説明

撮像光学系、撮像装置およびデジタル機器

【課題】本発明は、より小型化を図りつつ諸収差をより良好に補正し得る5枚レンズ構成の撮像光学系ならびにこれを備える撮像装置およびデジタル機器を提供する。
【解決手段】撮像光学系1は、物体側から順に第1ないし第5レンズ11〜15を備え、第1レンズ11が物体側に凸の正の屈折力を有し、第2レンズ12が負の屈折力を有し、第5レンズ15が負の屈折力を有して像側に凹であって中心軸の交点位置を除く位置に垂接点を持つ非球面形状を有する。そして、撮像光学系1は、全系焦点距離をf、第5レンズ15の焦点距離、最大画角主光線での物体側面のサグ量、芯厚、最大画角主光線でのe線光路長および軸上主光線でのc線光路長をf5、z5o、t5、p5eおよびp5c、最大像高をY、光学全長をTLとする場合に、0.2<|f5/f|<0.5、1<|z5o/t5|<4、2.5<p5e/p5c<5および0.63<Y/TL<0.9を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系に関し、特に、CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサ等の固体撮像素子に好適に適用される撮像光学系に関する。そして、本発明は、この撮影光学系を備える撮像装置およびこの撮像装置を搭載したデジタル機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charged Coupled Device)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子を用いた撮像素子の高性能化や小型化が伸展し、これに伴って、このような撮像素子を用いた撮像装置を備えた携帯電話や携帯情報端末等のデジタル機器が普及しつつある。また、これらの撮像装置に搭載される、前記固体撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成(結像)するための撮像光学系(撮像レンズ)には、さらなる小型化や高性能化への要求が高まっている。このような用途の撮像光学系において、従来、3枚構成あるいは4枚構成の光学系が提案されており、さらに加えて近年では、より高性能化が可能であることから、5枚構成の光学系も提案されている。
【0003】
このような撮像光学系は、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されている。この特許文献1に開示の撮像レンズは、物体側から順に、物体側の面が凸形状の正の第1レンズと、像面側に凹面を向けた負のメニスカス形状の第2レンズと、像面側に凸面を向けた正のメニスカス形状の第3レンズと、両面が非球面形状で光軸近傍において像面側の面が凹形状の負の第4レンズと、両面が非球面形状の正または負の第5レンズとを備え、前記第1レンズのアッベ数が50より大きく、第2レンズのアッベ数が30より小さく、そして、前記第4レンズのアッベ数が30より小さいものである。このような構成の撮像レンズは、前記特許文献1によれば、高画素化に対応しつつ、軸上色収差および倍率色収差の補正効果を得ることができ、また、製造時の位置ずれにより生じる像面変動を低減でき、製造適性が優れている(例えばその0007段落)。
【0004】
また、前記特許文献2に開示の撮像レンズは、物体側から順に、物体側に凸形状の負のメニスカスレンズからなる第1レンズと、物体側の面が凸形状の正レンズからなる第2レンズと、絞りと、像側に凸形状の第3レンズと、光軸近傍で正の屈折力を持つ第4レンズと、像側の面が光軸近傍において像側に凹形状で周縁部では像側に凸形状となる第5レンズとを備えるものである。前記特許文献2によれば、このような構成の撮像レンズは、高解像化にともなった撮像素子の大型化や画素の高細化にも対応できるように諸収差を良好に補正した高性能なレンズ系を実現できる(例えばその0007段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−264180号公報
【特許文献2】特開2007−279282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に開示の撮像レンズでは、球面収差や非点収差の補正が充分とは言えず、5枚のレンズ構成としているメリットが活かし切れていない。また、前記特許文献1に開示の撮像レンズでは、さらにレンズ全長を短縮化しようとすると、性能劣化によって撮像素子の高画素化に対応することが困難となってしまう。
【0007】
一方、前記特許文献2に開示の撮像レンズでは、第1レンズと第2レンズとで構成される前群が球面系であるため、球面収差やコマ収差の補正が充分とは言えず良好な性能を確保することが難しい。また、前記前群および第3ないし第5レンズの後群も正の屈折力を有する構成であるため、後群が負の屈折力を有するいわゆるテレフォトタイプのような構成に較べて撮像レンズの主点位置が像側となり、バックフォーカスが長くなってしまう。このため、前記特許文献2に開示の撮像レンズは、小型化に不利な構成である。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より小型化を図りつつ、諸収差をより良好に補正することができる5枚のレンズ構成の撮像光学系を提供することである。そして、本発明は、この撮像光学系を備える撮像装置およびこの撮像装置を搭載したデジタル機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下のような構成を有する撮像光学系、撮像装置およびデジタル機器を提供するものである。なお、以下の説明において使用されている用語は、本明細書においては、次の通り定義されているものとする。
(a)屈折率は、d線の波長(587.56nm)に対する屈折率である。
(b)アッベ数は、d線、F線(波長486.13nm)、C線(波長656.28nm)に対する屈折率を各々nd、nF、nC、アッベ数をνdとした場合に、
νd=(nd−1)/(nF−nC)
の定義式で求められるアッベ数νdをいうものとする。
(c)レンズについて、「凹」、「凸」または「メニスカス」という表記を用いた場合、これらは光軸近傍(レンズの中心付近)でのレンズ形状を表しているものとする。
(d)接合レンズを構成している各単レンズにおける屈折力(光学的パワー、焦点距離の逆数)の表記は、単レンズのレンズ面の両側が空気である場合におけるパワーである。
(e)複合型非球面レンズに用いる樹脂材料は、基板ガラス材料の付加的機能しかないため、単独の光学部材として扱わず、基板ガラス材料が非球面を有する場合と同等の扱いとし、レンズ枚数も1枚として取り扱うものとする。そして、レンズ屈折率も基板となっているガラス材料の屈折率とする。複合型非球面レンズは、基板となるガラス材料の上に薄い樹脂材料を塗布して非球面形状としたレンズである。
【0010】
本発明の一態様に係る撮像光学系は、物体側から像側へ順に、物体側に凸の正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、所定の屈折力を有する第3および第4レンズと、負の屈折力を有し、像側に凹であって、中心軸に沿ったレンズ断面の輪郭線において前記中心軸の交点から有効領域端に向かった場合に前記中心軸の交点位置を除く位置に垂接点を持つ非球面形状を有する第5レンズとからなり、下記(1)ないし(4)の条件式を満たすことを特徴とする。
0.2<|f5/f|<0.5 ・・・(1)
1<|z5o/t5|<4 ・・・(2)
2.5<p5e/p5c<5 ・・・(3)
0.63<Y/TL<0.9 ・・・(4)
ただし、f5は、前記第5レンズの焦点距離であり、fは、この撮像光学系全系の焦点距離であり、z5oは、最大画角主光線での前記第5レンズにおける物体側面のサグ量(面頂点からの変位量)であり、t5は、前記第5レンズの芯厚であり、p5eは、最大画角主光線での前記第5レンズ内におけるe線光路長であり、p5cは、軸上主光線での前記第5レンズ内におけるe線光路長であり、Yは、最大像高であり、TLは、この撮像光学系の光学全長である。
【0011】
このような構成の撮像光学系は、5枚のレンズから構成されて成り、それぞれに上記光学特性を持たせて、これら5枚のレンズを物体側から像側へ順に配置することによって、球面収差や色収差の補正やテレセン性の確保を行うことが可能となる。特に、前記第5レンズを像側凹形状とすることによって、主点位置を物体側に寄せることができるため、このような構成の撮像光学系は、いわゆるテレフォトタイプとなってその全長の短縮化を図ることが可能となる。
【0012】
前記条件式(1)の上限を上回ると、主点位置の移動が小さくなるため、第1レンズの正の屈折力が大きくなり、球面収差や軸上色収差の補正が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(1)の下限を下回ると、歪曲収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0013】
前記条件式(2)の上限を上回ると、第5レンズの周辺部(周縁部)で正の屈折力とすることが困難となり、テレセン性の確保が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(2)の下限を下回ると、歪曲収差に加えて非点収差や倍率色収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0014】
前記条件式(3)の上限を上回ると、第5レンズの周辺部(周縁部)で正の屈折力とすることが困難となり、テレセン性の確保が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(3)の下限を下回ると、歪曲収差に加えて非点収差や倍率色収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0015】
前記条件式(4)の上限を上回ると、第1レンズの正の屈折力が大きくなり、球面収差や軸上色収差の補正が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(4)の下限を下回ると、レンズが大型化してしまい、好ましくない。
【0016】
ここで、小型化とは、本明細書では、撮像光学系全体の中で最も物体側のレンズにおけるレンズ面から、像側焦点までの光軸上での距離をLとし、撮像光学系全体の焦点距離をfとした場合に、L/f<1.4を満たすことをいう。像側焦点とは、光軸と平行な平行光線が撮像光学系に入射した場合の像点をいう。また、撮像光学系の最も像側の面と像側焦点との間に、例えば、光学的ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタまたは固定撮像素子パッケージのシールガラス等の平行平板部材が配置される場合には、平行平板部材は、空気換算距離として前記式を計算するものとする。
【0017】
また、垂接点とは、光軸に沿ったレンズ断面の輪郭線上の個々の点において、レンズ面の接平面を設定した場合に、前記接平面がレンズの光軸と垂直な平面となる点をいい、数学的には、前記輪郭線に極値を与える点をいう。有効領域とは、設計上、光学的にレンズとして使用される領域として設定された領域をいう。
【0018】
また、他の一態様では、上述の撮像光学系において、好ましくは、下記(5)の条件式を満たすことである。
0.1<R5r/f<2 ・・・(5)
ただし、R5rは、前記第5レンズにおける像側面の曲率半径(像側凹形状の場合をプラス(正)とする)であり、fは、この撮像光学系全系の焦点距離である。
【0019】
