説明

撮像装置および電子機器

【課題】 フラッシュ光の到達距離範囲を超えた被写体に対して無用なフラッシュ発光をさせることなく、ユーザーがフラッシュ光の到達距離を容易に把握し、それに応じてフラッシュ光を活かした効果的なフラッシュ撮影を行う。
【解決手段】 カメラプロセッサ104は、撮像素子101を介して撮影画像を取得する。さらに、カメラプロセッサ104は、ストロボ回路114およびストロボ発光部3によるフラッシュ光の到達距離範囲内であるか否かを、測距ユニット5による距離情報に基づいて、撮影画像の画面を水平方向および垂直方向の2次元にブロック分割したブロック単位で判定する。LCDモニタ10へのスルー画像の表示に際し、カメラプロセッサ104は、フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、表示形態を他のブロックと異ならせて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像して電子的な画像情報を取得し、再生/出力に供するディジタルカメラのような撮像装置に係り、特に被写体に対するフラッシュ照射の有効性に応じた適切な撮像を可能とする撮像装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるディジタルカメラのような撮像装置においては、被写体近傍の光量が不足する場合、撮影時にフラッシュ光を被写体に照射して被写体を照明するために、いわゆるストロボ装置等のフラッシュを用いる。一般的に、この種のフラッシュ光の到達距離は、製品カタログ等には記載されているが、撮影時にその距離を認識し把握しているユーザーは非常に少ないため、多くの場合、ユーザーは、実際に撮影した結果を見て初めて認識することになる。例えば、大きな競技場で観客席からプレー中の選手に向かってフラッシュを発光させて撮影している場面を見かけることは少なくないが、実際には、多くの場合、観客席から選手までの距離は、フラッシュ光が届かない距離であり、フラッシュを発光させる効果はなく、撮影される画像は暗い撮影画像となってしまう。また、近年は、高倍率ズームレンズを搭載したディジタルカメラが多く存在するが、高倍率ズームにしたときに、被写体距離は、当然フラッシュ光が届く距離ではないが、ユーザーはどの程度までフラッシュ光が届くのか把握していないため、無駄にフラッシュを発光させて撮影し、暗い撮影画像となってしまう。
【0003】
従来、このような問題に対処する技術としては、例えば、特許文献1(特開2005−300584号)等に示されるように、ストロボ到達可能距離よりも被写体距離が大きい場合には、ストロボの発光を禁止する技術がある。すなわち、特許文献1(特開2005−300584号)には、被写体距離がストロボ到達可能距離範囲内の場合には、ストロボを発光させてストロボ撮影を行い、ストロボ到達可能距離範囲よりも被写体距離が大きい場合には、ストロボの発光を禁止として、それに応じて露出を再設定して撮影を行うことが開示されている。
また、特許文献2(特許第4308681号)は、上述した問題に対処するものではなく、フラッシュ光の到達距離に関するものでもないが、この特許文献2(特許第4308681号)には、電池交換時やモード変更時に、設定操作のためのアドバイス情報を表示させることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、多くの場合、ユーザーがフラッシュ光の到達距離を的確に認識し把握していないため、フラッシュを無用に発光させるなど、フラッシュ光を効果的に活用することができなかった。また、特許文献1(特開2005−300584号)に開示された技術によっても、フラッシュを無用に発光させることは防止できるものの、フラッシュ光の到達距離に応じてフラッシュ光を適切に活用して効果的なフラッシュ撮影を行うことはできなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、フラッシュ光の到達距離範囲を超えた被写体に対して無用なフラッシュ発光をさせることなく、ユーザーがフラッシュ光の到達距離を容易に把握することができ、それに応じてフラッシュ光を活かした効果的なフラッシュ撮影を行うことを可能とする撮像装置および電子機器を提供することを目的としている。
本発明の請求項1の目的は、被写体にフラッシュ光が到達するか否かを、事前にスルー画像により容易に判定して、無用なフラッシュ発光をさせることなく、効果的にフラッシュ光を用いて撮影を行うことを可能とする撮像装置を提供することにある。
本発明の請求項2の目的は、特に、スルー画像にて、フラッシュ光が到達しない領域を容易に認識することを可能とする撮像装置を提供することにある。
【0005】
本発明の請求項3の目的は、特に、スルー画像にて、フラッシュ光が到達しない領域をさらに容易に認識することを可能とする撮像装置を提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、スルー画像における画面内の複数の被写体についての距離情報に基づくフラッシュ光の到達の有無を判定することを可能とする撮像装置を提供することにある。
本発明の請求項5の目的は、特に、スルー画像における画面内の全ての被写体にフラッシュ光が有効でない場合に、ユーザーに確実に認識させることを可能とする撮像装置を提供することにある。
本発明の請求項6の目的は、特に、スルー画像における画面内の全ての被写体にフラッシュ光が有効でない場合に、ユーザーにさらに確実に認識させることを可能とする撮像装置を提供することにある。
本発明の請求項7の目的は、特に、スルー画像における画面内の全ての被写体にフラッシュ光が有効でない場合に、無用なフラッシュ撮影を確実に阻止することを可能とする撮像装置を提供することにある。
【0006】
本発明の請求項8の目的は、特に、スルー画像における画面内の全ての被写体にフラッシュ光が有効でない場合に、ユーザーに確実に認識させ、さらに適切に設定変更させることを可能とする撮像装置を提供することにある。
本発明の請求項9の目的は、撮像機能において、被写体にフラッシュ光が到達するか否かを、事前にスルー画像により容易に判定して、無用なフラッシュ発光をさせることなく、効果的にフラッシュ光を用いて撮影を行うことを可能とする電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した本発明に係る撮像装置は、上述した目的を達成するために、
