撮像レンズ
【課題】高温環境においても光学的性能が劣化せず、また、諸収差が良好に補正されており、かつ光学長が短く、しかも十分なバックフォーカスが確保されている。
【解決手段】第1レンズ14と、開口絞りSと、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、この順に配列されて構成される撮像レンズである。第1レンズには、単レンズが用いられている。第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、及び第3サブレンズL3の順に配列されている。また、第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5、及び第6サブレンズL6の順に配列されている。第1レンズは、透明硬化性シリコーン樹脂で形成され、第1、第3、第4、及び第6サブレンズも、透明硬化性シリコーン樹脂で形成されている。第2サブレンズ、及び第5サブレンズは、高軟化温度のガラス材料を用いて形成されている。
【解決手段】第1レンズ14と、開口絞りSと、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、この順に配列されて構成される撮像レンズである。第1レンズには、単レンズが用いられている。第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、及び第3サブレンズL3の順に配列されている。また、第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5、及び第6サブレンズL6の順に配列されている。第1レンズは、透明硬化性シリコーン樹脂で形成され、第1、第3、第4、及び第6サブレンズも、透明硬化性シリコーン樹脂で形成されている。第2サブレンズ、及び第5サブレンズは、高軟化温度のガラス材料を用いて形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像レンズ、特に携帯電話器等に搭載して好適な撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラを内蔵する携帯電話器には、撮像レンズがプリント配線基板に実装されている。プリント配線基板に撮像レンズを実装する手法として、リフローはんだ付け(Reflow soldering)処理が採用されている。以後、リフローはんだ付け処理を、単に「リフロー処理」ということもある。リフロー処理とは、プリント配線基板上で電子部品を接続する個所にあらかじめハンダボールを配置し、そこに電子部品を配置してから加熱して、ハンダボールを溶融させた後冷却することによって、電子部品をハンダ付けする手法のことを言う。
【0003】
大量生産工程において、一般に、プリント配線基板に電子素子あるいは撮像レンズ等の部品類を実装する手法として、リフロー処理を実施するリフロー工程が採用される。リフロー工程によれば、部品類のプリント配線基板への実装コストが安くすみ、かつ製造品質を一定に保つことができる。
【0004】
撮像レンズを具える携帯電話器の製造工程におけるリフロー工程においては、電子部品が、プリント配線基板の所定位置に配置されることはもちろん、撮像レンズそのもの、あるいは撮像レンズを取り付けるためのソケット等がプリント配線基板に配置される。
【0005】
携帯電話器に取り付けられる撮像レンズは、製造コストの低減及びレンズ性能の確保のために、そのほとんどがプラスチックを素材として作製されている。このため、リフロー工程において、撮像レンズが高温環境におかれることによって熱変形し、その光学的性能を維持できなくなることを防止するため、撮像レンズを装填するための耐熱性ソケット部品を利用する工夫がなされている。
【0006】
すなわち、リフロー工程においては、撮像レンズを装填するための耐熱性ソケット部品を携帯電話器のプリント配線基板に取り付け、リフロー工程終了後に、撮像レンズをこのソケットに取り付けることによって、撮像レンズがリフロー工程で高温にさらされることを防ぐ方策が採られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、撮像レンズを装填するために耐熱性ソケット部品を利用することは、製造工程を複雑にし、この耐熱性ソケットのコスト等を含めて、製造コストが高くなるという問題がある。
【0007】
また、最近は、携帯電話器が、一時的に高温環境となる乗用車の車内等に放置されることも考慮して、携帯電話器そのものが、150℃程度の高温環境に置かれた場合であっても、この携帯電話器に装填されている撮像レンズには、その光学的性能が劣化しないことが要請されている。従来の、プラスチック素材で形成された撮像レンズでは、この要請に完全には応えられない。
【0008】
高温環境でも光学的性能が維持される撮像レンズを実現するために、撮像レンズを高軟化温度のモールドガラス素材を利用して形成することが考えられる(例えば、特許文献4参照)。高軟化温度のモールドガラス素材が軟化する温度は数百度以上であるので、高温の環境によって撮像レンズの光学的性能が劣化するという問題は回避できるが、現時点では、モールドガラス素材を利用して構成される撮像レンズは、その製造コストが非常に高く、あまり普及していない。
【0009】
携帯電話器等に装填される撮像レンズは、上述の熱的特性に加えて光学的な特性についても、次のような条件を満たす必要がある。すなわち、光学長(optical length)が短い必要がある。光学長とは、撮像レンズの物体側の入射面から結像面(撮像面ということもある。)までの長さである。言い換えると、レンズの設計において、撮像レンズの合成焦点距離に対する光学長の比を小さくする工夫が必要である。携帯電話器を例にとると、少なくともこの光学長は、携帯電話器本体の厚みより短くなければならない。
【0010】
一方、撮像レンズの像側の出射面から撮像面までの距離として定義されるバックフォーカスは、可能な限り長いのが好都合である。すなわち、レンズの設計において、焦点距離に対するバックフォーカスの比はできるだけ大きくする工夫が必要である。これは、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する必要があるためである。
【0011】
上述した以外にも、撮像レンズとして、諸収差が、像の歪みが視覚を通じて意識されず、かつCCDイメージセンサ(charge coupled device image sensor)等の受光面にマトリックス状に並んでいる光を検知する最小単位の素子(「画素」とも呼ばれる。)の集積密度から要請される十分な程度に小さく補正されていることが当然に要請される。すなわち、撮像レンズは、諸収差が良好に補正されている必要がある。以下、このように諸収差が良好に補正された画像を「良好な画像」ということもある。
【特許文献1】特開2006-121079号公報(特許第3799615号公報)
【特許文献2】特開2004-328474号公報(特許第3915733号公報)
【特許文献3】特開2004-063787号公報(特許第3755149号公報)
【特許文献4】特開2005-067999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、この発明の目的は、携帯電話器等に搭載して好適な撮像レンズであって、リフロー工程においても、また、携帯電話器等に装填されて一時的に設計仕様における最高の温度環境に置かれた場合であっても、光学的性能が劣化しないという耐熱性が保証された撮像レンズを提供することにある。
【0013】
また、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、バックフォーカスは撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入可能な程度に長く、かつ良好な画像が得られる撮像レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、この発明の第1形態の撮像レンズは、以下のとおり構成される。すなわち、この発明の第1形態の撮像レンズは、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具えている。第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのうち一つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであることが特徴である。残りの二つのレンズは、それぞれ第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズの3枚のサブレンズをこの順に接着した状態にある接合型複合レンズである。これら二つの接合型複合レンズのそれぞれは、第1サブレンズ及び第3サブレンズが、硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0015】
この発明の第2形態の撮像レンズは、以下のとおり構成される。すなわち、この発明の第2形態の撮像レンズは、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具えている。第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのうち二つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであることが特徴である。残りの一つのレンズは、第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズの3枚のサブレンズをこの順に接着した状態にある接合型複合レンズである。この接合型複合レンズは、第1サブレンズ及び第3サブレンズが、硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0016】
ここで、硬化性樹脂(Curable Resin)材料とは、熱硬化性樹脂(Thermosetting resin)材料及び紫外線硬化樹脂(UV-Curable Resin)材料のいずれをも指す。また、高軟化温度の光学レンズの形成用材料とは、高軟化温度のモールドガラス素材、あるいは、後述するBK7等の光学ガラス等を指す。
【0017】
光学ガラスで形成される第2サブレンズと、硬化性樹脂材料で形成される第1サブレンズ又は第3サブレンズとの接着は次のように実現される。光学ガラスで形成される第2サブレンズに、液体状の硬化性樹脂を接触させて、この硬化性樹脂を固体化、すなわち硬化させることによって、第1サブレンズ又は第3サブレンズが第2サブレンズに接着される。この接着を、以後、直接接着ということもある。また、第2サブレンズと、第1サブレンズ又は第3サブレンズとのとの間に接着剤を介在させて第2サブレンズと、第1サブレンズ又は第3サブレンズとの接着を実現させても良い。この接着を、以後、間接接着ということもある。
【0018】
間接接着を実現する場合、光学ガラスの屈折率と、硬化性樹脂材料の屈折率に関して、接着剤の屈折率を適宜選択する等、接着剤の光学的特性を積極的に利用する意図を持って接着剤を選択すれば、第2サブレンズと、第1サブレンズ又は第3サブレンズとの界面における反射を低減する等の効果を得ることも可能である。また、接着剤を介在させるか否かにかかわらず、第2サブレンズの、第1サブレンズ又は第3サブレンズに対向する面に、コーティング処理を施した上で、両者を接着すれば、第1サブレンズ(又は第3サブレンズ)との界面における反射を低減する等の効果を得ることも可能である。
【0019】
すなわち、ここでいうサブレンズ同士の接着とは、上述したように、接着剤を介在させることなくサブレンズ同士を接着する直接接着を含むことはもちろん、サブレンズ間に接着剤を介在させて実現される間接接着も含むものとする。
【0020】
この発明の撮像レンズは、より具体的には、第1〜第6の撮像レンズとして構成される。
【0021】
第1の撮像レンズは、第1レンズと、開口絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ、開口絞り、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。
【0022】
第1レンズは、近軸上で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズである。第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、第4サブレンズと第5サブレンズとが接着され、かつ第5サブレンズと第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0023】
第1レンズは、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、第1サブレンズ、第3サブレンズ、第4サブレンズ、及び第6サブレンズは硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズ、及び第5サブレンズは、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0024】
そして、第1の撮像レンズは、以下の条件(1-1)〜(1-8)を満たす。
【0025】
0≦|N5-N4|≦0.1 (1-1)
0≦|N5-N6|≦0.1 (1-2)
0≦|ν5-ν4|≦30.0 (1-3)
0≦|ν5-ν6|≦30.0 (1-4)
0≦|N9-N8|≦0.1 (1-5)
0≦|N9-N10|≦0.1 (1-6)
0≦|ν9-ν8|≦30.0 (1-7)
0≦|ν9-ν10|≦30.0 (1-8)
ただし、
N4:前記第1サブレンズの屈折率
N5:前記第2サブレンズの屈折率
N6:前記第3サブレンズの屈折率
ν4:前記第1サブレンズのアッベ数
ν5:前記第2サブレンズのアッベ数
ν6:前記第3サブレンズのアッベ数
N8:前記第4サブレンズの屈折率
N9:前記第5サブレンズの屈折率
N10:前記第6サブレンズの屈折率
ν8:前記第4サブレンズのアッベ数
ν9:前記第5サブレンズのアッベ数
ν10:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【0026】
更に、第1の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第1の撮像レンズの構成要素である、第2レンズ及び第3レンズをそれぞれ構成する第1〜第3サブレンズ、及び第4〜第6サブレンズを以下のとおりとするのが好適である。
【0027】
第2レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズ(planoconcave lens)とし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズ(planoconvex lens)とする。平行平面ガラス板は、オプティカルパラレルガラス板(Optical-parallel glass plate)と呼ばれることもある。平行平面ガラス板は、レンズとは一般には呼ばれないが、ここでは説明の便宜上、レンズ面の曲率半径が無限大である特別な場合として平行平面ガラス板を含めてレンズと称することもある。
【0028】
また、第3レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズとする。
【0029】
また、第1の撮像レンズは、次のように構成しても好適である。すなわち、第1の撮像レンズの構成要素である、第2及び第3レンズを構成する第1〜第6サブレンズを以下のとおりとしても好適である。
【0030】
第2レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、像側に凸面を向けたメニスカスレンズ(meniscus lens)とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けたレンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズとする。
【0031】
また、第3レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、両側の面が凸面である両凸レンズ(biconvex lens)とし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズとする。
【0032】
第2の撮像レンズは、開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、開口絞り、第1レンズ、第2絞り、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。
【0033】
第1レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズである。第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、第4サブレンズと第5サブレンズとが接着され、かつ第5サブレンズと第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0034】
第1サブレンズ、第3サブレンズ、第4サブレンズ、及び第6サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、第2レンズが硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、第2サブレンズ、及び第5サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0035】
そして、第2の撮像レンズは、以下の条件(2-1)〜(2-8)を満たす。
【0036】
0≦|N3-N2|≦0.1 (2-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (2-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (2-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (2-4)
0≦|N10-N9|≦0.1 (2-5)
0≦|N10-N11|≦0.1 (2-6)
0≦|ν10-ν9|≦30.0 (2-7)
0≦|ν10-ν11|≦30.0 (2-8)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
N9:前記第4サブレンズの屈折率
N10:前記第5サブレンズの屈折率
N11:前記第6サブレンズの屈折率
ν9:前記第4サブレンズのアッベ数
ν10:前記第5サブレンズのアッベ数
ν11:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【0037】
更に、第2の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第2の撮像レンズの構成要素である、第1及び第3レンズをそれぞれ構成する第1〜第3サブレンズ、及び第4〜第6サブレンズを以下のとおりとするのが好適である。
【0038】
第1レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0039】
また、第3レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズとする。
【0040】
また、第2の撮像レンズは、次のように構成しても好適である。すなわち、第2の撮像レンズの構成要素である、第1及び第3レンズを構成する第1〜第6サブレンズを以下のとおりとしても好適である。
【0041】
第1レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、両側の面が凸面である両凸レンズとし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズとする。
【0042】
また、第3レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、像側に凸面を向けたメニスカスレンズとし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズとする。
【0043】
第3の撮像レンズは、開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、開口絞り、第1レンズ、第2絞りと、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。
【0044】
第1レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、第4サブレンズと第5サブレンズとが接着され、かつ第5サブレンズと第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズは、像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズである。
【0045】
第1サブレンズ、第3サブレンズ、第4サブレンズ、及び第6サブレンズは硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズ及び第5サブレンズは、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、及び第3レンズは、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0046】
そして、第3の撮像レンズは、以下の条件(3-1)〜(3-8)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
【0047】
0≦|N3-N2|≦0.1 (3-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (3-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (3-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (3-4)
0≦|N8-N7|≦0.1 (3-5)
0≦|N8-N9|≦0.1 (3-6)
0≦|ν8-ν7|≦30.0 (3-7)
0≦|ν8-ν9|≦30.0 (3-8)
ただし、
N2:第1サブレンズの屈折率
N3:第2サブレンズの屈折率
N4:第3サブレンズの屈折率
ν2:第1サブレンズのアッベ数
ν3:第2サブレンズのアッベ数
ν4:第3サブレンズのアッベ数
N7:第4サブレンズの屈折率
N8:第5サブレンズの屈折率
N9:第6サブレンズの屈折率
ν7:第4サブレンズのアッベ数
ν8:第5サブレンズのアッベ数
ν9:第6サブレンズのアッベ数
である。
【0048】
更に、第3の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第3の撮像レンズの構成要素である、第1及び第2レンズをそれぞれ構成する第1〜第3サブレンズ、及び第4〜第6サブレンズを以下のとおりとするのが好適である。
【0049】
第1レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0050】
また、第2レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0051】
また、第3の撮像レンズは、次のように構成しても好適である。すなわち、第3の撮像レンズの構成要素である、第1及び第2レンズを構成する第1〜第6サブレンズを以下のとおりとしても好適である。
【0052】
第2サブレンズを、両側の面が凸面である両凸レンズとし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1レンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズとする。第5サブレンズを、像側に凸面を向けたメニスカスレンズとし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けたレンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズとする。
【0053】
第4の撮像レンズは、第1レンズと、開口絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ、開口絞り、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。第1レンズは、近軸上で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズである。第3レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0054】
第1レンズ、第2レンズ、第1サブレンズ、及び第3サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0055】
そして、第4の撮像レンズは、以下の条件(4-1)〜(4-4)を満たす。
【0056】
0≦|N7-N6|≦0.1 (4-1)
0≦|N7-N8|≦0.1 (4-2)
0≦|ν7-ν6|≦30.0 (4-3)
0≦|ν7-ν8|≦30.0 (4-4)
ただし、
N6:前記第1サブレンズの屈折率
N7:前記第2サブレンズの屈折率
N8:前記第3サブレンズの屈折率
ν6:前記第1サブレンズのアッベ数
ν7:前記第2サブレンズのアッベ数
ν8:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0057】
更に、第4の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第4の撮像レンズの構成要素である、第3レンズを構成する第1〜第3サブレンズを以下のとおりとするのが好適である。
【0058】
第3レンズを構成する第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズとする。
【0059】
第5の撮像レンズは、開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、開口絞り、第1レンズ、第2絞りと、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。第1レンズは、両側の面が凸面である両凸レンズである。第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズである。
【0060】
第1レンズ、第1サブレンズ、及び第3サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズ、第3レンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0061】
そして、第5の撮像レンズは、以下の条件(5-1)〜(5-4)を満たす。
【0062】
0≦|N6-N5|≦0.1 (5-1)
0≦|N6-N7|≦0.1 (5-2)
0≦|ν6-ν5|≦30.0 (5-3)
0≦|ν6-ν7|≦30.0 (5-4)
ただし、
N5:前記第1サブレンズの屈折率
N6:前記第2サブレンズの屈折率
N7:前記第3サブレンズの屈折率
ν5:前記第1サブレンズのアッベ数
ν6:前記第2サブレンズのアッベ数
ν7:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0063】
更に、第5の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第5の撮像レンズの構成要素である第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0064】
第6の撮像レンズは、開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、開口絞り、第1レンズ、第2絞りと、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。
【0065】
第1レンズが、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズである。
【0066】
第1サブレンズ、第3サブレンズ、第2レンズが硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズ、第3レンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0067】
そして、第6の撮像レンズは、以下の条件(6-1)〜(6-4)を満たす。
【0068】
0≦|N3-N2|≦0.1 (6-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (6-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (6-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (6-4)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0069】
更に、第6の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第6の撮像レンズの構成要素である第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0070】
この発明の、第1〜第6の撮像レンズを形成するに当たり、第1レンズの物体側面、第1レンズの像側面、第2レンズの物体側面、第2レンズの像側面、第3レンズの物体側面、及び第3レンズの像側面を非球面とするのが好適である。
【0071】
また、この発明の、第1〜第6の撮像レンズを形成するに当たり、硬化性樹脂材料は、透明硬化性シリコーン樹脂(Transparent Curable Silicone Resin)とするのが好適である。透明との限定は、可視光に対して、実用上の影響が無い程度に光吸収量が小さい(透明である)ことを意味する。
【発明の効果】
【0072】
この発明の撮像レンズは、第1形態の撮像レンズ及び第2形態の撮像レンズの2つの形態がある。第1形態の撮像レンズは、一つの単レンズと二つの接合型複合レンズを組み合わせて構成される。第2形態の撮像レンズは、二つの単レンズと一つの接合型複合レンズを組み合わせて構成される。
【0073】
ここで、この発明の撮像レンズに利用される接合型複合レンズの一つを取り上げて、その構成及び機能について説明する。
【0074】
この発明の第1又は第2形態の撮像レンズを構成する接合型複合レンズは、硬化性樹脂材料で形成された第1及び第3サブレンズが、高軟化温度のガラス材料で形成された第2サブレンズを両側から挟む形で接着されて形成されている。
【0075】
高軟化温度のガラス材料とは、リフロー処理の温度及び接合型複合レンズの設計仕様における最高環境温度のいずれの温度より、軟化温度が高いガラス材料であることを意味する。なお、以後の説明において、ガラス材料に対する、熱的性質について論ずる場合にはこれを高軟化温度のガラス材料といい、光学的性質を論ずる場合には、これを光学ガラス材料ということもある。
【0076】
硬化性樹脂材料は、一旦硬化処理が施されると、高温になっても軟化することはない。硬化性樹脂材料がもつこの性質が、軟化温度と呼ばれる(ガラス転移温度とも呼ばれる。)一定の温度以上にさらされると軟化して可塑化する、プラスチック材料等の可塑性樹脂材料がもつ性質と異なる点である。すなわち、硬化性樹脂材料は、一旦硬化処理が施されて固体化されれば、その幾何学的形状は変化しない。
【0077】
従って、第1サブレンズ及び第3サブレンズは、高温環境に置かれた場合であっても、レンズの幾何学的形状は変化せずその光学的性能が劣化しない。この発明の第1及び第2形態の撮像レンズを構成する単レンズも、硬化性樹脂材料又は高軟化温度のガラス材料で形成されているので、高温環境下でもその光学的性能は劣化しない。ここで、高温環境とは、リフロー処理の温度および接合型複合レンズの設計仕様における最高温度のいずれの温度より高い温度環境をいう。
【0078】
このため、この発明の撮像レンズで利用される接合型複合レンズ及び単レンズは、リフロー工程及び撮像レンズの使用時に想定される最高の温度である高温環境においても、その光学的性能が保証される。
【0079】
この発明の第1形態の撮像レンズによれば、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具え、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのうち一つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであることが特徴である。また、この発明の第2形態の撮像レンズによれば、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具え、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのうち二つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであることが特徴である。
【0080】
単レンズは接合型複合レンズに比べてレンズの厚みを薄くすることが可能であるので、この発明の撮像レンズを構成する第1〜第3レンズの三つの構成レンズのうち何れか一つ又は二つの構成レンズを単レンズとすることによって、構成レンズである第1〜第3レンズの何れかを厚みの薄いレンズとすることができる。これによって、撮像レンズの光学長を短く設計しやすくなる。また、曲率の大きい、すなわち曲率半径の短いメニスカスレンズは、接合型複合レンズとして形成することが難しい場合があるが、単レンズであれば、容易に形成可能である。このことによって、撮像レンズの設計パラメータの一つである構成レンズの曲率半径の選択幅が広がり、それだけ設計自由度が大きくなり、より高性能な撮像レンズを設計しやすくなるという利点がある。
【0081】
この発明の第1及び第2形態の撮像レンズにおいて、接合型複合レンズを構成する第1〜第3サブレンズのうち、第1サブレンズと第3サブレンズとに挟まれこれら2枚のサブレンズの間に形成される第2サブレンズは、平行平面ガラス板、メニスカスレンズあるいは両凸レンズとすることが可能であるが、これらに限定されることはなく、凹レンズ等も利用可能である。第2サブレンズの形状は、それぞれの両側に形成される、樹脂レンズである、第1サブレンズと第3サブレンズの形成上の便宜、あるいはこの発明の撮像レンズの設計上の便宜によって決定される。
【0082】
すなわち、第2サブレンズを、メニスカスレンズ、凸レンズ、あるいは凹レンズ等、曲面で構成されるレンズで実現すれば、第2サブレンズの両側に接合して形成される樹脂レンズとの接合面が、平行平面ガラス板で実現する場合に比べて広くなり、それだけ接着力が強くなる。また、収差等のレンズの性能を向上させるための設計パラメータである第2サブレンズ面の曲率半径の選択幅が広がるので、この発明の撮像レンズとして設計がしやすくなる。
【0083】
一方、第2サブレンズの曲率半径を小さくする(曲率を大きくする)ことによって、接合型複合レンズを形成する際に、接合界面に気泡が侵入することを防ぎにくくなる。また、第2サブレンズを、平行平面ガラス板ではなくメニスカスレンズ等とすることは、平行平面ガラス板とする場合に比べてその製造コストは高くなる。
【0084】
次に、この発明の撮像レンズの光学的特性について説明する。
【0085】
この発明の撮像レンズの光学的な構成上の指導原理は、屈折率等の光学的特性ができる限り近いレンズ素材によって形成される3枚のサブレンズの集合体として形成される接合型複合レンズによって、収差補正及び結像という2つの役割を実現することにある。すなわち、この発明の撮像レンズが具える一つの接合型複合レンズにあっては、それを構成する3枚のサブレンズのそれぞれの屈折率及びアッベ数は互いに大きく異ならないことが望ましい。
【0086】
言い換えると、第1〜第3サブレンズの構成材料のそれぞれの屈折率及びアッベ数は互いに等しく、第4〜第6サブレンズの構成材料のそれぞれの屈折率及びアッベ数も互いに等しいことが理想的である。しかしながら、現実には、屈折率及びアッベ数が完全に等しい、光学ガラス材料と硬化性樹脂材料との組み合わせを見出すことは極めて困難である。
【0087】
そこで、この発明の発明者は、撮像レンズを構成する2つの接合型複合レンズのそれぞれにおいて、構成材料である光学ガラス材料と硬化性樹脂材料との、両者の屈折率及びアッベ数の差がどの程度以下であれば、良好な画像が得られる撮像レンズを構成できるかを、数々のシミュレーション及び試作を通じて確かめた。
【0088】
その結果、第1形態の撮像レンズである、第1の撮像レンズにあっては上述の条件(1-1)〜(1-8)を満たすことによって、第2の撮像レンズにあっては上述の条件(2-1)〜(2-8)を満たすことによって、第3の撮像レンズにあっては上述の条件(3-1)〜(3-8)を満たすことによって、良好な画像が得られる撮像レンズを構成できることが確かめられた。
【0089】
また、第2形態の撮像レンズである、第4の撮像レンズにあっては、上述の条件(4-1)〜(4-4)を満たすことによって、第5の撮像レンズにあっては、上述の条件(5-1)〜(5-4)を満たすことによって、第6の撮像レンズにあっては、上述の条件(6-1)〜(6-4)を満たすことによって、良好な画像が得られる撮像レンズを構成できることが確かめられた。
【0090】
すなわち、第1形態の撮像レンズにおいては、第1サブレンズの屈折率と第2サブレンズの屈折率との差、第2サブレンズの屈折率と第3サブレンズの屈折率との差、第4サブレンズの屈折率と第5サブレンズの屈折率との差、第5サブレンズの屈折率と第6サブレンズの屈折率との差が、それぞれ0.1以内であれば歪曲収差、非点収差、及び色・球面収差が、良好な画像が形成される程度に十分に小さい値になる。第2形態の撮像レンズにおいては、第1サブレンズの屈折率と第2サブレンズの屈折率との差、第2サブレンズの屈折率と第3サブレンズの屈折率との差が、それぞれ0.1以内であれば歪曲収差、非点収差、及び色・球面収差が、良好な画像が形成される程度に十分に小さい値になる。
【0091】
また、第1形態の撮像レンズにおいては、第1サブレンズのアッベ数と第2サブレンズのアッベ数との差、第2サブレンズのアッベ数と第3サブレンズのアッベ数との差、第4サブレンズのアッベ数と第5サブレンズのアッベ数との差、第5サブレンズのアッベ数と第6サブレンズのアッベ数との差がそれぞれ30.0以内であれば、色収差の大きさを、良好な画像が形成される程度に十分に小さい値とすることができ、しかも十分なコントラストを有する画像が形成できる。第2形態の撮像レンズにおいては、第1サブレンズのアッベ数と第2サブレンズのアッベ数との差、第2サブレンズのアッベ数と第3サブレンズのアッベ数との差がそれぞれ30.0以内であれば、色収差の大きさを、良好な画像が形成される程度に十分に小さい値とすることができ、しかも十分なコントラストを有する画像が形成できる。