この条件式(5)の上限を上回ると、第5レンズの周辺部(周縁部)での正の屈折力が弱まるため、テレセン性の確保が困難となって好ましくない。一方、前記条件式(5)の下限を下回ると、歪曲収差の補正が困難となって好ましくない。
【0020】
また、他の一態様では、上述の撮像光学系において、好ましくは、前記第2レンズは、像側が凹形状であることである。
【0021】
このような構成の撮像光学系は、前記第2レンズが像側凹形状であるので、光束を分離し、前記第3レンズでの像面湾曲を良好に補正することが可能となる。
【0022】
また、他の一態様では、上述の撮像光学系において、好ましくは、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置される開口絞りをさらに有することである。
【0023】
このような構成の撮像光学系は、開口絞りが前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置されているので、非点収差やコマ収差を抑制することが可能となる。
【0024】
また、他の一態様では、上述の撮像光学系において、好ましくは、下記(6)の条件式を満たすことである。
1.1<|f2/f|<1.7 ・・・(6)
ただし、f2は、前記第2レンズの焦点距離であり、fは、この撮像光学系全系の焦点距離である。
【0025】
この条件式(6)の上限を上回ると、軸上色収差の補正が不十分となって好ましくない。一方、前記条件式(6)の下限を下回ると、コマ収差が増大してしまい、好ましくない。
【0026】
また、他の一態様では、上述の撮像光学系において、好ましくは、下記(7)の条件式を満たすことである。
0.3<f34/f<0.7 ・・・(7)
ただし、f34は、前記第3および第4レンズの合成焦点距離であり、fは、この撮像光学系全系の焦点距離である。
【0027】
この条件式(7)の上限を上回ると、像面湾曲の補正が不十分となって好ましくない。一方、前記条件式(7)の下限を下回ると、倍率色収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0028】
また、他の一態様では、上述の撮像光学系において、好ましくは、下記(8)の条件式を満たすことである。
0.8<f1/f<1.5 ・・・(8)
ただし、f1は、前記第1レンズの焦点距離であり、fは、この撮像光学系全系の焦点距離である。
【0029】
この条件式(8)の上限を上回ると、前玉である第1レンズが大型化してしまい、好ましくない。一方、前記条件式(8)の下限を下回ると、球面収差や軸上色収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0030】
また、他の一態様では、上述の撮像光学系において、好ましくは、下記(9)の条件式を満たすことである。
0.6<t23/t12<2 ・・・(9)
ただし、t23は、前記第2レンズと第3レンズとの間における空気での軸上間隔であり、t12は、前記第1レンズと第2レンズとの間における空気での軸上間隔である。
【0031】
この条件式(9)の上限を上回ると、コマ収差の補正が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(9)の下限を下回ると、軸上色収差の補正が不十分となって、好ましくない。
【0032】
また、本発明の他の一態様にかかる撮像装置は、これら上述のいずれかの撮像光学系と、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子とを備え、前記撮像光学系が前記撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成可能とされていることを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、より小型化を図りつつ、諸収差をより良好に補正することができる5枚のレンズ構成の撮像光学系を用いた撮像装置を提供することができる。
【0034】
また、本発明の他の一態様にかかるデジタル機器は、上述の撮像装置と、前記撮像装置に被写体の静止画撮影および動画撮影の少なくとも一方の撮影を行わせる制御部とを備え、前記撮像装置の撮像光学系が、前記撮像素子の撮像面上に前記被写体の光学像を形成可能に組み付けられていることを特徴とする。そして、好ましくは、デジタル機器は、携帯端末から成る。
【0035】
この構成によれば、より小型化を図りつつ、諸収差をより良好に補正することができる5枚のレンズ構成の撮像光学系を用いたデジタル機器や携帯端末を提供することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明にかかる撮像光学系は、5枚のレンズ構成であって、より小型化を図りつつ、諸収差をより良好に補正することができる。そして、本発明によれば、このような撮像光学系を用いた撮像装置およびデジタル機器の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態における撮像光学系の説明のための、その構成を模式的に示したレンズ断面図である。
【図2】主光線の像面入射角の定義を示す模式図である。
【図3】実施形態におけるデジタル機器の構成を示すブロック図である。
【図4】デジタル機器の一実施形態を示すカメラ付携帯電話機の外観構成図である。
【図5】実施例1における撮像光学系におけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図6】実施例2における撮像光学系におけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図7】実施例3における撮像光学系におけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図8】実施例4における撮像光学系におけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図9】実施例5における撮像光学系におけるレンズ群の配列を示す断面図である。
【図10】実施例1における撮像光学系の収差図である。
【図11】実施例2における撮像光学系の収差図である。
【図12】実施例3における撮像光学系の収差図である。
【図13】実施例4における撮像光学系の収差図である。
【図14】実施例5における撮像光学系の収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、接合レンズにおけるレンズ枚数は、接合レンズ全体で1枚ではなく、接合レンズを構成する単レンズの枚数で表すこととする。
【0039】
<実施の一形態の撮像光学系の説明>
図1は、実施形態における撮像光学系の説明のための、その構成を模式的に示したレンズ断面図である。図2は、主光線の像面入射角の定義を示す模式図である。
【0040】
図1において、この撮像光学系1は、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子18の受光面上に、物体(被写体)の光学像を形成するものであって、物体側より像側へ順に、第1ないし第5レンズ11〜15の5枚のレンズから構成されて成る光学系である。撮像素子18は、その受光面が撮像光学系1の像面と略一致するように配置される(像面=撮像面)。なお、図1で例示した撮像光学系1は、後述する実施例1の撮像光学系1A(図5)と同じ構成である。
【0041】
そして、この撮像光学系1では、第4および第5レンズ14、15が所定の像面に対して固定され、第1ないし第3レンズ11〜13が一体に繰り出されて光軸方向に移動することによってフォーカシングが行われる。ただし、撮像光学系1では、フォーカッシングは、上記方法であるが、これ以外にも全体繰り出し構成やインナーフォーカスに適した構成を採ることも適宜可能である。
【0042】
さらに、第1レンズ11は、物体側に凸の正の屈折力を有し、第2レンズ12は、像側に凹の負の屈折力を有するメニスカスレンズであり、第3レンズ13は、所定の屈折力、すなわち、正の屈折力または負の屈折力を有し、第4レンズ14は、所定の屈折力、すなわち、正の屈折力または負の屈折力を有し、そして、第5レンズ15は、像側に凹の負の屈折力を有している。より具体的には、図1に示す例では、第1レンズ11は、両凸の正レンズであり、第3レンズ13は、像側に凸の正の屈折力を有するメニスカスレンズであり、第4レンズ14は、像側に凸の正の屈折力を有するメニスカスレンズであり、そして、第5レンズ15は、両凹の負レンズである。さらに、第5レンズ15は、中心軸(光軸AX)に沿ったレンズ断面の輪郭線において光軸AXの交点から有効領域端に向かった場合に光軸AXの交点位置を除く位置に垂接点IP、IPを持つ非球面形状を有している。
【0043】
これら第1ないし第5レンズ11〜15は、両面が非球面である。これら第1ないし第5レンズ群11〜15は、例えばガラスモールドレンズであってもよく、また例えば、プラスチック等の樹脂材料製レンズであってもよい。特に、携帯端末に搭載する場合には軽量化の観点から、樹脂材料製レンズが好ましい。図1に示す例では、これら第1ないし第5レンズ11〜15は、樹脂材料製レンズである。
【0044】
また、この撮像光学系1は、第5レンズ15の焦点距離をf5とし、この撮像光学系1全系の焦点距離をfとし、最大画角主光線での第5レンズ15における物体側面のサグ量(面頂点からの変位量)をz5oとし、第5レンズ15の芯厚をt5とし、最大画角主光線での第5レンズ15内におけるe線光路長をp5eとし、軸上主光線での第5レンズ15内におけるc線光路長をp5cとし、最大像高をYとし、そして、この撮像光学系1の光学全長をTLとした場合に、下記(1)ないし(4)の各条件式を満たしている。
0.2<|f5/f|<0.5 ・・・(1)
1<|z5o/t5|<4 ・・・(2)
2.5<p5e/p5c<5 ・・・(3)
0.63<Y/TL<0.9 ・・・(4)
【0045】
なお、主光線の像面入射角は、図2に示すように、撮像面への入射光線のうち最大画角の主光線の、像面に立てた垂線に対する角度(deg、度)αであり、像面入射角αは、射出瞳位置が像面より物体側にある場合の主光線角度を正方向とする。
【0046】
そして、この撮像光学系1には、開口絞りの光学絞り16が第1レンズ11と第2レンズ12との間に配置されている。
【0047】
さらに、この撮像光学系1の像側、すなわち、第5レンズ15における像側には、フィルタ17や撮像素子18が配置される。フィルタ17は、平行平板状の光学素子であり、各種光学フィルタや、撮像素子のカバーガラス等を模式的に表したものである。使用用途、撮像素子、カメラの構成等に応じて、ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ等の光学フィルタを適宜に配置することが可能である。撮像素子18は、この撮像光学系1によって結像された被写体の光学像における光量に応じてR(赤)、G(緑)、B(青)の各成分の画像信号に光電変換して所定の画像処理回路(不図示)へ出力する素子である。これらによって物体側の被写体の光学像が、撮像光学系1によりその光軸AXに沿って所定の倍率で撮像素子18の受光面まで導かれ、撮像素子18によって前記被写体の光学像が撮像される。
【0048】
このような構成の撮像光学系1は、5枚の第1ないし第5レンズ11〜15から構成されて成り、それぞれに上記光学特性を持たせて、これら5枚の第1ないし第5レンズ11〜15を物体側から像側へ順に配置することによって、球面収差や色収差の補正やテレセン性の確保を行うことが可能となる。特に、第5レンズ15を像側凹形状とすることによって、主点位置を物体側に寄せることができるため、このような構成の撮像光学系1は、いわゆるテレフォトタイプとなってその全長の短縮化を図ることが可能となる。