被写体像を撮像して被写体像を得るための撮像手段と、
被写体に向けてフラッシュ光を投射するフラッシュ発光手段と、
前記撮像手段を介して撮影画像を取得する画像取得手段と、
スルー画像を含む前記撮像手段により取得された撮影画像を表示するための画像表示手段と、
を備えた撮像装置において、
当該撮像装置と被写体との間の被写体距離を測定する測距手段と、
前記撮影画像の画面を水平方向および垂直方向の2次元にブロック分割したブロック単位で、前記測距手段により被写体距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記フラッシュ発光手段による撮影時のフラッシュ光の到達距離を算出する光到達距離算出手段と、
前記光到達距離算出手段で算出した光到達距離と前記距離情報取得手段で取得した前記ブロック単位の前記被写体距離情報とに基づいて、前記ブロック単位で、前記フラッシュ光が被写体に到達するか否かを判定する光到達判定手段と、
前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、前記画像表示手段へのスルー画像の表示形態を他のブロックと異ならせる表示制御手段と
をさらに備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1の撮像装置であって、
前記表示制御手段は、前記スルー画像の表示形態を、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、当該ブロックの色を他のブロックとは異ならせて表示する表示形態とすることを特徴としている。
請求項3に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1の撮像装置であって、
前記表示制御手段は、前記スルー画像の表示形態を、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、当該ブロックを点滅表示として、他のブロックと異ならせた表示形態とすることを特徴としている。
請求項4に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項の撮像装置であって、
前記測距手段は、マルチラインセンサを搭載した位相差方式の測距ユニットであることを特徴としている。
請求項5に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項の撮像装置であって、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、警告メッセージを表示させる手段を含むことを特徴としている。
【0009】
請求項6に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1〜請求項5のいずれか1項の撮像装置であって、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、警告音を発生させる手段を含むことを特徴としている。
請求項7に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1〜請求項6のいずれか1項の撮像装置であって、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、前記フラッシュ発光手段によるフラッシュ発光設定をオフとする手段を含むことを特徴としている。
請求項8に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1〜請求項7のいずれか1項の撮像装置であって、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、どのように設定を変更すべきかを提示して適切な設定変更を促すアドバイス表示をする手段を含むことを特徴としている。
請求項9に記載した本発明に係る電子機器は、上述した目的を達成するために、
撮像機能部を有し、且つ前記撮像機能部として、請求項1〜請求項8のいずれか1項の撮像装置を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フラッシュ光の到達距離範囲を超えた被写体に対して無用なフラッシュ発光をさせることなく、ユーザーがフラッシュ光の到達距離を容易に把握することができ、それに応じてフラッシュ光を活かした効果的なフラッシュ撮影を行うことを可能とする撮像装置および電子機器を提供することができる。
すなわち、本発明の請求項1の撮像装置によれば、
被写体像を撮像して被写体像を得るための撮像手段と、
被写体に向けてフラッシュ光を投射するフラッシュ発光手段と、
前記撮像手段を介して撮影画像を取得する画像取得手段と、
スルー画像を含む前記撮像手段により取得された撮影画像を表示するための画像表示手段と、
を備えた撮像装置において、
当該撮像装置と被写体との間の被写体距離を測定する測距手段と、
前記撮影画像の画面を水平方向および垂直方向の2次元にブロック分割したブロック単位で、前記測距手段により被写体距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記フラッシュ発光手段による撮影時のフラッシュ光の到達距離を算出する光到達距離算出手段と、
前記光到達距離算出手段で算出した光到達距離と前記距離情報取得手段で取得した前記ブロック単位の前記被写体距離情報とに基づいて、前記ブロック単位で、前記フラッシュ光が被写体に到達するか否かを判定する光到達判定手段と、
前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、前記画像表示手段へのスルー画像の表示形態を他のブロックと異ならせる表示制御手段と
をさらに備えることにより、
被写体にフラッシュ光が到達するか否かを、事前にスルー画像により容易に判定して、無用なフラッシュ発光をさせることなく、効果的にフラッシュ光を用いて撮影を行うことが可能となる。
【0011】
本発明の請求項2の撮像装置によれば、請求項1の撮像装置において、
前記表示制御手段は、前記スルー画像の表示形態を、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、当該ブロックの色を他のブロックとは異ならせて表示する表示形態とすることにより、
