説明

撮像素子

【課題】反射回折光によるゴーストの発生を効果的に抑制可能な撮像素子を実現する。
【解決手段】撮像素子10の第1画素101においては、アレイレンズ16の一部である第1マイクロレンズ161が厚く、入射光Lの反射光路長が長い。これに対し、第2、第3画素102、103では、アレイレンズ16の第2、第3画素領域162、163が第1マイクロレンズ161よりも薄いため、入射光Lの反射光路長が短い。このように反射光路長差を設けることにより、画素間で生じる回折光のコントラストを低下させ、反射回折ゴーストによる画像劣化を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子に関し、特にゴーストの発生を抑制可能な撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮影光学系に入射した光の一部がレンズ面間で反射し、撮像面に達することで発生するゴーストと呼ばれるノイズが知られている。また、近年のデジタルカメラ等に代表される固体撮像素子を用いたデジタル光学機器では、撮像素子表面にて発生するゴーストも知られている。
【0003】
このゴーストの発生を防止するために、撮像素子表面のアレイレンズに微細な凹凸形状を与えることにより、反射を抑制することも知られている(特許文献1参照)。また、撮像素子の光電変換素子表面に薄膜を設け、ゴーストの原因となる光電変換素子表面での反射を抑制することが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−332433号公報
【特許文献2】特開平01−298771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズの面間反射により生じる一般的なゴーストは、単体の円状、あるいは絞り羽根が作る多角形状の形態であり、ノイズではありながらも、映像表現の一部としてむしろ積極的に用いられることもある。
【0006】
しかしながら、近年、入射した光を光電変換して記録する固体撮像素子(以下、単に撮像素子と言う)が用いられるようになっている。そして、撮像素子に入射した光の一部が反射して撮像光学系に再入射し、撮像光学系内のレンズ面等によってさらに反射されて再び撮像素子に入射することによっても、ゴーストが生じることがある。
【0007】
この場合、CCD等の撮像素子を有するデジタル光学機器においては、撮像素子内部にて規則的に多数配置された光電変換素子が、光電変換素子表面に入射した光に対して反射型回折格子に似た作用をする。そのため、反射光は周期的に明暗が繰り返される強度分布を有し、その反射光がレンズ面等で再反射し、再度撮像素子に入射することで、光点が一定間隔に整列した水玉模様状のゴーストが発生し得る。
【0008】
この反射回折現象は前述の通り、光電変換素子部分での反射により生じるため、特許文献1の構成では抑制し得ない。また、この水玉模様のゴーストは、一般的な単体状のゴーストに比べて不自然で目立ちやすいため、例えば特許文献2の方法によって反射強度を小さくし、水玉模様の各粒は薄くできたとしてもなお、画像を劣化させてしまう。すなわち、従来のゴースト対策は、このような形態のゴーストに対する十分な解決手段とはなっていない。
【0009】
本発明は、反射強度を抑えるという従来例とは異なり、反射回折光による水玉模様状のゴーストを、一般的なゴーストのような単体状に変化させ、画像の劣化を効果的に抑制し得る撮像素子の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の撮像素子は、光電変換素子と光電変換素子を覆い入射する光を透過する第1の光学素子とを有し受光面上に配置される複数の第1の画素を備え、複数の第1の画素の中から選択した2つの第1の画素のペアである第1の画素ペアの中で一部の第1の画素ペアに含まれる2つの第1の画素の第1の光学素子の厚さに、第1の差が設けられることを特徴としている。
【0011】
なお、第1の光学素子は、第1の画素に入射する光を集光するマイクロレンズであることが好ましい。
【0012】
また、マイクロレンズの光電変換素子に相対する面である近位面の裏側の遠位面までの距離が、第1の光学素子の厚さに第1の差が設けられる第1の画素ペアを構成する2つの第1の画素において異なることが好ましい。
【0013】
また、第1の光学素子は第1の画素に入射する光の中の第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタであることが好ましい。
【0014】
また、第1の光学素子は光電変換素子の受光面上に配置されることが好ましい。
【0015】
また、第1の差が、1/2×(m1+1/4)×λ1÷(n11−n12)より大きく(m1は任意の整数、λ1は光電変換素子に入射すると想定した光の波長帯域の中央値近傍の波長、n11は第1の光学素子の屈折率、n12は第1の差を生じさせる空間に充填された物質の屈折率または空気の屈折率)、1/2×(m1+3/4)×λ1÷(n11−n12)より小さいことが好ましい。
【0016】
また、第1の差が、{1/2×(1/2)×λ1÷(n11−n12)}×1/2より大きく(λ1は光電変換素子に入射すると想定した光の波長帯域の中央値の波長、n11は第1の光学素子の屈折率、n12は第1の差を生じさせる空間に充填された物質の屈折率または空気の屈折率)、{1/2×(1/2)×λ1÷(n11−n12)}×3/2より小さいことが好ましい。
【0017】
また、第1の画素は第1の画素に入射する光の中の第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタを有し、第1の差が1/2×(m1+1/4)×λ2÷(n11−n12)より大きく(m1は任意の整数、λ2は第1の帯域の中央値の波長、n11は第1の光学素子の屈折率、n12は第1の差を生じさせる空間に充填された物質の屈折率または空気の屈折率)、1/2×(m1+3/4)×λ2÷(n11−n12)より小さいことが好ましい。
【0018】
また、第1の画素は第1の画素に入射する光の中の第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタを有し、第1の差が{1/2×(1/2)×λ2÷(n11−n12)}×1/2より大きく(λ2は第1の帯域の中央値の波長、n11は第1の光学素子の屈折率、n12は第1の差を生じさせる空間に充填された物質の屈折率または空気の屈折率)、{1/2×(1/2)×λ2÷(n11−n12)}×3/2より小さいことが好ましい。
【0019】
また、第1の差の範囲において、m1=−2、−1、0、1、2のいずれかであることが好ましい。
【0020】
また、第1の差が200nmから350nmであることが好ましい。さらには、第1の差が250nmから300nmであることが好ましい。
【0021】
また、第1の差を有する第1の画素ペアが光電変換素子の受光面内の所定の方向に沿って周期的に配列されていることが好ましい。
【0022】
また、所定の方向において任意の第1の画素と任意の第1の画素に最も近くに位置する第1の画素である隣接第1の画素とによって構成される第1の画素ペアの中で、第1の差が設けられる第1の画素ペアの数と第1の差が設けられない第1の画素ペアの数とが実質的に等しいことが好ましい。
【0023】
また、第1の画素が二次元配列されており、任意の第1の画素と任意の第1の画素の周囲8方向のそれぞれについて最も近くに位置する8つの隣接第1の画素のうち少なくとも1方向に沿って配置された隣接第1の画素とによって構成される第1の画素ペアの中で第1の差が設けられる第1の画素ペアの数と第1の差が設けられない第1の画素ペアの数とが実質的に等しいことが好ましい。
【0024】
また、第1の画素が二次元配列されており、任意の第1の画素と任意の第1の画素の周囲8方向のそれぞれについて最も近くに位置する8つの隣接第1の画素の周囲において隣接第1の画素の最も近くに位置する16個の第1の画素である再隣接第1の画素のうち少なくとも1方向に沿って配置された再隣接第1の画素とによって構成される第1の画素ペアの中で第1の差が設けられる第1の画素ペアの数と第1の差が設けられない第1の画素ペアの数とが実質的に等しいことが好ましい。
【0025】
また、第1の画素が二次元配列されており、互いに直交する第1、第2方向において4×4の16の第1の画素を含む第1の画素ユニット内において任意の第1の画素と任意の第1の画素の所定の方向において最も近くに位置する第1の画素とによって構成される第1の画素ペアの中で第1の差が設けられる第1の画素ペアの数と第1の差が設けられない第1の画素ペアの数とが実質的に等しく、撮像素子内には第1の画素ユニットが複数設けられていることが好ましい。
【0026】
また、光電変換素子は第1の帯域の光を光電変換する第1の光電変換素子と第1の帯域と異なる第2の帯域の光を光電変換する第2の光電変換素子とを有し、第1の光電変換素子が光電変換素子全体の受光面から最も離れて配置されるように第1、第2の光電変換素子は受光面に垂直な方向に沿って積層化され、第1の差は第1の帯域に含まれる波長に基づいて定められることが好ましい。
【0027】
また、光電変換素子と光電変換素子を覆い入射する光の中の第2の帯域の光を透過する第2の光フィルタと光電変換素子を覆い入射する光を透過する第2の光学素子とを有し受光面上に配置される複数の第2の画素を備え、第1の画素は光電変換素子を覆い入射する光の中の第2の帯域と異なる第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタを有し、複数の第2の画素の中から選択した2つの第2の画素のペアである第2の画素ペアの中で一部の第2の画素ペアに含まれる2つの第2の画素の第2の光学素子の厚さに第2の差が設けられることが好ましい。
【0028】
また、第1の差を設ける第1の画素ペアの位置が第1の配置規則に応じて定められ、第2の差を設ける第2の画素ペアの位置が第1の配置規則または第1の配置規則と異なる第2の配置規則に応じて定められることが好ましい。
【0029】
また、第1の差は第1の帯域に含まれる波長に基づいて定められ、第2の差は第2の帯域に含まれる波長に基づいて定められることが好ましい。あるいは、第1、第2の差が等しいことが好ましい。
【0030】
本発明の第2の撮像素子は、光電変換素子を有し受光面上に配置される複数の第1の画素を備え、複数の第1の画素の中で所定の周期で位置する第1の画素にのみ光電変換素子を覆い入射する光を透過する第1の光学素子が設けられることを特徴とする。
【0031】
本発明の第3の撮像素子は、光電変換素子と光電変換素子を覆い入射する光の中の第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタと光電変換素子を覆い入射する光を透過する第1のマイクロレンズとを有し受光面上に配置される複数の第1の画素と光電変換素子と光電変換素子を覆い入射する光の中の第1の帯域と異なる第2の帯域の光を透過する第2の光フィルタと光電変換素子を覆い入射する光を透過する第2のマイクロレンズとを有し受光面上に配置される複数の第2の画素とを備え、複数の第1の画素の中から選択した2つの第1の画素のペアである第1の画素ペアの中で一部の第1の画素ペアに含まれる2つの第1の画素の第1のマイクロレンズの厚さに第1の差が設けられ,複数の第2の画素の中から選択した2つの第2の画素のペアである第2の画素ペアの中で一部の第2の画素ペアに含まれる2つの第2の画素の第2のマイクロレンズの厚さに第2の差が設けられることが好ましい。