【0049】
前記条件式(1)は、第5レンズ15の焦点距離を規定するものである。前記条件式(1)の上限を上回ると、主点位置の移動が小さくなるため、第1レンズ11の正の屈折力が大きくなり、球面収差や軸上色収差の補正が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(1)の下限を下回ると、歪曲収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0050】
このような観点から下記(1’)の条件式を満足することより好ましい。
0.25<|f5/f|<0.47 ・・・(1’)
【0051】
前記条件式(2)は、第5レンズの形状を規定するものである。前記条件式(2)の上限を上回ると、第5レンズ15の周辺部(周縁部)で正の屈折力とすることが困難となり、テレセン性の確保が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(2)の下限を下回ると、歪曲収差に加えて非点収差や倍率色収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0052】
このような観点から下記(2’)の条件式を満足することより好ましい。
1.2<|z5o/t5|<3.8 ・・・(2’)
【0053】
前記条件式(3)は、第5レンズの形状を規定するものである。前記条件式(3)の上限を上回ると、第5レンズ15の周辺部(周縁部)で正の屈折力とすることが困難となり、テレセン性の確保が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(3)の下限を下回ると、歪曲収差に加えて非点収差や倍率色収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0054】
このような観点から下記(3’)の条件式を満足することがより好ましい。
3<p5e/p5c<4.9 ・・・(3’)
【0055】
前記条件式(4)は、光学系のコンパクト度合いを規定するものである。前記条件式(4)の上限を上回ると、第1レンズ11の正の屈折力が大きくなり、球面収差や軸上色収差の補正が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(4)の下限を下回ると、レンズが大型化してしまい、好ましくない。
【0056】
このような観点から下記(4’)の条件式を満足することがより好ましい。
0.65<Y/TL<0.8 ・・・(4’)
【0057】
また、上述の撮像光学系1では、第2レンズ12は、像側が凹形状である。このため、本実施形態の撮像光学系1は、光束を分離し、第3レンズ13での像面湾曲を良好に補正することが可能となる。
【0058】
また、上述の撮像光学系1では、開口絞り16は、第1レンズ11と第2レンズ12との間に配置されている。このため、本実施形態の撮像光学系1は、非点収差やコマ収差を抑制することが可能となる。
【0059】
また、上述の撮像光学系1では、空気と面している全てのレンズ面が非球面である。このため、この構成によってコンパクト化と高画質化との両立が可能となっている。
【0060】
また、上述の撮像光学系1において、第5レンズ15における像側面の曲率半径(像側凹形状の場合をプラス(正)とする)をR5rとし、この撮像光学系1全系の焦点距離をfとする場合に、下記(5)の条件式を満たすことが好ましい。
0.1<R5r/f<2 ・・・(5)
【0061】
この条件式(5)は、第5レンズ15における像面側の面形状を規定するものである。この条件式(5)の上限を上回ると、第5レンズ15の周辺部(周縁部)での正の屈折力が弱まるため、テレセン性の確保が困難となって好ましくない。一方、前記条件式(5)の下限を下回ると、歪曲収差の補正が困難となって好ましくない。
【0062】
このような観点から下記(5’)の条件式を満足することがより好ましい。
0.2<R5r/f<1 ・・・(5’)
【0063】
また、上述の撮像光学系1において、第2レンズ12の焦点距離をf2とし、この撮像光学系1全系の焦点距離をfとする場合に、下記(6)の条件式を満たすことが好ましい。
1.1<|f2/f|<1.7 ・・・(6)
【0064】
この条件式(6)は、第2レンズの焦点距離を規定するものである。前記条件式(6)の上限を上回ると、軸上色収差の補正が不十分となって好ましくない。一方、前記条件式(6)の下限を下回ると、コマ収差が増大してしまい、好ましくない。
【0065】
このような観点から下記(6’)の条件式を満足することがより好ましい。
1.2<|f2/f|<1.6 ・・・(6’)
【0066】
また、上述の撮像光学系1において、第3および第4レンズ13,14の合成焦点距離をf34とし、この撮像光学系1全系の焦点距離をfとする場合に、下記(7)の条件式を満たすことが好ましい。
0.3<f34/f<0.7 ・・・(7)
【0067】
この条件式(7)は、第3レンズと第4レンズとの合成焦点距離を規定するものである。前記条件式(7)の上限を上回ると、像面湾曲の補正が不十分となって好ましくない。一方、前記条件式(7)の下限を下回ると、倍率色収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0068】
このような観点から下記(7’)の条件式を満足することがより好ましい。
0.4<f34/f<0.6 ・・・(7’)
【0069】
また、上述の撮像光学系1において、第1レンズ11の焦点距離をf1とし、この撮像光学系1全系の焦点距離をfとする場合に、下記(8)の条件式を満たすことが好ましい。
0.8<f1/f<1.5 ・・・(8)
【0070】
この条件式(8)は、第1レンズ11の焦点距離を規定するものである。前記条件式(8)の上限を上回ると、前玉である第1レンズ11が大型化してしまい、好ましくない。一方、前記条件式(8)の下限を下回ると、球面収差や軸上色収差の補正が困難となって、好ましくない。
【0071】
このような観点から下記(8’)の条件式を満足することがより好ましい。
0.81<f1/f<1.3 ・・・(8’)
【0072】
また、上述の撮像光学系1において、第2レンズ12と第3レンズ13との間における空気での軸上間隔をt23とし、第1レンズ11と第2レンズ12との間における空気での軸上間隔をt12とする場合に、下記(9)の条件式を満たすことが好ましい。
0.6<t23/t12<2 ・・・(9)
【0073】
この条件式(9)は、第1〜第3レンズの配置を規定するものである。前記条件式(9)の上限を上回ると、コマ収差の補正が困難となって、好ましくない。一方、前記条件式(9)の下限を下回ると、軸上色収差の補正が不十分となって、好ましくない。
【0074】
このような観点から下記(9’)の条件式を満足することがより好ましい。
0.7<t23/t12<1.5 ・・・(9’)
【0075】
また、これら上述の撮像光学系1において、第1ないし第3レンズ11〜13が一体に繰り出されて移動する駆動には、カムやステッピングモータ等が用いられてもよいし、あるいは、圧電アクチュエータが用いられてもよい。圧電アクチュエータを用いる場合では、駆動装置の体積および消費電力の増加を抑制しつつ、各群を独立に駆動させることも可能で、撮像装置の更なるコンパクト化を図ることができる。
【0076】
また、これら上述の撮像光学系1において、非球面を有するガラスレンズが用いられる場合に、この非球面ガラスレンズは、ガラスモールド非球面レンズや、研削非球面ガラスレンズや、複合型非球面レンズ(球面ガラスレンズ上に非球面形状の樹脂を形成したもの)であってもよい。ガラスモールド非球面レンズは、大量生産に向き、好ましく、複合型非球面レンズは、基板となり得るガラス材料の種類が多いため、設計の自由度が高くなる。特に、高屈折率材料を用いた非球面レンズでは、モールド形成が容易ではないため、複合型非球面レンズが好ましい。また、片面非球面の場合には、複合型非球面レンズの利点を最大限に活用することが可能となる。
【0077】
また、これら上述の撮像光学系1において、プラスチックレンズ(樹脂材料製レンズ)を用いる場合では、プラスチック(樹脂材料)中に最大長が30ナノメートル以下の粒子を分散させた素材を用いて成形したレンズであることが好ましい。
【0078】
一般に透明な樹脂材料に微粒子を混合させると、光が散乱し透過率が低下するので、光学材料として使用することが困難であったが、微粒子の大きさを透過光束の波長よりも小さくすることによって、光は、実質的に散乱しない。そして、樹脂材料は、温度上昇に伴って屈折率が低下してしまうが、無機粒子は、逆に、温度上昇に伴って屈折率が上昇する。このため、このような温度依存性を利用して互いに打ち消し合うように作用させることで、温度変化に対して屈折率変化がほとんど生じないようにすることができる。より具体的には、母材となる樹脂材料に最大長で30ナノメートル以下の無機微粒子を分散させることによって、屈折率の温度依存性を低減した樹脂材料となる。例えば、アクリルに酸化ニオブ(Nb)の微粒子を分散させる。これら上述の撮像光学系1において、比較的屈折力の大きなレンズ(例えば図1に示す例では第1および第3レンズ11、13)、またはすべてのレンズ(図1に示す例では第1ないし第5レンズ11〜15)に、このような無機粒子を分散させたプラスチック材料を用いることにより、撮像レンズ全系の温度変化時の像点位置変動を小さく抑えることが可能となる。
【0079】
このような無機微粒子を分散させたプラスチック材料製レンズは、以下のように成形されることが好ましい。
【0080】
屈折率の温度変化について説明すると、屈折率の温度変化n(T)は、ローレンツ・ローレンツの式に基づいて、屈折率nを温度Tで微分することによって式Faで表される。
n(T)=((n+2)×(n−1))/6n×(−3α+(1/[R])×(∂[R]/∂T)) ・・・(Fa)
ただし、αは、線膨張係数であり、[R]は、分子屈折である。
【0081】
樹脂材料の場合では、一般に、屈折率の温度依存性に対する寄与は、式Fa中の第1項に較べて第2項が小さく、ほぼ無視することができる。例えば、PMMA樹脂の場合では、線膨張係数αは、7×10−5であって、式Faに代入すると、n(T)=−12×10−5(/℃)となり、実測値と略一致する。
【0082】
具体的には、従来は、−12×10−5[/℃]程度であった屈折率の温度変化n(T)を、絶対値で8×10−5[/℃]未満に抑えることが好ましい。さらに好ましくは、絶対値で6×10−5[/℃]未満にすることである。
【0083】
よって、このような樹脂材料としては、ポリオレフィン系の樹脂材料やポリカーボネイト系の樹脂材料やポリエステル系の樹脂材料が好ましい。ポリオレフィン系の樹脂材料では、屈折率の温度変化n(T)は、約−11×10−5(/℃)となり、ポリカーボネイト系の樹脂材料では、屈折率の温度変化n(T)は、約−14×10−5(/℃)となり、そして、ポリエステル系の樹脂材料では、屈折率の温度変化n(T)は、約−13×10−5(/℃)となる。
【0084】
また、これら上述の撮像光学系1において、レンズが樹脂材料性レンズである場合に、前記樹脂材料として、エネルギー硬化性樹脂が用いられてもよい。
【0085】
近年、撮像装置を低コストにかつ大量に実装する方法として、予め半田がポッティングされた基板に対し、ICチップその他の電子部品と光学素子とを載置したままリフロー処理(加熱処理)し、半田を溶融させることにより電子部品と光学素子とを基板に同時実装する技術が提案されている。
【0086】
