説明

撮像装置

【課題】 画面分割読み出しCCDの画面合成の精度向上、画質向上や、フレキからの不要輻射逓減、またデューティを変えた基準クロックを伝送することによる受け側での逓倍数の逓減を可能とする撮像装置の提供。
【解決手段】 多チャンネル分割エリアセンサの出力をデジタル化し、エリアセンサ側基板とメイン側基板との双方に当該エリアセンサの画素クロックを逓倍するPLLを具備し、前記基板間を、当該逓倍したクロックを用いてデジタル化した画像信号をシリアル伝送することを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特には所謂CCD撮像素子を用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置は高画素化が進み、画面を中央で垂直2分割して別々に読み出すCCDエリアセンサも登場している。図5の501が左右分割2チャンネル読み出しのCCDエリアセンサの例であり、多画素センサーの画像をテレビレートで読み出す必要性から、従来の水平読み出しCCDを中央で分割し、画面の右半分502と左半分503とを左右に別々に読み出す構成となっている。左右別々に取り出された画像信号はそれぞれ電荷電圧変換アンプ506、507で出力電圧に変換され、端子510、511に出力される。2分割して読み出す場合、チャンネル間のオフセットやゲインの違いを補正する必要が生じる。さらに、CCDエリアセンサの非線形性により、明るい所ではゲインが合っているにもかかわらず、暗部では輝度が合わずに中央部に縦の段差が見えるという現象が生じることがあり、非直線性の補正も必要となる。
【特許文献1】特開2000−253305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
デジタルビデオでは、メインとなる基板に対してCCD撮像素子を載せる子基板はその構造上、垂直に実装されることになるので、基板間を接続するため、フレキシブルケーブルを用いた画像信号の伝送が必要となる。デジタルカメラにおいても、レンズなどの光学部品と一体となるCCD撮像素子と、メインとなる基板とはフレキシブルケーブルで接続されることが多い。フレキシブルケーブルを介して2画面分割された2チャンネルのアナログ信号を伝送する場合、伝送特性のチャンネルごとの微妙な差が、非整形的な特性の違いとなるため、2画面合成の回路が複雑になり、かつ精度を上げることが難しかった。2画面分割された2チャンネルの画像信号をそれぞれA/D変換し、デジタル化してからフレキシブルケーブルを通せば前記問題点は解決するが、例えば16ビットx2チャンネルなら32ビットものデジタル信号をフレキシブルケーブルに通す必要があり、フレキシブルケーブルが太くなり、かつデジタル信号をフレキシブルケーブルに通すことから不要輻射の問題が出る恐れがある。
【0004】
本発明は前述の如き問題点を解決するために成されたものであり、画面分割読み出しCCDの画面合成の精度向上、画質向上や、フレキからの不要輻射逓減、また、デューティを変えた基準クロックを伝送することによる受け側での逓倍数の逓減を可能とする撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の如き問題を解決し、前記目的を達成するため、本発明は、多チャンネル分割エリアセンサの出力をデジタル化し、エリアセンサ側基板とメイン側基板との双方に当該エリアセンサの画素クロックを逓倍するPLLを具備し、前記基板間を、当該逓倍したクロックを用いてデジタル化した画像信号をシリアル伝送するようにした。
【0006】
また、本発明は、前記基板間の伝送にLVDSに代表される差動ペア伝送を用い、差動のペア信号でフレキシブルケーブルを挟む形で伝送するようにした。
【0007】
また、本発明は、前記エリアセンサ側基板とメイン側基板との双方に具備したエリアセンサの画素クロックを逓倍するPLLを同期させるため、フレキシブルケーブルで伝送する基準クロックとして、画素クロックの周波数をn倍(nは1以外の自然数)したものを用い、さらに当該基準クロック波形が画素クロックで繰り返すように波形のデューティを変えるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本願の請求項1に記載した発明によれば、A/D変換後のデジタルデータをフレキシブルケーブルに通すようにしたので、多チャンネル分割エリアセンサの画面合成が容易となり、画質向上、画面を合成する回路量の削減と、それによるコストの低減が可能となった。
