説明

撮像装置および電子機器

【課題】小型かつ低コストの高解像度で、高画素、広角に対応することが可能な撮像装置および電子機器を提供する。
【解決手段】一群のレンズと、レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、レンズは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、透明体と、第2レンズと、を含み、撮像素子は、物体側に凹を向けて湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像機器に適用される撮像装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話やパーソナルコンピュータ(PC)等に搭載される撮像機器には、高解像度・ローコスト・小型化が強く求められている。
【0003】
CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子のセルピッチが劇的に小さくなり、光学系には通常光学系よりも光学収差、特に軸上色収差を抑えた高い結像性能が要求される。
【0004】
ところが、レンズ系のみでこれらを解決しようとすると、レンズ枚数が多くなり、高い組み立て精度が要求される。
レンズを製造不可能なほど小さくしないといけなくなる等の問題が発生する。
【0005】
これらを解決するには、撮像素子を湾曲させて、光学系での像面補正の必要性を少なくして、レンズを簡易化することが一つの方法である。
これらの例としては、代表的なものに特許文献1に開示された技術が知られている。
この例では、一群2枚構成の光学設計に関する技術が記載されているが、プラスチックモールドの個別成型した2枚を張り合わせ、前絞りで構成されたものである。厳密には、群間に空気間隔があるので2群2枚構成になる。また、赤外線カットフィルタを入れていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−312239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した技術では、撮像素子を湾曲させることから、撮像素子を湾曲させて発生する、たる型の光学歪の解決方法を示していない等の問題があり、CIF規格、VGA規格等の低画素にしか対応できない。
また、広角化も困難である。
【0008】
本技術は、小型かつ低コストの高解像度で、高画素、広角に対応することが可能な撮像装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の第1の観点の撮像装置は、一群のレンズと、上記レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、上記レンズは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、透明体と、第2レンズと、を含み、上記撮像素子は、物体側に凹を向けて湾曲している。
また、撮像装置は、正の光学歪を有するレンズ群と、上記レンズ群を通して結像される撮像素子と、を含み、上記撮像素子が物体側に凹を向けて湾曲しており、当該湾曲より生じる負の光学歪を、上記レンズ群の正の光学歪により打ち消す。
【0010】
本技術の第2の観点の電子機器は、撮像装置と、上記撮像装置の出力信号に対して信号処理を行う信号処理回路と、を有し、上記撮像装置は、一群のレンズと、上記レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、上記レンズは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、透明体と、第2レンズと、を含み、上記撮像素子は、物体側に凹を向けて湾曲している。
また、電子機器は、撮像装置と、上記撮像装置の出力信号に対して信号処理を行う信号処理回路と、を有し、上記撮像装置は、正の光学歪を有するレンズ群と、上記レンズ群を通して結像される撮像素子と、を含み、上記撮像素子が物体側に凹を向けて湾曲しており、当該湾曲より生じる負の光学歪を、上記レンズ群の正の光学歪により打ち消す。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、小型かつ低コストの高解像度で、高画素、広角に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本技術の第1の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図2】本第1の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【図3】実施例1において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図4】実施例1におけるディストーション格子を示す図である。
【図5】本第2の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図6】本第2の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【図7】実施例2において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図8】実施例2におけるディストーション格子を示す図である。
【図9】本第3の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図10】本第3の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【図11】実施例3において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図12】実施例3におけるディストーション格子を示す図である。
【図13】本第4の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図14】本第4の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【図15】実施例4において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図16】実施例4におけるディストーション格子を示す図である。
【図17】本第5の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図18】本第5の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【図19】実施例5において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図20】実施例5におけるディストーション格子を示す図である。
【図21】本第6の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図22】本第1の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【図23】実施例6において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図24】実施例6におけるディストーション格子を示す図である。
【図25】本第7の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図26】本第8の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図27】本第9の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図28】本第9の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【図29】実施例9において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図30】実施例9におけるディストーション格子を示す図である。
【図31】本第10の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【図32】図31の撮像装置において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図33】撮像装置におけるディストーション格子を示す図である。
【図34】第6の実施形態に係るウエハーレベルオプティクスを概念的に示す図である。
【図35】本に係る撮像装置が採用される電子機器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(撮像装置の第1の構成例)
2.第2の実施形態(撮像装置の第2の構成例)
3.第3の実施形態(撮像装置の第3の構成例)
4.第4の実施形態(撮像装置の第4の構成例)
5.第5の実施形態(撮像装置の第5の構成例)
6.第6の実施形態(撮像装置の第6の構成例)
7.第7の実施形態(撮像装置の第7の構成例)
8.第8の実施形態(撮像装置の第8の構成例)
9.第9の実施形態(撮像装置の第9の構成例)
10.第10の実施形態(撮像装置の第10の構成例)
11.第11の実施形態(ウエハーオプトの概念)
12.第12の実施形態(電子機器の構成例)
【0014】
<1.第1の実施形態>
図1は、本第1の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0015】
本第1の実施形態の撮像装置100は、図1に示すように、物体側OBJSから像面側に向かって順番に配置された、レンズ110、および撮像素子120を有する。
このレンズ110は、単焦点レンズとして形成されている。
【0016】
本撮像装置100は、基本的に、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子120と一群のレンズ110により構成される。
レンズ110は、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ111と、絞りと赤外線カットフィルタを施した透明体としてのガラス基板112と、第2レンズ113により構成される。
【0017】
第1レンズ111は、ガラス基板112上に紫外線(UV)硬化レプリカレンズを施すことによって実現することが望ましい。
また、異なるレプリカ硝材を2回施しダブレット構成、もしくは、3回施しトリプレット構成にし、高性能化を実現することもできる。トリプレット構成以上の構成も可能である。
【0018】
第2レンズ113は、ガラス基板112の第1レンズ111の裏側にUV硬化レプリカレンズを施すことによって実現することが望ましい。
また、異なるレプリカ硝材を2回施しダブレット構成、もしくは、3回以上施し、トリプレット構成以上にしてもよい。
【0019】
パワー構成は、第1レンズ111が強い正のパワーをとり、第2レンズ113が弱い正、もしくは、弱い負のパワーとなる。
第1レンズ111と第2レンズ113の間に絞り114がある。
このために、上記パワー構成の影響によりレンズ群で強い正(糸巻き型)の光学歪を発生して、撮像素子を湾曲することにより発生する負(たる型)の光学歪を打ち消し、撮像素子全体として、好ましい光学歪が実現される。
なお、レンズ群の光学ディストーションが正の4%以上である。
【0020】
単焦点レンズであるレンズ110において、像面IMGは、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子の撮像面(受像面)が配置されることを想定している。
また、像側最終面と結像面の間、もしくは物体側の最初の面の前には、樹脂またはガラスで形成されるカバーガラスや赤外カットフィルタやローパスフィルタなどの他、光学部材が配置されていてもよい。
なお、本実施形態では、図1において、左側が物体側(前方)であり、右側が像面側(後方)である。
そして、物体側から入射した光束は撮像素子120の像面IMG上に結像される。
【0021】
以下、本実施形態の撮像レンズの構成とその作用について説明する。
【0022】
単焦点レンズである本実施形態の撮像レンズ110は、以下の条件式(1)〜(3)を満足するように構成されている。
【0023】
条件式(1)では、第1レンズ111のパワーに関する条件が規定されている。
【0024】
1.0 ≦ fL1/f ≦ 100.0 (1)
fL1は第1レンズ111の焦点距離を、fはレンズ系の焦点距離を示している。
【0025】
条件式(1)は以下の理由で必要となる。
上限を超えると正(糸巻き型)の光学歪が出なくなり、システムとして光学歪が出てしまうことと、像高ごとに物体側入射第1面への入射角が異なり、色収差が出てしまい望ましい光学特性が取れなくなるので必要となる。
下限を超えると物体側入射第1面の面形状が強い曲面になり製造できなくなり必要となる。
【0026】
条件式(2)では、第2レンズ113のパワーに関する条件が規定されている。
【0027】
1.5 ≦ fL2/f または fL2 ≦ −3.0 (2)
fL2は第1レンズ112の焦点距離を、fはレンズ系の焦点距離を示している。
【0028】
条件式(2)は以下の理由で必要となる。
マイナスに関する式の上限を超えると、撮像素子に入射する光の角度が大きくなり望ましいカメラ特性が取れなくなるため必要となる。
プラスに関する式の下限を超えると、正(糸巻き型)の光学歪が出なくなり、システムとして光学歪が出てしまうことにより必要となる。
【0029】
条件式(3)では、撮像素子120の湾曲に関する条件が規定されている。
【0030】
−5 ≦ Ri/f ≦ −0.6 (3)
Riは像面IMGの曲率半径を示している。
【0031】
条件式(3)は以下の理由で必要となる。
上限を超えるとレンズで像面湾曲を補正しきれなくなり、像高が高くなるに従ってMTFが劣化するために必要となる。
下限を超えると像面湾曲が過補正になり、像高が高くなるに従ってMTFが劣化し、かつ、製造上、曲げることが困難であるために必要となる。
【0032】
上記の条件式(1)〜(3)は、以下で取り扱う第1〜第5の実施形態に係る実施例1,2,3,4,5に共通するものであり、必要に応じて適宜採用することで、個々の撮像素子または撮像装置に適したより好ましい結像性能とコンパクトな光学系が実現される。
【0033】
なお、レンズの非球面の形状は、物体側から像面側へ向かう方向を正とし、kを円錐係数、A、B、C、Dを非球面係数、rを中心曲率半径としたとき次式で表される。yは光軸からの光線の高さ、cは中心曲率半径rの逆数(1/r)をそれぞれ表している。
ただし、Xは非球面頂点に対する接平面からの距離を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0034】
【数1】