このようなリフロー処理を用いて実装を行うために、電子部品と共に光学素子を約200〜260度に加熱する必要がある。このような高温下では熱可塑性樹脂を用いたレンズは、熱変形、あるいは変色してしまい、その光学性能が低下してしまう。
【0087】
そこで、レンズの材料として、エネルギー硬化性樹脂を使用することが好ましい。これは、ポリカーボネイト系やポリオレフィン系のような熱可塑性樹脂を用いたレンズに比べ、エネルギー硬化性樹脂が高温に曝された場合の光学性能の低下が小さく、したがって、エネルギー硬化性樹脂がリフロー処理に有効であるからである。さらに、エネルギー硬化性樹脂のレンズは、ガラスモールドレンズよりも製造しやすく安価となり、撮像光学系1を組み込んだ撮像装置における低コスト化と量産性とを両立することもできる。ここで、エネルギー硬化性樹脂には、熱硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂のいずれも含まれる。
【0088】
このようなエネルギー硬化性樹脂は、一例を挙げると、新中村化学製、NKエステルDCP(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)に重合開始剤として日本油脂製、パーブチルOを1wt%添加し、150℃、10minで硬化させたもの等が挙げられる。
【0089】
<撮像光学系を組み込んだデジタル機器の説明>
次に、上述の撮像光学系1が組み込まれたデジタル機器について説明する。
【0090】
図3は、実施形態におけるデジタル機器の構成を示すブロック図である。デジタル機器3は、撮像機能のために、撮像部30、画像生成部31、画像データバッファ32、画像処理部33、駆動部34、制御部35、記憶部36およびI/F部37を備えて構成される。デジタル機器3としては、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ(モニタカメラ)、携帯電話機や携帯情報端末(PDA)等の携帯端末、パーソナルコンピュータおよびモバイルコンピュータを挙げることができ、これらの周辺機器(例えば、マウス、スキャナおよびプリンタなど)を含んでよい。特に、本実施形態の撮像光学系1は、携帯電話機や携帯情報端末(PDA)等の携帯端末に搭載する上で充分にコンパクト化されており、この携帯端末に好適に搭載される。
【0091】
撮像部30は、撮像装置21と撮像素子18とを備えて構成される。撮像装置21は、撮像レンズとして機能する図1に示したような撮像光学系1と、光軸方向にフォーカスのためのレンズを駆動してフォーカシングを行うための図略のレンズ駆動装置等とを備えて構成される。被写体からの光線は、撮像光学系1によって撮像素子18の受光面上に結像され、被写体の光学像となる。
【0092】
撮像素子18は、上述したように、撮像光学系1により結像された被写体の光学像をR,G,Bの色成分の電気信号(画像信号)に変換し、R,G,B各色の画像信号として画像生成部31に出力する。撮像素子18は、制御部35によって静止画あるいは動画のいずれか一方の撮像、または、撮像素子18における各画素の出力信号の読出し(水平同期、垂直同期、転送)などの撮像動作が制御される。なお、撮像素子18は、裏面照射型の固体撮像素子であってもよい。これによって、光電変換する受光部が配線層よりも撮像光学系1側に配置されるため、後述のシェーディング補正の観点から、前記受光部に到達する実質的な光量が増加し、低輝度感度の向上や斜入射による周辺光量落ちを極めて効果的に抑制することができる。
【0093】
画像生成部31は、撮像素子18からのアナログ出力信号に対し、増幅処理、デジタル変換処理等を行うと共に、画像全体に対して適正な黒レベルの決定、γ補正、ホワイトバランス調整(WB調整)、輪郭補正および色ムラ補正等の周知の画像処理を行って、画像信号から画像データを生成する。画像生成部31で生成された画像データは、画像データバッファ32に出力される。
【0094】
画像データバッファ32は、画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対し画像処理部33によって後述の処理を行うための作業領域として用いられるメモリであり、例えば、揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)などで構成される。
【0095】
画像処理部33は、画像データバッファ32の画像データに対し、解像度変換等の所定の画像処理を行う回路である。
【0096】
また、必要に応じて画像処理部33は、撮像素子18の受光面上に形成される被写体の光学像における歪みを補正する公知の歪み補正処理等の、撮像光学系1では補正しきれなかった収差を補正するように構成されてもよい。歪み補正は、収差によって歪んだ画像を肉眼で見える光景と同様な相似形の略歪みのない自然な画像に補正するものである。このように構成することによって、撮像光学系1によって撮像素子18へ導かれた被写体の光学像に歪みが生じていたとしても、略歪みのない自然な画像を生成することが可能となる。また、このような歪みを情報処理による画像処理で補正する構成では、特に、歪曲収差を除く他の諸収差だけを考慮すればよいので、撮像光学系1の設計の自由度が増し、設計がより容易となる。また、このような歪みを情報処理による画像処理で補正する構成では、特に、像面に近いレンズによる収差負担が軽減されるため、射出瞳位置の制御が容易となり、レンズ形状を加工性の良い形状にすることができる。
【0097】
また、必要に応じて画像処理部33は、撮像素子18の受光面上に形成される被写体の光学像における周辺照度落ちを補正する公知の周辺照度落ち補正処理を含んでもよい。周辺照度落ち補正(シェーディング補正)は、周辺照度落ち補正を行うための補正データを予め記憶しておき、撮影後の画像(画素)に対して補正データを乗算することによって実行される。周辺照度落ちが主に撮像素子18における感度の入射角依存性、レンズの口径食およびコサイン4乗則等によって生じるため、前記補正データは、これら要因によって生じる照度落ちを補正するような所定値に設定される。このように構成することによって、撮像光学系1によって撮像素子18へ導かれた被写体の光学像に周辺照度落ちが生じていたとしても、周辺まで充分な照度を持った画像を生成することが可能となる。
【0098】
なお、本実施形態では、撮像素子18の撮像面における画素ピッチに対し、色フィルタやオンチップマイクロレンズアレイの配置のピッチを、シェーディングを軽減するように僅かに小さく設定することによって、シェーディング補正が行われてもよい。このような構成では、前記ピッチを僅かに小さく設定することによって、撮像素子18における撮像面の周辺部に行くほど各画素に対し色フィルタやオンチップマイクロレンズアレイが撮像光学系1の光軸側へシフトするため、斜入射の光束を効率的に各画素の受光部に導くことができる。これにより撮像素子18で発生するシェーディングが小さく抑えられる。
【0099】
駆動部34は、制御部35から出力される制御信号に基づいて図略の前記レンズ駆動装置を動作させることによって、所望のフォーカシングを行わせるように撮像光学系1におけるフォーカスのためのレンズを駆動する。
【0100】
制御部35は、例えばマイクロプロセッサおよびその周辺回路などを備えて構成され、撮像部30、画像生成部31、画像データバッファ32、画像処理部33、駆動部34、記憶部36およびI/F部37の各部の動作をその機能に従って制御する。すなわち、この制御部35によって、撮像装置21は、被写体の静止画撮影および動画撮影の少なくとも一方の撮影を実行するよう制御される。
【0101】
記憶部36は、被写体の静止画撮影または動画撮影によって生成された画像データを記憶する記憶回路であり、例えば、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や、書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)や、RAMなどを備えて構成される。つまり、記憶部36は、静止画用および動画用のメモリとしての機能を有する。
【0102】
I/F部37は、外部機器と画像データを送受信するインタフェースであり、例えば、USBやIEEE1394などの規格に準拠したインタフェースである。
【0103】
このような構成のデジタル機器3の撮像動作に次について説明する。
【0104】
静止画を撮影する場合は、制御部35は、撮像装置21に静止画の撮影を行わせるように制御すると共に、駆動部34を介して撮像装置21の図略の前記レンズ駆動装置を動作させ、第2レンズ群12を移動させることによってフォーカシングを行う。これにより、ピントの合った光学像が撮像素子18の受光面に周期的に繰り返し結像され、R、G、Bの色成分の画像信号に変換された後、画像生成部31に出力される。その画像信号は、画像データバッファ32に一時的に記憶され、画像処理部33により画像処理が行われた後、その画像信号に基づく画像がディスプレイ(不図示)に表示される。そして、撮影者は、前記ディスプレイを参照することで、主被写体をその画面中の所望の位置に収まるように調整することが可能となる。この状態でいわゆるシャッターボタン(不図示)が押されることによって、静止画用のメモリとしての記憶部36に画像データが格納され、静止画像が得られる。
【0105】
また、動画撮影を行う場合は、制御部35は、撮像装置21に動画の撮影を行わせるように制御する。後は、静止画撮影の場合と同様にして、撮影者は、前記ディスプレイ(不図示)を参照することで、撮像装置21を通して得た被写体の像が、その画面中の所望の位置に収まるように調整することができる。前記シャッターボタン(不図示)が押されることによって、動画撮影が開始される。そして、動画撮影時、制御部35は、撮像装置21に動画の撮影を行わせるように制御すると共に、駆動部34を介して撮像装置21の図略の前記レンズ駆動装置を動作させ、フォーカシングを行う。これによって、ピントの合った光学像が撮像素子18の受光面に周期的に繰り返し結像され、R、G、Bの色成分の画像信号に変換された後、画像生成部31に出力される。その画像信号は、画像データバッファ32に一時的に記憶され、画像処理部33により画像処理が行われた後、その画像信号に基づく画像がディスプレイ(不図示)に表示される。そして、もう一度前記シャッターボタン(不図示)を押すことで、動画撮影が終了する。撮影された動画像は、動画用のメモリとしての記憶部36に導かれて格納される。
【0106】
このような構成では、より小型化を図りつつ、諸収差をより良好に補正することができる5枚のレンズ構成の撮像光学系1を用いた撮像装置21およびデジタル機器3が提供される。特に、撮像光学系1は、小型化および高性能化が図られているので、小型化(コンパクト化)を図りつつ高画素な撮像素子18を採用することができる。特に、撮像光学系1が小型で高画素撮像素子に適用可能であるので、高画素化や高機能化が進む携帯端末に好適である。その一例として、携帯電話機に撮像装置21を搭載した場合について、以下に説明する。
【0107】
図4は、デジタル機器の一実施形態を示すカメラ付携帯電話機の外観構成図である。図4(A)は、携帯電話機の操作面を示し、図4(B)は、操作面の裏面、つまり背面を示す。
【0108】
図4において、携帯電話機5には、上部にアンテナ51が備えられ、その操作面には、図4(A)に示すように、長方形のディスプレイ52、画像撮影モードの起動および静止画撮影と動画撮影との切り替えを行う画像撮影ボタン53、シャッタボタン55およびダイヤルボタン56が備えられている。
【0109】
そして、この携帯電話機5には、携帯電話網を用いた電話機能を実現する回路が内蔵されると共に、上述した撮像部30、画像生成部31、画像データバッファ32、画像処理部33、駆動部34、制御部35および記憶部36が内蔵されており、撮像部30の撮像装置21が背面に臨んでいる。