【0092】
この発明の第1及び第4の撮像レンズは、入射瞳を確定する開口絞りが第1レンズと第2レンズとの間に配置されている。このことによって、この開口絞りは、入射瞳を確定するとともに、第1レンズで発生したフレアーを除去する機能を有する。
【0093】
また、この発明の第2、第3、第5及び第6の撮像レンズは、入射瞳を確定する開口絞り(第1絞り)が第1レンズの前面、すなわち第1レンズの物体側に配置されている。このことによって、入射瞳を物体側に近づけることができ、主光線を画像面に垂直に近い角度で入射させられ、シェーディング(shading)の発生を防止することが可能となる。このため、第2、第3、第5及び第6の撮像レンズは、入射瞳径を大きく設定することが可能であり、Fナンバーの小さい、すなわち明るいレンズを実現することが可能である。
【0094】
一方、第1及び第4の撮像レンズは、製造工程において、Fナンバーを容易に変更できるという特長を有している。すなわち、撮像レンズのFナンバーを変更するためには、開口絞りの大きさを変更すればよいが、第1及び第4の撮像レンズは、開口絞りを第1レンズと第2レンズとの間に配置する構成であるので、Fナンバーの変更には、開口絞りを交換するだけで良い。
【0095】
しかし、第2、第3、第5及び第6の撮像レンズのように、第1レンズの前面に開口絞りを配置するためには、撮像レンズを構成する第1〜第3レンズを固定するためのバレルを作製する段階に遡って、バレルの先端が開口絞りとしての役割を果たすように、その開口の大きさを設定しなければならない。すなわち、Fナンバーを変更するたびに、撮像レンズのバレルの設計をし直して、撮像レンズのバレルの製造のための鋳型をそのたびに作り変える必要がある。
【0096】
以上説明したように、第1及び第4の撮像レンズと、第2、第3、第5及び第6の撮像レンズとは、それぞれ異なる特長を有している。いずれの撮像レンズを採用するかは、撮像レンズを利用する対象(携帯電話器、あるいはデジタルカメラ等)の都合によって適宜選択すべき事項である。
【0097】
なお、ここでは、この発明の第1及び第4の撮像レンズを、開口絞りのみが第1レンズと第2レンズとの間に配置されているタイプの撮像レンズとし、この発明の第2、第3、第5及び第6の撮像レンズを、入射瞳を確定する開口絞り(第1絞り)が第1レンズの物体側に配置され、第2絞りが第1レンズと第2レンズとの間に配置されているタイプの撮像レンズとして提示した。
【0098】
しかしながら、これとは逆に、この発明の第2、第3、第5及び第6の撮像レンズを、開口絞りのみが第1レンズと第2レンズとの間に配置されているタイプの撮像レンズとし、この発明の第1及び第4の撮像レンズを、入射瞳を確定する開口絞り(第1絞り)が第1レンズの物体側に配置され、第2絞りが第1レンズと第2レンズとの間に配置されているタイプの撮像レンズとすることも可能である。
【0099】
いずれにしても、開口絞りを第1レンズと第2レンズとの間に配置するか、第1レンズの物体側に配置するかは、撮像レンズの設計において適宜選択すべき事項である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0100】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態例につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の断面形状や配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を用いることがあるが、これら材料および条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、この発明は、何らこれらに限定されるものではない。
【0101】
図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41は、それぞれ実施例1〜実施例9の撮像レンズの構成図である。また、図2、図7、図12、図17、図22、図27、図32、図37、及び図42は、それぞれ実施例1〜実施例9の撮像レンズの光路図である。第1形態の撮像レンズにあっては、物体側から一つ目の接合型複合レンズを構成するサブレンズを第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、第3サブレンズL3とし、二つ目の接合型複合レンズを構成するサブレンズを第4サブレンズL4、第5サブレンズL5、第6サブレンズL6としてある。第2形態の撮像レンズにあっては、接合型複合レンズを構成するサブレンズを第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、第3サブレンズL3としてある。
【0102】
実施例1、4、及び7の撮像レンズにおいては、それぞれ、第1レンズ14と第2レンズ16との間に配置される絞りSは開口絞りとしての役割を果たし、入射瞳の位置を確定している。
【0103】
一方、実施例2、3、5、6、8、9の撮像レンズにおいては、第1レンズ14の前面に配置される第1絞りS1は開口絞りとしての役割を果たし、入射瞳の位置を確定する。また、第1レンズ14と第2レンズ16との間に配置される第2絞りS2は、画像のコントラストが減少する現象であるフレアー(flare)あるいは、画像の滲み現象であるスミア(smear)を防ぐ役割を果たす。
【0104】
すなわち、実施例2、3、5、6、8、9の撮像レンズにおいては、第1絞りS1は、入射瞳の位置を確定し、Fナンバーを規定し、歪曲収差や非点収差等の緒収差特性を決定するするという撮像レンズの基本的特性を決定する役割を果たす絞りであるので、この発明では必須構成要素である。これに対して、第2絞りS2は、画像のコントラストの向上という付加的な特性を向上させるための構成要素であるので、設置することが望ましいが、設置しなくともこの発明の撮像レンズは成立する。
【0105】
誤解の生じない範囲でriを光軸上曲率半径の値を意味する変数として用いるほか、レンズやカバーガラス面あるいは撮像面を識別する記号(例えば、図1において、r1を、第1レンズ14の物体側の面の意味に用いる等)として用いることもある。図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41に示すri及びdi、Nj、νj等のパラメータは、以下に示す表1〜表9に具体的数値として与えてある。ここで、i及びjは、それぞれ1以上の正の整数であって、物体側から像側に向かって1から順に、絞り、各レンズの面番号あるいはレンズの厚みもしくはレンズ面間隔等に対応させて付したものである。すなわち、
ri は i番目の面の光軸上曲率半径、
di は i番目の面からi+1番目の面までの距離、
Nj は 絞りも含めて数えて第j番目に当たるレンズ(あるいはサブレンズ)の屈折率、及び
νjは 絞りも含めて数えて第j番目に当たるレンズ(あるいはサブレンズ)の素材のアッベ数、
をそれぞれ示す。
【0106】
図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41において定義されている面ri及び面間隔diの記号は、図2、図7、図12、図17、図22、図27、図32、図37、及び図42においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、省略してある。
【0107】
図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41においては、絞りの開口部を線分で示してある。これは、レンズ面から絞り面までの距離を定義するためには、絞り面と光軸との交点が明確に示されなければならないためである。また、実施例1〜実施例9の撮像レンズのそれぞれの断面図である、図2、図7、図12、図17、図22、図27、図32、図37、及び図42においては、上記の図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41とは逆に、絞りの開口部を開けて、開口部の端を始点とした半直線で光を遮断する絞りの本体を示してある。これは、主光線等の光線を記入するために、絞りの実態を反映させて、絞りの開口部を開けて示す必要があるためである。
【0108】
光学長Lは、実施例1、4及び7の撮像レンズにおいては、第1レンズL1の物体側面r1から撮像面までの距離であり、実施例2、3、5、6、8、及び9の撮像レンズにおいては、第1絞りS1から撮像面までの距離である。バックフォーカスbfは、第3レンズ18の像側の面から撮像面までの距離である。ここでは、カバーガラスを取り除いて計測される第3レンズ18の像側の面から撮像面までの長さを、バックフォーカスbfとして表すものとする。ここで、第3レンズ18が接合型複合レンズである場合は、第3レンズ18の像側の面とは、第6サブレンズL6の像側の面(実施例7では、第3サブレンズL3の像側の面)を意味する。
【0109】
表1〜表9は、それぞれ実施例1〜実施例9の撮像レンズを構成する第1〜第3レンズ、あるいは第1〜第6サブレンズ(実施例7〜9の撮像レンズにあっては第1〜第3サブレンズ)の厚みや、これらのレンズを構成する曲面の曲率半径、これらのレンズの配置間隔及びこれらのレンズと絞りとの配置関係等に関するデータを示す。非球面データは、表1〜表9のそれぞれの欄に面番号とともに示した。また、光軸上曲率半径の値riは、物体側に凸である場合を正の値、像側に凸である場合を負の値として示してある。
【0110】
第2サブレンズあるいは第5サブレンズが平行平面ガラス板である場合の両面、絞りS、第1絞りS1、第2絞りS2、及びカバーガラス(あるいはフィルター等)の両面は、平面であるので曲率半径は、∞と表示している。また、撮像面については、平面であるから、固体撮像素子10の撮像面を表す曲率半径について∞とすべきところを省略してある。
【0111】
この発明で使用される非球面は、次の式で与えられる。
【0112】
Z = ch2/[1 + [1−(1+k)c2h2]+1/2]+A0h4+B0h6+C0h8+D0h10
ただし、
Z : 面頂点に対する接平面からの深さ
c : 面の光軸上の曲率
h : 光軸からの高さ
k : 円錐定数
A0: 4次の非球面係数
B0: 6次の非球面係数
C0: 8次の非球面係数
D0: 10次の非球面係数
である。
【0113】
この明細書中の表1〜表9において、円錐定数(k)及び非球面係数(A0、B0、C0及びD0)を示す数値は指数表示であり、例えば「e−1」は、「10の−1乗」を意味する。
【0114】
以下、図1〜図45を参照して実施例1〜実施例9の撮像レンズを説明する。
【0115】
図3、図8、図13、図18、図23、図28、図33、図38及び図43に示す歪曲収差曲線は、光軸からの距離(縦軸に像面内での光軸からの最大距離を100として百分率表示してある。)に対して、収差(横軸に正接条件の不満足量を百分率表示してある。)を示した。
【0116】
図4、図9、図14、図19、図24、図29、図34、図39及び図44に示す非点収差曲線は、歪曲収差曲線と同様に、縦軸に示す光軸からの距離(%)に対して、収差量(mm単位)を横軸にとって示し、メリジオナル面とサジタル面とにおける収差量を、それぞれ表示した。
【0117】
図5、図10、図15、図20、図25、図30、図35、図40及び図45に示す色・球面収差曲線においては、縦軸の入射高hに対して、収差量(mm単位)を横軸にとって示した。縦軸の入射高hは、Fナンバーに換算して示してある。例えば、開放Fナンバーが3.40のレンズに対しては、縦軸の入射高h=100%が、F=3.40に対応する。開放Fナンバーとは、開口絞りの直径を、設計上の最大の大きさとした場合のFナンバーを意味する。
【0118】
また、色・球面収差曲線においては、C線(波長656.3nmの光)、d線(波長587.6 nmの光)、e線(波長546.1 nmの光)、F線(波長486.1 nmの光)及びg線(波長435.8 nmの光)に対する収差値を示した。
【0119】
実施例1〜実施例9において、第1サブレンズ、第3サブレンズ、第4サブレンズ、及び第6サブレンズの素材(実施例7〜実施例9においては、第1サブレンズ及び第3サブレンズの素材)に、硬化性樹脂材料である透明硬化性シリコーン樹脂を用いた。また、第2サブレンズ及び第5サブレンズの素材(実施例7〜実施例9においては、第2サブレンズの素材)に、ガラス材料である光学ガラス(BK7等)を用いた。ここで、BK7とは、ショットガラス(SCHOTT GLAS)社が硼珪酸ガラス(borosilicate glass)のグループに付けた名称である。光学ガラスBK7は、現在、複数のガラスメーカーによって製造されている。市販されている光学ガラスBK7の屈折率及びアッベ数は、製造会社あるいは製造ロットによって多少の相違がある。
【0120】
透明硬化性シリコーン樹脂とは、可視光に対して透明であって、かつ一時的に150℃程度の高温環境となっても、レンズの幾何学的形状は変化せず、その光学的性能が劣化しないシリコーン樹脂を意味する。ここでいう透明硬化性シリコーン樹脂は、例えば、シリコーン樹脂の供給会社から、「透明高硬度シリコーン樹脂」との名称で市販されているシリコーン樹脂の中から適宜選択することができる。
【0121】
第3レンズ18と固体撮像素子(solid-state image sensor)10との間には、カバーガラス12が挿入されている。カバーガラス12の素材は、屈折率(d線(587.6 nmの光)に対する値)が1.51633、アッベ数が64.0である光学ガラスBK7である。後述する表1〜表6において、カバーガラス12の屈折率及びアッベ数は、それぞれ、N=1.51633、ν=64.0と示してある。
【0122】
以下に、実施例1〜実施例9に関する構成レンズの曲率半径ri(mm単位)、レンズ面間隔di(mm単位)、レンズ素材の屈折率、レンズ素材のアッベ数、円錐定数k及び非球面係数(A0、B0、C0及びD0)を表1〜表9に一覧にして掲げる。なお、表1〜表9における構成レンズの光軸上曲率半径の値及びレンズ面間隔は、実施例1〜実施例9のそれぞれの撮像レンズの合成焦点距離fの値を1.00 mmに正規化した時の値として示してある。
【0123】
第1レンズ14、第2レンズ16、及び第3レンズ18の両側面は、いずれも非球面レンズとした。第1レンズ14、第2レンズ16、及び第3レンズ18が接合型複合レンズである場合は、接合型複合レンズを構成する第1サブレンズの物体側面及び第3サブレンズの像側面が非球面であり、また、第4サブレンズの物体側面及び第6サブレンズの像側面が非球面である。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】
【表7】
【0131】
【表8】
【0132】
【表9】
【0133】
実施例1〜9において使用された第1〜第6サブレンズ(実施例7〜9にあっては、第1〜第3サブレンズ)及び、第1〜3レンズとして使用された単レンズの構成材料である、硬化性樹脂材料である熱硬化性シリコーン樹脂あるいは、高軟化温度の光学レンズの形成用材料である光学ガラスの屈折率及びアッベ数は、製造会社ごとに異なる他、同一の商品名であっても屈折率及びアッベ数は多少の相違がある。以下に示す実施例1〜9において、実施例ごとに、使用した熱硬化性のシリコーン樹脂材料及び光学ガラス材料を示すと共に、これらの屈折率(d線(587.6 nmの光)に対する値)、及びアッベ数を示す。
【0134】
<実施例1>
実施例1の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、第1の撮像レンズの実施例であり、図1及び図2に示すように、第1レンズ14と、開口絞りSと、第2レンズ16及び第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ14、開口絞りS、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0135】
第1レンズ14には、単レンズが用いられている。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0136】
実施例1の撮像レンズは、第1レンズ14が、富士高分子工業株式会社(Fuji Polymer Industries Co., Ltd.)製の透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852で形成されている。硬化性樹脂材料であるこの透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852は、熱硬化性のシリコーン樹脂材料であり、金型(Die)を用いて射出成形することで形成できる。また、第1、第3、第4、及び第6サブレンズも、透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2サブレンズL2、及び第5サブレンズL5が、HOYA株式会社(HOYA Corporation)製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N5は、N5=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N6は、N6=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν5は、ν5=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν6は、ν6=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N8は、N8=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N9は、N9=1.51633である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N10は、N10=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν8は、ν8=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν9は、ν9=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν10は、ν10=56.0である。
【0137】
従って、|N5-N4|=|N5-N6|=|N9-N8|=|N9-N10|=0.00633であるので、下記の条件(1-1)、(1-2)、(1-5)、及び(1-6)を満たしている。また、|ν5-ν4|=|ν5-ν6|=|ν9-ν8|=|ν9-ν10|=8.0であるので、下記の条件(1-3)、(1-4)、(1-7)、及び(1-8)を満たしている。
【0138】
条件(1-1)、(1-2)、(1-5)、及び(1-6)とは、それぞれ、以下に示す式(1-1)、(1-2)、(1-5)、及び(1-6)で与えられる条件を意味する。また、条件(1-3)、(1-4)、(1-7)、及び(1-8)とは、それぞれ、以下に示す式(1-3)、(1-4)、(1-7)、及び(1-8)で与えられる条件を意味する。
【0139】
0≦|N5-N4|≦0.1 (1-1)
0≦|N5-N6|≦0.1 (1-2)
0≦|ν5-ν4|≦30.0 (1-3)
0≦|ν5-ν6|≦30.0 (1-4)
0≦|N9-N8|≦0.1 (1-5)
0≦|N9-N10|≦0.1 (1-6)
0≦|ν9-ν8|≦30.0 (1-7)
0≦|ν9-ν10|≦30.0 (1-8)
ただし、
N4:前記第1サブレンズの屈折率
N5:前記第2サブレンズの屈折率
N6:前記第3サブレンズの屈折率
ν4:前記第1サブレンズのアッベ数
ν5:前記第2サブレンズのアッベ数
ν6:前記第3サブレンズのアッベ数
N8:前記第4サブレンズの屈折率
N9:前記第5サブレンズの屈折率
N10:前記第6サブレンズの屈折率
ν8:前記第4サブレンズのアッベ数
ν9:前記第5サブレンズのアッベ数
ν10:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【0140】
条件(1-1)〜(1-8)とは、それぞれ式(1-1)〜(1-8)で与えられる条件を意味することは、以後の説明(実施例4の説明)においても同様である。
【0141】
図2に実施例1の撮像レンズの光路図を示す。図2に示すとおり、開口絞りSは、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。開口絞りSの絞り面は平面であるので、表1にr3=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、3.40である。
【0142】
表1に示すとおり、r5=∞及びr6=∞であることから、第2レンズ16を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板であり、r9=∞及びr10=∞であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、平行平面ガラス板である。
【0143】
また、r1が正の値であってr2が正の値であるから、第1レンズ14は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0144】
また、r4が負の値であるから、第2レンズ16を構成するサブレンズのうち、第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、及びr7も負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0145】
また、r8が正の値であるから、第3レンズ18を構成するサブレンズのうち、第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r11も正の値であるから、第6サブレンズL6も、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。
【0146】
図2に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.229 mmであり、バックフォーカスbfは0.400 mmである。
【0147】
図3に示す歪曲収差曲線1-1、図4に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線1-2及びサジタル面に対する収差曲線1-3)、図5に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線1-4、F線に対する収差曲線1-5、e線に対する収差曲線1-6、d線に対する収差曲線1-7、及びC線に対する収差曲線1-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0148】
図3及び図4の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図3及び図4中で、100%は0.586 mmに対応している。また、図5の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.40に対応する。図3の横軸は収差(%)を示し、図4、図5の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0149】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.586 mm)の位置において収差量の絶対値が5.38%と最大になっており、像高0.586 mm以下の範囲で収差量の絶対値が5.38%以内に収まっている。
【0150】
非点収差は、像高100%(像高0.586 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0643 mmと最大になっており、また、像高0.586 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0643 mm以内に収まっている。
【0151】
色・球面収差は、入射高hの100% においてg線に対する収差曲線1-4の絶対値が0.0231 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0231 mm以内に収まっている。
【0152】
従って、実施例1の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0153】
<実施例2>
実施例2の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第2の撮像レンズの実施例であり、図6及び図7に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、開口絞りS1、第1レンズ14、第2絞りS2、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0154】
第2レンズ16には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0155】
実施例2の撮像レンズは、第2レンズ16が、光学ガラスBK7で形成されている。第1、第3、第4、及び第6サブレンズは、硬化性樹脂材料である透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2及び第5サブレンズは、HOYA株式会社製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N9は、N9=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N10は、N10=1.51633である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N11は、N11=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν9は、ν9=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν10は、ν10=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν11は、ν11=56.0である。
【0156】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=|N10-N9|=|N10-N11|=0.00633であるので、下記の条件(2-1)、(2-2)、(2-5)、及び(2-6)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=|ν10-ν9|=|ν10-ν11|=8.0であるので、下記の条件(2-3)、(2-4)、(2-7)、及び(2-8)を満たしている。
【0157】
条件(2-1)、(2-2)、(2-5)、及び(2-6)とは、それぞれ、以下に示す式(2-1)、(2-2)、(2-5)、及び(2-6)で与えられる条件を意味する。また、条件(2-3)、(2-4)、(2-7)、及び(2-8)とは、それぞれ、以下に示す式(2-3)、(2-4)、(2-7)、及び(2-8)で与えられる条件を意味する。
【0158】
0≦|N3-N2|≦0.1 (2-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (2-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (2-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (2-4)
0≦|N10-N9|≦0.1 (2-5)
0≦|N10-N11|≦0.1 (2-6)
0≦|ν10-ν9|≦30.0 (2-7)
0≦|ν10-ν11|≦30.0 (2-8)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
N9:前記第4サブレンズの屈折率
N10:前記第5サブレンズの屈折率
N11:前記第6サブレンズの屈折率
ν9:前記第4サブレンズのアッベ数
ν10:前記第5サブレンズのアッベ数
ν11:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【0159】
条件(2-1)〜(2-8)とは、それぞれ式(2-1)〜(2-8)で与えられる条件を意味することは、以後の説明(実施例5の説明)においても同様である。
【0160】
図6に実施例2の撮像レンズの断面図を示す。図6に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0161】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表2にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表2にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.90である。
【0162】
表2に示すとおり、r3=∞及びr4=∞であることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板であり、r10=∞及びr11=∞であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、平行平面ガラス板である。
【0163】
また、r7が負の値であってr8も負の値であるから、第2レンズ16は、近軸上で、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0164】
また、r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0165】
また、r9が正の値であるから、第3レンズ18を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r12も正の値であるから、第6サブレンズL6は、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。
【0166】
図7に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.080 mmであり、バックフォーカスbfは0.354 mmである。
【0167】
図8に示す歪曲収差曲線2-1、図9に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線2-2及びサジタル面に対する収差曲線2-3)、図10に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線2-4、F線に対する収差曲線2-5、e線に対する収差曲線2-6、d線に対する収差曲線2-7、及びC線に対する収差曲線2-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0168】
図8及び図9の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図8及び図9中で、100%は0.630 mmに対応している。また、図10の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.90に対応する。図8の横軸は収差(%)を示し、図9、図10の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0169】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.630 mm)の位置において収差量の絶対値が1.40%と最大になっており、像高0.630 mm以下の範囲で収差量の絶対値が1.40%以内に収まっている。
【0170】
非点収差は、像高100%(像高0.630 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0369 mmと最大になっており、また、像高0.630 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0369 mm以内に収まっている。
【0171】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線2-4の絶対値が0.0575 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0575 mm以内に収まっている。
【0172】
従って、実施例2の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0173】
<実施例3>
実施例3の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第3の撮像レンズの実施例であり、図11及び図12に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1絞りS1、第1レンズ14、第2絞りS2、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0174】
第3レンズ18には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0175】
実施例3の撮像レンズは、第3レンズ18と第2サブレンズL2とは、光学ガラスBK7で形成されている。第1サブレンズL1と第3サブレンズL3とが、硬化性樹脂材料SR-7010(東レ・ダウコーニング社(Dow Corning Toray Co., Ltd.)製)で形成されている。第4サブレンズL4と第6サブレンズL6とが硬化性樹脂材料(富士高分子工業株式会社(Fuji Polymer Industries Co., Ltd.)製SMX-7877)で形成されている。第5サブレンズL5が光学ガラスE-F5(HOYA株式会社(HOYA Corporation)製)で形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.53000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.53000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=35.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=35.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N7は、N7=1.60000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N8は、N8=1.60342である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N9は、N9=1.60000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν7は、ν7=30.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν8は、ν8=38.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν9は、ν9=30.0である。
【0176】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=0.01367、|N8-N7|=|N8-N9|=0.00342であるので、下記の条件(3-1)、(3-2)、(3-5)、及び(3-6)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=29.0、|ν8-ν7|=|ν8-ν9|=8.0であるので、下記の条件(3-3)、(3-4)、(3-7)、及び(3-8)を満たしている。
【0177】
条件(3-1)、(3-2)、(3-5)、及び(3-6)とは、それぞれ、以下に示す式(3-1)、(3-2)、(3-5)、及び(3-6)で与えられる条件を意味する。また、条件(3-3)、(3-4)、(3-7)、及び(3-8)とは、それぞれ、以下に示す式(3-3)、(3-4)、(3-7)、及び(3-8)で与えられる条件を意味する。
【0178】
0≦|N3-N2|≦0.1 (3-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (3-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (3-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (3-4)
0≦|N8-N7|≦0.1 (3-5)
0≦|N8-N9|≦0.1 (3-6)
0≦|ν8-ν7|≦30.0 (3-7)
0≦|ν8-ν9|≦30.0 (3-8)
ただし、
N2:第1サブレンズの屈折率
N3:第2サブレンズの屈折率
N4:第3サブレンズの屈折率
ν2:第1サブレンズのアッベ数
ν3:第2サブレンズのアッベ数
ν4:第3サブレンズのアッベ数
N7:第4サブレンズの屈折率
N8:第5サブレンズの屈折率
N9:第6サブレンズの屈折率
ν7:第4サブレンズのアッベ数
ν8:第5サブレンズのアッベ数
ν9:第6サブレンズのアッベ数
である。
【0179】
条件(3-1)〜(3-8)とは、それぞれ式(3-1)〜(3-8)で与えられる条件を意味することは、以後の説明(実施例6の説明)においても同様である。
【0180】
図11に実施例3の撮像レンズの断面図を示す。図11に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0181】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表3にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表3にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.96である。
【0182】
表3に示すとおり、r3=∞及びr4=∞であることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板であり、r8=∞及びr9=∞であることから、第2レンズ16を構成する第5サブレンズL5は、平行平面ガラス板である。
【0183】