【0032】
なお、第1の差を有する第1の画素ペアが受光面内の第3の方向に沿って周期的に配列され、第2の差を有する第2の画素ペアが受光面内の第4の方向に沿って周期的に配列されることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、反射回折光による水玉模様状のゴーストを、一般的なゴーストのような単体状に変化させ、画像の劣化を効果的に抑制し得る撮像素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一般的なゴーストの原因となる入射光の反射を示す図である。
【図2】反射回折光によるゴーストの原因となる入射光の反射を示す図である。
【図3】第1の実施形態における撮像素子を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態における内部反射光路長を示す撮像素子の概略的な断面図である。
【図5】第1の実施形態の撮像素子により、回折角の角度が変化する状態を概略的に示す断面図である。
【図6】通常の撮像素子により生じる回折光と、本実施形態の撮像素子により拡散された回折光とを示す図である。
【図7】撮像素子の一部を概略的に示す平面図である。
【図8】撮像素子により生じる回折光を概略的に示す平面図である。
【図9】回折光の回折角の変化量と回折光のコントラストとの関係を概略的に示す図である。
【図10】撮像素子の一部における画素ごとの反射光路長付加の有無と、隣接する画素間の反射光路長差との関係を示す図である。
【図11】ベイヤー配列におけるR、G、Bの各画素を概略的に示す図である。
【図12】基準位置にある基準画素と、基準画素に対する隣接画素および再隣接画素の位置を示す図である。
【図13】第1の実施形態における画素の配置を示す画素配置図である。
【図14】第1の実施形態の基準画素と隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図15】第1の実施形態の基準画素と第1の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図16】第1の実施形態の基準画素と第2の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図17】第2の実施形態における画素の配置を示す画素配置図である。
【図18】第2の実施形態の基準画素と隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図19】第2の実施形態の基準画素と第1の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図20】第2の実施形態の基準画素と第2の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図21】第3の実施形態における画素の配置を示す画素配置図である。
【図22】第3の実施形態の基準画素と隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図23】第3の実施形態の基準画素と第1の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図24】第3の実施形態の基準画素と第2の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図25】第4の実施形態における画素の配置を示す画素配置図である。
【図26】第4の実施形態の基準画素と隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図27】第4の実施形態の基準画素と第1の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図28】第4の実施形態の基準画素と第2の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【図29】第5の実施形態の撮像素子の一部を示す画素配置図である。
【図30】第7〜第10の実施形態における画素の配置を示す画素配置図である。
【図31】第11の実施形態における撮像素子を示す断面図である。
【図32】第12の実施形態における撮像素子を示す断面図である。
【図33】第13の実施形態における撮像素子を示す断面図である。
【図34】特殊な画素配列におけるR、G、Bの各画素を概略的に示す図である。
【図35】第1の実施例における回折光のコントラストを示す図である。
【図36】第2の実施例における回折光のコントラストを示す図である。
【図37】第3の実施例における回折光のコントラストを示す図である。
【図38】第4の実施例における回折光のコントラストを示す図である。
【図39】比較例における回折光のコントラストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、一般的なゴーストの原因となる入射光の反射を示す図である。図2は、反射回折光によるゴーストの原因となる入射光の反射を示す図である。
【0036】
太陽Sから撮影装置(図示せず)の光学系に入射する入射光Lにより、被写体像にゴーストが生じることが知られている。例えば、図1に示されるように、撮影レンズ30の内部で反射された入射光Lが撮像素子40に入射することにより、ゴーストが生じ得る。このゴーストは、主に単体の円状、あるいは多角形状である。
【0037】
これに対し、入射光Lが撮像素子40によって反射される場合、図2に示されるように異なる角度に向かって進む複数の回折光DLが生じる。この回折光DLが、さらに撮影レンズ32によって反射されて再度、撮像素子40に入射すると、発生するゴーストは複数の明点が整列された水玉模様となる。
【0038】
このように、水玉模様を生じさせるため、反射回折ゴーストは、被写体像の評価を大きく低下させる傾向にある。そこで本実施形態では、以下のように、撮像素子の構造を改良することにより、水玉模様から、通常のゴーストのような単体状となるようにゴーストの形態を変化させ、画質に及ぼす悪影響を小さくしている。
【0039】
図3に示すように、第1の実施形態における撮像素子10は、光電変換素子12、カラーフィルタ14、およびアレイレンズ16を含む。撮像素子10に対する入射光Lは、撮像素子10の表面を覆うアレイレンズ16に最初に入射する。アレイレンズ16への入射光Lは、アレイレンズ16およびカラーフィルタ14を透過して光電変換素子12の受光面12Sに到達する。
【0040】
本実施形態において、光電変換素子12の一領域、カラーフィルタ14の一領域、およびアレイレンズ16の一領域は、互いに対応して一つの画素を構成する。
【0041】
撮像素子10においては、入射光Lの入射端、すなわちアレイレンズ16の表面から光電変換素子12までの距離の異なる複数の画素が、規則的に配置されている。
【0042】
例えば、第1画素101におけるアレイレンズ16の一部である第1マイクロレンズ161は、第2、第3の画素102、103におけるアレイレンズ16の一部である第2、第3マイクロレンズ162、163より厚くなるように形成される。また第2、第3マイクロレンズ162、163の厚さは互いに等しくなるように形成される。
【0043】
したがって、第1マイクロレンズ161の表面161Eから光電変換素子12までの距離D1より、第2、第3マイクロレンズ162、163から光電変換素子12までの距離D2、D3が短い。このようにアレイレンズ16を構成するマイクロレンズの被写体(物体)側の表面の位置が、一部の画素間で異なっている。
【0044】
マイクロレンズの表面位置の違いにより、以下に説明するように、第1画素101における内部反射光路長と、第2、第3画素102、103における内部反射光路長とが互いに異なっている。
【0045】
次に、内部反射光路長について説明する。内部反射光路長の説明のために、光電変換素子12の受光面に平行でアレイレンズ16よりも光電変換素子12から離れた平面が仮想平面Pに定められる(図4参照)。
【0046】
内部光路長は、光電変換素子12と仮想平面P(図4参照)との間の領域における、物質および空間の距離×屈折率の積分値である。内部反射光路長は、内部光路長を2倍した値である。なお、内部光路長の計算における物質および空間の距離は、マイクロレンズの頂点を通り光電変換素子12の受光面に垂直な直線における距離とする。
【0047】
例えば、図4においては、第1画素101の内部反射光路長RD1は、{(d0×1)+(d1×n1)+(d2×1)+(d3×n3)+(d4×1)}×2と計算される。また、第2画素102の内部反射光路長RD2は、{(d’0×1)+(d’1×n1)+(d2×1)+(d3×n3)+(d4×1)}×2と計算される。なお、上記および以下の演算式では、空気の屈折率を1としている。
【0048】
内部反射光路長RD1およびRD2の差である内部反射光路長差、すなわちRD2−RD1は、{(d0×1)+(d1×n1)−(d’0×1)−(d’1×n1)}2である。(d’0+d’1)=(d0+d1)であるため、内部反射光路長差(RD2−RD1)は、(d1−d’1)×(n1−1)×2と計算される。
【0049】
このように、本実施形態では、マイクロレンズの厚さが画素によって異なることにより、画素間に(アレイレンズ16の厚さの差)×(アレイレンズ16の屈折率−空気の屈折率)×2だけの内部反射光路長差が設けられる。
【0050】
画素間の内部反射光路長差を設けた撮像素子10においては、入射光Lの光電変換素子12における反射により生じる回折光DLの進行方向は、画素間で異なる。
【0051】
例えば、図5(A)に示すように、第2、第3画素102、103との間の内部反射光路長差はmλ(mは整数、λは光電変換素子への入射光の波長)であり、位相が同じである。位相の同じ第2、第3画素102、103との間に生じる第1回折光DL1は、破線で示されたように進む。
【0052】
これに対し、第1画素101と第2画素102との間の内部反射光路長差が(m+1/2)λとなるようにアレイレンズ16は形成され、位相差が生じる。位相の同じ第1、第2画素101、102との間に生じる第2回折光DL2は、太い実線で示された方向に向かって進む。
【0053】
第2回折光DL2の進む方向は、第1回折光DL1の各次数光の中間方向である。なお、位相差がない時の第1回折光DL1の整数次回折光の中間に、第2回折光DL2が進むことから、ここではこれを0.5次回折光と表現することにする。同様に、0.5次と整数次回折光の中間に進む回折光を、0.25次回折光と表現する。
【0054】