【0110】
画像撮影ボタン53が操作されると、その操作内容を表す制御信号が制御部35へ出力され、制御部35は、静止画撮影モードの起動、実行や動画撮影モードの起動、実行等の、その操作内容に応じた動作を実行する。そして、シャッタボタン55が操作されると、その操作内容を表す制御信号が制御部35へ出力され、制御部35は、静止画撮影や動画撮影等の、その操作内容に応じた動作を実行する。
【0111】
<撮像光学系のより具体的な実施形態の説明>
以下、図1に示したような撮像光学系1、すなわち図3に示したようなデジタル機器3に搭載される撮像装置21に備えられる撮像光学系1の具体的な構成を、図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0112】
図5は、実施例1における撮像光学系におけるレンズの配列を示す断面図である。図9は、実施例1における撮像光学系の収差図である。図9は、無限遠の場合を示す。後述の実施例2ないし実施例5についても同様である(図10ないし図14)。
【0113】
実施例1の撮像光学系1Aは、図5に示すように、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に配置され、フォーカシング(ピント合わせ)の際には、第4および第5レンズL4、L5が所定の像面に対して固定され、第1ないし第3レンズL1〜L3が一体に繰り出されて光軸方向に移動する。
【0114】
より詳しくは、実施例1の撮像光学系1Aは、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に、次のように構成されている。
【0115】
第1レンズL1は、物体側に凸形状であって凸面を向けた正の屈折力を有する両凸の正レンズであり、第2レンズL2は、像側に凹の負の屈折力を有する負メニスカスレンズであり、第3レンズL3は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、第4レンズL4は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、そして、第5レンズL5は、像側に凹形状であって凹面を向けた両凹の負レンズである。さらに、第5レンズL5は、中心軸(光軸AX)に沿ったレンズ断面の輪郭線において光軸AXの交点から有効領域端に向かった場合に光軸AXの交点位置を除く位置に垂接点IPA、IPAを持つ非球面形状を有しており、そして、光軸AXから径方向に所定の距離離れた周辺領域において、光軸AXを含む断面上で正の屈折力を有する領域を有している。すなわち、第5レンズL5は、光軸AXから所定の距離までの範囲内(断面円形領域内)では、像側に凹形状であって像側に凹面を向けた負の屈折力を有する両凹の負レンズであり、前記所定の距離から有効領域端までの範囲内(断面リング形状領域内)では、正の屈折力を有する正レンズとなっている。また、第4レンズL4は、その像側に凸形状の部分が第5レンズL5における物体側の凹形状の部分内に入り込むように、第5レンズL5に対して近接して配置されている。これら第1ないし第5レンズL1〜L5は、両面が非球面であり、樹脂材料製レンズである。
【0116】
光学絞りSTは、第1レンズL1と第2レンズL2との間に配設される。光学絞りSTは、後述の実施例2および実施例3の場合も同様に、開口絞りやメカニカルシャッタや可変絞りであってよい。
【0117】
そして、第5レンズL5の像側には、フィルタとしての平行平板FTを介して撮像素子SRの受光面が配置されている。平行平板FTは、各種光学フィルタや撮像素子SRのカバーガラス等である。
【0118】
図5において、各レンズ面に付されている番号ri(i=1,2,3,・・・)は、物体側から数えた場合のi番目のレンズ面(ただし、レンズの接合面は1つの面として数えるものとする。)であり、riに「*」印が付されている面は、非球面であることを示す。なお、平行平板FTの両面および撮像素子SRの受光面も1つの面として扱っており、光学絞りSTも1つの面として扱っている。このような取り扱いおよび符号の意義は、後述の実施例2ないし実施例5についても同様である(図6ないし図9)。ただし、全く同一のものであるという意味ではなく、例えば、各実施例1〜5の図5ないし図9の各図を通じて、最も物体側に配置されるレンズ面には、同じ符号(r1)が付されているが、これらの曲率などが各実施例1〜5を通じて同一であるという意味ではない。
【0119】
このような構成の下で、物体側から入射した光線は、光軸AXに沿って、順に第1レンズL1、光学絞りST、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5および平行平板FTを通過し、撮像素子SRの受光面に物体の光学像を形成する。そして、撮像素子SRでは、光学像が電気的な信号に変換される。この電気信号は、必要に応じて所定のデジタル画像処理などが施され、デジタル映像信号として例えばデジタルカメラ等のデジタル機器のメモリに記録されたり、インタフェースを介して有線あるいは無線の通信によって他のデジタル機器に伝送されたりする。
【0120】
実施例1の撮像光学系1Aにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0121】
数値実施例1
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* 1.987 0.502 1.54470 56.15
2* -662.161 0.100
3(絞り) ∞ 0.150
4* 7.077 0.183 1.63200 23.41
5* 2.455 0.359
6* -11.944 0.713 1.54470 56.15
7* -2.762 可変
8* -2.567 0.825 1.54470 56.15
9* -1.143 0.416
10* -1.923 0.504 1.54470 56.15
11* 2.814 0.600
12 ∞ 0.300 1.51633 64.14
13 ∞ 0.100
像面 ∞
非球面データ
第1面
K=1.0018e-002,A4=-2.2545e-003,A6=-1.1382e-003,A8=4.2548e-004,A10=-2.8106e-003,A12=1.4111e-003,A14=-3.9776e-003
第2面
K=2.0000e+002,A4=1.8654e-003,A6=7.8510e-003,A8=-1.6648e-002,A10=-1.3356e-003,A12=-2.5634e-003,A14=4.0137e-003
第4面
K=-1.7915e+001,A4=-2.1802e-002,A6=5.4398e-002,A8=-8.4677e-002,A10=4.1091e-002,A12=-9.5315e-003,A14=-2.1289e-003
第5面
K=-2.8863e+000,A4=8.4837e-003,A6=5.0146e-002,A8=-2.2757e-002,A10=-2.3635e-002,A12=3.1893e-002,A14=-1.2372e-002,A16=-2.1417e-004
第6面
K=-3.3315e+001,A4=-2.3752e-002,A6=5.2773e-003,A8=1.8787e-002,A10=6.3762e-003,A12=2.5602e-003,A14=-4.3879e-003
第7面
K=1.4566e+000,A4=-1.2393e-002,A6=1.9844e-002,A8=-1.5397e-002,A10=7.6824e-003,A12=2.6704e-003,A14=-8.8074e-004
第8面
K=4.0403e-001,A4=-5.4281e-002,A6=3.8150e-002,A8=-6.1761e-003,A10=-1.0280e-003,A12=7.0418e-004,A14=-9.8832e-005
第9面
K=-3.2233e+000,A4=-8.1613e-002,A6=3.0868e-002,A8=-2.1344e-003,A10=-1.3325e-005,A12=-8.1672e-005,A14=1.1326e-005
第10面
K=-1.2911e+001,A4=-4.3622e-002,A6=9.6785e-003,A8=-7.1345e-005,A10=-1.5455e-004,A12=1.6776e-005,A14=-5.6815e-007
第11面
K=-6.7848e+000,A4=-2.8511e-002,A6=4.8746e-003,A8=-7.2599e-004,A10=8.0232e-005,A12=-6.2087e-006,A14=2.3630e-007
各種データ
焦点距離(Fl) 4.447 (mm)
Fナンバ(Fno) 2.805
画角(半画角)W 38.980 (deg)
像高(Y) 3.658 (mm)
レンズ全長(TL) 5.437 (mm)
バックフォーカス(BF) 0.901
各レンズの焦点距離(mm)
第1レンズL1 3.639
第2レンズL2 -6.039
第3レンズL3 6.421
第4レンズL4 3.140
第5レンズL5 -2.021
【0122】
上記の面データにおいて、面番号は、図5に示した各レンズ面に付した符号ri(i=1,2,3,…)の番号iが対応する。番号iに*が付された面は、非球面(非球面形状の屈折光学面または非球面と等価な屈折作用を有する面)であることを示す。
【0123】
また、“r”は、各面の曲率半径(単位はmm)、“d”は、無限遠合焦状態での光軸上の各レンズ面の間隔(軸上面間隔)、“nd”は、各レンズのd線(波長587.56nm)に対する屈折率、“νd”は、アッベ数をそれぞれ示している。なお、光学絞りST、平行平面板FTの両面、撮像素子SRの受光面の各面は、平面であるために、それらの曲率半径は、∞(無限大)である。
【0124】
各実施例において、非球面の形状は、面頂点を原点とし、光軸方向にX軸をとり、光軸と垂直方向の高さをhとする場合に、次式により定義している。
X=(h/R)/[1+(1−(1+K)h/R1/2]+ΣA・h
ただし、Aiは、i次の非球面係数であり、Rは、基準曲率半径であり、そして、Kは、円錐定数である。
【0125】
なお、請求項、実施形態および各実施例に記載の近軸曲率半径(r)について、実際のレンズ測定の場面において、レンズ中央近傍(より具体的には、レンズ外径に対して10%以内の中央領域)での形状測定値を最小自乗法でフィッティングした際の近似曲率半径を近軸曲率半径であるとみなすことができる。また、例えば2次の非球面係数を使用した場合には、非球面定義式の基準曲率半径に2次の非球面係数も勘案した曲率半径を近軸曲率半径とみなすことができる(例えば参考文献として、松居吉哉著「レンズ設計法」(共立出版株式会社)のP41〜P42を参照)。
【0126】
そして、上記非球面データにおいて、「en」は、「10のn乗」を意味する。例えば、「e+001」は、「10の+1乗」を意味し、「e-003」は、「10の−3乗」を意味する。
【0127】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例1の撮像レンズ1Aにおける各収差を図10に示す。図10(A)、(B)および(C)は、この順に、球面収差(正弦条件)(LONGITUDINAL SPHERICAL ABERRATION)、非点収差(ASTIGMATISM FIELD CURVER)および歪曲収差(DISTORTION)をそれぞれ示す。球面収差の横軸は、焦点位置のずれをmm単位で表しており、その縦軸は、最大入射高で規格化した値で表している。非点収差の横軸は、焦点位置のずれをmm単位で表しており、その縦軸は、像高をmm単位で表している。歪曲収差の横軸は、実際の像高を理想像高に対する割合(%)で表しており、縦軸は、その像高をmm単位で表している。また、非点収差の図中、破線は、タンジェンシャル(メリディオナル)面、実線は、サジタル(ラディアル)面における結果をそれぞれ表している。