【0035】
図2は、本第1の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【0036】
具体的には、第1レンズ111の物体側面(凸面)に第1番、第1レンズ111の像面側面とガラス基板112の物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
ガラス基板112の像面側面と第2レンズ113の物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与され、第2レンズ113の像面側面に第4番の面番号が付与されている。
【0037】
また、図2に示すように、本実施形態のレンズ100において、第1レンズ111の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズ111の像面側面とガラス基板112の物体側面との境界面(接合面)2の中心曲率半径はR2に設定される。
ガラス基板112の像面側面と第2レンズ113の物体側面との境界面(接合面)3の中心曲率半径はR3に設定される。
第2レンズ113の像面側面4の中心曲率半径はR4に設定される。
なお、面2,3の中心曲率半径R2,R3は無限(INFINITY)である。
【0038】
また、図2に示すように、第1レンズ111の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に、ガラス基板112の厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第2レンズ113の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3、第2レンズ113の像面側面と像面IMG間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
【0039】
以下に、撮像装置100のレンズ110の具体的な数値による実施例1を示す。なお、実施例1においては、レンズ110の各レンズ、ガラス基板に対して、図2に示すような面番号が付与されている。
【0040】
[実施例1]
表1、表2、表3、および表4に実施例1の各数値が示されている。実施例1の各数値は図1のレンズ110に対応している。
実施例1は、1/6サイズ、1.1μmピッチの3メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
本実施例1は、前述したように、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子120と一群のレンズ110より構成される。
レンズ110は、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ111と、絞りと赤外線カットフィルタを施したガラス基板112と、第2レンズ113により構成される。
第1レンズ111は、ガラス基板112上にUV硬化レプリカレンズを施すことによって実現することが望ましい。第2レンズは、ガラス基板112の第1レンズ111の裏側にUV効果レプリカレンズを施すことによって実現することが望ましい。
第1レンズ111と第2レンズ113は、たとえば、日東電工社製NT33硝材を使用してレプリカプロセスでショット社D263Tガラス基板上に形成することができる。
パワー構成は、第レンズ111が強い正のパワーで焦点距離が4.1mm、第2レンズ113が弱い正で焦点距離が9.9mmとなる。
撮像素子120が半径3.114mmの湾曲によって大きいたる型の光学歪発生の要因となりながら、第レンズ111と第2レンズ113の間に絞り114がある。このために、上記パワー構成の影響により、レンズで正(糸巻き型)の17.3%の光学歪を発生させ、システムとしてTV歪が図4に示すように負(たる型)の2.0%に抑えられている。
そして、F値Fno2.8と明るく、半画角32度という広角を有しながら、図3に示すように光学諸収差をよく補正した、光学全長3.23mmと短いコンパクトな撮像システムを実現している。
【0041】
表1は、実施例1におけるレンズ110の各面番号に対応した各レンズ、ガラス基板(透明体)の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0042】
【表1】

【0043】
表2は、実施例1における非球面を含む第1レンズ111の面1、第2レンズ113の面4の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表2において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0044】
【表2】

【0045】
表3は、実施例1におけるレンズ110の焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは2.36[mm]に、開口数Fは2.8に、半画角ωは32.0degに、レンズ長Hは3.23[mm]に設定されている。
【0046】
【表3】

【0047】
表4は、実施例1においては、上記各条件式(1)〜(3)を満足することを示す。
【0048】
【表4】

【0049】
表4に示すように、実施例1では、第1レンズ111のパワー(fL1/f)が1.72に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第2レンズ113のパワー(fL2/f)が4.21に設定され、条件式(2)で規定される正側の条件を満足している。
撮像素子120の像面IMGの曲率半径(Ri)が−1.31に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
【0050】
図3は、実施例1において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図3(A)が球面収差(色収差)、図3(B)が非点収差を、図3(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図4は、実施例1におけるディストーション格子を示す図である。
図からわかるように、実施例1によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れたレンズを含む撮像装置が得られる。
【0051】
<2.第2の実施形態>
図5は、本第2の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0052】
図5に示す第2の実施形態に係る撮像装置100Aと図1に示す第1の実施形態に係る撮像装置100とは、次の点が異なる。
撮像装置100Aにおいて、第1レンズ111Aが第1レンズエレメント1111および第2レンズエレメント1112により形成され、ガラス基板112Aが第1ガラス基板1121および第2ガラス基板1122により形成されている。
第2の実施形態では、第1レンズ111Aは第1ガラス基板1121に形成され、第2レンズ113Aが第2ガラス基板1122に形成されている。
【0053】
図6は、本第2の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【0054】
具体的には、第1レンズエレメント1111の物体側面(凸面)に第1番、第1レンズエレメント1111の像面側面と第2レンズエレメント1112の物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント1112の像面側面と第1ガラス基板1121の物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与されている。
第1ガラス基板1121の像面側面と第2ガラス基板1122の物体側面との境界面(接合面)に第4番の面番号が付与されている。
第2ガラス基板1122の像面側面と第2レンズ113Aの物体側面との境界面(接合面)に第5番の面番号が付与され、第2レンズ113Aの像面側面に第6番の面番号が付与されている。
【0055】
また、図6に示すように、本実施形態のレンズ110Aにおいて、第1レンズエレメント1111の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズエレメント111の像面側面と第2レンズエレメント1112の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR2に設定される。
第2レンズエレメント1112の像面側面と第1ガラス基板1121の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR3に設定される。
第1ガラス基板1121の像面側面と第2ガラス基板1122の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR4に設定される。
第2ガラス基板1122の像面側面と第2レンズ113Aの物体側面との境界面(接合面) の中心曲率半径はR5に設定される。
第2レンズ113の像面側面の中心曲率半径はR6に設定される。
なお、面3,4,5の中心曲率半径R3,R4,R5は無限(INFINITY)である。
【0056】
また、図6に示すように、第1レンズエレメント1111の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に設定される。
第2レンズエレメント1112の厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第1ガラス基板1121の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3に設定される。
第2ガラス基板1122の厚さとなる面4と面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
第2レンズ113Aの厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5、第2レンズ113Aの像面側面と像面IMG間の光軸OX上の距離がd6に設定される。
【0057】
以下に、撮像装置100Aのレンズ110Aの具体的な数値による実施例2を示す。なお、実施例2においては、レンズ110Aの各レンズ、ガラス基板に対して、図6に示すような面番号が付与されている。
【0058】
[実施例2]
表5、表6、表7、および表8に実施例2の各数値が示されている。実施例2の各数値は図5のレンズ110Aに対応している。
実施例2は、1/5サイズ、1.1μmピッチの5メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
本実施例2は、前述したように、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子120Aと一群のレンズ110Aより構成される。
レンズ110Aは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ111Aと、絞りと赤外線カットフィルタを施したガラス112Aと、第2レンズ113Aにより構成される。
ここで第1レンズ111Aはアッベ数57.3で両凸レンズの第1レンズエレメント1111とアッベ数29.6で凹平形状の第2レンズエレメント1112により形成される。
第1レンズ111Aは、ガラス基板1121上にUV硬化レプリカレンズを2回施すことによって実現することが望ましい。第2レンズ113Aは、ガラス基板の第1レンズ110Aの裏側にUV硬化レプリカレンズを施すことによって実現することが望ましい。もしくは、図5に示すように、第1レンズ110Aと第2レンズ113Aを別の基板1121,1122に形成して、基板の平面同士を接着して実現してもよい。
第1レンズ110Aはたとえば、日東電工社製NT33硝材と旭化成社製414C硝材を使い、2回レプリカプロセスを行い、ショット社D263Tガラス基板上に形成することができる。そして、第1レンズ110Aの裏側に、日東電工社製NT33硝材を使い第2レンズ113Aをレプリカプロセスで形成することができる。
パワー構成は、第1レンズ110Aが強い正のパワーで焦点距離が4.9mm、第2レンズ113Aが弱い正で焦点距離が71.2mmとなる。
撮像素子120Aが半径4.8mmの湾曲によって大きいたる型の光学歪発生の要因となりながら、第1レンズエレメント1111と第2レンズエレメント1112の間に絞りがある。このために、上記パワー構成の影響により、レンズで正(糸巻き型)の24.5%の光学歪を発生させ、システムとしてTV歪が図8に示すように負(たる型)の0.4%に抑えられている。
そして、F値Fno2.8と明るく、半画角30.3度という広角を有しながら、図7に示すように光学諸収差をよく補正した、光学全長3.90mmと短いコンパクトな撮像システムを実現している。
【0059】
表5は、実施例2におけるレンズ110Aの各面番号に対応した各レンズ、ガラス基板(透明体)の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0060】
【表5】