【0009】
本願の請求項2に記載した発明によれば、フレキシブルケーブルを通すデジタルデータを差動ペア伝送としたので、不要輻射を減らすことができた。
【0010】
本願の請求項3に記載した発明によれば、フレキシブルケーブルで伝送する基準クロックを画素クロックのn倍(nは1以外の自然数)高めることにより、メインとなる基板側の逓倍数を減らすことができ、当該逓倍のためのPLLに要求されるジッタなどの要求仕様を低減させることができ、結果として回路量の削減と、それによるコストの低減が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0012】
図1は本発明が適用される撮像装置の構成を示す図である。
【0013】
図1において、CCD撮像素子101で撮像された画像信号はバッファー104aとバッファー104bを介してそれぞれCDS105aとCDS105bに加えられる。ここで、CCD撮像素子101は撮像素子中央で縦に2分割された2チャンネルCCDであり、2チャンネルで同時に読み出された画像信号がそれぞれバッファー104aとバッファー104bに読み出される。当該2チャンネルは撮像された信号の右半分と左半分であり、信号処理は2チャンネルとも同様なので、ここでは便宜上各番号にaとbを付して説明する。
【0014】
CCD撮像素子101には、タイミングジェネレータ102から、周知の水平転送パルスH1、H2とリセットゲートパルスRGが加えられている。タイミングジェネレータ102には水晶発振器103より36MHzの基準クロックが加えられ、各種のパルスを発生させる。CDS105aとCDS105bは、タイミングジェネレータ102より加えられた基準タイミングSHP、サンプルタイミングSHDを用いて周知の相関二重サンプルを行うことで低周波ノイズを除去し、その結果をA/D変換手段106a、106bに加える。
【0015】
A/D変換手段106a、106bは、加えられた画像信号を16ビットにA/D変換し、結果をパラレルシリアル変換手段107a、108a、107b、108bにそれぞれ加える。ここでパラレルシリアル変換手段107aにはA/D変換手段106aで変換されたデジタル信号の上位8ビットが加えられ、パラレルシリアル変換手段107bにはA/D変換手段106aで変換されたデジタル信号の下位8ビットが加えられるものとする。パラレルシリアル変換手段107a、108a、107b、108bは後述の如く、加えられたパラレルデータをシリアルデータに変換し結果をそれぞれ、LVDSラインドライバ111a、112a、111b、112bに加える。
【0016】
タイミングジェネレータ102からは更に36MHzのクロックが逓倍手段109に加えられる。逓倍手段109は入力された36MHzのクロックを、周知のPLLを用いて8逓倍し、結果の288MHzクロックをパラレルシリアル変換手段107a、108a、107b、108bと計数手段110に加える。計数手段110は、逓倍手段109から加えられた288MHzのクロックを3ビットのカウンタで0〜7と計数し、パラレルシリアル変換手段107a、108a、107b、108bに変換タイミングを、更にLVDSラインドライバ113に後述するtxclk波形を出力する。
【0017】
パラレルシリアル変換手段107a、108a、107b、108bと計数手段110による動作の詳細を図2(a)を用いて説明する。
【0018】
同図において入力端子201に加えられた8ビットのパラレルデータは切り替え手段204に加えられる。また、逓倍された288MHzのクロックが端子202に加えられ、変換タイミングtmgが端子203に加えられている。切り替え手段204は、端子203に加えられている変換タイミングtmgが論理0の時は入力端子201に加えられた8ビットのパラレルデータを8ビットのDFF205にパラレルロードし、変換タイミングtmgが論理1の時には、DFF205に蓄えられたデータを1ビットずつシフトさせてシリアルデータとして端子206に出力する。
【0019】
各所の波形を図2(b)を用いて説明する。
【0020】