【0128】
球面収差の図には、実線でd線(波長587.56nm)、破線でg線(波長435.84nm)、一点鎖線でC線(波長656.28nm)の3つの光の収差をそれぞれ示してある。非点収差および歪曲収差の図は、上記d線(波長587.56nm)を用いた場合の結果である。
【0129】
以上のような扱いは、以下に示す実施例2ないし実施例5にかかるコンストラクションデータ、各収差を示す図11ないし図14においても同様である。
【実施例2】
【0130】
図6は、実施例2における撮像光学系におけるレンズの配列を示す断面図である。図11は、実施例2における撮像光学系の収差図である。
【0131】
実施例2の撮像光学系1Bは、図6に示すように、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に配置され、フォーカシング(ピント合わせ)の際には、第4および第5レンズL4、L5が所定の像面に対して固定され、第1ないし第3レンズL1〜L3が一体に繰り出されて光軸方向に移動する。
【0132】
より詳しくは、実施例2の撮像光学系1Bは、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に、次のように構成されている。
【0133】
第1レンズL1は、物体側に凸形状であって凸面を向けた、物体側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、第2レンズL2は、像側に凹の負の屈折力を有する負メニスカスレンズであり、第3レンズL3は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、第4レンズL4は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、そして、第5レンズL5は、像側に凹形状であって凹面を向けた両凹の負レンズである。さらに、第5レンズL5は、中心軸(光軸AX)に沿ったレンズ断面の輪郭線において光軸AXの交点から有効領域端に向かった場合に光軸AXの交点位置を除く位置に垂接点IPB、IPBを持つ非球面形状を有しており、そして、光軸AXから径方向に所定の距離離れた周辺領域において、光軸AXを含む断面上で正の屈折力を有する領域を有している。また、第4レンズL4は、その像側に凸形状の部分が第5レンズL5における物体側の凹形状の部分内に入り込むように、第5レンズL5に対して近接して配置されている。これら第1ないし第5レンズL1〜L5は、両面が非球面であり、樹脂材料製レンズである。光学絞りSTは、第1レンズL1と第2レンズL2との間に配設される。そして、第5レンズL5の像側には、フィルタとしての平行平板FTを介して撮像素子SRの受光面が配置されている。
【0134】
このような構成の下で、物体側から入射した光線は、光軸AXに沿って、順に第1レンズL1、光学絞りST、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5および平行平板FTを通過し、撮像素子SRの受光面に物体の光学像を形成する。そして、撮像素子SRでは、光学像が電気的な信号に変換され、この電気信号は、実施例1と同様に適宜に処理される。
【0135】
実施例2の撮像光学系1Bにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0136】
数値実施例2
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* 2.256 0.580 1.54470 56.15
2* 85.922 0.100
3(絞り) ∞ 0.150
4* 5.238 0.300 1.63200 23.41
5* 2.239 0.290
6* -28.744 0.639 1.54470 56.15
7* -2.649 可変
8* -2.762 0.913 1.54470 56.15
9* -1.045 0.362
10* -2.862 0.300 1.54470 56.15
11* 1.550 0.600
12 ∞ 0.300 1.51633 64.14
13 ∞ 0.210
像面 ∞
非球面データ
第1面
K=-5.5196e-002,A4=-3.9020e-003,A6=-9.4896e-005,A8=-1.5672e-003,A10=-2.4317e-003,A12=3.0294e-003,A14=-2.7363e-003
第2面
K=-2.0000e+002,A4=-1.5750e-002,A6=1.0718e-002,A8=-8.2950e-003,A10=-2.7385e-003,A12=-6.4496e-003,A14=4.8470e-003
第4面
K=-5.8697e+001,A4=-3.4478e-002,A6=3.3542e-002,A8=-6.3869e-002,A10=4.0310e-002,A12=-9.5319e-003,A14=-2.1290e-003
第5面
K=-6.1068e+000,A4=-2.3813e-003,A6=4.5090e-002,A8=-2.1074e-002,A10=-2.1426e-002,A12=2.7588e-002,A14=-8.7929e-003,A16=-2.1411e-004
第6面
K=2.3961e+001,A4=-2.5352e-002,A6=6.5023e-003,A8=1.6722e-002,A10=4.8452e-003,A12=1.6567e-003,A14=-3.0333e-003
第7面
K=1.5028e+000,A4=-2.2072e-002,A6=1.7676e-002,A8=-1.4579e-002,A10=5.7065e-003,A12=1.9502e-003,A14=5.4302e-004
第8面
K=6.5978e-001,A4=-6.0721e-002,A6=3.8714e-002,A8=-7.1908e-003,A10=-1.2013e-003,A12=7.4111e-004,A14=-9.8964e-005
第9面
K=-3.4574e+000,A4=-7.5959e-002,A6=2.9136e-002,A8=-2.3224e-003,A10=-2.6804e-005,A12=-8.1038e-005,A14=1.2919e-005
第10面
K=-2.4507e+001,A4=-4.7317e-002,A6=9.6746e-003,A8=-6.0653e-005,A10=-1.5348e-004,A12=1.6745e-005,A14=-5.6620e-007
第11面
K=-9.1209e+000,A4=-2.6350e-002,A6=4.4494e-003,A8=-7.3730e-004,A10=8.2386e-005,A12=-6.0683e-006,A14=2.3541e-007
各種データ
焦点距離(Fl) 4.318 (mm)
Fナンバ(Fno) 2.807
画角(半画角)W 39.790 (deg)
像高(Y) 3.658 (mm)
レンズ全長(TL) 5.437 (mm)
バックフォーカス(BF) 1.010
各レンズの焦点距離(mm)
第1レンズL1 4.243
第2レンズL2 -6.437
第3レンズL3 5.310
第4レンズL4 2.600
第5レンズL5 -1.802
【0137】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例2の撮像光学系1Bにおける球面収差(正弦条件)、非点収差および歪曲収差を図11に示す。
【実施例3】
【0138】
図7は、実施例3における撮像光学系におけるレンズの配列を示す断面図である。図12は、実施例3における撮像光学系の収差図である。
【0139】
実施例3の撮像光学系1Cは、図7に示すように、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に配置され、フォーカシング(ピント合わせ)の際には、第4および第5レンズL4、L5が所定の像面に対して固定され、第1ないし第3レンズL1〜L3が一体に繰り出されて光軸方向に移動する。
【0140】
より詳しくは、実施例3の撮像光学系1Cは、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に、次のように構成されている。
【0141】
第1レンズL1は、物体側に凸形状であって凸面を向けた、物体側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、第2レンズL2は、像側に凹の負の屈折力を有する負メニスカスレンズであり、第3レンズL3は、両凸の正の屈折力を有する正レンズであり、第4レンズL4は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、そして、第5レンズL5は、像側に凹形状であって凹面を向けた両凹の負レンズである。さらに、第5レンズL5は、中心軸(光軸AX)に沿ったレンズ断面の輪郭線において光軸AXの交点から有効領域端に向かった場合に光軸AXの交点位置を除く位置に垂接点IPC、IPCを持つ非球面形状を有しており、そして、光軸AXから径方向に所定の距離離れた周辺領域において、光軸AXを含む断面上で正の屈折力を有する領域を有している。また、第4レンズL4は、その像側に凸形状の部分が第5レンズL5における物体側の凹形状の部分内に入り込むように、第5レンズL5に対して近接して配置されている。これら第1ないし第5レンズL1〜L5は、両面が非球面であり、樹脂材料製レンズである。光学絞りSTは、第1レンズL1と第2レンズL2との間に配設される。そして、第5レンズL5の像側には、フィルタとしての平行平板FTを介して撮像素子SRの受光面が配置されている。
【0142】
このような構成の下で、物体側から入射した光線は、光軸AXに沿って、順に第1レンズL1、光学絞りST、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5および平行平板FTを通過し、撮像素子SRの受光面に物体の光学像を形成する。そして、撮像素子SRでは、光学像が電気的な信号に変換され、この電気信号は、実施例1と同様に適宜に処理される。
【0143】
実施例3の撮像光学系1Cにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0144】
数値実施例3
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* 2.249 0.565 1.54470 56.15
2* 20.827 0.105
3(絞り) ∞ 0.150
4* 5.950 0.300 1.63200 23.41
5* 2.312 0.273
6* 11.796 0.752 1.54470 56.15
7* -2.898 可変
8* -2.945 0.793 1.54470 56.15
9* -1.043 0.196
10* -2.812 0.545 1.54470 56.15
11* 1.435 0.600
12 ∞ 0.300 1.51633 64.14
13 ∞ 0.100
像面 ∞
非球面データ
第1面