特に、スルー画像にて、フラッシュ光が到達しない領域を容易に認識することが可能となる。
また、本発明の請求項3の撮像装置によれば、請求項1の撮像装置において、
前記表示制御手段は、前記スルー画像の表示形態を、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、当該ブロックを点滅表示として、他のブロックと異ならせた表示形態とすることにより、
特に、スルー画像にて、フラッシュ光が到達しない領域をさらに容易に認識することが可能となる。
すなわち、請求項1〜請求項3の撮像装置においては、フラッシュ光が到達しない領域を撮影する前にスルー画像において、表示色を他の部分と異ならせたり、点滅させたりして表示することにより、ユーザーはフラッシュを発光させる必要があるかどうかを、容易に判定することができ、効果的にフラッシュを発光させることができる。このようにすることにより、フラッシュ光が被写体に届かないのにフラッシュ発光することによる暗い画像などの不適正な露出の画像として撮影されるのを未然に防止することができる。
【0012】
本発明の請求項4の撮像装置によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1項の撮像装置において、
前記測距手段は、マルチラインセンサを搭載した位相差方式の測距ユニットであることにより、
特に、スルー画像における画面内の複数の被写体についての距離情報に基づくフラッシュ光の到達の有無を判定することが可能となる。
なお、測距手段にマルチラインセンサを搭載した位相差方式の測距ユニットを用いることにより、距離情報を3次元的に取得することができ、撮影画面内の複数の被写体に対してそれぞれの距離情報を取得することが可能となる。
本発明の請求項5の撮像装置によれば、請求項1〜請求項4のいずれか1項の撮像装置において、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、警告メッセージを表示させる手段を含むことにより、
特に、スルー画像における画面内の全ての被写体にフラッシュ光が有効でない場合に、ユーザーに確実に認識させることが可能となる。
【0013】
本発明の請求項6の撮像装置によれば、請求項1〜請求項5のいずれか1項の撮像装置において、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、警告音を発生させる手段を含むことにより、
特に、スルー画像における画面内の全ての被写体にフラッシュ光が有効でない場合に、ユーザーにさらに確実に認識させることが可能となる。
本発明の請求項7の撮像装置によれば、請求項1〜請求項6のいずれか1項の撮像装置において、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、前記フラッシュ発光手段によるフラッシュ発光設定をオフとする手段を含むことにより、
特に、スルー画像における画面内の全ての被写体にフラッシュ光が有効でない場合に、無用なフラッシュ撮影を確実に阻止することが可能となる。
【0014】
本発明の請求項8の撮像装置によれば、請求項1〜請求項7のいずれか1項の撮像装置において、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、どのように設定を変更すべきかを提示して適切な設定変更を促すアドバイス表示をする手段を含むことにより、
特に、スルー画像における画面内の全ての被写体にフラッシュ光が有効でない場合に、ユーザーに確実に認識させ、さらに適切に設定変更させることが可能となる。
すなわち、請求項5〜請求項8の撮像装置においては、画面上の全てのブロックにフラッシュ光が到達しない場合に、警告メッセージを表示したり、警告音を発したりすることによって、ユーザーに注意を喚起することができる。このような場合に、さらに、フラッシュ発光設定をオフとすることにより、無駄なフラッシュ発光を防ぐことができ、また、アドバイス表示を行うことにより、警告メッセージ表示や警告音が発せられた際にも、どのようにカメラ設定を変更すればよいかを迷うこともなくなる。
そして、本発明の請求項9の電子機器によれば、
撮像機能部を有し、且つ前記撮像機能部として、請求項1〜請求項8のいずれか1項の撮像装置を含むことにより、
撮像機能において、被写体にフラッシュ光が到達するか否かを、事前にスルー画像により容易に判定して、無用なフラッシュ発光をさせることなく、効果的にフラッシュ光を用いて撮影を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一つの実施の形態が適用されるディジタルカメラの制御系の要部の電子機械的なシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1のディジタルカメラの外観構成を上面側から見た状態を示す平面図である。
【図3】図1のディジタルカメラの外観構成を正面被写体側から見た状態を示す正面図である。
【図4】図1のディジタルカメラの外観構成を背面撮影者側から見た状態を示す背面図である。
【図5】図1のディジタルカメラにおけるフラッシュ光到達表示処理のフローチャートである。
【図6】図1のディジタルカメラのフラッシュ光到達表示処理における画像のブロック分割を説明するための模式図である。
【図7】図1のディジタルカメラのフラッシュ光到達表示処理における距離分布の取得を説明するための模式図であり、(a)は画像における被写体配置を示し、(b)は距離分布を示す。
【図8】図1のディジタルカメラにおけるフラッシュ光到達表示処理を施さない場合の通常のスルー画像の表示画像の一例を示す図である。
【図9】図1のディジタルカメラにおけるフラッシュ光到達表示処理を施す場合の図8の画像に対する画面のブロック単位の被写体距離の検出の一例を示す図である。
【図10】図1のディジタルカメラにおけるフラッシュ光到達表示処理を施した場合のスルー画像の表示画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に基づき、図面を参照して本発明に係る撮像装置を詳細に説明する。