このように、内部反射光路長差を画素間に設けて回折光DLの回折光の方向を変化させることにより、回折光の進行方向にバリエーションを増やすことが出来る。例えば0.5次回折光を含んだ場合は、0次回折光と1次回折光との間の方向に0.5次光回折光が進行する。
【0055】
回折光の進行方向を増やすことにより反射回折ゴーストのコントラストを抑えることができる。回折光の進行方向を増やすことによりゴーストのコントラストが抑えられ得ることを、図6を用いて説明する。図6は、通常の撮像素子により生じる回折光と、本実施形態の撮像素子10により変化された回折光とを示す図である。
【0056】
いずれの画素間にも内部反射光路長差が設けられていない撮像素子40(図2参照)により生じる、進行方向がいずれも等しい回折光DLにおいては、図6(A)に示されたようにコントラストが高くなる。このため、複数の水玉模様が強調された反射回折ゴーストが生じ易い。
【0057】
これに対し、一部の回折光DLの進行方向を変化させ、異なる方向に進む回折光DLを混在させた本実施形態においては、図6(B)、さらには図6(C)に示されるように、回折光DLのコントラストが低下する。
【0058】
したがって、反射回折ゴーストが生じた場合においても、一定の範囲内に現れる水玉模様の数が増すことで水玉の一つ一つが目立ちにくくなり、また、反射回折ゴーストによる画像劣化を防止できる。このように本実施形態では、反射回折ゴーストが被写体像に与える影響を最小限に抑えたり、反射回折ゴーストの発生を実質的に防止することができる。
【0059】
次に、カラーフィルタの配置および色毎の回折光の広がりについて、それぞれ図7、8を用いて説明する。図7は、撮像素子10の一部を概略的に示す平面図である。図8は、撮像素子10により生じる回折光を概略的に示す平面図である。
【0060】
本実施形態の撮像素子10における画素の配置パターンは、ベイヤー配列である。すなわち、全ての画素が二次元配列されており、カラーフィルタ14(図3、5参照)の緑色領域が含まれる画素(緑色を含む所定範囲の波長のみを選択的に透過させるカラーフィルタが配置された画素、以下、G画素という)が縦方向、および横方向のいずれについても1画素おきに配置されている。そして2つのG画素間で、カラーフィルタ14の赤色領域が含まれる画素(赤色を含む所定範囲の波長のみを選択的に透過させるカラーフィルタが配置された画素、以下、R画素という)と、カラーフィルタ14の青色領域が含まれる画素(青色を含む所定範囲の波長のみを選択的に透過させるカラーフィルタが配置された画素、以下、B画素という)とのいずれかが、同数ずつ均等に配置されている。
【0061】
光電変換素子12における反射光は、カラーフィルタ14を透過することにより透過帯域の色光成分のみを有する。したがって、光電変換素子12の反射光による反射回折ゴーストは、同じ色のカラーフィルタ領域を有する画素間で発生し、異なる色のカラーフィルタ領域を有する画素間で生じない。例えば、R画素同士、G画素同士、およびB画素同士の間に回折光が生じる。
【0062】
次に、色毎の回折角について説明する。回折角とは、例えば、0次回折光と1次回折光の進行角度差、または1次回折光と2次回折光の進行角度差、のように隣の次数の回折光との進行角度差である。なお、回折光DL(図5参照)の回折角は、反射光波長/画素間距離により算出される。
【0063】
最も近くに配置されたR画素同士、あるいはB画素同士の中心点間の距離RD、BD、すなわち画素間距離は、例えば約10μmであり、この場合、G画素同士の画素間距離GDは約7μmである。
【0064】
カラーフィルタ14の赤色領域を透過する波長域の代表波長は630nmである。また、カラーフィルタ14の緑色領域を透過する波長域の代表波長は530nmである。また、カラーフィルタ14の青色領域を透過する波長域の代表波長は420nmである。
【0065】
従って、R画素により生じる回折光の回折角は、630nm/10μm=63radである(図8(A)参照)。また、G画素により生じる回折光の回折角が、530nm/7μm=76radで最も大きい(図8(B)参照)。また、B画素により生じる回折光の回折角が、420nm/10μm=42radで最も小さい(図8(C)参照)。このように、R、G、Bの画素ごとに生じる回折光DLの回折角が異なる。
【0066】
前述のように、光電変換素子12における反射光による回折光は、同じ色の画素間で生じる。それゆえ、本実施形態では、通過するカラーフィルタ14の各色領域に対して異なる内部反射光路長差が設けられている。すなわち、R画素同士に内部反射光路長差、G画素同士に内部反射光路長差、およびB画素同士に内部反射光路長差が設けられる。本実施形態では、コントラストの低減化効果を大きくするために、各色画素同士における反射光路長差が、(m+1/2)λ(mは整数、λはカラーフィルタ14の各色の代表波長)となるように、内部反射光路長差が定められる。
【0067】
例えばカラーフィルタ14の各色の透過帯域の代表波長を、R画素では630nm、G画素では530nm、B画素では420nmとして、色毎に内部反射光路長差が設けられる。
【0068】
なお、代表波長としては、カラーフィルタ14の各色領域に対する透過率のピークに対応する波長や、カラーフィルタ14の各色領域を透過する波長域の中心値などが採用され得るものの、概ね上述の値である。このように本実施形態では、入射光束を所定の波長域のみ選択的に透過させるカラーフィルタ14を用い、画素ごとに定められたカラーフィルタ14の分光透過特性に応じて、内部反射光路長が長い画素と短い画素が設けられる。
【0069】
図9は、ベイヤー配列から抜き出した同じ色の画素、例えばR画素のみにおける内部反射光路長差を設ける画素配列と、同じ色の画素同士により生じる回折光のコントラストとの関係を概略的に示す図である。
【0070】
図9(A)に示されるように、撮像素子10の全ての画素について内部反射光路長が等しい場合、回折光のコントラストは高い。この状態においては、上述の図5を例にとると、隣接する2画素間の内部反射光路長差に位相差は生じない。したがって、全ての2画素間から同じ方向(破線参照)に向かう第1回折光DL1が生じている。これらの回折光は、同じ方向に進み同じ個所に明点を作るために、コントラストの高い回折パターンが発生する。
【0071】
これに対し、一部の画素に、隣接する画素に対して内部反射光路長差を設けることにより、図9(B)に示されたように、回折光のコントラストがやや低下する。なお図9(B)〜(E)においては、内部反射光路長を付加した画素(以下、反射光路長付加画素という)には、斜線が引かれる。
【0072】
さらに、図9(C)に示されるように、半分の画素に対して内部反射光路長差を設けると、回折光のコントラストが大きく低下する。この状態においては、上述の図5を例にとると、半分の2画素間から同じ方向(破線参照)に向かう第1回折光DL1が生じ、別の半分の2画素間からは第1回折光DL1と異なる方向(実線参照)に向かう第2回折光DL2が生じる。そして、一方の回折光が、他方の回折光の届かない暗い領域に到達するため、回折光のコントラストが、最小化される。
【0073】
隣接する画素に対して内部反射光路長を付加した画素が半分(図9(C)参照)よりも多い場合(図9(D)参照)では、回折光DLのコントラストが高まる。さらに、全ての画素に対して、内部反射光路長を付加した(図9(E)参照)場合は、回折光DLのコントラストがより高くなる。
【0074】
なお、全ての画素に対して、内部反射光路長を付加した状態(図9(E)参照)は、全ての画素の内部反射光路長が等しい状態であって、上述の図5を例にとると、全ての2画素間から同じ方向(実線参照)に向かう第2回折光DL2が生じており、第1回折光DL1が生じていない。したがって、回折光の進む方向が図9(A)の状態から変化するものの、回折光DLのコントラストは、図9(A)に示された状態と同レベルになる。
【0075】
以上のことから明らかであるように、一部の画素間でのみ内部反射光路長差を設けて回折光の進行方向を変化させることが必要である。特に、内部反射光路長差は全画素中の半数の画素間で設けることが望ましいと考えられる。
【0076】
たとえば、整数次回折光と0.5次回折光が、等量混在することで、見かけ上の回折角が丁度半分になったように見えるのである。この点をふまえた上で、本実施形態における反射光路長付加画素の配置およびその際の内部反射光路長差につき、以下に説明する。
【0077】
本実施形態における画素の配置とその効果を、画素配置図および反射光路長差図を用いて説明する。画素配置図および反射光路長差図の例を、図10を用いて説明する。また、図11を用いて基準画素に対する隣接画素および再隣接画素の定義を説明する。
【0078】
図10は、撮像素子10の一部における画素ごとの内部反射光路長付加の有無と、隣接する画素間の内部反射光路長差との関係を示す図である。なお、上述のように、カラーフィルタ14の色毎に反射光路長付加画素を配置する必要があり、図10および以後の説明における反射光路長付加画素の配置図はR画素に関する配置図とする。ただし、B画素およびG画素に関しても、内部光路長付加の配置はR画素と同様である。
【0079】
なお、R画素およびB画素を抽出した場合には、図11に示すようにR画素およびB画素同士それぞれは、上下左右に並ぶ行列を形成する。それゆえ、B画素における光路長付加画素の配置はR画素と同じである。また、ベイヤー配列全体を45°回転させた状態においてG画素は、図11に示すように上下左右に並ぶ行列を形成する。それゆえ、G画素における反射光路長付加画素の配置は、45°回転させた状態でR画素と同じ配置にすればよい。
【0080】
図10(A)において、撮像素子10には、内部光路長がより短い通常画素(白抜き画素参照)と、内部光路長がより長い反射光路長付加画素(斜線付加画素参照)とが、設けられる。通常画素と反射光路長付加画素との間には、(m+1/2)λの内部反射光路長差が設けられる。
【0081】
なお、内部反射光路長とは、上述のように、内部光路長の2倍である。したがって、内部光路長が等しいということと、内部反射光路長が等しいということは同義である。なお、通常画素と反射光路長付加画素との間には、(m+1/2)λの内部反射光路長差が設けられることが理想的であるが、それよりも位相差が大小してもよい。すなわち、(m+1/2)λ(mは整数)よりも少し大小した内部反射光路長差が設けられればよい。
【0082】
図10(B)では、図10(A)のような画素配置において任意の画素と下方向に隣接する画素との2つの画素間での内部反射光路長差の有無を示す。図10(B)では、下方向に隣接する画素に対して上述の内部反射光路長差が設けられていない画素は、白抜きで表示される。一方、下方向に隣接する画素に対して上述の内部反射光路長差が設けられた画素は、斜線が付されている。
【0083】
例えば、図10(A)において、左上からI行(1)列目の画素I(1)と、その真下において隣接するII行(1)列目の画素II(1)との内部光路長は等しい。したがって、図10(B)において、I行(1)列目の画素I(1)に対応するA行a列目の画素Aaは白抜きで表示される。
【0084】