K=-1.3904e-001,A4=-5.0951e-003,A6=-4.8601e-004,A8=-2.1052e-003,A10=-2.1626e-003,A12=3.3772e-003,A14=-2.7617e-003
第2面
K=-2.0000e+002,A4=-3.3072e-002,A6=1.9291e-002,A8=-4.4768e-003,A10=-4.7340e-003,A12=-1.1427e-002,A14=8.5770e-003
第4面
K=-1.2303e+002,A4=-6.2515e-002,A6=2.9221e-002,A8=-9.3553e-003,A10=8.8444e-003,A12=-9.5319e-003,A14=-2.1290e-003
第5面
K=-9.9659e+000,A4=-1.0816e-002,A6=4.9989e-002,A8=-1.5215e-002,A10=-2.2622e-002,A12=2.2819e-002,A14=-6.0890e-003,A16=-2.1411e-004
第6面
K=2.1422e+001,A4=-2.0245e-002,A6=9.2255e-003,A8=7.5511e-003,A10=-1.8692e-003,A12=-7.9787e-004,A14=2.9551e-004
第7面
K=1.2953e+000,A4=-1.5370e-002,A6=1.1667e-002,A8=-1.1284e-002,A10=4.9178e-003,A12=1.0355e-004,A14=6.6195e-005
第8面
K=9.1755e-001,A4=-6.4739e-002,A6=3.4622e-002,A8=-6.8981e-003,A10=-1.1224e-003,A12=7.3036e-004,A14=-1.1521e-004
第9面
K=-3.5511e+000,A4=-7.3798e-002,A6=2.7677e-002,A8=-2.4511e-003,A10=-2.8452e-005,A12=-7.7798e-005,A14=1.3865e-005
第10面
K=-1.8068e+001,A4=-4.9726e-002,A6=9.7177e-003,A8=-4.2858e-005,A10=-1.5254e-004,A12=1.6726e-005,A14=-5.4561e-007
第11面
K=-8.0016e+000,A4=-2.3635e-002,A6=4.7273e-003,A8=-7.4075e-004,A10=7.9828e-005,A12=-6.2352e-006,A14=2.4094e-007
各種データ
焦点距離(Fl) 4.248 (mm)
Fナンバ(Fno) 2.805
画角(半画角)W 40.288 (deg)
像高(Y) 3.658 (mm)
レンズ全長(TL) 5.452 (mm)
バックフォーカス(BF) 0.898
各レンズの焦点距離(mm)
第1レンズL1 4.580
第2レンズL2 -6.179
第3レンズL3 4.349
第4レンズL4 2.584
第5レンズL5 -1.669
【0145】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例3の撮像光学系1Cにおける球面収差(正弦条件)、非点収差および歪曲収差を図12に示す。
【実施例4】
【0146】
図8は、実施例4における撮像光学系におけるレンズの配列を示す断面図である。図13は、実施例4における撮像光学系の収差図である。
【0147】
実施例4の撮像光学系1Dは、図8に示すように、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に配置され、フォーカシング(ピント合わせ)の際には、第4および第5レンズL4、L5が所定の像面に対して固定され、第1ないし第3レンズL1〜L3が一体に繰り出されて光軸方向に移動する。
【0148】
より詳しくは、実施例4の撮像光学系1Dは、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に、次のように構成されている。
【0149】
第1レンズL1は、物体側に凸形状であって凸面を向けた、物体側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、第2レンズL2は、像側に凹の負の屈折力を有する負メニスカスレンズであり、第3レンズL3は、両凸の正の屈折力を有する正レンズであり、第4レンズL4は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、そして、第5レンズL5は、像側に凹形状であって凹面を向けた両凹の負レンズである。さらに、第5レンズL5は、中心軸(光軸AX)に沿ったレンズ断面の輪郭線において光軸AXの交点から有効領域端に向かった場合に光軸AXの交点位置を除く位置に垂接点IPD、IPDを持つ非球面形状を有しており、そして、光軸AXから径方向に所定の距離離れた周辺領域において、光軸AXを含む断面上で正の屈折力を有する領域を有している。また、第4レンズL4は、その像側に凸形状の部分が第5レンズL5における物体側の凹形状の部分内に入り込むように、第5レンズL5に対して近接して配置されている。これら第1ないし第5レンズL1〜L5は、両面が非球面であり、樹脂材料製レンズである。光学絞りSTは、第1レンズL1と第2レンズL2との間に配設される。そして、第5レンズL5の像側には、フィルタとしての平行平板FTを介して撮像素子SRの受光面が配置されている。
【0150】
このような構成の下で、物体側から入射した光線は、光軸AXに沿って、順に第1レンズL1、光学絞りST、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5および平行平板FTを通過し、撮像素子SRの受光面に物体の光学像を形成する。そして、撮像素子SRでは、光学像が電気的な信号に変換され、この電気信号は、実施例1と同様に適宜に処理される。
【0151】
実施例4の撮像光学系1Dにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0152】
数値実施例4
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* 2.356 0.533 1.54470 56.15
2* 17.146 0.105
3(絞り) ∞ 0.150
4* 5.113 0.300 1.63200 23.41
5* 2.230 0.219
6* 11.303 0.770 1.54470 56.15
7* -2.496 可変
8* -4.350 0.754 1.54470 56.15
9* -1.016 0.203
10* -1.751 0.300 1.54470 56.15
11* 1.451 0.600
12 ∞ 0.300 1.51633 64.14
13 ∞ 0.100
像面 ∞
非球面データ
第1面
K=-3.3975e-001,A4=-8.0710e-003,A6=-4.5206e-004,A8=-3.0556e-003,A10=-6.7339e-004,A12=4.1125e-003,A14=-3.9526e-003
第2面
K=-1.8562e+002,A4=-4.5197e-002,A6=2.6837e-002,A8=7.0199e-004,A10=-8.9397e-003,A12=-2.0373e-002,A14=1.4308e-002
第4面
K=-1.0295e+002,A4=-7.7704e-002,A6=2.2556e-002,A8=-8.7057e-004,A10=1.0426e-002,A12=-9.5319e-003,A14=-2.1290e-003
第5面
K=-1.1142e+001,A4=-2.0122e-002,A6=5.0666e-002,A8=-1.0902e-002,A10=-2.5674e-002,A12=1.8082e-002,A14=-1.8686e-003,A16=-2.1411e-004
第6面
K=-2.3920e+001,A4=-2.1024e-002,A6=1.9440e-002,A8=9.7586e-003,A10=-3.1907e-003,A12=-2.6916e-003,A14=1.2810e-003
第7面
K=1.1237e+000,A4=-1.5128e-002,A6=1.2625e-002,A8=-8.8343e-003,A10=4.6876e-003,A12=-2.5871e-004,A14=7.9000e-004
第8面
K=1.2744e+000,A4=-8.2734e-002,A6=3.3559e-002,A8=-6.3643e-003,A10=-1.2614e-003,A12=6.7771e-004,A14=-1.5198e-004
第9面
K=-4.2066e+000,A4=-7.8037e-002,A6=2.7347e-002,A8=-2.6016e-003,A10=-9.9851e-005,A12=-9.4276e-005,A14=1.4092e-005
第10面
K=-8.0123e+000,A4=-6.6292e-002,A6=9.0513e-003,A8=4.6582e-005,A10=-1.2470e-004,A12=2.0201e-005,A14=-6.9807e-007
第11面
K=-1.1073e+001,A4=-2.6837e-002,A6=4.8630e-003,A8=-7.7766e-004,A10=7.4539e-005,A12=-6.3817e-006,A14=3.4234e-007
各種データ
焦点距離(Fl) 4.080 (mm)
Fナンバ(Fno) 2.806
画角(半画角)W 41.648 (deg)
像高(Y) 3.658 (mm)
レンズ全長(TL) 5.171 (mm)
バックフォーカス(BF) 0.898
各レンズの焦点距離(mm)
第1レンズL1 4.952
第2レンズL2 -6.522
第3レンズL3 3.829
第4レンズL4 2.254
第5レンズL5 -1.410
【0153】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例4の撮像光学系1Dにおける球面収差(正弦条件)、非点収差および歪曲収差を図13に示す。
【実施例5】
【0154】
図9は、実施例5における撮像光学系におけるレンズの配列を示す断面図である。図14は、実施例5における撮像光学系の収差図である。
【0155】
実施例5の撮像光学系1Eは、図9に示すように、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に配置され、フォーカシング(ピント合わせ)の際には、第4および第5レンズL4、L5が所定の像面に対して固定され、第1ないし第3レンズL1〜L3が一体に繰り出されて光軸方向に移動する。
【0156】
より詳しくは、実施例5の撮像光学系1Eは、第1ないし第5レンズL1〜L5が物体側から像側へ順に、次のように構成されている。
【0157】
第1レンズL1は、物体側に凸形状であって凸面を向けた、物体側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、第2レンズL2は、像側に凹の負の屈折力を有する負メニスカスレンズであり、第3レンズL3は、両凸の正の屈折力を有する正レンズであり、第4レンズL4は、像側に凸の正の屈折力を有する正メニスカスレンズであり、そして、第5レンズL5は、像側に凹形状であって凹面を向けた両凹の負レンズである。さらに、第5レンズL5は、中心軸(光軸AX)に沿ったレンズ断面の輪郭線において光軸AXの交点から有効領域端に向かった場合に光軸AXの交点位置を除く位置に垂接点IPE、IPEを持つ非球面形状を有しており、そして、光軸AXから径方向に所定の距離離れた周辺領域において、光軸AXを含む断面上で正の屈折力を有する領域を有している。また、第4レンズL4は、その像側に凸形状の部分が第5レンズL5における物体側の凹形状の部分内に入り込むように、第5レンズL5に対して近接して配置されている。これら第1ないし第5レンズL1〜L5は、両面が非球面であり、樹脂材料製レンズである。光学絞りSTは、第1レンズL1と第2レンズL2との間に配設される。そして、第5レンズL5の像側には、フィルタとしての平行平板FTを介して撮像素子SRの受光面が配置されている。