【0061】
表16は、実施例2における非球面を含む第1レンズ111Aの面1、面2、第2レンズ113Aの面6の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表6において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0062】
【表6】

【0063】
表7は、実施例2におけるレンズ110Aの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは3.12[mm]に、開口数Fは2.8に、半画角ωは30.3degに、レンズ長Hは3.90[mm]に設定されている。
【0064】
【表7】

【0065】
表8は、実施例2においては、上記各条件式(1)〜(3)を満足することを示す。
【0066】
【表8】

【0067】
表8に示すように、実施例2では、第1レンズ111Aのパワー(fL1/f)が1.56に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第2レンズ113Aのパワー(fL2/f)が22.82に設定され、条件式(2)で規定される正側の条件を満足している。
撮像素子120Aの像面IMGの曲率半径(Ri)が−1.53に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
【0068】
図7は、実施例2において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図7(A)が球面収差(色収差)、図7(B)が非点収差を、図7(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図8は、実施例2におけるディストーション格子を示す図である。
図からわかるように、実施例2によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れたレンズを含む撮像装置が得られる。
【0069】
<3.第3の実施形態>
図9は、本第3の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0070】
図9に示す第3の実施形態に係る撮像装置100Bと図1に示す第1の実施形態に係る撮像装置100とは、次の点が異なる。
撮像装置100Bにおいて、第1レンズ111Bが第1レンズエレメント1111、第2レンズエレメント1112、および第3レンズエレメント1113により形成されている。
【0071】
図10は、本第3の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【0072】
具体的には、第1レンズエレメント1111の物体側面(凸面)に第1番、第1レンズエレメント1111の像面側面と第2レンズエレメント1112の物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント1112の像面側面と第3レンズエレメント1113の物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与されている。
第3レンズエレメント1113の像面側面とガラス基板112Bの物体側面との境界面(接合面)に第4番の面番号が付与されている。
ガラス基板112Bの像面側面と第2レンズ113Bの物体側面との境界面(接合面)に第5番の面番号が付与され、第2レンズ113Bの像面側面に第6番の面番号が付与されている。
【0073】
また、図10に示すように、本実施形態のレンズ110Bにおいて、第1レンズエレメント1111の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズエレメント111の像面側面と第2レンズエレメント1112の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR2に設定される。
第2レンズエレメント1112の像面側面と第3レンズエレメント1113の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR3に設定される。
第3レンズエレメント1113の像面側面とガラス基板112Bの物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR4に設定される。
ガラス基板112Bの像面側面と第2レンズ113Bの物体側面との境界面(接合面) の中心曲率半径はR5に設定される。
第2レンズ113の像面側面の中心曲率半径はR6に設定される。
なお、面3,4,5の中心曲率半径R3,R4,R5は無限(INFINITY)である。
【0074】
また、図10に示すように、第1レンズエレメント1111の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に設定される。
第2レンズエレメント1112の厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第3レンズエレメント1113の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3に設定される。
ガラス基板112Bの厚さとなる面4と面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
第2レンズ113Bの厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5、第2レンズ113Bの像面側面と像面IMG間の光軸OX上の距離がd6に設定される。
【0075】
以下に、撮像装置100Bのレンズ110Bの具体的な数値による実施例3を示す。なお、実施例3においては、レンズ110Bの各レンズ、ガラス基板に対して、図10に示すような面番号が付与されている。
【0076】
[実施例3]
表9、表10、表11、および表12に実施例3の各数値が示されている。実施例3の各数値は図10のレンズ110Bに対応している。
実施例3は、1/5サイズ、1.1μmピッチの5メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
本実施例3は、前述したように、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子120Bと一群のレンズ110Bより構成される。
レンズ110Bは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ111Bと、絞りと赤外線カットフィルタを施したガラス基板112Bと、第2レンズ113Bにより構成される。
ここで第1レンズ110Bはアッベ数57.3で正のパワーの第1レンズエレメント111とアッベ数29.6で負のパワーの第2レンズエレメント1112とアッベ数57.3で負のパワーの第3レンズエレメント1113により形成される。
第1レンズ110Bは、ガラス基板112B上にUV硬化レプリカレンズを3回施すことによって実現することが望ましい。第2レンズ113Bは、ガラス基板112Bの第1レンズ110Bの裏側にUV硬化レプリカレンズを施すことによって実現することが望ましい。
第1レンズ110Bはたとえば、日東電工社製NT33硝材と旭化成社製414C硝材と日東電工社製NT33を順に3回レプリカプロセスを行い、ショット社D263Tガラス基板上に形成することができる。そして、第1レンズ110Bの裏側に、日東電工社製NT33硝材を使い第2レンズ113Bをレプリカプロセスで形成することができる。
パワー構成は、第1レンズ110Bが強い正のパワーで焦点距離が5.0mm、第2レンズ113Bが弱い正で焦点距離が7.0mmとなる。
撮像素子120Bが半径3.343mmの湾曲によって大きいたる型の光学歪発生の要因となりながら、第1レンズエレメント1111と第2レンズエレメント1112の間に絞りがある。このために、上記パワー構成の影響により、レンズで正(糸巻き型)の25.5%の光学歪を発生させ、システムとしてTV歪が図12に示すように負(たる型)の3.9%に抑えられている。
そして、F値Fno2.8と明るく、半画角38.2度という広角を有しながら、図11に示すように光学諸収差をよく補正した、光学全長3.60mmと短いコンパクトな撮像システムを実現している。
【0077】
表9は、実施例3におけるレンズ110Bの各面番号に対応した各レンズ、ガラス基板(透明体)の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0078】
【表9】

【0079】
表10は、実施例3における非球面を含む第1レンズ111Bの面1、第2レンズ113Bの面6の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表10において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0080】
【表10】

【0081】
表11は、実施例3におけるレンズ110Bの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは2.62[mm]に、開口数Fは2.8に、半画角ωは38.2degに、レンズ長Hは3.60[mm]に設定されている。
【0082】
【表11】