なお、本明細書における隣接する画素とは、上述のようにR画素同士、G画素同士、あるいはB画素同士の2つの画素について、互いに最も近い位置にある画素を含んでおり、互いに接触している画素には限定されない。
【0085】
また、図10(A)においてII行(1)列目の画素II(1)と、その真下において隣接するIII行(1)列目の画素III(1)との間には内部反射光路長差が設けられる。したがって、図10(B)において、II行(1)列目の画素に対応するB行a列目の画素Baには、斜線が付されている。
【0086】
図10(A)のように実際の画素の配置を示す図(以下、画素配置図という)と、図10(B)のように画素配置図中の2つの画素間の内部反射光路長差を示す図(以下、反射光路長差図という)を用いて、本実施形態の画素の配置および効果について、以下に説明する。
【0087】
なお、図10(B)においては、二次元に配列された画素の下方向に沿って隣接する画素同士における反射回折光の発生について着目し、内部反射光路長差の有無を示した。しかし、反射回折光を生じる画素は、基準画素PSの下方向に隣接する画素に限られない。
【0088】
図12(A)に示すように、基準画素PSの周囲の8画素である隣接画素それぞれと基準画素PSとの間においても反射回折光を生じる。さらには、8つの隣接画素の周囲の16画素である再隣接画素と、基準画素PSとの間においても反射回折光を生じる。
【0089】
なお、再隣接画素は、第1、第2の再隣接画素によって構成される。図12(B)において斜線を付されて示されるように、第1の再隣接画素は、基準画素PSから上下方向、左右方向、および上下方向または左右方向から45度傾斜した斜め方向に配置された8画素である。図12(C)において斜線を付されて示されるように、第2の再隣接画素は第1の再隣接画素以外の再隣接画素であって、2つの第1の再隣接画素に隣合う画素である。
【0090】
図13は、第1の実施形態の撮像素子10における画素の配置を示す画素配置図である。図14は、基準画素PSと隣接画素との間の反射光路長差図である。図15は、基準画素PSと第1の再隣接画素との間の反射光路長差図である。図16は、基準画素PSと第2の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【0091】
なお、上述のように、図13および以下の画素配置図では、二次元配列された多数の画素のうち、R画素のみを抽出して示している。なお、G画素およびB画素についての配置も同様である。上述のように、R画素、G画素、およびB画素間では、生じる回折角が異なっているからであり、本実施形態では、同じ色の透過帯域のカラーフィルタ領域を有する画素間での内部反射光路長差に着目している。
【0092】
図13および以下の画素配置図において、第1〜第4の配列線L1〜L4は基準画素PSを通って各方向に延びる仮想の線である。第1〜第4の配列線L1〜L4は、基準画素PSから下方向(L1)、右方向(L2)、右上方向(L3)、右下方向(L4)に延びる。第1、第2の配列線L1、L2は互いに直交している。また、第3、第4の配列戦L3、L4は互いに直交している。なお、撮像素子10においては、図13に示された画素配列が繰り返される。
【0093】
図14(A)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSと下方向L1に隣接する画素との2つの画素間での内部反射光路長差が示される。
【0094】
以後の説明において、基準画素PSに対して特定の位置の隣接画素および再隣接画素と基準画素とを画素ペアと呼ぶ。すなわち、図14(A)には、基準画素PSと下方向L1の隣接画素との画素ペアにおける内部反射光路長差の有無が示される。
【0095】
図14(A)に示すように、下方向L1に配置された隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアの数が等しい。なお、上方向に配置された隣接画素に対しても同様である。
【0096】
図14(B)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSと右方向L2に配置された隣接画素との2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図14(B)に示すように、右方向L2の隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいても、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0097】
図14(C)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSから右上方向L3に配置された隣接画素との2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図14(C)に示すように、右上方向L3の隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいても、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0098】
図14(D)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSから右下方向L4に配置された隣接画素との2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図14(D)に示すように、右下方向L4の隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいても、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0099】
図15(A)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSと下方向L1に配置された第1の再隣接画素との2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図15(A)に示すように、下方向L1の第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0100】
図15(B)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSと右方向L2に配置された第1の再隣接画素との2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図15(B)に示すように、右方向L2の第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0101】
図15(C)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSと右上方向L3に配置された第1の再隣接画素との2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図15(C)に示すように、右上方向L3の第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0102】
図15(D)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSと右下方向L4に配置された第1の再隣接画素との2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図15(D)に示すように、右下方向L4の第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0103】
図16(A)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSの下方向L1と右下方向L4に配置された2つの第1の再隣接画素に挟まれる第2の再隣接画素および基準画素PSの2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図16(A)に示すように、このような配置の第2の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0104】
図16(B)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSの上方向と右上方向L3に配置された2つの第1の再隣接画素に挟まれる第2の再隣接画素および基準画素PSの2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図16(B)に示すように、このような配置の第2の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0105】
図16(C)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSの右方向L2と右下方向L4に配置された2つの第1の再隣接画素に挟まれる第2の再隣接画素および基準画素PSの2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図16(C)に示すように、このような配置の第2の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0106】
図16(D)には、任意の画素を基準画素PSとして、基準画素PSの右方向L2と右上方向L3に配置された2つの第1の再隣接画素に挟まれる第2の再隣接画素および基準画素PSの2つの画素間での内部反射光路長差が示される。図16(D)に示すように、このような配置の第2の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアとの数は等しい。
【0107】
以上のように第1の実施形態では、全ての方向において、基準画素PSと隣接画素および第1、第2の再隣接画素との間で(m+1/2)λの内部反射光路長差を有する画素ペアと、反射光路長が等しい画素ペアとが同数ずつ存在する。
【0108】
また、本実施形態において、R画素、G画素、およびB画素毎に、通常画素と反射光路長付加画素が特定のパターン(図13参照)で上下方向と左右方向のそれぞれ4画素ずつ配置した画素ユニットが形成される。撮像素子10には画素ユニットが上下方向および左右方向に連続して繰返すように配置される。
【0109】
画素ユニットの大きさは、入射光Lの波長に応じた回折限界に基づいて定められる。すなわち、画素ユニットの大きさはエアリーディスクの径と実質的に同じになるように定められる。例えば、一般的に用いられる撮影レンズに対して、画素ユニットは、1辺の長さが概ね20〜30μm以下となるように定められる。
【0110】
このように、一般的な光学系を用いて入射光Lを集光させた際の光スポット(エアリーディスク)の大きさに概ね等しい画素ユニット内にて、内部反射光路差を有する画素ペアと内部反射光路が等しい画素ペアの数を上述のように調整することにより、回折光のコントラストを効率的に低減させることができる。