CLKは端子202に加えられた288MHzクロック、tmgは端子203に加えられた変換タイミングであり、端子206にはsdataで示される形で1ビットシリアル化されたデータが出力される。また、計数手段110は、同図のtmgとtxclkで示される波形を生成し、tmgをパラレルシリアル変換手段107a、108a、107b、108bへ、txclkをLVDSラインドライバ113に出力する。ここで、txclkは228MHzのクロックを計数し、ここでは‘10001100’を繰り返し出力するように構成している。当該txclkは0から1への立ち上がりに着目すると72MHzのクロックであるが、クロックのデューティを変えることで、8ビットのシリアルデータの前半と後半が区別できるようにしている。
【0021】
図1に戻って説明を続ける。
【0022】
LVDSラインドライバ111a、112a、111b、112bはシリアル化された画像信号を低振幅のLVDS波形に変換し、フレキシブルケーブルを介してそれぞれLVDSラインレシーバ115a、116a、115b、116bに加える。LVDSラインレシーバ115a、116a、115b、116bは、受信したシリアル信号を3VのC−MOS信号に変換し、結果をシリアルパラレル変換手段117a、118a、117b、118bにそれぞれ加える。シリアルパラレル変換手段117a、118a、117b、118bは全て同様の構成となっており、加えられたシリアル信号を、後述する逓倍手段119と計数手段120からそれぞれ加えられるクロックとタイミング信号を用いてパラレルデータに変換し、結果を2画面合成手段121に加える。
【0023】
シリアルパラレル変換手段117a、118a、117b、118bの構成を図3を用いて説明する。
【0024】
シリアルデータが端子301に、288MHzのクロックが端子302に、タイミング信号tmgが端子303にそれぞれ加えられる。端子301に加えられたシリアルデータは、8個のDFFで構成されたレジスタ304に加えられ、端子302に加えられた288MHzのクロックで順次シフトされ、結果が切り替え手段305に出力される。切り替え手段305は、端子303に加えられたタイミング信号tmgが論理1の時にはレジスタ304の結果を8個のDFFで構成されたレジスタ306に加え、タイミング信号tmgが論理0の時にはレジスタ306の結果を保持することでシリアルパラレル変換を行い、結果を端子307に出力する。
【0025】
シリアルパラレル変換手段117aからはA/D変換手段106aで変換されたデジタル信号の上位8ビットデータが得られ、シリアルパラレル変換手段118aからは、同じA/D変換手段106aで変換されたデジタル信号の下位8ビットデータが得られるので、これらを束ね、16ビットのデジタル化された画像信号として、2画面合成手段121に加える。シリアルパラレル変換手段117b、118bのデータも同様に16ビットデータに束ねて2画面合成手段121に加える。
【0026】
2画面合成手段121は、加えられた2画面分割された画像信号の黒レベルを合わせ、リニアリティを補正し、ゲインを補正したあと、片方のチャンネルをミラー反転して合成し、1つの画面に復元して結果を画像処理手段112に加える。ここで2画面合成手段121のミラー反転して合成するまでの前段回路は、後述する計数手段120の出力する36MHzのtmg信号をクロックとして動作する。画像処理手段112は画像の縮小処理、ガンマ処理、色分離処理など周知の処理を行い、得られた画像信号を端子123に出力する。
【0027】
LVDSラインドライバ113は、加えられたtxclk信号を低振幅のLVDS波形に変換し、フレキシブルケーブルを介してLVDSラインレシーバ124に加える。LVDSラインレシーバ124は加えられた低振幅のLVDS信号を3VのC−MOS信号に変換し、結果を逓倍手段119と計数手段120に加える。逓倍手段119は、加えられたtxclkを4逓倍することで288MHzのクロックを生成し、結果をシリアルパラレル変換手段117a、118a、117b、118bと計数手段120に加える。ここで逓倍手段119は加えられたtxclkの立ち上がりエッジだけを用いて4逓倍を行う。
【0028】
計数手段120は加えられた288MHzのクロックCLKとtxclk信号とからパラレルシリアル変換に必要なタイミング信号tmgを生成する。当該タイミング信号tmgは、2画面合成手段121前段部のクロックとしても用いる。
【0029】
txclk信号からtmg信号を生成する方法の一例を図4を用いて説明する。
【0030】