【0158】
このような構成の下で、物体側から入射した光線は、光軸AXに沿って、順に第1レンズL1、光学絞りST、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5および平行平板FTを通過し、撮像素子SRの受光面に物体の光学像を形成する。そして、撮像素子SRでは、光学像が電気的な信号に変換され、この電気信号は、実施例1と同様に適宜に処理される。
【0159】
実施例5の撮像光学系1Eにおける、各レンズのコンストラクションデータを以下に示す。
【0160】
数値実施例5
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1* 1.944 0.313 1.54470 56.15
2* 7.697 0.140
3(絞り) ∞ 0.150
4* 4.736 0.233 1.63200 23.41
5* 2.133 0.253
6* 12.714 0.708 1.54470 56.15
7* -2.549 可変
8* -4.690 0.672 1.54470 56.15
9* -0.945 0.187
10* -1.558 0.332 1.54470 56.15
11* 1.402 0.600
12 ∞ 0.300 1.51633 64.14
13 ∞ 0.100
像面 ∞
非球面データ
第1面
K=3.9797e-004,A4=-2.7293e-003,A6=7.1174e-003,A8=-1.1611e-004,A10=5.8533e-003,A12=1.0141e-002,A14=-8.0323e-003
第2面
K=5.8354e+000,A4=-3.7434e-002,A6=2.5851e-002,A8=7.8731e-003,A10=-7.7008e-004,A12=-1.8181e-002,A14=9.1211e-003
第4面
K=-9.8549e+001,A4=-9.6661e-002,A6=1.7448e-002,A8=1.4824e-002,A10=-7.4353e-004,A12=-9.5317e-003,A14=-2.1290e-003
第5面
K=-1.1882e+001,A4=-2.0953e-002,A6=5.6183e-002,A8=-6.9163e-003,A10=-2.8739e-002,A12=1.2738e-002,A14=3.8297e-003,A16=-2.1413e-004
第6面
K=1.3778e+001,A4=-1.7785e-002,A6=1.7964e-002,A8=9.2277e-003,A10=-2.6895e-003,A12=-2.4118e-003,A14=1.1988e-003
第7面
K=1.1693e+000,A4=-1.6238e-002,A6=1.0699e-002,A8=-8.4334e-003,A10=4.9182e-003,A12=-1.3302e-004,A14=1.0244e-003
第8面
K=5.7321e-001,A4=-7.9532e-002,A6=3.0924e-002,A8=-6.2707e-003,A10=-1.2499e-003,A12=6.5619e-004,A14=-1.7383e-004
第9面
K=-4.1331e+000,A4=-7.5389e-002,A6=2.6391e-002,A8=-2.8843e-003,A10=-1.3616e-004,A12=-1.0940e-004,A14=1.0527e-005
第10面
K=-8.1224e+000,A4=-6.9352e-002,A6=7.1221e-003,A8=-1.7924e-004,A10=-1.3262e-004,A12=2.2797e-005,A14=1.2593e-006
第11面
K=-1.1488e+001,A4=-2.7864e-002,A6=4.9094e-003,A8=-7.9815e-004,A10=7.3742e-005,A12=-6.3899e-006,A14=3.6542e-007
各種データ
焦点距離(Fl) 3.956 (mm)
Fナンバ(Fno) 2.806
画角(半画角)W 42.394 (deg)
像高(Y) 3.658 (mm)
レンズ全長(TL) 4.872 (mm)
バックフォーカス(BF) 0.898
各レンズの焦点距離(mm)
第1レンズL1 4.686
第2レンズL2 -6.363
第3レンズL3 3.963
第4レンズL4 2.043
第5レンズL5 -1.303
【0161】
以上のようなレンズ配置、構成のもとでの、実施例5の撮像光学系1Eにおける球面収差(正弦条件)、非点収差および歪曲収差を図14に示す。
【0162】
上記に列挙した実施例1〜5の撮像光学系1A〜1Eに、上述した条件式(1)〜(9)を当てはめた場合の数値を、それぞれ、表1に示す。
【0163】
【表1】

【0164】
以上、説明したように、上記実施例1〜5における撮像光学系1A〜1Eは、5枚のレンズ構成であって、上述の各条件を満足している結果、従来の光学系より、より小型化を図りつつ、諸収差をより良好に補正することができる。そして、上記実施例1〜5における撮像光学系1A〜1Eは、撮像装置21およびデジタル機器3に搭載する上で、特に携帯端末5に搭載する上で小型化が充分に達成され、また、高画素な撮像素子18を採用することができる。
【0165】
例えば、8Mピクセルや10Mピクセルや16Mピクセル等の約8M〜16Mピクセルのクラス(グレード)の高画素な撮像素子18は、撮像素子18のサイズが一定の場合には画素ピッチが短くなるため(画素面積が狭くなるため)、撮像光学系1A〜1Eは、この画素ピッチに応じた解像度が必要となり、その所要の解像度で例えばMTFで撮像光学系1を評価した場合に例えば仕様等によって規定された所定の範囲内に諸収差を抑える必要があるが、上記実施例1〜5における撮像光学系1A〜1Eは、各収差図に示す通り、所定の範囲内で諸収差が抑えられている。したがって、上記実施例1〜5における撮像光学系1A〜1Eは、良好に諸収差を補正しているので、例えば5M〜8Mピクセルのクラスの撮像素子18に好適に用いられる。
【0166】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0167】
AX 光軸
1、1A〜1E 撮像光学系
3 デジタル機器
5 携帯電話機
11、L1 第1レンズ
12、L2 第2レンズ
13、L3 第3レンズ
14、L4 第4レンズ
15、L5 第5レンズ
18、SR 撮像素子
21 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、
物体側に凸の正の屈折力を有する第1レンズと、
負の屈折力を有する第2レンズと、
所定の屈折力を有する第3および第4レンズと、
負の屈折力を有し、像側に凹であって、中心軸に沿ったレンズ断面の輪郭線において前記中心軸の交点から有効領域端に向かった場合に前記中心軸の交点位置を除く位置に垂接点を持つ非球面形状を有する第5レンズとからなり、下記(1)ないし(4)の条件式を満たすことを特徴とする撮像光学系。
0.2<|f5/f|<0.5 ・・・(1)
1<|z5o/t5|<4 ・・・(2)
2.5<p5e/p5c<5 ・・・(3)
0.63<Y/TL<0.9 ・・・(4)
ただし、
f5:第5レンズの焦点距離
f:撮像光学系全系の焦点距離
z5o:最大画角主光線での第5レンズにおける物体側面のサグ量(面頂点からの変位量)
t5:第5レンズの芯厚
p5e:最大画角主光線での第5レンズ内におけるe線光路長
p5c:軸上主光線での第5レンズ内におけるc線光路長
Y:最大像高
TL:撮像光学系の光学全長
【請求項2】
下記(5)の条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学系。
0.1<R5r/f<2 ・・・(5)
ただし、
R5r:第5レンズにおける像側面の曲率半径(像側凹形状の場合をプラス(正)とする)
f:撮像光学系全系の焦点距離
【請求項3】
前記第2レンズは、像側が凹形状であること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像光学系。
【請求項4】
前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置される開口絞りをさらに有すること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【請求項5】
下記(6)の条件式を満たすことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の撮像光学系。
1.1<|f2/f|<1.7 ・・・(6)
ただし、
f2:第2レンズの焦点距離
f:撮像光学系全系の焦点距離
【請求項6】
下記(7)の条件式を満たすことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の撮像光学系。
0.3<f34/f<0.7 ・・・(7)
ただし、
f34:第3および第4レンズの合成焦点距離
f:撮像光学系全系の焦点距離
【請求項7】
下記(8)の条件式を満たすことを特徴とする請求項6に記載の撮像光学系。
0.8<f1/f<1.5 ・・・(8)
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離
f:撮像光学系全系の焦点距離
【請求項8】
下記(9)の条件式を満たすことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の撮像光学系。
0.6t23/t12<2 ・・・(9)
ただし、
t23:第2レンズと第3レンズとの間における空気での軸上間隔
t12:第1レンズと第2レンズとの間における空気での軸上間隔
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の撮像光学系と、
光学像を電気的な信号に変換する撮像素子とを備え、
前記撮像光学系が前記撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成可能とされていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像装置と、
前記撮像装置に被写体の静止画撮影および動画撮影の少なくとも一方の撮影を行わせる制御部とを備え、
前記撮像装置の撮像光学系が、前記撮像素子の撮像面上に前記被写体の光学像を形成可能に組み付けられていること
を特徴とするデジタル機器。
【請求項11】
携帯端末から成ること
を特徴とする請求項10に記載のデジタル機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−203234(P2012−203234A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68208(P2011−68208)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】