【0083】
表12は、実施例3においては、上記各条件式(1)〜(3)を満足することを示す。
【0084】
【表12】

【0085】
表12に示すように、実施例3では、第1レンズ111Bのパワー(fL1/f)が1.91に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第2レンズ113Bのパワー(fL2/f)が2.65に設定され、条件式(2)で規定される正側の条件を満足している。
撮像素子120Bの像面IMGの曲率半径(Ri)が−1.26に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
【0086】
図11は、実施例3において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図11(A)が球面収差(色収差)、図11(B)が非点収差を、図11(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図12は、実施例3におけるディストーション格子を示す図である。
図からわかるように、実施例3によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れたレンズを含む撮像装置が得られる。
【0087】
<4.第4の実施形態>
図13は、本第4の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0088】
図13に示す第4の実施形態に係る撮像装置100Cと図1に示す第1の実施形態に係る撮像装置100とは、次の点が異なる。
撮像装置100Cにおいて、第1レンズ111Cが第1レンズエレメント1111、第2レンズエレメント1112、および第3レンズエレメント1113により形成されている。
そして、第2レンズ113Cが第4レンズエレメント1131および第5レンズエレメント1132により形成されている。
【0089】
図14は、本第4の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【0090】
具体的には、第1レンズエレメント1111の物体側面(凸面)に第1番、第1レンズエレメント1111の像面側面と第2レンズエレメント1112の物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント1112の像面側面と第3レンズエレメント1113の物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与されている。
第3レンズエレメント1113の像面側面とガラス基板112Bの物体側面との境界面(接合面)に第4番の面番号が付与されている。
ガラス基板112Cの像面側面と第4レンズエレメント1131の物体側面との境界面(接合面)に第5番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント1131の像面側面と第5レンズエレメント1132の物体側面との境界面(接合面)に第6番の面番号が付与され、第5レンズエレメント1132の像面側面に第7番の面番号が付与されている。
【0091】
また、図14に示すように、本実施形態のレンズ111Cにおいて、第1レンズエレメント1111の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズエレメント111の像面側面と第2レンズエレメント1112の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR2に設定される。
第2レンズエレメント1112の像面側面と第3レンズエレメント1113の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR3に設定される。
第3レンズエレメント1113の像面側面とガラス基板112Bの物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR4に設定される。
ガラス基板112Cの像面側面と第4レンズエレメント1131の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR5に設定される。
第2レンズエレメント1131の像面側面と第5レンズエレメント1132の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR6に設定される。
第5レンズエレメント1132の像面側面の中心曲率半径はR7に設定される。
なお、面4,5の中心曲率半径R4,R5は無限(INFINITY)である。
【0092】
また、図14に示すように、第1レンズエレメント1111の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に設定される。
第2レンズエレメント1112の厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第3レンズエレメント1113の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3に設定される。
ガラス基板112Cの厚さとなる面4と面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
第4レンズエレメント1131の厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5に設定される。
第5レンズエレメント1132の厚さとなる面6と面7間の光軸OX上の距離がd6に設定される。
第5レンズエレメント1132の像面側面と像面IMG間の光軸OX上の距離がd7に設定される。
【0093】
以下に、撮像装置100Cのレンズ110Cの具体的な数値による実施例4を示す。なお、実施例4においては、レンズ110Cの各レンズ、ガラス基板に対して、図14に示すような面番号が付与されている。
【0094】
[実施例4]
表13、表14、表15、および表16に実施例4の各数値が示されている。実施例3の各数値は図14のレンズ110Cに対応している。
実施例4は、1/4サイズ、1.1μmピッチの8メガピクセル(Mega pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
本実施例4は、前述したように、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子120Cと一群のレンズ110Cより構成される。
レンズ110Cは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ111Cと、絞りと赤外線カットフィルタを施したガラス基板112Cと、第2レンズ113Cにより構成される。
ここで第1レンズ110Cはアッベ数57.3で正のパワーの第1レンズエレメント111とアッベ数29.6で負のパワーの第2レンズエレメント1112とアッベ数57.3で負のパワーの第3レンズエレメント1113により形成される。
第2レンズ113Cは、アッベ数57.3で負のパワーの第4レンズエレメント1131とアッベ数29.6で正のパワーの第2レンズエレメント1132により形成される。
第1レンズ110Cは、ガラス基板112C上にUV硬化レプリカレンズを3回施すことによって実現することが望ましい。第2レンズ113Cは、ガラス基板112Cの第1レンズ110Cの裏側にUV硬化レプリカレンズを2回施すことによって実現することが望ましい。
第1レンズ110Cはたとえば、日東電工社製NT33硝材と旭化成社製414C硝材と日東電工社製NT33を順に3回レプリカプロセスを行い、ショット社D263Tガラス基板上に形成することができる。そして、第2レンズ113Cは、第1レンズ110Cの裏側に、日東電工社製NT33硝材と旭化成社製414Cを順にレプリカプロセスで形成することができる。
パワー構成は、第1レンズ110Cが強い正のパワーで焦点距離が5.6mm、第2レンズ113Cが弱い正で焦点距離が40.5mmとなる。
撮像素子120Cが半径5.208mmの湾曲によって大きいたる型の光学歪発生の要因となりながら、第1レンズエレメント1111と第2レンズエレメント1112の間に絞りがある。このために、上記パワー構成の影響により、レンズで正(糸巻き型)の35.8%の光学歪を発生させ、システムとしてTV歪が図16に示すように負(たる型)の0.6%に抑えられている。
そして、F値Fno2.8と明るく、半画角33.7度という広角を有しながら、図15に示すように光学諸収差をよく補正した、光学全長4.20mmと短いコンパクトな撮像システムを実現している。
【0095】
表13は、実施例4におけるレンズ110Cの各面番号に対応した各レンズ、ガラス基板(透明体)の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0096】
【表13】

【0097】
表14は、実施例4における非球面を含む第1レンズ111Cの面1、面2、面3、第2レンズ113Cの面6,7の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表14において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0098】
【表14】

【0099】
表15は、実施例4におけるレンズ110Cの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは3.48[mm]に、開口数Fは2.8に、半画角ωは33.7degに、レンズ長Hは4.20[mm]に設定されている。
【0100】
【表15】

【0101】
表16は、実施例4においては、上記各条件式(1)〜(3)を満足することを示す。
【0102】
【表16】

【0103】
表16に示すように、実施例4では、第1レンズ111Cのパワー(fL1/f)が1.61に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第2レンズ113Cのパワー(fL2/f)が11.64に設定され、条件式(2)で規定される正側の条件を満足している。
撮像素子120Cの像面IMGの曲率半径(Ri)が−1.44に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
【0104】
図15は、実施例4において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図15(A)が球面収差(色収差)、図15(B)が非点収差を、図15(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図16は、実施例4におけるディストーション格子を示す図である。
図からわかるように、実施例4によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れたレンズを含む撮像装置が得られる。
【0105】
<5.第5の実施形態>
図17は、本第5の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0106】
図17に示す第5の実施形態に係る撮像装置100Dと図1に示す第1の実施形態に係る撮像装置100とは、次の点が異なる。
撮像装置100Dにおいて、第1レンズ111Dが第1レンズエレメント1111、第2レンズエレメント1112、および第3レンズエレメント1113により形成されている。
そして、第2レンズ113Dが第4レンズエレメント1131および第5レンズエレメント1132により形成されている。
【0107】
図18は、本第5の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【0108】
具体的には、第1レンズエレメント1111の物体側面(凸面)に第1番、第1レンズエレメント1111の像面側面と第2レンズエレメント1112の物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント1112の像面側面と第3レンズエレメント1113の物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与されている。
第3レンズエレメント1113の像面側面とガラス基板112Dの物体側面との境界面(接合面)に第4番の面番号が付与されている。
ガラス基板112Dの像面側面と第4レンズエレメント1131の物体側面との境界面(接合面)に第5番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント1131の像面側面と第5レンズエレメント1132の物体側面との境界面(接合面)に第6番の面番号が付与され、第5レンズエレメント1132の像面側面に第7番の面番号が付与されている。
【0109】
また、図18に示すように、本実施形態のレンズ111Dにおいて、第1レンズエレメント1111の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズエレメント111の像面側面と第2レンズエレメント1112の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR2に設定される。
第2レンズエレメント1112の像面側面と第3レンズエレメント1113の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR3に設定される。
第3レンズエレメント1113の像面側面とガラス基板112Dの物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR4に設定される。
ガラス基板112Dの像面側面と第4レンズエレメント1131の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR5に設定される。
第2レンズエレメント1131の像面側面と第5レンズエレメント1132の物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR6に設定される。
第5レンズエレメント1132の像面側面の中心曲率半径はR7に設定される。
なお、面4,5の中心曲率半径R4,R5は無限(INFINITY)である。
【0110】
また、図18に示すように、第1レンズエレメント1111の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に設定される。
第2レンズエレメント1112の厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第3レンズエレメント1113の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3に設定される。
ガラス基板112Dの厚さとなる面4と面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
第4レンズエレメント1131の厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5に設定される。
第5レンズエレメント1132の厚さとなる面6と面7間の光軸OX上の距離がd6に設定される。
第5レンズエレメント1132の像面側面と像面IMG間の光軸OX上の距離がd7に設定される。
【0111】
以下に、撮像装置100Dのレンズ110Dの具体的な数値による実施例5を示す。なお、実施例5においては、レンズ110Dの各レンズ、ガラス基板に対して、図18に示すような面番号が付与されている。
【0112】
[実施例5]
表17、表18、表19、および表20に実施例5の各数値が示されている。実施例5の各数値は図18のレンズ110Fに対応している。
実施例5は、1/4サイズ、1.1μmピッチの8メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
本実施例5は、前述したように、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子120Dと一群のレンズ110Dより構成される。
レンズ110Dは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ111Dと、絞りと赤外線カットフィルタを施したガラス基板112Dと、第2レンズ113Dにより構成される。
ここで第1レンズ110Dはアッベ数57.3で正のパワーの第1レンズエレメント111とアッベ数29.6で負のパワーの第2レンズエレメント1112とアッベ数57.3で負のパワーの第3レンズエレメント1113により形成される。
第2レンズ113Dは、アッベ数57.3で負のパワーの第4レンズエレメント1131とアッベ数29.6で正のパワーの第5レンズエレメント1132により形成される。
第1レンズ110Dは、ガラス基板112D上にUV硬化レプリカレンズを3回施すことによって実現することが望ましい。第2レンズ113Dは、ガラス基板112Dの第1レンズ110Dの裏側にUV硬化レプリカレンズを2回施すことによって実現することが望ましい。
第1レンズ110Dはたとえば、日東電工社製NT33硝材と旭化成社製414C硝材と日東電工社製NT33を順に3回レプリカプロセスを行い、ショット社D263Tガラス基板上に形成することができる。そして、第2レンズ113Dは、第1レンズ110Dの裏側に、日東電工社製NT33硝材と旭化成社製414Cを順にレプリカプロセスで形成することができる。
パワー構成は、第1レンズ110Dが強い正のパワーで焦点距離が8.18mm、第2レンズ113Dが弱い負で焦点距離が−647.8mmとなる。
撮像素子120Dが半径8.5mmの湾曲によって大きいたる型の光学歪発生の要因となりながら、第1レンズエレメント1111と第2レンズエレメント1112の間に絞りがある。このために、上記パワー構成の影響により、レンズで正(糸巻き型)の13.9%の光学歪を発生させ、システムとしてTV歪が図20に示すように負(たる型)の1.9%に抑えられている。
そして、F値Fno2.8と明るく、半画角28.9度という広角を有しながら、図19に示すように光学諸収差をよく補正した、光学全長7.64mmと短いコンパクトな撮像システムを実現している。
【0113】
表17は、実施例5におけるレンズ110Dの各面番号に対応した各レンズ、ガラス基板(透明体)の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0114】
【表17】