また、r11が正の値であってr12も正の値であるから、第3レンズ18は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0184】
また、r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0185】
また、r7が負の値であるから、第2レンズ16を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、r10も負の値であるから、第6サブレンズL6は、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0186】
図12に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.137 mmであり、バックフォーカスbfは0.392 mmである。
【0187】
図13に示す歪曲収差曲線3-1、図14に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線3-2及びサジタル面に対する収差曲線3-3)、図15に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線3-4、F線に対する収差曲線3-5、e線に対する収差曲線3-6、d線に対する収差曲線3-7、及びC線に対する収差曲線3-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0188】
図13及び図14の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図13及び図14中で、100%は0.631 mmに対応している。また、図15の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.96に対応する。図13の横軸は収差(%)を示し、図14、図15の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0189】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.631 mm)の位置において収差量の絶対値が0.64%と最大になっており、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.64%以内に収まっている。
【0190】
非点収差は、像高100%(像高0.631 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0368 mmと最大になっており、また、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0368 mm以内に収まっている。
【0191】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線3-4の絶対値が0.0440 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0440 mm以内に収まっている。
【0192】
従って、実施例3の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0193】
<実施例4>
実施例4の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第1の撮像レンズの実施例であり、図16及び図17に示すように、第1レンズ14と、開口絞りSと、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ14、開口絞りS、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0194】
第1レンズ14には、単レンズが用いられている。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0195】
実施例4の撮像レンズは、第1レンズ14、第2サブレンズL2、及び第5サブレンズL5が、HOYA株式会社製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。また、第1、第3、第4、及び第6サブレンズが、透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N5は、N5=1.51630である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N6は、N6=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν5は、ν5=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν6は、ν6=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N8は、N8=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N9は、N9=1.51630である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N10は、N10=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν8は、ν8=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν9は、ν9=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν10は、ν10=56.0である。
【0196】
従って、|N5-N4|=|N5-N6|=|N9-N8|=|N9-N10|=0.00630であるので、上述の条件(1-1)、(1-2)、(1-5)、及び(1-6)を満たしている。また、|ν5-ν4|=|ν5-ν6|=|ν9-ν8|=|ν9-ν10|=8.0であるので、上述の条件(1-3)、(1-4)、(1-7)、及び(1-8)を満たしている。
【0197】
図16に実施例4の撮像レンズの断面図を示す。図16に示すとおり、開口絞りSは、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。開口絞りSの絞り面は平面であるので、表4にr3=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、3.40である。
【0198】
表4に示すとおり、r5及びr6が負の値であることから、第2レンズ16を構成する第2サブレンズL2は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、r9が正の値であり、r10が負の値であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、両側の面が凸面である両凸レンズである。
【0199】
また、r1が正の値であってr2も正の値であるから、第1レンズ14は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0200】
また、r4が負の値であるから、第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凹面を向けたレンズであり、及びr7も負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けたレンズである。
【0201】
また、r8が正の値であるから、第3レンズ18を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、r11も正の値であるから、第6サブレンズL6も、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凹面を向けたレンズである。
【0202】
図17に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.235 mmであり、バックフォーカスbfは0.391 mmである。
【0203】
図18に示す歪曲収差曲線4-1、図19に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線4-2及びサジタル面に対する収差曲線4-3)、図20に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線4-4、F線に対する収差曲線4-5、e線に対する収差曲線4-6、d線に対する収差曲線4-7、及びC線に対する収差曲線4-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0204】
図18及び図19の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図18及び図19中で、100%は0.572 mmに対応している。また、図20の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.40に対応する。図18の横軸は収差(%)を示し、図19、図20の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0205】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.572 mm)の位置において収差量の絶対値が4.55%と最大になっており、像高0.572 mm以下の範囲で収差量の絶対値が4.55%以内に収まっている。
【0206】
非点収差は、像高70%(像高0.400 mm)の位置においてサジタル面における収差量の絶対値が0.0096 mmと最大になっており、また、像高0.572 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0096 mm以内に収まっている。
【0207】
色・球面収差は、入射高hの100% においてg線に対する収差曲線4-4の絶対値が0.0213 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0213 mm以内に収まっている。
【0208】
従って、実施例4の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0209】
<実施例5>
実施例5の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第2の撮像レンズの実施例であり、図21及び図22に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1絞りS1、第1レンズ14、第2絞りS2、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0210】
第2レンズ16には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0211】
実施例5の撮像レンズは、第2レンズ16と、第1、第3、第4、及び第6サブレンズは、透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2及び第5サブレンズは、HOYA株式会社製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N9は、N9=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N10は、N10=1.51633である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N11は、N11=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν9は、ν9=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν10は、ν10=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν11は、ν11=56.0である。
【0212】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=|N10-N9|=|N10-N11|=0.00633であるので、上述の条件(2-1)、(2-2)、(2-5)、及び(2-6)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=|ν10-ν9|=|ν10-ν11|=8.0であるので、上述の条件(2-3)、(2-4)、(2-7)、及び(2-8)を満たしている。
【0213】
図21に実施例5の撮像レンズの断面図を示す。図21に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0214】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表2にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表2にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.80である。
【0215】
表5に示すとおり、r7及びr8が負の値であるから、第2レンズ16は、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。また、r3が正の値であり、r4が負の値であることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、両側の面が凸面である両凸レンズであり、r10が負の値であり、r11も負の値であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0216】
また、r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けたレンズである。
【0217】
また、r9が正の値であるから、第3レンズ18を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、r12も正の値であるから、第6サブレンズL6は、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凹面を向けたレンズである。
【0218】
図22に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.079 mmであり、バックフォーカスbfは0.350 mmである。
【0219】
図23に示す歪曲収差曲線5-1、図24に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線5-2及びサジタル面に対する収差曲線5-3)、図25に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線5-4、F線に対する収差曲線5-5、e線に対する収差曲線5-6、d線に対する収差曲線5-7、及びC線に対する収差曲線5-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0220】
図23及び図24の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図23及び図24中で、100%は0.620 mmに対応している。また、図25の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.80に対応する。図23の横軸は収差(%)を示し、図24、図25の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0221】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.620 mm)の位置において収差量の絶対値が1.18%と最大になっており、像高0.620 mm以下の範囲で収差量の絶対値が1.18%以内に収まっている。
【0222】
非点収差は、像高100%(像高0.620 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0492 mmと最大になっており、また、像高0.630 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0492 mm以内に収まっている。
【0223】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線5-4の絶対値が0.0320 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0320 mm以内に収まっている。
【0224】
従って、実施例5の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0225】
<実施例6>
実施例6の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第3の撮像レンズの実施例であり、図26及び図27に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1絞りS1、第1レンズ14、第2絞りS2、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0226】
第3レンズ18には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0227】
実施例6の撮像レンズは、第2サブレンズL2と第5サブレンズL5とは、光学ガラスBK7で形成されている。第1サブレンズL1と第3サブレンズL3、第4サブレンズL4と第6サブレンズL6、及び第3レンズ18は、富士高分子工業株式会社製の透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852で形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N7は、N7=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N8は、N8=1.51633である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N9は、N9=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν7は、ν7=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν8は、ν8=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν9は、ν9=56.0である。
【0228】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=|N8-N7|=|N8-N9|=0.00633であるので、上述の条件(3-1)、(3-2)、(3-5)、及び(3-6)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=|ν8-ν7|=|ν8-ν9|=8.0であるので、上述の条件(3-3)、(3-4)、(3-7)、及び(3-8)を満たしている。
【0229】
図26に実施例6の撮像レンズの断面図を示す。図26に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0230】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表6にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表6にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.80である。
【0231】
表6に示すとおり、r3が正の値でありr4が負の値であるであることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、両側の面が凸面である両凸レンズである。また、r8が負の値でありr9も負の値であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0232】
r11が正の値であってr12も正の値であるから、第3レンズ18は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0233】
r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けたレンズである。r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けたレンズである。
【0234】
r7が負の値であるから、第2レンズ16を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凹面を向けたレンズである。r10も負の値であるから、第6サブレンズL6は、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凸面を向けたレンズである。
【0235】
図27に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.078 mmであり、バックフォーカスbfは0.349 mmである。
【0236】
図28に示す歪曲収差曲線6-1、図29に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線6-2及びサジタル面に対する収差曲線6-3)、図30に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線6-4、F線に対する収差曲線6-5、e線に対する収差曲線6-6、d線に対する収差曲線6-7、及びC線に対する収差曲線6-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0237】
図28及び図29の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図28及び図29中で、100%は0.620 mmに対応している。また、図30の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.80に対応する。図28の横軸は収差(%)を示し、図29、図30の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0238】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.620 mm)の位置において収差量の絶対値が1.21%と最大になっており、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が1.21%以内に収まっている。
【0239】
非点収差は、像高100%(像高0.620 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0455 mmと最大になっており、また、像高0.620 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0455 mm以内に収まっている。
【0240】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線6-4の絶対値が0.0411 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0411 mm以内に収まっている。
【0241】
従って、実施例6の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0242】
実施例1〜実施例6の撮像レンズの説明から明らかなように、第1の撮像レンズでは、各構成レンズを上述した式(1-1)〜(1-8)で示す条件を満たすように、第2の撮像レンズでは、各構成レンズを上述した式(2-1)〜(2-8)で示す条件を満たすように、第3の撮像レンズでは、各構成レンズを上述した式(3-1)〜(3-8)で示す条件を、それぞれ満たすように設計することで、この発明が解決しようとする課題が解決する。すなわち、諸収差が良好に補正され、十分なバックフォーカスが得られかつ光学長が短く保たれた撮像レンズが得られる。
【0243】
以上説明したことから、この発明の撮像レンズは、携帯電話器、パーソナルコンピュータあるいはデジタルカメラに内蔵するカメラ用レンズとしての利用はもとより、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)に内蔵するカメラ用レンズ、画像認識機能を具えた玩具に内蔵するカメラ用レンズ、監視、検査あるいは防犯機器等に内蔵するカメラ用レンズとして適用しても好適である。
【0244】
<実施例7>
実施例7の撮像レンズは、この発明の第2形態の撮像レンズであって、第4の撮像レンズの実施例であり、図31及び図32に示すように、第1レンズ14と、開口絞りSと、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ14、開口絞りS、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0245】
第1レンズ14及び第2レンズ16には、単レンズが用いられている。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0246】
実施例7の撮像レンズは、第1レンズ14及び第2レンズ16が、富士高分子工業株式会社(Fuji Polymer Industries Co., Ltd.)製の透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852で形成されている。硬化性樹脂材料であるこの透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852は、熱硬化性のシリコーン樹脂材料であり、金型(Die)を用いて射出成形することで形成できる。また、第1およ第3サブレンズも、透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2サブレンズL2が、HOYA株式会社(HOYA Corporation)製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N6は、N6=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N7は、N7=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N8は、N8=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν6は、ν6=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν7は、ν7=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν8は、ν8=56.0である。
【0247】
従って、|N7-N6|=|N7-N8|=0.00633であるので、下記の条件(4-1)及び(4-2)、を満たしている。また、|ν7-ν6|=|ν7-ν8|=8.0であるので、下記の条件(4-3)及び(4-4)を満たしている。
【0248】
条件(4-1)、(4-2)、(4-3)、及び(4-4)とは、それぞれ、以下に示す式(4-1)、(4-2)、(4-3)、及び(4-4)で与えられる条件を意味する。
【0249】
0≦|N7-N6|≦0.1 (4-1)
0≦|N7-N8|≦0.1 (4-2)
0≦|ν7-ν6|≦30.0 (4-3)
0≦|ν7-ν8|≦30.0 (4-4)
ただし、
N6:前記第1サブレンズの屈折率
N7:前記第2サブレンズの屈折率
N8:前記第3サブレンズの屈折率
ν6:前記第1サブレンズのアッベ数
ν7:前記第2サブレンズのアッベ数
ν8:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0250】
図32に実施例7の撮像レンズの光路図を示す。図32に示すとおり、開口絞りSは、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。開口絞りSの絞り面は平面であるので、表7にr3=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、3.40である。
【0251】
表7に示すとおり、r7=∞及びr8=∞であることから、第3レンズを構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板である。
【0252】
また、r1が正の値であってr2も正の値であるから、第1レンズ14は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0253】
また、r4が負の値であってr5も負の値であるから第2レンズ16は、近軸上で、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0254】
また、r6が正の値であるから第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、及びr9も正の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。
【0255】
図32に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.229 mmであり、バックフォーカスbfは0.399 mmである。
【0256】
図33に示す歪曲収差曲線7-1、図34に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線7-2及びサジタル面に対する収差曲線7-3)、図35に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線7-4、F線に対する収差曲線7-5、e線に対する収差曲線7-6、d線に対する収差曲線7-7、及びC線に対する収差曲線7-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0257】
図33及び図34の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図33及び図34中で、100%は0.586 mmに対応している。また、図35の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.40に対応する。図33の横軸は収差(%)を示し、図34、図35の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0258】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.586 mm)の位置において収差量の絶対値が5.32%と最大になっており、像高0.586 mm以下の範囲で収差量の絶対値が5.32%以内に収まっている。
【0259】
非点収差は、像高100%(像高0.586 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0694 mmと最大になっており、また、像高0.586 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0694 mm以内に収まっている。
【0260】
色・球面収差は、入射高hの100% においてg線に対する収差曲線7-4の絶対値が0.0233 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0233 mm以内に収まっている。
【0261】
従って、実施例7の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0262】
<実施例8>
実施例8の撮像レンズは、この発明の第2形態の撮像レンズであって、この発明の第5の撮像レンズの実施例であり、図36及び図37に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、この順に配列されて構成されている。
【0263】
第1レンズ14及び第3レンズ18には、単レンズが用いられている。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0264】
実施例8の撮像レンズは、第1レンズ14が、硬化性樹脂材料SR-7010(東レ・ダウコーニング社製)で形成されており、第3レンズ18が、光学ガラスBK7で形成されている。また、第1及び第3サブレンズは、硬化性樹脂材料SMX-7877(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2サブレンズは、HOYA株式会社製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N5は、N5=1.60000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N6は、N6=1.60342である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N7は、N7=1.60000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν5は、ν5=30.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν6は、ν6=38.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν7は、ν7=30.0である。
【0265】
従って、|N6-N5|=|N6-N7|=0.00342であるので、下記の条件(5-1)及び(5-2)を満たしている。また、|ν6-ν5|=|ν6-ν7|=8.0であるので、下記の条件(5-3)及び(5-4)を満たしている。
【0266】
条件(5-1)、(5-2)、(5-3)、及び(5-4)とは、それぞれ、以下に示す式(5-1)、(5-2)、(5-3)、及び(5-4)で与えられる条件を意味する。
【0267】
0≦|N6-N5|≦0.1 (5-1)
0≦|N6-N7|≦0.1 (5-2)
0≦|ν6-ν5|≦30.0 (5-3)
0≦|ν6-ν7|≦30.0 (5-4)
ただし、
N5:前記第1サブレンズの屈折率
N6:前記第2サブレンズの屈折率
N7:前記第3サブレンズの屈折率
ν5:前記第1サブレンズのアッベ数
ν6:前記第2サブレンズのアッベ数
ν7:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0268】
図36に実施例8の撮像レンズの断面図を示す。図36に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0269】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表8にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r4で構成されているので、表8にr4=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.96である。
【0270】
表8に示すとおり、r6=∞及びr7=∞であることから、第2レンズ16を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板である。
【0271】
また、r2が正の値であってr3が負の値であるから、第1レンズ14は、近軸上で、両側の面が凸面である両凸レンズである。
【0272】
また、r5が負の値であるから、第2レンズ16を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、r8が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0273】
図37に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.138 mmであり、バックフォーカスbfは0.392 mmである。
【0274】
図38に示す歪曲収差曲線8-1、図39に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線8-2及びサジタル面に対する収差曲線8-3)、図40に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線8-4、F線に対する収差曲線8-5、e線に対する収差曲線8-6、d線に対する収差曲線8-7、及びC線に対する収差曲線8-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0275】
図38及び図39の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図38及び図39中で、100%は0.631 mmに対応している。また、図40の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.96に対応する。図38の横軸は収差(%)を示し、図39、図40の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0276】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.631 mm)の位置において収差量の絶対値が0.74%と最大になっており、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.74%以内に収まっている。
【0277】
非点収差は、像高100%(像高0.631 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0362 mmと最大になっており、また、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0362 mm以内に収まっている。
【0278】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線8-4の絶対値が0.0470 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0470 mm以内に収まっている。
【0279】
従って、実施例8の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0280】