【0111】
以上のように第1の実施形態によれば、同一の透過帯域を有する画素間に位相差を生じるように内部反射光路長差を設けることにより、カラーフィルタ14より光電変換素子12側の部材における反射回折光のコントラストを低減させることが可能になる。反射回折光のコントラストを低減させることにより、反射回折ゴーストの発生を効果的に抑制できる。
【0112】
厚さが不均一なアレイレンズ16(図3参照)の作成は表面に微細な凹凸を設けるといった複雑な加工よりも簡易であり、このような複雑な加工に比べて製造の簡素化および製造コストの低減化が可能である。
【0113】
次に、本発明の第2の実施形態につき説明する。第2の実施形態では、通常画素と反射光路長付加画素の配置が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付す。
【0114】
図17は、第2の実施形態の撮像素子10における画素の配置を示す画素配置図である。図18は、基準画素PSと隣接画素との間の反射光路長差図である。図19は、基準画素PSと第1の再隣接画素との間の反射光路長差図である。図20は、基準画素PSと第2の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【0115】
図18(A)、(B)、(C)、および(D)には、それぞれ基準画素PSに対して下方向L1、右方向L2、右上方向L3、および右下方向L4の隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0116】
図18(A)〜(D)に示すように、基準画素PSに対して何れの方向の隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアの数は等しい。
【0117】
図19(A)、(B)、(C)、および(D)には、それぞれ基準画素PSに対して下方向L1、右方向L2、右上方向L3、および右下方向L4の第1の再隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0118】
図19(A)〜(D)に示すように、基準画素PSに対して何れの方向の第1の隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアが、内部反射光路長の等しい画素ペアよりも多い。なお、内部反射光路長差を有する画素ペアは全画素中の過半数であり、具体的には63%である。
【0119】
図20(A)〜(D)には、基準画素PSから図16(A)〜(D)と同じ方向に配置された第2の再隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0120】
図20(A)〜(D)に示すように、基準画素PSに対して何れの方向の第2の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアの数は等しい。
【0121】
以上のように第2の実施形態では、全ての方向において、基準画素PSと隣接画素および第2の再隣接画素との間で(m+1/2)λの内部反射光路長差を有する画素ペアと、反射光路長が等しい画素ペアとが同数ずつ存在する。ただし、全ての方向において第1の再隣接画素と基準画素PSとの間では、内部反射光路長差を有する画素ペアの数が多い。
【0122】
以上のような第2の実施形態によれば、同一の透過帯域を有する画素間に位相差を生じるように内部反射光路長差を設けることにより、カラーフィルタ14より光電変換素子12側の部材における反射回折光のコントラストを低減させることが可能になる。反射回折光のコントラストを低減させることにより、反射回折ゴーストの発生を効果的に抑制できる。
【0123】
なお、第1の実施形態と異なり、第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいては内部反射光路長差を有する画素ペアの方が多い。そのため、第1の実施形態に比べて反射回折ゴーストの抑制効果が低い。しかし、全画素の内部反射光路長が等しい構成に比べて十分な反射回折ゴーストの抑制効果が得られる。
【0124】
次に、第3の実施形態につき説明する。第3の実施形態では、通常画素と反射光路長付加画素の配置が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付す。
【0125】
図21は、第3の実施形態の撮像素子10における画素の配置を示す画素配置図である。図22は、基準画素PSと隣接画素との間の反射光路長差図である。図23は、基準画素PSと第1の再隣接画素との間の反射光路長差図である。図24は、基準画素PSと第2の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【0126】
図22(A)、(B)、(C)、および(D)には、それぞれ基準画素PSに対して下方向L1、右方向L2、右上方向L3、および右下方向L4の隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0127】
図22(A)〜(D)に示すように、基準画素PSに対して何れの方向の隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアの数は等しい。
【0128】
図23(A)、(B)、(C)、および(D)には、それぞれ基準画素PSに対して下方向L1、右方向L2、右上方向L3、および右下方向L4の第1の再隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0129】
図23(A)および(B)に示すように、基準画素PSに対して下方向L1および右方向L2の第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアの数は等しい。
【0130】
一方、図23(C)および(D)に示すように、基準画素PSに対して右上方向L3および右下方向L4の第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいては、すべての画素ペアが内部反射光路長差を有する。
【0131】
したがって、第3の実施形態においては、全方向の第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアの中で、内部反射光路長差を有する画素ペアが全体の75%を占め、内部反射光路長の等しい画素ペアは25%を占めている。
【0132】
図24(A)〜(D)には、基準画素PSから図16(A)〜(D)と同じ方向に配置された第2の再隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0133】
図24(A)〜(D)に示すように、基準画素PSに対して何れの方向の第2の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアの数は等しい。
【0134】
以上のように第3の実施形態では、全ての方向において、基準画素PSと隣接画素および第2の再隣接画素との間で(m+1/2)λの内部反射光路長差を有する画素ペアと、反射光路長が等しい画素ペアとが同数ずつ存在する。ただし、第1の再隣接画素と基準画素との間では、内部販社光路長差を有する画素ペアの数が第2の実施形態よりもさらに多い。
【0135】
以上のように第3の実施形態によれば、同一の透過帯域を有する画素間に位相差を生じるように内部反射光路長差を設けることにより、カラーフィルタ14より光電変換素子12側の部材における反射回折光のコントラストを低減させることが可能になる。反射回折光のコントラストを低減させることにより、反射回折ゴーストの発生を効果的に抑制できる。
【0136】
なお、第1の実施形態と異なり、第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいては内部反射光路長差を有する画素ペアの方が多く、その割合は第2の実施形態より大きい。そのため、第1、第2の実施形態に比べて反射回折ゴーストの抑制効果が低い。しかし、全画素の内部反射光路長が等しい構成に比べて十分な反射回折ゴーストの抑制効果が得られる。
【0137】
次に、第4の実施形態につき説明する。第4の実施形態では、通常画素と反射光路長付加画素の配置が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付す。
【0138】
図25は、第4の実施形態の撮像素子10における画素の配置を示す画素配置図である。図26は、基準画素PSと隣接画素との間の反射光路長差図である。図27は、基準画素PSと第1の再隣接画素との間の反射光路長差図である。図28は、基準画素PSと第2の再隣接画素との間の反射光路長差図である。
【0139】
図26(A)、(B)、(C)、および(D)には、それぞれ基準画素PSに対して下方向L1、右方向L2、右上方向L3、および右下方向L4の隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0140】
図26(A)〜(D)に示すように、基準画素PSに対して何れの方向の隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアの数は等しい。
【0141】
図27(A)、(B)、(C)、および(D)には、それぞれ基準画素PSに対して下方向L1、右方向L2、右上方向L3、および右下方向L4の第1の再隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0142】
図27(A)〜(D)に示すように、基準画素PSに対して何れの方向の第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいては、すべての画素ペアの内部反射光路長が等しい。
【0143】
図28(A)〜(D)には、基準画素PSから図16(A)〜(D)と同じ方向に配置された第2の再隣接画素と基準画素PSとの2画素間での内部反射光路長差が示される。
【0144】
図28(A)〜(D)に示すように、基準画素PSに対して何れの方向の第2の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいて、内部反射光路長差を有する画素ペアと、内部反射光路長の等しい画素ペアの数は等しい。
【0145】
以上のように第4の実施形態によれば、同一の透過帯域を有する画素間に位相差を生じるように内部反射光路長差を設けることにより、カラーフィルタ14より光電変換素子12側の部材における反射回折光のコントラストを低減させることが可能になる。反射回折光のコントラストを低減させることにより、反射回折ゴーストの発生を効果的に抑制できる。
【0146】
なお、第1の実施形態と異なり、第1の再隣接画素と基準画素PSとの画素ペアにおいてはすべての画素ペアの内部反射光路長が等しい。そのため、第1〜第3の実施形態に比べて反射回折ゴーストの抑制効果が低い。しかし、全画素の内部反射光路長が等しい構成に比べて十分な反射回折ゴーストの抑制効果が得られる。
【0147】