【0115】
表18は、実施例5における非球面を含む第1レンズ111Dの面1、第2レンズ113Cの面7の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表18において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0116】
【表18】

【0117】
表19は、実施例5におけるレンズ110Dの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは5.56[mm]に、開口数Fは2.8に、半画角ωは28.9degに、レンズ長Hは7.64[mm]に設定されている。
【0118】
【表19】

【0119】
表20は、実施例5においては、上記各条件式(1)〜(3)を満足することを示す。
【0120】
【表20】

【0121】
表20に示すように、実施例5では、第1レンズ111Dのパワー(fL1/f)が1.47に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第2レンズ113Dのパワー(fL2/f)が−116.5に設定され、条件式(2)で規定される負側の条件を満足している。
撮像素子120Dの像面IMGの曲率半径(Ri)が−1.53に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
【0122】
図19は、実施例5において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図19(A)が球面収差(色収差)、図19(B)が非点収差を、図19(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図20は、実施例5におけるディストーション格子を示す図である。
図からわかるように、実施例5によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れたレンズを含む撮像装置が得られる。
【0123】
以上では、第1から第5の実施形態として、撮像素子が、物体側に凹を向けて湾曲している場合であって、一群のレンズで形成され、レンズは物体側から像面側に向かって空気を挟まずに形成されている場合を例に説明した。
以下では、第6から第10の実施形態として、撮像素子が、物体側に凹を向けて湾曲している場合であって、2群またはそれ以上の群のレンズで形成されている場合を例に説明する。
【0124】
<6.第6の実施形態>
図21は、本第6の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0125】
図21に示す第6の実施形態に係る撮像装置200は、基本的に物体側OBJSから像面側に向かって順番に配置された第1レンズ群210、第2レンズ群220の2群のレンズLNSと、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子230とを有する
【0126】
このように、撮像装置200は、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子230と2群のレンズLNSより構成される。
レンズLNSは、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズ群210と、第2レンズ群220より構成される。
第2レンズ群220は、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ221と、透明体222(222−1,222−2)と、第2レンズ223とを有する。
この透明体222は,ガラス基板で構成されることが望ましく、絞りや赤外線カットフィルタを施すことが望ましい。
【0127】
第1レンズ群210は、非球面を使った負のパワーのレンズで構成され、第2レンズ群220は次のように構成される。
第2レンズ群220の第1レンズ221は、強い正のパワーを持ち、ガラス基板上にUV効果レプリカレンズを施すことによって実現することが望ましい。
また、異なるレプリカ硝材を2回施しダブレット構成、もしくは、3回施しトリプレット構成にし、高性能化を実現することもできる。トリプレット構成以上の構成も可能である。
【0128】
第2レンズ群220の第2レンズ223は、弱いパワーの正もしくは負のパワーを持ち、ガラス基板の第1レンズ221の裏側にUV効果レプリカレンズを施すことによって実現するのが望ましい。
また、異なるレプリカ硝材を2回施しダブレット構成、もしくは、3回以上施し、トリプレット構成以上にしてもよい。
【0129】
第2レンズ群220の第1レンズ221と第2レンズ223の間に絞り224がある。
このために、上記パワー構成の影響によりレンズ群で強い正(糸巻き型)の光学歪を発生して、撮像素子230を湾曲することにより発生する負(たる型)の光学歪を打ち消し、撮像素子全体として、好ましい光学歪が実現される。
なお、レンズ群の光学ディストーションが正の4%以上である。
【0130】
この単焦点レンズにおいても第1の実施形態等と同様に、結像面IMGは、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子の撮像面(受像面)が配置されることを想定している。
また、像側最終面と結像面の間、もしくは物体側の最初の面の前には、樹脂またはガラスで形成されるカバーガラスや赤外カットフィルタやローパスフィルタなどの他、光学部材が配置されていてもよい。
なお、本実施形態では、図21において、左側が物体側(前方)であり、右側が像面側(後方)である。
そして、物体側から入射した光束は撮像素子230の像面IMG上に結像される。
【0131】
以下、本実施形態の撮像レンズの構成とその作用について説明する。
【0132】
単焦点レンズである本実施形態の撮像レンズは、以下の条件式(1)〜(3)を満足するように構成されている。
【0133】
条件式(1)では、第1レンズ群210のパワーに関する条件が規定されている。
【0134】
−10 ≦ fG1/f ≦ −1.0 (1)
fG1は第1レンズ群210の焦点距離を、fはレンズ系の焦点距離を示している。
【0135】
条件式(1)は以下の理由で必要となる。
上限を超えると、パワーが強くなりすぎて実際にできる組み立て精度にならなくなり必要となる。
下限を超えると負のパワーが弱くなりすぎて、負のパワーを第1レンズ群210に持ってくる利点が得られなくなる。すなわち、下限を超えると、たとえば見かけ上の射出瞳位置を前に持ってきて、撮像素子への主光線入射角を小さくすることや、バックフォーカスを長くとれる、周辺光量の劣化を防ぐ等が弱くなり、十分な光学特性を得られなくなるので必要である。
【0136】
条件式(2)では、第2レンズ群220のパワーに関する条件が規定されている。
【0137】
0.8 ≦ fG2/f ≦ 5.0 (2)
fG1は第2レンズ群220の焦点距離を、fはレンズ系の焦点距離を示している。
【0138】
条件式(2)は以下の理由で必要となる。
上限を超えると、正(糸巻き)の光学ディストーションが出なくなり、システムとして使えなくなるため必要となる。
下限を超えると、パワーが強くなりすぎて実際に出来る組み立て精度にならなくなり必要となる。
【0139】
条件式(3)では、撮像素子120の湾曲に関する条件が規定されている。
【0140】
−40 ≦ Ri/f ≦ −0.6 (3)
Riは像面IMGの曲率半径を示している。
【0141】
条件式(3)は以下の理由で必要となる。
上限を超えるとレンズで像面湾曲を補正しきれなくなり、像高が高くなるに従ってMTFが劣化するために必要となる。
下限を超えると像面湾曲が過補正になり、像高が高くなるに従ってMTFが劣化し、かつ、製造上、曲げることが困難であるために必要となる。
つ、製造上、曲げることが困難であるために必要となる。
【0142】
上記の条件式(1)〜(3)は、以下で取り扱う第6〜第9の実施形態に共通するものであり、必要に応じて適宜採用することで、個々の撮像素子または撮像装置に適したより好ましい結像性能とコンパクトな光学系が実現される。
【0143】
上述したように、レンズの非球面の形状は、物体側から像面側へ向かう方向を正とし、kを円錐係数、A、B、C、Dを非球面係数、rを中心曲率半径としたとき前述の[数1]で表される。yは光軸からの光線の高さ、cは中心曲率半径rの逆数(1/r)をそれぞれ表している。
ただし、Xは非球面頂点に対する接平面からの距離を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0144】
図22は、本第1の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【0145】
具体的には、第1レンズ群210の物体側面に第1番が付与され、第1レンズ群210の像面側面に第2番の面番号が付与されている。
第2レンズ群220の第1レンズ221の物体側(凸面)面に第3番が付与され、第1レンズ221の像面側面と透明体222−1の物体側面との境界面(接合面)に第4番の面番号が付与されている。
透明体222−1の像面側面と透明体222−2の物体側面との境界面(接合面)に第5番が付与され、透明体222−2の像面側面と第2レンズ223の物体側面との境界面(接合面)に第6番が付与されている。
そして、第2レンズ223の像面側面に第7番が付与されている。
【0146】
また、図22に示すように、本実施形態の撮像装置200において、第1レンズ群210の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズ群210の像面側面2の中心曲率半径はR2に設定される。
第2レンズ群220の第1レンズ221の物体側(凸面)面3に中心曲率半径はR3に設定され、第1レンズ221の像面側面と透明体222−1の物体側面との境界面(接合面)4の中心曲率半径はR4に設定される。
透明体222−1の像面側面と透明体222−2の物体側面との境界面(接合面)5の中心曲率半径がR5に、透明体222−2の像面側面と第2レンズ223の物体側面6の中心曲率半径はR6に設定される。
そして、第2レンズ223の像面側面7の中心曲率半径はR7に設定される。
なお、面4,5,6の中心曲率半径R4,R5,R6は無限(INFINITY)である。
【0147】
また、図22に示すように、第1レンズ群210の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に、第1レンズ群210の像側面2と第2レンズ群220の第1レンズ221の物体側面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第1レンズ221の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3に設定される。
透明体222−1の厚さとなる面4と面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
透明体222−2の厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5に設定される。 第2レンズ223の厚さとなる面6と面7間の光軸OX上の距離がd6に設定され、第2レンズ223の像面側面と像面IMG間の光軸OX上の距離がd7に設定される。
【0148】
以下に、撮像装置200のレンズの具体的な数値による実施例6を示す。なお、実施例6においては、各レンズ、透明体に対して、図22に示すような面番号が付与されている。
【0149】
[実施例6]
表21、表22、および表23に実施例6の各数値が示されている。実施例6の各数値は図21に対応している。
実施例6は、1/4サイズ、2.8μmピッチの1.3M用CMOSイメージャ用の、車載カメラ、PCカメラ、監視カメラ等の設計例である。
撮像装置200は、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子230と2群のレンズより構成され、レンズは、第1レンズ群210が、負のパワーを持った非球面レンズで構成される。非球面レンズは、ガラスモールド、プラスチック、キャスティング方式レンズ等の材質が適している。
第2レンズ群220は、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ221と、絞りと赤外線カットフィルタを施したガラス基板(透明体)222と、弱いパワーの第2レンズ223により構成される。
第1レンズ221は、絞り、または、IRカットフィルタを施したガラス基板上の絞りの反対面にUV効果レプリカレンズを施すことによって実現するのが望ましい。
また、第2レンズ223は、ガラス基板にUV効果レプリカレンズを施すことによって実現するのが望ましい。ここでは第1レンズ221の裏に第2レンズ223を施しても、別のガラス基板上に施し、ガラス基板同士を張り合わせても良い。
第1レンズ221と第2レンズ223は、たとえば、日東電工NT33硝材を使用してレプリカプロセスでショット社D263Tガラス基板上に形成することができる。
パワー構成は、第1レンズ群210が強い負のパワーで焦点距離が−5.52mm、第2レンズ群220が弱い正で焦点距離が2.67mmとなる。
光学系の焦点距離が1.80mmであるため、条件式(1)は−3.07、条件式(2)は1.48となり、条件式の要件を満たしている。
撮像素子230が半径−5.50mmの湾曲によって大きいたる型の光学歪発生の要因となりながら、第1レンズ221と第2レンズ223の間に絞りがある。このために、上記パワー構成の影響により、レンズで正(糸巻き型)の25.8%の光学歪を発生させ、システムとしてTV歪が図24に示すように負(たる型)の3.8%に抑えられている。
そして、Fno2.8と明るく、半画角52.5度という広角を有しながら、図23に示すように光学諸収差をよく補正した、光学全長10mmと短いコンパクトな撮像システムを実現している。
【0150】
表21は、実施例6におけるレンズの各面番号に対応した各レンズ、ガラス基板(透明体)の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0151】
【表21】