<実施例9>
実施例9の撮像レンズは、この発明の第2形態の撮像レンズであって、この発明の第6の撮像レンズの実施例であり、図41及び図42に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、この順に配列されて構成されている。
【0281】
第2レンズ16及び第3レンズ18には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0282】
実施例9の撮像レンズは、第1サブレンズL1と第3サブレンズL3は、硬化性樹脂材料SR-7010(東レ・ダウコーニング社製)で形成されている。第2サブレンズL2と第3レンズ18とは、光学ガラスBK7で形成されている。第2レンズ16は硬化性樹脂材料SMX-7877(富士高分子工業株式会社製)で形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.53000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.53000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=35.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=35.0である。
【0283】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=0.01367であるので、下記の条件(6-1)及び(6-2)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=29.0であるので、下記の条件(6-3)及び(6-4)を満たしている。
【0284】
条件(6-1)、(6-2)、(6-3)、及び(6-4)とは、それぞれ、以下に示す式(6-1)、(6-2)、(6-3)、及び(6-4)で与えられる条件を意味する。
【0285】
0≦|N3-N2|≦0.1 (6-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (6-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (6-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (6-4)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0286】
図41に実施例9の撮像レンズの断面図を示す。図41に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0287】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表9にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表9にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.96である。
【0288】
表9に示すとおり、r3=∞及びr4=∞であることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板である。
【0289】
また、r7が負の値であってr8も負の値であるから、第2レンズ16は、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。また、r9が正の値であってr10も正の値であるから、第3レンズ18は、近軸上で、像側に凹面を向けたメニスカスレンズである。
【0290】
また、r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0291】
図42に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.137 mmであり、バックフォーカスbfは0.392 mmである。
【0292】
図43に示す歪曲収差曲線9-1、図44に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線9-2及びサジタル面に対する収差曲線9-3)、図45に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線9-4、F線に対する収差曲線9-5、e線に対する収差曲線9-6、d線に対する収差曲線9-7、及びC線に対する収差曲線9-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0293】
図43及び図44の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図43及び図44中で、100%は0.631 mmに対応している。また、図45の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.96に対応する。図43の横軸は収差(%)を示し、図44、図45の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0294】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.631 mm)の位置において収差量の絶対値が0.60%と最大になっており、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.60%以内に収まっている。
【0295】
非点収差は、像高100%(像高0.631 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0379 mmと最大になっており、また、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0379 mm以内に収まっている。
【0296】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線9-4の絶対値が0.0439 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0439 mm以内に収まっている。
【0297】
従って、実施例9の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0298】
<接合型複合レンズの製造方法>
接合型複合レンズは、サブレンズ同士を、直接接着あるいは間接接着することによって製造される。この間接接着は、既に述べたように、サブレンズ間に接着剤を介在させて実現される。この場合は、第1〜第3サブレンズを先ず形成し、接着剤を第2サブレンズの第1サブレンズ又は第3サブレンズに対向する面、あるいは、第1サブレンズ又は第3サブレンズの第2サブレンズに対抗する面に塗布して、両者を密着させれば良い。
【0299】
これら、間接接着の方法は、第1〜第3サブレンズが形成されれば、従来周知の方法で実現可能であるので、ここでは、直接接着することによって、接合型複合レンズを製造する方法について説明する。
【0300】
ちなみに、第2サブレンズの、第1サブレンズ及び第3サブレンズに対向する面の少なくとも一方の面に、コーティング処理を施した上で、両者を接着することも可能である。この場合、コーティング処理を施した後に、間接接着することも、以下に述べる直接接着することも可能である。
【0301】
図46(A)〜(G)を参照して、直接接着の方法による接合型複合レンズの製造工程について説明する。ここでは、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3から構成される接合型複合レンズを例にして説明するが、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6から構成される接合型複合レンズについても同様である。この場合には、以下の説明において、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3とあるところを、それぞれ第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6と読み替ればよい。
【0302】
図46(A)〜(G)は、接合型複合レンズの製造工程の説明に供する図である。図46(A)〜(F)は、以下に述べる第1サブレンズ及び第3サブレンズを形成するために利用する円筒状の金型(Die)の、円筒の中心線を含んで、この中心線に沿った方向に当該金型を切断した切り口の断面を示している。図46(B)、(C)、(E)及び(F)には、接合型複合レンズの構成材料であるシリコーン樹脂や光学ガラスを含めて示してある。また、図46(G)は、図46(A)〜(F)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程を経て形成された接合型複合レンズの光軸を含んで、この光軸に沿った方向に当該接合型複合レンズを切断した切り口の断面を示している。
【0303】
図46(A)は、第2サブレンズL2に対して第1サブレンズL1を接合させて形成するための、金型20の切り口の断面図である。金型20は、内面の側壁が円柱状である円筒であり、底面22が第1サブレンズL1の物体側面を成形するために、下向きに凸型の曲面形状となっている。すなわち、底面22の形状は、第1サブレンズL1の物体側面の曲面形状と等しい形状となっている。
【0304】
図46(B)は、金型20に硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン樹脂24を注入した状態を示している。以下に説明する接合型複合レンズの製造工程においては、熱硬化性樹脂を利用する場合を例にして説明するが、紫外線硬化樹脂を利用することも可能である。
【0305】
熱硬化性樹脂とは、一般に、成形時に高温にすることによって硬化する樹脂をいう。熱硬化性樹脂は、鎖状の細長いポリマーから枝状に出ている側鎖が,別のポリマーの側鎖と結合する架橋反応が高温によって進み,ポリマー同士が3次元的に結合し合って動かなくなることによって硬化する。架橋反応は不可逆反応なので,一度硬化した熱硬化性樹脂を再び加熱しても軟化しない。
【0306】
また、この発明で用いる熱硬化性樹脂には、充填剤及び密着付与剤が混入されていることが望ましい。これは、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2との接合強度、及び第2サブレンズL2と第3サブレンズL3との接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズとしての使用中に、剥離することがない程度の強度として保たれるように形成するためである。
【0307】
一方、紫外線硬化樹脂とは、一般に、モノマー、オリゴマー(ポリマーと、モノマーとの中間的な物質で樹脂の主成分である。)、光開始剤及び添加剤で構成される樹脂をいう。この混合物に紫外線を照射すると、光重合反応によって、光開始剤が液体であるモノマー(樹脂の希釈剤であって、硬化後樹脂の一部を構成する。)の状態から固体であるポリマーの状態に転換される。また、紫外線硬化樹脂においても、上述の熱硬化性樹脂と同様に、充填剤及び密着付与剤が混入されていることが望ましい。
【0308】
図46(C)は、第2サブレンズL2となる光学ガラス26の一方の面と、硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン樹脂24の表面28とを密着させて配置した状態を示している。この状態で、金型20を、透明硬化性シリコーン樹脂24の硬化温度まで昇温させて、透明硬化性シリコーン樹脂24を硬化させる。透明硬化性シリコーン樹脂24が熱硬化した後金型20を冷却して、光学ガラス26に、硬化した透明硬化性シリコーン樹脂24が接合された状態の複合レンズを取り出す。この状態の複合レンズは、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着されて接合された2枚1群レンズである。
【0309】
この発明の発明者は、上述した実施例1〜実施例6に示した撮像レンズにおいて、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2との接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズとしての使用において、剥離が生じない程度の強度として保たれるように形成することが可能であることを確認している。
【0310】
図46(D)は、上述の第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接合された複合レンズに、更に第3サブレンズL3を接合させて形成するための金型30の切り口の断面図である。金型30は、上述の金型20と同様に、内面の側壁が円柱状である円筒であり、底面32が第3サブレンズL3の像面を成形するために、上向きに凸型の曲面形状となっている。すなわち、底面32の形状は、第3サブレンズL3の像側面の曲面形状と等しい形状となっている。
【0311】
図46(E)は、金型30に硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン樹脂34を注入した状態を示している。透明硬化性シリコーン樹脂34は、上述の透明硬化性シリコーン樹脂24と同様の樹脂を用いても、また異なる樹脂を用いても良い。いずれにしても、この発明に係る接合型複合レンズの設計の都合により、好適なシリコーン樹脂を適宜選択して用いるのが良い。
【0312】
図46(F)は、上述した第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接合された複合レンズの第2サブレンズL2の第1サブレンズL1が形成された側と反対側の面と、硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン樹脂34の表面40とを密着させて配置した状態を示している。第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接合された複合レンズとは、透明硬化性シリコーン樹脂24と光学ガラス26(第2サブレンズL2)とから構成される2枚1群の接合型複合レンズを意味する。
【0313】
図46(F)に示す状態で、金型30を透明硬化性シリコーン樹脂34の硬化温度まで昇温させて、透明硬化性シリコーン樹脂34を硬化させる。この時、透明硬化性シリコーン樹脂24は、既に熱硬化されているので、透明硬化性シリコーン樹脂34の硬化温度まで昇温されても、その形状は変化しない。
【0314】
透明硬化性シリコーン樹脂34が硬化した後、金型30を冷却して、上述した第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接合された上述の2枚1群の接合型複合レンズに、硬化した透明硬化性シリコーン樹脂34(第3サブレンズL3として形成される)が接合された状態の、接合型複合レンズ(この発明の3枚1群の接合型複合レンズ)を取り出す。
【0315】
この発明の発明者は、上述した実施例1〜実施例6の撮像レンズにおいて、第2サブレンズL2と第3サブレンズL3との接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズとしての使用において、剥離が生じない程度の強度として保たれるように形成することが可能であることを確認している。
【0316】
図46(G)は、上述の製造工程を経て完成された接合型複合レンズの、光軸に沿った方向に切断した切り口の断面図である。透明硬化性シリコーン樹脂24が第1サブレンズL1、光学ガラス26が第2サブレンズL2、透明硬化性シリコーン樹脂34が第3サブレンズL3となっている。図46(G)に示した接合型複合レンズは、第1サブレンズの物体側面36が物体側に凸面を向けており、第3サブレンズの像側面38が像側に凹面を向けた形状である。
【0317】
図46(A)〜(G)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程は、第2サブレンズL2を平行平面ガラス板とし、第1サブレンズL1を、当該第1サブレンズL1の物体側面36が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズL3を、当該第3サブレンズL3の像側面38が像側に凹面を向けた平凹レンズとした接合型複合レンズを製造する場合を想定した金型を利用した場合の製造工程である。しかしながら、これとは、レンズ面の凹凸の向きの異なる接合型複合レンズにおいても、同様の工程で製造できることは明らかである。第1サブレンズL1の物体側面36の形状は、金型20の底面22の形状で決定される。また、第3サブレンズL3の像側面38の形状は、金型30の底面32の形状で決定される。すなわち、金型20及び金型30のそれぞれの底面の形状を、第1サブレンズL1の物体側面36の形状及び第3サブレンズL3の像側面38の形状と合わせればよい。
【0318】
図46(A)〜(G)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程においては、第1サブレンズ及び第3サブレンズを熱硬化性樹脂によって形成するので、金型20及び金型30の温度を上昇させ、及び加工させるための温度制御装置が必要である。この温度制御装置をどのように構成するかは、接合型複合レンズの製造装置の設計的事項に属することであるので、温度制御装置は、図46(A)〜(G)では省略されている。
【0319】
また、第1サブレンズL1及び第3サブレンズL3を紫外線硬化樹脂によって形成する場合には、金型20及び金型30の上方から、紫外線硬化樹脂に対して紫外線を照射できるように、接合型複合レンズの製造装置を設計すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0320】
【図1】実施例1の撮像レンズの構成図である。
【図2】実施例1の撮像レンズの光路図である。
【図3】実施例1の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図4】実施例1の撮像レンズの非点収差図である。
【図5】実施例1の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図6】実施例2の撮像レンズの構成図である。
【図7】実施例2の撮像レンズの光路図である。
【図8】実施例2の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図9】実施例2の撮像レンズの非点収差図である。
【図10】実施例2の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図11】実施例3の撮像レンズの構成図である。
【図12】実施例3の撮像レンズの光路図である。
【図13】実施例3の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図14】実施例3の撮像レンズの非点収差図である。
【図15】実施例3の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図16】実施例4の撮像レンズの構成図である。
【図17】実施例4の撮像レンズの光路図である。
【図18】実施例4の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図19】実施例4の撮像レンズの非点収差図である。
【図20】実施例4の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図21】実施例5の撮像レンズの構成図である。
【図22】実施例5の撮像レンズの光路図である。
【図23】実施例5の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図24】実施例5の撮像レンズの非点収差図である。
【図25】実施例5の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図26】実施例6の撮像レンズの構成図である。
【図27】実施例6の撮像レンズの光路図である。
【図28】実施例6の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図29】実施例6の撮像レンズの非点収差図である。
【図30】実施例6の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図31】実施例7の撮像レンズの構成図である。
【図32】実施例7の撮像レンズの光路図である。
【図33】実施例7の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図34】実施例7の撮像レンズの非点収差図である。
【図35】実施例7の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図36】実施例8の撮像レンズの構成図である。
【図37】実施例8の撮像レンズの光路図である。
【図38】実施例8の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図39】実施例8の撮像レンズの非点収差図である。
【図40】実施例8の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図41】実施例9の撮像レンズの構成図である。
【図42】実施例9の撮像レンズの光路図である。
【図43】実施例9の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図44】実施例9の撮像レンズの非点収差図である。
【図45】実施例9の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図46】接合型複合レンズの製造工程の説明に供する図である。
【符号の説明】
【0321】
10:固体撮像素子
12:カバーガラス
14:第1レンズ
16:第2レンズ
18:第3レンズ
20、30:金型
24、34:透明硬化性シリコーン樹脂
26:光学ガラス
36:第1サブレンズの物体側面
38:第3サブレンズの像側面
S:開口絞り
S1:第1絞り(開口絞り)
S2:第2絞り
L1:第1サブレンズ
L2:第2サブレンズ
L3:第3サブレンズ
L4:第4サブレンズ
L5:第5サブレンズ
L6:第6サブレンズ
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像レンズ、特に携帯電話器等に搭載して好適な撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラを内蔵する携帯電話器には、撮像レンズがプリント配線基板に実装されている。プリント配線基板に撮像レンズを実装する手法として、リフローはんだ付け(Reflow soldering)処理が採用されている。以後、リフローはんだ付け処理を、単に「リフロー処理」ということもある。リフロー処理とは、プリント配線基板上で電子部品を接続する個所にあらかじめハンダボールを配置し、そこに電子部品を配置してから加熱して、ハンダボールを溶融させた後冷却することによって、電子部品をハンダ付けする手法のことを言う。
【0003】
大量生産工程において、一般に、プリント配線基板に電子素子あるいは撮像レンズ等の部品類を実装する手法として、リフロー処理を実施するリフロー工程が採用される。リフロー工程によれば、部品類のプリント配線基板への実装コストが安くすみ、かつ製造品質を一定に保つことができる。
【0004】
撮像レンズを具える携帯電話器の製造工程におけるリフロー工程においては、電子部品が、プリント配線基板の所定位置に配置されることはもちろん、撮像レンズそのもの、あるいは撮像レンズを取り付けるためのソケット等がプリント配線基板に配置される。
【0005】
携帯電話器に取り付けられる撮像レンズは、製造コストの低減及びレンズ性能の確保のために、そのほとんどがプラスチックを素材として作製されている。このため、リフロー工程において、撮像レンズが高温環境におかれることによって熱変形し、その光学的性能を維持できなくなることを防止するため、撮像レンズを装填するための耐熱性ソケット部品を利用する工夫がなされている。
【0006】
すなわち、リフロー工程においては、撮像レンズを装填するための耐熱性ソケット部品を携帯電話器のプリント配線基板に取り付け、リフロー工程終了後に、撮像レンズをこのソケットに取り付けることによって、撮像レンズがリフロー工程で高温にさらされることを防ぐ方策が採られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、撮像レンズを装填するために耐熱性ソケット部品を利用することは、製造工程を複雑にし、この耐熱性ソケットのコスト等を含めて、製造コストが高くなるという問題がある。
【0007】
また、最近は、携帯電話器が、一時的に高温環境となる乗用車の車内等に放置されることも考慮して、携帯電話器そのものが、150℃程度の高温環境に置かれた場合であっても、この携帯電話器に装填されている撮像レンズには、その光学的性能が劣化しないことが要請されている。従来の、プラスチック素材で形成された撮像レンズでは、この要請に完全には応えられない。
【0008】
高温環境でも光学的性能が維持される撮像レンズを実現するために、撮像レンズを高軟化温度のモールドガラス素材を利用して形成することが考えられる(例えば、特許文献4参照)。高軟化温度のモールドガラス素材が軟化する温度は数百度以上であるので、高温の環境によって撮像レンズの光学的性能が劣化するという問題は回避できるが、現時点では、モールドガラス素材を利用して構成される撮像レンズは、その製造コストが非常に高く、あまり普及していない。
【0009】
携帯電話器等に装填される撮像レンズは、上述の熱的特性に加えて光学的な特性についても、次のような条件を満たす必要がある。すなわち、光学長(optical length)が短い必要がある。光学長とは、撮像レンズの物体側の入射面から結像面(撮像面ということもある。)までの長さである。言い換えると、レンズの設計において、撮像レンズの合成焦点距離に対する光学長の比を小さくする工夫が必要である。携帯電話器を例にとると、少なくともこの光学長は、携帯電話器本体の厚みより短くなければならない。
【0010】
一方、撮像レンズの像側の出射面から撮像面までの距離として定義されるバックフォーカスは、可能な限り長いのが好都合である。すなわち、レンズの設計において、焦点距離に対するバックフォーカスの比はできるだけ大きくする工夫が必要である。これは、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する必要があるためである。
【0011】
上述した以外にも、撮像レンズとして、諸収差が、像の歪みが視覚を通じて意識されず、かつCCDイメージセンサ(charge coupled device image sensor)等の受光面にマトリックス状に並んでいる光を検知する最小単位の素子(「画素」とも呼ばれる。)の集積密度から要請される十分な程度に小さく補正されていることが当然に要請される。すなわち、撮像レンズは、諸収差が良好に補正されている必要がある。以下、このように諸収差が良好に補正された画像を「良好な画像」ということもある。
【特許文献1】特開2006-121079号公報(特許第3799615号公報)
【特許文献2】特開2004-328474号公報(特許第3915733号公報)
【特許文献3】特開2004-063787号公報(特許第3755149号公報)
【特許文献4】特開2005-067999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、この発明の目的は、携帯電話器等に搭載して好適な撮像レンズであって、リフロー工程においても、また、携帯電話器等に装填されて一時的に設計仕様における最高の温度環境に置かれた場合であっても、光学的性能が劣化しないという耐熱性が保証された撮像レンズを提供することにある。
【0013】
また、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、バックフォーカスは撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入可能な程度に長く、かつ良好な画像が得られる撮像レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、この発明の第1形態の撮像レンズは、以下のとおり構成される。すなわち、この発明の第1形態の撮像レンズは、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具えている。第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのうち一つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであることが特徴である。残りの二つのレンズは、それぞれ第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズの3枚のサブレンズをこの順に接着した状態にある接合型複合レンズである。これら二つの接合型複合レンズのそれぞれは、第1サブレンズ及び第3サブレンズが、硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0015】
この発明の第2形態の撮像レンズは、以下のとおり構成される。すなわち、この発明の第2形態の撮像レンズは、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具えている。第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのうち二つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであることが特徴である。残りの一つのレンズは、第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズの3枚のサブレンズをこの順に接着した状態にある接合型複合レンズである。この接合型複合レンズは、第1サブレンズ及び第3サブレンズが、硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0016】
ここで、硬化性樹脂(Curable Resin)材料とは、熱硬化性樹脂(Thermosetting resin)材料及び紫外線硬化樹脂(UV-Curable Resin)材料のいずれをも指す。また、高軟化温度の光学レンズの形成用材料とは、高軟化温度のモールドガラス素材、あるいは、後述するBK7等の光学ガラス等を指す。
【0017】
光学ガラスで形成される第2サブレンズと、硬化性樹脂材料で形成される第1サブレンズ又は第3サブレンズとの接着は次のように実現される。光学ガラスで形成される第2サブレンズに、液体状の硬化性樹脂を接触させて、この硬化性樹脂を固体化、すなわち硬化させることによって、第1サブレンズ又は第3サブレンズが第2サブレンズに接着される。この接着を、以後、直接接着ということもある。また、第2サブレンズと、第1サブレンズ又は第3サブレンズとのとの間に接着剤を介在させて第2サブレンズと、第1サブレンズ又は第3サブレンズとの接着を実現させても良い。この接着を、以後、間接接着ということもある。
【0018】
間接接着を実現する場合、光学ガラスの屈折率と、硬化性樹脂材料の屈折率に関して、接着剤の屈折率を適宜選択する等、接着剤の光学的特性を積極的に利用する意図を持って接着剤を選択すれば、第2サブレンズと、第1サブレンズ又は第3サブレンズとの界面における反射を低減する等の効果を得ることも可能である。また、接着剤を介在させるか否かにかかわらず、第2サブレンズの、第1サブレンズ又は第3サブレンズに対向する面に、コーティング処理を施した上で、両者を接着すれば、第1サブレンズ(又は第3サブレンズ)との界面における反射を低減する等の効果を得ることも可能である。
【0019】
すなわち、ここでいうサブレンズ同士の接着とは、上述したように、接着剤を介在させることなくサブレンズ同士を接着する直接接着を含むことはもちろん、サブレンズ間に接着剤を介在させて実現される間接接着も含むものとする。
【0020】
この発明の撮像レンズは、より具体的には、第1〜第6の撮像レンズとして構成される。
【0021】
第1の撮像レンズは、第1レンズと、開口絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ、開口絞り、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。
【0022】
第1レンズは、近軸上で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズである。第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、第4サブレンズと第5サブレンズとが接着され、かつ第5サブレンズと第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0023】
第1レンズは、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、第1サブレンズ、第3サブレンズ、第4サブレンズ、及び第6サブレンズは硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズ、及び第5サブレンズは、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0024】
そして、第1の撮像レンズは、以下の条件(1-1)〜(1-8)を満たす。
【0025】
0≦|N5-N4|≦0.1 (1-1)
0≦|N5-N6|≦0.1 (1-2)
0≦|ν5-ν4|≦30.0 (1-3)
0≦|ν5-ν6|≦30.0 (1-4)
0≦|N9-N8|≦0.1 (1-5)
0≦|N9-N10|≦0.1 (1-6)
0≦|ν9-ν8|≦30.0 (1-7)
0≦|ν9-ν10|≦30.0 (1-8)
ただし、
N4:前記第1サブレンズの屈折率
N5:前記第2サブレンズの屈折率
N6:前記第3サブレンズの屈折率
ν4:前記第1サブレンズのアッベ数
ν5:前記第2サブレンズのアッベ数
ν6:前記第3サブレンズのアッベ数
N8:前記第4サブレンズの屈折率
N9:前記第5サブレンズの屈折率
N10:前記第6サブレンズの屈折率
ν8:前記第4サブレンズのアッベ数
ν9:前記第5サブレンズのアッベ数
ν10:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【0026】
更に、第1の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第1の撮像レンズの構成要素である、第2レンズ及び第3レンズをそれぞれ構成する第1〜第3サブレンズ、及び第4〜第6サブレンズを以下のとおりとするのが好適である。
【0027】
第2レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズ(planoconcave lens)とし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズ(planoconvex lens)とする。平行平面ガラス板は、オプティカルパラレルガラス板(Optical-parallel glass plate)と呼ばれることもある。平行平面ガラス板は、レンズとは一般には呼ばれないが、ここでは説明の便宜上、レンズ面の曲率半径が無限大である特別な場合として平行平面ガラス板を含めてレンズと称することもある。
【0028】
また、第3レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズとする。
【0029】
また、第1の撮像レンズは、次のように構成しても好適である。すなわち、第1の撮像レンズの構成要素である、第2及び第3レンズを構成する第1〜第6サブレンズを以下のとおりとしても好適である。
【0030】
第2レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、像側に凸面を向けたメニスカスレンズ(meniscus lens)とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けたレンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズとする。
【0031】
また、第3レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、両側の面が凸面である両凸レンズ(biconvex lens)とし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズとする。
【0032】
第2の撮像レンズは、開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、開口絞り、第1レンズ、第2絞り、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。
【0033】
第1レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズである。第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、第4サブレンズと第5サブレンズとが接着され、かつ第5サブレンズと第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0034】
第1サブレンズ、第3サブレンズ、第4サブレンズ、及び第6サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、第2レンズが硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、第2サブレンズ、及び第5サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0035】
そして、第2の撮像レンズは、以下の条件(2-1)〜(2-8)を満たす。
【0036】
0≦|N3-N2|≦0.1 (2-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (2-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (2-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (2-4)
0≦|N10-N9|≦0.1 (2-5)
0≦|N10-N11|≦0.1 (2-6)