ここでは、撮像装置としてのディジタルカメラの実施の形態について説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、カメラ機能として同様の撮像機能を持つ電子機器、あるいは撮像装置に係る画像を処理するための画像処理システムを構築する画像処理IC(集積回路)および画像処理ソフトウェアなどの画像処理全般に適用することが可能である。
図1〜図4は、本発明の一つの実施の形態に係る撮像装置としてのディジタルカメラの模式的な構成を示している。図1は、ディジタルカメラの制御系のシステム構成の概要を模式的に示すブロック図である。図2は、図1のディジタルカメラの外観構成を上方から見た模式的な平面図、図3は、図1のディジタルカメラの外観構成を正面被写体側から見た模式的な正面図、そして図4は、図1のディジタルカメラの外観構成を背面撮影者側から見た模式的な背面図である。
図1〜図4に示すディジタルカメラは、その外観を図2〜図4に示すように、サブ液晶ディスプレイ(サブLCD)1、レリーズボタン2、ストロボ発光部3、モード切り換えダイヤル4、測距ユニット5、リモートコントロール受光部(リモコン受光部)6、鏡胴ユニット7、オートフォーカス表示用発光ダイオード(AFLED)8、ストロボ表示用発光ダイオード(ストロボLED)9、液晶ディスプレイモニタ(LCDモニタ)10、光学ファインダ11、ズームボタン12、電源スイッチ13、操作ボタン群14およびメモリカード収納部15を具備している。
【0017】
さらに、図1〜図4に示すディジタルカメラは、図1に主として電子的な制御に係るシステム構成を示すように、上述のサブLCD1、ストロボ発光部3、測距ユニット5、リモコン受光部6、鏡胴ユニット7、AFLED8、ストロボLED9およびLCDモニタ10に加えて、撮像素子101、フロントエンド部(F/E部)102、SDRAM(シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ)103、カメラプロセッサ104、RAM(ランダムアクセスメモリ)107、ROM(リードオンリメモリ)108、サブCPU(サブ中央処理部)109、操作部110、サブLCDドライバ111、ブザー113、ストロボ回路114、音声記録ユニット115、音声再生ユニット116、LCDドライバ117、ビデオアンプ(ビデオ増幅器)118、ビデオコネクタ119、内蔵メモリ120、メモリカードスロット121、USB(ユニバーサルシリアルバス)コネクタ122、シリアルインタフェース部123および温度センサ124を備えている。
鏡胴ユニット7は、ズームレンズ系7−1aおよびズームモータ7−1bを含むズーム光学系7−1、フォーカスレンズ系7−2aおよびフォーカスモータ7−2bを含むフォーカス光学系7−2、絞り7−3aおよび絞りモータ7−3bを含む絞りユニット7−3、シャッタ7−4aおよびシャッタモータ7−4bを含むシャッタユニット7−4、並びにモータドライバ7−5を有している。
【0018】
フロントエンド部102は、CDS(相関2重サンプリング部)102−1、AGC(自動利得制御部)102−2、A/D(アナログ−ディジタル)変換部102−3およびTG(タイミングジェネレータ)102−4を有している。
カメラプロセッサ104は、第1の撮像信号処理ブロック104−1、第2の撮像信号処理ブロック104−2、CPU(中央処理部)ブロック104−3、ローカルSRAM(ローカルスタティックランダムアクセスメモリ)104−4、USB処理ブロック104−5、シリアル処理ブロック104−6、JPEGコーデック(CODEC)ブロック104−7、リサイズ(RESIZE)ブロック104−8、ビデオ信号表示ブロック104−9およびメモリカードコントローラブロック104−10を有している。
操作部110は、図2〜図4に示すレリーズボタン2、モード切り換えダイヤル4、ズームボタン12、電源スイッチ13および操作ボタン群14を含んでいる。
音声記録ユニット115は、音声記録回路115−1、マイクアンプ115−2およびマイク(マイクロフォン)115−3を有しており、音声再生ユニット116は、音声再生回路116−1、オーディオアンプ(オーディオ増幅器)116−2およびスピーカー116−3を有している。シリアルインタフェース部123は、シリアルドライバ回路123−1およびシリアルコネクタ123−2を有している。
【0019】
図2に示すように、サブLCD1、レリーズボタン2およびモード切り換えダイヤル4は、カメラボディの上面に配置されている。サブLCD1は、例えば、撮影可能枚数等を表示するための表示部として用いられる。レリーズボタン2は、多くの場合、2段階に押下操作することができ、1段目の押下で自動合焦(AF)動作、そして2段目まで押下すると撮影動作というような動作をさせることができる。一般に、1段目の押下を「半押し」、そして2段目の押下を「全押し」などと称する。モード切り換えダイヤル4は、このディジタルカメラにおける撮影モード、再生モード等の動作モードを切り換えるためのダイヤルである。
また、図3に示すように、ストロボ発光部3、測距ユニット5、リモコン受光部6、鏡胴ユニット7および光学ファインダ11の対物面は、カメラボディの正面側に配置されている。SDカード等のメモリカードを装填するためのメモリカード収納部15は、カメラボディの物体(被写体)側から見て左側面に配設されている。このメモリカード収納部15の内部にメモリカードスロット121が設けられていて、このメモリカードスロット121にメモリカードMCを差し込むことによってメモリカードを装填する。
さらに、図4に示すように、AFLED8、ストロボLED9、LCDモニタ10、光学ファインダ11の接眼部、ズームボタン12、電源スイッチ13および操作ボタン群14は、カメラボディの背面側に配置されている。
【0020】
操作ボタン群14は、例えば、再生ボタン、セルフタイマ/削除ボタン、メニュー/オーケーボタン、上/ストロボボタン、下/マクロボタン、左/画像確認ボタン、右ボタン、画像を表示させるディスプレイボタン等を含んでいる。この場合、上/ストロボボタン、下/マクロボタン、左/画像確認ボタンおよび右ボタンは、十字キーに相当する上下左右ボタンを構成する。
次に、図1に示したディジタルカメラの制御系の概略について図2〜図4に示した各部をも参照しながら説明する。ここでは、主として本発明の理解に必要な部分について詳細に述べ、本発明の理解のためにさほど重要でない部分については、かならずしも詳細に述べていない。