図4(a)において、端子401にtxclk、端子402に288MHzのクロックCLKが加えられている。インバータ407でCLKを反転し、DFF403、DFF404、DFF406のクロックとして加える。クロックの立下りを用いる理由は、本実施例では逓倍手段119は、txclkの立ち上がりエッジにほぼ位相の合った288MHzのクロックCLKを生成することを想定しており、288MHzであるCLKをクロックとして動作しているDFFで、txclkを受け取ることはできないため、立下りクロックを用いている。
【0031】
アンドゲート405を用いて1の連続を検出してその結果をDFF406に保持する。DFF406の出力を、図4(b)のタイミング図にxとして示す。DFF406の出力結果を立ち上がりクロックを加えたDFF408で取り直した結果がyである。これを更にDFF409で1クロック分遅らせた信号をタイミング信号tmgとして用いることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施例ではtxclkとして、‘10001100’の繰り返しを用いることにより、逓倍手段119は、本来要求される8逓倍ではなく4逓倍で288MHzを生成することができる。これにより、同じジッタが要求されるとすると、逓倍数が少ない分、逓倍に用いるPLLに要求される仕様は緩和されるので、回路量の削減、コストの低減が可能となる。
【0033】
なお、本実施例では、2チャンネル読み出しCCD撮像素子の出力をシリアル伝送する例で説明したが、1チャンネル出力のCCD撮像素子に本発明を適用することももちろん可能であり、フレキシブルケーブルを通す信号線の削減や、不要輻射の低減、クロックを逓倍するPLLのジッタに対する要求仕様の低減といった本発明の効果はそのまま得られる。
【0034】
また、本実施例では、タイミングジェネレータ102に与えるクロックとして、36MHzを用いたが、2倍の72MHzを2分周して用いることも可能であり、その場合、逓倍手段109には元の72MHzを加えることで、逓倍手段109の逓倍数も逓倍手段119と同様4倍に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明が適用される撮像装置の構成例を示す図である。
【図2】パラレルシリアル変換手段107a、108a、107b、108bと計数手段110による動作の詳細について説明する図である。
【図3】シリアルパラレル変換手段117a、118a、117b、118bの構成を説明する図である。
【図4】txclk信号からtmg信号を生成する方法について説明する図である。
【図5】左右分割2チャンネル読み出しのCCDエリアセンサを説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
101 CCD撮像素子
102 タイミングジェネレータ
107a、108a、107b、108b パラレルシリアル変換手段
109 逓倍手段
110 計数手段
117a、118a、117b、118b シリアルパラレル変換手段
119 逓倍手段
120 計数手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多チャンネル分割エリアセンサの出力をデジタル化し、エリアセンサ側基板とメイン側基板との双方に当該エリアセンサの画素クロックを逓倍するPLLを具備し、前記基板間を、当該逓倍したクロックを用いてデジタル化した画像信号をシリアル伝送することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
基板間の伝送に差動ペア伝送を用い、差動のペア信号でフレキシブルケーブルを挟む形で伝送することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
エリアセンサ側基板とメイン側基板との双方に具備したエリアセンサの画素クロックを逓倍するPLLを同期させるため、フレキシブルケーブルで伝送する基準クロックとして、画素クロックの周波数をn倍したものを用い、さらに当該基準クロック波形が画素クロックで繰り返すように波形のデューティを変えることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−352426(P2006−352426A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174878(P2005−174878)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】