0≦|ν10-ν9|≦30.0 (2-7)
0≦|ν10-ν11|≦30.0 (2-8)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
N9:前記第4サブレンズの屈折率
N10:前記第5サブレンズの屈折率
N11:前記第6サブレンズの屈折率
ν9:前記第4サブレンズのアッベ数
ν10:前記第5サブレンズのアッベ数
ν11:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【0037】
更に、第2の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第2の撮像レンズの構成要素である、第1及び第3レンズをそれぞれ構成する第1〜第3サブレンズ、及び第4〜第6サブレンズを以下のとおりとするのが好適である。
【0038】
第1レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0039】
また、第3レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズとする。
【0040】
また、第2の撮像レンズは、次のように構成しても好適である。すなわち、第2の撮像レンズの構成要素である、第1及び第3レンズを構成する第1〜第6サブレンズを以下のとおりとしても好適である。
【0041】
第1レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、両側の面が凸面である両凸レンズとし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズとする。
【0042】
また、第3レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、像側に凸面を向けたメニスカスレンズとし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズとする。
【0043】
第3の撮像レンズは、開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、開口絞り、第1レンズ、第2絞りと、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。
【0044】
第1レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、第4サブレンズと第5サブレンズとが接着され、かつ第5サブレンズと第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズは、像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズである。
【0045】
第1サブレンズ、第3サブレンズ、第4サブレンズ、及び第6サブレンズは硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズ及び第5サブレンズは、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、及び第3レンズは、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0046】
そして、第3の撮像レンズは、以下の条件(3-1)〜(3-8)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
【0047】
0≦|N3-N2|≦0.1 (3-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (3-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (3-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (3-4)
0≦|N8-N7|≦0.1 (3-5)
0≦|N8-N9|≦0.1 (3-6)
0≦|ν8-ν7|≦30.0 (3-7)
0≦|ν8-ν9|≦30.0 (3-8)
ただし、
N2:第1サブレンズの屈折率
N3:第2サブレンズの屈折率
N4:第3サブレンズの屈折率
ν2:第1サブレンズのアッベ数
ν3:第2サブレンズのアッベ数
ν4:第3サブレンズのアッベ数
N7:第4サブレンズの屈折率
N8:第5サブレンズの屈折率
N9:第6サブレンズの屈折率
ν7:第4サブレンズのアッベ数
ν8:第5サブレンズのアッベ数
ν9:第6サブレンズのアッベ数
である。
【0048】
更に、第3の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第3の撮像レンズの構成要素である、第1及び第2レンズをそれぞれ構成する第1〜第3サブレンズ、及び第4〜第6サブレンズを以下のとおりとするのが好適である。
【0049】
第1レンズを構成するサブレンズのうち、第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0050】
また、第2レンズを構成するサブレンズのうち、第5サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0051】
また、第3の撮像レンズは、次のように構成しても好適である。すなわち、第3の撮像レンズの構成要素である、第1及び第2レンズを構成する第1〜第6サブレンズを以下のとおりとしても好適である。
【0052】
第2サブレンズを、両側の面が凸面である両凸レンズとし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1レンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズとする。第5サブレンズを、像側に凸面を向けたメニスカスレンズとし、第4サブレンズを、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けたレンズとし、第6サブレンズを、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズとする。
【0053】
第4の撮像レンズは、第1レンズと、開口絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ、開口絞り、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。第1レンズは、近軸上で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズである。第3レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0054】
第1レンズ、第2レンズ、第1サブレンズ、及び第3サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0055】
そして、第4の撮像レンズは、以下の条件(4-1)〜(4-4)を満たす。
【0056】
0≦|N7-N6|≦0.1 (4-1)
0≦|N7-N8|≦0.1 (4-2)
0≦|ν7-ν6|≦30.0 (4-3)
0≦|ν7-ν8|≦30.0 (4-4)
ただし、
N6:前記第1サブレンズの屈折率
N7:前記第2サブレンズの屈折率
N8:前記第3サブレンズの屈折率
ν6:前記第1サブレンズのアッベ数
ν7:前記第2サブレンズのアッベ数
ν8:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0057】
更に、第4の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第4の撮像レンズの構成要素である、第3レンズを構成する第1〜第3サブレンズを以下のとおりとするのが好適である。
【0058】
第3レンズを構成する第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズとする。
【0059】
第5の撮像レンズは、開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、開口絞り、第1レンズ、第2絞りと、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。第1レンズは、両側の面が凸面である両凸レンズである。第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズである。
【0060】
第1レンズ、第1サブレンズ、及び第3サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズ、第3レンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0061】
そして、第5の撮像レンズは、以下の条件(5-1)〜(5-4)を満たす。
【0062】
0≦|N6-N5|≦0.1 (5-1)
0≦|N6-N7|≦0.1 (5-2)
0≦|ν6-ν5|≦30.0 (5-3)
0≦|ν6-ν7|≦30.0 (5-4)
ただし、
N5:前記第1サブレンズの屈折率
N6:前記第2サブレンズの屈折率
N7:前記第3サブレンズの屈折率
ν5:前記第1サブレンズのアッベ数
ν6:前記第2サブレンズのアッベ数
ν7:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0063】
更に、第5の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第5の撮像レンズの構成要素である第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0064】
第6の撮像レンズは、開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、物体側から像側に向って、開口絞り、第1レンズ、第2絞りと、第2レンズ、第3レンズの順に配列されて構成される。
【0065】
第1レンズが、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、第1サブレンズと第2サブレンズとが接着され、かつ第2サブレンズと第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズである。
【0066】
第1サブレンズ、第3サブレンズ、第2レンズが硬化性樹脂材料で形成され、第2サブレンズ、第3レンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される。
【0067】
そして、第6の撮像レンズは、以下の条件(6-1)〜(6-4)を満たす。
【0068】
0≦|N3-N2|≦0.1 (6-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (6-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (6-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (6-4)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0069】
更に、第6の撮像レンズは、次のように構成するのが好適である。すなわち、第6の撮像レンズの構成要素である第2サブレンズを、平行平面ガラス板とし、第1サブレンズを、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズを、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズとする。
【0070】
この発明の、第1〜第6の撮像レンズを形成するに当たり、第1レンズの物体側面、第1レンズの像側面、第2レンズの物体側面、第2レンズの像側面、第3レンズの物体側面、及び第3レンズの像側面を非球面とするのが好適である。
【0071】
また、この発明の、第1〜第6の撮像レンズを形成するに当たり、硬化性樹脂材料は、透明硬化性シリコーン樹脂(Transparent Curable Silicone Resin)とするのが好適である。透明との限定は、可視光に対して、実用上の影響が無い程度に光吸収量が小さい(透明である)ことを意味する。
【発明の効果】
【0072】
この発明の撮像レンズは、第1形態の撮像レンズ及び第2形態の撮像レンズの2つの形態がある。第1形態の撮像レンズは、一つの単レンズと二つの接合型複合レンズを組み合わせて構成される。第2形態の撮像レンズは、二つの単レンズと一つの接合型複合レンズを組み合わせて構成される。
【0073】
ここで、この発明の撮像レンズに利用される接合型複合レンズの一つを取り上げて、その構成及び機能について説明する。
【0074】
この発明の第1又は第2形態の撮像レンズを構成する接合型複合レンズは、硬化性樹脂材料で形成された第1及び第3サブレンズが、高軟化温度のガラス材料で形成された第2サブレンズを両側から挟む形で接着されて形成されている。
【0075】
高軟化温度のガラス材料とは、リフロー処理の温度及び接合型複合レンズの設計仕様における最高環境温度のいずれの温度より、軟化温度が高いガラス材料であることを意味する。なお、以後の説明において、ガラス材料に対する、熱的性質について論ずる場合にはこれを高軟化温度のガラス材料といい、光学的性質を論ずる場合には、これを光学ガラス材料ということもある。
【0076】
硬化性樹脂材料は、一旦硬化処理が施されると、高温になっても軟化することはない。硬化性樹脂材料がもつこの性質が、軟化温度と呼ばれる(ガラス転移温度とも呼ばれる。)一定の温度以上にさらされると軟化して可塑化する、プラスチック材料等の可塑性樹脂材料がもつ性質と異なる点である。すなわち、硬化性樹脂材料は、一旦硬化処理が施されて固体化されれば、その幾何学的形状は変化しない。
【0077】
従って、第1サブレンズ及び第3サブレンズは、高温環境に置かれた場合であっても、レンズの幾何学的形状は変化せずその光学的性能が劣化しない。この発明の第1及び第2形態の撮像レンズを構成する単レンズも、硬化性樹脂材料又は高軟化温度のガラス材料で形成されているので、高温環境下でもその光学的性能は劣化しない。ここで、高温環境とは、リフロー処理の温度および接合型複合レンズの設計仕様における最高温度のいずれの温度より高い温度環境をいう。
【0078】
このため、この発明の撮像レンズで利用される接合型複合レンズ及び単レンズは、リフロー工程及び撮像レンズの使用時に想定される最高の温度である高温環境においても、その光学的性能が保証される。
【0079】
この発明の第1形態の撮像レンズによれば、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具え、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのうち一つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであることが特徴である。また、この発明の第2形態の撮像レンズによれば、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具え、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのうち二つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであることが特徴である。
【0080】
単レンズは接合型複合レンズに比べてレンズの厚みを薄くすることが可能であるので、この発明の撮像レンズを構成する第1〜第3レンズの三つの構成レンズのうち何れか一つ又は二つの構成レンズを単レンズとすることによって、構成レンズである第1〜第3レンズの何れかを厚みの薄いレンズとすることができる。これによって、撮像レンズの光学長を短く設計しやすくなる。また、曲率の大きい、すなわち曲率半径の短いメニスカスレンズは、接合型複合レンズとして形成することが難しい場合があるが、単レンズであれば、容易に形成可能である。このことによって、撮像レンズの設計パラメータの一つである構成レンズの曲率半径の選択幅が広がり、それだけ設計自由度が大きくなり、より高性能な撮像レンズを設計しやすくなるという利点がある。
【0081】
この発明の第1及び第2形態の撮像レンズにおいて、接合型複合レンズを構成する第1〜第3サブレンズのうち、第1サブレンズと第3サブレンズとに挟まれこれら2枚のサブレンズの間に形成される第2サブレンズは、平行平面ガラス板、メニスカスレンズあるいは両凸レンズとすることが可能であるが、これらに限定されることはなく、凹レンズ等も利用可能である。第2サブレンズの形状は、それぞれの両側に形成される、樹脂レンズである、第1サブレンズと第3サブレンズの形成上の便宜、あるいはこの発明の撮像レンズの設計上の便宜によって決定される。
【0082】
すなわち、第2サブレンズを、メニスカスレンズ、凸レンズ、あるいは凹レンズ等、曲面で構成されるレンズで実現すれば、第2サブレンズの両側に接合して形成される樹脂レンズとの接合面が、平行平面ガラス板で実現する場合に比べて広くなり、それだけ接着力が強くなる。また、収差等のレンズの性能を向上させるための設計パラメータである第2サブレンズ面の曲率半径の選択幅が広がるので、この発明の撮像レンズとして設計がしやすくなる。
【0083】
一方、第2サブレンズの曲率半径を小さくする(曲率を大きくする)ことによって、接合型複合レンズを形成する際に、接合界面に気泡が侵入することを防ぎにくくなる。また、第2サブレンズを、平行平面ガラス板ではなくメニスカスレンズ等とすることは、平行平面ガラス板とする場合に比べてその製造コストは高くなる。
【0084】
次に、この発明の撮像レンズの光学的特性について説明する。
【0085】
この発明の撮像レンズの光学的な構成上の指導原理は、屈折率等の光学的特性ができる限り近いレンズ素材によって形成される3枚のサブレンズの集合体として形成される接合型複合レンズによって、収差補正及び結像という2つの役割を実現することにある。すなわち、この発明の撮像レンズが具える一つの接合型複合レンズにあっては、それを構成する3枚のサブレンズのそれぞれの屈折率及びアッベ数は互いに大きく異ならないことが望ましい。
【0086】
言い換えると、第1〜第3サブレンズの構成材料のそれぞれの屈折率及びアッベ数は互いに等しく、第4〜第6サブレンズの構成材料のそれぞれの屈折率及びアッベ数も互いに等しいことが理想的である。しかしながら、現実には、屈折率及びアッベ数が完全に等しい、光学ガラス材料と硬化性樹脂材料との組み合わせを見出すことは極めて困難である。
【0087】
そこで、この発明の発明者は、撮像レンズを構成する2つの接合型複合レンズのそれぞれにおいて、構成材料である光学ガラス材料と硬化性樹脂材料との、両者の屈折率及びアッベ数の差がどの程度以下であれば、良好な画像が得られる撮像レンズを構成できるかを、数々のシミュレーション及び試作を通じて確かめた。
【0088】
その結果、第1形態の撮像レンズである、第1の撮像レンズにあっては上述の条件(1-1)〜(1-8)を満たすことによって、第2の撮像レンズにあっては上述の条件(2-1)〜(2-8)を満たすことによって、第3の撮像レンズにあっては上述の条件(3-1)〜(3-8)を満たすことによって、良好な画像が得られる撮像レンズを構成できることが確かめられた。
【0089】
また、第2形態の撮像レンズである、第4の撮像レンズにあっては、上述の条件(4-1)〜(4-4)を満たすことによって、第5の撮像レンズにあっては、上述の条件(5-1)〜(5-4)を満たすことによって、第6の撮像レンズにあっては、上述の条件(6-1)〜(6-4)を満たすことによって、良好な画像が得られる撮像レンズを構成できることが確かめられた。
【0090】
すなわち、第1形態の撮像レンズにおいては、第1サブレンズの屈折率と第2サブレンズの屈折率との差、第2サブレンズの屈折率と第3サブレンズの屈折率との差、第4サブレンズの屈折率と第5サブレンズの屈折率との差、第5サブレンズの屈折率と第6サブレンズの屈折率との差が、それぞれ0.1以内であれば歪曲収差、非点収差、及び色・球面収差が、良好な画像が形成される程度に十分に小さい値になる。第2形態の撮像レンズにおいては、第1サブレンズの屈折率と第2サブレンズの屈折率との差、第2サブレンズの屈折率と第3サブレンズの屈折率との差が、それぞれ0.1以内であれば歪曲収差、非点収差、及び色・球面収差が、良好な画像が形成される程度に十分に小さい値になる。
【0091】
また、第1形態の撮像レンズにおいては、第1サブレンズのアッベ数と第2サブレンズのアッベ数との差、第2サブレンズのアッベ数と第3サブレンズのアッベ数との差、第4サブレンズのアッベ数と第5サブレンズのアッベ数との差、第5サブレンズのアッベ数と第6サブレンズのアッベ数との差がそれぞれ30.0以内であれば、色収差の大きさを、良好な画像が形成される程度に十分に小さい値とすることができ、しかも十分なコントラストを有する画像が形成できる。第2形態の撮像レンズにおいては、第1サブレンズのアッベ数と第2サブレンズのアッベ数との差、第2サブレンズのアッベ数と第3サブレンズのアッベ数との差がそれぞれ30.0以内であれば、色収差の大きさを、良好な画像が形成される程度に十分に小さい値とすることができ、しかも十分なコントラストを有する画像が形成できる。
【0092】
この発明の第1及び第4の撮像レンズは、入射瞳を確定する開口絞りが第1レンズと第2レンズとの間に配置されている。このことによって、この開口絞りは、入射瞳を確定するとともに、第1レンズで発生したフレアーを除去する機能を有する。
【0093】
また、この発明の第2、第3、第5及び第6の撮像レンズは、入射瞳を確定する開口絞り(第1絞り)が第1レンズの前面、すなわち第1レンズの物体側に配置されている。このことによって、入射瞳を物体側に近づけることができ、主光線を画像面に垂直に近い角度で入射させられ、シェーディング(shading)の発生を防止することが可能となる。このため、第2、第3、第5及び第6の撮像レンズは、入射瞳径を大きく設定することが可能であり、Fナンバーの小さい、すなわち明るいレンズを実現することが可能である。
【0094】
一方、第1及び第4の撮像レンズは、製造工程において、Fナンバーを容易に変更できるという特長を有している。すなわち、撮像レンズのFナンバーを変更するためには、開口絞りの大きさを変更すればよいが、第1及び第4の撮像レンズは、開口絞りを第1レンズと第2レンズとの間に配置する構成であるので、Fナンバーの変更には、開口絞りを交換するだけで良い。
【0095】
しかし、第2、第3、第5及び第6の撮像レンズのように、第1レンズの前面に開口絞りを配置するためには、撮像レンズを構成する第1〜第3レンズを固定するためのバレルを作製する段階に遡って、バレルの先端が開口絞りとしての役割を果たすように、その開口の大きさを設定しなければならない。すなわち、Fナンバーを変更するたびに、撮像レンズのバレルの設計をし直して、撮像レンズのバレルの製造のための鋳型をそのたびに作り変える必要がある。
【0096】
以上説明したように、第1及び第4の撮像レンズと、第2、第3、第5及び第6の撮像レンズとは、それぞれ異なる特長を有している。いずれの撮像レンズを採用するかは、撮像レンズを利用する対象(携帯電話器、あるいはデジタルカメラ等)の都合によって適宜選択すべき事項である。
【0097】
なお、ここでは、この発明の第1及び第4の撮像レンズを、開口絞りのみが第1レンズと第2レンズとの間に配置されているタイプの撮像レンズとし、この発明の第2、第3、第5及び第6の撮像レンズを、入射瞳を確定する開口絞り(第1絞り)が第1レンズの物体側に配置され、第2絞りが第1レンズと第2レンズとの間に配置されているタイプの撮像レンズとして提示した。
【0098】
しかしながら、これとは逆に、この発明の第2、第3、第5及び第6の撮像レンズを、開口絞りのみが第1レンズと第2レンズとの間に配置されているタイプの撮像レンズとし、この発明の第1及び第4の撮像レンズを、入射瞳を確定する開口絞り(第1絞り)が第1レンズの物体側に配置され、第2絞りが第1レンズと第2レンズとの間に配置されているタイプの撮像レンズとすることも可能である。
【0099】
いずれにしても、開口絞りを第1レンズと第2レンズとの間に配置するか、第1レンズの物体側に配置するかは、撮像レンズの設計において適宜選択すべき事項である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0100】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態例につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の断面形状や配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を用いることがあるが、これら材料および条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、この発明は、何らこれらに限定されるものではない。
【0101】
図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41は、それぞれ実施例1〜実施例9の撮像レンズの構成図である。また、図2、図7、図12、図17、図22、図27、図32、図37、及び図42は、それぞれ実施例1〜実施例9の撮像レンズの光路図である。第1形態の撮像レンズにあっては、物体側から一つ目の接合型複合レンズを構成するサブレンズを第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、第3サブレンズL3とし、二つ目の接合型複合レンズを構成するサブレンズを第4サブレンズL4、第5サブレンズL5、第6サブレンズL6としてある。第2形態の撮像レンズにあっては、接合型複合レンズを構成するサブレンズを第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、第3サブレンズL3としてある。
【0102】
実施例1、4、及び7の撮像レンズにおいては、それぞれ、第1レンズ14と第2レンズ16との間に配置される絞りSは開口絞りとしての役割を果たし、入射瞳の位置を確定している。
【0103】
一方、実施例2、3、5、6、8、9の撮像レンズにおいては、第1レンズ14の前面に配置される第1絞りS1は開口絞りとしての役割を果たし、入射瞳の位置を確定する。また、第1レンズ14と第2レンズ16との間に配置される第2絞りS2は、画像のコントラストが減少する現象であるフレアー(flare)あるいは、画像の滲み現象であるスミア(smear)を防ぐ役割を果たす。
【0104】
すなわち、実施例2、3、5、6、8、9の撮像レンズにおいては、第1絞りS1は、入射瞳の位置を確定し、Fナンバーを規定し、歪曲収差や非点収差等の緒収差特性を決定するするという撮像レンズの基本的特性を決定する役割を果たす絞りであるので、この発明では必須構成要素である。これに対して、第2絞りS2は、画像のコントラストの向上という付加的な特性を向上させるための構成要素であるので、設置することが望ましいが、設置しなくともこの発明の撮像レンズは成立する。
【0105】
誤解の生じない範囲でriを光軸上曲率半径の値を意味する変数として用いるほか、レンズやカバーガラス面あるいは撮像面を識別する記号(例えば、図1において、r1を、第1レンズ14の物体側の面の意味に用いる等)として用いることもある。図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41に示すri及びdi、Nj、νj等のパラメータは、以下に示す表1〜表9に具体的数値として与えてある。ここで、i及びjは、それぞれ1以上の正の整数であって、物体側から像側に向かって1から順に、絞り、各レンズの面番号あるいはレンズの厚みもしくはレンズ面間隔等に対応させて付したものである。すなわち、
ri は i番目の面の光軸上曲率半径、
di は i番目の面からi+1番目の面までの距離、
Nj は 絞りも含めて数えて第j番目に当たるレンズ(あるいはサブレンズ)の屈折率、及び
νjは 絞りも含めて数えて第j番目に当たるレンズ(あるいはサブレンズ)の素材のアッベ数、
をそれぞれ示す。
【0106】
図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41において定義されている面ri及び面間隔diの記号は、図2、図7、図12、図17、図22、図27、図32、図37、及び図42においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、省略してある。
【0107】
図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41においては、絞りの開口部を線分で示してある。これは、レンズ面から絞り面までの距離を定義するためには、絞り面と光軸との交点が明確に示されなければならないためである。また、実施例1〜実施例9の撮像レンズのそれぞれの断面図である、図2、図7、図12、図17、図22、図27、図32、図37、及び図42においては、上記の図1、図6、図11、図16、図21、図26、図31、図36、及び図41とは逆に、絞りの開口部を開けて、開口部の端を始点とした半直線で光を遮断する絞りの本体を示してある。これは、主光線等の光線を記入するために、絞りの実態を反映させて、絞りの開口部を開けて示す必要があるためである。
【0108】
光学長Lは、実施例1、4及び7の撮像レンズにおいては、第1レンズL1の物体側面r1から撮像面までの距離であり、実施例2、3、5、6、8、及び9の撮像レンズにおいては、第1絞りS1から撮像面までの距離である。バックフォーカスbfは、第3レンズ18の像側の面から撮像面までの距離である。ここでは、カバーガラスを取り除いて計測される第3レンズ18の像側の面から撮像面までの長さを、バックフォーカスbfとして表すものとする。ここで、第3レンズ18が接合型複合レンズである場合は、第3レンズ18の像側の面とは、第6サブレンズL6の像側の面(実施例7では、第3サブレンズL3の像側の面)を意味する。
【0109】
表1〜表9は、それぞれ実施例1〜実施例9の撮像レンズを構成する第1〜第3レンズ、あるいは第1〜第6サブレンズ(実施例7〜9の撮像レンズにあっては第1〜第3サブレンズ)の厚みや、これらのレンズを構成する曲面の曲率半径、これらのレンズの配置間隔及びこれらのレンズと絞りとの配置関係等に関するデータを示す。非球面データは、表1〜表9のそれぞれの欄に面番号とともに示した。また、光軸上曲率半径の値riは、物体側に凸である場合を正の値、像側に凸である場合を負の値として示してある。
【0110】
第2サブレンズあるいは第5サブレンズが平行平面ガラス板である場合の両面、絞りS、第1絞りS1、第2絞りS2、及びカバーガラス(あるいはフィルター等)の両面は、平面であるので曲率半径は、∞と表示している。また、撮像面については、平面であるから、固体撮像素子10の撮像面を表す曲率半径について∞とすべきところを省略してある。
【0111】
この発明で使用される非球面は、次の式で与えられる。
【0112】
Z = ch2/[1 + [1−(1+k)c2h2]+1/2]+A0h4+B0h6+C0h8+D0h10
ただし、
Z : 面頂点に対する接平面からの深さ
c : 面の光軸上の曲率
h : 光軸からの高さ
k : 円錐定数
A0: 4次の非球面係数
B0: 6次の非球面係数
C0: 8次の非球面係数
D0: 10次の非球面係数
である。
【0113】
この明細書中の表1〜表9において、円錐定数(k)及び非球面係数(A0、B0、C0及びD0)を示す数値は指数表示であり、例えば「e−1」は、「10の−1乗」を意味する。
【0114】
以下、図1〜図45を参照して実施例1〜実施例9の撮像レンズを説明する。
【0115】
図3、図8、図13、図18、図23、図28、図33、図38及び図43に示す歪曲収差曲線は、光軸からの距離(縦軸に像面内での光軸からの最大距離を100として百分率表示してある。)に対して、収差(横軸に正接条件の不満足量を百分率表示してある。)を示した。
【0116】
図4、図9、図14、図19、図24、図29、図34、図39及び図44に示す非点収差曲線は、歪曲収差曲線と同様に、縦軸に示す光軸からの距離(%)に対して、収差量(mm単位)を横軸にとって示し、メリジオナル面とサジタル面とにおける収差量を、それぞれ表示した。
【0117】
図5、図10、図15、図20、図25、図30、図35、図40及び図45に示す色・球面収差曲線においては、縦軸の入射高hに対して、収差量(mm単位)を横軸にとって示した。縦軸の入射高hは、Fナンバーに換算して示してある。例えば、開放Fナンバーが3.40のレンズに対しては、縦軸の入射高h=100%が、F=3.40に対応する。開放Fナンバーとは、開口絞りの直径を、設計上の最大の大きさとした場合のFナンバーを意味する。
【0118】
また、色・球面収差曲線においては、C線(波長656.3nmの光)、d線(波長587.6 nmの光)、e線(波長546.1 nmの光)、F線(波長486.1 nmの光)及びg線(波長435.8 nmの光)に対する収差値を示した。
【0119】
実施例1〜実施例9において、第1サブレンズ、第3サブレンズ、第4サブレンズ、及び第6サブレンズの素材(実施例7〜実施例9においては、第1サブレンズ及び第3サブレンズの素材)に、硬化性樹脂材料である透明硬化性シリコーン樹脂を用いた。また、第2サブレンズ及び第5サブレンズの素材(実施例7〜実施例9においては、第2サブレンズの素材)に、ガラス材料である光学ガラス(BK7等)を用いた。ここで、BK7とは、ショットガラス(SCHOTT GLAS)社が硼珪酸ガラス(borosilicate glass)のグループに付けた名称である。光学ガラスBK7は、現在、複数のガラスメーカーによって製造されている。市販されている光学ガラスBK7の屈折率及びアッベ数は、製造会社あるいは製造ロットによって多少の相違がある。
【0120】
透明硬化性シリコーン樹脂とは、可視光に対して透明であって、かつ一時的に150℃程度の高温環境となっても、レンズの幾何学的形状は変化せず、その光学的性能が劣化しないシリコーン樹脂を意味する。ここでいう透明硬化性シリコーン樹脂は、例えば、シリコーン樹脂の供給会社から、「透明高硬度シリコーン樹脂」との名称で市販されているシリコーン樹脂の中から適宜選択することができる。
【0121】
第3レンズ18と固体撮像素子(solid-state image sensor)10との間には、カバーガラス12が挿入されている。カバーガラス12の素材は、屈折率(d線(587.6 nmの光)に対する値)が1.51633、アッベ数が64.0である光学ガラスBK7である。後述する表1〜表6において、カバーガラス12の屈折率及びアッベ数は、それぞれ、N=1.51633、ν=64.0と示してある。
【0122】
以下に、実施例1〜実施例9に関する構成レンズの曲率半径ri(mm単位)、レンズ面間隔di(mm単位)、レンズ素材の屈折率、レンズ素材のアッベ数、円錐定数k及び非球面係数(A0、B0、C0及びD0)を表1〜表9に一覧にして掲げる。なお、表1〜表9における構成レンズの光軸上曲率半径の値及びレンズ面間隔は、実施例1〜実施例9のそれぞれの撮像レンズの合成焦点距離fの値を1.00 mmに正規化した時の値として示してある。
【0123】
第1レンズ14、第2レンズ16、及び第3レンズ18の両側面は、いずれも非球面レンズとした。第1レンズ14、第2レンズ16、及び第3レンズ18が接合型複合レンズである場合は、接合型複合レンズを構成する第1サブレンズの物体側面及び第3サブレンズの像側面が非球面であり、また、第4サブレンズの物体側面及び第6サブレンズの像側面が非球面である。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】
【表7】
【0131】
【表8】
【0132】
【表9】
【0133】
実施例1〜9において使用された第1〜第6サブレンズ(実施例7〜9にあっては、第1〜第3サブレンズ)及び、第1〜3レンズとして使用された単レンズの構成材料である、硬化性樹脂材料である熱硬化性シリコーン樹脂あるいは、高軟化温度の光学レンズの形成用材料である光学ガラスの屈折率及びアッベ数は、製造会社ごとに異なる他、同一の商品名であっても屈折率及びアッベ数は多少の相違がある。以下に示す実施例1〜9において、実施例ごとに、使用した熱硬化性のシリコーン樹脂材料及び光学ガラス材料を示すと共に、これらの屈折率(d線(587.6 nmの光)に対する値)、及びアッベ数を示す。
【0134】
<実施例1>
実施例1の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、第1の撮像レンズの実施例であり、図1及び図2に示すように、第1レンズ14と、開口絞りSと、第2レンズ16及び第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ14、開口絞りS、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0135】
第1レンズ14には、単レンズが用いられている。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0136】
実施例1の撮像レンズは、第1レンズ14が、富士高分子工業株式会社(Fuji Polymer Industries Co., Ltd.)製の透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852で形成されている。硬化性樹脂材料であるこの透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852は、熱硬化性のシリコーン樹脂材料であり、金型(Die)を用いて射出成形することで形成できる。また、第1、第3、第4、及び第6サブレンズも、透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2サブレンズL2、及び第5サブレンズL5が、HOYA株式会社(HOYA Corporation)製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N5は、N5=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N6は、N6=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν5は、ν5=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν6は、ν6=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N8は、N8=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N9は、N9=1.51633である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N10は、N10=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν8は、ν8=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν9は、ν9=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν10は、ν10=56.0である。