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、カラーフィルタ14の構成が第1の実施形態と異なっている。以下、図29を用いて、第1の実施形態と異なる点を中心に第5の実施形態の撮像素子を説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付す。
【0148】
図29は、RYGB4色の受光波長域を有する本実施形態の撮像素子10の一部を示す画素配置図である。なお、図29において、上述の画素配置図と同様に、斜線で示された画素と斜線の付されていない画素との間に内部反射光路長差が設けられている。
【0149】
第5の実施形態の撮像素子10では、カラーフィルタ14の分光特性によって受光波長帯域がRYGB4色に分けられている。RYGB4色の受光波長域ごとに、その中央値の波長に対して、1/2λの反射光路長差を持つ画素が混在されている(図29(B)参照)。
【0150】
すなわち、受光波長域600nmから700nmであるR画素においては325nmの内部反射光路長差を持つR画素R1、R2が設けられる。また、受光波長域530nmから630nmであるY画素(イエロー)においては290nmの内部反射光路長差を持つY画素Y1、Y2が設けられる。
【0151】
さらに、受光波長域470nmから570nmであるG画素においては260nmの内部反射光路長差を持つG画素G1、G2が設けられる。また、受光波長域400nmから500nmであるB画素においては225nmの内部反射光路長差を持つB画素B1、B2が設けられる。
【0152】
第5の実施形態の撮像素子10を、受光波長域ごと(RYGBごと)に見れば、第4の実施形態(図25等参照)と同様の配置になるように、内部反射光路長差を有する画素がそれぞれ混在される。
【0153】
以上のように第5の実施形態によれば、ベイヤー配列と異なるカラーフィルタを有する撮像素子においても、同一の透過帯域を有する画素間に位相差を生じるように内部反射光路長差を設けることにより、カラーフィルタ14より光電変換素子12側の部材における反射回折光のコントラストを低減させることが可能になる。反射回折光のコントラストを低減させることにより、反射回折ゴーストの発生を効果的に抑制できる。
【0154】
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、カラーフィルタ14の構成および内部反射光路長差の設け方が第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に第6の実施形態の撮像素子を説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付す。
【0155】
第6の実施形態の撮像素子10における画素配置は、第5の実施例(図29参照)と同じである。第6の実施形態では、R画素間、Y画素間、G画素間、およびB画素間に設ける内部反射光路長差が、各受光波長域によらず、300nmで一定である。
【0156】
このような300nmの内部反射光路長差を、R画素の受光波長域600nmから700nmの中央波長λr(=650nm)で表すと、およそ0.46λrである。同様に、300nmの内部反射光路長差をY画素の受光波長域530nmから630nmの中央波長λy(=580nm)で表すと、およそ0.52λyである。
【0157】
同様に、300nmの内部反射光路長差をG画素の受光波長域470nmから570nmの中央波長λg(=520nm)で表すと、およそ0.58λgである。同様に、300nmの内部反射光路長差をB画素の受光波長域400nmから500nmの中央波長λb(=450nm)で表すと、およそ0.67λbである。
【0158】
すなわち、R画素、Y画素、G画素、およびB画素毎に設けられる内部反射光路長差は、いずれの画素においても(m+1/2)λとはならない。しかし、このような内部反射光路長差であっても、いずれの色の画素においても位相差が設けられるので、反射回折ゴーストの発生を効果的に抑制することが可能である。
【0159】
このように第6の実施形態の撮像素子10においてはすべての色において内部反射光路長差が300nmに定められるが、300nmに限定されるわけではない。光電変換素子12に達する光束の最短波長から最長波長の間にある受光波長域に可視光を含んでおり、反射光路長差、すなわち実質的なマイクロレンズの厚さの差は、受光波長域の中央値近傍の波長をλaとすると(m+1/2)λa、例えば200nm〜350nm、特に250nm〜300nm程度であってもよい。
【0160】
また、第6の実施形態では、R画素、Y画素、G画素、およびB画素それぞれに対しての内部反射光路長差が同じなので、R画素、Y画素、G画素、およびB画素が並ぶ2×2の画素を単位画素ブロックとした画素ブロック毎に反射光路長を付加させることが可能である。画素ブロック毎に反射光路長を付加させる構成にすることにより、位相板やアレイレンズの位置ずれ等の製造誤差による悪影響を小さくすることができる。このことは、例えば、ベイヤー配列においては、G画素に適した配置を2組ずらして配置することで実現できる。
【0161】
次に、第7〜第10の実施形態について説明する。第7〜第10の実施形態では、図30に示すように、通常画素と反射光路長付加画素の配置が第1の実施形態と異なる。ただし、第7〜第10の実施形態では、第1の実施形態と同じく、基準画素PSと、全ての隣接画素および全ての第1、第2の再隣接画素との間で、内部反射光路長差を有する画素ペアと、反射光路長が等しい画素ペアとが同数ずつ存在する。したがって、第1の実施形態と同等の反射回折ゴーストの抑制効果が得られる。
【0162】
次に、第11の実施形態について説明する。第11の実施形態では、画素間における内部反射光路長差の設け方が、第1の実施形態と異なる。以下、図31を用いて、第1の実施形態と異なる点を中心に第11の実施形態の撮像素子を説明する。図31は、第11の実施形態における撮像素子10を示す断面図である。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付す。
【0163】
第11の実施形態では、カラーフィルタ14の厚さを画素毎に変えることにより、内部反射光路長差が設けられる。図31に示すように、第1画素101におけるカラーフィルタ14の厚みと第2、第3画素102、103におけるカラーフィルタ14の厚みの差14Dに、カラーフィルタ14の屈折率と空気の屈折率との差を乗じて2倍した値の内部反射光路長差が、第1画素101と第2、第3画素102、103との間に設けられる。なお、カラーフィルタ14とマイクロレンズ16との間に、空気ではなく液体や樹脂が充填されている場合、空気の屈折率の代わりに液体や樹脂の屈折率を用いて内部反射光路長差が設けられる。
【0164】
以上のように第11の実施形態によれば、マイクロレンズ16でなくカラーフィルタ14の厚さを画素毎に変えることにより、異なる画素間に内部反射光路長差を設けることが可能である。したがって、第1の実施形態と同様に、反射回折ゴーストの発生を抑制可能である。
【0165】
次に、第12の実施形態について説明する。第12の実施形態では、画素間における内部反射光路長差の設け方が、第1の実施形態と異なる。以下、図32を用いて、第1の実施形態と異なる点を中心に第12の実施形態の撮像素子を説明する。図32は、第12の実施形態における撮像素子10を示す断面図である。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付す。
【0166】
図32に示すように、第12の実施形態では、一部の画素、例えば第1画素101において、光電変換素子12の受光面12S側に板状部材18が設けられる。板状部材18を設けることにより内部反射光路長差が付加される。したがって、第1〜第10の実施形態における反射光路長付加画素と同じ位置の画素における光電変換素子12にのみ、板状部材18が配置される。
【0167】
なお、板状部材18の厚さに、板状部材18の屈折率と空気の屈折率との差を乗じて2倍した値の内部反射光路長差が、第1画素101と第2、第3画素102、103との間に設けられる。
【0168】
また、内部反射光路長差を付加する部材の配置場所は、撮像素子10の内部のみに限定されない。例えば、図33に示す第13の実施形態のように、マイクロレンズアレイの前方に、画素毎に異なる光路長を付加する光路長差付加素子である位相板20などを配置しても良い。
【0169】
第13の実施形態の撮像素子10においては、第1の実施形態と異なり、アレイレンズ16の厚さが画素によらず一定である。また、第1の実施形態と異なり、位相板20が設けられる。
【0170】
位相板20は、アレイレンズ16に比べて光電変換素子12から離れた位置に設けられる。位相板20は、画素領域毎に2種類の厚さのいずれかの厚さになるように形成される。また、位相板20は平面と凹凸面を有し、凹凸面が光電変換素子20側に向けられる。位相板20を設けることにより、画素間に内部反射光路長差が設けられる。
【0171】
なお、位相板20の凹凸面における頂点を通る光電変換素子12に平行な面である第2の面P2、すなわち凸部20Eを通る平面から、光電変換素子12の受光面までの光路長はいずれの画素においても等しい。したがって、内部反射光路長差は、仮想平面P1から第2の面P2までの光路長の差を2倍することにより算出される。
【0172】
第1画素101における仮想平面P1から第2の平面P2までの光路長RD1×1/2は、(d0×1)+(d1×n1)によって算出される。また、第2画素102における仮想平面P1から第2の平面までの光路長RD2×1/2は、(d0×1)+(d’1×n1)+(d’2×1)によって算出される。d’1+d’2=d1であることから、第1、第2画素101、102間の内部反射光路長差(RD1−RD2)は、d2’×(n1−1)である。
【0173】
以上のように第13の実施形態によれば、位相板20を設けることにより、異なる画素間に内部反射光路長差を設けることが可能である。したがって、第1の実施形態と同様に、反射回折ゴーストの発生を抑制可能である。
【0174】
なお、撮像素子10の内部構造によっては、例えば乱反射が多く発生する等の理由から、アレイレンズ16より内部において反射光路長の付加が容易に行えない場合がある。そのような構成の撮像素子10であっても、本実施形態の構成によれば画素間に内部反射光路長差を設けることが可能である。
【0175】
なお、第1〜第13の実施形態では、光電変換素子12における反射光による回折ゴーストを抑制する効果が得られるが、光電変換素子12における反射に限られない。光路長を変化させる素子、例えばアレイレンズ(第1〜第10の実施形態)、カラーフィルタ(第11の実施形態)、板状部材(第12の実施形態)、および位相板(第13の実施形態)と光電変換素子12との間に設けられる配線層(図示せず)などの撮像素子10内部の部材の表面または内面で生じる反射光に起因した反射回折ゴーストを抑制することも可能である。
【0176】