ストロボ発光部3およびストロボ回路114は、フラッシュ発光手段としての、いわゆるストロボ装置を構成しており、自然光などの光が足りない場合に、いわゆるストロボ光、すなわちフラッシュ光を発光させて光量を補うために用いられる。すなわち、暗い場所や被写体が暗い場合の撮影においては、カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3からストロボ回路114にストロボ発光信号を送信し、ストロボ回路114は、ストロボ発光部3をフラッシュ発光させ被写体を照明する。
【0021】
測距ユニット5は、このディジタルカメラと被写体との間の距離を測るために用いられる。通常の場合、ディジタルカメラでは、CMOS(相補型金属酸化物半導体)撮像素子やCCD(電荷結合素子)撮像素子等の撮像素子101に形成された像のコントラストを検出し、最もコントラストの高い位置にフォーカスレンズ系7−2aを移動させてフォーカスを合わせる、いわゆるCCD−AF方式が用いられている。しかしながら、このCCD−AF方式は、フォーカスレンズ系7−2aを少しずつ移動させてコントラストを探して行くためフォーカス動作が遅いという問題がある。そこで、この実施の形態に係るディジタルカメラにおいては、測距ユニット5を用いて被写体との間の距離情報を常に取得し、この距離情報に基づいてフォーカスレンズ系7−2aを一気に合焦位置近傍に移動させてからCCD−AF方式を作動させるようにして、フォーカス動作を高速化するようにしている。
温度センサ124は、環境温度を測定するために設けられており、カメラボディの内外の温度を測定し、温度が異常に上昇している場合には、このディジタルカメラの電源を落としたり、このディジタルカメラの制御内容を、温度センサ124のデータを参照して適宜変更したりする。
【0022】
鏡胴ユニット7は、被写体の光学像を所望の変倍率で取り込むための焦点距離可変としてズーム光学系7−1、被写体にピントを合わせるための合焦動作、つまりフォーカシングを行うためのフォーカス光学系7−2、被写体光を絞り込むための絞りユニット7−3、撮像素子101に対する露光を機械的に開閉するシャッタユニット7−4、そしてこれら各部を作動させるモータを駆動するためのモータドライバ7−5を有している。厳密には、ズームレンズ系7−1aとフォーカスレンズ系7−2aの両者でズームレンズ光学系を構成しており、ズームレンズ光学系の一部(場合によっては全部)をフォーカスレンズ系7−2aとしてフォーカスモータ7−2bによって駆動して合焦位置を変化させ、ズームレンズ光学系の全体をズームレンズ系7−1aとしてズームモータ7−1bによって(レンズ群毎の)各部を駆動して焦点距離を変化させる。そして、モータドライバ7−5は、リモコン受光部6からのリモコン入力や操作部110の操作入力に基づき、カメラプロセッサ104内のCPUブロック104−3からの駆動指令により駆動制御される。
【0023】
ROM108には、CPUブロック104−3にて解読可能なコードで記述された、制御プログラムや制御するためのパラメータが格納されている。操作部110の電源スイッチ13の操作により、このディジタルカメラの電源がオンになると、ROM108に格納されたプログラムは、メインメモリ(明示的には図示していないが、CPUブロック104−3内に設けられていてもよく、ローカルSRAM104−4、RAM107および内蔵メモリ120等の一部であってもよい)にロードされ、CPUブロック(104−3)は、そのプログラムに従って装置各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を、一時的に、RAM107およびカメラプロセッサ104内のローカルSRAM104−4の少なくとも一部に保存する。また、ROM108として、書き換え可能なフラッシュメモリ(フラッシュROM)を使用するようにすれば、制御プログラムや制御するためのパラメータを変更して不揮発的に保存することが可能となり、機能のバージョンアップ等を容易に行うことが可能となる。
撮像素子101は、光学像を光電変換して電子的な画像情報を得るものであり、典型的には、例えばCMOS撮像素子またはCCD撮像素子等のような固体撮像素子を用いる。F/E(フロントエンド)部102のCDS102−1は、画像ノイズを除去するための相関二重サンプリングを行う。F/E部102のAGC102−2は、利得調整を行う。 F/E部102のA/D102−3は、アナログ−ディジタル信号変換を行う。
【0024】
そして、F/E部102のTG102−4は、第1の撮像信号処理ブロック104−1から垂直駆動信号(VD信号)および水平駆動信号(HD信号)が供給されてCPUブロック104−3によって制御され、撮像素子101およびF/E部102の駆動タイミング信号を発生する。このF/E部102は、全体が一体としてIC化されていてもよく、個別回路で構成されていてもよい。
カメラプロセッサ104の第1の撮像信号処理ブロック104−1は、撮像素子101からの映像出力に基づきF/E部102から出力される出力データに対してホワイトバランス調整やガンマ調整を施し、且つ上述のように、F/E部102にVD信号およびHD信号を供給する。カメラプロセッサ104の第2の撮像信号処理ブロック104−2は、フィルタリング処理により、RGB画像データから輝度/色差データへの変換を行う。カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3は、装置各部の動作を制御する。カメラプロセッサ104のローカルSRAM104−4は、制御に必要なデータ等を、一時的に保存する。カメラプロセッサ104のUSBブロック104−5は、PC(パーソナルコンピュータ〜いわゆるパソコン)等の外部機器との間でUSB(ユニバーサルシリアルバス)規格に従ったUSB通信を行う。
【0025】
カメラプロセッサ104のシリアルブロック104−6は、PC等の外部機器との間でRS−232C規格等のシリアル通信規格に従ったシリアル通信を行う。カメラプロセッサ104のJPEGコーデックブロック104−7は、画像データに対してJPEG規格に従った圧縮/伸張操作を施す。カメラプロセッサ104のリサイズブロック104−8は、画像データを補間処理により拡大/縮小して画像データのサイズを変更する。カメラプロセッサ104のビデオ信号表示ブロック104−9は、画像データを液晶モニタおよびTV(テレビジョン)受像機等の外部表示機器に表示するためのビデオ信号に変換する。カメラプロセッサ104のメモリカードコントローラブロック104−10は、撮影された画像データを記録するメモリカードMCの書き込み/読み出し制御を行う。