【0137】
従って、|N5-N4|=|N5-N6|=|N9-N8|=|N9-N10|=0.00633であるので、下記の条件(1-1)、(1-2)、(1-5)、及び(1-6)を満たしている。また、|ν5-ν4|=|ν5-ν6|=|ν9-ν8|=|ν9-ν10|=8.0であるので、下記の条件(1-3)、(1-4)、(1-7)、及び(1-8)を満たしている。
【0138】
条件(1-1)、(1-2)、(1-5)、及び(1-6)とは、それぞれ、以下に示す式(1-1)、(1-2)、(1-5)、及び(1-6)で与えられる条件を意味する。また、条件(1-3)、(1-4)、(1-7)、及び(1-8)とは、それぞれ、以下に示す式(1-3)、(1-4)、(1-7)、及び(1-8)で与えられる条件を意味する。
【0139】
0≦|N5-N4|≦0.1 (1-1)
0≦|N5-N6|≦0.1 (1-2)
0≦|ν5-ν4|≦30.0 (1-3)
0≦|ν5-ν6|≦30.0 (1-4)
0≦|N9-N8|≦0.1 (1-5)
0≦|N9-N10|≦0.1 (1-6)
0≦|ν9-ν8|≦30.0 (1-7)
0≦|ν9-ν10|≦30.0 (1-8)
ただし、
N4:前記第1サブレンズの屈折率
N5:前記第2サブレンズの屈折率
N6:前記第3サブレンズの屈折率
ν4:前記第1サブレンズのアッベ数
ν5:前記第2サブレンズのアッベ数
ν6:前記第3サブレンズのアッベ数
N8:前記第4サブレンズの屈折率
N9:前記第5サブレンズの屈折率
N10:前記第6サブレンズの屈折率
ν8:前記第4サブレンズのアッベ数
ν9:前記第5サブレンズのアッベ数
ν10:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【0140】
条件(1-1)〜(1-8)とは、それぞれ式(1-1)〜(1-8)で与えられる条件を意味することは、以後の説明(実施例4の説明)においても同様である。
【0141】
図2に実施例1の撮像レンズの光路図を示す。図2に示すとおり、開口絞りSは、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。開口絞りSの絞り面は平面であるので、表1にr3=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、3.40である。
【0142】
表1に示すとおり、r5=∞及びr6=∞であることから、第2レンズ16を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板であり、r9=∞及びr10=∞であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、平行平面ガラス板である。
【0143】
また、r1が正の値であってr2が正の値であるから、第1レンズ14は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0144】
また、r4が負の値であるから、第2レンズ16を構成するサブレンズのうち、第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、及びr7も負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0145】
また、r8が正の値であるから、第3レンズ18を構成するサブレンズのうち、第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r11も正の値であるから、第6サブレンズL6も、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。
【0146】
図2に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.229 mmであり、バックフォーカスbfは0.400 mmである。
【0147】
図3に示す歪曲収差曲線1-1、図4に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線1-2及びサジタル面に対する収差曲線1-3)、図5に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線1-4、F線に対する収差曲線1-5、e線に対する収差曲線1-6、d線に対する収差曲線1-7、及びC線に対する収差曲線1-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0148】
図3及び図4の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図3及び図4中で、100%は0.586 mmに対応している。また、図5の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.40に対応する。図3の横軸は収差(%)を示し、図4、図5の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0149】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.586 mm)の位置において収差量の絶対値が5.38%と最大になっており、像高0.586 mm以下の範囲で収差量の絶対値が5.38%以内に収まっている。
【0150】
非点収差は、像高100%(像高0.586 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0643 mmと最大になっており、また、像高0.586 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0643 mm以内に収まっている。
【0151】
色・球面収差は、入射高hの100% においてg線に対する収差曲線1-4の絶対値が0.0231 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0231 mm以内に収まっている。
【0152】
従って、実施例1の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0153】
<実施例2>
実施例2の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第2の撮像レンズの実施例であり、図6及び図7に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、開口絞りS1、第1レンズ14、第2絞りS2、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0154】
第2レンズ16には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0155】
実施例2の撮像レンズは、第2レンズ16が、光学ガラスBK7で形成されている。第1、第3、第4、及び第6サブレンズは、硬化性樹脂材料である透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2及び第5サブレンズは、HOYA株式会社製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N9は、N9=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N10は、N10=1.51633である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N11は、N11=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν9は、ν9=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν10は、ν10=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν11は、ν11=56.0である。
【0156】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=|N10-N9|=|N10-N11|=0.00633であるので、下記の条件(2-1)、(2-2)、(2-5)、及び(2-6)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=|ν10-ν9|=|ν10-ν11|=8.0であるので、下記の条件(2-3)、(2-4)、(2-7)、及び(2-8)を満たしている。
【0157】
条件(2-1)、(2-2)、(2-5)、及び(2-6)とは、それぞれ、以下に示す式(2-1)、(2-2)、(2-5)、及び(2-6)で与えられる条件を意味する。また、条件(2-3)、(2-4)、(2-7)、及び(2-8)とは、それぞれ、以下に示す式(2-3)、(2-4)、(2-7)、及び(2-8)で与えられる条件を意味する。
【0158】
0≦|N3-N2|≦0.1 (2-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (2-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (2-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (2-4)
0≦|N10-N9|≦0.1 (2-5)
0≦|N10-N11|≦0.1 (2-6)
0≦|ν10-ν9|≦30.0 (2-7)
0≦|ν10-ν11|≦30.0 (2-8)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
N9:前記第4サブレンズの屈折率
N10:前記第5サブレンズの屈折率
N11:前記第6サブレンズの屈折率
ν9:前記第4サブレンズのアッベ数
ν10:前記第5サブレンズのアッベ数
ν11:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【0159】
条件(2-1)〜(2-8)とは、それぞれ式(2-1)〜(2-8)で与えられる条件を意味することは、以後の説明(実施例5の説明)においても同様である。
【0160】
図6に実施例2の撮像レンズの断面図を示す。図6に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0161】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表2にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表2にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.90である。
【0162】
表2に示すとおり、r3=∞及びr4=∞であることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板であり、r10=∞及びr11=∞であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、平行平面ガラス板である。
【0163】
また、r7が負の値であってr8も負の値であるから、第2レンズ16は、近軸上で、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0164】
また、r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0165】
また、r9が正の値であるから、第3レンズ18を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r12も正の値であるから、第6サブレンズL6は、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。
【0166】
図7に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.080 mmであり、バックフォーカスbfは0.354 mmである。
【0167】
図8に示す歪曲収差曲線2-1、図9に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線2-2及びサジタル面に対する収差曲線2-3)、図10に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線2-4、F線に対する収差曲線2-5、e線に対する収差曲線2-6、d線に対する収差曲線2-7、及びC線に対する収差曲線2-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0168】
図8及び図9の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図8及び図9中で、100%は0.630 mmに対応している。また、図10の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.90に対応する。図8の横軸は収差(%)を示し、図9、図10の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0169】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.630 mm)の位置において収差量の絶対値が1.40%と最大になっており、像高0.630 mm以下の範囲で収差量の絶対値が1.40%以内に収まっている。
【0170】
非点収差は、像高100%(像高0.630 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0369 mmと最大になっており、また、像高0.630 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0369 mm以内に収まっている。
【0171】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線2-4の絶対値が0.0575 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0575 mm以内に収まっている。
【0172】
従って、実施例2の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0173】
<実施例3>
実施例3の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第3の撮像レンズの実施例であり、図11及び図12に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1絞りS1、第1レンズ14、第2絞りS2、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0174】
第3レンズ18には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0175】
実施例3の撮像レンズは、第3レンズ18と第2サブレンズL2とは、光学ガラスBK7で形成されている。第1サブレンズL1と第3サブレンズL3とが、硬化性樹脂材料SR-7010(東レ・ダウコーニング社(Dow Corning Toray Co., Ltd.)製)で形成されている。第4サブレンズL4と第6サブレンズL6とが硬化性樹脂材料(富士高分子工業株式会社(Fuji Polymer Industries Co., Ltd.)製SMX-7877)で形成されている。第5サブレンズL5が光学ガラスE-F5(HOYA株式会社(HOYA Corporation)製)で形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.53000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.53000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=35.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=35.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N7は、N7=1.60000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N8は、N8=1.60342である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N9は、N9=1.60000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν7は、ν7=30.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν8は、ν8=38.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν9は、ν9=30.0である。
【0176】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=0.01367、|N8-N7|=|N8-N9|=0.00342であるので、下記の条件(3-1)、(3-2)、(3-5)、及び(3-6)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=29.0、|ν8-ν7|=|ν8-ν9|=8.0であるので、下記の条件(3-3)、(3-4)、(3-7)、及び(3-8)を満たしている。
【0177】
条件(3-1)、(3-2)、(3-5)、及び(3-6)とは、それぞれ、以下に示す式(3-1)、(3-2)、(3-5)、及び(3-6)で与えられる条件を意味する。また、条件(3-3)、(3-4)、(3-7)、及び(3-8)とは、それぞれ、以下に示す式(3-3)、(3-4)、(3-7)、及び(3-8)で与えられる条件を意味する。
【0178】
0≦|N3-N2|≦0.1 (3-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (3-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (3-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (3-4)
0≦|N8-N7|≦0.1 (3-5)
0≦|N8-N9|≦0.1 (3-6)
0≦|ν8-ν7|≦30.0 (3-7)
0≦|ν8-ν9|≦30.0 (3-8)
ただし、
N2:第1サブレンズの屈折率
N3:第2サブレンズの屈折率
N4:第3サブレンズの屈折率
ν2:第1サブレンズのアッベ数
ν3:第2サブレンズのアッベ数
ν4:第3サブレンズのアッベ数
N7:第4サブレンズの屈折率
N8:第5サブレンズの屈折率
N9:第6サブレンズの屈折率
ν7:第4サブレンズのアッベ数
ν8:第5サブレンズのアッベ数
ν9:第6サブレンズのアッベ数
である。
【0179】
条件(3-1)〜(3-8)とは、それぞれ式(3-1)〜(3-8)で与えられる条件を意味することは、以後の説明(実施例6の説明)においても同様である。
【0180】
図11に実施例3の撮像レンズの断面図を示す。図11に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0181】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表3にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表3にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.96である。
【0182】
表3に示すとおり、r3=∞及びr4=∞であることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板であり、r8=∞及びr9=∞であることから、第2レンズ16を構成する第5サブレンズL5は、平行平面ガラス板である。
【0183】
また、r11が正の値であってr12も正の値であるから、第3レンズ18は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0184】
また、r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0185】
また、r7が負の値であるから、第2レンズ16を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、r10も負の値であるから、第6サブレンズL6は、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0186】
図12に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.137 mmであり、バックフォーカスbfは0.392 mmである。
【0187】
図13に示す歪曲収差曲線3-1、図14に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線3-2及びサジタル面に対する収差曲線3-3)、図15に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線3-4、F線に対する収差曲線3-5、e線に対する収差曲線3-6、d線に対する収差曲線3-7、及びC線に対する収差曲線3-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0188】
図13及び図14の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図13及び図14中で、100%は0.631 mmに対応している。また、図15の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.96に対応する。図13の横軸は収差(%)を示し、図14、図15の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0189】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.631 mm)の位置において収差量の絶対値が0.64%と最大になっており、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.64%以内に収まっている。
【0190】
非点収差は、像高100%(像高0.631 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0368 mmと最大になっており、また、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0368 mm以内に収まっている。
【0191】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線3-4の絶対値が0.0440 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0440 mm以内に収まっている。
【0192】
従って、実施例3の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0193】
<実施例4>
実施例4の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第1の撮像レンズの実施例であり、図16及び図17に示すように、第1レンズ14と、開口絞りSと、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ14、開口絞りS、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0194】
第1レンズ14には、単レンズが用いられている。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0195】
実施例4の撮像レンズは、第1レンズ14、第2サブレンズL2、及び第5サブレンズL5が、HOYA株式会社製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。また、第1、第3、第4、及び第6サブレンズが、透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N5は、N5=1.51630である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N6は、N6=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν5は、ν5=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν6は、ν6=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N8は、N8=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N9は、N9=1.51630である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N10は、N10=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν8は、ν8=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν9は、ν9=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν10は、ν10=56.0である。
【0196】
従って、|N5-N4|=|N5-N6|=|N9-N8|=|N9-N10|=0.00630であるので、上述の条件(1-1)、(1-2)、(1-5)、及び(1-6)を満たしている。また、|ν5-ν4|=|ν5-ν6|=|ν9-ν8|=|ν9-ν10|=8.0であるので、上述の条件(1-3)、(1-4)、(1-7)、及び(1-8)を満たしている。
【0197】
図16に実施例4の撮像レンズの断面図を示す。図16に示すとおり、開口絞りSは、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。開口絞りSの絞り面は平面であるので、表4にr3=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、3.40である。
【0198】
表4に示すとおり、r5及びr6が負の値であることから、第2レンズ16を構成する第2サブレンズL2は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、r9が正の値であり、r10が負の値であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、両側の面が凸面である両凸レンズである。
【0199】
また、r1が正の値であってr2も正の値であるから、第1レンズ14は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0200】
また、r4が負の値であるから、第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凹面を向けたレンズであり、及びr7も負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けたレンズである。
【0201】
また、r8が正の値であるから、第3レンズ18を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、r11も正の値であるから、第6サブレンズL6も、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凹面を向けたレンズである。
【0202】
図17に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.235 mmであり、バックフォーカスbfは0.391 mmである。
【0203】
図18に示す歪曲収差曲線4-1、図19に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線4-2及びサジタル面に対する収差曲線4-3)、図20に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線4-4、F線に対する収差曲線4-5、e線に対する収差曲線4-6、d線に対する収差曲線4-7、及びC線に対する収差曲線4-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0204】
図18及び図19の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図18及び図19中で、100%は0.572 mmに対応している。また、図20の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.40に対応する。図18の横軸は収差(%)を示し、図19、図20の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0205】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.572 mm)の位置において収差量の絶対値が4.55%と最大になっており、像高0.572 mm以下の範囲で収差量の絶対値が4.55%以内に収まっている。
【0206】
非点収差は、像高70%(像高0.400 mm)の位置においてサジタル面における収差量の絶対値が0.0096 mmと最大になっており、また、像高0.572 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0096 mm以内に収まっている。
【0207】
色・球面収差は、入射高hの100% においてg線に対する収差曲線4-4の絶対値が0.0213 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0213 mm以内に収まっている。
【0208】
従って、実施例4の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0209】
<実施例5>
実施例5の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第2の撮像レンズの実施例であり、図21及び図22に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1絞りS1、第1レンズ14、第2絞りS2、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0210】
第2レンズ16には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0211】
実施例5の撮像レンズは、第2レンズ16と、第1、第3、第4、及び第6サブレンズは、透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2及び第5サブレンズは、HOYA株式会社製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N9は、N9=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N10は、N10=1.51633である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N11は、N11=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν9は、ν9=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν10は、ν10=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν11は、ν11=56.0である。
【0212】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=|N10-N9|=|N10-N11|=0.00633であるので、上述の条件(2-1)、(2-2)、(2-5)、及び(2-6)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=|ν10-ν9|=|ν10-ν11|=8.0であるので、上述の条件(2-3)、(2-4)、(2-7)、及び(2-8)を満たしている。
【0213】
図21に実施例5の撮像レンズの断面図を示す。図21に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0214】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表2にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表2にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.80である。
【0215】
表5に示すとおり、r7及びr8が負の値であるから、第2レンズ16は、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。また、r3が正の値であり、r4が負の値であることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、両側の面が凸面である両凸レンズであり、r10が負の値であり、r11も負の値であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0216】
また、r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けたレンズである。
【0217】
また、r9が正の値であるから、第3レンズ18を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、r12も正の値であるから、第6サブレンズL6は、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凹面を向けたレンズである。
【0218】
図22に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.079 mmであり、バックフォーカスbfは0.350 mmである。
【0219】
図23に示す歪曲収差曲線5-1、図24に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線5-2及びサジタル面に対する収差曲線5-3)、図25に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線5-4、F線に対する収差曲線5-5、e線に対する収差曲線5-6、d線に対する収差曲線5-7、及びC線に対する収差曲線5-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0220】
図23及び図24の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図23及び図24中で、100%は0.620 mmに対応している。また、図25の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.80に対応する。図23の横軸は収差(%)を示し、図24、図25の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0221】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.620 mm)の位置において収差量の絶対値が1.18%と最大になっており、像高0.620 mm以下の範囲で収差量の絶対値が1.18%以内に収まっている。
【0222】
非点収差は、像高100%(像高0.620 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0492 mmと最大になっており、また、像高0.630 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0492 mm以内に収まっている。
【0223】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線5-4の絶対値が0.0320 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0320 mm以内に収まっている。
【0224】
従って、実施例5の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0225】
<実施例6>
実施例6の撮像レンズは、この発明の第1形態の撮像レンズであって、この発明の第3の撮像レンズの実施例であり、図26及び図27に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1絞りS1、第1レンズ14、第2絞りS2、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0226】
第3レンズ18には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6の順に配列され、第4サブレンズL4と第5サブレンズL5とが接着され、かつ第5サブレンズL5と第6サブレンズL6とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0227】