また、第1〜第10の実施形態のように、アレイレンズの厚さを変えることにより、光電変換素子表面12における反射光だけでなく、アレイレンズの内面で生じる反射光に起因した反射回折ゴーストを抑制する効果も同時に得ることが可能である。
【0177】
マイクロレンズの厚さの異なる画素間において、仮想平面Pからアレイレンズの内面を反射して再び仮想平面Pに戻るまでの反射内面光路長の差である内面反射光路長差は、内部反射光路長差と等しい。それゆえ、マイクロレンズの厚さを画素によって変えることにより、内部反射光路長差とともに内面反射光路長差が設けられるからである。
【0178】
なお、マイクロレンズ16の厚さが同じであっても光電変換素子12からアレイレンズ16の表面または内面までの距離の少なくとも一方を変えることにより、内面光路長差は形成される。
【0179】
また、第1〜第10の実施形態のように光電変換素子12からアレイレンズ16の表面までの距離を変えることにより、光電変換素子12における反射のように内部反射による反射回折ゴーストを抑制する効果が得られるが、反射回折ゴーストの抑制効果は内部反射に限られない。
【0180】
光電変換素子12からアレイレンズ16の表面までの距離を変えることにより、仮想平面Pからアレイレンズの表面を反射して再び仮想平面Pに戻るまでの反射表面光路長の差である表面反射光路長差も設けられる。したがって、アレイレンズ16の表面における反射による反射回折ゴーストを抑制することも可能である。
【0181】
また、カラーフィルタの配列は、第1〜第13の実施形態に限定されない。ベイヤー配列以外の配列の撮像素子において、基準画素と、隣接画素ないし再隣接画素との間に内部反射光路長差を有する画素を混在させても良い。
【0182】
ただし、特定の色の画素の配置が上下左右に行列状に配置されていない場合には、特定の色の画素に最も近い画素のみを隣接画素として光路長を付加すればよい。例えば、図34に示すような配列では、R画素、B画素それぞれに関しては、同一の行において左方向または右方向にR画素、B画素が配置される。
【0183】
このような場合には、最も近接する2画素間でのみ光路長差の付加を判別すればよい。例えば、互いに近接するR画素R1、R2を互いに隣接画素として第1〜第13の実施形態のように内部反射光路長差を設ければよい。R画素R1、R2の一方と、R画素R1、R2から離れた位置のR画素の間では、内部反射光路長差を設けなくてよい。ただし、第1〜第4の実施形態のように、R画素R1、R2から離れた位置のR画素を再隣接画素として、R画素R1、R2の一方と内部反射光路長差を設けてもよい。なお、B画素B1、B2もR画素と同様に配置すればよい。
【0184】
撮像素子10の構造等は、いずれの実施形態にも限定されない。例えば、カラー撮像素子でなくモノクロ撮像素子に上述の実施形態を適用しても良い。カラー撮像素子の場合にはR画素、G画素、およびB画素毎に第1〜第4の実施形態に示すような画素ユニットを形成するように反射光路長付加画素が配置されるが、モノクロ撮像素子の場合には全画素を対象として第1〜第4の実施形態に示すような画素ユニットを形成するように反射光路長付加画素が配置されればよい。
【0185】
また、入射光Lの異なる波長域を検出する受光部、例えば、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ受光する受光部を積層させた撮像素子において、本実施形態と同様に画素を配列させても良い。なお、積層型撮像素子においても、全画素を対象として第1〜第4の実施形態に示すような画素ユニットを形成するように反射光路長付加画素が配置されればよい。
【0186】
なお、積層型撮像素子は、一般に回折角が大きくなる傾向にあるため、本実施形態の適用により、画質を大きく向上させ得る。この場合、入射光Lの入射端から最も離された受光部により検出される波長域、例えば赤色光の波長に対応した反射光路長差を設けることが好ましい。上層側の2つの検出部における反射量が多い光、すなわちこの場合の赤色光は、上層側の検出部で吸収される他の色の光よりも多くの回折光を生じさせるからである。
【0187】
撮像素子10の画素間における内部反射光路長差は、画素設計が容易になるといった点から(m+1/2)λ(mは整数、λは入射光の波長)であることが好ましい。しかし、内部反射光路長差は(m+1/2)λには限定されない。
【0188】
例えば、波長の整数倍に加算する長さを半波長に限るのでなく、半波長に0.5〜1.5の範囲の係数を乗じた(1/4)×λから(3/4)×λを加算してもよい。すなわち、前述の光路長差を(m+1/4)×λ〜(m+3/4)×λの範囲内に含まれるように、アレイレンズ16などを形成してもよい。
【0189】
また、光電変換素子まで達する光束の最短波長から最長波長である受光波長域の中央値の波長λcの0.5倍から1.5倍の範囲内(0.5λc<λb<1.5λc)に入る波長λbを用いて(m+1/2)λbが前述の内部反射光路長差となるようにアレイレンズ16などを形成してもよい。
【0190】
あるいは、画素毎の分光透過特性に応じて透過される各波長域の中央値の波長λeの0.5倍から1.5倍の範囲内(0.5λe<λb<1.5λe)に入る波長λbを用いて(m+1/2)λbが前述の内部反射光路長差となるようにアレイレンズ16などを形成しても良い。
【0191】
なお、内部反射光路長差として好ましい値は、例えば(m+1/2)λであって、mは整数であればよい。しかし、不必要に内部反射光路長を大きくすると、誤差の増大などを生じる恐れがある。したがって、mの絶対値が極端に大きくないことが好ましい。例えば、mの値は−2以上2以下の整数であることが好ましい。
【0192】
また、第1の実施形態のように、画素ユニット中の基準画素PSと、隣接画素、および第1、第2の再隣接画素との間で、(m+1/2)λの反射光路長差を有する画素ペアの数と反射光路長の等しい画素ペアの数とが等しいことが好ましい。
【0193】
しかし、第2〜第4の実施形態のように、位相差を生じさせる反射光路長差を有する画素ペアと同じ内部反射光路長を有する画素ペアの数が異なっていても、全画素の内部反射光路長差が同じ撮像素子に比べて、反射回折ゴーストの影響を低減化することは可能である。
【実施例】
【0194】
次に、反射光路長付加画素の配置による回折ゴースト抑制の効果を、図35〜図39を用いて説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものでない。
【0195】
第1〜第4の実施例では、それぞれ第1〜第4の実施形態と同じように、通常画素と反射光路長付加画素が配置される。また、第1の比較例では、全画素間に位相差が生じないように、全画素の内部反射光路長が等しい。
【0196】
図35〜図38は、第1〜第4の実施例における回折光のコントラストを示す図である。図39は第1の比較例における回折光のコントラストを示す図である。
【0197】
なお、第1の比較例における回折光DLの光学像のコントラストを1として、第1〜第4の実施例のコントラストの相対値を算出した。算出結果は、以下の表1の通りであった。
【0198】
【表1】

【0199】
図35〜図39および表1に示すように、第1〜第4の実施例のコントラストは第1の比較例に比べて大幅に低かった。したがって、第1〜第4の実施例のように、基準画素と隣接画素との画素ペアにおいて内部反射光路長差が設けられた画素ペアと、同じ内部反射光路長である画素ペアとの数が等しくなるように配置を定めることにより、コントラストの低下効果が得られることが分かる。
【0200】
回折光DLの一部について回折光の進行方向を変化させ、いわゆる0.5次方向に進む回折光を約半数混在させることにより、見かけ上の回折角が第1の比較例の1/2になり、回折光全体のコントラストが低下する、と考えられる。また、隣接画素は基準画素PSに最も近い画素であるため、基準画素PSと隣接画素のいずれか1つとの間で生じる回折光DLの回折光の方向を変化させることが、コントラスト低減に大きく寄与する、と考えられる。
【0201】
図35〜図38および表1に示すように、第1の実施例のコントラストが最も低く、第2〜第4の実施例の順番でコントラストが高くなった。
【0202】
基準画素と第1、第2の再隣接画素との画素ペアにおいて内部反射光路長差を有する画素ペアの全画素ペアに対する割合は、第1〜第4の実施例で、50%、56.2%、62.5%、25%であり、50%からの差の絶対値が0%、6.2%、12.5%、25%である。したがって、基準画素と第1、第2の再隣接画素との画素ペアにおける内部反射光路長差を有する画素ペアの割合が50%に近付くほど、コントラストの低下効果が得られることが分かる。
【0203】
回折光の干渉は、基準画素と隣接画素との間だけでなく基準画素と再隣接画素との間でも生じる。それゆえ、基準画素と隣接画素との画素ペアだけでなく、基準画素と再隣接画素との画素ペアにおいても、内部反射光路長差を有する画素ペアの割合を50%に近付けるほど、コントラストの低下効果が大きくなると考えられる。
【0204】
なお、基準画素と第2の再隣接画素との画素ペアにおいても内部反射光路長差を有する画素ペアの数が全体の画素ペア数の50%を占めることが好ましいと、考えられる。
【0205】
ただし、上述の実施例においては、コントラストの大幅な低減が確認されている。このため、第1の再隣接画素、あるいは第2の再隣接画素の少なくとも一部の画素との間で、反射光路長差を有する画素ペアと反射光路長差のない画素ペアとを単に混在させるだけでも効果が得られると考えられる。
【0206】
また、少なくとも、第1、第2の再隣接画素に対して反射光路長差のある画素ペアを全画素ペア数に対して25〜75%の範囲で混在させると、コントラストを十分に低減可能であることは、上述の実施例の第1の再隣接画素の結果より明らかである。
【0207】
次に、内部反射光路長差を受光波長域毎に変えずに一定とした場合であっても反射回折ゴーストの抑制効果が得られることを第5、第6の実施例、および第2の比較例により説明する。
【0208】
第5、第6の実施例では、それぞれ第5、第6の実施形態と同じカラーフィルタが用いられ、同じように通常画素と反射光路長付加画素とが色毎に配置される。第2の比較例では、第5、第6の実施例と同じカラーフィルタを用いて、全画素の内部光路長が等しい。
【0209】
第2の比較例における回折光DLの光学像のコントラストを1として、第5、第6の実施例のコントラストの相対値を算出した。なお、第6の実施例に関しては、色毎にコントラストの相対値を算出した。第5の実施例のコントラストの相対値は、0.288であった。第6の実施形態においてR画素、Y画素、G画素、およびB画素のコントラスト値は、それぞれ0.322、0.311,0.357、および0.483であった。
【0210】
第5、第6の実施例における相対的なコントラスト値を比較すると、異なる受光波長域に対して内部反射光路長差を一定にすると、コントラストの低減効果が減少することが分かる。ただし、第6の実施例と第2の比較例における相対的なコントラスト値を比較すると、異なる受光波長域に対して内部反射光路長差が一定であっても十分なコントラストの低減化効果を有することが分かる。
【符号の説明】
【0211】
10 撮像素子