SDRAM103は、上述したカメラプロセッサ104において画像データに各種の処理を施す際に、画像データを一時的に保存する。SDRAM103に保存される画像データは、例えば、撮像素子101から、F/E部102を経由して取り込んだ画像データが、第1の撮像信号処理ブロック104−1によってホワイトバランス調整やガンマ調整が行われた状態のRAW−RGB画像データ、第2の撮像信号処理ブロック104−2によってRGB−輝度/色差データ変換が行われた状態のYCbCr画像データ(すなわちYUVデータ)およびJPEGコーデックブロック104−7によりJPEG圧縮されたJPEG画像データ等である。
【0026】
メモリカードスロット121は、着脱可能なメモリカードMCを装着するためのコネクタとしてのスロットである。内蔵メモリ120は、メモリカードスロット121にメモリカードMCが装着されていない場合でも、撮影した画像データを記憶できるようにするためのメモリである。LCDドライバ117は、LCDモニタ10を駆動するドライブ回路であり、ビデオ信号表示ブロック104−9から出力されたビデオ信号を、LCDモニタ10に表示するための信号に変換する機能を有している。LCDモニタ10は、撮影前に被写体の状態を監視すること、撮影した画像を確認すること、メモリカードMCや内蔵メモリ120に記録した画像データを表示すること、などのためのモニタ表示に使用する。ビデオアンプ118は、ビデオ信号表示ブロック104−9から出力されたビデオ信号を、内部インピーダンス75Ωのビデオ信号にインピーダンス変換するための増幅器であり、ビデオコネクタ119は、TV受像機等の外部表示機器に接続するためのコネクタである。USBコネクタ122は、PC等の外部機器とUSB規格に従った接続を行うためのコネクタである。シリアルドライバ回路123−1は、PC等の外部機器とRS−232C規格等に従ったシリアル通信を行うために、シリアルブロック104−6の出力信号を電圧変換するための回路であり、シリアルコネクタ123−2は、PC等の外部機器とRS−232C規格等に従ったシリアル接続を行うためのコネクタである。
【0027】
サブCPU109は、ROMおよびRAM等をワンチップに内蔵したCPUであり、操作部110やリモコン受光部6の出力信号を、ユーザの操作情報として、CPUブロック104−3に出力したり、CPUブロック104−3から出力されるカメラの状態情報を、サブLCD1、AFLED8、ストロボLED9およびブザー113等を制御するための制御信号に変換して、それぞれ出力する。サブLCD1は、例えば、撮影可能枚数など表示するための表示部であり、サブLCDドライバ111は、サブCPU109の出力信号に基づきサブLCD1を駆動するためのドライブ回路である。AFLED8は、撮影時の合焦状態を表示するためのLEDであり、ストロボLED9は、ストロボ充電状態を表示するためのLEDである。なお、これらAFLED8とストロボLED9を、他の表示用途、例えばメモリカードMCのアクセス中などの表示用途に使用しても良い。操作部110は、ユーザーの操作入力を当該システムに入力するスイッチ等であり、リモコン受光部6は、ユーザーにより操作される図示していないリモコン送信機からのリモコン信号を受信する。
【0028】
音声記録ユニット115は、ユーザーが音声信号を入力するマイク115−3、入力された音声信号を増幅するマイクアンプ115−2、そして増幅された音声信号を記録する音声記録回路115―3から構成されている。音声再生ユニット116は、記録された音声信号を取り出してスピーカー116−3から出力するための信号に変換する音声再生回路116−1、変換された音声信号を増幅し、スピーカー116−3を駆動するためのオーディオアンプ116−2、そして音声信号に基づく音声を音響出力するスピーカー116−3から構成されている。
次に、上述のように構成されたディジタルカメラにおける本発明の特徴となる構成および動作について具体的に説明する。ここでは、本発明を適用したディジタルカメラの一つの実施の形態における動作を説明している。本発明の実施の形態は、ここで説明する実施の形態に限定されることはなく、当業者が容易に想到できる範囲内において、種々に修正または変形して実施することができる。
【0029】
〔フラッシュ光到達距離表示処理〕
図5に、上述したディジタルカメラにおける本発明に特徴的な動作に係るフラッシュ光到達距離表示処理の基本的な処理手順を示している。以下、図5のフローチャートに従ってフラッシュ光到達距離表示処理を具体的に説明する。
〈ステップS11:フラッシュ発光設定〉
ユーザーが、操作部110を適宜操作して、フラッシュを使用する設定、つまり必要に応じてフラッシュを発光させるフラッシュ発光設定をオンとする。
〈ステップS12:フラッシュ光到達距離表示モード選択判定〉
ユーザーが操作部110による設定変更を行うと、それがサブCPU109を介してカメラプロセッサ104のCPUブロック104−3に伝達され、CPUブロック104−3は、サブCPU109を介して、フラッシュ光到達距離表示モードが選択されているか否かを判定する。フラッシュ光到達距離表示モードは、スルー画像表示時に、LCDモニタ10の画面上にフラッシュ光到達距離を表示するモードで、予めこのディジタルカメラの動作モードの選択肢の一つとして予め設定しておき、操作部110のモード切り換えダイヤル4または操作ボタン群14等の所定の操作により、ユーザーがフラッシュ光到達距離表示モードのオン/オフを選択設定できるようにしておく。このステップS12で、フラッシュ光到達距離表示モードがオフに設定されていると判定された場合には、カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3は、何もせずに図5の処理を終了し、通常の撮影状態に戻る。
【0030】
〈ステップS13:被写体距離情報取得〉