実施例6の撮像レンズは、第2サブレンズL2と第5サブレンズL5とは、光学ガラスBK7で形成されている。第1サブレンズL1と第3サブレンズL3、第4サブレンズL4と第6サブレンズL6、及び第3レンズ18は、富士高分子工業株式会社製の透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852で形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=56.0である。
(G)第4サブレンズL4の屈折率N7は、N7=1.51000である。
(H)第5サブレンズL5の屈折率N8は、N8=1.51633である。
(I)第6サブレンズL6の屈折率N9は、N9=1.51000である。
(J)第4サブレンズL4のアッベ数ν7は、ν7=56.0である。
(K)第5サブレンズL5のアッベ数ν8は、ν8=64.0である。
(L)第6サブレンズL6のアッベ数ν9は、ν9=56.0である。
【0228】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=|N8-N7|=|N8-N9|=0.00633であるので、上述の条件(3-1)、(3-2)、(3-5)、及び(3-6)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=|ν8-ν7|=|ν8-ν9|=8.0であるので、上述の条件(3-3)、(3-4)、(3-7)、及び(3-8)を満たしている。
【0229】
図26に実施例6の撮像レンズの断面図を示す。図26に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0230】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表6にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表6にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.80である。
【0231】
表6に示すとおり、r3が正の値でありr4が負の値であるであることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、両側の面が凸面である両凸レンズである。また、r8が負の値でありr9も負の値であることから、第3レンズ18を構成する第5サブレンズL5は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0232】
r11が正の値であってr12も正の値であるから、第3レンズ18は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0233】
r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けたレンズである。r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けたレンズである。
【0234】
r7が負の値であるから、第2レンズ16を構成する第4サブレンズL4は、近軸上で当該第4サブレンズL4の物体側面が物体側に凹面を向けたレンズである。r10も負の値であるから、第6サブレンズL6は、近軸上で当該第6サブレンズL6の像側面が像側に凸面を向けたレンズである。
【0235】
図27に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.078 mmであり、バックフォーカスbfは0.349 mmである。
【0236】
図28に示す歪曲収差曲線6-1、図29に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線6-2及びサジタル面に対する収差曲線6-3)、図30に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線6-4、F線に対する収差曲線6-5、e線に対する収差曲線6-6、d線に対する収差曲線6-7、及びC線に対する収差曲線6-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0237】
図28及び図29の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図28及び図29中で、100%は0.620 mmに対応している。また、図30の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.80に対応する。図28の横軸は収差(%)を示し、図29、図30の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0238】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.620 mm)の位置において収差量の絶対値が1.21%と最大になっており、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が1.21%以内に収まっている。
【0239】
非点収差は、像高100%(像高0.620 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0455 mmと最大になっており、また、像高0.620 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0455 mm以内に収まっている。
【0240】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線6-4の絶対値が0.0411 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0411 mm以内に収まっている。
【0241】
従って、実施例6の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0242】
実施例1〜実施例6の撮像レンズの説明から明らかなように、第1の撮像レンズでは、各構成レンズを上述した式(1-1)〜(1-8)で示す条件を満たすように、第2の撮像レンズでは、各構成レンズを上述した式(2-1)〜(2-8)で示す条件を満たすように、第3の撮像レンズでは、各構成レンズを上述した式(3-1)〜(3-8)で示す条件を、それぞれ満たすように設計することで、この発明が解決しようとする課題が解決する。すなわち、諸収差が良好に補正され、十分なバックフォーカスが得られかつ光学長が短く保たれた撮像レンズが得られる。
【0243】
以上説明したことから、この発明の撮像レンズは、携帯電話器、パーソナルコンピュータあるいはデジタルカメラに内蔵するカメラ用レンズとしての利用はもとより、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)に内蔵するカメラ用レンズ、画像認識機能を具えた玩具に内蔵するカメラ用レンズ、監視、検査あるいは防犯機器等に内蔵するカメラ用レンズとして適用しても好適である。
【0244】
<実施例7>
実施例7の撮像レンズは、この発明の第2形態の撮像レンズであって、第4の撮像レンズの実施例であり、図31及び図32に示すように、第1レンズ14と、開口絞りSと、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、第1レンズ14、開口絞りS、第2レンズ16、第3レンズ18の順に配列されて構成されている。
【0245】
第1レンズ14及び第2レンズ16には、単レンズが用いられている。第3レンズ18は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0246】
実施例7の撮像レンズは、第1レンズ14及び第2レンズ16が、富士高分子工業株式会社(Fuji Polymer Industries Co., Ltd.)製の透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852で形成されている。硬化性樹脂材料であるこの透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852は、熱硬化性のシリコーン樹脂材料であり、金型(Die)を用いて射出成形することで形成できる。また、第1およ第3サブレンズも、透明硬化性シリコーン樹脂SMX-7852(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2サブレンズL2が、HOYA株式会社(HOYA Corporation)製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N6は、N6=1.51000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N7は、N7=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N8は、N8=1.51000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν6は、ν6=56.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν7は、ν7=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν8は、ν8=56.0である。
【0247】
従って、|N7-N6|=|N7-N8|=0.00633であるので、下記の条件(4-1)及び(4-2)、を満たしている。また、|ν7-ν6|=|ν7-ν8|=8.0であるので、下記の条件(4-3)及び(4-4)を満たしている。
【0248】
条件(4-1)、(4-2)、(4-3)、及び(4-4)とは、それぞれ、以下に示す式(4-1)、(4-2)、(4-3)、及び(4-4)で与えられる条件を意味する。
【0249】
0≦|N7-N6|≦0.1 (4-1)
0≦|N7-N8|≦0.1 (4-2)
0≦|ν7-ν6|≦30.0 (4-3)
0≦|ν7-ν8|≦30.0 (4-4)
ただし、
N6:前記第1サブレンズの屈折率
N7:前記第2サブレンズの屈折率
N8:前記第3サブレンズの屈折率
ν6:前記第1サブレンズのアッベ数
ν7:前記第2サブレンズのアッベ数
ν8:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0250】
図32に実施例7の撮像レンズの光路図を示す。図32に示すとおり、開口絞りSは、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。開口絞りSの絞り面は平面であるので、表7にr3=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、3.40である。
【0251】
表7に示すとおり、r7=∞及びr8=∞であることから、第3レンズを構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板である。
【0252】
また、r1が正の値であってr2も正の値であるから、第1レンズ14は、近軸上で、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0253】
また、r4が負の値であってr5も負の値であるから第2レンズ16は、近軸上で、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。
【0254】
また、r6が正の値であるから第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、及びr9も正の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。
【0255】
図32に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.229 mmであり、バックフォーカスbfは0.399 mmである。
【0256】
図33に示す歪曲収差曲線7-1、図34に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線7-2及びサジタル面に対する収差曲線7-3)、図35に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線7-4、F線に対する収差曲線7-5、e線に対する収差曲線7-6、d線に対する収差曲線7-7、及びC線に対する収差曲線7-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0257】
図33及び図34の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図33及び図34中で、100%は0.586 mmに対応している。また、図35の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.40に対応する。図33の横軸は収差(%)を示し、図34、図35の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0258】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.586 mm)の位置において収差量の絶対値が5.32%と最大になっており、像高0.586 mm以下の範囲で収差量の絶対値が5.32%以内に収まっている。
【0259】
非点収差は、像高100%(像高0.586 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0694 mmと最大になっており、また、像高0.586 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0694 mm以内に収まっている。
【0260】
色・球面収差は、入射高hの100% においてg線に対する収差曲線7-4の絶対値が0.0233 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0233 mm以内に収まっている。
【0261】
従って、実施例7の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0262】
<実施例8>
実施例8の撮像レンズは、この発明の第2形態の撮像レンズであって、この発明の第5の撮像レンズの実施例であり、図36及び図37に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、この順に配列されて構成されている。
【0263】
第1レンズ14及び第3レンズ18には、単レンズが用いられている。第2レンズ16は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0264】
実施例8の撮像レンズは、第1レンズ14が、硬化性樹脂材料SR-7010(東レ・ダウコーニング社製)で形成されており、第3レンズ18が、光学ガラスBK7で形成されている。また、第1及び第3サブレンズは、硬化性樹脂材料SMX-7877(富士高分子工業株式会社製)で形成され、第2サブレンズは、HOYA株式会社製の光学ガラスBK7を用いて形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N5は、N5=1.60000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N6は、N6=1.60342である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N7は、N7=1.60000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν5は、ν5=30.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν6は、ν6=38.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν7は、ν7=30.0である。
【0265】
従って、|N6-N5|=|N6-N7|=0.00342であるので、下記の条件(5-1)及び(5-2)を満たしている。また、|ν6-ν5|=|ν6-ν7|=8.0であるので、下記の条件(5-3)及び(5-4)を満たしている。
【0266】
条件(5-1)、(5-2)、(5-3)、及び(5-4)とは、それぞれ、以下に示す式(5-1)、(5-2)、(5-3)、及び(5-4)で与えられる条件を意味する。
【0267】
0≦|N6-N5|≦0.1 (5-1)
0≦|N6-N7|≦0.1 (5-2)
0≦|ν6-ν5|≦30.0 (5-3)
0≦|ν6-ν7|≦30.0 (5-4)
ただし、
N5:前記第1サブレンズの屈折率
N6:前記第2サブレンズの屈折率
N7:前記第3サブレンズの屈折率
ν5:前記第1サブレンズのアッベ数
ν6:前記第2サブレンズのアッベ数
ν7:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0268】
図36に実施例8の撮像レンズの断面図を示す。図36に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0269】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表8にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r4で構成されているので、表8にr4=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.96である。
【0270】
表8に示すとおり、r6=∞及びr7=∞であることから、第2レンズ16を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板である。
【0271】
また、r2が正の値であってr3が負の値であるから、第1レンズ14は、近軸上で、両側の面が凸面である両凸レンズである。
【0272】
また、r5が負の値であるから、第2レンズ16を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、r8が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0273】
図37に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.138 mmであり、バックフォーカスbfは0.392 mmである。
【0274】
図38に示す歪曲収差曲線8-1、図39に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線8-2及びサジタル面に対する収差曲線8-3)、図40に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線8-4、F線に対する収差曲線8-5、e線に対する収差曲線8-6、d線に対する収差曲線8-7、及びC線に対する収差曲線8-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0275】
図38及び図39の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図38及び図39中で、100%は0.631 mmに対応している。また、図40の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.96に対応する。図38の横軸は収差(%)を示し、図39、図40の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0276】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.631 mm)の位置において収差量の絶対値が0.74%と最大になっており、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.74%以内に収まっている。
【0277】
非点収差は、像高100%(像高0.631 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0362 mmと最大になっており、また、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0362 mm以内に収まっている。
【0278】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線8-4の絶対値が0.0470 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0470 mm以内に収まっている。
【0279】
従って、実施例8の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0280】
<実施例9>
実施例9の撮像レンズは、この発明の第2形態の撮像レンズであって、この発明の第6の撮像レンズの実施例であり、図41及び図42に示すように、開口絞り(第1絞り)S1と、第1レンズ14と、第2絞りS2と、第2レンズ16と、第3レンズ18とを具え、物体側から像側に向って、この順に配列されて構成されている。
【0281】
第2レンズ16及び第3レンズ18には、単レンズが用いられている。第1レンズ14は、物体側から像側に向って、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2、及び第3サブレンズL3の順に配列され、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着され、かつ第2サブレンズL2と第3サブレンズL3とが接着された状態の接合型複合レンズである。
【0282】
実施例9の撮像レンズは、第1サブレンズL1と第3サブレンズL3は、硬化性樹脂材料SR-7010(東レ・ダウコーニング社製)で形成されている。第2サブレンズL2と第3レンズ18とは、光学ガラスBK7で形成されている。第2レンズ16は硬化性樹脂材料SMX-7877(富士高分子工業株式会社製)で形成されている。
(A)第1サブレンズL1の屈折率N2は、N2=1.53000である。
(B)第2サブレンズL2の屈折率N3は、N3=1.51633である。
(C)第3サブレンズL3の屈折率N4は、N4=1.53000である。
(D)第1サブレンズL1のアッベ数ν2は、ν2=35.0である。
(E)第2サブレンズL2のアッベ数ν3は、ν3=64.0である。
(F)第3サブレンズL3のアッベ数ν4は、ν4=35.0である。
【0283】
従って、|N3-N2|=|N3-N4|=0.01367であるので、下記の条件(6-1)及び(6-2)を満たしている。また、|ν3-ν2|=|ν3-ν4|=29.0であるので、下記の条件(6-3)及び(6-4)を満たしている。
【0284】
条件(6-1)、(6-2)、(6-3)、及び(6-4)とは、それぞれ、以下に示す式(6-1)、(6-2)、(6-3)、及び(6-4)で与えられる条件を意味する。
【0285】
0≦|N3-N2|≦0.1 (6-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (6-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (6-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (6-4)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【0286】
図41に実施例9の撮像レンズの断面図を示す。図41に示すとおり、開口絞りの役割を果たす第1絞りS1は、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役割を果たす第2絞りS2は、第1レンズ14と第2レンズ16との間に設けられている。
【0287】
第1絞りS1の絞り面は、平面r1で構成されているので、表9にr1=∞と示してある。第2絞りS2は、平面r6で構成されているので、表9にr6=∞と示してある。また開放FナンバーFnoは、2.96である。
【0288】
表9に示すとおり、r3=∞及びr4=∞であることから、第1レンズ14を構成する第2サブレンズL2は、平行平面ガラス板である。
【0289】
また、r7が負の値であってr8も負の値であるから、第2レンズ16は、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。また、r9が正の値であってr10も正の値であるから、第3レンズ18は、近軸上で、像側に凹面を向けたメニスカスレンズである。
【0290】
また、r2が正の値であるから、第1レンズ14を構成する第1サブレンズL1は、近軸上で当該第1サブレンズL1の物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、r5が負の値であるから、第3サブレンズL3は、近軸上で当該第3サブレンズL3の像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである。
【0291】
図42に示すとおり、焦点距離f=1.00 mmに対する光学長Lは1.137 mmであり、バックフォーカスbfは0.392 mmである。
【0292】
図43に示す歪曲収差曲線9-1、図44に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線9-2及びサジタル面に対する収差曲線9-3)、図45に示す色・球面収差曲線(g線に対する収差曲線9-4、F線に対する収差曲線9-5、e線に対する収差曲線9-6、d線に対する収差曲線9-7、及びC線に対する収差曲線9-8、)について、それぞれグラフによって示してある。
【0293】
図43及び図44の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図43及び図44中で、100%は0.631 mmに対応している。また、図45の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が2.96に対応する。図43の横軸は収差(%)を示し、図44、図45の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
【0294】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.631 mm)の位置において収差量の絶対値が0.60%と最大になっており、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.60%以内に収まっている。
【0295】
非点収差は、像高100%(像高0.631 mm)の位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0379 mmと最大になっており、また、像高0.631 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0379 mm以内に収まっている。
【0296】
色・球面収差は、入射高hの100%においてg線に対する収差曲線9-4の絶対値が0.0439 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0439 mm以内に収まっている。
【0297】
従って、実施例9の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短く、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入することが可能な程度にバックフォーカスが長く、かつ良好な画像が得られる。
【0298】
<接合型複合レンズの製造方法>
接合型複合レンズは、サブレンズ同士を、直接接着あるいは間接接着することによって製造される。この間接接着は、既に述べたように、サブレンズ間に接着剤を介在させて実現される。この場合は、第1〜第3サブレンズを先ず形成し、接着剤を第2サブレンズの第1サブレンズ又は第3サブレンズに対向する面、あるいは、第1サブレンズ又は第3サブレンズの第2サブレンズに対抗する面に塗布して、両者を密着させれば良い。
【0299】
これら、間接接着の方法は、第1〜第3サブレンズが形成されれば、従来周知の方法で実現可能であるので、ここでは、直接接着することによって、接合型複合レンズを製造する方法について説明する。
【0300】
ちなみに、第2サブレンズの、第1サブレンズ及び第3サブレンズに対向する面の少なくとも一方の面に、コーティング処理を施した上で、両者を接着することも可能である。この場合、コーティング処理を施した後に、間接接着することも、以下に述べる直接接着することも可能である。
【0301】
図46(A)〜(G)を参照して、直接接着の方法による接合型複合レンズの製造工程について説明する。ここでは、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3から構成される接合型複合レンズを例にして説明するが、第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6から構成される接合型複合レンズについても同様である。この場合には、以下の説明において、第1サブレンズL1、第2サブレンズL2及び第3サブレンズL3とあるところを、それぞれ第4サブレンズL4、第5サブレンズL5及び第6サブレンズL6と読み替ればよい。
【0302】
図46(A)〜(G)は、接合型複合レンズの製造工程の説明に供する図である。図46(A)〜(F)は、以下に述べる第1サブレンズ及び第3サブレンズを形成するために利用する円筒状の金型(Die)の、円筒の中心線を含んで、この中心線に沿った方向に当該金型を切断した切り口の断面を示している。図46(B)、(C)、(E)及び(F)には、接合型複合レンズの構成材料であるシリコーン樹脂や光学ガラスを含めて示してある。また、図46(G)は、図46(A)〜(F)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程を経て形成された接合型複合レンズの光軸を含んで、この光軸に沿った方向に当該接合型複合レンズを切断した切り口の断面を示している。
【0303】
図46(A)は、第2サブレンズL2に対して第1サブレンズL1を接合させて形成するための、金型20の切り口の断面図である。金型20は、内面の側壁が円柱状である円筒であり、底面22が第1サブレンズL1の物体側面を成形するために、下向きに凸型の曲面形状となっている。すなわち、底面22の形状は、第1サブレンズL1の物体側面の曲面形状と等しい形状となっている。
【0304】
図46(B)は、金型20に硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン樹脂24を注入した状態を示している。以下に説明する接合型複合レンズの製造工程においては、熱硬化性樹脂を利用する場合を例にして説明するが、紫外線硬化樹脂を利用することも可能である。
【0305】
熱硬化性樹脂とは、一般に、成形時に高温にすることによって硬化する樹脂をいう。熱硬化性樹脂は、鎖状の細長いポリマーから枝状に出ている側鎖が,別のポリマーの側鎖と結合する架橋反応が高温によって進み,ポリマー同士が3次元的に結合し合って動かなくなることによって硬化する。架橋反応は不可逆反応なので,一度硬化した熱硬化性樹脂を再び加熱しても軟化しない。
【0306】
また、この発明で用いる熱硬化性樹脂には、充填剤及び密着付与剤が混入されていることが望ましい。これは、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2との接合強度、及び第2サブレンズL2と第3サブレンズL3との接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズとしての使用中に、剥離することがない程度の強度として保たれるように形成するためである。
【0307】
一方、紫外線硬化樹脂とは、一般に、モノマー、オリゴマー(ポリマーと、モノマーとの中間的な物質で樹脂の主成分である。)、光開始剤及び添加剤で構成される樹脂をいう。この混合物に紫外線を照射すると、光重合反応によって、光開始剤が液体であるモノマー(樹脂の希釈剤であって、硬化後樹脂の一部を構成する。)の状態から固体であるポリマーの状態に転換される。また、紫外線硬化樹脂においても、上述の熱硬化性樹脂と同様に、充填剤及び密着付与剤が混入されていることが望ましい。
【0308】
図46(C)は、第2サブレンズL2となる光学ガラス26の一方の面と、硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン樹脂24の表面28とを密着させて配置した状態を示している。この状態で、金型20を、透明硬化性シリコーン樹脂24の硬化温度まで昇温させて、透明硬化性シリコーン樹脂24を硬化させる。透明硬化性シリコーン樹脂24が熱硬化した後金型20を冷却して、光学ガラス26に、硬化した透明硬化性シリコーン樹脂24が接合された状態の複合レンズを取り出す。この状態の複合レンズは、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接着されて接合された2枚1群レンズである。
【0309】
この発明の発明者は、上述した実施例1〜実施例6に示した撮像レンズにおいて、第1サブレンズL1と第2サブレンズL2との接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズとしての使用において、剥離が生じない程度の強度として保たれるように形成することが可能であることを確認している。
【0310】
図46(D)は、上述の第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接合された複合レンズに、更に第3サブレンズL3を接合させて形成するための金型30の切り口の断面図である。金型30は、上述の金型20と同様に、内面の側壁が円柱状である円筒であり、底面32が第3サブレンズL3の像面を成形するために、上向きに凸型の曲面形状となっている。すなわち、底面32の形状は、第3サブレンズL3の像側面の曲面形状と等しい形状となっている。
【0311】
図46(E)は、金型30に硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン樹脂34を注入した状態を示している。透明硬化性シリコーン樹脂34は、上述の透明硬化性シリコーン樹脂24と同様の樹脂を用いても、また異なる樹脂を用いても良い。いずれにしても、この発明に係る接合型複合レンズの設計の都合により、好適なシリコーン樹脂を適宜選択して用いるのが良い。
【0312】
図46(F)は、上述した第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接合された複合レンズの第2サブレンズL2の第1サブレンズL1が形成された側と反対側の面と、硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン樹脂34の表面40とを密着させて配置した状態を示している。第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接合された複合レンズとは、透明硬化性シリコーン樹脂24と光学ガラス26(第2サブレンズL2)とから構成される2枚1群の接合型複合レンズを意味する。
【0313】
図46(F)に示す状態で、金型30を透明硬化性シリコーン樹脂34の硬化温度まで昇温させて、透明硬化性シリコーン樹脂34を硬化させる。この時、透明硬化性シリコーン樹脂24は、既に熱硬化されているので、透明硬化性シリコーン樹脂34の硬化温度まで昇温されても、その形状は変化しない。
【0314】
透明硬化性シリコーン樹脂34が硬化した後、金型30を冷却して、上述した第1サブレンズL1と第2サブレンズL2とが接合された上述の2枚1群の接合型複合レンズに、硬化した透明硬化性シリコーン樹脂34(第3サブレンズL3として形成される)が接合された状態の、接合型複合レンズ(この発明の3枚1群の接合型複合レンズ)を取り出す。
【0315】
この発明の発明者は、上述した実施例1〜実施例6の撮像レンズにおいて、第2サブレンズL2と第3サブレンズL3との接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズとしての使用において、剥離が生じない程度の強度として保たれるように形成することが可能であることを確認している。
【0316】
図46(G)は、上述の製造工程を経て完成された接合型複合レンズの、光軸に沿った方向に切断した切り口の断面図である。透明硬化性シリコーン樹脂24が第1サブレンズL1、光学ガラス26が第2サブレンズL2、透明硬化性シリコーン樹脂34が第3サブレンズL3となっている。図46(G)に示した接合型複合レンズは、第1サブレンズの物体側面36が物体側に凸面を向けており、第3サブレンズの像側面38が像側に凹面を向けた形状である。
【0317】
図46(A)〜(G)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程は、第2サブレンズL2を平行平面ガラス板とし、第1サブレンズL1を、当該第1サブレンズL1の物体側面36が物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第3サブレンズL3を、当該第3サブレンズL3の像側面38が像側に凹面を向けた平凹レンズとした接合型複合レンズを製造する場合を想定した金型を利用した場合の製造工程である。しかしながら、これとは、レンズ面の凹凸の向きの異なる接合型複合レンズにおいても、同様の工程で製造できることは明らかである。第1サブレンズL1の物体側面36の形状は、金型20の底面22の形状で決定される。また、第3サブレンズL3の像側面38の形状は、金型30の底面32の形状で決定される。すなわち、金型20及び金型30のそれぞれの底面の形状を、第1サブレンズL1の物体側面36の形状及び第3サブレンズL3の像側面38の形状と合わせればよい。
【0318】
図46(A)〜(G)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程においては、第1サブレンズ及び第3サブレンズを熱硬化性樹脂によって形成するので、金型20及び金型30の温度を上昇させ、及び加工させるための温度制御装置が必要である。この温度制御装置をどのように構成するかは、接合型複合レンズの製造装置の設計的事項に属することであるので、温度制御装置は、図46(A)〜(G)では省略されている。
【0319】
また、第1サブレンズL1及び第3サブレンズL3を紫外線硬化樹脂によって形成する場合には、金型20及び金型30の上方から、紫外線硬化樹脂に対して紫外線を照射できるように、接合型複合レンズの製造装置を設計すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0320】