【0152】
表22は、実施例6における非球面を含む第1レンズ群210の第2面、第2レンズ群の第1レンズ211の第3面、第2レンズ223の第7面の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表22において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0153】
【表22】

【0154】
表23は、実施例6におけるレンズの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは1.80[mm]に、開口数Fは2.8に、半画角ωは52.5degに、レンズ長Hは10.0[mm]に設定されている。
【0155】
【表23】

【0156】
図23は、実施例6において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図23(A)が球面収差(色収差)、図23(B)が非点収差を、図23(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図24は、実施例6におけるディストーション格子を示す図である。
図からわかるように、実施例6によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れたレンズを含む撮像装置が得られる。
【0157】
<7.第7の実施形態>
図25は、本第7の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0158】
図25の撮像装置200Aは、基本構成は図21の撮像装置200と同様で、第1レンズ群210Aをプラスチックで構成し、前にカバーガラス240を配置して、野外で使えるように対応するものである。
なお、この第7の実施形態に対応する実施例7は、光学の基本パラメータは実施例6とほとんど変わらないのでここでの説明は割愛する。
【0159】
<8.第8の実施形態>
図26は、本第8の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0160】
図26の撮像装置200Bは、基本構成は図21の撮像装置200と同様で、第1レンズ群210Bを平らなガラス基板211Bにレプリカレンズ212Bを施したものを使う。
これにより、リフローに耐えうる耐熱特性を有し、かつ、最も外側がガラスであるために、野外での使用もできる。
さらに、撮像装置200Bでは、第1レンズ群210Bも第2レンズ群220もガラス基板上に多数個のレプリカレンズを施すウエハオプトで製造でき、安価な大量生産に適する。
なお、この第8の実施形態に対応する実施例8は、光学の基本パラメータは実施例6とほとんど変わらないのでここでの説明は割愛する。
【0161】
<9.第9の実施形態>
図27は、本第9の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【0162】
図27の撮像装置200Cは、第1レンズ群210Cが、負のパワーを持った非球面レンズで構成され、非球面レンズは球面ガラス211Cの撮像面側にレプリカレンズを施した通常のレプリカレンズ212Cで実現される。
【0163】
図28は、本第9の実施形態に係る撮像装置のレンズおよび基板に対して付与した面番号を示す図である。
【0164】
具体的には、第1レンズ群210の球面ガラス211Cの物体側面に第1番が付与され、球面ガラス211の像面側面とレプリカレンズ212Cの物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
レプリカレンズ212Cの像面側面に第3番の面番号が付与されている。
第2レンズ群220の第1レンズ221の物体側(凸面)面に第4番が付与され、第1レンズ221の像面側面と透明体222−1の物体側面との境界面(接合面)に第5番の面番号が付与されている。
透明体222−1の像面側面と透明体222−2の物体側面との境界面(接合面)に第6番が付与され、透明体222−2の像面側面と第2レンズ223の物体側面との境界面(接合面)に第7番の面番号が付与されている。
そして、第2レンズ223の像面側面に第8番が付与されている。
【0165】
また、図28に示すように、本実施形態の撮像装置200において、第1レンズ群210の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
球面ガラス211Cの像面側面2とレプリカレンズ212Cの物体側面との境界面(接合面)の中心曲率半径はR2に設定される。
第1レンズ群210のレプリカレンズ212Cの像面側面2の中心曲率半径はR3に設定される。
第2レンズ群220の第1レンズ221の物体側(凸面)面4の中心曲率半径はR4に設定され、第1レンズ221の像面側面と透明体222−1の物体側面との境界面(接合面)5の中心曲率半径はR5に設定される。
透明体222−1の像面側面と透明体222−2の物体側面との境界面(接合面)6の中心曲率半径がR6に、透明体222−2の像面側面と第2レンズ223の物体側面7の中心曲率半径はR7に設定される。
そして、第2レンズ223の像面側面8の中心曲率半径はR8に設定される。
なお、面5,6,7の中心曲率半径R5,R6,R7は無限(INFINITY)である。
【0166】
また、図28に示すように、第1レンズ群210の球面レンズ211Cの厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に、レプリカレンズ212Cの厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第1レンズ群210のレプリカレンズ212Cの像側面3と第2レンズ群220の第1レンズ221の物体側面4間の光軸OX上の距離がd3に設定される。
第1レンズ221の厚さとなる面4と面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
透明体222−1の厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5に設定される。
透明体222−2の厚さとなる面6と面7間の光軸OX上の距離がd6に設定される。
第2レンズ223の厚さとなる面7と面8間の光軸OX上の距離がd7に設定され、第2レンズ223の像面側面と像面IMG間の光軸OX上の距離がd8に設定される。
【0167】
以下に、図27の撮像装置200Cのレンズの具体的な数値による実施例9を示す。なお、実施例9においては、各レンズ、透明体に対して、図28に示すような面番号が付与されている。
【0168】
[実施例9]
表24、表25、および表26に実施例9の各数値が示されている。実施例9の各数値は図27に対応している。
実施例9は、1/4サイズ、2.8μmピッチの1.3M用CMOSイメージャ用の、車載カメラ、PCカメラ、監視カメラ等の設計例である。
本実施例9は、物体側に凹を向けて湾曲している撮像素子230と2群のレンズより構成される。レンズは、第1レンズ群210Cが、負のパワーを持った非球面レンズ211で構成され、非球面レンズは球面ガラス211Cの撮像面側にレプリカレンズ212Cを施した通常のレプリカレンズ212で実現される。
第2レンズ220群は、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズ221と、絞りと赤外線カットフィルタを施したガラス基板(透明体)222と、弱いパワーの第2レンズ223により構成される。
第1レンズ221は、絞り、または、IRカットフィルタを施したガラス基板上の絞りの反対面にUV効果レプリカレンズを施すことによって実現するのが望ましい。
また、第2レンズ223は、ガラス基板222にUV効果レプリカレンズを施すことによって実現するのが望ましい。ここでは、第1レンズ221の裏に第2レンズ223を施しても、別のガラス基板上に施し、ガラス基板同士を張り合わせても良い。
第1レンズ221と第2レンズ223は、たとえば、日東電工NT33硝材を使用してレプリカプロセスでショット社D263Tガラス基板上に形成することが出来る。
パワー構成は、第1レンズ群210Cが強い負のパワーで焦点距離が−5.20mm、第2レンズ群が弱い正で焦点距離が2.64mmとなる。光学系の焦点距離が1.735mmであるため、条件式(1)は−3.00、条件式(2)は1.48となり、条件式の要件を満たしている。
撮像素子230が半径−5.70mmの湾曲によって大きいたる型の光学歪発生の要因となりながら、第1レンズ221と第2レンズ223の間に絞りがある。このために、上記パワー構成の影響により、レンズで正(糸巻き型)の34.0%の光学歪を発生させ、システムとしてTV歪が図29に示すように負(たる型)の2.0%に抑えられている。
そして、Fno2.8と明るく、半画角51.8度という広角を有しながら、図30に示すように光学諸収差をよく補正した、光学全長10mmと短いコンパクトな撮像システムを実現している。
【0169】
表24は、実施例9におけるレンズの各面番号に対応した各レンズ、ガラス基板(透明体)の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0170】
【表24】