ステップS12で、フラッシュ光到達距離表示モードがオンに設定されていると判定された場合には、カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3は、被写体距離情報の取得を行う。この被写体距離情報の取得にあたっては、CPUブロック104−3は、測距ユニット5からの距離情報を取得する。この測距ユニット5は、例えば、2つのマルチラインセンサ(明確には図示してはいない)が、左右一対で配置され、各マルチラインセンサ上にはそれぞれレンズが設けられており、これらマルチラインセンサに結像した2つの像の位相差から距離情報を算出する位相差方式を用いるものとし、このようにマルチラインセンサを用いることによって、3次元空間的な測距を可能なものとしている。
〈検出ブロック単位〉
ステップS13における距離情報の算出にあたっては、図6に示すように、撮影画像の画面全体を水平方向および垂直方向の2次元にブロック分割したブロック単位で算出を行う。このように2次元にブロック分割して算出した距離情報は、2次元の距離分布情報として取り扱うこともできる。すなわち、例えば、ブロック毎に算出した距離情報に応じて、色分けすることによって、ブロック毎の被写体距離を容易に確認することができるようになる。
【0031】
例えば、図7の(a)に示すように異なる距離に配置された複数(この場合、3個)の被写体(コップ)に対して、測距ユニット5は、ブロック単位で距離情報を算出し、図7の(b)に示すように、被写体距離応じてブロックを色分けすることによって、2次元の距離分布情報として扱うことができる(ちなみに、図7の(b)においては、塗り潰し濃度が濃いほど、被写体までの距離が遠い)。
〈ステップS14:撮影時レンズF値取得〉
フラッシュ光の到達距離を算出するのに必要となるため、カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3は、撮影時に設定されるレンズF値を取得する。
〈ステップS15:撮影感度取得〉
フラッシュ光の到達距離を算出するのに必要となるため、カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3は、撮影感度、通常の場合は、撮影時に設定されるISO感度、を取得する。
〈ステップS16:フラッシュ光到達距離算出〉
カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3は、撮影時に設定されるレンズF値(ステップS14)とISO感度(ステップS15)とから、次式により、フラッシュ光の到達距離Lを算出する。
L = (GNO/F値) × ISO感度(段数)
ここで、GNOは、ガイドナンバであり、ISO感度(段数)は、ISO感度を段数であらわしたもので、ISO100を1段とし、ISO200は2段、ISO400は3段となる。
【0032】
〈ステップS17:フラッシュ光到達エリア算出〉
カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3は、上式によりステップS16において算出したフラッシュ光到達距離Lと、ステップS13においてブロック毎に算出した被写体距離との比較を行う。この比較の結果、
フラッシュ光到達距離L≧被写体距離
であれば、フラッシュ光が被写体に到達するブロックということになる。また、
フラッシュ光到達距離L < 被写体距離
であれば、フラッシュ光が被写体に到達しないブロックということになる。
〈ステップS18:フラッシュ光到達距離表示〉
カメラプロセッサ104のCPUブロック104−3は、スルー画像の表示に際し、ステップS17で得られたフラッシュ光が届かないブロックを、例えば、OSD(オンスクリーンディスプレイ)表示処理により、LCDモニタ10の画面上に他のブロックと識別可能として、表示する。この場合、フラッシュ光が届かないブロックのOSD表示には、目立つ色を使用して撮像画像に重畳するなどして表示するようにする。該当ブロックを点滅表示するようにしてもよい。
【0033】
なお、全てのブロックで、フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、フラッシュ光が到達しない旨のメッセージを表示したり、フラッシュ光を強制的にオフに設定したりしてもよい。また、このように全てのブロックで、フラッシュ光が到達しないと判定された場合に、どのようにカメラ設定を変更したらよいかをアドバイスするアドバイス情報を表示するようにしてもよい。
フラッシュ光が届かないブロックを、OSD表示処理でLCDモニタ10の画面上に表示する場合の表示画面の例を、図8〜図10に示している。図8は、LCDモニタ10の画面上に表示されるスルー画像の例である。このようなスルー画像の表示に際し、フラッシュ光到達距離表示モードがオンに設定されていると、図9のように画面を水平方向および垂直方向にブロック分割し、フラッシュ光到達距離よりも遠い被写体のブロック(斜線で示したブロック)をチェックする。そして、最終的にLCDモニタ10の画面上には、図10のように表示される。図10に斜線で示された部分が、他の部分と異なる色で表示される部分であり、この部分を点滅させたり、さらに警告音を発したりしてユーザーが認識し易くなるようにしてもよい。
【0034】
このようにすれば、フラッシュ光が到達しない領域を撮影する前にスルー画像で色を変更したり、点滅させて表示することにより、フラッシュを発光させる必要があるか否かをユーザーが判定することができ、より効果的にフラッシュを発光させることができるようになる。また、測距手段にマルチラインセンサを搭載した位相差方式の測距ユニットを用いることにより、距離情報を3次元的に取得することができ、撮影画面内の複数の被写体に対して距離分布情報を取得することが可能となる。また、全てのブロックにフラッシュ光が到達しない場合に、警告メッセージを表示したり、警告音を発したりすることによって、ユーザーに注意を喚起することができる。さらに、そのような場合に、フラッシュ発光設定を強制的にオフとすることにより無駄なフラッシュ発光を防ぐことができる。また、そのような場合に、設定変更のためのアドバイス表示を行うことによって、警告メッセージ表示や警告音が発せられた際に、どのように設定を変更すればよいか迷うこともなくなる。
【符号の説明】
【0035】
1 サブ液晶ディスプレイ(サブLCD)
2 レリーズボタン
3 ストロボ発光部
4 モード切替ダイヤル
5 測距ユニット
6 リモートコントロール受光部(リモコン受光部)