12 光電変換素子
12S 受光面
14 カラーフィルタ
16 アレイレンズ
18 板状部材
20 位相板
101〜103 第1〜第3画素
L 入射光
L1〜L4 配列線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子と前記光電変換素子を覆い入射する光を透過する第1の光学素子とを有し、受光面上に配置される複数の第1の画素を備え、
複数の前記第1の画素の中から選択した2つの前記第1の画素のペアである第1の画素ペアの中で、一部の第1の画素ペアに含まれる2つの前記第1の画素の前記第1の光学素子の厚さに、第1の差が設けられる
ことを特徴とする撮像素子。
【請求項2】
前記第1の光学素子は、前記第1の画素に入射する光を集光するマイクロレンズであることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記マイクロレンズの前記光電変換素子に相対する面である近位面の裏側の遠位面までの距離が、前記第1の光学素子の厚さに前記第1の差が設けられる前記第1の画素ペアを構成する2つの前記第1の画素において異なることを特徴とする請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記第1の光学素子は、前記第1の画素に入射する光の中の第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタであることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記第1の光学素子は、前記光電変換素子の受光面上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記第1の差が、
1/2×(m1+1/4)×λ1÷(n11−n12)より大きく(m1は任意の整数、λ1は前記光電変換素子に入射すると想定した光の波長帯域の中央値近傍の波長、n11は前記第1の光学素子の屈折率、n12は前記第1の差を生じさせる空間に充填された物質の屈折率または空気の屈折率)、
1/2×(m1+3/4)×λ1÷(n11−n12)より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記第1の差が、
{1/2×(1/2)×λ1÷(n11−n12)}×1/2より大きく(λ1は前記光電変換素子に入射すると想定した光の波長帯域の中央値の波長、n11は前記第1の光学素子の屈折率、n12は前記第1の差を生じさせる空間に充填された物質の屈折率または空気の屈折率)、
{1/2×(1/2)×λ1÷(n11−n12)}×3/2より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記第1の画素は、前記第1の画素に入射する光の中の第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタを有し、
前記第1の差が、1/2×(m1+1/4)×λ2÷(n11−n12)より大きく(m1は任意の整数、λ2は前記第1の帯域の中央値の波長、n11は前記第1の光学素子の屈折率、n12は前記第1の差を生じさせる空間に充填された物質の屈折率または空気の屈折率)、1/2×(m1+3/4)×λ2÷(n11−n12)より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記第1の画素は、前記第1の画素に入射する光の中の第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタを有し、
前記第1の差が、{1/2×(1/2)×λ2÷(n11−n12)}×1/2より大きく(λ2は前記第1の帯域の中央値の波長、n11は前記第1の光学素子の屈折率、n12は前記第1の差を生じさせる空間に充填された物質の屈折率または空気の屈折率)、{1/2×(1/2)×λ2÷(n11−n12)}×3/2より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記第1の差の範囲において、m1=−2、−1、0、1、2のいずれかであることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記第1の差が、200nmから350nmであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項12】
前記第1の差が、250nmから300nmであることを特徴とする請求項11に記載の撮像素子。
【請求項13】
前記第1の差を有する前記第1の画素ペアが、前記光電変換素子の受光面内の所定の方向に沿って周期的に配列されていることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項14】
前記所定の方向において、任意の第1の画素と前記任意の第1の画素に最も近くに位置する第1の画素である隣接第1の画素とによって構成される前記第1の画素ペアの中で、前記第1の差が設けられる前記第1の画素ペアの数と、前記第1の差が設けられない前記第1の画素ペアの数とが、実質的に等しい
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像素子。
【請求項15】
前記第1の画素が二次元配列されており、
任意の前記第1の画素と、前記任意の第1の画素の周囲8方向のそれぞれについて最も近くに位置する8つの隣接第1の画素のうち、少なくとも1方向に沿って配置された前記隣接第1の画素とによって構成される前記第1の画素ペアの中で、前記第1の差が設けられる前記第1の画素ペアの数と、前記第1の差が設けられない前記第1の画素ペアの数とが、実質的に等しい
ことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項16】
前記第1の画素が二次元配列されており、
任意の第1の画素と、前記任意の第1の画素の周囲8方向のそれぞれについて最も近くに位置する8つの隣接第1の画素の周囲において前記隣接第1の画素の最も近くに位置する16個の第1の画素である再隣接第1の画素のうち少なくとも1方向に沿って配置された前記再隣接第1の画素とによって構成される前記第1の画素ペアの中で、前記第1の差が設けられる前記第1の画素ペアの数と、前記第1の差が設けられない前記第1の画素ペアの数とが、実質的に等しい
ことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項17】
前記第1の画素が二次元配列されており、
互いに直交する第1、第2方向において4×4の16の第1の画素を含む第1の画素ユニット内において、任意の第1の画素と前記任意の第1の画素の所定の方向において最も近くに位置する前記第1の画素とによって構成される前記第1の画素ペアの中で、前記第1の差が設けられる前記第1の画素ペアの数と、前記第1の差が設けられない前記第1の画素ペアの数とが、実質的に等しく、
前記撮像素子内には前記第1の画素ユニットが、複数設けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項18】
前記光電変換素子は、第1の帯域の光を光電変換する第1の光電変換素子と前記第1の帯域と異なる第2の帯域の光を光電変換する第2の光電変換素子とを有し、
前記第1の光電変換素子が前記光電変換素子全体の前記受光面から最も離れて配置されるように、前記第1、第2の光電変換素子は前記受光面に垂直な方向に沿って積層化され、
前記第1の差は、前記第1の帯域に含まれる波長に基づいて定められる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項19】
光電変換素子と前記光電変換素子を覆い入射する光の中の第2の帯域の光を透過する第2の光フィルタと前記光電変換素子を覆い入射する光を透過する第2の光学素子とを有し、前記受光面上に配置される複数の第2の画素を備え、
前記第1の画素は、前記光電変換素子を覆い入射する光の中の前記第2の帯域と異なる第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタを有し、
複数の前記第2の画素の中から選択した2つの第2の画素のペアである第2の画素ペアの中で、一部の第2の画素ペアに含まれる2つの前記第2の画素の前記第2の光学素子の厚さに、第2の差が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項20】
前記第1の差を設ける前記第1の画素ペアの位置が第1の配置規則に応じて定められ、前記第2の差を設ける前記第2の画素ペアの位置が前記第1の配置規則または前記第1の配置規則と異なる第2の配置規則に応じて定められることを特徴とする請求項19に記載の撮像素子。
【請求項21】
前記第1の差は前記第1の帯域に含まれる波長に基づいて定められ、前記第2の差は前記第2の帯域に含まれる波長に基づいて定められることを特徴とする請求項19または請求項20に記載の撮像素子。
【請求項22】
前記第1、第2の差が等しいことを特徴とする請求項19または請求項20に記載の撮像素子。
【請求項23】
光電変換素子を有し、受光面上に配置される複数の第1の画素を備え、
前記複数の第1の画素の中で所定の周期で位置する前記第1の画素にのみ、前記光電変換素子を覆い入射する光を透過する第1の光学素子が設けられる
ことを特徴とする撮像素子。
【請求項24】
光電変換素子と前記光電変換素子を覆い入射する光の中の第1の帯域の光を透過する第1の光フィルタと前記光電変換素子を覆い入射する光を透過する第1のマイクロレンズとを有し、前記受光面上に配置される複数の第1の画素と、
光電変換素子と前記光電変換素子を覆い入射する光の中の前記第1の帯域と異なる第2の帯域の光を透過する第2の光フィルタと前記光電変換素子を覆い入射する光を透過する第2のマイクロレンズとを有し、前記受光面上に配置される複数の第2の画素とを備え、
複数の前記第1の画素の中から選択した2つの第1の画素のペアである第1の画素ペアの中で、一部の第1の画素ペアに含まれる2つの前記第1の画素の前記第1のマイクロレンズの厚さに、第1の差が設けられ、
複数の前記第2の画素の中から選択した2つの第2の画素のペアである第2の画素ペアの中で、一部の第2の画素ペアに含まれる2つの前記第2の画素の前記第2のマイクロレンズの厚さに、第2の差が設けられる
ことを特徴とする撮像素子。
【請求項25】
前記第1の差を有する前記第1の画素ペアが受光面内の第3の方向に沿って周期的に配列され、前記第2の差を有する前記第2の画素ペアが受光面内の第4の方向に沿って周期的に配列されることを特徴とする請求項24に記載の撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2011−30213(P2011−30213A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144073(P2010−144073)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】