【0171】
表25は、実施例9における非球面を含む第1レンズ群210の第3面、第2レンズ群の第1レンズ211の第5面、第2レンズ223の第8面の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表25において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0172】
【表25】

【0173】
表26は、実施例9におけるレンズの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは1.735[mm]に、開口数Fは2.8に、半画角ωは51.8degに、レンズ長Hは10.0[mm]に設定されている。
【0174】
【表26】

【0175】
図29は、実施例9において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図29(A)が球面収差(色収差)、図29(B)が非点収差を、図29(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図30は、実施例9におけるディストーション格子を示す図である。
図からわかるように、実施例9によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れたレンズを含む撮像装置が得られる。
【0176】
<10.第10の実施形態>
図31は、本第10の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図32は、図31の撮像装置において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図32(A)が球面収差(色収差)、図32(B)が非点収差を、図32(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図33は、図31の撮像装置におけるディストーション格子を示す図である。
【0177】
図31の撮像装置300は、現在携帯電話向けカメラモジュールのレンズで標準的な4群レンズに湾曲したセンサを用いた例を示している。
本例は、1.12μmピッチのセンサを用いた1/3.06サイズの13M用の設計例である。
構成データは、Fno2.8、焦点距離3.66mm、光学全長4.0mm、水平画角63.0度である。
図32に示すように正(糸巻き型)の光学歪を有するが、図33に示すように撮像素子が湾曲することによってTVディストーションは低く抑えられる。
撮像装置200が平らな通常の設計では、光学全長が4.4mmほどでないと、同等の光学性能を出すことができないので、撮像素子が湾曲することにより、全体の収差補正が有利になり、光学全長を短くできた。
基本的に、何群何枚構成であっても、センサ(撮像素子)湾曲と、正の光学ディストーションを出したレンズを用いて、上記と同様の効果を得られる。
【0178】
<11.第11の実施形態>
図34は、本第11の実施形態に係るウエハーレベルオプティクスを概念的に示す図である。
【0179】
本実施形態のレンズは、ウエハー400上に多数個同時に作ることが望ましい。図34は、その概念を示している。
赤外線カットフィルタと遮光絞りを施したガラス基板410の上下に、レプリカプロセスで多数個のレンズを同時に施した概念図である。
このようにガラス基板400上にレプリカプロセスを使った製造方法で多数個のレンズを作り、個々に切り出すことによって、本実施形態1群レンズ、2群レンズを作製できる。
また、この上記レンズウエハーと、センサーウエハーをウエハー状態で接着してから、個々に切り出して撮像素子にしてもよい。
【0180】
以上のように、本実施形態では、高画素に対応できる撮像素子を湾曲させ一群構成のレンズで構成した撮像装置を実現している。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
1)基板上に絞りや赤外線カットフィルタを施すことが可能で、中絞りに出来、光学諸収差を効率よく補正して、赤外線カットフィルタを別部品で置かなくてもいい光学システムを構築できる。
2)ガラス基板に貼り付けられている1群で構成されており、レンズ製造プロセスで精度が決まり、複数レンズの組み立での問題や、レンズ製造後の信頼性の問題等が起こらない。
3)空気間隔を置かずにレンズエレメントを積層することによって高画素対応出来る構造で、基本構造を変えずに容易に高性能化が可能である。
4)撮像素子を湾曲させることによって発生する負の光学歪をレンズ系で発生する正の光学歪で打ち消すことが出来、撮像素子を湾曲させて得られるレンズ簡易化の効果を最大限発揮できる。
そして、光学歪の小さい構造の簡単な広角レンズを実現することができる。
5)撮像素子を湾曲させることによって、レンズでの像面補正の必要が少なくてすむ。よって1群でレンズを構成できる。撮像素子を湾曲させることによって、レンズでの像面補正の必要が少なくてすむ。よって2群で広角レンズを構成でき、通常は3群以上必要だったことから小型化、低コスト化を図ることができる。
6)レンズの物体側入射面が凸で像高によってレンズ入射の角度に差が少なく色収差が出にくい構成をとっている。
7)上記の効果で狭角から広角まで様々な画角に対応可能である。
8)投影面積の小さい、撮像デバイスを実現できる。
9)通常、安価な広角レンズでは困難であった、リフローアブルな硝材で構成でき、リフローアブルな広角カメラ、もしくは車載カメラに最適なシステムを構成できる。
10)レンズをウエハー状で作ることができ、低コストで大量生産することができる。
11)一群のレンズで構成しているために、レンズ個々のフォーカス方向のばらつきが少ない。
12)これらにより、レンズウエハーとセンサーウエハーを張り合わせてカメラモジュールを作ることができ、安価にカメラモジュールを大量生産することができる。
13)通常の光学系に湾曲させた撮像素子を用いた場合、通常ではできなかった短い光学長を達成できる。
【0181】
以上説明したような特徴を有する撮像装置100,100A〜100D、200,200A〜200Cは、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子を用いたデジタルカメラ、特に、携帯電話等の小型電子機器に搭載されるカメラ用レンズとして適用可能である。
【0182】
<12.第12の実施形態>
図35は、本実施形態に係る撮像装置が採用される電子機器の構成例を示すブロック図である。
【0183】
本電子機器500は、図35に示すように、本実施形態に係る撮像レンズ100,100A〜100D、200,200A〜200Cが適用される、光学系510、およびCCDやCMOSイメージセンサ(固体撮像素子)が適用可能な撮像デバイス520を有する。
光学系510は、撮像デバイス520の画素領域を含む撮像面に入射光を導き、被写体像を結像する。
電子機器500は、さらに、撮像デバイス520を駆動する駆動回路(DRV)530、および撮像デバイス520の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)540を有する。
【0184】
駆動回路530は、撮像デバイス520内の回路を駆動するスタートパルスやクロックパルスを含む各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ(図示せず)を有し、所定のタイミング信号で撮像デバイス520を駆動する。
【0185】
また、信号処理回路540は、撮像デバイス520の出力信号に対して所定の信号処理を施す。信号処理回路540は、たとえば撮像デバイス520の出力信号に応じた信号処理時にディストーション補正を行うことも可能である。
信号処理回路540で処理された画像信号は、たとえばメモリなどの記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像情報は、プリンタなどによってハードコピーされる。また、信号処理回路540で処理された画像信号を液晶ディスプレイ等からなるモニターに動画として映し出される。
【0186】
上述したように、デジタルスチルカメラ等の撮像装置において、光学系510および撮像デバイス520として、先述した撮像装置100,100A〜100D、200,200A〜200Cを搭載することで、低消費電力で、高精度なカメラが実現できる。
【0187】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)一群のレンズと、
上記レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、
上記レンズは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、
物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、
透明体と、
第2レンズと、を含み、
上記撮像素子は、物体側に凹を向けて湾曲している
撮像装置。
(2)上記透明体が、ガラス板もしくはプラスチックに類する板により形成される
上記(1)記載の撮像装置。
(3)絞りがレンズ群の中に配置されている
上記(1)または(2)記載の撮像装置。
(4)赤外線カットフィルタがレンズ群の中に配置されている
上記(1)から(3)のいずれか一に記載の撮像装置。
(5)上記第1レンズが、
物体側から順に配置された第1レンズエレメントと第2レンズエレメントのダブレット構造を有する
上記(1)から(4)のいずれか一に記載の撮像装置。
(6)上記第1レンズエレメントが両凸レンズにより形成されている
上記(5)記載の撮像装置。
(7)上記第1レンズが、
物体側から順に配置された第1レンズエレメントと第2レンズエレメントと第3レンズエレメントのトリプレット構造を有する
上記(1)から(4)のいずれか一に記載の撮像装置。
(8)上記第2レンズエレメントのアッベ数が、上記第1レンズエレメントと上記第3レンズエレメントより小さい
上記(7)記載の撮像装置。
(9)上記第2レンズが少なくとも第4レンズエレメントと第5レンズエレメントのダブレット構造を有する
上記(1)から(8)のいずれか一に記載の撮像装置。
(10)少なくとも1つのレンズエレメントが紫外線硬化樹脂により形成されている
上記(5)から(9)のいずれか一に記載の撮像装置。
(11)上記第1レンズの焦点距離fL1と上記第2レンズの焦点距離fL2が、レンズ系の焦点距離をfとして下記の条件式を満足する
上記(1)から(10)のいずれか一に記載の撮像装置。
1.0 ≦ fL1/f ≦ 100.0
1.5 ≦ fL2/f または fL2 ≦ −3.0
(12)上記撮像素子の像面の曲率半径Riが、レンズ系の焦点距離をfとして下記の条件式を満足する
上記81)から(11)のいずれか一に記載の撮像装置。
−5 ≦ Ri/f ≦ −0.6
(13)正の光学歪を有するレンズ群と、