7 鏡胴ユニット
8 オートフォーカス表示用発光ダイオード(AFLED)
9 ストロボ表示用発光ダイオード(ストロボLED)
10 液晶ディスプレイモニタ(LCDモニタ)
11 光学ファインダ
12 ズームボタン
13 電源スイッチ
14 操作ボタン群
15 メモリカード収納部
101 撮像素子
102 フロントエンド部(F/E部)
103 SDRAM(シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ)
104 カメラプロセッサ
107 RAM(ランダムアクセスメモリ)
108 ROM(リードオンリメモリ)
109 サブCPU(サブ中央処理部)
110 操作部
111 サブLCDドライバ
113 ブザー
114 ストロボ回路
115 音声記録ユニット
116 音声再生ユニット
117 LCDドライバ
118 ビデオアンプ(ビデオ増幅器)
119 ビデオコネクタ
120 内蔵メモリ
121 メモリカードスロット
122 USB(ユニバーサルシリアルバス)コネクタ
123 シリアルインタフェース部
124 温度センサ
7−1 ズーム光学系
7−1a ズームレンズ系
7−1b ズームモータ
7−2 フォーカス光学系
7−2a フォーカスレンズ系
7−2b フォーカスモータ
7−3 絞りユニット
7−3a 絞り
7−3b 絞りモータ
7−4 シャッタユニット
7−4a シャッタ
7−4b シャッタモータ
7−5 モータドライバ
102−1 相関2重サンプリング部(CDS)
102−2 自動利得制御部(AGC)
102−3 A/D(アナログ−ディジタル)変換部
102−4 タイミングジェネレータ(TG)
104−1 第1の撮像信号処理ブロック
104−2 第2の撮像信号処理ブロック
104−3 CPU(中央処理部)ブロック
104−4 ローカルSRAM(ローカルスタティックランダムアクセスメモリ)
104−5 USB処理ブロック
104−6 シリアル処理ブロック
104−7 JPEGコーデック(CODEC)ブロック
104−8 リサイズ(RESIZE)ブロック
104−9 ビデオ信号表示ブロック
104−10 メモリカードコントローラブロック
115−1 音声記録回路
115−2 マイクアンプ(マイク増幅器)
115−3 マイク(マイクロフォン)
116−1 音声再生回路
116−2 オーディオアンプ(オーディオ増幅器)
116−3 スピーカー
123−1 シリアルドライバ回路
123−2 シリアルコネクタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2005−300584号公報
【特許文献2】特許第4308681号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して被写体像を得るための撮像手段と、
被写体に向けてフラッシュ光を投射するフラッシュ発光手段と、
前記撮像手段を介して撮影画像を取得する画像取得手段と、
スルー画像を含む前記撮像手段により取得された撮影画像を表示するための画像表示手段と、
を備えた撮像装置において、
当該撮像装置と被写体との間の被写体距離を測定する測距手段と、
前記撮影画像の画面を水平方向および垂直方向の2次元にブロック分割したブロック単位で、前記測距手段により被写体距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記フラッシュ発光手段による撮影時のフラッシュ光の到達距離を算出する光到達距離算出手段と、
前記光到達距離算出手段で算出した光到達距離と前記距離情報取得手段で取得した前記ブロック単位の前記被写体距離情報とに基づいて、前記ブロック単位で、前記フラッシュ光が被写体に到達するか否かを判定する光到達判定手段と、
前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、前記画像表示手段へのスルー画像の表示形態を他のブロックと異ならせる表示制御手段と
をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記スルー画像の表示形態を、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、当該ブロックの色を他のブロックとは異ならせて表示する表示形態とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記スルー画像の表示形態を、前記フラッシュ光が到達しないと判定されたブロックについては、当該ブロックを点滅表示として、他のブロックと異ならせた表示形態とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記測距手段は、マルチラインセンサを搭載した位相差方式の測距ユニットであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、警告メッセージを表示させる手段を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、警告音を発生させる手段を含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、前記フラッシュ発光手段によるフラッシュ発光設定をオフとする手段を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記画像表示手段へのスルー画像の表示に際し、全てのブロックで前記フラッシュ光が到達しないと判定された場合には、どのように設定を変更すべきかを提示して適切な設定変更を促すアドバイス表示をする手段を含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像機能部を有し、且つ前記撮像機能部として、請求項1〜請求項8のいずれか1項の撮像装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−78676(P2012−78676A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225283(P2010−225283)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】