構成するレンズの少なくとも1つを、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂から成る構成とすることにより、図3(a)〜図3(d)に示す、撮像モジュール100の製造段階において、複数のレンズを樹脂に成形して、レンズアレイを作製することが可能となり、さらに、撮像レンズ1をリフロー実装することが可能となる。
【0088】
上記の構成によれば、実装コストを下げることを目的とする、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂から成るレンズと、少ないレンズ枚数で光学系を実現する本発明の撮像レンズまたは撮像モジュールと、を併せて適用することで、より効果的なコスト削減が可能となる。
【0089】
また、撮像モジュール100を備える携帯情報機器は、本発明の撮像モジュール、ひいては、本発明の撮像レンズと同様の効果を奏する。このような携帯情報機器の一例としては例えば、情報携帯端末および携帯電話機等の各種携帯端末が挙げられる。
【0090】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、携帯電話、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラなどの電子機器において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 撮像レンズ(レンズ体)
2a 開口
3 遮光膜(遮光部材)
3a 開口
4 センサ(撮像素子)
4a 中心
5 受光部
6 脚部
30 遮光膜(遮光部材)
30a 開口
100 撮像モジュール
101 熱硬化性樹脂
102 レンズアレイ成形型
103 レンズアレイ成形型
104 第1レンズアレイ
105 第2レンズアレイ
106 センサアレイ
CG カバーガラス
L1 第1レンズ
L1a 光学面部
L1b 外縁部
L2 第2レンズ
L2a 光学面部
L2b 外縁部
La 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面が四角形状の受光部に照射光を集光させるレンズ体と、
上記レンズ体の光学面部を露出させる開口を有すると共に、当該光学面部の外縁部を覆うように形成された遮光部材とを備え、
上記遮光部材の開口は、四角形状であることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
上記遮光部材の開口のアスペクト比は、上記受光部の受光面のアスペクト比と同じであることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
受光面が四角形状の受光部を有する撮像素子と、
上記撮像素子の受光部に照射光を集光させるレンズ体と、上記レンズ体の光学面部を露出させる開口を有すると共に、当該光学面部の外縁部を覆うように形成された遮光部材とを備えた撮像レンズとを有する撮像モジュールであって、
上記撮像レンズの遮光部材の開口は、四角形状であることを特徴とする撮像モジュール。
【請求項4】
上記撮像レンズの遮光部材の開口のアスペクト比は、上記撮像素子の受光部の受光面のアスペクト比と同じであることを特徴とする請求項3に記載の撮像モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−12859(P2013−12859A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143563(P2011−143563)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】