上記レンズ群を通して結像される撮像素子と、を含み、
上記撮像素子が物体側に凹を向けて湾曲しており、当該湾曲より生じる負の光学歪を、上記レンズ群の正の光学歪により打ち消す
撮像装置。
(14)2群のレンズと、
上記レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、
上記レンズは、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズ群と、
空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、透明体と、第2レンズとを含む第2レンズ群と、を含む
撮像装置。
(15)上記第2レンズ群が、物体側から像面側に向かって、空気を挟まずに順番に配置された、
第1レプリカレンズと、
ガラス基板と、
第2レプリカレンズと、を含む
上記(14)記載の撮像装置。
(16)上記第1レンズ群が、ガラスモールド、またはプラスチック、またはキャスティング方式のレンズにより形成されている
上記(14)または(15)記載の撮像装置。
(17)上記第1レンズ群が、球面のガラスレンズにレプリカレンズを施したレンズにより形成されている
上記(14)または(15)記載の撮像装置。
(18)上記第1レンズ群が、ガラス板にレプリカレンズを施したレンズにより形成されている
上記(14)または(15)記載の撮像装置。
(19)上記第1レンズ群の焦点距離fG1と上記第2レンズ群の焦点距離fG2が、レンズ系の焦点距離をfとして下記の条件式を満足する
上記(13)から(18)のいずれか一に記載の撮像装置。
−10 ≦ fG1/f ≦ −1.0
0.9 ≦ fG2/f ≦ 5.0
(20)上記撮像素子の像面の曲率半径Riが、レンズ系の焦点距離をfとして下記の条件式を満足する
上記(13)から(19)のいずれか一に記載の撮像装置。
−40 ≦ Ri/f ≦ −0.6
(21)レンズ群が、
正の光学ディストーションを有し、撮像素子湾曲によって生じる負の光学ディストーションを補正する
上記(1)から(20)のいずれか一に記載の撮像装置。
(22)上記レンズ群の光学ディストーションが正の4%以上である
上記(1)から(21)のいずれか一に記載の撮像装置。
(23)上記撮像素子の出力信号に応じた信号処理時にディストーション補正が行われる
上記(1)から(22)のいずれか一に記載の撮像装置。
(24)撮像装置と、
上記撮像装置の出力信号に対して信号処理を行う信号処理回路と、を有し、
上記撮像装置は、
一群のレンズと、
上記レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、
上記レンズは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、
物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、
透明体と、
第2レンズと、を含み、
上記撮像素子は、物体側に凹を向けて湾曲している
電子機器。
(25)撮像装置と、
上記撮像装置の出力信号に対して信号処理を行う信号処理回路と、を有し、
上記撮像装置は、
正の光学歪を有するレンズ群と、
上記レンズ群を通して結像される撮像素子と、を含み、
上記撮像素子が物体側に凹を向けて湾曲しており、当該湾曲より生じる負の光学歪を、上記レンズ群の正の光学歪により打ち消す
電子機器。
【符号の説明】
【0188】
100,100A〜100D・・・撮像装置、110,110A〜110D・・・レンズ、111,111A〜111D・・・第1レンズ、1111・・・第1レンズエレメント、1112・・・第2レンズエレメント、1113・・・第3レンズエレメント、112,112A〜112D・・・ガラス基板、113,113A〜113D・・・第2レンズ、1131・・・第4レンズエレメント、1132・・・第5レンズエレメント、120,120A〜120D・・・撮像装置、200,200A〜200D・・・撮象装置、210・・・第1レンズ群、211・・・球面レンズ、212・・・レプリカレンズ、220・・・第2レンズ群、221・・・第1レンズ、222・・・透明体(ガラス基板)、223・・・第2レンズ、500・・・撮像装置、510・・・光学系、320・・・撮像デバイス、530・・・駆動回路(DRV)、540・・・信号処理回路(PRC)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一群のレンズと、
上記レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、
上記レンズは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、
物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、
透明体と、
第2レンズと、を含み、
上記撮像素子は、物体側に凹を向けて湾曲している
撮像装置。
【請求項2】
上記透明体が、ガラス板もしくはプラスチックに類する板により形成される
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
絞りがレンズ群の中に配置されている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
赤外線カットフィルタがレンズ群の中に配置されている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
上記第1レンズが、
物体側から順に配置された第1レンズエレメントと第2レンズエレメントのダブレット構造を有する
請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
上記第1レンズエレメントが両凸レンズにより形成されている
請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
上記第1レンズが、
物体側から順に配置された第1レンズエレメントと第2レンズエレメントと第3レンズエレメントのトリプレット構造を有する
請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
上記第2レンズエレメントのアッベ数が、上記第1レンズエレメントと上記第3レンズエレメントより小さい
請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
上記第2レンズが少なくとも第4レンズエレメントと第5レンズエレメントのダブレット構造を有する
請求項1記載の撮像装置。
【請求項10】
少なくとも1つのレンズエレメントが紫外線硬化樹脂により形成されている
請求項5記載の撮像装置。
【請求項11】
上記第1レンズの焦点距離fL1と上記第2レンズの焦点距離fL2が、レンズ系の焦点距離をfとして下記の条件式を満足する
請求項1に記載の撮像装置。
1.0 ≦ fL1/f ≦ 100.0
1.5 ≦ fL2/f または fL2 ≦ −3.0
【請求項12】
上記撮像素子の像面の曲率半径Riが、レンズ系の焦点距離をfとして下記の条件式を満足する
請求項1に記載の撮像装置。
−5 ≦ Ri/f ≦ −0.6
【請求項13】
正の光学歪を有するレンズ群と、
上記レンズ群を通して結像される撮像素子と、を含み、
上記撮像素子が物体側に凹を向けて湾曲しており、当該湾曲より生じる負の光学歪を、上記レンズ群の正の光学歪により打ち消す
撮像装置。
【請求項14】
2群のレンズと、
上記レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、
上記レンズは、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズ群と、
空気を挟まず順番に配置された、物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、透明体と、第2レンズとを含む第2レンズ群と、を含む
撮像装置。
【請求項15】
上記第2レンズ群が、物体側から像面側に向かって、空気を挟まずに順番に配置された、
第1レプリカレンズと、
ガラス基板と、
第2レプリカレンズと、を含む
請求項14記載の撮像装置。
【請求項16】
上記第1レンズ群が、ガラスモールド、またはプラスチック、またはキャスティング方式のレンズにより形成されている
請求項14記載の撮像装置。
【請求項17】
上記第1レンズ群が、球面のガラスレンズにレプリカレンズを施したレンズにより形成されている
請求項14記載の撮像装置。
【請求項18】
上記第1レンズ群が、ガラス板にレプリカレンズを施したレンズにより形成されている
請求項14記載の撮像装置。
【請求項19】
上記第1レンズ群の焦点距離fG1と上記第2レンズ群の焦点距離fG2が、レンズ系の焦点距離をfとして下記の条件式を満足する
請求項14記載の撮像装置。
−10 ≦ fG1/f ≦ −1.0
0.9 ≦ fG2/f ≦ 5.0
【請求項20】
上記撮像素子の像面の曲率半径Riが、レンズ系の焦点距離をfとして下記の条件式を満足する
請求項14記載の撮像装置。
−40 ≦ Ri/f ≦ −0.6
【請求項21】
レンズ群が、
正の光学ディストーションを有し、撮像素子湾曲によって生じる負の光学ディストーションを補正する
請求項1から20のいずれか一に記載の撮像装置。
【請求項22】
上記レンズ群の光学ディストーションが正の4%以上である
請求項1から21のいずれか一に記載の撮像装置。
【請求項23】
上記撮像素子の出力信号に応じた信号処理時にディストーション補正が行われる
請求項1から22のいずれか一に記載の撮像装置。
【請求項24】
撮像装置と、
上記撮像装置の出力信号に対して信号処理を行う信号処理回路と、を有し、
上記撮像装置は、
一群のレンズと、
上記レンズを通して結像される撮像素子と、を有し、
上記レンズは、物体側から像面側に向かって、空気を挟まず順番に配置された、
物体側面が物体側に凸形状をした第1レンズと、
透明体と、
第2レンズと、を含み、
上記撮像素子は、物体側に凹を向けて湾曲している
電子機器。
【請求項25】
撮像装置と、
上記撮像装置の出力信号に対して信号処理を行う信号処理回路と、を有し、
上記撮像装置は、
正の光学歪を有するレンズ群と、
上記レンズ群を通して結像される撮像素子と、を含み、
上記撮像素子が物体側に凹を向けて湾曲しており、当該湾曲より生じる負の光学歪を、上記レンズ群の正の光学歪により打ち消す
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−237966(P2012−237966A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245392(P2011−245392)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】