【図1】実施例1の撮像レンズの構成図である。
【図2】実施例1の撮像レンズの光路図である。
【図3】実施例1の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図4】実施例1の撮像レンズの非点収差図である。
【図5】実施例1の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図6】実施例2の撮像レンズの構成図である。
【図7】実施例2の撮像レンズの光路図である。
【図8】実施例2の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図9】実施例2の撮像レンズの非点収差図である。
【図10】実施例2の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図11】実施例3の撮像レンズの構成図である。
【図12】実施例3の撮像レンズの光路図である。
【図13】実施例3の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図14】実施例3の撮像レンズの非点収差図である。
【図15】実施例3の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図16】実施例4の撮像レンズの構成図である。
【図17】実施例4の撮像レンズの光路図である。
【図18】実施例4の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図19】実施例4の撮像レンズの非点収差図である。
【図20】実施例4の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図21】実施例5の撮像レンズの構成図である。
【図22】実施例5の撮像レンズの光路図である。
【図23】実施例5の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図24】実施例5の撮像レンズの非点収差図である。
【図25】実施例5の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図26】実施例6の撮像レンズの構成図である。
【図27】実施例6の撮像レンズの光路図である。
【図28】実施例6の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図29】実施例6の撮像レンズの非点収差図である。
【図30】実施例6の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図31】実施例7の撮像レンズの構成図である。
【図32】実施例7の撮像レンズの光路図である。
【図33】実施例7の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図34】実施例7の撮像レンズの非点収差図である。
【図35】実施例7の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図36】実施例8の撮像レンズの構成図である。
【図37】実施例8の撮像レンズの光路図である。
【図38】実施例8の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図39】実施例8の撮像レンズの非点収差図である。
【図40】実施例8の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図41】実施例9の撮像レンズの構成図である。
【図42】実施例9の撮像レンズの光路図である。
【図43】実施例9の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図44】実施例9の撮像レンズの非点収差図である。
【図45】実施例9の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図46】接合型複合レンズの製造工程の説明に供する図である。
【符号の説明】
【0321】
10:固体撮像素子
12:カバーガラス
14:第1レンズ
16:第2レンズ
18:第3レンズ
20、30:金型
24、34:透明硬化性シリコーン樹脂
26:光学ガラス
36:第1サブレンズの物体側面
38:第3サブレンズの像側面
S:開口絞り
S1:第1絞り(開口絞り)
S2:第2絞り
L1:第1サブレンズ
L2:第2サブレンズ
L3:第3サブレンズ
L4:第4サブレンズ
L5:第5サブレンズ
L6:第6サブレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
該第1レンズ、該第2レンズ、及び該第3レンズのうち一つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであって、
残りの二つのレンズが、それぞれ第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズの3枚のサブレンズをこの順に接着した状態にある接合型複合レンズであり、
該接合型複合レンズそれぞれは、
前記第1サブレンズ及び前記第3サブレンズが、硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される
ことを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
該第1レンズ、該第2レンズ、及び該第3レンズのうち二つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであって、
残りの一つのレンズが、第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズの3枚のサブレンズをこの順に接着した状態にある接合型複合レンズであり、
該接合型複合レンズは、
前記第1サブレンズ及び前記第3サブレンズが、硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される
ことを特徴とする撮像レンズ。
【請求項3】
第1レンズと、開口絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記第1レンズ、前記開口絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、近軸上で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、前記第4サブレンズと前記第5サブレンズとが接着され、かつ前記第5サブレンズと前記第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第1レンズが硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
前記第1サブレンズ、前記第3サブレンズ、前記第4サブレンズ、及び前記第6サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ、及び前記第5サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(1-1)〜(1-8)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N5-N4|≦0.1 (1-1)
0≦|N5-N6|≦0.1 (1-2)
0≦|ν5-ν4|≦30.0 (1-3)
0≦|ν5-ν6|≦30.0 (1-4)
0≦|N9-N8|≦0.1 (1-5)
0≦|N9-N10|≦0.1 (1-6)
0≦|ν9-ν8|≦30.0 (1-7)
0≦|ν9-ν10|≦30.0 (1-8)
ただし、
N4:前記第1サブレンズの屈折率
N5:前記第2サブレンズの屈折率
N6:前記第3サブレンズの屈折率
ν4:前記第1サブレンズのアッベ数
ν5:前記第2サブレンズのアッベ数
ν6:前記第3サブレンズのアッベ数
N8:前記第4サブレンズの屈折率
N9:前記第5サブレンズの屈折率
N10:前記第6サブレンズの屈折率
ν8:前記第4サブレンズのアッベ数
ν9:前記第5サブレンズのアッベ数
ν10:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【請求項4】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第5サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
前記第2サブレンズが、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けたレンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズであり、
前記第5サブレンズが、両側の面が凸面である両凸レンズであって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズである
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像レンズ。
【請求項6】
開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記開口絞り、前記第1レンズ、前記第2絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、前記第4サブレンズと前記第5サブレンズとが接着され、かつ前記第5サブレンズと前記第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第2レンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
前記第1サブレンズ、前記第3サブレンズ、前記第4サブレンズ、及び前記第6サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ及び前記第5サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(2-1)〜(2-8)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N3-N2|≦0.1 (2-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (2-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (2-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (2-4)
0≦|N10-N9|≦0.1 (2-5)
0≦|N10-N11|≦0.1 (2-6)
0≦|ν10-ν9|≦30.0 (2-7)
0≦|ν10-ν11|≦30.0 (2-8)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
N9:前記第4サブレンズの屈折率
N10:前記第5サブレンズの屈折率
N11:前記第6サブレンズの屈折率
ν9:前記第4サブレンズのアッベ数
ν10:前記第5サブレンズのアッベ数
ν11:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【請求項7】
前記第2サブレンズが、並行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第5サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像レンズ。
【請求項8】
前記第2サブレンズが、両側の面が凸面である両凸レンズであり、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズであり、
前記第5サブレンズが、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズである
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像レンズ。
【請求項9】
開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記開口絞り、前記第1レンズ、前記第2絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第2レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、前記第4サブレンズと前記第5サブレンズとが接着され、かつ前記第5サブレンズと前記第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第1サブレンズ、前記第3サブレンズ、前記第4サブレンズ、及び前記第6サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ、前記第5サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
前記第3レンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(3-1)〜(3-8)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N3-N2|≦0.1 (3-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (3-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (3-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (3-4)
0≦|N8-N7|≦0.1 (3-5)
0≦|N8-N9|≦0.1 (3-6)
0≦|ν8-ν7|≦30.0 (3-7)
0≦|ν8-ν9|≦30.0 (3-8)
ただし、
N2:第1サブレンズの屈折率
N3:第2サブレンズの屈折率
N4:第3サブレンズの屈折率
ν2:第1サブレンズのアッベ数
ν3:第2サブレンズのアッベ数
ν4:第3サブレンズのアッベ数
N7:第4サブレンズの屈折率
N8:第5サブレンズの屈折率
N9:第6サブレンズの屈折率
ν7:第4サブレンズのアッベ数
ν8:第5サブレンズのアッベ数
ν9:第6サブレンズのアッベ数
である。
【請求項10】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第5サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像レンズ。
【請求項11】
前記第2サブレンズが、両側の面が凸面である両凸レンズであって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズであり、
前記第5サブレンズが、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けたレンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズである
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像レンズ。
【請求項12】
第1レンズと、開口絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記第1レンズ、前記開口絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、近軸上で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第3レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第1サブレンズ、及び前記第3サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(4-1)〜(4-4)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N7-N6|≦0.1 (4-1)
0≦|N7-N8|≦0.1 (4-2)
0≦|ν7-ν6|≦30.0 (4-3)
0≦|ν7-ν8|≦30.0 (4-4)
ただし、
N6:前記第1サブレンズの屈折率
N7:前記第2サブレンズの屈折率
N8:前記第3サブレンズの屈折率
ν6:前記第1サブレンズのアッベ数
ν7:前記第2サブレンズのアッベ数
ν8:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【請求項13】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである
ことを特徴とする請求項12に記載の撮像レンズ。
【請求項14】
開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記開口絞り、前記第1レンズ、前記第2絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、両側の面が凸面である両凸レンズであり、
前記第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第1レンズ、前記第1サブレンズ、及び前記第3サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ、前記第3レンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(5-1)〜(5-4)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N6-N5|≦0.1 (5-1)
0≦|N6-N7|≦0.1 (5-2)
0≦|ν6-ν5|≦30.0 (5-3)
0≦|ν6-ν7|≦30.0 (5-4)
ただし、
N5:前記第1サブレンズの屈折率
N6:前記第2サブレンズの屈折率
N7:前記第3サブレンズの屈折率
ν5:前記第1サブレンズのアッベ数
ν6:前記第2サブレンズのアッベ数
ν7:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【請求項15】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである
ことを特徴とする請求項14に記載の撮像レンズ。
【請求項16】
開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記開口絞り、前記第1レンズ、前記第2絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズが、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第1サブレンズ、前記第3サブレンズ、前記第2レンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ、前記第3レンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(6-1)〜(6-4)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N3-N2|≦0.1 (6-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (6-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (6-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (6-4)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【請求項17】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである
ことを特徴とする請求項16に記載の撮像レンズ。
【請求項18】
前記第1レンズの物体側面、前記第1レンズの像側面、前記第2レンズの物体側面、前記第2レンズの像側面、前記第3レンズの物体側面、及び前記第3レンズの像側面が非球面であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【請求項19】
前記硬化性樹脂材料が、透明硬化性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【請求項1】
第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
該第1レンズ、該第2レンズ、及び該第3レンズのうち一つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであって、
残りの二つのレンズが、それぞれ第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズの3枚のサブレンズをこの順に接着した状態にある接合型複合レンズであり、
該接合型複合レンズそれぞれは、
前記第1サブレンズ及び前記第3サブレンズが、硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される
ことを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
第1レンズと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
該第1レンズ、該第2レンズ、及び該第3レンズのうち二つのレンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される単レンズであって、
残りの一つのレンズが、第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズの3枚のサブレンズをこの順に接着した状態にある接合型複合レンズであり、
該接合型複合レンズは、
前記第1サブレンズ及び前記第3サブレンズが、硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成される
ことを特徴とする撮像レンズ。
【請求項3】
第1レンズと、開口絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記第1レンズ、前記開口絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、近軸上で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、前記第4サブレンズと前記第5サブレンズとが接着され、かつ前記第5サブレンズと前記第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第1レンズが硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
前記第1サブレンズ、前記第3サブレンズ、前記第4サブレンズ、及び前記第6サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ、及び前記第5サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(1-1)〜(1-8)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N5-N4|≦0.1 (1-1)
0≦|N5-N6|≦0.1 (1-2)
0≦|ν5-ν4|≦30.0 (1-3)
0≦|ν5-ν6|≦30.0 (1-4)
0≦|N9-N8|≦0.1 (1-5)
0≦|N9-N10|≦0.1 (1-6)
0≦|ν9-ν8|≦30.0 (1-7)
0≦|ν9-ν10|≦30.0 (1-8)
ただし、
N4:前記第1サブレンズの屈折率
N5:前記第2サブレンズの屈折率
N6:前記第3サブレンズの屈折率
ν4:前記第1サブレンズのアッベ数
ν5:前記第2サブレンズのアッベ数
ν6:前記第3サブレンズのアッベ数
N8:前記第4サブレンズの屈折率
N9:前記第5サブレンズの屈折率
N10:前記第6サブレンズの屈折率
ν8:前記第4サブレンズのアッベ数
ν9:前記第5サブレンズのアッベ数
ν10:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【請求項4】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第5サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
前記第2サブレンズが、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けたレンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズであり、
前記第5サブレンズが、両側の面が凸面である両凸レンズであって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズである
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像レンズ。
【請求項6】
開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記開口絞り、前記第1レンズ、前記第2絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第3レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、前記第4サブレンズと前記第5サブレンズとが接着され、かつ前記第5サブレンズと前記第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第2レンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
前記第1サブレンズ、前記第3サブレンズ、前記第4サブレンズ、及び前記第6サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ及び前記第5サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(2-1)〜(2-8)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N3-N2|≦0.1 (2-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (2-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (2-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (2-4)
0≦|N10-N9|≦0.1 (2-5)
0≦|N10-N11|≦0.1 (2-6)
0≦|ν10-ν9|≦30.0 (2-7)
0≦|ν10-ν11|≦30.0 (2-8)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
N9:前記第4サブレンズの屈折率
N10:前記第5サブレンズの屈折率
N11:前記第6サブレンズの屈折率
ν9:前記第4サブレンズのアッベ数
ν10:前記第5サブレンズのアッベ数
ν11:前記第6サブレンズのアッベ数
である。
【請求項7】
前記第2サブレンズが、並行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第5サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像レンズ。
【請求項8】
前記第2サブレンズが、両側の面が凸面である両凸レンズであり、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズであり、
前記第5サブレンズが、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズである
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像レンズ。
【請求項9】
開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記開口絞り、前記第1レンズ、前記第2絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第2レンズは、物体側から像側に向って、第4サブレンズ、第5サブレンズ及び第6サブレンズの順に配列され、前記第4サブレンズと前記第5サブレンズとが接着され、かつ前記第5サブレンズと前記第6サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第1サブレンズ、前記第3サブレンズ、前記第4サブレンズ、及び前記第6サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ、前記第5サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
前記第3レンズが、硬化性樹脂材料又は高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(3-1)〜(3-8)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N3-N2|≦0.1 (3-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (3-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (3-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (3-4)
0≦|N8-N7|≦0.1 (3-5)
0≦|N8-N9|≦0.1 (3-6)
0≦|ν8-ν7|≦30.0 (3-7)
0≦|ν8-ν9|≦30.0 (3-8)
ただし、
N2:第1サブレンズの屈折率
N3:第2サブレンズの屈折率
N4:第3サブレンズの屈折率
ν2:第1サブレンズのアッベ数
ν3:第2サブレンズのアッベ数
ν4:第3サブレンズのアッベ数
N7:第4サブレンズの屈折率
N8:第5サブレンズの屈折率
N9:第6サブレンズの屈折率
ν7:第4サブレンズのアッベ数
ν8:第5サブレンズのアッベ数
ν9:第6サブレンズのアッベ数
である。
【請求項10】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第5サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像レンズ。
【請求項11】
前記第2サブレンズが、両側の面が凸面である両凸レンズであって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズであり、
前記第5サブレンズが、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであって、
前記第4サブレンズが、近軸上で当該第4サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けたレンズであり、
前記第6サブレンズが、近軸上で当該第6サブレンズの像側面が像側に凸面を向けたレンズである
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像レンズ。
【請求項12】
第1レンズと、開口絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記第1レンズ、前記開口絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、近軸上で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第3レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第1サブレンズ、及び前記第3サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(4-1)〜(4-4)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N7-N6|≦0.1 (4-1)
0≦|N7-N8|≦0.1 (4-2)
0≦|ν7-ν6|≦30.0 (4-3)
0≦|ν7-ν8|≦30.0 (4-4)
ただし、
N6:前記第1サブレンズの屈折率
N7:前記第2サブレンズの屈折率
N8:前記第3サブレンズの屈折率
ν6:前記第1サブレンズのアッベ数
ν7:前記第2サブレンズのアッベ数
ν8:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【請求項13】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである
ことを特徴とする請求項12に記載の撮像レンズ。
【請求項14】
開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記開口絞り、前記第1レンズ、前記第2絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズは、両側の面が凸面である両凸レンズであり、
前記第2レンズは、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第1レンズ、前記第1サブレンズ、及び前記第3サブレンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ、前記第3レンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(5-1)〜(5-4)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N6-N5|≦0.1 (5-1)
0≦|N6-N7|≦0.1 (5-2)
0≦|ν6-ν5|≦30.0 (5-3)
0≦|ν6-ν7|≦30.0 (5-4)
ただし、
N5:前記第1サブレンズの屈折率
N6:前記第2サブレンズの屈折率
N7:前記第3サブレンズの屈折率
ν5:前記第1サブレンズのアッベ数
ν6:前記第2サブレンズのアッベ数
ν7:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【請求項15】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凹面を向けた平凹レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである
ことを特徴とする請求項14に記載の撮像レンズ。
【請求項16】
開口絞り(第1絞り)と、第1レンズと、第2絞りと、第2レンズと、第3レンズとを具え、
物体側から像側に向って、前記開口絞り、前記第1レンズ、前記第2絞り、前記第2レンズ、前記第3レンズの順に配列されて構成され、
前記第1レンズが、物体側から像側に向って、第1サブレンズ、第2サブレンズ及び第3サブレンズの順に配列され、前記第1サブレンズと前記第2サブレンズとが接着され、かつ前記第2サブレンズと前記第3サブレンズとが接着された状態の接合型複合レンズであり、
前記第2レンズは、近軸上で像側に凸面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第3レンズは、近軸上で像側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズであり、
前記第1サブレンズ、前記第3サブレンズ、前記第2レンズが硬化性樹脂材料で形成され、
前記第2サブレンズ、前記第3レンズが、高軟化温度の光学レンズの形成用材料で形成され、
以下の条件(6-1)〜(6-4)を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0≦|N3-N2|≦0.1 (6-1)
0≦|N3-N4|≦0.1 (6-2)
0≦|ν3-ν2|≦30.0 (6-3)
0≦|ν3-ν4|≦30.0 (6-4)
ただし、
N2:前記第1サブレンズの屈折率
N3:前記第2サブレンズの屈折率
N4:前記第3サブレンズの屈折率
ν2:前記第1サブレンズのアッベ数
ν3:前記第2サブレンズのアッベ数
ν4:前記第3サブレンズのアッベ数
である。
【請求項17】
前記第2サブレンズが、平行平面ガラス板であって、
前記第1サブレンズが、近軸上で当該第1サブレンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであり、
前記第3サブレンズが、近軸上で当該第3サブレンズの像側面が像側に凸面を向けた平凸レンズである
ことを特徴とする請求項16に記載の撮像レンズ。
【請求項18】
前記第1レンズの物体側面、前記第1レンズの像側面、前記第2レンズの物体側面、前記第2レンズの像側面、前記第3レンズの物体側面、及び前記第3レンズの像側面が非球面であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【請求項19】
前記硬化性樹脂材料が、透明硬化性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公開番号】特開2010−54523(P2010−54523A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124819(P2007−124819)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【特許番号】特許第4022246号(P4022246)
【特許公報発行日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(399036110)マイルストーン株式会社 (11)
【出願人】(501243018)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【特許番号】特許第4022246号(P4022246)
【特許公報発行日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(399036110)マイルストーン株式会社 (11)
【出願人】(501243018)
【Fターム(参考)】
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